JP3155046B2 - 連続鋳造用タンディッシュ内の溶鋼温度測定方法 - Google Patents

連続鋳造用タンディッシュ内の溶鋼温度測定方法

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JP3155046B2 JP00496792A JP496792A JP3155046B2 JP 3155046 B2 JP3155046 B2 JP 3155046B2 JP 00496792 A JP00496792 A JP 00496792A JP 496792 A JP496792 A JP 496792A JP 3155046 B2 JP3155046 B2 JP 3155046B2
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正則 岩瀬
三千夫 森井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼の連続鋳造時にタン
ディッシュ内の溶鋼温度を連続的あるいは間欠的に測定
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように鋼の連続鋳造は、転炉や電
気炉で溶製され、溶鋼処理設備において細かな成分調整
および/または脱ガス処理を行った溶鋼を、取鍋からタ
ンディッシュを介して連続鋳造用鋳型に注湯して行われ
る。その際、鋳型へ注湯される溶鋼温度は、製造される
鋳片品質のバラツキや、鋳造中の温度降下による連続鋳
造トラブルなどを防止する上で非常に重要な要因とな
る。このため、耐火物保護管に装入した熱電対を使用し
てタンディッシュ内の溶鋼温度が測定されている。
【0003】また最近では、タンディッシュとして溶鋼
加熱装置を備えたタンディッシュが使用されている。こ
のタンディッシュでは、加熱装置の投入電力量を制御し
てタンディッシュ内の溶鋼を加熱昇温し溶鋼温度の低下
を抑制することが行われている。この場合においても、
加熱装置の投入電力量を制御するのに、耐火物保護管に
装入した熱電対を使用してタンディッシュ内の溶鋼温度
が測定されている。
【0004】このように、従来は、タンディッシュ内の
溶鋼温度の測定を、耐火物保護管に装入した熱電対によ
り行ってきた。しかしながら、この溶鋼温度の測定方法
では、耐火物中の熱伝達遅れにより数分程度の時定数を
有しており、且つ、耐火物の溶損により耐用時間が律則
される、と言った問題が有った。
【0005】一方、このような問題を解決して、タンデ
ィッシュ内の溶鋼中へモリブデン線等を送入し、溶鋼と
モリブデンの接触点において鉄−モリブデン熱電対を形
成し、モリブデン側の参照電位は送入したモリブデンよ
り取り出し、鉄側の参照電位は連鋳片より取り出す、鋼
の連続鋳造用タンディッシュ内溶鋼連続測温法が提案さ
れている。(特開平 2− 89548号公報参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記提案されているタ
ンディッシュ内溶鋼連続測温法は、上述した耐火物保護
管に装入した熱電対による溶鋼温度の測定方法が有する
問題点を解決してはいるものの、鉄側参照電位の取り出
しを連鋳片から直接取り出す方式を採用しているため、
鋳造初期のタンディッシュ内の溶鋼温度の測定ができな
い上に、以下に図を参照して説明する如く、外乱による
応答遅れが有り未だ充分とは言えない。なお、図中、1
はタンディッシュ、2は浸漬ノズル、3は鋳型、4はモ
リブデン電極、5は温度変換器、6は溶鋼、7は連鋳
片、8は連鋳片7の支持ロールをそれぞれ示す。
【0007】図3に示す鉄側参照電位の取り出し方式
は、連鋳片7に接触子9を直接押し付けて鉄側参照電位
を取り出す方式である。この方式では、接触子9の押し
付け力、連鋳片7の表面温度および連鋳片7の表面酸化
鉄層7Aの厚みあるいはその有無により、接触抵抗が変化
し外乱となる。
【0008】図4に示す鉄側参照電位の取り出し方式
は、支持ロール8の軸受け8Aより鉄側参照電位を取り出
す方式である。この方式では、上記図3に示す方式に加
えて転がり軸受け8A内の接触抵抗が加算され、さらに外
乱が大きくなる。
【0009】図5に示す鉄側参照電位の取り出し方式
は、溶鋼6、凝固シェル7B、溶融パウダー10および鋳型
銅板3Aを介して鉄側参照電位を取り出す方式である。こ
の方式では、凝固シェル7B、溶融パウダー10および鋳型
銅板3Aの複数の物質を経由しており、それぞれの接触抵
抗の変化は勿論のこと、特に溶融パウダー10の溶融状
況、すなわち溶融量に大きく左右される。溶融パウダー
10は、メニスカス近傍では溶融しており導電性を示す
が、メニスカスから引抜き方向に遠ざかるにつれてガラ
ス化し導電性を示さなくなる。
【0010】図6に示す鉄側参照電位の取り出し方式
は、浸漬ノズル2の外周面に金属帯11を巻付けて鉄側参
照電位を取り出す方式である。この方式では、溶鋼6と
金属帯11の間には耐火物製の浸漬ノズル2が存在し、浸
漬ノズル2の内側と外側では大きな温度差が生じてお
り、浸漬ノズル2内で偏倚起電力が発生し、外乱要因と
なる。
【0011】そこで、本発明は、上記の問題点を解決す
るためになしたもので、その目的は、連続鋳造初期のタ
ンディッシュ内の溶鋼温度を測定し得るとともに、鉄側
参照電位の外乱要因による応答遅れをさらに改善した連
続鋳造用タンディッシュ内の溶鋼温度測定方法を提供す
ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の連続鋳造用タンディッシュ内の溶鋼温度
測定方法は、タンディッシュ内の溶鋼中にモリブデンの
線状体を連続的あるいは間欠的に浸入させ、このモリブ
デンの線状体と、タンディッシュの耐火物内に、タンデ
ィッシュ内の溶鋼とその一部が接触するように埋設され
た鉄材とで熱電対を形成し、この熱電対の熱起電力を測
定することによってタンディッシュ内の溶鋼温度を測定
するものである。
【0013】そして、この溶鋼温度測定方法において
は、モリブデンの線状体に代えてモリブデンサーメット
線状体を用いることができる。
【0014】
【作用】本発明では、タンディッシュの耐火物内に、タ
ンディッシュ内の溶鋼とその一部が接触するように埋設
された鉄材によって鉄側参照電位を測定するので、鉄側
参照電位の外乱要因による応答遅れが改善されるととも
に、タンディッシュ内に溶鋼を溜める段階よりその溶鋼
温度を測定することができ、これによりタンディッシュ
に備える溶鋼加熱装置の湯溜め段階からの適用が可能と
なる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。なお、図中、従来技術と同じ部位は同一符号を以
て説明する。
【0016】〔実施例1〕図1は、本発明に係わる連続
鋳造用タンディッシュ内の溶鋼温度測定方法を適用した
装置の概要図である。連続鋳造用タンディッシュ1は、
タンディッシュ鉄皮1Aの内側に耐火物1Bの内張りを施工
して形成されており、この内張り耐火物1Bの内部に鉄電
極12が、その先端13をタンディッシュ1の内底より僅か
に突出させて埋設されている。また、鉄電極12の他端は
温度変換器5に結線されている。温度変換器5には、モ
リブデン電極4が結線されている。
【0017】このような構成において、連続鋳造用タン
ディッシュ内の溶鋼温度測定は次の如くして行われる。
すなわち、タンディッシュ1内に図外の取鍋より溶鋼6
を注湯する一方、モリブデン電極4を挿入する。溶鋼6
のレベルが上昇し鉄電極12およびモリブデン電極4に達
すると、そこで温接点が形成され冷接点には溶鋼温度に
比例した熱起電力が誘起される。この熱起電力を温度変
換器5に入力し、標準信号に変換し温度信号として測温
が行われる。溶鋼6のレベルが所定レベルに達した後は
モリブデン電極4の送給を、連続して行えば連続的に測
温が行え、また間欠的に行えば間欠的に測温が行われ
る。さらに、両電極4,12を溶鋼6を介して直接導通す
るので応答遅れが極めて短くなり、概ね 0.5秒以内の応
答遅れで測温ができた。
【0018】〔実施例2〕図2は、本発明法を適用した
別の実施例であって、上記実施例1に示す連続鋳造用タ
ンディッシュに代えて、取鍋からの湯落ち部に耐火物製
の堰を有する連続鋳造用タンディッシュに適用した装置
の概要図である。この図のタンディッシュ1は2ストラ
ンド用のもので中央に湯落ち部14とその左右に注湯部1
5,16を設けその間に複数(例えば5個)の溶鋼流出孔1
7が設けられた耐火物製の堰18,19を設けた構造のもの
である。そして、この例では、鉄電極12を一方の堰18の
耐火物内に埋設するとともに、その先端13を一つの溶鋼
流出孔17内に上方から突出させて設けた。
【0019】このような構成においても、連続鋳造用タ
ンディッシュ内の溶鋼温度測定は上記実施例1の場合と
同様に行われる。すなわち、タンディッシュ1の湯落ち
部14に図外の取鍋より溶鋼6を注湯する一方、湯落ち部
14に上方よりモリブデン電極4を挿入する。溶鋼6のレ
ベルが上昇し鉄電極13およびモリブデン電極4に達する
とこの時点より温度変換器5によって溶鋼6の温度測定
が行われる。
【0020】なお、上記実施例では、鉄電極12の先端13
を堰18の耐火物内に埋設する例を説明したが、上記実施
例1と同様にタンディッシュ1の内張り耐火物の内部に
設けてもよいことは言うまでもない。
【0021】また、鉄電極12の先端13を堰18の溶鋼流出
孔17内に上方から突出させて設けた例を説明したが、下
方から突出させて設けてもよい。
【0022】またさらに、上記実施例1および実施例2
ではモリブデン電極4をタンディッシュ1の上方から挿
入する例を説明したが、このモリブデン電極4を鉄電極
12と同様にタンディッシュ1の内張り耐火物の内部に設
けてもよい。この場合、両電極4,12の間隔を縮めるこ
とによりスポット測温が可能となる。
【0023】
【発明の効果】上述したように、本発明に係わる連続鋳
造用タンディッシュ内の溶鋼温度測定方法によれば、モ
リブデン電極と鉄電極とをタンディッシュ内の溶鋼を介
して直接導通状態に設けるので、応答遅れが短縮される
とともに、タンディッシュ内に溶鋼を溜める段階よりそ
の溶鋼温度を測定することができる。また、これにより
タンディッシュに備える溶鋼加熱装置の湯溜め段階から
の適用が可能となる。そしてさらに、モリブデン電極の
送給を、連続して行えば連続的に測温が行え、また間欠
して行えば間欠的に測温が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる連続鋳造用タンディッシュ内の
溶鋼温度測定方法を適用した装置の概要図である。
【図2】本発明に係わる連続鋳造用タンディッシュ内の
溶鋼温度測定方法を適用した、他の実施例の装置の概要
図であって、(a)は正面断面図、(b)は(a)のX
−X断面図である。
【図3】従来の連続鋳造用タンディッシュ内の溶鋼温度
測定方法を適用した装置の説明図であって、(a)は正
面断面図、(b)は(a)のY部拡大図である。
【図4】従来の連続鋳造用タンディッシュ内の溶鋼温度
測定方法を適用した装置の説明図であって、(a)は正
面断面図、(b)は(a)のZ−Z断面拡大図である。
【図5】従来の連続鋳造用タンディッシュ内の溶鋼温度
測定方法を適用した装置の説明図であって、(a)は正
面断面図、(b)は(a)のP部拡大図である。
【図6】従来の連続鋳造用タンディッシュ内の溶鋼温度
測定方法を適用した装置の説明図であって、(a)は正
面断面図、(b)は(a)のQ部拡大図である。
【符号の説明】
1:タンディッシュ 1A:タンディッシュ鉄皮 1
B:内張り耐火物 2:浸漬ノズル 3:鋳型
4:モリブデン電極 5:温度変換器 6:溶鋼
7:連鋳片 8:支持ロール 12:鉄電極 1
3:鉄電極の先端 14:湯落ち部 15,16:注湯部 1
7:溶鋼流出孔 18,19:耐火物製の堰
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 洵 兵庫県加古川市平岡町一色726の11 (56)参考文献 特開 平5−50195(JP,A) 特開 平2−89548(JP,A) 特開 昭60−4781(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01K 7/08 G01K 7/02 B22D 11/10 B22D 11/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼の連続鋳造において、タンディッシュ
    内の溶鋼中にモリブデンの線状体を連続的あるいは間欠
    的に浸入させ、このモリブデンの線状体と、タンディッ
    シュの耐火物内に、タンディッシュ内の溶鋼とその一部
    が接触するように埋設された鉄材とで熱電対を形成し、
    この熱電対の熱起電力を測定することによってタンディ
    ッシュ内の溶鋼温度を測定することを特徴とする連続鋳
    造用タンディッシュ内の溶鋼温度測定方法。
  2. 【請求項2】 モリブデンの線状体に代えてモリブデン
    サーメット線状体を用いる請求項1に記載の連続鋳造用
    タンディッシュ内の溶鋼温度測定方法。
JP00496792A 1992-01-14 1992-01-14 連続鋳造用タンディッシュ内の溶鋼温度測定方法 Expired - Lifetime JP3155046B2 (ja)

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