JP3152992B2 - 過酸化脂質の生成抑制及び消去用組成物 - Google Patents
過酸化脂質の生成抑制及び消去用組成物Info
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Description
母とを同時に含有し、過酸化脂質の生成抑制及び消去作
用を有する組成物に関する。
する過酸化脂質は、食品において、風味の低下、退色あ
るいは褐変、ひいては栄養価の低下や毒性発現を引き起
し、又、生体系において、ガン、虚血障害など各種の疾
病あるいは老化につながる等、の問題がある。上記過酸
化脂質は、脂質を構成している不飽和脂肪酸が自動酸化
(ラジカル反応)により容易に生成し、更にそれが分解
して種々の酸化生成物を生じる。脂質過酸化反応は、食
品においては風味の低下、退色あるいは褐変、ひいては
栄養価の低下や毒性発現を引き起こす。又、生体系にお
いてはガン、虚血障害など各種の疾病あるいは老化との
関連が指摘される等重要な問題になっている。
グルタミン酸、システイン及びグリシンを構成アミノ酸
とするトリペプチド(γ-L-Glutamyl-L-cysteinylglysi
ne)で、広く動植物及び微生物に存在しており、一般に
は生体還元物質として知られている。グルタチオンには
還元型(GSH)のみでなく、酸化型(GSSG)とし
てシステイン部の−SH基同士が結合し、2分子のトリ
ペプチドが連なった形のものがある。グルタチオンは、
酸化還元系補酵素としての役割、活性酸素消去及び抗酸
化系への関与等、様々な生理作用を通じて薬理活性を有
しているので、(1)薬物中毒(2)慢性肝疾患(3)
皮膚障害(4)妊娠中毒(5)角膜損傷(6)放射線・
抗癌剤による白血球減少、等の治療用医薬品として汎用
されている重要な物質であり、又、医薬品以外では食品
への利用がある。例えば(1)呈味改善及び増強剤とし
ての利用、(2)香気改良及び増強剤としての利用、
(3)安定剤として加工食品中のビタミンCや核酸系呈
味成分の保存安定化や変色防止、抗菌を目的とした利
用、(4)物質改良剤としてシステインと同様にアミノ
酸系の還元剤として小麦粉ドウ製品類に利用、(5)パ
ン生地改良剤として利用する等、広く知られている。そ
の他にも、グルタチオンには過酸化脂質の還元能がある
ことも知られている(Int.Rev.Cytol. 1979 54 109等)
が、グルタチオンを過酸化脂質生成抑制剤として用いる
例としては、皮膚の過酸化脂質の生成抑制とその分解剤
として有効な、グルタチオンペルオキシダーゼの補助剤
として用いる利用例(特開昭64−47709)がある
のみである。
としては、魚粉飼料への応用例があり、魚粉に酵母と共
に糸状菌や細菌及びヌカ、フスマ等を添加して、二段階
の発酵を行い過酸化脂質含量の低い魚粉飼料を製造する
方法(特開昭59−50299号)が開示されている。
の−SH基より水素原子を放出して、油脂の自動酸化の
生成物ペルオキシラジカル(ROO・)に供給してヒド
ロペルオキシド(ROOH)とし、ラジカルの発生量を
減らして連鎖反応を断ち切ると考えられるが、反応系に
おいてグルタチオンが消費されてしまうと、再び自動酸
化の連鎖反応が始まる。つまり、グルタチオン単独では
継続的に酸化を抑制する力はないのである。一方、グル
タチオンペルオキシダーゼは、式1の反応を触媒してヒ
ドロペルオキシドを分解する作用を有している。
(GSH)が消費されてしまうと反応は停止し、再びヒ
ドロペルオキシドの蓄積が始まる。
グルタチオンとグルタチオンペルオキシダーゼとの混合
物のいずれの場合も、過酸化脂質生成の阻止及びその分
解はグルタチオン(GSH)量により制限を受けるた
め、それらの効果は時間と共に低下する問題点を有して
いる。又、魚粉飼料の脂質の過酸化抑制の為に酵母を用
いる方法は、満足する過酸化抑制及びその持続性の効果
が得られないという問題点を有している。
な問題点を解決するため研究した結果、グルタチオンと
酵母とを同時に存在させた組成物は、意外なことに、グ
ルタチオン又は酵母の単独の添加に比べて過酸化脂質の
生成抑制及びその消去効果に優れており、更にそれらの
効果の継続時間が長いこと等を見いだし、本発明に至っ
た。即ち、本発明は、グルタチオン成分と生酵母とを以
下に述べる組成で同時に含有させることを特徴とする過
酸化脂質の生成抑制及び消去用組成物及びこれを添加し
た組成物に係わる。本発明の組成物とは、組成物中のグ
ルタチオンの含有率が生酵母乾燥菌体重量に対して1〜
20%、好ましくは5〜10%であることを特徴とする
過酸化脂質の生成抑制及び消去用組成物である。
来は特に限定されるものではないので、精製グルタチオ
ン及び/又はイーストエキスに含まれるグルタチオンが
好ましい。又、本発明に用いられる酵母についても特に
限定されるものではないが、食品への使用など生体関連
物質への使用を考えた場合、これに適したもの、例え
ば、通常よく使われているビール酵母やパン酵母、更に
他のサッカロミセス属、キャンディダ属、ピキア属、ハ
ンセヌラ属等が好ましい。尚、本発明に使用する酵母の
状態としては殺菌済みのものでもよいが、生のもののほ
うが好ましい(試験例1参照)。これらを用いての当該
組成物の製造方法を以下に示す。
酵母菌体懸濁液、あるいは市販されている食用又はそれ
に準ずる酵母の懸濁液に、グルタチオン及び/又はグル
タチオンを含有するイーストエキス等を、グルタチオン
含量が酵母の乾燥菌体重量当り1〜20%、好ましくは
5〜10%(試験例6参照)となるように添加し、十分
に攪拌混合する。そしてそのまま、あるいはこれを凍結
乾燥後粉砕したものを、過酸化脂質の生成抑制及び消去
用組成物として供する。
更に詳細に説明する。尚、以下の試験例及び実施例にお
ける過酸化脂質の定量には、過酸化脂質−テストワコー
(和光純薬工業社製 過酸化脂質測定用キット)を使用
した。 試験例 1 強制的に空気を吹き込みながら、50℃、24時間加温
し、酸化させたリノール酸を、リン酸緩衝液(20mM
リン酸一カリウム+20mMリン酸二カリウムpH6.
8)に5mg/mlの濃度になるように懸濁したもの
を、過酸化脂質の試料(以下、単に過酸化脂質と称す)
として用いた。上記過酸化脂質に精製グルタチオン、生
パン酵母(乾燥重量33%)及び乾燥酵母(殺菌済みの
もの)を、それぞれ20mg/ml(生パン酵母は乾燥
菌体重量)の濃度となるように添加し、攪拌しながら2
時間室温(26℃)で放置した後、TBA値を測定し
た。結果を表1に示した。表1の結果より、グルタチオ
ン及び酵母には過酸化脂質消去作用があることが確認さ
れた。又、殺菌された酵母よりも生の酵母の方が、より
強い過酸化脂質消去作用を有することが明かとなった。
の範囲で変化させ、試験例1と同様にTBA値を測定し
た。結果を表2に示した。表2の結果より、グルタチオ
ン単独では添加量5〜20mg/mlで効果が認められ
た。
範囲で変化させ、試験例1と同様にTBA値を測定し
た。結果を表3に示した。表3の結果より、生パン酵母
単独では添加量10〜50mg/mlで効果が認められ
た。
をそれぞれ乾燥菌体重量で20mg/mlとなるように
添加し、試験例1と同様にTBA値を測定した。結果を
表4に示した。表4の結果より、生パン酵母をそのまま
用いたものと凍結乾燥して用いたものとの過酸化脂質消
去作用に差異は認められなかった。以下の試験では、保
存安定性がよいこと、取扱が容易であることから、生パ
ン酵母は凍結乾燥したものを使用した。
ーストエキス(商品名YH、興人製)単独、生パン酵母
とグルタチオンとの混合物、及び生パン酵母とイースト
エキスとの混合物をそれぞれ添加し、試験例1と同様に
TBA値を測定した。添加量は、酵母20mg/ml、
グルタチオン1mg/ml、イーストエキス12.5m
g/mlとした。結果を表5に示した。表5の結果よ
り、生酵母とグルタチオンを共存させることで過酸化脂
質の消去作用がより強くなることが分かった。
において、添加するグルタチオン量を生パン酵母の乾燥
菌体重量当り0〜20%の範囲で変化させ、試験例1と
同様にTBA値を測定した。生パン酵母の添加量は、そ
れぞれ20mg/mlとした。結果を表6に示した。表
6の結果より、添加するグルタチオン量は酵母の乾燥菌
体重量当り1〜20%、好ましくは5〜10%であるこ
とが分かった。
g)を200mlの蒸留水に懸濁し、この懸濁液に精製
グルタチオンを、生パン酵母の乾燥菌体重量当り5%と
なるように添加した後、凍結乾燥し、粉砕して過酸化脂
質の生成抑制及び消去用組成物の凍結乾燥粉末を得た。
過酸化脂質に、上記組成物、生パン酵母単独及びグルタ
チオン単独でそれぞれ20mg/ml(生パン酵母は乾
燥菌体重量基準)となるように添加し、室温で攪拌しな
がら24時間継時的にTBA値を測定した。結果を表7
に示した。そして、表7の結果をグラフにまとめ、図1
に図示した。表7及び図1の結果より、本発明の組成物
は、構成成分である酵母及びグルタチオンをそれぞれ単
独で使用するよりも高い過酸化脂質消去効果を示し、更
にその消去効果を持続させるための過酸化脂質生成抑制
作用を有することが明かとなった。
脂質の生成抑制及び消去用組成物は、グルタチオン、あ
るいは酵母を用いる従来の技術と比較して、卓越した過
酸化脂質の消去作用及び生成抑制作用を有するのみでな
く、その効果の持続性も高く、容易に製造することがで
きるため、飲食品、飼料、化粧料等への応用が可能であ
る。
を、無添加の値に対する割合に直して図示したものであ
る。尚、無添加に対するTBA値の変化率は、式2より
求められるものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 グルタチオン成分と生酵母とを同時に含
有することを特徴とする過酸化脂質生成抑制及び消去用
組成物。 - 【請求項2】 グルタチオンの含有率が生酵母乾燥菌体
重量に対して1〜20重量%である請求項1記載の組成
物。 - 【請求項3】 添加されるグルタチオンが精製グルタチ
オン及び/又はグルタチオンを含有するイーストエキス
より選ばれる請求項1及び2記載の組成物。
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JP10908092A JP3152992B2 (ja) | 1992-04-03 | 1992-04-03 | 過酸化脂質の生成抑制及び消去用組成物 |
Publications (2)
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP10908092A Expired - Fee Related JP3152992B2 (ja) | 1992-04-03 | 1992-04-03 | 過酸化脂質の生成抑制及び消去用組成物 |
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Country | Link |
---|---|
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1992
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