JP3061663B2 - 抗菌・防カビ材及びその製造方法 - Google Patents

抗菌・防カビ材及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌・防カビ及びそ
の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、リン酸
カルシウムの結晶構造内に抗菌性金属を取り込むことに
より抗菌性金属を安定化し、変色せず、耐熱性、安定性
に優れ、かつ抗菌防カビ力に優れた抗菌・防カビ材を得
るようにしたものである
【0002】
【従来の技術】従来より、銀、銅、亜鉛やこれらの金属
イオンが抗菌力を有することは知られており、これらの
金属イオンを無機化合物に担持又はイオン交換させた抗
菌・防カビ材が提案されている。これらの抗菌性金属イ
オンの中でも銀イオンは、抗菌・抗カビ性が特に優れて
おり、銀イオンの添加により抗菌・防カビ性が格段に向
上すると言われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、銀イオ
ンを添加した無機系抗菌・防カビ材は、イオン性銀が紫
外線や加熱下で不安定であり銀に還元され易いため、無
機系抗菌・防カビ材の色が薄黒色もしくは灰色に変色し
てしまう欠点を有している。従って、銀イオンを含む抗
菌・防カビ材により被覆、含浸された抗菌・防カビ性を
有する製品は、光に暴露したり、熱にさらされた後変色
し、製品の審美性を損なってしまう問題があった。ま
た、従来の無機系抗菌・防カビ材は、添加した銀イオン
が無機材から溶出し易く抗菌・防カビ力が次第に低下
し、耐久性に劣る問題があった。このように従来の無機
系抗菌・防カビ材における問題点は、長期にわたる抗菌
性金属の溶出による抗菌・防カビ力の低下と、紫外線や
加熱処理による変色である。
【0004】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、他の物質に添加混合して抗菌・防カビ製品を作るこ
とが容易にでき、長期間抗菌・防カビ性を維持でき、ま
た熱加工や紫外線照射によっても変色しない抗菌・防カ
を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の抗
菌・防カビ材の問題点に鑑み鋭意研究した結果、リン酸
カルシウムを湿式法で合成する際に、抗菌性を有する水
溶性金属化合物を添加すると同時にアルミニウムの水溶
性塩を加え、リン酸カルシウム中のCaイオンの一部を
抗菌性金属イオンとアルミニウムイオンで置換すること
により、リン酸カルシウムの結晶構造内に抗菌性金属イ
オンを安定な状態で取り込むことができることを見出
し、本発明を完成させた。
【0006】即ち、本発明は、Caの一部が抗菌性金属
及びアルミニウムで置換されたリン酸カルシウムからな
抗菌・防カビによって、上記課題を解決した。ま
た、この抗菌・防カビの製造方法としては、リン酸カ
ルシウムを湿式法により合成し、これに抗菌性金属化合
物と水溶性アルミニウム化合物を同時に添加する製造方
法が好ましい。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
係わる抗菌・防カビは、Caの一部が抗菌性金属及び
アルミニウムで置換されたリン酸カルシウムからなり、
このリン酸カルシウムの結晶構造内には抗菌性金属とア
ルミニウムとが安定な状態で取り込まれている
【0008】リン酸カルシウムは、湿式法により製造さ
れた各種組成のものが使用可能であるが、特にカルシウ
ムとリンのモル比が1.50〜1.67であることが好
適である。リン酸カルシウム中のCaの一部と置換する
抗菌性金属としては、銀、銅、亜鉛等が使用可能である
が、特に銀が好ましい。これらの抗菌性金属は、水溶性
化合物として湿式法により合成されたリン酸カルシウム
に添加される。銀イオン等の抗菌性金属イオンは、リン
酸カルシウム中のCaイオンの一部を置換した状態でリ
ン酸カルシウム中に取り込まれる。また、アルミニウム
化合物は、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸
アルミニウムナトリウム等の水溶性アルミニウム化合物
として、湿式法で合成したリン酸カルシウム中に添加さ
このアルミニウムイオンもリン酸カルシウム中のC
aイオンの一部を置換した状態でリン酸カルシウム中に
取り込まれる。このアルミニウムは、抗菌性金属イオン
が紫外線や加熱によって還元されたり、リン酸カルシウ
ムから溶出するのを防止し、銀イオン等の抗菌性金属イ
オンが長期間変化することなく、リン酸カルシウム中に
存在させるための安定剤となる。
【0009】本発明に係わる抗菌・防カビを製造する
には、まず、湿式法によってリン酸カルシウムを合成す
る。湿式法によるリン酸カルシウムの合成は、水酸化カ
ルシウム懸濁液に、リン酸を滴下する方法により行なう
ことができる。この時、リン酸の滴下による懸濁液中の
pH値を制御することにより、抗菌性金属イオンの置換
容量を変化させることが可能である。即ち、本発明の抗
菌・防カビは、リン酸カルシウム合成時のpHを4〜
7の範囲とすることにより抗菌性金属イオンの置換量が
多くなり、このpHの範囲で抗菌性金属化合物を添加す
ることが好ましい。
【0010】水酸化カルシウム懸濁液にリン酸を滴下し
てpHを4〜7の範囲としてリン酸の滴下を中止し、好
ましくは30分以上熟成してリン酸カルシウムの沈澱を
得る。次いで、リン酸カルシウムの沈澱中に、硝酸銀な
どの抗菌性金属化合物溶液と、硝酸アルミニウムなどの
水溶性アルミニウム化合物溶液を同時に添加する。そし
て、好ましくは数時間以上熟成させることにより、目的
とする抗菌・防カビが得られる。
【0011】湿式法により合成したリン酸カルシウムに
添加する抗菌性金属及びアルミニウムの量は、使用する
抗菌性金属の種類、処理温度、処理液の濃度、pHなど
により任意に選択することができるが、抗菌性金属とし
て銀を用いる場合には、リン酸カルシウムに対して10
重量%以下、好適には、0.001〜5重量%とされる。抗
菌性金属等の添加量が0.001重量%より少ないと抗菌・
防カビ力に劣り、十分な抗菌・防カビ力が得られなくな
り、また5重量%を越えるとリン酸カルシウムの構造が
くずれ、それ以上の置換が望めないからである。
【0012】このようにして得られた抗菌・防カビ
合成は、ろ過した後、十分に蒸留水で洗浄し、置換さ
れた抗菌性金属とアルミニウム以外の共雑物を完全に取
り除いた後に乾燥し、必要に応じて粉砕して本発明の抗
菌・防カビを製造する。
【0013】このようにして得られる抗菌・防カビ
は、抗菌性金属イオンの溶出がなく安定で紫外線や加熱
による変色がないため、他の材料、例えばプラスチッ
ク、繊維等に混合して用いたり或いは塗料中に混合して
抗菌・防カビ塗装用などとして用いることができる。
【0014】本発明による抗菌・防カビは、抗菌性金
属の溶出を抑え、長期にわたり抗菌・防カビ性を発揮
し、また紫外線照射や加熱処理によって変化を起こさ
ず、材料の安定化を図ることができる。即ち本発明の抗
菌・防カビは、リン酸カルシウム中のCaイオンの一
部を抗菌性金属イオンで置換すると同時にアルミニウム
イオンで置換して安定化させ、リン酸カルシウムの持つ
結晶構造内に抗菌性金属とアルミニウムが取り込まれて
いることを特徴とするものであり、そのために、容易に
抗菌性金属がイオンとして溶出することもなく、長期に
わたり安定である。また、リン酸カルシウムの結晶構造
内に抗菌性金属がアルミニウムと共に取り込まれている
ため紫外線や熱に対しても構造変化をおこすことがな
く、日光に長期間さらされたり熱処理しても変色するこ
とがない。
【0015】
〔実施例1〕
蒸留水1リットルに37gの水酸化カルシウムを懸濁さ
せ、温度を40℃に設定した。これに80g/リットル
のリン酸を徐々に滴下し、懸濁液のpHが6になった時
点でリン酸の滴下を中止した。1時間熟成後、銀を0.1g
/mlを含む硝酸銀水溶液を15ml加え、同時にアルミニ
ウム0.05g/mlを含む硝酸アルミニウム水溶液を20ml添
加した。このまま3時間熟成した後、沈澱をろ過し、蒸
留水で十分に洗浄した。沈澱物を回収し50℃で乾燥
し、粉砕して本発明の抗菌・防カビを得た。このとき
銀含有量は、粉体中1.9%であった。
【0016】(比較例1) 実施例1と同様の操作で銀を0.1g/mlを含む硝酸銀水溶
液を15ml加えたが、アルミニウムは添加せず、以下実施
例1と同様の操作で抗菌・防カビを得た。この時粉体
中の銀の含有量は2.3%であった。
【0017】(比較例2) 市販のNa−Aゼオライト粉末100gに銀を0.1g/mlを含
む硝酸銀水溶液を約50mlと蒸留水を加えて全量300mlと
した。15時間熟成後、銀で置換されたゼオライトをろ
過し蒸留水で十分洗浄した。50℃で20時間乾燥し、
Ag置換ゼオライトを得た。この時粉体中の銀の含有量
は2.1%であった。
【0018】実験1 紫外線抵抗性 実施例1、比較例1,2で得られた抗菌・防カビに25
4nmの紫外線を照射し、各抗菌・防カビ材の色の変化を
調べた。その結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1から明らかなように、本発明の抗菌・
防カビは、紫外線を5時間照射しても変色が起こら
ず、白色のままであった。
【0021】実験2 加熱安定性 実施例1、比較例1,2で得られた抗菌・防カビを、
200℃〜600℃の範囲で加熱処理して色の変化を調べた。
その結果、表2に示すように、本発明の抗菌・防カビ
は、いずれの温度処理でも変色が起こらず、白色のまま
であった。
【0022】
【表2】
【0023】実験3 抗菌力安定性 実施例1、比較例1,2で得られた抗菌・防カビ1g
を蒸留水10リットルで洗浄した後の抗菌性を調べた。
試験菌には、黄色ブドウ球菌、枯草菌、大腸菌、サルモ
ネラ菌、肺炎桿菌、緑膿菌を用いた。各試験菌を普通ブ
イヨン培地で24時間培養した後、100倍に希釈し、
それぞれ0.1mlずつ普通寒天培地に播種した。菌を接
種した寒天培地上に被験物質をのせ、48時間培養した
後、被験物質の周囲にできた阻止帯の幅を測定した。表
3にその結果を示した。この表3中の数値は、実施例
1、比較例1,2のそれぞれ未洗浄の抗菌・防カビ材
阻止帯の幅を1.00とし、洗浄後の阻止帯の幅をその相対
値として示したものである。
【0024】
【表3】
【0025】表3から明らかなように、本発明の抗菌・
防カビは、十分に洗浄した後でも十分な抗菌力を有し
ており、優れた耐久性を有していることが認められた。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の抗菌・防
カビは、抗菌性金属の溶出を抑え、長期にわたり抗菌
・防カビ性を発揮し、また紫外線照射や加熱処理によっ
て変化を起こさず、材料の安定化を図ることができる。
即ち本発明の抗菌・防カビは、リン酸カルシウム中の
Caイオンの一部を抗菌性金属イオンで置換すると同時
にアルミニウムイオンで置換して安定化させ、リン酸カ
ルシウムの持つ結晶構造内に抗菌性金属とアルミニウム
が取り込まれていることを特徴とするものであり、その
ために、容易に抗菌性金属がイオンとして溶出すること
もなく、長期にわたり安定である。また、構造内に抗菌
性金属がアルミニウムと共に取り込まれているため紫外
線や熱に対しても構造変化をおこすことがなく、日光に
長期間さらされたり熱処理しても変色することがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−288006(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01N 59/16 A01N 25/22 A01N 25/26 A61L 2/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Caの一部が抗菌性金属及びアルミニウ
    ムで置換されたリン酸カルシウムからなる抗菌・防カビ
  2. 【請求項2】 リン酸カルシウムを湿式法により合成
    し、これに抗菌性金属化合物と水溶性アルミニウム化合
    物を同時に添加することを特徴とする抗菌・防カビ
    製造方法。
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EP1576880A1 (en) * 2004-03-16 2005-09-21 Well-being Biochemical Corp. Anti-bacterial, anti-viral, and anti-fungus composition, its preparation and use
CN105727751B (zh) * 2016-04-26 2019-07-23 上海应用技术学院 一种高分散性杂化抗菌剂在超滤膜改性方面的应用
CN113080204B (zh) * 2021-03-10 2022-04-08 蒙娜丽莎集团股份有限公司 一种具有持久抗菌功能的载银磷酸钙及其湿法合成方法

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