JP3155393B2 - 感光材料処理装置用乾燥装置 - Google Patents

感光材料処理装置用乾燥装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感光材料処理装置用乾
燥装置に関し、特に、写真フィルム、写真印画紙等の帯
状感光材料が内部を通過する乾燥ボックス内で感光材料
を乾燥させる感光材料処理装置用乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】感光材料処理装置の一種である自動現像
装置では、写真ネガフィルム、写真印画紙等の帯状感光
材料を搬送ローラで搬送させながら各処理液に浸漬させ
て、現像、定着、水洗の各処理を行う。このような処理
が済んだ感光材料は、乾燥装置によって乾燥された後、
機外に排出される。
【0003】乾燥装置は、感光材料が内部を通過する乾
燥ボックスを備え、乾燥ボックス内に乾燥風が循環供給
されるようになっている。
【0004】従来は、このような乾燥装置内のヒーター
の温度制御は、1系統の制御装置により制御されてお
り、2系統以上でヒーターを制御する例は、電気容量
(ワット数)の調整以外にはほとんど用いられていな
い。また、循環風のバランスのコントロールをヒーター
の制御で達成した例はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、例えば
ミニラボと呼ばれる小型の感光材料処理装置の乾燥装置
が循環風を用いる構造の場合、循環風の採り入れ口や循
環風路が感光材料の通路に対して左右対称等とバランス
が良い場合はさほど問題はないが、乾燥装置の片側のみ
に循環口が設けられていたり、バランスのよくない配置
しかとれない場合、乾燥装置内部に温度分布が発生す
る。
【0006】この温度分布は、感光材料の乾燥性に重大
な影響を及ぼし、処理の品質を損ねることになる。特
に、帯状感光材料を2本並列して送りながら処理する2
列処理機の場合、左右の列で乾燥速度が異なり、両者
共、適切な乾燥条件に制御することが難しいという課題
があった。
【0007】もう1つの課題として、ヒーターの抵抗が
温度によって変化しやすい材質を使用していると、突入
電流(ラッシュカレント)が大きくなり、感光材料処理
装置の電気容量の安全率を大きく設計しなければならな
いという問題があった。
【0008】本発明はこのような従来技術の問題点に鑑
みてなされたものであり、その目的は、ネガフィルム、
印画紙等の帯状感光材料を加熱風により乾燥させる感光
材料処理装置用乾燥装置において、感光材料を横切る方
向の乾燥の不均一性をなくし、また、感光材料処理装置
全体の電気容量を小さくすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、感光材料処理
装置において、乾燥のための循環風がバランスよく循環
できない場合や、乾燥部に温度分布が生じた場合、ヒー
ターを2系統以上のユニット構造にして、その温度調節
方法を工夫することで、温度分布が調整でき、乾燥を均
一にできることを見出し、また、その場合、2つ以上の
ヒーターユニットに時間をずらして入力(通電)するこ
とにより、突入電流が小さくできることを見出して、完
成したものである。
【0010】すなわち、本発明の感光材料処理装置用乾
燥装置は、液体処理部で処理された帯状感光材料を加熱
風により乾燥させる感光材料処理装置用乾燥装置におい
て、搬送される帯状感光材料を横切る方向に複数の電流
ヒーターを配置し、各電流ヒーターを別個に電流制御し
て加熱風の温度分布を変えることにより、帯状感光材料
の乾燥の不均一性を補償するようにしたことを特徴とす
るものである。
【0011】この場合、各電流ヒーターへの電流投入時
間を異ならせることによって各電流ヒーターを別個に電
流制御するようにすることで、装置全体の電力容量を小
さくできる。
【0012】また、本発明は、限定的ではないが、帯状
感光材料に接触後の加熱風の少なくとも一部を帯状感光
材料を横切る何れか一方の方向から吸引するようにした
装置に有効であり、その中でも、吸引した加熱風を再度
電流ヒーターにより加熱するタイプの装置において特に
有効である。また、本発明は、液体処理部で処理された
帯状感光材料を加熱風により乾燥させる感光材料処理装
置用乾燥装置において、帯状感光材料を複数列並列して
送りながら同時に乾燥させることを特徴とするものを含
むものである。
【0013】
【作用】本発明においては、搬送される帯状感光材料を
横切る方向に複数の電流ヒーターを配置し、各電流ヒー
ターを別個に電流制御して加熱風の温度分布を変えるこ
とにより、帯状感光材料の横切る方向(幅方向)の乾燥
の不均一性を補償するようにしたので、簡単な構成で、
従来の装置を大幅に変更しなくとも、感光材料の乾燥条
件を最適なものにし、その不均一性をなくすことができ
る。また、各電流ヒーターへの電流投入時間を異ならせ
ることによって各電流ヒーターを別個に電流制御するよ
うにすることで、突入電流が小さくなるので、装置全体
の電力容量を小さくでき、そのため、装置を小型、軽
量、低価格にすることができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の感光材料処理装置用乾燥装置
を実施例に基づいて詳しく説明する。まず、図1に感光
材料処理装置としてネガフィルム用自動現像装置10の
全体の構成を模式的に示す。この自動現像装置10で
は、ハウジング12内に、現像槽14、漂白定着槽1
6、水洗安定槽18で構成される処理部20が設けら
れ、感光材料を構成する2本のネガフィルムF1 、F2
が並列にフィルム供給部22からハウジング12内に入
り、そして複数の搬送ローラ24によって搬送路26に
沿い、現像槽14、漂白定着槽16、水洗安定槽18に
順に送られ、現像、漂白定着、水洗安定の各処理が行わ
れる。
【0015】また、ハウジング12内には、処理部20
に続いて、乾燥装置28が設けられている。乾燥装置2
8では、乾燥ボックス30が水洗安定槽18に隣接して
配置され、乾燥ボックス30内には乾燥風が循環供給さ
れてこの乾燥風によって、現像等の処理済みのネガフィ
ルムF1 、F2 が乾燥ボックス30内をU字型に搬送さ
れる過程で乾燥される。そして、乾燥されたネガフィル
ムF1 、F2 は、排出部33から機外に排出される。
【0016】図2に乾燥装置28を図1の二重矢印方向
に見た図を示す。乾燥ボックス30は、角筒状に形成さ
れ、内部に乾燥ラック32が設けられ、乾燥ラック32
は、乾燥ラック32内で並列して送られるネガフィルム
1 、F2 を搬送する搬送ローラ34(図1)が軸支さ
れており、また、乾燥ボックス30の上端部近傍にネガ
フィルムF1 、F2 が出入りする出入口38が開口され
ている。入口38から入ったネガフィルムF1 、F
2 は、一旦乾燥ボックス30内下方へ搬送され、下側の
搬送ローラ34で上方へ曲げられ、U字型の搬送路に沿
って出口38から排出部33へ送られる。
【0017】また、乾燥ボックス30の下端部には送風
機40が取り付けられており、フィルム供給部22側か
ら見て乾燥ボックス30下端右側に設けられた外気取入
口42から導入された新鮮風を乾燥ボックス30上方へ
送風する。乾燥ボックス30内の送風機40と乾燥ラッ
ク32下端との間には、ヒーター441 、442 が配置
されており、送風機40からの風は、ヒーター441
442 を通って加熱されながら上昇し、乾燥ラック32
内を通過するネガフィルムF1 、F2 を乾燥させる。そ
して、ネガフィルムF1 、F2 に沿って送られる熱風の
一部は、出入口38から外部へ放出されると共に、残り
は、乾燥ボックス30上端右側と外気取入口42を連結
するダクト46を通って再度送風機40へ循環供給され
る。
【0018】このように、本発明の乾燥装置28におい
ては、外気の新鮮な空気を一部取り入れると共に、加熱
した熱風の一部を混合して循環させることにより、乾燥
の効率化を図っている。しかし、図2から明らかなよう
に、循環させる熱風は、乾燥ボックス30上端右側から
ダクト46へ吸引してしているため、乾燥ボックス30
内で熱風は右上方向に流れやすく、乾燥ボックス30内
部、特にその上方に温度分布を生じやすい。この実施例
では、図2の右側が温度がより高く、乾燥しやすい状態
になる。したがって、右側のネガフィルムF2 の方がよ
り加熱乾燥され、それに対し、左側のネガフィルムF1
は相対的に乾燥が不足する。
【0019】そこで、本実施例においては、図2に示す
ように、並列して送られるネガフィルムF1 、F2 を横
切る方向に分割して2個のヒーター441 、442 を配
置し、ヒーター441 、442 の上方の通路中心部Pに
配置した温度センサからの検知出力に応じて同時に同様
に通電制御するのではなく、温度が相対的に低くなる側
のヒーター441 に先に通電して、遅れて温度が相対的
に高くなる側のヒーター442 に通電するようにする。
こうすると、乾燥ボックス30内上部の左右の温度差を
補償することができる。
【0020】図3に制御のためのタイミングチャートの
一例を示す。装置10をオンにすると、乾燥装置28の
モードはヒーター441 及び442 の温度を上げる昇温
モードに入り、ヒーターオンの指令が出る。この指令に
基づいて、上記したように、ヒーター441 にはより長
時間電流を流して温度低下を補償するために、先に通電
を開始する。その後、時間dだけ経過してから相対的に
温度が高くなる側のヒーター442 に通電を開始する
と、ネガフィルムF1 、F2 に加わる実効的な温度は、
ネガフィルムF1 、F2 を横切る方向両側でほぼ同じに
上昇し、設定値に達したことを位置Pに配置した温度セ
ンサが検知すると、ヒーターオフの指令が出て、これに
基づき両ヒーター441 、442 への通電は同時に切ら
れる。その後、乾燥装置28のモードは温度調節モード
に入り、循環風の温度が設定値より下がったと温度セン
サが検知すると、再びヒーターオンの指令が出る。この
指令に基づいて、ヒーター441 に先に通電を開始し、
時間Δだけ遅れてヒーター442 に通電を開始する。そ
して、循環風の温度が設定値に達したことを温度センサ
が検知すると、ヒーターオフの指令が出て、これに基づ
き両ヒーター441 、442 への通電は同時に切られ
る。
【0021】このように、温度が相対的に低くなる側の
ヒーター441 に先に通電開始して、所定時間遅れて温
度が相対的に高くなる側のヒーター442 に通電を開始
し、通電終了を同時に行うことにより、熱風循環供給通
路の非対称等に基づく乾燥温度不均一を補償して均一な
加熱乾燥が可能になる。なお、上記の時間dは例えば5
秒に設定し、Δは1秒に設定するが、循環風の左右の温
度差に応じて、d、Δ共0.01秒〜数秒の間の最適な
値に調整できるようにする。
【0022】上記においては、両ヒーター441 、44
2 への通電開始時間を異ならせることにより、装置全体
の突入電流の最大値を下げることができ、装置の電力容
量を小さくすることができる。そのため、装置を小型、
軽量、低価格にできる。なお、両ヒーター441 、44
2 への通電開始時間を同じにして、その終了時間を異な
らせてもよく、また、両方の時間を異ならせてもよい。
さらには、両時間とも同じにして、通電量をヒーター4
1 側で多く、ヒーター442 側で少なくするようにす
ることもできる。
【0023】以上は、熱風循環供給通路の非対称によっ
て左右で温度分布に差が出る場合について、それを補償
するための構成であってが、それ以外に、例えば送風機
40のモータに供給する電流の周波数が50Hzから6
0Hzへ変わることで、送風機40の風量が変化し、そ
れによって温度分布が異なってくるおそれがある。その
場合には、上記の時間差d、Δを適当に補正すること
で、最適な乾燥条件を得ることができる。さらに、両フ
ィルムF1 、F2 のサイズ、種類が異なる場合にも、同
様に温度分布が異なってくるので、時間差d、Δを補正
することにより、最適な乾燥条件を得ることができる。
その他に、左右の熱容量が異なる場合、一方に高温域又
は低温域がある場合等にも適用できる。
【0024】以上は、乾燥させるフィルムを2本並列に
搬送する場合であったが、1本の場合でもその両側の乾
燥の不均一性を防止する点で有効であり、また、3本以
上の場合も有効である。また、ヒーターは、帯状感光材
料を横切る方向に並列して2個配列し、別々に通電温度
制御をしていたが、これを3個以上にして別々に通電温
度制御するようにしてもよい。なお、乾燥対象の帯状感
光材料は、ネガフィルム以外に印画紙等であってもよ
い。
【0025】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の感光材料処理装置用乾燥装置によると、搬送される帯
状感光材料を横切る方向に複数の電流ヒーターを配置
し、各電流ヒーターを別個に電流制御して加熱風の温度
分布を変えることにより、帯状感光材料の横切る方向
(幅方向)の乾燥の不均一性を補償するようにしたの
で、簡単な構成で、従来の装置を大幅に変更しなくと
も、感光材料の乾燥条件を最適なものにし、その不均一
性をなくすことができる。また、各電流ヒーターへの電
流投入時間を異ならせることによって各電流ヒーターを
別個に電流制御するようにすることで、突入電流が小さ
くなるので、装置全体の電力容量を小さくでき、そのた
め、装置を小型、軽量、低価格にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の乾燥装置を用いるネガフィ
ルム用自動現像装置の全体の構成を模式的に示す図であ
る。
【図2】本発明の1実施例の乾燥装置を図1の二重矢印
方向に見た図である。
【図3】制御のためのタイミングチャートの一例を示す
図である。
【符号の説明】
1 、F2 …ネガフィルム 10…ネガフィルム用自動現像装置 12…ハウジング 14…現像槽 16…漂白定着槽 18…水洗安定槽 20…処理部 22…フィルム供給部 24…搬送ローラ 26…搬送路 28…乾燥装置 30…乾燥ボックス 32…乾燥ラック 33…排出部 34…搬送ローラ 38…出入口 40…送風機 42…外気取入口 441 、442 …ヒーター 46…ダクト

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体処理部で処理された帯状感光材料を
    加熱風により乾燥させる感光材料処理装置用乾燥装置に
    おいて、搬送される帯状感光材料を横切る方向に複数の
    電流ヒーターを配置し、各電流ヒーターを別個に電流制
    御して加熱風の温度分布を変えることにより、帯状感光
    材料の乾燥の不均一性を補償するようにしたことを特徴
    とする感光材料処理装置用乾燥装置。
  2. 【請求項2】 各電流ヒーターへの電流投入時間を異な
    らせることによって各電流ヒーターを別個に電流制御す
    るようにしたことを特徴とする請求項1記載の感光材料
    処理装置用乾燥装置。
  3. 【請求項3】 帯状感光材料に接触後の加熱風の少なく
    とも一部を帯状感光材料を横切る何れか一方の横方向か
    ら吸引するようにしたことを特徴とする請求項1又は2
    記載の感光材料処理装置用乾燥装置。
  4. 【請求項4】 吸引した加熱風を再度前記電流ヒーター
    により加熱するようにしたことを特徴とする請求項3記
    載の感光材料処理装置用乾燥装置。
  5. 【請求項5】 液体処理部で処理された帯状感光材料を
    加熱風により乾燥させる感光材料処理装置用乾燥装置に
    おいて、帯状感光材料を複数列並列して送りながら同時
    に乾燥させることを特徴とする感光材料処理装置用乾燥
    装置。
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