JPH1179921A - 抗菌・抗黴性組成物およびその製造方法 - Google Patents
抗菌・抗黴性組成物およびその製造方法Info
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- JPH1179921A JPH1179921A JP9237487A JP23748797A JPH1179921A JP H1179921 A JPH1179921 A JP H1179921A JP 9237487 A JP9237487 A JP 9237487A JP 23748797 A JP23748797 A JP 23748797A JP H1179921 A JPH1179921 A JP H1179921A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 実用的な抗菌・抗黴効果を示し、かつ人体に
安全で、環境汚染の原因となりにくい抗菌・抗黴性組成
物を提供する。 【解決手段】 キトサン、キチン、およびそれらの誘導
体からなる群より選ばれた少なくとも1種と金属錯体と
の混合物または錯体から構成される抗菌・抗黴性組成
物。また、これらをシリカゲルなどの担体に担持させ
る。
安全で、環境汚染の原因となりにくい抗菌・抗黴性組成
物を提供する。 【解決手段】 キトサン、キチン、およびそれらの誘導
体からなる群より選ばれた少なくとも1種と金属錯体と
の混合物または錯体から構成される抗菌・抗黴性組成
物。また、これらをシリカゲルなどの担体に担持させ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌・抗黴性組成
物、およびその製造方法に関するものである。
物、およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、生活環境で使用する機器や道具、
病院の内装あるいは空調フィルタなどの関連施設への抗
菌性付与に対する要求が急激に増加しつつある。また、
台所などの水回り、建造物の床下や天井裏などの高湿度
雰囲気になりやすい部分では、黴が発生し、衛生面で問
題となったり、表面が黒ずんで外観が悪くなったりす
る。
病院の内装あるいは空調フィルタなどの関連施設への抗
菌性付与に対する要求が急激に増加しつつある。また、
台所などの水回り、建造物の床下や天井裏などの高湿度
雰囲気になりやすい部分では、黴が発生し、衛生面で問
題となったり、表面が黒ずんで外観が悪くなったりす
る。
【0003】従来、抗菌性を付与するため銀系の抗菌材
が広く用いられている。しかし、銀系抗菌材は、黴に対
する抑止効果がない。また、チアベンダゾール等の有機
抗菌・抗黴材料を用いる例もあるが、抗黴性はあるもの
の人体への悪影響などの問題がある。特に、有機抗菌・
抗黴材料は、揮発性を有するため、これを合成樹脂に含
有させて用いると、合成樹脂の周囲環境が汚染され、ま
た合成樹脂の表面と接触した排液中に抗菌・抗黴材料が
溶出し、これが排水環境汚染の原因となったり、下水処
理中の活性汚泥に影響を及ぼしたりするなどの問題があ
る。人体に安全な植物抽出物の中には、テルペン系化合
物が抗菌効果を有することが知られている。この化合物
を用いた技術として、白せん菌の治療剤作成(特開昭6
3−30424号公報)、植物からフィトンチッドを取
り出して冷蔵庫に取り付けた、防臭防黴ユニット付冷蔵
庫(特開昭61−228283公報)、空気清浄器(特
開昭61−268934公報)が開示されている。しか
し、上記の植物内に存在する物質の多くは、芳香性物質
であり、揮発性を有するため、これら物質を樹脂に混入
して用いる場合、樹脂の成形時の加熱により蒸発するた
め、抗菌・抗黴性の樹脂を得ることができない。
が広く用いられている。しかし、銀系抗菌材は、黴に対
する抑止効果がない。また、チアベンダゾール等の有機
抗菌・抗黴材料を用いる例もあるが、抗黴性はあるもの
の人体への悪影響などの問題がある。特に、有機抗菌・
抗黴材料は、揮発性を有するため、これを合成樹脂に含
有させて用いると、合成樹脂の周囲環境が汚染され、ま
た合成樹脂の表面と接触した排液中に抗菌・抗黴材料が
溶出し、これが排水環境汚染の原因となったり、下水処
理中の活性汚泥に影響を及ぼしたりするなどの問題があ
る。人体に安全な植物抽出物の中には、テルペン系化合
物が抗菌効果を有することが知られている。この化合物
を用いた技術として、白せん菌の治療剤作成(特開昭6
3−30424号公報)、植物からフィトンチッドを取
り出して冷蔵庫に取り付けた、防臭防黴ユニット付冷蔵
庫(特開昭61−228283公報)、空気清浄器(特
開昭61−268934公報)が開示されている。しか
し、上記の植物内に存在する物質の多くは、芳香性物質
であり、揮発性を有するため、これら物質を樹脂に混入
して用いる場合、樹脂の成形時の加熱により蒸発するた
め、抗菌・抗黴性の樹脂を得ることができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑み、安定した抗菌・抗黴効果を示し、かつ人体に安
全な組成物を提供することを目的とする。また、本発明
は、樹脂中より溶出しても環境汚染の原因となりにくい
抗菌・抗黴性組成物を提供することを目的とする。さら
に本発明は、そのような抗菌・抗黴性組成物を製造する
方法を提供することを目的とする。
に鑑み、安定した抗菌・抗黴効果を示し、かつ人体に安
全な組成物を提供することを目的とする。また、本発明
は、樹脂中より溶出しても環境汚染の原因となりにくい
抗菌・抗黴性組成物を提供することを目的とする。さら
に本発明は、そのような抗菌・抗黴性組成物を製造する
方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の抗菌・抗黴性組
成物は、キトサン、キチン、およびそれらの誘導体から
なる群より選ばれた少なくとも1種と金属錯体とから構
成される。また、本発明の抗菌・抗黴性組成物は、キト
サン、キチン、およびそれらの誘導体からなる群より選
ばれた少なくとも1種と金属錯体との錯体から構成され
る。本発明の抗菌・抗黴性組成物は、これを適当な担体
に担持させて用いることができる。
成物は、キトサン、キチン、およびそれらの誘導体から
なる群より選ばれた少なくとも1種と金属錯体とから構
成される。また、本発明の抗菌・抗黴性組成物は、キト
サン、キチン、およびそれらの誘導体からなる群より選
ばれた少なくとも1種と金属錯体との錯体から構成され
る。本発明の抗菌・抗黴性組成物は、これを適当な担体
に担持させて用いることができる。
【0006】本発明の抗菌・抗黴性組成物は、人体に安
全で抗菌・抗黴性を持つキチン、キトサン、またはそれ
らの誘導体と、高い抗菌性を持つ金属錯体との混合物ま
たは錯体から構成され、抗菌性と抗黴性を併せ持った安
全な抗菌・抗黴材である。また、これを樹脂などに混練
しても、混練過程において材料の抗菌・抗黴性能が損な
われることなく、優れた抗菌・抗黴性の樹脂成形体を得
ることができる。また、これをシリカゲルなどの担体に
担持し表面にコーティング層を施すことにより、長期間
にわたり高い抗菌・抗黴性能を維持できる材料を提供で
きる。
全で抗菌・抗黴性を持つキチン、キトサン、またはそれ
らの誘導体と、高い抗菌性を持つ金属錯体との混合物ま
たは錯体から構成され、抗菌性と抗黴性を併せ持った安
全な抗菌・抗黴材である。また、これを樹脂などに混練
しても、混練過程において材料の抗菌・抗黴性能が損な
われることなく、優れた抗菌・抗黴性の樹脂成形体を得
ることができる。また、これをシリカゲルなどの担体に
担持し表面にコーティング層を施すことにより、長期間
にわたり高い抗菌・抗黴性能を維持できる材料を提供で
きる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる金属錯体の金
属としては、銀、銅または亜鉛が好ましく、銀であるこ
とがより好ましい。また、前記金属錯体は、チオスルフ
ァト金属錯体であることが好ましく、従って、チオスル
ファト銀錯体、チオスルファト銅錯体、チオスルファト
亜鉛錯体からなる群より選択される少なくとも1種の錯
体を用いることがより好ましく、チオスルファト銀錯体
を用いることが最も好ましい。従来は、抗菌材料として
用いられていた金属塩が、特に銀塩の場合、光や紫外線
に感光性が高く、これらを用いた抗菌性組成物を合成樹
脂に含有させた場合には、変色するという不都合があっ
た。これに対して、本発明では、金属、特に銀を含む抗
菌材料である場合でも、これが錯体であるため、光また
は紫外線に対して安定化されている。また、キチン、キ
トサン、またはそれらの誘導体も光または紫外線に対し
て安定である。従って、本発明の抗菌・抗黴性組成物
は、光または紫外線に対して安定である。さらに、前記
金属錯体は、揮発性を有しないため、環境汚染の原因と
ならない。上記金属錯体は、空気中の酸素によりその極
近傍にオゾン層を形成する。このオゾン層に接近した微
生物等はその表面組織に影響を受けるため、上記金属錯
体は抗菌効果を発揮する。
属としては、銀、銅または亜鉛が好ましく、銀であるこ
とがより好ましい。また、前記金属錯体は、チオスルフ
ァト金属錯体であることが好ましく、従って、チオスル
ファト銀錯体、チオスルファト銅錯体、チオスルファト
亜鉛錯体からなる群より選択される少なくとも1種の錯
体を用いることがより好ましく、チオスルファト銀錯体
を用いることが最も好ましい。従来は、抗菌材料として
用いられていた金属塩が、特に銀塩の場合、光や紫外線
に感光性が高く、これらを用いた抗菌性組成物を合成樹
脂に含有させた場合には、変色するという不都合があっ
た。これに対して、本発明では、金属、特に銀を含む抗
菌材料である場合でも、これが錯体であるため、光また
は紫外線に対して安定化されている。また、キチン、キ
トサン、またはそれらの誘導体も光または紫外線に対し
て安定である。従って、本発明の抗菌・抗黴性組成物
は、光または紫外線に対して安定である。さらに、前記
金属錯体は、揮発性を有しないため、環境汚染の原因と
ならない。上記金属錯体は、空気中の酸素によりその極
近傍にオゾン層を形成する。このオゾン層に接近した微
生物等はその表面組織に影響を受けるため、上記金属錯
体は抗菌効果を発揮する。
【0008】上記金属錯体がチオスルファト金属錯体で
ある場合、金属塩とチオ硫酸塩を用いて調製することが
できる。例えば、金属塩の水溶液に亜硫酸塩および/ま
たは亜硫酸水素塩を加えて反応させ、次いでチオ硫酸塩
を加えてチオスルファト金属錯体を生成する方法と、チ
オ硫酸塩水溶液に金属塩を加えてチオスルファト金属錯
体を生成する方法とがある。前者の方法において、亜硫
酸塩および/または亜硫酸水素塩は、得られるチオスル
ファト金属錯体を安定化させるために使用される。後者
の方法においては、特にこのような安定化剤を加えるこ
となくチオスルファト金属錯体を生成できる。例えば、
チオスルファト銀錯体を調製する際に、銀塩100重量
部に対して、チオ硫酸塩を100〜1000重量部の割
合で使用することが好ましく、亜硫酸塩および/または
亜硫酸水素塩を使用する場合には、銀塩100重量部に
対して、400〜2000重量部をそれぞれ使用するこ
とが好ましい。
ある場合、金属塩とチオ硫酸塩を用いて調製することが
できる。例えば、金属塩の水溶液に亜硫酸塩および/ま
たは亜硫酸水素塩を加えて反応させ、次いでチオ硫酸塩
を加えてチオスルファト金属錯体を生成する方法と、チ
オ硫酸塩水溶液に金属塩を加えてチオスルファト金属錯
体を生成する方法とがある。前者の方法において、亜硫
酸塩および/または亜硫酸水素塩は、得られるチオスル
ファト金属錯体を安定化させるために使用される。後者
の方法においては、特にこのような安定化剤を加えるこ
となくチオスルファト金属錯体を生成できる。例えば、
チオスルファト銀錯体を調製する際に、銀塩100重量
部に対して、チオ硫酸塩を100〜1000重量部の割
合で使用することが好ましく、亜硫酸塩および/または
亜硫酸水素塩を使用する場合には、銀塩100重量部に
対して、400〜2000重量部をそれぞれ使用するこ
とが好ましい。
【0009】上記金属塩が、銀塩である場合、 上記チ
オ硫酸塩と銀塩の使用割合は、S2O3 2-/Ag+の重量
比率が2〜6であることが好ましい。S2O3 2-/Ag+
の重量比率が2未満の場合、硫化銀等の茶色あるいは黒
色の反応生成物が生じやすい。逆にS2O3 2-/Ag+の
重量比率が6を超える場合、未反応のチオ硫酸塩が多く
存在 し、このような未反応のチオ硫酸塩を含有するチ
オスルファト銀錯体を担体に担持させた場合、チオ硫酸
塩の担持により、チオスルファト銀錯体の担持が妨げら
れる恐れがある。従って、S2O3 2-/Ag+の重量比率
を上記の範囲とすること により、効率よくチオスルフ
ァト銀錯体を得ることができ、かつチオスルファト銀錯
体の変色を防止することができる。
オ硫酸塩と銀塩の使用割合は、S2O3 2-/Ag+の重量
比率が2〜6であることが好ましい。S2O3 2-/Ag+
の重量比率が2未満の場合、硫化銀等の茶色あるいは黒
色の反応生成物が生じやすい。逆にS2O3 2-/Ag+の
重量比率が6を超える場合、未反応のチオ硫酸塩が多く
存在 し、このような未反応のチオ硫酸塩を含有するチ
オスルファト銀錯体を担体に担持させた場合、チオ硫酸
塩の担持により、チオスルファト銀錯体の担持が妨げら
れる恐れがある。従って、S2O3 2-/Ag+の重量比率
を上記の範囲とすること により、効率よくチオスルフ
ァト銀錯体を得ることができ、かつチオスルファト銀錯
体の変色を防止することができる。
【0010】チオスルファト金属錯体は、加熱により容
易に硫化物等に変化しやすいため、チオスルファト金属
錯体の調製から多孔性粒子の担体に担持させるまでの工
程では、常温以上60℃以下の温度で行うことが好まし
い。これによりチオスルファト金属錯体の変色をさらに
防止することができる。上記チオスルファト金属錯体の
調製に用いられる金属塩としては、例えば、酢酸銀、硝
酸銀等を使用することができる。金属錯体を形成する際
の金属錯体の光反応安定性を向上させ、また製造時およ
び廃棄時の環境に対する安全性を考慮すると、上記金属
塩は酢酸銀であることが好ましい。上記チオスルファト
金属錯体の調製に用いられるチオ硫酸塩としては、例え
ば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム等が挙
げられ、また上記亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナ
トリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、メタ
亜硫酸カリウム等が挙げられ、上記亜硫酸水素塩として
は、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウ
ム、亜硫酸水素アンモニウム等が挙げられる。
易に硫化物等に変化しやすいため、チオスルファト金属
錯体の調製から多孔性粒子の担体に担持させるまでの工
程では、常温以上60℃以下の温度で行うことが好まし
い。これによりチオスルファト金属錯体の変色をさらに
防止することができる。上記チオスルファト金属錯体の
調製に用いられる金属塩としては、例えば、酢酸銀、硝
酸銀等を使用することができる。金属錯体を形成する際
の金属錯体の光反応安定性を向上させ、また製造時およ
び廃棄時の環境に対する安全性を考慮すると、上記金属
塩は酢酸銀であることが好ましい。上記チオスルファト
金属錯体の調製に用いられるチオ硫酸塩としては、例え
ば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム等が挙
げられ、また上記亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸ナ
トリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、メタ
亜硫酸カリウム等が挙げられ、上記亜硫酸水素塩として
は、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウ
ム、亜硫酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0011】本発明では、特に抗黴性を付与するため
に、上述のチオスルファト銀錯体のような金属錯体にキ
チン、キトサンまたはその誘導体を混合または錯体化し
ている。キチンは、セルロースに構造が類似する動物性
の天然多糖類であり、2位に水酸基の代わりにアセトア
ミド基を持つアミノ多糖類である。また、キトサンは、
キチン粉末を濃アルカリ中で加熱してアセトアミド基を
加水分解し遊離アミノ基にしたものである。いずれも高
い抗菌・抗黴性を有し、人体への安全性も高い。キチ
ン、脱アセチル化の低いキトサンは、不水溶性の粉末状
物質であり、これらを担体にしてその表面に前述の金属
錯体を担持させて抗菌・抗黴材とすることができる。キ
トサンまたはキチンの誘導体としては、キトサンまたは
キチンの水酸基もしくはヒドロキシメチル基の水素原子
の一部または全部を金属により置換したものが、またキ
トサンの誘導体としては、さらにキトサンのアミノ基
(−NH2)の水素原子の一部または全部を金属で置換
したものが用いられる。置換金属としては、銀、銅、お
よび亜鉛からなる群より選択された少なくとも1種が好
ましい。
に、上述のチオスルファト銀錯体のような金属錯体にキ
チン、キトサンまたはその誘導体を混合または錯体化し
ている。キチンは、セルロースに構造が類似する動物性
の天然多糖類であり、2位に水酸基の代わりにアセトア
ミド基を持つアミノ多糖類である。また、キトサンは、
キチン粉末を濃アルカリ中で加熱してアセトアミド基を
加水分解し遊離アミノ基にしたものである。いずれも高
い抗菌・抗黴性を有し、人体への安全性も高い。キチ
ン、脱アセチル化の低いキトサンは、不水溶性の粉末状
物質であり、これらを担体にしてその表面に前述の金属
錯体を担持させて抗菌・抗黴材とすることができる。キ
トサンまたはキチンの誘導体としては、キトサンまたは
キチンの水酸基もしくはヒドロキシメチル基の水素原子
の一部または全部を金属により置換したものが、またキ
トサンの誘導体としては、さらにキトサンのアミノ基
(−NH2)の水素原子の一部または全部を金属で置換
したものが用いられる。置換金属としては、銀、銅、お
よび亜鉛からなる群より選択された少なくとも1種が好
ましい。
【0012】また、シリカゲルのような担体に抗菌・抗
黴材を担持させる構成をとることもできる。この時使用
される担体としては、シリカゲル、ゼオライト、リン酸
カルシウム、リン酸ジルコニウム、多孔性ガラス等が挙
げられる。ゼオライトよりも比表面積が大きく、透明性
を有するシリカゲルが好ましい。上記担体として、シリ
カゲルを使用することにより、担持された上記抗菌・抗
黴材料を徐放する効果を有するので好ましい。また、シ
リカゲルはその平均粒径が1〜10μmであることが好
ましい。
黴材を担持させる構成をとることもできる。この時使用
される担体としては、シリカゲル、ゼオライト、リン酸
カルシウム、リン酸ジルコニウム、多孔性ガラス等が挙
げられる。ゼオライトよりも比表面積が大きく、透明性
を有するシリカゲルが好ましい。上記担体として、シリ
カゲルを使用することにより、担持された上記抗菌・抗
黴材料を徐放する効果を有するので好ましい。また、シ
リカゲルはその平均粒径が1〜10μmであることが好
ましい。
【0013】さらに、日本工業規格JISZ0701に
規定するB型シリカゲルであることがより好ましい。こ
のシリカゲルの吸湿特性は、B型シリカゲルの中でも相
対湿度50%(25℃)以下における吸湿率が20%以
下、かつ相対湿度90%(25℃)以上における吸湿率
が50%以上の吸湿特性を有するシリカゲルであること
が特に好ましい。上記シリカゲルは、低湿度領域で吸湿
水分量が比較的少なく、高湿度領域においては総担持水
分量の特に多いシリカゲルである。このようなシリカゲ
ルに抗菌・抗黴材料を担持させた抗菌・抗黴性組成物
は、抗菌・抗黴材料の放散を抑制し、かつ熱安定性を有
するため、抗菌・抗黴性能を持続保持することができ
る。さらに、上記シリカゲルは、合成樹脂と同程度の屈
折率を有する光透過性を有する。このようなシリカゲル
を使用した抗菌・抗黴性組成物を合成樹脂に含有させる
と、合成樹脂を着色することなく、かつ合成樹脂の特性
に影響を与えることがなく、合成樹脂表面に抗菌・抗黴
性を付与することができる。
規定するB型シリカゲルであることがより好ましい。こ
のシリカゲルの吸湿特性は、B型シリカゲルの中でも相
対湿度50%(25℃)以下における吸湿率が20%以
下、かつ相対湿度90%(25℃)以上における吸湿率
が50%以上の吸湿特性を有するシリカゲルであること
が特に好ましい。上記シリカゲルは、低湿度領域で吸湿
水分量が比較的少なく、高湿度領域においては総担持水
分量の特に多いシリカゲルである。このようなシリカゲ
ルに抗菌・抗黴材料を担持させた抗菌・抗黴性組成物
は、抗菌・抗黴材料の放散を抑制し、かつ熱安定性を有
するため、抗菌・抗黴性能を持続保持することができ
る。さらに、上記シリカゲルは、合成樹脂と同程度の屈
折率を有する光透過性を有する。このようなシリカゲル
を使用した抗菌・抗黴性組成物を合成樹脂に含有させる
と、合成樹脂を着色することなく、かつ合成樹脂の特性
に影響を与えることがなく、合成樹脂表面に抗菌・抗黴
性を付与することができる。
【0014】本発明の抗菌・抗黴性組成物の製造方法
は、上記抗菌・抗黴材料の水溶液、酢酸溶液、またはア
ルコール溶液を上記担体と混合して速やかに乾燥して前
記溶液の溶媒を除去させる。これにより、上記抗菌・抗
黴材料が上記担体に担持される。この工程において、上
記担体100重量部に対して抗菌・抗黴材料は、2〜1
0重量部使用することが好ましい。乾燥後の担体は、必
要に応じて粉砕される。本発明の他の抗菌・抗黴性組成
物の製造方法は、金属錯体の水溶液またはアルコール溶
液をキチン、キトサン、またはそれらの誘導体と混合し
て速やかに乾燥して前記溶液の溶媒を除去させる。これ
により、金属錯体が上記キチン、キトサン、またはそれ
らの誘導体に担持される。この工程において、上記キチ
ン、キトサンまたはそれらの誘導体100重量部に対し
て、金属錯体は2〜10重量部使用することが好まし
い。乾燥後の担体であるキチン、キトサン、またはそれ
らの誘導体は、必要に応じて粉砕される。
は、上記抗菌・抗黴材料の水溶液、酢酸溶液、またはア
ルコール溶液を上記担体と混合して速やかに乾燥して前
記溶液の溶媒を除去させる。これにより、上記抗菌・抗
黴材料が上記担体に担持される。この工程において、上
記担体100重量部に対して抗菌・抗黴材料は、2〜1
0重量部使用することが好ましい。乾燥後の担体は、必
要に応じて粉砕される。本発明の他の抗菌・抗黴性組成
物の製造方法は、金属錯体の水溶液またはアルコール溶
液をキチン、キトサン、またはそれらの誘導体と混合し
て速やかに乾燥して前記溶液の溶媒を除去させる。これ
により、金属錯体が上記キチン、キトサン、またはそれ
らの誘導体に担持される。この工程において、上記キチ
ン、キトサンまたはそれらの誘導体100重量部に対し
て、金属錯体は2〜10重量部使用することが好まし
い。乾燥後の担体であるキチン、キトサン、またはそれ
らの誘導体は、必要に応じて粉砕される。
【0015】本発明の他の抗菌・抗黴性組成物の製造方
法は、キチン、キトサン、またはそれらの誘導体、なら
びに銀、銅、または亜鉛の塩、例えば酢酸塩、の溶液に
硫酸ナトリウムまたは亜硫酸ナトリウムを添加し、しか
る後にチオ硫酸ナトリウムを添加することにより、チオ
スルファト銀、銅、または亜鉛のナトリウム塩とキチ
ン、キトサン、またはそれらの誘導体との複合錯体を得
る。この時担体として反応初期段階にシリカゲルなどの
多孔性担体を反応系に混合しても良いし、キチン、キト
サン、またはそれらの誘導体を余分に加えておいてそれ
自体を担体として用いることもできる。
法は、キチン、キトサン、またはそれらの誘導体、なら
びに銀、銅、または亜鉛の塩、例えば酢酸塩、の溶液に
硫酸ナトリウムまたは亜硫酸ナトリウムを添加し、しか
る後にチオ硫酸ナトリウムを添加することにより、チオ
スルファト銀、銅、または亜鉛のナトリウム塩とキチ
ン、キトサン、またはそれらの誘導体との複合錯体を得
る。この時担体として反応初期段階にシリカゲルなどの
多孔性担体を反応系に混合しても良いし、キチン、キト
サン、またはそれらの誘導体を余分に加えておいてそれ
自体を担体として用いることもできる。
【0016】上記抗菌・抗黴材料を担持した担体表面の
少なくとも一部は、コーティング材料により被覆されて
いることが好ましい。本発明に使用されるコーティング
材料としては、有機ケイ素化合物、ワックスおよびステ
アリン酸化合物からなる群より選択された少なくとも1
つであることが好ましく、反応性の有機ケイ素化合物で
あることがより好ましい。反応性の有機ケイ素化合物と
しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン
等のシロキサン結合を形成することが可能な官能基を有
する化合物であることが好ましい。上記担体がシリカゲ
ルである場合、コーティング材料として、上記の反応性
有機ケイ素化合物を使用すると、反応性有機ケイ素化合
物が加水分解され、これとシリカゲルが縮合することに
よりシロキサン結合が形成されるため、良好にコーティ
ングすることができる。この工程において、上記抗菌・
抗黴材料を担持した担体100重量部に対して、コーテ
ィング材料は100〜200重量部使用することが好ま
しい。本発明の抗菌・抗黴性組成物は、少なくとも一部
をコーティング材料により被覆することにより、熱安定
性がさらに向上する。従って、樹脂中に分散させて樹脂
表面に抗菌・抗黴性を付与する場合に、樹脂成形時の熱
に対して安定性が増加し、また樹脂の経年色変化を抑制
することができる。さらに、担体に担持されている抗菌
・抗黴材料の徐放性が高くなるため、長期間にわたり、
抗菌・抗黴効果が持続する。
少なくとも一部は、コーティング材料により被覆されて
いることが好ましい。本発明に使用されるコーティング
材料としては、有機ケイ素化合物、ワックスおよびステ
アリン酸化合物からなる群より選択された少なくとも1
つであることが好ましく、反応性の有機ケイ素化合物で
あることがより好ましい。反応性の有機ケイ素化合物と
しては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン
等のシロキサン結合を形成することが可能な官能基を有
する化合物であることが好ましい。上記担体がシリカゲ
ルである場合、コーティング材料として、上記の反応性
有機ケイ素化合物を使用すると、反応性有機ケイ素化合
物が加水分解され、これとシリカゲルが縮合することに
よりシロキサン結合が形成されるため、良好にコーティ
ングすることができる。この工程において、上記抗菌・
抗黴材料を担持した担体100重量部に対して、コーテ
ィング材料は100〜200重量部使用することが好ま
しい。本発明の抗菌・抗黴性組成物は、少なくとも一部
をコーティング材料により被覆することにより、熱安定
性がさらに向上する。従って、樹脂中に分散させて樹脂
表面に抗菌・抗黴性を付与する場合に、樹脂成形時の熱
に対して安定性が増加し、また樹脂の経年色変化を抑制
することができる。さらに、担体に担持されている抗菌
・抗黴材料の徐放性が高くなるため、長期間にわたり、
抗菌・抗黴効果が持続する。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 《実施例1》酢酸銀100重量部、亜硫酸ナトリウムと
亜硫酸水素ナトリウムの混合物450重量部、およびチ
オ硫酸ナトリウム300重量部を塩素を含まない水に加
えて溶解させ、充分攪拌しながら混合してチオスルファ
ト銀錯体水溶液を得た。なお、チオ硫酸ナトリウムの重
量は、その水和物Na2S2O3・5H2Oの重量として示
した。粒径10μmのキトサン粉末100重量部に対し
て、銀成分が2重量部になるように前記チオスルファト
銀錯体水溶液を混合した。速やかに溶媒および担体中に
吸収された水分を除去した。ついで、これを粒径8μm
に再度粉砕して、抗菌・抗黴材料を得た。反応性有機ケ
イ素化合物としてテトラエトキシシラン100重量部を
エチルアルコールで希釈させた溶液に、上記チオスルフ
ァト銀錯体を担持したキトサン粉末100重量部を分散
させた後、これに純水を加えてテトラエトキシシランを
加水分解させ、上記キトサン粉末の表面の少なくとも一
部をコーティングした。次いで、これを乾燥させて抗菌
・抗黴性組成物を得た。
亜硫酸水素ナトリウムの混合物450重量部、およびチ
オ硫酸ナトリウム300重量部を塩素を含まない水に加
えて溶解させ、充分攪拌しながら混合してチオスルファ
ト銀錯体水溶液を得た。なお、チオ硫酸ナトリウムの重
量は、その水和物Na2S2O3・5H2Oの重量として示
した。粒径10μmのキトサン粉末100重量部に対し
て、銀成分が2重量部になるように前記チオスルファト
銀錯体水溶液を混合した。速やかに溶媒および担体中に
吸収された水分を除去した。ついで、これを粒径8μm
に再度粉砕して、抗菌・抗黴材料を得た。反応性有機ケ
イ素化合物としてテトラエトキシシラン100重量部を
エチルアルコールで希釈させた溶液に、上記チオスルフ
ァト銀錯体を担持したキトサン粉末100重量部を分散
させた後、これに純水を加えてテトラエトキシシランを
加水分解させ、上記キトサン粉末の表面の少なくとも一
部をコーティングした。次いで、これを乾燥させて抗菌
・抗黴性組成物を得た。
【0018】《実施例2》キトサンの代わりに以下のキ
トサン誘導体を用いた他は実施例1と同様にして抗菌・
抗黴性組成物を得た。キトサンと硝酸銀水溶液を混合
し、30分間煮沸した。冷却後、濾過してキトサンの−
NH2基の水素原子の一部または全部を銀で置換した粉
末を得た。この粉末を実施例1のキトサンの代わりに用
いる。
トサン誘導体を用いた他は実施例1と同様にして抗菌・
抗黴性組成物を得た。キトサンと硝酸銀水溶液を混合
し、30分間煮沸した。冷却後、濾過してキトサンの−
NH2基の水素原子の一部または全部を銀で置換した粉
末を得た。この粉末を実施例1のキトサンの代わりに用
いる。
【0019】《実施例3》キトサンの代わりに以下のキ
チン誘導体を用いた他は実施例1と同様にして抗菌・抗
黴性組成物を得た。チンと硝酸銀水溶液を混合し、30
分間煮沸した。冷却後濾過してキトサンの水酸基および
ヒドロキシメチル基の水素原子の一部を銀により置換し
た粉末を得た。この粉末を実施例1のキトサンの代わり
に用いる。
チン誘導体を用いた他は実施例1と同様にして抗菌・抗
黴性組成物を得た。チンと硝酸銀水溶液を混合し、30
分間煮沸した。冷却後濾過してキトサンの水酸基および
ヒドロキシメチル基の水素原子の一部を銀により置換し
た粉末を得た。この粉末を実施例1のキトサンの代わり
に用いる。
【0020】《実施例4》酢酸銀100重量部、亜硫酸
カリウムと亜硫酸水素カリウムの混合物450重量部、
およびチオ硫酸カリウム300重量部を塩素を含まない
水に加えて溶解させ、充分攪拌しながら混合してチオス
ルファト銀錯体水溶液を得た。なお、チオ硫酸カリウム
の重量は、その水和物K2S2O3・5H2Oの重量として
示した。キトサンの酢酸水溶液(重量濃度10%)10
重量部に対して、銀成分が2重量部になるように前記チ
オスルファト銀錯体水溶液を混合した。この混合液の銀
成分2重量部に対して、シリカゲル100重量部を混合
した。速やかに溶媒および担体中に吸収された水分を除
去した。ついで、これを粒径8μmに再度粉砕して、抗
菌・抗黴材料を得た。反応性有機ケイ素化合物としてテ
トラエトキシシラン100重量部をエチルアルコールで
希釈させた溶液に、上記チオスルファト銀錯体を担持し
たキトサン粉末100重量部を分散させた後、これに純
水を加えてテトラエトキシシランを加水分解させ、上記
キトサン粉末の表面の少なくとも一部をコーティングし
た。次いで、これを乾燥させて抗菌・抗黴性組成物を得
た。
カリウムと亜硫酸水素カリウムの混合物450重量部、
およびチオ硫酸カリウム300重量部を塩素を含まない
水に加えて溶解させ、充分攪拌しながら混合してチオス
ルファト銀錯体水溶液を得た。なお、チオ硫酸カリウム
の重量は、その水和物K2S2O3・5H2Oの重量として
示した。キトサンの酢酸水溶液(重量濃度10%)10
重量部に対して、銀成分が2重量部になるように前記チ
オスルファト銀錯体水溶液を混合した。この混合液の銀
成分2重量部に対して、シリカゲル100重量部を混合
した。速やかに溶媒および担体中に吸収された水分を除
去した。ついで、これを粒径8μmに再度粉砕して、抗
菌・抗黴材料を得た。反応性有機ケイ素化合物としてテ
トラエトキシシラン100重量部をエチルアルコールで
希釈させた溶液に、上記チオスルファト銀錯体を担持し
たキトサン粉末100重量部を分散させた後、これに純
水を加えてテトラエトキシシランを加水分解させ、上記
キトサン粉末の表面の少なくとも一部をコーティングし
た。次いで、これを乾燥させて抗菌・抗黴性組成物を得
た。
【0021】《実施例5》キチン粉末をNaOHの10
wt%水溶液に溶解し1昼夜室温で保持した。この結
果、約50%の脱アセチル化キチンが得られた。この溶
液に硝酸銀を10重量%添加し、−OH基、−CH2O
H基、および−NH2基の水素原子の一部または全部を
銀により置換した。この液にシリカゲルを100重量部
加え乾燥した。
wt%水溶液に溶解し1昼夜室温で保持した。この結
果、約50%の脱アセチル化キチンが得られた。この溶
液に硝酸銀を10重量%添加し、−OH基、−CH2O
H基、および−NH2基の水素原子の一部または全部を
銀により置換した。この液にシリカゲルを100重量部
加え乾燥した。
【0022】《実施例6》キチン粉末をNaOHの10
wt%水溶液に溶解し5時間室温で保持した。この結
果、約10%の脱アセチル化キチン粉末が得られた。こ
の粉末を水洗し、硝酸亜鉛の20重量%水溶液に1昼夜
保持した。こうして10%脱アセチル化キチンの−OH
基、−CH2OH基、−NH2基の水素原子の一部または
全部を亜鉛により置換した。この粉末を濾過、水洗後乾
燥して抗菌・抗黴材とした。
wt%水溶液に溶解し5時間室温で保持した。この結
果、約10%の脱アセチル化キチン粉末が得られた。こ
の粉末を水洗し、硝酸亜鉛の20重量%水溶液に1昼夜
保持した。こうして10%脱アセチル化キチンの−OH
基、−CH2OH基、−NH2基の水素原子の一部または
全部を亜鉛により置換した。この粉末を濾過、水洗後乾
燥して抗菌・抗黴材とした。
【0023】《実施例7》キトサンの酢酸水溶液(重量
濃度10%)100mlに酢酸銀0.368gを溶解
し、これに亜硫酸カリウム(無水)1.05g、チオ硫
酸カリウム(無水)1.258gを順次溶解させた。こ
うしたキトサンとチオスルファト銀錯体との錯体溶液を
得た。この溶液にシリカゲルを混合した。シリカゲルの
混合割合は、シリカゲル100重量部に対し溶液中の銀
成分が2重量部となるようにした。シリカゲルを添加し
た錯体溶液の水分を蒸発させ、シリカゲル担体にキトサ
ンと銀錯体との複合錯体を担持させた。ついで、これを
粒径8μmに粉砕して、抗菌・抗黴材料を得た。
濃度10%)100mlに酢酸銀0.368gを溶解
し、これに亜硫酸カリウム(無水)1.05g、チオ硫
酸カリウム(無水)1.258gを順次溶解させた。こ
うしたキトサンとチオスルファト銀錯体との錯体溶液を
得た。この溶液にシリカゲルを混合した。シリカゲルの
混合割合は、シリカゲル100重量部に対し溶液中の銀
成分が2重量部となるようにした。シリカゲルを添加し
た錯体溶液の水分を蒸発させ、シリカゲル担体にキトサ
ンと銀錯体との複合錯体を担持させた。ついで、これを
粒径8μmに粉砕して、抗菌・抗黴材料を得た。
【0024】上記各実施例で製造した抗菌・抗黴性組成
物を、不飽和ポリエステル樹脂成型時に樹脂100重量
部に対し3重量部の割合で均一に分散させた樹脂成形体
を形成し、下記に示すような抗黴試験、および抗菌試験
を行った。
物を、不飽和ポリエステル樹脂成型時に樹脂100重量
部に対し3重量部の割合で均一に分散させた樹脂成形体
を形成し、下記に示すような抗黴試験、および抗菌試験
を行った。
【0025】《比較例1》不飽和ポリエステル樹脂のみ
を硬化成型して、実施例1と同様の形状の樹脂組成物を
得た。この樹脂成形体について、実施例と同様にして抗
菌試験、抗黴試験を行った。
を硬化成型して、実施例1と同様の形状の樹脂組成物を
得た。この樹脂成形体について、実施例と同様にして抗
菌試験、抗黴試験を行った。
【0026】《比較例2》実施例4において、キトサン
の酢酸水溶液を用いず、単にチオスルファト銀錯体水溶
液の銀成分2重量部に対してシリカゲルを100重量部
の割合で混合した。速やかに溶媒および担体中に吸収さ
れた水分を除去した。ついで、これを粒径8μmに粉砕
して、抗菌・抗黴材料を得た。表面コーティングも実施
例4と同じ方法で行い、さらに同じく樹脂成形体を得
た。この樹脂成形体について、実施例と同様にして抗菌
試験、抗黴試験を行った。
の酢酸水溶液を用いず、単にチオスルファト銀錯体水溶
液の銀成分2重量部に対してシリカゲルを100重量部
の割合で混合した。速やかに溶媒および担体中に吸収さ
れた水分を除去した。ついで、これを粒径8μmに粉砕
して、抗菌・抗黴材料を得た。表面コーティングも実施
例4と同じ方法で行い、さらに同じく樹脂成形体を得
た。この樹脂成形体について、実施例と同様にして抗菌
試験、抗黴試験を行った。
【0027】抗黴試験は、日本工業規格のカビ抵抗性試
験(JIS Z 2911)の繊維製品用防黴試験によ
るハローテスト法に準じた。用いた黴は、クラドスポリ
ウムクラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporio
ides)、ケトミウム グロボスム(Chaetomium globosu
m)、ペニシリウム シトリナム(Penicillium citrinu
m)、アスペルギルス ニゲル(Aspergillus niger)
で、評価は14日後に行った。また、抗菌試験は、エス
ケリチア コーライ(Escherichia coli)、スタヒロコ
ッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、バチ
ルス サブチリス(Bacillus subtilis)を用いて、ハ
ローテスト法により行い、評価は7日後に行った。これ
らの抗菌試験、および抗黴試験の結果を表1に示す。表
1より、本発明による抗菌・抗黴性組成物は、実用的な
抗菌・抗黴性能を有することがわかる。
験(JIS Z 2911)の繊維製品用防黴試験によ
るハローテスト法に準じた。用いた黴は、クラドスポリ
ウムクラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporio
ides)、ケトミウム グロボスム(Chaetomium globosu
m)、ペニシリウム シトリナム(Penicillium citrinu
m)、アスペルギルス ニゲル(Aspergillus niger)
で、評価は14日後に行った。また、抗菌試験は、エス
ケリチア コーライ(Escherichia coli)、スタヒロコ
ッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、バチ
ルス サブチリス(Bacillus subtilis)を用いて、ハ
ローテスト法により行い、評価は7日後に行った。これ
らの抗菌試験、および抗黴試験の結果を表1に示す。表
1より、本発明による抗菌・抗黴性組成物は、実用的な
抗菌・抗黴性能を有することがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】上記実施例において、コーティング材料と
して上記有機ケイ素化合物以外に、ワックス、ステアリ
ン酸化合物などのコーティング材料も適用できる。上記
銀錯体を調製するため水溶性銀塩として硝酸銀を用いる
ことも可能である。亜硫酸塩として亜硫酸カリウム、亜
硫酸アンモニウム等を、亜硫酸水素塩として、亜硫酸水
素カリウム、メタ亜硫酸カリウム、亜硫酸水素アンモニ
ウム等を用いることも可能である。亜硫酸塩と亜硫酸水
素塩は各々単独あるいは混合物として用いることもで
き、その量は上記水溶性銀塩100重量部に対して40
0〜2000重量部が適当である。チオ硫酸塩としては
チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウムを用いること
も可能であり、その量は上記水溶性銀塩100重量部に
対して100〜1000重量部が適当である。B型シリ
カゲル粉末の平均粒径は1〜10μmが適当である。シ
リカゲル100重量部に対する銀の量は2〜10重量部
が適当である。反応性有機ケイ素化合物の量としてはシ
リカゲル100重量部に対して10〜200重量部が適
当であり、テトラエトキシシランのかわりにテトラメト
キシシランを使用することもできる。担体としてシリカ
ゲルの他にゼオライト、リン酸カルシウム、リン酸ジル
コニウム、多孔質ガラスを用いることもできる。キチ
ン、キトサンの誘導体を作製するときの置換金属とし
て、銀の他に銅、亜鉛も有効である。
して上記有機ケイ素化合物以外に、ワックス、ステアリ
ン酸化合物などのコーティング材料も適用できる。上記
銀錯体を調製するため水溶性銀塩として硝酸銀を用いる
ことも可能である。亜硫酸塩として亜硫酸カリウム、亜
硫酸アンモニウム等を、亜硫酸水素塩として、亜硫酸水
素カリウム、メタ亜硫酸カリウム、亜硫酸水素アンモニ
ウム等を用いることも可能である。亜硫酸塩と亜硫酸水
素塩は各々単独あるいは混合物として用いることもで
き、その量は上記水溶性銀塩100重量部に対して40
0〜2000重量部が適当である。チオ硫酸塩としては
チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウムを用いること
も可能であり、その量は上記水溶性銀塩100重量部に
対して100〜1000重量部が適当である。B型シリ
カゲル粉末の平均粒径は1〜10μmが適当である。シ
リカゲル100重量部に対する銀の量は2〜10重量部
が適当である。反応性有機ケイ素化合物の量としてはシ
リカゲル100重量部に対して10〜200重量部が適
当であり、テトラエトキシシランのかわりにテトラメト
キシシランを使用することもできる。担体としてシリカ
ゲルの他にゼオライト、リン酸カルシウム、リン酸ジル
コニウム、多孔質ガラスを用いることもできる。キチ
ン、キトサンの誘導体を作製するときの置換金属とし
て、銀の他に銅、亜鉛も有効である。
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、安定した
抗菌・抗黴効果を示す抗菌・抗黴性組成物が得られる。
また、本発明の抗菌・抗黴組成物は、樹脂成形体に適用
することができ、樹脂中より溶出しても環境汚染の原因
となりにくい。
抗菌・抗黴効果を示す抗菌・抗黴性組成物が得られる。
また、本発明の抗菌・抗黴組成物は、樹脂成形体に適用
することができ、樹脂中より溶出しても環境汚染の原因
となりにくい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A01N 59:16 41:08) (A01N 63/00 59:20 41:08)
Claims (12)
- 【請求項1】 キトサン、キチン、およびそれらの誘導
体からなる群より選ばれた少なくとも1種と金属錯体と
からなる抗菌・抗黴性組成物。 - 【請求項2】 キトサン、キチン、およびそれらの誘導
体からなる群より選ばれた少なくとも1種と金属錯体と
の錯体からなる抗菌・抗黴性組成物。 - 【請求項3】 さらに担体を含む請求項1または2記載
の抗菌・抗黴性組成物。 - 【請求項4】 金属錯体が、銀、銅、および亜鉛からな
る群より選択された少なくとも1種の金属のチオスルフ
ァト錯体である請求項1、2、または3記載の抗菌・抗
黴性組成物。 - 【請求項5】 キトサンまたはキチンの誘導体が、キト
サンまたはキチンの水酸基もしくはヒドロキシメチル基
の水素原子の一部または全部を金属により置換したもの
である請求項1、2、または3記載の抗菌・抗黴性組成
物。 - 【請求項6】 キトサンの誘導体が、キトサンのアミノ
基の水素原子の一部または全部を金属で置換したもので
ある請求項1、2、または3記載の抗菌・抗黴性組成
物。 - 【請求項7】 前記金属が、銀、銅、および亜鉛からな
る群より選択された少なくとも1種である請求項5また
は6記載の抗菌・抗黴性組成物。 - 【請求項8】 表面の少なくとも一部がコーティング材
料により被覆されている請求項3記載の抗菌・抗黴性組
成物。 - 【請求項9】 キチン、キトサン、およびそれらの誘導
体からなる群より選ばれた少なくとも1種の粉末または
溶液に金属錯体の溶液を混合する工程、および前記溶液
の溶媒を除去する工程を有する抗菌・抗黴性組成物の製
造方法。 - 【請求項10】 キチン、キトサン、およびそれらの誘
導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の溶液に、
亜硫酸塩および亜硫酸水素塩の少なくとも一方を加える
工程、次いでチオ硫酸塩を加える工程、および前記溶液
の溶媒を除去する工程を有する抗菌・抗黴性組成物の製
造方法。 - 【請求項11】 前記溶液の溶媒を除去する工程に先だ
って、前記溶液に担体を混合する工程を有する請求項1
0記載の抗菌・抗黴性組成物の製造方法。 - 【請求項12】 キチン、キトサン、およびそれらの誘
導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の溶液に、
担体を加える工程、次いで亜硫酸塩および亜硫酸水素塩
の少なくとも一方を加える工程、引き続きチオ硫酸塩を
加える工程、および前記溶液の溶媒を除去する工程を有
する抗菌・抗黴性組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9237487A JPH1179921A (ja) | 1997-09-02 | 1997-09-02 | 抗菌・抗黴性組成物およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9237487A JPH1179921A (ja) | 1997-09-02 | 1997-09-02 | 抗菌・抗黴性組成物およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1179921A true JPH1179921A (ja) | 1999-03-23 |
Family
ID=17016059
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9237487A Withdrawn JPH1179921A (ja) | 1997-09-02 | 1997-09-02 | 抗菌・抗黴性組成物およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1179921A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001034897A1 (fr) * | 1999-11-11 | 2001-05-17 | Moritoshi Co., Ltd. | Agent de traitement de fibres et fibres |
KR100371092B1 (ko) * | 1999-12-09 | 2003-02-05 | 주식회사대성미생물연구소 | 동물용 복합항균제 조성물 |
JP2003530969A (ja) * | 2000-04-25 | 2003-10-21 | ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー | カチオン性多糖類及びケイ酸塩を包含する吸収製品 |
WO2014002341A1 (ja) * | 2012-06-26 | 2014-01-03 | 八千代工業株式会社 | 抗微生物材料 |
WO2014208390A1 (ja) * | 2013-06-28 | 2014-12-31 | 八千代工業株式会社 | 抗微生物材料 |
RU2763885C1 (ru) * | 2021-04-12 | 2022-01-11 | федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Алтайский государственный университет" | Средство с противогрибковой активностью на основе золей металлов |
CN115010953A (zh) * | 2021-12-22 | 2022-09-06 | 阳江市宏强硅胶有限公司 | 一种耐高温食品级固态硅胶及其制备方法 |
-
1997
- 1997-09-02 JP JP9237487A patent/JPH1179921A/ja not_active Withdrawn
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2001034897A1 (fr) * | 1999-11-11 | 2001-05-17 | Moritoshi Co., Ltd. | Agent de traitement de fibres et fibres |
KR100371092B1 (ko) * | 1999-12-09 | 2003-02-05 | 주식회사대성미생물연구소 | 동물용 복합항균제 조성물 |
JP2003530969A (ja) * | 2000-04-25 | 2003-10-21 | ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー | カチオン性多糖類及びケイ酸塩を包含する吸収製品 |
EP1276514B2 (en) † | 2000-04-25 | 2009-07-29 | The Procter & Gamble Company | Absorbent articles comprising a cationic polysaccharide and silicate |
WO2014002341A1 (ja) * | 2012-06-26 | 2014-01-03 | 八千代工業株式会社 | 抗微生物材料 |
WO2014208390A1 (ja) * | 2013-06-28 | 2014-12-31 | 八千代工業株式会社 | 抗微生物材料 |
RU2763885C1 (ru) * | 2021-04-12 | 2022-01-11 | федеральное государственное бюджетное образовательное учреждение высшего образования "Алтайский государственный университет" | Средство с противогрибковой активностью на основе золей металлов |
CN115010953A (zh) * | 2021-12-22 | 2022-09-06 | 阳江市宏强硅胶有限公司 | 一种耐高温食品级固态硅胶及其制备方法 |
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