JP3153033B2 - ブランケット、およびそのブランケットを用いたカラーフィルターの製造方法 - Google Patents

ブランケット、およびそのブランケットを用いたカラーフィルターの製造方法

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JP3153033B2
JP3153033B2 JP4266593A JP4266593A JP3153033B2 JP 3153033 B2 JP3153033 B2 JP 3153033B2 JP 4266593 A JP4266593 A JP 4266593A JP 4266593 A JP4266593 A JP 4266593A JP 3153033 B2 JP3153033 B2 JP 3153033B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインキの受理性および転
移性に優れたブランケット、およびそのブランケットを
用いたカラーフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にブランケットは版からインキを受
理し、そのインキを被印刷物に転移するという役割を担
っており、ブランケットの特性は印刷画素形状の再現性
や連続印刷時の安定性に大きな影響を与える。すなわ
ち、版からブランケットへのインキ転移率およびブラン
ケットがら被印刷物へのインキ転移率は連続印刷適性を
略支配する。
【0003】例えば臨界表面張力等により規定されるイ
ンキぬれ性が極端に悪いブランケットにおいては、版か
ら転移したインキがブランケット上ではじかれ、このた
め線幅が計画線幅より細くなったり、著しい場合には、
線が切れ切れになってしまう。逆に極端に臨界表面張力
の大きいブランケットにおいては、ブランケットからワ
ークへのインキ転移率が大幅に低下してしまい、ブラン
ケット上に残ったインキにより、連続印刷時の膜厚コン
トロールが著しく困難になる。
【0004】例えば、エチレンプロピレンゴム(EPD
M)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)等を用いて液
晶カラーフィルターの着色層(線幅約100μm)を平
版オフセットにより印刷する場合、最小解像度は30〜
40μmと悪く、また、EPDMおよびNBRは臨界表
面張力が高くインキぬれ性が高いため、ブランケットか
ら被印刷物であるガラス板へのインキ転移率が低く(5
0%以下)、ブランケットでのインキのパイリングを生
じる。このため、連続印刷を行った場合、線幅や印刷膜
厚の増大、分光透過率の低下傾向がみられ、使用に供し
得ないものであった。
【0005】また、上記のブランケットのインキぬれ性
の他にも、ブランケットの特性としてゴム硬度、表面粗
度、粘弾性等のゴムの物性が重要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するために、シリコーンのブランケットを使用して液晶
カラーフィルター用の着色層(線幅約100〜300μ
m)を凹版オフセットにより印刷する例が報告されてい
る(特開昭62−85202号)。シリコーンのブラン
ケットは、一般に臨界表面張力が低くインキに対するぬ
れ性が低いため、ブランケットからガラス板へのインキ
転移率が高く、連続印刷における安定性が増すことにな
る。
【0007】しかしながら、従来のシリコーンゴムを最
表面の表面ゴム層として有するブランケットは、インキ
に対するぬれ性が低いために、ブランケットからガラス
板へのインキ転移率が高い反面、版からブランケットへ
のインキ受理性が悪く、ブランケット上でインキがはじ
かれる傾向にある。そして、このようなインキに対する
ぬれ性の低いシリコーンのブランケットは、ブラックマ
トリックス層のような線幅の細い(20μm程度)パタ
ーンを鮮明に再現するのに必要な解像力を得ることは困
難である。また、100μm程度の着色層の線幅再現性
も細る傾向にある。
【0008】上記のシリコーンゴムのような臨界表面張
力の比較的低いゴムをブランケットとして使用した場合
に生じる印刷画素線幅の細りや、細線が切れ切れになる
ことによる最小解像力の劣化は、主に版からブランケッ
トへインキを受理する過程で起る。
【0009】線幅再現性、細線再現性を含むインキ受理
性(版からブランケット)は、ブランケットの物性、特
に粘弾性に影響を受けていると考えられ、ゴムの臨界表
面張力が低く、インキ受理が限界的な条件で行なわれる
ようなゴムほど、その影響が顕著に表われると考えられ
る。
【0010】従って、液晶カラーフィルタの印刷等のた
めブランケットからワークへのインキ転移率を高くなる
ようにし、しかも、±5μm程度の高度な線幅再現性、
10〜20μm程度の最小解像力を要求される超精密印
刷用ブランケットにおいては、ゴムの物性値、特に粘弾
性を精密にコントロールすることが必要であると考えら
れる。しかし、従来このような観点に立った精度な粘弾
性コントロールは行なわれておらず、また、ゴムの粘弾
性がインキ受理性に及ぼす影響も明らかではなかった。
【0011】本発明は上述のような事情に鑑みてなされ
たものであり、高いインキ転移率と細線再現性を兼ね備
えたブランケットおよびそのブランケットを用いたカラ
ーフィルターの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明においてブランケットの最表面を構成
する表面ゴム層は、加硫前の重合度が3000〜100
00の範囲内にある直鎖状ポリオルガノシロキサンを用
いて形成されたミラブル型シリコーンゴムからなるよう
な構成とした。
【0013】また、本発明においてブランケットの最表
面を構成する表面ゴム層は、メチルビニル系シロキサン
を主体とする構造を有し該構造中にフェニル基およびフ
ルオロ基を導入したシリコーンゴム、あるいはメチルビ
ニル系シロキサンを主体としメチルフェニルビニル系シ
ロキサンおよびメチルフルオロビニル系シロキサンを含
有するシリコーンゴムからなるような構成とした。
【0014】さらに、本発明はカラーフィルターの所望
のパターンが形成された凹版に保持されたインキを、上
記のブランケットを用いたブランケット胴の表面ゴム層
に転移させ、その後、該ブランケット胴上から透明基板
上にインキを転移させるような構成とした。
【0015】
【作用】ブランケットは、構成する表面ゴム層が加硫前
の重合度が3000〜10000の範囲内にある直鎖状
ポリオルガノシロキサンを用いて形成されたミラブル型
シリコーンゴムとされるか、あるいは構成する表面ゴム
層がメチルビニル系シロキサンを主体とする構造を有し
該構造中にフェニル基およびフルオロ基を導入したシリ
コーンゴム、あるいはメチルビニル系シロキサンを主体
としメチルフェニルビニル系シロキサンおよびメチルフ
ルオロビニル系シロキサンを含有するシリコーンゴムと
し、さらにその臨界表面張力と粘弾性をコントロールす
ることにより、インキの受理性および転移性が高く、こ
のようなブランケットを装着しているブランケット胴を
用いた凹版オフセット印刷により、線幅100μm程度
の着色層と線幅20μm程度のブラックマトリックス層
とが鮮明に再現できるとともに、安定した連続印刷が可
能である。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は本発明のブランケットの一例を示す
断面図である。図1においてブランケット1は基布2
と、この基布2上に圧縮層3を介して形成された表面ゴ
ム層4とを備えている。
【0017】基布2はブランケット1を印刷機のブラン
ケット胴に装着する際に、ブランケット1が張力を受け
て伸びるのを防止する役目をもち、従来のブランケット
に使用されている公知の基布を使用することができる。
【0018】圧縮層3はスポンジ状の構造を有してお
り、外部から表面ゴム層4に圧力が加わった時に、この
圧縮層3が圧縮され応力を吸収して表面ゴム層4の変形
(バルジ現象)の発生を防止し、印刷パターンの寸法精
度の低下を防ぐ役目をもっている。
【0019】表面ゴム層4は、凹版に保持されているイ
ンキを受理し、その後、受理したインキを被印刷物に転
移する機能を有している。本発明において、表面ゴム層
4を構成するために使用できるシリコーンゴムとして、
先ずミラブル型シリコーンゴムを挙げることができる。
ここで、ミラブル型シリコーンゴムとは、加硫前の重合
度が3000〜10000の範囲内にある直鎖状ポリオ
ルガノシロキサンを加硫して形成されたシリコーンゴム
である。加硫前の重合度が3000未満であると、イン
キの受理性および転移性が共に高いブランケットを得る
ことはできず、また、加硫前の重合度が10000を越
えると、加硫後のシリコンゴムの加工適性が低下してし
まい好ましくない。
【0020】加硫前の重合度が3000〜10000の
範囲内にある直鎖状ポリオルガノシロキサンとしては、
ジメチルシロキサン、あるいはジメチルシロキサンのメ
チル基の一部をビニル基、フェニル基、フルオロアルキ
ル基等で置換したメチルビニルシロキサン、メチルフェ
ニルビニルシロキサン、メチルフルオロアルキルシロキ
サン等を挙げることができる。尚、ジメチルシロキサン
へのフェニル基、フルオロアルキル基等の官能基の導入
量は5 mol%以下が好ましい。
【0021】また、本発明において表面ゴム層4を構成
するために使用できる他のシリコーンゴムとして、メチ
ルビニル系シロキサンを主体とする構造を有し該構造中
にフェニル基およびフルオロ基を導入したシリコーンゴ
ム、あるいはメチルビニル系シロキサンを主体としメチ
ルフェニルビニル系シロキサンおよびメチルフルオロビ
ニル系シロキサンを含有するシリコーンゴムを挙げるこ
とができる。
【0022】使用するメチルビニル系シロキサンは、直
鎖状のもの、側鎖を有するもののいずれであってもよい
が、加硫前の重合度は3000〜10000の範囲内に
あるものが好ましい。一方、メチルフェニルビニル系シ
ロキサンおよびメチルフルオロビニル系シロキサンも、
直鎖状のもの、側鎖を有するもののいずれであってもよ
い。そして、メチルフェニルビニル系シロキサンおよび
メチルフルオロビニル系シロキサンは、重合度に異存し
ないため、加硫前の重合度には特に制限はない。また、
メチルビニル系シロキサンを主体とする構造中にフェニ
ル基およびフルオロ基を導入する場合、およびメチルフ
ェニルビニル系シロキサンおよびメチルフルオロビニル
系シロキサンとして含有させる場合のいずれであって
も、メチルビニル系シロキサンに対するフェニル基、フ
ルオロ基の量の合計は10 mol%以下が好ましい。フェ
ニル基、フルオロ基の導入量を上記の範囲内で調整する
ことにより、インキ中の極性物質に対する膨潤性が調整
され、高いインキ転移率と細線再現性を兼ね備えたブラ
ンケットを得ることが可能となる。すなわち、例えばポ
リエステルアクリレート系樹脂を主成分としたインキに
対する膨潤性(親和性)が高くなり、したがってインキ
に対するぬれ性が高いものとなる。
【0023】また、上記のような加硫前の重合度が30
00〜10000の範囲内にある直鎖状ポリオルガノシ
ロキサンを加硫する際に使用することのできる加硫剤と
しては、アルキル系パーオキサイド、アシル系パーオキ
サイド、白金触媒等を挙げることができる。より具体的
には、ジクミルパーオキサイド、 2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチ
ル)パーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド
等の加硫剤を使用することができる。
【0024】また、上記のような構造中にフェニル基お
よびフルオロ基を導入したメチルビニル系シロキサン、
あるいはメチルフェニルビニル系シロキサンおよびメチ
ルフルオロビニル系シロキサンが添加されたメチルビニ
ル系シロキサンを加硫する際に使用することのできる加
硫剤としては、従来公知の種々の加硫剤を使用すること
ができる。使用できる加硫剤の具体例としては、上記の
加硫剤を挙げることができ、さらにオキシムシランを挙
げることができる。
【0025】上述のような本発明のブランケット1を構
成する表面ゴム層4は、また、以下のような界面化学的
性質(インキに対するぬれ性、臨界表面張力)と物理的
性質(硬度、表面粗度、粘弾性)を備えることがこのま
しい。
【0026】まず、表面ゴム層4のインキに対するぬれ
性は、使用するインキ樹脂のモノマーと表面ゴム層4と
の接触角の許容範囲を50°〜70°、好ましくは50
°〜60°と定めることにより数値化した。例えば、エ
ステル変性アクリレートモノマー、エポキシ変性アクリ
レートモノマー等のインキ樹脂のモノマーに対して、こ
のモノマーとの接触角が50°〜70°の範囲内に入る
ようなゴム材料を選定して表面ゴム層4を形成するもの
である。接触角が50°未満では、表面ゴム層4のイン
キに対するぬれ性が高すぎてブランケットから被印刷物
へのインキ転移率が低くなりパイリングの原因となる。
また、接触角が70°を越えると、版からブランケット
に受理されたインキがブランケット上ではじかれ細線再
現性が低下して好ましくない。
【0027】ここで、インキ樹脂のモノマーと表面ゴム
層との接触角の測定は、以下のようにして行うことがで
きる。すなわち、測定対象のゴムを適当な寸法に切断
し、接触角計(協和界面化学(株)製)に装着する。そ
して、インキモノマーをインキディスペンサーAD30
0VHにて以下の条件で正確に滴下した後、接触角を測
定する。
【0028】(滴下条件) ・温 度 : 23℃ ・圧 力 : 4kg/cm2 ・排出時間: 1.7秒 ・ディスペンサーゲージ: 26G 一般にインキ樹脂のモノマーとの接触角が50°〜70
°の範囲にあるゴム材料としては、シリコーンゴム、フ
ッ素ゴム、シリコーンゴムと他のゴム(例えばNBR、
EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)のような
接触角の小さいゴム)とのブレンド系、NBR、EPD
M、SBRにジシロキサン等のインキ反発性物質を練り
込んだゴム等が挙げられる。
【0029】次に、上述のようにしてインキに対するぬ
れ性から選択されたゴム材料の硬度を適正化する。すな
わち、表面ゴム層4の硬度がJISA硬度で50°以
上、好ましくは50°〜70°の範囲となるようにす
る。表面ゴム層4の硬度が50°未満であると、外部応
力による表面ゴム層4のバルジ現象が生じて印刷パター
ンの寸法精度が低下してしまい好ましくない。
【0030】ここで、JISA硬度は、12mm以上の厚
みを持つサンプルを作成し、JISA硬度計にて測定さ
れる。このようなゴム材料の硬度は、生ゴム中の架橋基
密度、充填剤の種類、含有量、粒径等により調整するこ
とができる。使用する充填剤としては煙霧質シリカ、粉
砕シリカ、沈殿シリカ、炭酸カルシウム、ケイソウ土
粉、石英粉等を使用することができる。
【0031】また、表面ゴム層4の表面粗度は、平均粗
さ(Ra)が1.0μm以下であることが好ましい。こ
の表面粗度のRaは、触針式表面粗さ測定装置 デック
タック16000(Veeco 社製)にて、針圧10mgf の
条件で表面粗さを測定し、その後、測定データを解析し
て求められる。
【0032】表面粗度のRmax が上記の範囲外にある
と、細線の解像度が低下してしまう。しかしながら、通
常のブランケット作成工程に従って表面ゴムを加硫した
後、この表面ゴムを研磨して表面ゴム層を形成した場
合、研磨材のメッシュをいかに細かくしても表面粗度の
Rmax を3μm程度にするのが限度である。そこで、本
発明のブランケット1の表面ゴム層4は、基布2および
圧縮層3上に表面ゴムを塗布した後、表面が平滑なフィ
ルムを表面ゴム塗布面に圧着させた状態で加硫を行い、
その後、フィルムを剥離して作成されるものである。ま
た、表面が平滑なフィルムを圧着させた状態で加硫を行
い作製されたゴムシートを、表面が平滑なフィルムが剥
離された面が最表面となるように圧縮層3上にラミネー
トして作成してもよい。表面が平滑なフィルムとして
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、
ポリエチレン(PE)フィルム等が好ましい。
【0033】表面ゴム層4の臨界表面張力は10〜23
dyne/cm2 、好ましくは15〜23dyne/cm2 の範囲と
なるように設定する。この場合、臨界表面張力の測定
は、測定温度20℃で接触角計CA−D型(協和界面科
学(株))にて測定し、Zismanプロットより求めた。Zi
smanプロットに使用した溶剤およびその表面張力を以下
に示す。
【0034】 溶剤名 表面張力(dyne/cm2 ) ・エタノール 20.05 ・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 31.9 ・トリメチロールプロパントリアクリレート 35.5 ・ジアリルフタレート 36.8 表面ゴム層4の臨界表面張力が10dyne/cm2 未満であ
ると、インキと表面ゴム層4とのぬれ性が低く、版から
ブランケットに受理されたインキがブランケット上では
じかれ細線再現性が低下してしまい好ましくない。ま
た、臨界表面張力が23dyne/cm2 を越えると、インキ
に対する表面ゴム層4の密着性が高すぎてブランケット
から被印刷物へのインキ転移率が低くなりパイリングの
原因となる。
【0035】また、表面ゴム層4の粘弾性 tanδは0.
05〜0.25の範囲、好ましくは0.10〜0.20
の範囲となるように設定する。ここで、粘弾性の測定
は、レオバイブロン DDV-II-EP((株)オリエンテッ
ク)にて、温度20℃、周波数11Hzで行なうことがで
きる。
【0036】表面ゴム層4の粘弾性 tanδが0.05未
満である場合、版からブランケットへのインキ受理性が
低下し、画線の細り、エッジ精度の低下となり好ましく
ない。また、粘弾性が0.25を越えるとブランケット
の粘性項が大きくなりすぎ、ピッチ精度、ワークのチャ
ッキングに悪影響を及ぼし好ましくない。
【0037】尚、表面ゴム層4は、アンカー層を介して
圧縮層3上に形成してもよい。この場合、アンカー層は
一層だけの綿布層やシランカップラー剤等の材料により
形成することができる。このアンカー層の厚さは0〜5
00μm程度が好ましい。
【0038】また、上述の例においては、ブランケット
1はいわゆるコンプレッシブル型のブランケットである
が、本発明はこれに限定されるものではなく、圧縮層を
備えいないソリッド型のブランケットであってもよい。
【0039】そして、上述のような本発明のブランケッ
ト1を装着したブランケット胴を用いて凹版オフセット
印刷により解像度に高いカラーフィルターを連続して印
刷することができる。図2は本発明のブランケットを用
いたカラーフィルター製造における微細パターン形成を
説明する図である。図2において、まず、凹版10に所
定のパターンで形成された凹部11にインキ12を充填
する(図2(a))。次に、本発明のブランケット1を
装着したブランケット胴15を凹版11上に回転移動さ
せながら圧着させて凹部11内のインキ12をブランケ
ット胴15上に転写する(図2(b))。そして、この
ブランケット胴15を被印刷物である透明ガラス基板2
0に圧着することにより、ブランケット胴15上のイン
キ12を透明ガラス基板20に転移させて微細パターン
を形成する(図2(c))。
【0040】このような凹版オフセット印刷における凹
版の版深は、好ましくは8μm以下であり、より好まし
くは3〜8μmの範囲である。次に、実験例を示して本
発明を更に詳細に説明する。 (実験例1)基布と圧縮層とからなる基材上に下記の組
成のミラブル型のシリコーンゴム塗布液を塗布(厚さ約
0.5mm)した後、170℃、10分間の加硫を行い、
表面ゴム層を形成して本発明のブランケット(試料1)
を作成した。
【0041】 (シリコーンゴム塗布液の組成) ・メチルビニルシロキサン(重合度=3000〜10000) (東芝シリコーン(株)製 TSE270-7U ) …100重量部 ・加硫剤 2,5−ジメチル−2,5 −ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン (東芝シリコーン(株)製 TC-8) …0.5重量部 また、使用するミラブル型のシリコーンゴム塗布液を下
記の組成のものとした他は、上記の試料1と同様にして
本発明のブランケット(試料2)を作成した。
【0042】 (シリコーンゴム塗布液の組成) ・信越化学工業(株)製 KE772-U (重合度=3000〜10000) …100重量部 ・加硫剤 C−4 … 5重量部 また、比較として下記の組成のシリコーンゴム塗布液を
用い、加硫条件を25℃、75時間とした他は、上記の
試料1と同様にしてブランケット(比較試料1)を作成
した。
【0043】 (シリコーンゴム塗布液の組成) ・室温硬化型(RTV型)シリコーンゴム(重合度=100〜2000) (信越化学工業(株)製 KE112 ) …100重量部 ・加硫剤(信越化学工業(株)製 CAT-RM) …0.5重量部 ・加硫剤(信越化学工業(株)製 CAT-112 ) …3.5重量部 さらに、比較として下記の組成のシリコーンゴム塗布液
を用い、加硫条件を170℃、20分とした他は、上記
の試料1と同様にしてブランケット(比較試料2)を作
成した。
【0044】 (シリコーンゴム塗布液の組成) ・メチルビニルシリコーン (重合度=15000〜30000) …100重量部 ・加硫剤 2,5−ジメチル−2,5 −ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン (東芝シリコーン(株)製 TC-8) … 5重量部 上述のようにして作成したブランケット(試料1,2、
比較試料1,2)について、表面ゴム層のインキ樹脂モ
ノマーとの接触角、硬度、表面粗度(Rmax )、臨界表
面張力および粘弾性を測定し、測定結果を下記の表1に
示した。
【0045】
【表1】 次に、上記の各ブランケットを用いてブランケット胴を
作成した。そして、このようなブランケット胴とライン
アンドスペース(L&S)の異なる凹版(版深=6.0
μm)および下記の組成のインキを使用し、図2に示さ
れるようにしてガラス基板上に凹版オフセット印刷を行
い、L&Sでの解像度(μm)を測定した。 (インキの組成) ・エステルアクリレート樹脂 …65重量部 ・ジアリルフタレート …20重量部 ・シアニンブルー …15重量部 その結果、本発明のブランケットである試料1および試
料2を用いた場合、凹版からブランケット胴およびブラ
ンケット胴からガラス基板へのインキ転移率が共に高
く、ブランケット上でのインキのはじき、あるいはブラ
ンケットでのインキのパイリングが発生せず、連続印刷
を行っても線幅や印刷膜厚の増大がなく、L&Sでの解
像度は15μmかそれ以上が確保され良好な結果が得ら
れた。これに対して、比較試料1を用いた場合では、凹
版からブランケット胴へのインキ受理率が低く、細線の
切れが生じてL&Sでの解像度は50μm程度が限界で
あった。また、比較試料2を用いた場合には、加硫前の
加工適性が低く、実用に供し得ないものであった。 (実験例2)基布と圧縮層とからなる基材上に下記の組
成のシリコーンゴム塗布液を塗布(厚さ約1.0mm)し
た後、170℃、20分の加硫を行い、表面ゴム層を形
成してブランケット(試料1)を作成した。
【0046】 (シリコーンゴム塗布液の組成) ・メチルフルオロビニルシロキサン (フルオロ基の導入量:5 mol%、重合度=3000〜10000) …100重量部 ・加硫剤 2,5−ジメチル−2,5 −ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン (東芝シリコーン(株)製 TC-8) … 5重量部 また、下記の組成のシリコーンゴム塗布液を用い、加硫
条件を25℃、75時間とした他は、上記の試料1と同
様にしてブランケット(試料2)を作成した。
【0047】 (シリコーンゴム塗布液の組成) ・メチルフェニルビニルシロキサン (フェニル基導入量:5 mol%、重合度=100〜2000) …100重量部 ・加硫剤 オキシムシラン …0.5重量部 また、比較として下記の組成のシリコーンゴム塗布液を
用い、加硫条件を25℃、75時間とした他は、上記の
試料1と同様にしてブランケット(比較試料1)を作成
した。
【0048】 (シリコーンゴム塗布液の組成) ・メチルフルオロビニルシロキサン (フルオロ基の導入量:11 mol%、重合度=100〜2000) …100重量部 ・加硫剤 オキシムシラン …0.5重量部 さらに、比較として下記の組成のシリコーンゴム塗布液
を用い、加硫条件を170℃、20分とした他は、上記
の試料1と同様にしてブランケット(比較試料2)を作
成した。
【0049】 (シリコーンゴム塗布液の組成) ・メチルフェニルビニルシロキサン (フェニル基導入量:13 mol%、重合度=3000〜10000) …100重量部 ・加硫剤 2,5−ジメチル−2,5 −ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン (東芝シリコーン(株)製 TC-8) … 5重量部 さらに、比較としてフェニル基、フルオロ基が導入され
ていない下記の組成のシリコーンゴム塗布液を用い、加
硫条件を25℃、75時間とした他は、上記の試料1と
同様にしてブランケット(比較試料3)を作成した。
【0050】 (シリコーンゴム塗布液の組成) ・メチルビニルシロキサン(重合度=100〜2000) …100重量部 ・加硫剤 オキシムシラン …0.5重量部 上述のようにして作成したブランケット(試料1,2、
比較試料1〜3)について、表面ゴム層のインキ樹脂モ
ノマーとの接触角、硬度、表面粗度(Rmax )、臨界表
面張力および粘弾性を測定し、測定結果を下記の表2に
示した。
【0051】
【表2】 次に、上記の各ブランケットを用いてブランケット胴を
作成した。そして、実験例1と同様の凹版(版深=6.
0μm)およびインキを使用してガラス基板上に凹版オ
フセット印刷を行い、L&Sでの解像度(μm)を測定
した。
【0052】その結果、本発明のブランケットである試
料1および試料2を用いた場合、凹版からブランケット
胴、およびブランケット胴からガラス基板へのインキ転
移率が高いため、ブランケット上でのインキのはじき、
あるいはブランケットでのインキのパイリングが発生せ
ず、連続印刷を行っても線幅や印刷膜厚の増大がなく、
L&Sでの解像度は15μmが確保され良好な結果が得
られた。
【0053】これに対して、比較試料1および比較試料
2を用いた場合では、インキに対するブランケットのぬ
れ性が極端に高く、版からブランケット胴へインキがベ
タ着きしてしまい、L&Sでの解像度は30μm程度が
限界であった。またブランケット胴からガラス基板への
インキ転移率が100%未満となり、ブランケット胴で
のインキのパイリングが生じて連続印刷時の線幅安定性
が低下した。
【0054】また、比較試料1では、 tanδが大きいた
め、ブランケットの粘着性が大きくなりすぎ、印刷ピッ
チ精度、ワークチャッキング精度に悪影響を及ぼした。
また、比較試料3を用いた場合では、インキ受理性が低
く、このため凹版からブランケット胴へのインキ受理率
が低く、細線の切れを生じてL&Sでの解像度は50μ
m程度が限界であった。
【0055】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によればブ
ランケットの表面ゴム層が加硫前の重合度が3000〜
10000の範囲内にある直鎖状ポリオルガノシロキサ
ンを用いて形成され、またはメチルビニル系シロキサン
を主体とする構造を有し該構造中にフェニル基およびフ
ルオロ基を導入したシリコーンゴム、あるいはメチルビ
ニル系シロキサンを主体としメチルフェニルビニル系シ
ロキサンおよびメチルフルオロビニル系シロキサンを含
有するシリコーンゴムを用いて形成されているので、ブ
ランケットから被印刷物へのインキ転移性が高いのみな
らず、版からブランケットへのインキの受理性も高く、
このブランケットを使用して印刷法により精度の高い細
線形成が可能となり、さらに連続印刷時の線幅、インキ
膜厚が安定しているという効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブランケットの一例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明のブランケットを用いたカラーフィルタ
ー製造における微細パターン形成を説明する図である。
【符号の説明】
1…ブランケット 2…基布 3…圧縮層 4…表面ゴム層 10…凹版 15…ブランケット胴 20…ガラス基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41F 17/14 B41F 30/00 G02B 5/20 101

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブランケットの最表面を構成する表面ゴ
    ム層は、加硫前の重合度が3000〜10000の範囲
    内にある直鎖状ポリオルガノシロキサンを用いて形成さ
    れたミラブル型シリコーンゴムからなることを特徴とす
    るブランケット。
  2. 【請求項2】 ブランケットの最表面を構成する表面ゴ
    ム層は、メチルビニル系シロキサンを主体とする構造を
    有し該構造中にフェニル基およびフルオロ基を導入した
    シリコーンゴム、あるいはメチルビニル系シロキサンを
    主体としメチルフェニルビニル系シロキサンおよびメチ
    ルフルオロビニル系シロキサンを含有するシリコーンゴ
    ムからなることを特徴とするブランケット。
  3. 【請求項3】 前記表面ゴム層は、使用するインキ樹脂
    のモノマーとの接触角が50°〜70°の範囲にあり、
    硬度が50°以上であり、表面粗度の最大高さ(Rmax
    )が1.0μm以下であり、臨界表面張力が10〜2
    3dyne/cm2 の範囲にあり、粘弾性 tanδが0.05〜
    0.25の範囲にあることを特徴とする請求項1または
    2記載のブランケット。
  4. 【請求項4】 前記表面ゴム層は基布上に圧縮層を介し
    て形成されていることを特徴とする請求項1乃至3記載
    のブランケット。
  5. 【請求項5】 前記表面ゴム層は、基布上に表面ゴムを
    塗布した後、表面が平滑なフィルムを表面ゴム塗布面に
    圧着させた状態で加硫を行い、その後、前記フィルムを
    剥離して作成されたことを特徴とする請求項1乃至4記
    載のブランケット。
  6. 【請求項6】 前記表面ゴム層は、表面が平滑なフィル
    ムを圧着させた状態で加硫がなされたゴムシートを基布
    上にラミネートして作成されたことを特徴とする請求項
    1乃至4のいずれかに記載のブランケット。
  7. 【請求項7】 カラーフィルターの所望のパターンが形
    成された凹版に保持されたインキを、請求項1乃至6の
    いずれかに記載のブランケットを用いたブランケット胴
    の表面ゴム層に転移させ、その後、該ブランケット胴上
    から透明基板上にインキを転移させることを特徴とする
    カラーフィルターの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記凹版の版深が8μm以下であること
    を特徴とする請求項7記載のカラーフィルターの製造方
    法。
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