JP3154375B2 - 抗菌性複合体およびその製造方法 - Google Patents

抗菌性複合体およびその製造方法

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JP3154375B2 JP18587394A JP18587394A JP3154375B2 JP 3154375 B2 JP3154375 B2 JP 3154375B2 JP 18587394 A JP18587394 A JP 18587394A JP 18587394 A JP18587394 A JP 18587394A JP 3154375 B2 JP3154375 B2 JP 3154375B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性樹脂などに用い
る抗菌性複合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、抗菌性材料を熱可塑性または熱硬
化性樹脂中に混練した樹脂成形体や抗菌性材料を分散さ
せた塗料樹脂の塗膜などのいわゆる抗菌性樹脂が多く使
用されてきている。アメニティ・クリーン化の需要と相
まってあらゆる商品分野に応用されつつある。水回りの
ぬめり防止、公共場所で不特定多数の人が共用する器具
備品、病院・老人福祉施設の施設什器などへの展開に対
する要望も多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のような抗菌性樹
脂は、極く微量の抗菌性材料の添加で抗菌効果が付与さ
れるので、抗菌性材料の添加割合は比較的厳密に制御す
る必要がある。ところが、前記のような抗菌性材料の樹
脂中の濃度を簡便に測定するのは容易ではない。しか
し、抗菌性能を測定するためには、活性状態にした微生
物を一定濃度被検体上に滴下し、一定時間最適増殖条件
に保った後、その残存菌濃度を測定する方法が一般的で
ある。この方法は、実際の菌を使用するため、比較的実
用的な抗菌性能を測定できるが、全工程で約1週間とい
う長期間を必要とする欠点がある。また、抗菌性材料に
よっては、耐熱温度が比較的低く、樹脂に黄変を生じさ
せることがある。本発明は、以上に鑑み、抗菌性材料の
添加量を簡便に把握できる抗菌性複合体を提供すること
を目的とする。本発明は、また抗菌性材料の添加により
黄変が生じてもそれを隠蔽できる抗菌性複合体を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【問題を解決するための手段】本発明の抗菌性複合体
は、銀、銅および亜鉛よりなる群から選択される少なく
とも1種の金属の塩からなる抗菌性材料に蛍光増白剤
を担持あるいは付着させた構成を有する。本発明の抗菌
性複合体は、また、蛍光増白剤、銀、銅および亜鉛よ
りなる群から選択される少なくとも1種の金属の塩から
なる抗菌性材料を担持あるいは付着させた構成を有す
る。
【0005】た、抗菌性材料は、錯塩、なかでもチオ
スルファト錯塩、特にチオスルファト銀錯塩であること
が好ましい。さらにまた、抗菌性材料は、前記の抗菌剤
が多孔性粒子に担持されたものであり、かつこの抗菌性
材料の表面の少なくとも一部が、有機ケイ素化合物、ワ
ックスおよびステアリン酸化合物よりなる群から選択さ
れる化合物で被覆され、前記被覆層が蛍光性材料を含ん
でいることが好ましい。なかでも抗菌性材料がシリカゲ
ルに担持されたチオスルファト金属錯塩であり、その多
孔性粒子表面の少なくとも一部がコーテング材で被覆さ
れたもの、特にシリカゲル粒子に担持されたチオスルフ
ァト銀錯塩であり、前記シリカゲル粒子表面の少なくと
も一部が二酸化ケイ素で被覆されているものが好まし
い。
【0006】本発明の抗菌性複合体の製造方法は、アル
コールに反応性有機ケイ素化合物を溶解させるとともに
蛍光性材料を分散または溶解させる工程、前記で得られ
た液にチオスルファト銀錯塩を担持したシリカゲル粒子
を分散させる工程、この分散液を加水分解させることに
より前記シリカゲル粒子の表面に前記蛍光性材料を含む
二酸化ケイ素のコーティング層を形成する工程を有す
る。
【0007】
【作用】混練樹脂あるいは塗料化し塗工された樹脂中に
添加された抗菌性複合体は、まず使用中手で触れること
による表面への皮脂付着など栄養源が添加されると共に
微生物が付着してもその増殖を抑制する効果がある。ま
た、抗菌性複合体製造時に抗菌性材料に一定の割合の蛍
光性材料を添加することで、品質管理を容易に行うこと
ができる。すなわち、暗所で抗菌性材料を添加した樹脂
混練成形物または塗料塗布物に対し紫外線を照射させる
ことにより、抗菌性材料に比例した励起蛍光強度が得ら
れる。この強度を測定することにより、抗菌性材料の混
練量あるいは塗料添加量を把握できるので、抗菌成分量
の直接把握しにくい抗菌性材料の添加量を管理するため
の品質管理に役立てることができる。
【0008】抗菌性材料を樹脂に添加することにより、
抗菌性能を付与するが、一方で添加した樹脂の色相を黄
変させることがある。蛍光性材料の中でもとりわけ蛍光
増白剤は、照射光のうち近紫外光を吸収し青紫光を発光
することにより、青成分を補強し、樹脂あるいは抗菌性
材料を添加した際に生じ易いその黄変を隠蔽する作用を
有する。
【0009】上記蛍光性材料は、無機物と有機材料があ
り、溶媒に可溶性のものと不溶性のものとがある。従っ
て、抗菌性材料との混合に際し、単に乾式混合する方式
と、溶媒に蛍光性材料を溶解し抗菌性材料表面に吸着さ
せる方式があり、いずれの方式でも本発明の目的は達成
される。ミクロな抗菌性材料の樹脂中分布を可視化させ
るための方法としては、上記抗菌性材料を担持した担体
表面の少なくとも一部をコーティング材料により被覆す
る際に、蛍光性材料をコーティング材料中に分散させる
方法がある。具体的には、蛍光性材料をアルコール、例
えばエチルアルコールに溶解または分散させ、さらにア
ルコキシシラン、例えばテトラエトキシシランを溶解さ
せる。そして、その液の中にあらかじめ抗菌性材料を担
持吸着させたシリカゲルを分散させ、次いで、この分散
液に水を加えてアルコキシシランを加水分解させること
により、シリカゲルの表面の少なくとも一部に生成する
二酸化ケイ素の被覆層を形成する方法である。こうして
形成される二酸化ケイ素の被覆層は、蛍光材料を包含し
ている。また、その逆に蛍光性材料の安全性、環境汚染
性を考慮し、無機質の蛍光性材料を用いた場合、蛍光性
材料を担体とし、これに抗菌成分を担持させることでも
目的は達せられる。
【0010】
【実施例】本発明に使用される抗菌性材料としては、金
属塩、金属錯塩、植物抽出物、第4級アンモニウム塩、
およびクロルヘキシジン誘導体よりなる群から選択され
る少なくとも1種が好ましい。特に、植物抽出物、第4
級アンモニウム塩およびクロルヘキシジン誘導体よりな
る群から選択される1種以上と上記金属錯塩とを併用す
ることが好ましい。上記の群より2種以上選択して抗菌
性材料として使用すると、抗菌スペクトルの広い抗菌性
材料を得ることができる。上記植物抽出物としては、例
えば、カンゾウエキス、イソチオシアン酸アリル、ケイ
皮油等が挙げられ、第4級アンモニウム塩としては、例
えば、シリコーン化合物の第4級アンモニウム塩、脂肪
族化合物の第4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウ
ム等が挙げられ、クロルヘキシジン誘導体としては、例
えば、グルコン酸クロルヘキシジン等が挙げられる。上
記金属塩および金属錯塩の金属としては、銀、銅または
亜鉛が好ましく、銀であることがより好ましい。また、
上記金属錯塩はチオスルファト金属錯塩であることが好
ましく、従って、チオスルファト銀錯塩、チオスルファ
ト銅錯塩、チオスルファト亜鉛錯塩よりなる群から選択
される少なくとも1種の錯塩を用いることがより好まし
く、チオスルファト銀錯塩を用いることが最も好まし
い。
【0011】抗菌性材料として金属塩、特に銀塩を用い
た場合、光や紫外線に感光性が高く、これらを用いた抗
菌性材料を合成樹脂に含有させた場合に変色することが
ある。これに対して、錯塩を用いた場合は、光または紫
外線に対して安定である。上記以外の抗菌性材料も光ま
たは紫外線に対して安定である。また、抗菌性材料が金
属錯塩である場合、金属錯塩は揮発性を有しないため、
得られる抗菌性材料は環境汚染の原因とならない。上記
金属錯塩は、空気中の酸素によりそのごく近傍にオゾン
層を形成する。このオゾン層に接近した微生物等はその
表面組織に影響を受けるため、金属錯塩は抗菌効果を発
揮する。
【0012】金属錯塩がチオスルファト金属錯塩である
場合、金属塩とチオ硫酸塩を用いて調製することができ
る。例えば、金属塩の水溶液に亜硫酸塩および/または
亜硫酸水素塩を加えて反応させ、次いでチオ硫酸塩を加
えてチオスルファト金属錯塩を生成する方法と、チオ硫
酸塩水溶液に金属塩を加えてチオスルファト金属錯塩を
生成する方法とがある。前者の方法において、亜硫酸塩
および/または亜硫酸水素塩は、得られるチオスルファ
ト金属錯塩を安定化させるために使用される。後者の方
法においては、特にこのような安定化剤を加えることな
くチオスルファト金属錯塩を生成できる。例えば、チオ
スルファト銀錯塩を調製する際に、銀塩100重量部に
対してチオ硫酸塩を100〜1000重量部の割合で使
用することが好ましく、亜硫酸塩および/または亜硫酸
水素塩を使用する場合には、銀塩100重量部に対して
400〜2000重量部をそれぞれ使用することが好ま
しい。
【0013】上記金属塩が銀塩である場合、上記チオ硫
酸塩と銀塩の使用割合は、S23 2-/Ag+の重量比率が
2〜6であることが好ましい。S23 2-/Ag+の重量
比率が2未満の場合、硫化銀等の茶色あるいは黒色の反
応生成物が生じやすい。逆にS23 2-/Ag+の重量比
率が6を超える場合、未反応のチオ硫酸塩が多く存在
し、このような未反応のチオ硫酸塩を含有するチオスル
ファト銀錯塩を担体に担持させた場合、チオ硫酸塩の担
持により、チオスルファト銀錯塩の担持が妨げられるお
それがある。従って、S23 2-/Ag+の重量比率を上
記の範囲とすることにより、効率よくチオスルファト銀
錯塩を得ることができ、かつチオスルファト銀錯塩の変
色を防止することができる。
【0014】チオスルファト金属錯塩は、加熱により容
易に硫化物等に変化しやすいため、チオスルファト金属
錯塩の調製から多孔性粒子の担体に担持させるまでの工
程では、常温以上60℃以下の温度で行うことが好まし
い。これによりチオスルファト金属錯塩の変色をより起
りにくくすることができる。上記チオスルファト金属錯
塩の調製に用いられる金属塩としては、例えば、酢酸
銀、硝酸銀等を使用することができるが、金属錯塩を形
成する際の金属錯塩の光反応安定性を向上させ、また製
造時および廃棄時の環境に対する安全性を考慮すると、
金属塩は酢酸銀であることが好ましい。チオスルファト
金属錯塩の調製に用いられるチオ硫酸塩としては、例え
ば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオ
硫酸カリウム等が挙げられ、また亜硫酸塩としては、例
えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アン
モニウム、メタ亜硫酸カリウム等が挙げられ、亜硫酸水
素塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸
水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム等が挙げられ
る。
【0015】本発明に使用される多孔性粒子の担体とし
ては、シリカゲル、ゼオライト等が挙げられるが、ゼオ
ライトよりも比表面積が大きく、透明性を有するシリカ
ゲルが好ましい。シリカゲルは、調湿性材料としても働
く。担体としてシリカゲルを使用することにより、抗菌
性材料は、担持された抗菌剤を徐放する効果を有するの
で好ましい。また、シリカゲルはその平均粒径が1〜1
0μmであることが好ましい。さらに、日本工業規格J
IS Z 0701に規定するB型シリカゲルであるこ
とがより好ましい。このB型シリカゲルの中でも相対湿
度50%(25℃)以下における吸湿率が20%以下、
かつ相対湿度90%(25℃)以上における吸湿率が5
0%以上の吸湿特性を有するシリカゲルであることが特
に好ましい。上記シリカゲルは、低湿度領域で吸湿水分
量が比較的少なく、高湿度領域においては、総担持水分
量の特に多いシリカゲルである。このようなシリカゲル
に速やかに抗菌剤を担持させた抗菌性材料は、抗菌剤の
放散を抑制し、かつ熱安定性を有するため、抗菌性能を
持続保持することができる。さらに上記シリカゲルは、
合成樹脂と同程度の屈折率を有する光透過性を有する。
このようなシリカゲルを使用した抗菌性材料を合成樹脂
に含有させると、合成樹脂を着色することなく、かつ合
成樹脂の特性に影響を与えることがなく、合成樹脂表面
に抗菌性を付与することができる。本発明では、上記シ
リカゲル以外に気相法により製造したシリカゲル微粉末
を使用することもできる。
【0016】上記の抗菌性材料を得るには、上記抗菌剤
の水溶液またはアルコール溶液を上記担体と混合して速
やかに乾燥させる。このことにより、上記抗菌剤が上記
担体に担持される。この工程において、担体100重量
部に対して抗菌剤は2〜10重量部使用することが好ま
しい。乾燥後の担体は、必要に応じて粉砕される。ま
た、本発明に用いる抗菌性材料は、上記のように抗菌剤
を担持した担体表面の少なくとも一部をコーティング材
料により被覆されていることが好ましい。このコーティ
ング材料としては、有機ケイ素化合物、ワックスおよび
ステアリン酸化合物よりなる群から選択される少なくと
も1つであることが好ましく、反応性の有機ケイ素化合
物であることがより好ましい。反応性の有機ケイ素化合
物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン等のシロキサン結合を形成することが可能な官能基
を有する化合物であることが好ましい。上記担体がシリ
カゲルである場合、コーティング材料として、上記の反
応性有機ケイ素化合物を使用すると、反応性有機ケイ素
化合物を加水分解して生成される二酸化ケイ素とシリカ
ゲルが縮合することによりシロキサン結合が形成される
ため、良好に被覆することができる。この工程におい
て、上記抗菌剤を担持した担体100重量部に対してコ
ーティング材料を100〜200重量部使用することが
好ましい。
【0017】次に、反応性有機ケイ素化合物としてアル
コキシシランを用い、そのアルコール溶液を抗菌剤を担
持した担体に被覆させ、これに水を加えてアルコキシシ
ランを加水分解させて二酸化ケイ素を生成させるゾルゲ
ル法により被覆する方法について述べる。この方法によ
り形成される被覆層は、前記抗菌性材料の抗菌性やウィ
ルス抑止性の薬治効果の持続時間の調整を可能にするも
のである。すなわち、被覆層の面積や厚さにより、薬治
効果の持続性の制御を可能にする。エチルアルコ−ル1
mlにテトラエトキシシラン1mlを加えた液に銀化合
物を担持した担体を1g加え、よく混合し約0.2ml
の純水を滴下することによりテトラエトキシシランを加
水分解させた二酸化ケイ素による被覆層を形成すること
ができる。空気中の湿気を吸収することにより、反応は
さらに進む。約60℃未満の温度で加熱すると反応が早
く進む。ここに用いるアルコキシシランとしては、その
アルコキシル基の炭素数1〜4のもの、またアルコール
としては炭素数1〜4のものがそれぞれ望ましい。
【0018】上記のように表面の少なくとも一部がコー
ティング材料により被覆された抗菌性材料を用いること
により、熱安定性がさらに向上する。従って、樹脂中に
分散させて樹脂表面に抗菌性を持たせる場合に、樹脂成
形時の熱に対して安定性が増加し、また樹脂の経年色変
化を抑制することができる。さらに、担体に担持されて
いる抗菌剤の徐放性が高くなるため、長期間にわたり、
抗菌効果が持続する。
【0019】次に、本発明に使用する蛍光性材料につい
て説明する。本発明に用いる蛍光性材料として、蛍光灯
用酸化タングステン系蛍光性材料、スチルベン系蛍光増
白剤を用いることができる。蛍光増白剤以外にも、他の
有機系材料としてスチルベン系以外にベンゾオキサゾー
ル系、スチリル系、ナフタルイミド系なども使用でき
る。また、着色して用いる樹脂成形物に対しては、着色
されている色に近い蛍光色を持つ蛍光性材料を用いるこ
ともできる。具体的には、(株)日本化薬製「Kayal
ight OS」、「Kayalight B」、チバ
ガイギー社製「UVITEX OB」などが使用でき
る。
【0020】[実施例1]銀塩として酢酸銀CH3CO
OAgを用いた。CH3COOAgは溶解度が小さいの
で、溶解度に近い7.7g/リットルを60℃以下の温
度で溶解した。これより温度を高くすると、CH3CO
OAgが分解する。次に、K2SO3をCH3COOAg
の1gに対して2.7gの割合となるように添加し、充
分溶解させた後、K223をCH3COOAgの1gに
対して6.6gの割合となるように添加し溶解させた。
こうして調製したチオスルファト銀錯塩溶液を銀量で3
重量%相当となるように担体のシリカゲルに吸着させ、
40℃で乾燥させた。ここで、シリカゲルとしては、シ
オノギ製薬(株)製(商品名:カープレックスCS−5)
の乾燥減量1.1%、平均粒径2.3μmのものを用い
た。
【0021】反応性有機ケイ素化合物としてテトラエト
キシシラン100重量部をエチルアルコール20重量部
に希釈混合させた溶液に、蛍光性材料として蛍光増白剤
(日本化薬製Kayalight OS)3重量部を分
散させ、一部溶解させた。次いで、この分散液に上記調
整した抗菌性材料100重量部を分散させた後、これに
純水20重量部を加えてテトラエトキシシランを加水分
解させて、抗菌性材料表面の少なくとも一部を生成する
二酸化ケイ素で被覆した。この二酸化ケイ素は、上記蛍
光性材料を含んでいる。次いで、これを乾燥させて抗菌
性複合体を得た。このようにして得られた抗菌性複合体
1重量部を、黒色顔料1重量部、添加助剤のステアリン
酸カルシウム0.1重量部と共にABS樹脂100重量
部中に配合した着色ペレットを準備した。射出成形機を
用い、上記のペレットを約220℃の先端ノズル部温度
で成形した。
【0022】[実施例2]酢酸銀100重量部、亜硫酸
ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムの混合物450
重量部、およびチオ硫酸ナトリウム5水和物300重量
部を塩素を含まない水に溶解させ、充分撹拌しながら混
合し銀錯塩水溶液を得た。本実施例に用いる担体は蛍光
灯用酸化タングステン系蛍光性材料で、その平均粒径は
7μm程度である。この粉末を180℃で2時間以上乾
燥させた。この蛍光性材料100重量部に対し、銀成分
として2重量部になるように前記チオスルファト銀錯塩
水溶液を混合した。次いで、速やかに溶媒および担体中
に吸収された水分を除去した。次いで、これを10μm
以下の粒径に粉砕して、銀錯塩を担持した蛍光性材料を
得た。この蛍光性材料をその担持している銀錯塩の銀量
で1重量%となるようにウレタン樹脂に混合して塗料を
調製し、タンポン印刷法により基材表面に約50μmの
厚みに塗布した。
【0023】[実施例3]実施例1と同様にして銀錯塩
を担持したシリカゲルを調整した。反応性有機ケイ素化
合物としてテトラエトキシシラン100重量部をエチル
アルコール20重量部に希釈混合させた溶液に、蛍光増
白剤(日本化薬(株)製Kayalight B)を5
重量部および上記シリカゲル100重量部を分散させた
後、これに純水20重量部を加えてテトラエトキシシラ
ンを加水分解させ、蛍光増白剤をシリカゲル上に付着さ
せ、かつシリカゲルの表面の少なくとも一部を被覆し
た。次いで、これを乾燥させて抗菌性材料を得た。この
抗菌性材料1重量部を、100重量部のABS樹脂中に
混練し、大きさ2cm×3cm、厚さ1mmの樹脂板に
成形した。
【0024】通常のナチュラルABS樹脂は、アイボリ
ー色に着色しており、また銀系抗菌剤の多くは熱分解、
経時変化でアイボリーから薄茶色に呈色するが、本実施
例の樹脂成形体は、吸収波長を添加蛍光性材料の励起蛍
光で補償することで、特に顔料を入れなくても白色にな
った。さらに、本発明の抗菌性複合体の抗菌性およびそ
の持続性について、同様の製法で、蛍光増白剤を添加し
ないものと比較した結果、ほとんど差がみられなかっ
た。本発明の抗菌性複合体材料は、抗菌性材料添加の定
量化に用いられるのみならず、抗菌成分のあるシリカゲ
ルを標識するため、シリカゲルすなわち抗菌性材料の添
加場所に蛍光を発するため、抗菌性材料の面分散の検討
にも用いることが可能である。
【0025】[実施例4]硝酸銀水溶液に平均粒径3μ
mのゼオライトを浸漬して約10分間放置し、ナトリウ
ムとのイオン置換によりゼオライトに3重量%相当の銀
を担持させ、水洗後、真空中で乾燥させた。得られた抗
菌性材料100重量部と低分子量ポリエチレンワックス
100重量部および実施例3で用いたものと同じ蛍光性
材料5重量部を混合し、加熱して前記ワックスを溶融後
冷却させ、次いで粉砕した。こうして抗菌性材料の表面
に蛍光性材料を含むワックスの被覆層を有する抗菌性複
合体を得た。上記で得た抗菌性複合体1重量部を100
重量部のABS樹脂中に混練し、実施例3と同様の樹脂
板を成形した。
【0026】[比較例1]実施例1において、ABS樹
脂のみで実施例1と同様のケースを成型した。 [比較例2]実施例2の塗料から抗菌性材料を除いた塗
料を、タンポン印刷法により基材表面に約50μmの厚
みに塗布した。
【0027】上記各実施例および比較例の試料について
下記に示すような抗かび試験、抗菌試験を行った。 抗かび試験:日本工業規格のカビ抵抗性試験(JIS
Z 2911)の繊維製品用防黴試験によるハローテス
ト法に準じた。用いたかびは、クラドスポリウム クラ
ドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)、
ケトミウム グロボサム(Chaetomium globosum)、ペ
ニシリウム シトリナム(Penicillium citrinum)およ
びアスペリギルス ニゲル(Asperigillus niger)であ
った。評価は14日後に行った。 抗菌試験:エスケリチア コウライ(Escherichia col
i)、スタフイロコッカス アウレウス(Staphylococcu
s aureus)、バチルス サブチリス(Bacillussubtilli
s)を用い、対数増殖期の菌液を試験片上に滴下し、3
6℃の飽和水蒸気圧雰囲気下に18時間保存した後の生
存菌数を測定するいわゆる滴下法に準じた。 上記の抗かび試験、抗菌試験の結果を表1に示す。な
お、抗かび試験の結果は、ハローが10mm以上を+
+、ハローが2mm以上を+、ハローが0mmを±、樹
脂上に菌かびがはえている場合を−でそれぞれ表した。
また、抗菌試験の結果は、(試験片上に滴下した菌数)
/(18時間保存した後の生存菌数)が1000を超え
る場合を+、10以上を±、10未満を−でそれぞれ表
した。
【0028】
【表1】
【0029】表1より、実施例1、実施例2および実施
例3の抗菌性複合体は、いずれも実用的な抗菌性能を有
することがわかる。上記実施例においては、抗菌剤とし
てチオスルファト銀錯塩を用いたが、植物抽出物、第4
級アンモニウム塩、グルコン酸クロルヘキシジンなどの
抗菌剤を用いることもできる。また、複数の抗菌剤を用
いることもできる。さらに、コーティング材料として、
上記有機珪素化合物以外に、ワックス、ステアリン酸化
合物などのコーティング材料も適用できる。また、実施
例においては、蛍光増白剤としてスチルベン系のものな
どを使用したが、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、
ナフタルイミド系なども使用できる。
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明の抗菌性複合体を用
いれば、蛍光強度を測定することで抗菌性材料の配合量
を容易に把握し、抗菌性材料の制御された抗菌性樹脂成
形体あるいは抗菌性塗膜を容易に得ることができる。ま
た、蛍光性材料として蛍光増白剤を用いることにより、
抗菌性材料の添加で樹脂が万一黄変してもその変色を補
償できる。さらに、抗菌性材料としてチオスルファト銀
錯塩を使用すると、安全性が高いため、樹脂中より溶出
しても環境汚染の原因となりにくい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A01N 25/34 A01N 25/34 A C 59/20 59/20 Z //(A01N 59/16 37:02 61:00 ) (56)参考文献 特開 昭63−303179(JP,A) 特開 平8−53301(JP,A) 特開 平8−48792(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01N 59/16 A01N 25/08 A01N 25/10 A01N 25/26 A01N 25/34 A01N 59/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀、銅および亜鉛よりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種の金属の塩からなる抗菌性材料に
    蛍光増白剤を担持あるいは付着させた抗菌性複合体。
  2. 【請求項2】 蛍光増白剤、銀、銅および亜鉛よりな
    る群から選択される少なくとも1種の金属の塩からなる
    抗菌性材料を担持あるいは付着させた抗菌性複合体。
  3. 【請求項3】 抗菌性材料が、銀、銅および亜鉛よりな
    る群から選択される少なくとも1種の金属のチオスルフ
    ァト錯塩である請求項記載の抗菌性複合体。
  4. 【請求項4】 抗菌性材料が、銀、銅および亜鉛よりな
    る群から選択される少なくとも1種の金属のチオスルフ
    ァト錯塩である請求項記載の抗菌性複合体。
  5. 【請求項5】 抗菌性材料の表面の少なくとも一部が、
    有機ケイ素化合物、ワックスおよびステアリン酸化合物
    よりなる群から選択される化合物で被覆され、かつ前記
    被覆層が蛍光増白剤を含んでいる請求項1または3記載
    の抗菌性複合体。
  6. 【請求項6】 抗菌性材料が、シリカゲル粒子に担持さ
    れたチオスルファト銀錯塩であり、前記シリカゲル粒子
    表面の少なくとも一部が二酸化ケイ素で被覆されている
    請求項1、3または5記載の抗菌性複合体。
  7. 【請求項7】 アルコールに反応性有機ケイ素化合物を
    溶解させるとともに蛍光増白剤を分散または溶解させる
    工程、前記で得られた液にチオスルファト銀錯塩を担持
    したシリカゲル粒子を分散させる工程、この分散液を加
    水分解させることにより前記シリカゲル粒子の表面に二
    酸化ケイ素の被覆層を形成する工程を有することを特徴
    とする抗菌性複合体の製造方法。
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