以下、本考案の実施の形態として示す組結合金物と、この組結合金物を用いた軸組を構成する構造材の結合構造について図面を参照して詳細に説明する。組結合金物は、それぞれ詳細を後述するが、例えば通し柱と土台や梁等の軸組7の主として比較的大きな荷重が負荷される構造材間を結合する箇所に使用される第1結合金物(以下、主結合金物と称する。)1と、例えば間柱と土台や梁等の比較的小さな荷重が負荷される構造材間を結合する箇所に使用される第2結合金物(以下、補助結合金物と称する。)2により構成する。
組結合金物は、さらに主結合金物1が、図1に示す平面型第1主結合金物(以下、第1主結合金物と称する。)3と、図2に示す立体型第1結合金物(以下、第2主結合金物と称する。)4の2種類により構成する。また、組結合金物は、補助結合金物2が、図3に示す平面型補助結合金物(以下、第1補助結合金物と称する。)5と、図4に示す立体型補助結合金物(以下、第2補助結合金物と称する。)6の2種類により構成する。
なお、組結合金物は、主結合金物1を構成する第1主結合金物3と第2主結合金物4及び補助結合金物2を構成する第1補助結合金物5と第2補助結合金物6が基本的な構成を同等とする。したがって、以下の説明において、第1主結合金物3或いは第2主結合金物4の個別の説明を省略して主結合金物1として説明するとともに、第1補助結合金物5と第2補助結合金物6についても個別の説明を省略して補助結合金物2として説明する。主結合金物1及び補助結合金物2については、特に個別に説明を行う場合及び図面には符号の末尾に第1主結合金物3側の部位にはS、第2主結合金物4側の部位にはTの符号を付して識別するものとする。
組結合金物は、第1主結合金物3と第2主結合金物4及び第1補助結合金物5と第2補助結合金物6が図5に概略構造を示す軸組7の所定箇所に合わせて適宜選択されて用いられる。組結合金物は、例えば基礎31上に設置した土台32や大引、胴差、梁等の各種横架構造材34等として示す第1構造材8と、土台32に立設される通し柱や横架構造材34等に立設される管柱或いは間柱等の各種垂直構造材33等として示す第2構造材9とを結合する。組結合金物は、例えば主柱と大引きや主梁等のさらに大きな荷重が負荷される箇所において、主結合金物1と補助結合金物2を適宜組み合わせて用いることにより、第1構造材8と第2構造材9とを強固に結合する。
組結合金物は、詳細を省略するが、主結合金物1がそれぞれ第1固定部10と第2固定部11を一体に形成してなり、第2固定部11を第1構造材8に固定した状態でこの第1構造材8に突き合わされる第2構造材9に対して第1固定部10が固定されることにより第1構造材8と第2構造材9とを結合する。組結合金物は、詳細を省略するが、補助結合金物2もそれぞれ第1固定部位12と第2固定部位13を一体に形成してなり、第1固定部位12(第2固定部位13)を第1構造材8に固定した状態でこの第1構造材8に突き合わされる第2構造材9に対して第2固定部位13(第1固定部位12)が固定されることにより第1構造材8と第2構造材9とを結合する。組結合金物は、主結合金物1を第1構造材8又は第2構造材9に固定するためにドリフトピン14が用いられる。組結合金物は、ドリフトピン14を共用して補助結合金物2を第1構造材8又は第2構造材9に固定する。
第1構造材8と第2構造材9は、上述したように設置された主部材である第1構造材8に対して、副部材である第2構造材9が組み合わされる、例えば土台と柱や大引き、柱と梁等の組み合わせである。なお、第1構造材8と第2構造材9は、軸組の構成によりかかる部材の組み合わせ順位に限定されないことは勿論であるが、主組結合金物1の基本使用として、先行して固定される主部材側に第2固定部11を固定し、この主部材に組み合わされる副部材側に第1固定部10が嵌合されるようにする。第1構造材8と第2構造材9には、後述するように主結合金物1や補助結合金物2を組み合わせて固定する嵌合溝が形成される。嵌合溝は、第1構造材8と第2構造材9に対して、主結合金物1や補助結合金物2の厚みとほぼ等しい溝幅を有し、突き合わせ端面に開口して長さ方向に向かって形成されたスリットである。本明細書においては、各嵌合溝について、単に第1構造材8や第2構造材9に長さ方向に形成されると表現する。
第1構造材8には、第2構造材9との突合せ端面(突合せ面)15のほぼ中央部に開口して長さ方向の第1嵌合溝16が形成される。第1構造材8には、突合せ端面15と直交する所定側面17のほぼ中央部に開口してドリフトピン14を打ち込むための第1打込み孔18が形成される。第1構造材8は、第1打込み孔18が、突合せ端面15を基準として長さ方向に所定の間隔を以って形成された2個からなり、それぞれが第1嵌合溝16を横断して貫通する。第1構造材8には、第1嵌合溝16に主結合金物1の第2固定部11或いは補助結合金物2の第1固定部位12が嵌合されてドリフトピン14により固定される。第1構造材8は、突合せ端面15から第1固定部10や第2固定部位11を突出させた状態で、主結合金物1或いは補助結合金物2を固定する。
第2構造材9にも、第1構造材8との突合せ端面19のほぼ中央部に開口して長さ方向の第2嵌合溝20が形成される。第2構造材9には、突合せ端面19と直交する所定側面21のほぼ中央部に開口してドリフトピン14を打ち込むための第2打込み孔22が形成される。第2構造材9も、第2打込み孔22が、突合せ端面15を基準として長さ方向に所定の間隔を以って形成された2個からなり、それぞれが第2嵌合溝20を横断して貫通する。第2構造材9は、第1構造材8に対して、突合せ端面19を突合せ端面15に突き合わせて突出されている第1固定部10や第2固定部位11を第2嵌合溝20に嵌合させる。第2構造材9は、第2打込み孔22から打ち込んだドリフトピン14により主結合金物1或いは補助結合金物2が固定されることにより、第1構造材8と結合される。
第1構造材8は、工場において所定形状の切断、第1嵌合溝16の溝切り加工、或いは第1打込み孔18の穿孔加工等が施されたプレカット材として現場搬入される。第2構造材9も、工場において所定形状の切断、第2嵌合溝20の溝切り加工、第2打込み孔22の穿孔加工とともに、主結合金物1や補助結合金物2を固定する作業を施してプレカット材として現場搬入される。第1構造材8及び第2構造材9は、面倒かつ精密なほぞ継ぎ手等の結合構造の加工を不要とし、溝切り機による第1嵌合溝16や第2嵌合溝20の形成工程或いはドリルによる第1打込み孔18や第2打込み孔22の穿孔工程を経て効率よく形成することが可能である。第1構造材8及び第2構造材9は、結合部における断面寸法が保持されることにより、機械的強度の劣化が抑えられる。
第1構造材8及び第2構造材9は、詳細を後述するように、主結合金物1又は補助結合金物2を用いて一体に結合される。第1構造材8及び第2構造材9は、第1嵌合溝16や第2嵌合溝20が、嵌合される主結合金物1の第1固定部10や第2固定部11或いは補助結合金物2の第1固定部位12や第2固定部位13の形状及び嵌合方向に応じて適宜形成される。第1構造材8及び第2構造材9は、第1打込み孔18や第2打込み孔22から打ち込んだドリフトピン14により第1嵌合溝16や第2嵌合溝20に嵌合した主結合金物1や補助結合金物2を固定する。
第1構造材8及び第2構造材9は、軸組7の部位によりドリフトピン14を側面から打ち込むことができない組み合わせがある。第1構造材8及び第2構造材9は、幅方向の第1嵌合溝16や第2嵌合溝20を形成した場合に機械的強度が低下してしまう。第1構造材8及び第2構造材9は、後述するようにそれぞれ2種類の主結合金物1及び補助結合金物2が選択して用いられることにより、如何なる箇所においても主結合金物1又は補助結合金物2とドリフトピン14により結合することが可能である。
組結合金物は、主結合金物1と補助結合金物2を、例えば6mm(5mm〜6mm)厚の鋼板を素材とし、この素材に所定の加工を施した後に四三酸化鉄被膜を成膜する黒染め処理等の適宜の防錆表面処理を施して形成する。組結合金物は、後述するように主結合金物1と補助結合金物2を組み合わせて用いることにより、薄厚の鋼板を素材としても同等の耐震性を得ることが可能である。組結合金物は、第1主結合金物3と第1補助結合金物5を、素材に外形抜き加工と孔開け加工を施して形成する。組結合金物は、第2主結合金物4と第2補助結合金物6を、素材に外形抜き加工と孔開け加工を施した後に捻り加工を施して形成する。
組結合金物は、上述した簡易な工程によって効率的に形成することが可能であり、廉価である。組結合金物は、上述したように廉価なドリフトピン14を用いて第1構造材8や第2構造材9を結合する。組結合金物は、このように第1構造材8や第2構造材9に対してドリフトピン14を用いて固定することから、ボルト・ナットを用いる固定方法と比較して、位置合わせや組み合わせの手間或いは締め付けのトルク調整等が不要であり、作業効率の大幅な向上が図られる。組結合金物は、第1主結合金物3と第2主結合金物4及び第1補助結合金物5と第2補助結合金物6を組み合わせて用いることにより、第1構造材8と第2構造材9の組み合わせ態様に制限されずにドリフトピン14の打ち込みが可能であり、第1構造材8と第2構造材9を強固に結合する。
組結合金物は、上述したように主結合金物1や補助結合金物2が第1構造材8に対して、突合せ端面15から第1固定部10や第2固定部位13を突出させて第2固定部10と第1固定部位12を固定される。組結合金物は、第2固定部10や第1固定部位12を第1構造材8に対して少なくとも2本のドリフトピン14により固定することにより、主結合金物1や補助結合金物2が回動して第1固定部10や第2固定部位13に位置ズレが生じないようにする。
主結合金物1は、後述するように軸組7に一般に用いられる120mm角の土台や135mm角の通し柱或いは105mm角の管柱や適宜サイズの梁材や小型の構造材の結合用として共通して用いられる。したがって、主結合金物1は、第1固定部10が各構造材に組み付けた状態で側面から突出せずかつ所定の機械的強度を保持するに足る例えば100mm以下60mm以上の長手寸法を以って形成することが好ましい。主結合金物1は、第1固定部10や第2固定部11を第1構造材8の第1嵌合溝16や第2構造材9の第2嵌合溝20に対してその主面が構造材の側面と平行状態となるように嵌合することで、地震により作用される引抜き荷重や圧縮荷重に対する各構造材の機械的耐力が損なわれないようにする。
主結合金物1は、第1固定部10がそれぞれ略変形五角形の板状に形成され、この第1固定部10の頂点部と対向する底側縁部に第2固定部11が一体に連設されている。主結合金物1は、上述したように基本態様において第2固定部11側を第1構造材8に固定するとともにその側面から突出させた第1固定部10側に第2構造材9が組み付けられる。主結合金物1は、第1固定部10が略変形五角形に形成されることにより、第2構造材9の嵌合操作が容易に行われるようにする。
なお、主結合金物1は、図1に示すように第1固定部10Sに対して第2固定部11Sを同一面を構成して連設した仕様のものが第1主結合金物3であり、図2に示すように第1固定部10Tに対して90°の捻り処理を施して第2固定部11Tを連設した仕様のものが第2主結合金物4である。すなわち、主結合金物1は、第1主結合金物3と第2主結合金物4が、この第2固定部11の捻り処理の有無の構成を除いて他の部位をほぼ同等に形成される。
主結合金物1には、第1固定部10に、厚み方向に貫通する3個の第1取付孔23−1乃至23−3(以下、個別に説明する場合を除いて第1取付孔23と総称する。)が形成される。主結合金物1は、第1固定部10の中央部に位置して丸孔からなる第1取付孔23−1を形成し、両側縁に開口する長孔からなる左右の第1取付孔23−2、23−3を形成する。主結合金物1は、少なくとも第1取付孔23−1と左右の第1取付孔23−2、23−3のいずれか一方にドリフトピン14が貫通することにより、第2構造材9に固定される。主結合金物1は、左右の第1取付孔23−2、23−3を両側縁に開口する長孔に形成することで、第1構造材8に対して第2構造材9を組み合わせる際に第2構造材9側に予め打ち込まれたドリフトピン14の内方への呼び込みガイドとして作用するとともに、過大な負荷を逃がして第2構造材5に亀裂等の発生が抑制されるようにする。
主結合金物1は、第2固定部11が、第1固定部10の底側縁部から所定の間隔を以って一体に連設された左右一対の第1固定凸片部24Lと第2固定凸片部24R(以下、個別に説明する場合を除いて固定凸片部24と総称する。)とから構成される。主結合金物1には、第2固定部11の第1固定凸片部24Lに長さ方向に離間して厚み方向に貫通する2個の第2取付孔25L−1、25L−2が形成されるとともに、これら第2取付孔25L−1、25L−2に対応して第2固定凸片部24Rにも長さ方向に離間して厚み方向に貫通する2個の第2取付孔25R−1、25R−2が形成される。第2取付孔25L−1、25L−2及び第2取付孔25R−1、25R−2については、以下、個別に説明する場合を除いて第2取付孔25と総称する。第2取付孔25は、いずれもドリフトピン14を貫通させる丸孔からなる。
主結合金物1は、上述したように第2主結合金物4が、固定凸片部24Tに対してそれぞれの基端部37L、37R(以下、捻り部位と称し、個別に説明する場合を除いて捻り部位37と総称する。)において90°の捻り処理を施してなる第2固定部11Tを構成する。第2主結合金物4は、図2に示すように第1固定凸片部24LTと第2固定凸片部24RTが、捻り部位37を介して所定の間隔を以って互いに平行に対峙する矩形の凸片部位として構成される。第2主結合金物4には、第1固定凸片部24LTと第2固定凸片部24RTに、第2取付孔25LT、25RTが同軸線上に位置して形成されている。第2主結合金物4は、第1固定部10Tの第1取付孔23Tと第2固定部11Tの第2取付孔25Tに対してドリフトピン14が互いに直交する方向から貫通する。
主結合金物1は、第1固定部10に形成した第1取付孔23と第2固定部11に形成した第2取付孔25が、全て同一の内径(但し、長孔の第1取付孔23−2、23−3については幅)に形成される。したがって、主結合金物1は、同一仕様のドリフトピン14を用いて、第1構造材8や第2構造材9に固定される。
以上のように構成された主結合金物1は、第1構造材8に対してその突合せ端面15に開口する第1嵌合溝16に第2固定部11が嵌合される。主結合金物1は、第1構造材8の側面17に開口された第1打込み孔18からドリフトピン14が打ち込まれ、このドリフトピン14が第2取付孔25を貫通することにより第1構造材8に固定される。主結合金物1は、この状態で第1固定部10が突合せ端面15から突出して第1構造材8に固定される。主結合金物1は、第1構造材8に対して組み合わされる第2構造材9の第2嵌合溝20に突合せ端面15から突出した第1固定部10が嵌合するとともに、第2構造材8の側面21に開口された第2打込み孔22から打ち込まれたドリフトピン14が第1取付孔23を貫通することにより第1固定部10を第2構造材8に固定される。主結合金物1は、これにより第1構造材8と第2構造材8を一体化する。
組結合金物は、上述した主結合金物1に対して補助結合金物2が組み合わされ、或いはこの補助結合金物2が単独で用いられる。補助結合金物2は、上述したように6mm厚の鋼板を素材とし、長さが約148mm、幅が約22mmの矩形板状を基本形にして形成される。補助結合金物2は、長さ方向の一方部位が上述した主結合金物1の第1固定部10と対応する第1固定部位26を構成するとともに相対する長さ方向の他方部位が第2固定部11と対応する第2固定部位27を構成する。補助結合金物2も、第1固定部位26や第2固定部位27を第1構造材8の第1嵌合溝16や第2構造材9の第2嵌合溝20に対してその主面が構造材の側面と平行状態となるように嵌合することで、地震により作用される引抜き荷重や圧縮荷重に対する各構造材の機械的耐力が損なわれないようにする。
補助結合金物2には、図3及び図4に示すように、第1固定部位26に主結合金物1の第1固定部10に形成した第1取付孔23と対応して第3取付孔28が形成される。補助結合金物2には、図3及び図4に示すように、第2固定部位27に主結合金物1の第2固定部11に形成した第2取付孔25と対応して第4取付孔29が形成される。補助結合金物2は、第3取付孔28や第4取付孔29が、主結合金物1側の第1取付孔23や第2取付孔25と同径の丸孔として形成され、ドリフトピン14が共通に用いられて第1構造材8と第2構造材9に固定される。
補助結合金物2は、後述するように第1構造材8に対して、その突合せ端面15から第2固定部位27を突出させて第1嵌合溝16内に第1固定部位26が固定される。補助結合金物2は、第1構造材8に第2構造材9が組み合わされて第2固定部位27が第2構造材9側の第2嵌合溝20内に嵌合し、第2打込み孔22から打ち込まれたドリフトピン14により固定される。補助結合金物2は、第2固定部位27側の第4取付孔29を例えば長孔に形成して第2打込み孔22との位置合わせが行われるようにしてもよい。
補助結合金物2は、第3取付孔28を、第1固定部位26に長さ方向に並んで形成された2個の第3取付孔28−1、28−2により構成する。補助結合金物2は、第4取付孔29を、第2固定部位27に長さ方向に並んで形成された2個の第4取付孔29−1、29−2により構成する。なお、補助結合金物2は、第3取付孔28と第4取付孔29を2個に限定されず1個であってもよい。
補助結合金物2は、第2補助結合金物6が、図4に示すように長さ方向の中央部において90°の捻り処理を施して捻り部位30を形成することにより、この捻り部位30を介して主面が互いに直交状態とされた第1固定部位26Tと第2固定部位27Tとが構成されるようにする。第2補助結合金物6は、第1固定部位26Tの第3取付孔28と第2固定部位27Tの第4取付孔29に対してドリフトピン14が互いに直交する方向から貫通する。
以上のように構成された補助結合金物2は、第1構造材8に対してその突合せ端面15に開口する第1嵌合溝16に第1固定部位26が嵌合される。補助結合金物2は、第1構造材8の側面17に開口された第1打込み孔18からドリフトピン14が打ち込まれ、このドリフトピン14が第3取付孔28を貫通することにより第1構造材8に固定される。補助結合金物2は、この状態で第2固定部位27が突合せ端面15から突出して第1構造材8に固定される。補助結合金物2は、第1構造材8に対して組み合わされる第2構造材9の第2嵌合溝20に突合せ端面15から突出した第2固定部位27が嵌合するとともに、第2構造材8の側面21に開口された第2打込み孔22から打ち込まれたドリフトピン14が第4取付孔29を貫通することにより第2固定部位27を第2構造材8に固定される。補助結合金物2は、これにより第1構造材8と第2構造材8を一体化する。
以上のように構成された主結合金物1と補助結合金物2は、各種の構造材間を結合して図5に示す軸組7を構成する。軸組7は、詳細を省略するが基礎31上に設置した土台32をアンカボルト等により固定する。軸組7は、土台32に対して通し柱や管柱或いは間柱等の各種垂直構造材33を立設し、これら垂直構造材33間に大引、胴差、梁等の各種横架構造材34を結合して組み立てられる。軸組7には、上部に小屋組35が行われた後に、屋根が葺かれる。
軸組7は、図5において例えばA部に示すコーナ部位の土台である第1構造材8と通し柱である第2構造材9の結合部位において、図6及び図7を参照して後述する第1主結合金物3を用いた結合が行われる。軸組7は、例えばB部に示す途中箇所の土台である第1構造材8と通し柱である第2構造材9の結合部位において、図8及び図9を参照して後述する第2主結合金物4を用いた結合が行われる。
軸組7は、例えばC部に示す2階の梁である第1構造材8と第2構造材9の結合部位において、図10及び図11を参照して後述する第1補助結合金物5を用いた結合が行われる。軸組7は、例えばD部に示す2階管柱である第1構造材8と2階梁である第2構造材9の結合部位において、図12及び図13を参照して後述する第2補助結合金物6を用いた結合が行われる。軸組7は、例えばE部に示す大引きが交差し主柱が立設される部位において、主結合金物1と補助結合金物2を組み合わせた組結合金物により第1構造材8と第2構造材9の結合が行われる。
図7及び図8に示す結合構造40は、第1固定部10−1Sと第2固定部11−1Sが同一面を構成して連設された上述した第1主結合金物3−1を用いて第1構造材8−1と第2構造材9−1を結合した構造である。第1構造材8−1には、互いに平行な長さ方向の左右一対の第1嵌合溝16−1L、16−1Rからなる第1嵌合溝16−1を突合せ端面15−1に開口して形成する。第1構造材8−1は、第1嵌合溝16−1L、16−1Rを、それぞれ第1主結合金物3−1の第2固定部11Sを構成する固定凸片部24−1LS、24−1RSと略等しい断面形状及び長さに形成する。
第1構造材8−1には、第1嵌合溝16−1と対向する側面17−1に開口し、相対する第1嵌合溝16−1L、16−1Rに直交してそれぞれ貫通する第1打込み孔18−1L、18−1Rが形成される。第1構造材8−1は、第1打込み孔18−1が、第1主結合金物3−1の第2固定部11−1Sを相対する第1嵌合溝16−1にそれぞれ嵌合した状態で、例えば先端側の第2取付孔25−1L−2S、25−1R−2S(25−1)と相対位置するようにして形成される。
第1構造材8−1には、第1主結合金物3−1Sが、突合せ端面15−1の開口から第1嵌合溝16−1に対して第2固定部11−1Sを嵌合して組み付けられる。第1構造材8−1には、側面17−1に開口した第1打込み孔18−1L、18−1R(18−1)からそれぞれドリフトピン14−1−1、14−1−2(14−1)が打ち込まれる。第1構造材8−1は、打ち込まれたドリフトピン14−1が図7に示すように相対する第2取付孔25−1をそれぞれ貫通することにより、第1嵌合溝16−1内で嵌合された第2固定部11−1Sを固定して第1主結合金物3−1を組み付ける。第1主結合金物3−1は、この状態で第1固定部10−1Sが突合せ端面15−1から突出した状態となる。
第2構造材9−1には、突合せ端面19−1に開口して長さ方向の第2嵌合溝20−1が形成される。第2構造材9−1は、第2嵌合溝20−1を、第1主結合金物3−1の略変形五角形に形成した第1固定部10−1Sが嵌合される開口寸法に形成する。第2構造材9−1は、第2嵌合溝20−1と対向する側面21−1に開口し、第2嵌合溝20−1を貫通する第2打込み孔22−1L、22−1R(22−1)を形成する。第2構造材9−1は、第2打込み孔22−1Lを第1主結合金物3−1側の固定凸片部24−1LSに形成した第2取付孔25−1L−2Sと対応位置し、第2打込み孔22−1Rを固定凸片部24−1RSに形成した第2取付孔25−1R−2Sと対応位置して形成する。
結合構造40は、第2構造材9−1に対して例えば一方の第2打込み孔22−1Rからドリフトピン14−1−4が打ち込まれて第2嵌合溝20−1を貫通させた状態で、この第2構造材9−1を第1構造材8−1と組み合わせる。結合構造40においては、第2構造材9−1の第2嵌合溝20−1内に第1主結合金物3−1の第1固定部10−1Sを嵌合し、予め打ち込まれたドリフトピン14−1−4を相対する第1取付孔23−1−3S内に呼び込むことにより、第1構造材8−1に対して位置決めされて組み合わされる。結合構造40においては、第2打込み孔22−1Lからドリフトピン14−1−3を打ち込んで第1固定部10−1Sの第1取付孔23−1−1Sに貫通させることにより、第1構造材8−1と第2構造材9−1を第1主結合金物3−1を用いて結合する。
結合構造40は、上述したようにそれぞれの突合せ端面15−1、19−1に開口する長さ方向の第1嵌合溝16−1、第2嵌合溝20−1を形成する熟練を要せず簡易かつ効率的な溝加工を施した形成した第1構造材8−1や第2構造材9−1が用いられる。結合構造40は、第1構造材8−1や第2構造材9−1が精密な継ぎ手加工等を不要としてコスト低減が図られるとともに結合部位における断面寸法も保持されて機械的強度の向上が図られる。
結合構造40は、第1固定部10−1Sと第2固定部11−1Sを連設した構造簡易な第1主結合金物3−1を用いて第1構造材8−1と第2構造材9−1を結合する。結合構造40は、第1主結合金物3−1の第1固定部10−1Sと第2固定部11−1Sを相対する第2嵌合溝20−1、第1嵌合溝16−1に嵌合してドリフトピン14−1を打ち込む簡易な作業により第1構造材8−1と第2構造材9−1を結合する。結合構造40は、例えば5mm厚の第1主結合金物3−1を用いた場合に、第1構造材8−1と第2構造材9−1間に25Nの引張り力を負荷させた場合でも結合部位に変化が生じることは無かった。結合構造40は、大地震に伴って各構造材の突合せ部位に作用される大きな負荷に対しても極めて大きな機械的強度を有する耐震構造の軸組7を低コストで構築することを可能とする。
図8及び図9に示す結合構造45は、捻り部37−1L、37−1Rを有して第1固定部10−1Tと第2固定部11−1Tが直交状態で連設された上述した第2主結合金物4−1を用いて第1構造材8−2と第2構造材9−2を結合する構造である。結合構造45は、第2主結合金物4−1を用いることにより、上述した第1主結合金物3−1を用いた結合構造40では実施不能な第1構造材8或いは第2構造材9に対する長さ方向の側面からのドリフトピン14の打ち込みを可能として第1構造材8−2と第2構造材9−2を結合する。
結合構造45は、第1主結合金物3−1に代えて捻り部位37−1L、37−1R(37−1)を有する第2主結合金物4−1を用いるとともに、第1構造材8−2が第1嵌合溝16と第1打込み孔22との形成位置を変えて形成される。第1構造材8−2には、第1主結合金物4−1の捻り部位37−1に対応して突合せ側面15−2に座ぐり凹部38−2が形成される。結合構造45は、その他の構成について上述した結合構造40と同様とすることから、対応する部材や部位に同一符号(但し末尾のSはTに代えて示す。)を付すことにより重複説明を省略する。
第1構造材8−2は、長さ方向の途中箇所において、突合せ側面15−2に開口して互いに平行に対峙する長さ方向の左右一対の第1嵌合溝16−2L、16−2Rからなる第1嵌合溝16−2を形成する。第1構造材8−2は、突合せ側面15−2と直交する長さ方向の側面17−2に開口して少なくとも1個の第1打込み孔18−2を形成する。第1打込み孔18−2は、第1嵌合溝16−2に直交して貫通し、例えば第1構造材8−2に固定される第2主結合金物4−1の第2固定部11−2Tに形成された互いに軸線を一致された先端側の第2取付孔25−2L−2T、25−2R−2T(25−2)に対応位置して形成される。
第1構造材8−2は、捻り部位37−1を有する第2主結合金物4−1を突合せ側面15−2からその第1固定部10−1Tを突出させて固定するために、突合せ側面15−2に座ぐり凹部38−1を形成する。座ぐり凹部38−1は、捻り部位37−1を収容するに足る開口寸法と深さ寸法を以って突合せ側面15−2に形成される。なお、座ぐり凹部38−1は、第1嵌合溝16−2L、16−2Rのそれぞれの開口部位に対応して形成した凹部であってもよい。
結合構造45も、上述した第1構造材8−2に対して第2主結合金物4−1が、突合せ端面15−1の開口から第1嵌合溝16−2に対して第2固定部11−1Tを嵌合して組み付けられる。第1構造材8−2には、側面17−2に開口した第1打込み孔18−2からドリフトピン14−2−1が打ち込まれる。第1構造材8−2は、打ち込まれたドリフトピン14−2−1が図9に示すように同軸上に位置する第2取付孔25−2L−2T、25−2R−2T(25−2)をそれぞれ貫通することにより、第1嵌合溝16−2内で嵌合された第2固定部11−1Tを固定して第2主結合金物4−1を組み付ける。第2主結合金物4−1は、この状態で第1固定部10−1Tが突合せ端面15−1から突出した状態となる。
結合構造45は、上述したように捻り部位37−1を介して第1固定部10−1Tと第2固定部11−1Tとを直交状態で連設した第2主結合金物4−1を用いることにより、この第2主結合金物4−1を第1構造材8−2に対して長さ方向の側面17−2に開口した第1打込み孔18−2から打ち込んだドリフトピン14−2−1により固定する。結合構造45は、突合せ側面15−2から第2主結合金物4−1の第1固定部10−1Tを突出させた第1構造材8−2に対して、突合せ側面15−2に突合せ側面19−2を突き合わせて第2構造材9−2が組み合わされる。
結合構造45は、第2構造材9−2に対して、突合せ側面19−2に開口して形成した第2嵌合溝20−2に第1構造材8−2の突合せ側面15−2から突出された第2主結合金物4−1の第1固定部10−1Tが嵌合される。結合構造45は、第2構造材9−2に対して第2主結合金物4−1が、側面21−2に開口された第2打込み孔22−2から打ち込まれたドリフトピン14−2−2、14−2−3が第1固定部10−1Tの相対する第1取付孔23−2を貫通することにより固定される。結合構造45は、第2主結合金物4−1を介して第1構造材8−2と第2構造材9−2が結合される。
図10及び図11に示す結合構造50は、第1固定部位26−1Sと第2固定部位27−1Sが同一面を構成して連設された上述した第1補助結合金物5−1を用いて第1構造材8−3と第2構造材9−3を結合した構造である。第1構造材8−3には、突合せ端面15−3の略中央部に開口して長さ方向の第1嵌合溝16−3が形成される。第1構造材8−3は、第1嵌合溝16−3を、第1補助結合金物5−1の第1固定部位26−1Sの断面寸法とほぼ等しい開口寸法を有しかつ第1補助結合金物5−1の長さの略1/2の深さを有する矩形溝に形成する。
第1構造材8−3には、第1嵌合溝16−3と対向する側面17−3に開口してドリフトピン14−3を打ち込むための第1打込み孔18−3が形成される。第1打込み孔18−3は、第1嵌合溝16−3を横断して貫通する。なお、第1打込み孔18−3は、第1補助結合金物5−1の第1固定部位26−1Sに形成した2個の第3取付孔28−1Sに対応して形成した2個を図示するが、いずれか一方に対応して1個を形成するようにしてもよい。
第1構造材8−3には、第1補助結合金物5−1が、突合せ端面15−3の開口から第1嵌合溝16−3に対して第1固定部位26−1Sを嵌合して組み付けられる。第1構造材8−3には、側面17−3に開口した第1打込み孔18−3からドリフトピン14−3−1が打ち込まれる。第1構造材8−3は、打ち込まれたドリフトピン14−3−1が図10及び図11に示すように第3取付孔28−1Sを貫通することにより、第1嵌合溝16−3内に嵌合された第1固定部固定部位26−1Sを固定して第1補助結合金物5−1を組み付ける。第1補助結合金物5−1は、この状態で図10に示すように第2固定部27−1Sが突合せ端面15−3から突出した状態となる。
第2構造材9−3には、突合せ端面19−3に開口して長さ方向の第2嵌合溝20−3が形成される。第2構造材9−3は、第2嵌合溝20−3も、第1補助結合金物5−1の第2固定部位27−1Sが嵌合される開口寸法を有して、第1構造材8−3側の第1嵌合溝16−3と対向して形成する。第2構造材9−3は、第2嵌合溝20−3と対向する側面21−3に開口し、第2嵌合溝20−3を貫通する第2打込み孔22−3を形成する。なお、第2打込み孔22−3も、第1補助結合金物5−1の第2固定部位27−1Sに形成した2個の第4取付孔29−1Sに対応して形成した2個を図示するが、いずれか一方に対応して1個を形成するようにしてもよい。
結合構造50は、第1構造材8−3に対してその突合せ端面15−3に第2構造材9−3が突合せ端面19−3を突き合わせて組み合わされる。結合構造50は、第1構造材8−3の第1嵌合溝16−3内に第1固定部固定部位26−1Sを固定された第1補助結合金物5−1の突合せ端面15−3から突出された第2固定部27−1Sが、第2構造材9−3の第2嵌合溝20−3内に嵌合する。結合構造50は、第2構造材9−3の第2打込み孔22−3から打ち込まれたドリフトピン14−3−2が、図11に示すように第2嵌合溝20−3内に嵌合された第1補助結合金物5−1の第4取付孔29−1Sを貫通することにより、第1構造材8−3と第2構造材9−3を第1補助結合金物5−1を用いて結合する。
図12及び図13に示す結合構造55は、捻り部位30−1を介して第1固定部位26−1Tと第2固定部位27−1Tを直交状態で連設した上述した第2補助結合金物6−1を用いて第1構造材8−4と第2構造材9−4を結合した構造である。結合構造55は、第2補助結合金物6−1を用いることにより、第1構造材8−4或いは第2構造材9−4に対する長さ方向の側面からのドリフトピン14の打ち込みを可能として第2補助結合金物6−1を介して第1構造材8−4と第2構造材9−4を結合する。
第1構造材8−4には、突合せ端面15−4の略中央部に開口して長さ方向の第1嵌合溝16−4が形成される。第1嵌合溝16−4も、第2補助結合金物6−1の第1固定部位26−1Tの断面寸法とほぼ等しい開口寸法を有しかつ第2補助結合金物6−1の長さの略1/2の深さを有する矩形溝に形成される。第1構造材8−4は、捻り部位30−1を有する第2補助結合金物6−1を突合せ側面15−4からその第2固定部位27−1Tを突出させて固定するために、突合せ側面15−2に座ぐり凹部38−1を形成する。第1構造材8−4には、突合せ端面15−4と直交する側面17−4に第1打込み孔22−4が形成される。
結合構造55も、上述した第1構造材8−4に対して第2補助結合金物6−1が、突合せ端面15−4の開口から第1嵌合溝16−4内に第1固定部位26−1Tを嵌合して組み付けられる。第1構造材8−4には、側面17−4に開口した第1打込み孔18−4からドリフトピン14−4−1が打ち込まれる。第1構造材8−4は、打ち込まれたドリフトピン14−4−1が図13に示すように第3取付孔28−1Tを貫通することにより、第1嵌合溝16−4内に嵌合された第1固定部位26−1Tを固定して第2補助結合金物6−1を組み付ける。第2補助結合金物6−1は、この状態で第2固定部位27−1Tが突合せ端面15−4から突出した状態となる。第2補助結合金物6−1は、捻り部位30が座ぐり凹部38−1内に収納される。
第2構造材9−4には、突合せ端面19−4に開口して長さ方向の第2嵌合溝20−4が形成される。第2構造材9−4は、第2嵌合溝20−4も、第2補助結合金物6−1の第2固定部位27−1Tが嵌合される開口寸法を有して、第1構造材8−4側の第1嵌合溝16−4と直交する向きで形成する。第2構造材9−4は、第2嵌合溝20−4と対向する側面21−4に開口し、第2嵌合溝20−4を貫通する第2打込み孔22−4を形成する。
結合構造55は、第1構造材8−4に対して、突合せ側面19−4に開口して形成した第2嵌合溝20−4に突合せ側面15−4から突出された第2補助結合金物6−1の第2固定部位27−1Tが嵌合される。結合構造55は、第2構造材9−4に対して第2補助結合金物6−1が、側面21−4に開口された第2打込み孔22−4から打ち込まれたドリフトピン14−4−2が第2固定部位27−1Tの第4取付孔29−1Tを貫通することにより固定される。結合構造55は、第2補助結合金物6−1を介して第1構造材8−4と第2構造材9−4が結合される。
図14に示す結合構造60は、第1構造材8−5と第2構造材9−5とを、第1固定部10−5(S)と第2固定部11−5(S)が同一面を構成して連設された上述した第1主結合金物3−5(S)と、第1固定部位26−5(S)と第2固定部位27−5(S)が同一面を構成して連設された上述した第1補助結合金物5−5(S)を組み合わせて結合した構造である。結合構造60は、例えば第1構造材8−5に対してその長さ方向の側面を突合せ側面15−5として第2構造材9−5が突合せ端面19−5を突き合わされ、第1主結合金物3−5による結合構造に第1補助結合金物5−5を組み合わせて補強して結合が行われる。
結合構造60には、第1構造材8−5に、上述した結合構造40の第1構造材8−1に形成した第1主結合金物3−1の固定構造と同等に構成される第1主結合金物結合部61と、上述した結合構造50の第1構造材8−3に形成した第1補助結合金物5−1の固定構造と同等に構成される第1補助結合金物結合部62が長さ方向に並んで形成される。結合構造60には、第2構造材9−5に、第1主結合金物結合部61と第1補助結合金物結合部62に相対位置し、上述した結合構造40の第2構造材9−1に形成した第1主結合金物3−1の固定構造及び上述した結合構造50の第2構造材9−3に形成した第1補助結合金物5−1の固定構造と同等に構成される結合金物受け結合部63が形成される。
第1主結合金物結合部61は、図14に示すように、突合せ側面15−5の略中央部に開口して第1主結合金物3−5の第2固定部11−5が嵌合される第1主嵌合溝16−5Mと、突合せ側面15−5と直交する側面17−5に開口する第1主打込み孔18−5Mとから構成される。第1主嵌合溝16−5Mは、第1主結合金物3−5の第2固定部11−5を構成する固定凸片部24−5L、24−5Rに相対する長さ方向に並んで形成された一対の第1主結合金物嵌合溝16−5LM、16−5RMによって構成する。これら第1主結合金物嵌合溝16−5Mは、固定凸片部24−5の形状とほぼ等しい矩形溝からなる。
第1主打込み孔18−5Mは、第1主結合金物3−5の固定凸片部24−5に形成した第2取付孔25−5L、25−5Rに相対して長さ方向に並んで形成された一対の第1主打込み孔18−5LM、18−5RMによって構成する。これら第1主打込み孔18−5Mは、それぞれ相対する第1主結合金物嵌合溝16−5L、16−5Rを横断して貫通して形成され、第1主結合金物3−5の第2固定部11−5を第1主結合金物結合部61に固定するドリフトピン14−5−1、14−5−2が打ち込まれる。
第1補助結合金物結合部62は、図14に示すように、突合せ側面15−5の略中央部に開口し第1主結合金物結合部61の第1主嵌合溝16−5Mと並んで形成された第1副嵌合溝16−5Hと、突合せ側面15−5と直交する側面17−5に第1主打込み孔18−5Mと並んで開口して形成された第1副打込み孔18−5Hから構成される。第1副嵌合溝16−5Hは、第1補助結合金物5−2の第1固定部位26−5に相対するその形状とほぼ等しい矩形溝からなる。第1副打込み孔18−5Hは、第1補助結合金物5−5の第1固定部位26−5に形成した第3取付孔28−5に相対して形成される。第1副打込み孔18−5Hは、第1副嵌合溝16−5Hを横断して貫通して形成され、第1補助結合金物5−5の第1固定部位26−5を第1補助結合金物結合部62に固定するドリフトピン14−5−3が打ち込まれる。
結合金物受け結合部63は、図14に示すように、突合せ側面19−5に開口された長さ方向の第2嵌合溝20−5と、突合せ側面19−5と直交する側面21−5に開口された第2打込み孔22−5(図示せず)とから構成される。第2嵌合溝20−5は、第1主結合金物3−5や第1補助結合金物5−5の厚みとほぼ等しい溝幅を有するとともに、第1主結合金物結合部61及び第1補助結合金物結合部62の長さよりもやや大きな開口長さに形成される。
第2打込み孔22−5は、第1主結合金物3−5の第1固定部10−5に形成した少なくとも2個の第1取付孔23−5−1、23−5−3及び第1補助結合金物5−5の第2固定部位27−5に形成した第4取付孔29−5にそれぞれ相対して形成される。第2打込み孔22−5は、第2嵌合溝20−5を横断して貫通して形成され、結合金物受け結合部63に対して第1主結合金物3−5の第1固定部10−5を固定するドリフトピン14−5−4、14−5−5と、第1補助結合金物5−5の第2固定部位27−5を固定するドリフトピン14−5−6がそれぞれ打ち込まれる。
結合構造60は、第1構造材8−5に対して第1主結合金物3−5が、突合せ側面15−5から第1固定部10−5を突出させてドリフトピン14−5により第1主結合金物結合部61に第2固定部11−5を固定される。結合構造60は、第2構造材9−5に対して第1補助結合金物5−5が、突合せ側面15−5から第2固定部位27−5を突出させてドリフトピン14−5により第1主結合金物結合部61に第1固定部位26−5を固定される。
結合構造60は、第1構造材8−5に対して第2構造材9−5が、突合せ側面15−5に突合せ側面19−5に突き合わせて組み合わされる。結合構造60は、第1構造材8−5と第2構造材9−5を組み合わせた状態で、突合せ側面15−5から突出された第1主結合金物3−5の第1固定部10−5と第1補助結合金物5−5の第2固定部位27−5が、結合金物受け結合部63の第2嵌合溝20−5内に嵌合する。結合構造60は、このように第1主結合金物3−5の第1固定部10−5と第1補助結合金物5−5の第2固定部位27−5をドリフトピン14−5により結合金物受け結合部63に固定することで、第1主結合金物3−2と第1補助結合金物5−2を介して第1構造材8−5と第2構造材9−5が結合される。
結合構造60においては、上述したように第1構造材8−5と第2構造材9−5を、第1主結合金物3−2と第1補助結合金物5−2とを組み合わせた組結合金物により結合する。結合構造60においては、第1主結合金物3及び第1補助結合金物5を単独で用いた場合でも第1構造材8−5と第2構造材9−5を強固に固定することが可能であることから、耐震性の大幅な向上を図る。結合構造60においては、第1構造材8−5や第2構造材9−5の加工も上述した各結合構造に用いる第1構造材8や第2構造材9とほぼ同等であり、また第1主結合金物3−2と第1補助結合金物5−2とを組み合わせて用いてもコスト増加はほとんど軽微である。結合構造60は、軸組7の主たる箇所において採用すればよく、費用対効果は極めて大きい。
図15に示す結合構造65は、第1構造材8−6と第2構造材9−6とを、第1固定部10−6(T)と第2固定部11−6(T)が直交状態で連設された上述した第2主結合金物4−6(T)と、第1固定部位26−6(T)と第2固定部位27−6(T)が同一面を構成して連設された上述した第2補助結合金物6−6を組み合わせて結合した構造である。結合構造65は、例えば第1構造材8−6に対してその長さ方向の側面を突合せ側面15−6として第2構造材9−6が突合せ端面19−6を突き合わされ、第2主結合金物3−6による結合構造に第2補助結合金物6−6を組み合わせて補強して結合が行われる。
結合構造65には、第1構造材8−6に、上述した結合構造45の第1構造材8−2に形成した第2主結合金物4−1の固定構造と同等に構成される第2主結合金物結合部66と、上述した結合構造55の第1構造材8−4に形成した第2補助結合金物6−1の固定構造と同等に構成される第2補助結合金物結合部67が長さ方向に並んで形成される。結合構造65には、第2構造材9−6に、第2主結合金物結合部66と第2補助結合金物結合部67に相対位置し、上述した結合構造45の第2構造材9−2に形成した第2主結合金物4−1の固定構造及び上述した結合構造55の第2構造材9−4に形成した第2補助結合金物6−1の固定構造と同等に構成される結合金物受け結合部68が形成される。
結合構造65は、上述した結合構造60との比較において、捻り部位37−6を有する第2主結合金物4−6と捻り部位30−6を有する第2補助結合金物6−6を用いた構成と、第1構造材8−6に形成した第2主結合金物結合部66及び第2補助結合金物結合部67と第2構造材9−6に形成した結合金物受け結合部68が互いに直交する向きである構成とにおいて相違する。結合構造65は、結合構造60との比較において、第1構造材8−6の突合せ面15−6に、第2主結合金物結合部66及び第2補助結合金物結合部67に跨って第2主結合金物4−6の捻り部位37−6と第2補助結合金物6−6の捻り部位30−6を収納する座ぐり凹部38−6を形成した構成において相違する。
結合構造65は、第1構造材8−6において、第2主結合金物4−6の第2固定部11−6を構成する固定凸片部24−6と第2補助結合金物6−6の第1固定部位26−6がそれぞれの主面を互いに平行に対峙するようにして第2主結合金物結合部66及び第2補助結合金物結合部67に組み付けられる。結合構造65は、図15に示すように第1打込み孔22−6から打ち込まれる1個のドリフトピン14−6−1により、第2主結合金物4−6と第2補助結合金物6−6が第1構造材8−6に固定される。
結合構造65は、その他の構成について結合構造60の構成とほぼ同等とする。したがって、結合構造65については、その構成部材や各部位に付す符号を、結合構造60の相対する部材に付した符号に対して枝符号を6に代えることにより説明を省略する。すなわち、結合構造65は、図15に示すように例えば第1主結合金物3−5に対して第2主結合金物4−6と表記し、第1固定部10−5に対して第1固定部10−6と表記する。
結合構造65は、第1構造材8−6と第2構造材9−6を、第2主結合金物4−6と第2補助結合金物6−6を組み合わせた組結合金物により結合することにより、単独で用いて強固な結合を行うことが可能な第2主結合金物4や第2補助結合金物6による結合構造と比較してさらなる耐震性の向上が図られるようにする。結合構造65においても、第1構造材8−6や第2構造材9−6の加工も上述した各結合構造に用いる第1構造材8や第2構造材9とほぼ同等であり、また第2主結合金物4−6と第2補助結合金物6−6とを組み合わせて用いてもコスト増加はほとんど軽微である。結合構造65も、軸組7の主たる箇所において採用すればよく、費用対効果は極めて大きい。
なお、本考案は、図面を参照して説明した上述した各実施の形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲及びその要旨を逸脱することなく、様々な変更、置換或いは同等に構成されることは当業者にとって明らかである。