JPH08140592A - 脱臭方法ならびに機能性食品素材またはその組成物および機能性食品 - Google Patents

脱臭方法ならびに機能性食品素材またはその組成物および機能性食品

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JPH08140592A
JPH08140592A JP6314291A JP31429194A JPH08140592A JP H08140592 A JPH08140592 A JP H08140592A JP 6314291 A JP6314291 A JP 6314291A JP 31429194 A JP31429194 A JP 31429194A JP H08140592 A JPH08140592 A JP H08140592A
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functional food
edible
lipid
yeast
unpleasant odor
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JP6314291A
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Sukeyoshi Oshima
祐美 大島
Masahiko Oshima
賢彦 大島
Mariko Hirayama
真理子 平山
Susumu Watanabe
晋 渡辺
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OKAWA SHOKUHIN KOGYO KK
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OKAWA SHOKUHIN KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特有な不快臭を有する高度不飽和脂肪酸を含
む魚介類脂質および/または海獣類脂質を脱臭して機能
性食品素材または機能性食品素材組成物とし、さらに、
これらを含有する機能性食品を提供する。 【構成】 特有な不快臭を有する高度不飽和脂肪酸を含
む魚介類脂質および/または海獣類脂質と可食性酵母お
よび醗酵性可食性有機物とを懸濁水性液中で接触させ
て、高度不飽和脂肪酸を含む魚介類脂質および/または
海獣類脂質の特有な不快臭を除去することを特徴とする
脱臭方法であり、このようにして脱臭された高度不飽和
脂肪酸を含む脂質を含有する機能性食品素材および機能
性食品素材組成物であり、また、これらを含有せしめら
れた機能性食品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高度不飽和脂肪酸を含む
魚介類脂質や海獣類脂質の脱臭方法、ならびに、該脱臭
脂質またはその抽出脂質を構成素材とする機能性食品素
材組成物および該抽出脂質それ自体である機能性食品素
材、ならびに、それらを含有させた機能性食品に関し、
さらに、詳細には、エイコサペンタエン酸やドコサヘキ
サエン酸などの高度不飽和脂肪酸を含む魚介類脂質や海
獣類脂質の脱臭方法、ならびに、少なくとも、脱臭され
たエイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を含む魚
介類脂質や海獣類脂質またはその抽出脂質を含有させた
機能性食品素材組成物および該抽出脂質それ自体である
機能性食品素材、ならびに、それらを含有させてなる機
能性食品に係わる。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】エイコサ
ペンタエン酸(以下、EPA と記すこともある)やド
コサヘキサエン酸(以下、DHA と記すこともある)
は、たとえば、魚介類脂質や海獣類脂質中にグリセリド
として存在している高度不飽和脂肪酸である。エイコサ
ペンタエン酸は炭素数20および二重結合5個を、ドコ
サヘキサエン酸は炭素数22および二重結合6個を有す
るオメガ3(ω−3)系高度不飽和脂肪酸であって、こ
れらの脂肪酸は心筋梗塞や動脈硬化症などの循環器系疾
患の治療、予防に有効であることが明らかにされてい
る。しかしながら、最近になって、ドコサヘキサエン酸
は、さらに、エイコサペンタエン酸とは異なるドコサヘ
キサエン酸にのみ特有な生理活性、たとえば、学習能向
上(記憶力増強)、網膜反射能向上(視力低下抑制)、
制がん作用(大腸がん、乳がんおよび肺がん)、ならび
に、抗糖尿病作用(血糖値低下作用)などの作用がある
ことが立証され、食品学会、栄養学会、生理学会および
医学会などから重視されている。
【0003】一方、近時注目されている食品として、機
能性食品がある。機能性食品は特定物質の消化管吸収抑
制または吸収促進、食欲亢進、生体防御および体調リズ
ムの調節等に係わる食品の生体調節機能を生体に対して
十分に発現できるように設計して製造され、日常的に摂
取できる食品群である。さらに、具体的に述べれば、機
能性食品は、栄養素以外の食品成分、たとえば、排便促
進作用を有する食物繊維、腸内細菌叢を改善するフラク
トオリゴ糖、抗動脈硬化作用を有するオメガ3系高度不
飽和脂肪酸、記憶学習能力を増進させるドコサヘキサエ
ン酸、血中コレステロール低下作用物質であるγ−リノ
レン酸およびカルシウムの腸内吸収を促進させるカゼイ
ンホスフォペプチドなどのそれぞれの作用により生体調
節機能を現す食品であり、広く販売使用されつつある。
このように、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン
酸などは、機能性食品素材として極めて重要であるにも
拘わらず、その分子内に多くの二重結合を有しているこ
とから酸化されて変質し易く、強烈な不快臭を有し、ま
た生臭味を呈することが、その利用の妨げとなってい
る。
【0004】エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン
酸の酸化を防止する抗酸化剤が、最近、広く使用されて
いる。たとえば、トコフェロール類およびゴマ油中のセ
サモールなどの各種酸化防止剤(たとえば、特開昭57
−86254号公報第3頁下左欄第6〜7行および特開
平6−113778号公報第2頁)、ならびに、とうも
ろこし殻粒から分離されたグルテンミールおよび/また
はその処理物を有効成分とする天然酸化防止素材(特開
平3−50292号公報)などを使用することによって
これらの高度不飽和脂肪酸の酸化を防止できることが知
られている。また、食品などに添加されるエイコサペン
タエン酸および/またはドコサヘキサエン酸を含む魚介
類脂質や海獣類脂質(以下、エイコサペンタエン酸およ
び/またはドコサヘキサエン酸含有脂質と記すこともあ
る)の強烈で特有な不快臭を脱臭する手段として、マス
キング、コーティングおよび水蒸気蒸留精製などが知ら
れている。
【0005】マスキングによる脱臭については、たとえ
ば、ライムフレーバーを含有せしめた海産動物脂質濃縮
物(特公昭60−18382号公報)、高度不飽和脂肪
酸を含有する脂質を含む経口製品中に脂溶性ジンジャー
フレーバーを存在させる魚臭のマスキング方法(特開平
6−189717号公報)、ヨーグルトフレーバー、ミ
ルクフレーバーおよび醗酵乳フレーバーなどの乳系フレ
ーバーを含有させる方法(特開平6−68号公報)、食
酢に添加する際のオレンジ、レモン、スダチ、レモンラ
イムおよびカボスなどの柑橘類の果汁、ならびに、アッ
プル−F、レモンライム−F、オレンジオイルおよびレ
モンオイルなどの果汁の処理物による方法(特開平6−
70746号公報第2頁)、醗酵乳製品の原料乳または
ミックスにエイコサペンタエン酸および/またはドコサ
ヘキサエン酸を含有する魚油を配合して乳酸菌および/
または酵母で醗酵させるか、もしくは、醗酵乳製品の原
料乳またはミックスを乳酸菌および/または酵母で醗酵
させた後、該醗酵乳製品にエイコサペンタエン酸および
/またはドコサヘキサエン酸を含有する魚油を配合させ
るかして、魚油特有の不快臭をマスキングした醗酵乳製
品を取得する方法(特開平6−90662号公報)、ペ
パーミント系の香料を添加する方法(特開平6−193
707号公報)、ならびに、味噌に添加するに際して、
シュガーF、コクトゥーF、オレンジ、スダチ、レモン
ライムおよびカボスの果汁、ならびに、アップル−F、
レモンライム−F、オレンジオイルおよびレモンオイル
などの前記果汁の処理物を含有させる方法(特開平6−
113778号公報第2頁)などがある。
【0006】また、低温度のもとで酸化を防止するため
に、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を含有
する油脂をアイスクリームに配合する方法(特開昭63
−216435号公報)、あるいは、カプセル内に封じ
込めた後、チューインガム、チョコレート、キャラメ
ル、または、キャンディーに含有させる方法(特公平2
−51589号公報)やマーガリンに含有させる方法
(特開平2−203741号公報)、栄養補助食品とし
てゼラチンのカプセル内に封入する方法(特開昭59−
82070号公報)およびドコサヘキサエン酸を含む脂
質をパン・菓子に添加するためにトウモロコシ蛋白のα
−ツェインでコーティングする方法(たとえば「食品と
科学」第36巻第4号第93−95頁)などがある。
【0007】水蒸気蒸留精製による脱臭については、魚
肉食品および魚肉練り製品に添加するために水蒸気蒸留
精製によって脱臭している(それぞれ、特開平6−46
801号公報および特開平6−46802号公報)。し
かしながら、マスキングによる脱臭およびコーティング
による脱臭においては、いずれも、エイコサペンタエン
酸および/またはドコサヘキサエン酸含有脂質の強烈で
特有な不快臭を本質的に除去するものではなく、前者で
はエイコサペンタエン酸および/またはドコサヘキサエ
ン酸含有脂質の強烈で特有な不快臭よりもさらに強いマ
スキング材の芳香によってこの特有な不快臭を隠蔽する
ものであり、また、後者はコーティング材でエイコサペ
ンタエン酸および/またはドコサヘキサエン酸含有脂質
を被覆してこの特有な不快臭を封じ込め、その発散を防
止するものである。
【0008】また、これらの両者においては、エイコサ
ペンタエン酸および/またはドコサヘキサエン酸含有脂
質などを食品類に添加する際には、エイコサペンタエン
酸および/またはドコサヘキサエン酸含有脂質と共にマ
スキング材、または、コーティング材も同時に食品に添
加されることから、エイコサペンタエン酸および/また
はドコサヘキサエン酸含有脂質が添加された食品自体の
香りおよび食味などが損なわれる場合があり得る。従っ
て、添加される食品の種類もそれ自体特異な臭気および
食味を有する、たとえば、食酢、味噌、などの食品に限
られ、また、その添加量にも制限がある。また、水蒸気
蒸留精製による脱臭については、その装置が大掛かりで
あり、操作が煩雑である上に、なお、特有な不快臭が残
留しており、さらには、エイコサペンタエン酸および/
またはドコサヘキサエン酸含有脂質の一部が蒸留に際し
て同時に留出せしめられて損耗されると共に、水蒸気蒸
留における熱によるエイコサペンタエン酸および/また
はドコサヘキサエン酸の分解で新たな臭気が発生する危
険性がある。
【0009】エイコサペンタエン酸および/またはドコ
サヘキサエン酸含有魚油、たとえば、市販されている種
々な濃度のドコサヘキサエン酸高含有魚油などは、上述
のいずれかの脱臭方法により処理されたものであるが、
依然として、特有な不快臭が残留しており、上述した先
行技術に見られるように、その残存臭気のために、添加
される食品の種類は極めて限定され、かつ、その添加量
も少量に制限されている。
【0010】
【課題を解決するための手段、作用】本発明者らは、E
PAおよび/またはDHA含有脂質の強烈で特有な不快
臭を脱臭し得る方法について鋭意研究を重ね、遂に、簡
単な操作でこの臭気を実質的に完全に脱臭できる画期的
方法を発明するに至った。この方法の概略は、強烈で特
有な不快臭を有するEPAおよび/またはDHA含有脂
質と、サッカロミセス セレビシェのような可食性酵
母、さらに、サッカロミセス セレビシェによって醗酵
され得る、たとえば、乳ペプチドのような醗酵性可食性
有機物とを均一な懸濁水性液として接触せしめることに
より、この乳ペプチドがサッカロミセス セレビシェの
醗酵基質となって醗酵されると同時に、その醗酵作用に
共役して、EPAおよび/またはDHA含有脂質の特有
な不快臭が実質的に完全に除去され、さらには、生臭味
をも除去し得るとの従来の方法とは本質的に異なる本発
明者らの新知見である作用によるものであり、この新知
見に基づいて本発明が完成されるに至った。
【0011】すなわち、本発明は、少なくとも特有な不
快臭を有するEPAおよび/またはDHA含有脂質、な
らびに、可食性酵母および醗酵性可食性有機物を含有さ
せてなる均一な懸濁水性液(以下、これを単に 懸濁水
性液 と記すこともある)における可食性酵母による醗
酵性可食性有機物の醗酵に共役して、EPAおよび/ま
たはDHA含有脂質の強烈で特有な不快臭の除去を特徴
とする脱臭方法である。しかして、このようにして脱臭
された懸濁水性液それ自体および所望により濃縮された
濃縮懸濁液をそれぞれ機能性食品素材組成物とし、一
方、脱臭された該懸濁水性液から溶媒で抽出された実質
的に特有な不快臭のないEPAおよび/またはDHA含
有脂質を機能性食品素材とし、さらに、これらの機能性
食品素材組成物、または、機能性食品素材を、各種食品
に含有せしめてなる機能性食品を提供するものである。
【0012】一方、本発明において、EPAおよび/ま
たはDHA含有脂質の特有な不快臭を除去するために、
少なくとも、特有な不快臭を有するEPAおよび/また
はDHA含有脂質、ならびに、可食性酵母および可食性
有機物を均一な懸濁水性液として共存せしめることによ
り、可食性酵母が可食性有機物に作用して、たとえば、
アインホルン管測定によるガス生成(可食性有機物の分
解によるガス生成)、ホルモール滴定法によるホルモー
ル態窒素(可食性有機物の分解によるアミノ態窒素の生
成)、中和滴定法による酸度(可食性有機物の分解によ
る酸性物質の生成)および官能検査判定による醗酵臭
(可食性有機物の醗酵による分解臭)の各測定におい
て、一種以上の陽性結果が認められる場合、該可食性有
機物は該可食性酵母によって醗酵されたものとし、特
に、この可食性有機物を醗酵性可食性有機物と呼称する
こととした。しかして、EPAおよび/またはDHA含
有脂質の強烈で特有な不快臭は可食性酵母による醗酵性
可食性有機物の醗酵に共役して、ほぼ完全に除去され、
実質的に脱臭されることとなる。
【0013】本発明で使用されるEPAおよび/または
DHA含有脂質は、特有な不快臭を有していれば、特に
制限はなく、未処理のEPAおよび/またはDHA含有
脂質自体およびその処理物、ならびに、これらの含有物
などである。上述のEPAおよび/またはDHA含有脂
質自体とは、たとえば、魚介類および海獣類のそれぞれ
の組織などから抽出され、強烈で特有な不快臭を有して
いる粗製のEPAおよび/またはDHA含有脂質であ
る。その処理物とは、上記の粗製のEPAおよび/また
はDHA含有脂質が通常の精製法によって精製され、部
分的に脱臭されたものである。また、これらの含有物と
は、粗製の、または、脱臭処理に付されたが、まだ、特
異な不快臭が残存しているEPAおよび/またはDHA
含有脂質の含有物である。好適な代表例としては、たと
えば、マルハ株式会社によって市販されている5%以上
のEPAおよび27%以上のDHAを含む精製された油
状のEPA−DHA含有魚油(以下、DHAオイル と
記すこともある)、または、三協食品工業株式会社によ
って上市されている粗脂肪が60±2%であり、EPA
18±2%およびDHA12±2%を含有する高度に精
製され、粉末化されたEPA−DHA含有魚油(商品
名、マリン パウダー)などが挙げられ、これらは、何
れも若干の特有な不快臭を有している。
【0014】本発明で使用される可食性酵母は、人の食
用に供し得る酵母類であって、しかも該酵母類がEPA
および/またはDHA含有脂質の脱臭処理において醗酵
基質として用いられる可食性有機物を醗酵しさえすれば
特に制限はない。好ましい代表例として、サッカロミセ
ス セレビシェ(Saccharomyces cerevisiae) 、サッカ
ロミセス エリプソイデス(Saccharomyces ellipsoide
s)、ビール酵母およびパン酵母などのいわゆるサッカロ
ミセス属食用酵母が挙げられる。
【0015】本発明で使用される醗酵性可食性有機物と
は、人の食用に供し得る有機化学物質、食物、食品およ
び食品添加物等であり、かつ、EPAおよび/またはD
HA含有脂質の脱臭処理に際して、同時に使用される可
食性酵母によって醗酵されさえすれば、特に制限はな
く、たとえば、蛋白質・ペプチド類、アミノ酸類、ヌク
レオチド類および糖類等が好適である。蛋白質・ペプチ
ド類とは、大豆蛋白質、小麦蛋白質などの植物蛋白質お
よび卵白、乳ペプチドなどの動物蛋白質、ならびに、そ
れらの部分加水分解物およびこれらの含有物等を代表例
として挙げられるものである。
【0016】アミノ酸類とは、アミノ酸、アミノ酸混合
物およびその含有物、ならびに、蛋白質加水分解物等で
ある。それらの代表例としては、アミノ酸ではグルタミ
ン酸およびグリシン、ならびに、それらの塩などがあ
り、また、アミノ酸含有物ではアミノ酸調味料などが挙
げられる。ヌクレオチド類とは、ヌクレオチドおよびヌ
クレオチド含有物などである。ヌクレオチドの代表例と
しては、イノシン酸およびグアニル酸、ならびに、これ
らの塩などがある。また、ヌクレオチド含有物の代表例
としてヌクレオチド調味料を挙げることができる。糖類
とは、糖および糖含有物などである。糖の代表例とし
て、ブドウ糖、果糖、麦芽糖およびショ糖などを挙げる
ことができる。
【0017】これらの可食性酵母および醗酵性可食性有
機物は、所定の温度の懸濁水性液中で、混合して均一に
溶解、分散せしめられ、さらに、強烈で特有な不快臭を
有するEPAおよび/またはDHA含有脂質と接触せし
められ、その結果、該脂質の臭気は実質的に完全に除去
される。この懸濁水性液は、通常は、可食性酵母、醗酵
性可食性有機物、脱臭すべきEPAおよび/またはDH
A含有脂質の相互接触を良くして脱臭効果を高めるため
に、水を分散媒とし、これに乳化剤を用いて懸濁状態に
されている。これらを懸濁させるために使用する乳化剤
は、食用に供し得るものであり、その代表例を挙げれ
ば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール
脂肪酸エステル、レシチン、大豆サポニン、キラヤサポ
ニン、スフインゴ脂質およびトマト糖脂質等から選択さ
れた一種または二種以上の混合物である。本発明におい
ては、乳化効果からグリセリン脂肪酸エステルが好適に
使用される。この乳化剤の使用量は、乳化剤の種類など
によって異なり、一概に特定し得ないが、たとえば、グ
リセリン脂肪酸エステルの場合には、通常、EPAおよ
び/またはDHA含有脂質100gに対して約1〜10
g程度、好ましくは、約3〜7g程度とされる。
【0018】一方、分散媒である水の使用量は、通常、
EPAおよび/またはDHA含有脂質100gに対して
100〜400g程度、好ましくは、150〜300g
程度とされる。また、脱臭すべき懸濁水性液は、通常
は、使用される可食性酵母がこの懸濁水性液中で、醗酵
性可食性有機物を醗酵し得る温度とされる。その温度は
使用された可食性酵母が醗酵性可食性有機物を醗酵し得
る温度であれば、特に制限はないが、通常は、室温また
は常温から40℃程度の温度範囲とされ、可食性酵母の
種類に応じて適宜選択される。前記の懸濁水性液の醗酵
時間は、EPAおよび/またはDHA含有脂質の有する
特有な不快臭の程度、使用される可食性酵母および醗酵
性可食性有機物のそれぞれの種類、使用量、ならびに、
脱臭後における該脂質の用途などによって異なり、一概
に特定し得ないが、通常は、約1時間以上とされ、好ま
しくは2〜4時間とされる。
【0019】可食性酵母および醗酵性可食性有機物のそ
れぞれの使用量は、脱臭されるべきEPAおよび/また
はDHA含有脂質が有する特有な不快臭の程度、可食性
酵母および醗酵性可食性有機物のそれぞれの種類などに
よって異なり、一概に特定し得ない。可食性酵母の使用
量については、たとえば、市販のDHAオイル100g
に対し、醗酵性可食性有機物として乳ペプチド10gを
用い、可食性酵母としてサッカロミセス セレビシェ菌
体を使用した場合に、このサッカロミセス セレビシシ
ェ菌体の使用量は、通常、5×1010CFU程度以上、
特に好ましい範囲は1×1011〜1×1012CFU程度
とされる。
【0020】また、醗酵性可食性有機物の使用量につい
ては、たとえば、醗酵性可食性有機物を乳ペプチドと
し、市販のDHAオイル100gに対し可食性酵母とし
てサッカロミセス セレビシェ菌体1×1011CFU程
度を用いた場合、その乳ペプチドの使用量は、通常6g
程度以上、特に好ましい範囲は、8〜25g程度であ
る。さらに、EPAおよび/またはDHA含有脂質の強
烈で特有な不快臭の脱臭は、懸濁水性液における可食性
酵母による醗酵性可食性有機物の醗酵に共役して進行せ
しめられる。その際、EPAおよび/またはDHA含有
脂質の特有な不快臭脱臭の程度は懸濁水性液のpHによっ
ても影響される。すなわち、EPAおよび/またはDH
A含有脂質の強烈で特有な不快臭を、可食性酵母と醗酵
性可食性有機物とが共存する懸濁水性液中で脱臭すると
き、通常、懸濁水性液のpH4.0〜8.0において比較的
良好に脱臭され、好ましくは、pH5.0〜7.0において
極めて良好な脱臭を示す。しかも、このpH範囲は同時に
測定された醗酵の至適pHともよく一致することからも、
EPAおよび/またはDHA含有脂質の特有な不快臭の
脱臭が醗酵と共役して進行することは明白である。
【0021】一方、EPAおよび/またはDHA含有脂
質の強烈で特有な不快臭を脱臭するために、EPAおよ
び/またはDHA含有脂質、可食性酵母および醗酵性可
食性有機物とを混合せしめてなる懸濁水性液を室温乃至
常温で、または、加温して脱臭処理すると、これらの処
理において高度不飽和脂肪酸は経時的に酸化されて、そ
の酸価および過酸化物価が増加する。しかしながら、こ
れらの酸化はグルタチオン、システイン等のSH化合物
を、脱臭処理時にこの懸濁水性液に添加することによっ
て、ほぼ完全に防止することができる。また、その添加
量は、たとえば、グルタチオンおよびシステインでは、
それぞれEPAおよび/またはDHA含有脂質に対し
て、0.05重量%程度以上、特に好ましい範囲は、0.
2〜0.5重量%程度以上であればよく、このような添
加量で高度不飽和脂肪酸の酸化は防止される。なお、シ
ステインとしては、通常、システイン塩酸塩のようなシ
ステインの塩が使用される。
【0022】しかも、脱臭処理を経たシステイン無添加
のEPAおよび/またはDHA含有脂質を含む懸濁水性
液を添加したパン生地において、高度不飽和脂肪酸は製
パン時の醗酵および焼成によって、著しくその酸価およ
び過酸化物価が増加する。他方、脱臭処理を経たシステ
イン添加のEPAおよび/またはDHA含有脂質を含む
懸濁水性液のパン生地への添加は、製パン時の醗酵およ
び焼成における高度不飽和脂肪酸の酸化を阻止し得る。
また、このシステイン添加懸濁水性液のパン生地への添
加は、その後のパン粉の製造に支障をきたしたり、品質
を低下させることは全くない。
【0023】本発明の脱臭方法において、このように処
理することによって、EPAおよび/またはDHA含有
脂質が有している特有な不快臭は除去されるが、これは
この脱臭処理の過程において使用される可食性酵母が懸
濁水性液中に同時に存在する醗酵性可食性有機物を醗酵
基質として醗酵分解する際に、驚くべきことに、該可食
性酵母がEPAおよび/またはDHA含有脂質の特有な
不快臭成分をも同時に除去せしめるという作用に基因す
るものである。
【0024】以下に述べるこれらの実験事実は、前記し
た本発明における可食性酵母による醗酵性可食性有機物
の醗酵とEPAおよび/またはDHA含有脂質の強烈で
特有な不快臭の脱臭との相互依存関係、ならびに、その
脱臭が従来法のように糊塗的ではなく本質的な脱臭であ
ることを裏付ける論拠になっている。すなわち、可食性
酵母として製パン用イースト、醗酵性可食性有機物とし
て乳ペプチド、EPAおよび/またはDHA含有脂質と
して市販のDHAオイルをそれぞれ使用した場合に、単
にDHAオイルと乳ペプチドだけを懸濁せしめた水性液
もしくはDHAオイルと製パン用イーストだけを懸濁せ
しめた水性液において、それぞれ、DHAオイルと乳ペ
プチドのみ、あるいは、DHAオイルと製パン用イース
トのみの接触では、いずれも何らの醗酵も脱臭も共に認
められなかった。しかしながら、DHAオイル、製パン
用イーストおよび乳ペプチドの三者を懸濁せしめてこれ
を懸濁水性液とし、これらの三者を互いに接触させると
醗酵が進行し、この醗酵に共役して、DHAオイルの強
烈で特有な不快臭も変質せしめられてほぼ完全に脱臭さ
れた。また、この三者が共存せしめられて醗酵が進行し
つつある懸濁水性液に、醗酵阻害剤として知られている
アジ化ナトリウムおよびモノヨード酢酸のそれぞれを、
前者の場合には懸濁水性液に対して、0.007%以
上、後者の場合には懸濁水性液に対して0.005%以
上添加すると、生存酵母数には何らの変化が認められな
いにも拘わらず、醗酵と脱臭作用は共に全く停止した。
これらの結果から、本発明における脱臭作用は可食性酵
母による醗酵性可食性有機物の醗酵と共役して惹起され
るものであることは明らかであるが、その機作について
は、現在の処、全く不明である。
【0025】さらに、脱臭処理を経た前記のDHAオイ
ル含有の懸濁水性液を、ヘキサン抽出することによって
得られた抽出DHAオイルは特有な不快臭がほとんどな
く、実質的に完全に脱臭されている。これは本発明の脱
臭法が、悪臭を単に隠蔽するに過ぎないマスキングによ
るような糊塗的な脱臭作用とは異なって、本質的に臭気
成分を除去する脱臭作用に基づくものであることを意味
している。
【0026】なお、EPAおよび/またはDHA含有脂
質の脱臭に可食性酵母として市販の製パン用イーストを
使用した場合、同時に用いる醗酵性可食性有機物の種類
によっては、脱臭に際して新たに醗酵臭を生成するが、
元来、この醗酵臭は食品にとってむしろ望ましい芳香で
あるため、たとえ、このような醗酵臭のあるEPAおよ
び/またはDHA含有脂質を添加せしめられた食品に、
この醗酵臭が残留したとしても、決して喫食の妨げには
ならない。さらに、脱臭処理後の懸濁水性液には、脱臭
された多量のEPAおよび/またはDHA含有脂質とと
もに含有されている可食性酵母および醗酵性可食性有機
物、ならびに、乳化剤はいずれも食用に供し得るもので
あるから、この脱臭された懸濁水性液をそのまま、およ
び所望により濃縮された濃縮懸濁液をそれぞれ機能性食
品素材組成物とするか、または、脱臭処理後のEPAお
よび/またはDHA含有脂質を含む懸濁水性液から溶剤
で抽出された抽出脂質を機能性食品素材とすることがで
きる。かくして得られた機能性食品素材組成物または機
能性食品素材は各種食品類に添加されて機能性食品とさ
れる。
【0027】本発明の機能性食品素材組成物または機能
性食品素材が添加される食品類には特に制限はないが、
魚臭および魚味を有する魚肉食品、魚肉練り製品および
魚缶詰、ならびに、強い異臭および/または強い特異な
味を有する食酢および味噌などに含有させることができ
るのは勿論のこと、僅かな魚臭および魚味でも有しては
ならない、たとえば、小麦粉、そば粉および米粉などの
穀粉を原料とする、たとえば、パン、麺類、ビスケッ
ト、クッキーおよび煎餅などの食品類に含有させて機能
性食品とすることができる。本発明の機能性食品素材組
成物または機能性食品素材の食品への添加量は、本発明
の機能性食品素材組成物または機能性食品素材のEPA
やDHAの含有率、僅かに特有な不快臭が残存している
場合にはこの臭気の強さ、添加される食品の種類、機能
性食品中のEPAやDHAの所望の含有率などによって
異なり、一概に特定し得ないが、たとえば、穀粉および
穀粉を原料とする食品とDHAオイルを含む脱臭された
懸濁水性液にあっては、DHAオイルに含有されるドコ
サヘキサエン酸自体として食品中の穀粉に対して約0.
5重量%以上を含有させることができるが、事実上、好
ましくは、0.5〜1重量%程度となるように含有させ
る。
【0028】なお、油揚げ加工して食用に供せられる、
たとえば、天ぷら粉、パン粉およびドーナツなどにあっ
ては、これらに脱臭処理後のEPAおよび/またはDH
A含有脂質から由来する特有な不快臭が僅かに残留して
いても、油揚げ加工時の高温によって、この特有な不快
臭は消失せしめられるので、前記のような油揚げ加工を
必要とする食品には、本発明の機能性食品素材組成物ま
たは機能性食品素材を比較的大量に含有させることがで
きる。
【0029】
【実施例】本発明を、以下の実施例によってさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定
されるものではない。以下の実施例における分析法は下
記の如くである。 1.脱臭処理中に生成する発生ガス量の測定 脱臭処理すべき懸濁水性液20mlを、予め、綿栓して乾
熱滅菌されたアインホルン管の目盛付封管内に空気が入
らないように満たした後に、再びアインホルン管に綿栓
をする。このアインホルン管を38℃の孵卵器内に収納
して脱臭を開始し、この脱臭処理の所定時間毎におい
て、アインホルン管の目盛付封管内に発生したガスによ
って懸濁水性液が排除された空間部の目盛を読取り、そ
の量を懸濁水性液20mlの脱臭処理時の醗酵によって生
じた発生ガス量(ml/20ml)とする。
【0030】2.ホルモール滴定(ホルモール態窒素の
測定) 遊離アミノ基を定量する方法であって、この方法で得ら
れた測定値は、脱臭処理時における可食性酵母による醗
酵性可食性有機物である蛋白質およびペプチドなどの醗
酵分解の程度を示す。 1)試料液の調製 脱臭処理時における各種の懸濁水性液5gづつを、所定
時間毎に、100ml容ビーカーに採り、水20mlを加え
てから攪拌によってホモジナイズし、次いで、遠心分離
(8500×gで4分間遠心分離)によって不溶物を除
去する。得られた懸濁水性液の上澄液に、1/5規定水
酸化ナトリウム水溶液を滴下して、ほぼ中性(pH6.
8)に調整した後、これを50ml容メスフラスコに採
り、水を標線まで加えて試料液とする。 2)ホルモール態窒素の測定 煮沸して炭酸を炭酸ガスとして除き、冷却した純水を対
照液とし、この対照液および上記試料液各20mlを用い
て、通常、食品分析等で使用されるホルモール滴定法に
より、脱臭処理時における懸濁水性液のホルモール態窒
素(懸濁水性液1g当りのホルモール態窒素mg)を測定
した。
【0031】3.酸度の測定 100ml容三角フラスコに採取した脱臭処理時の懸濁水
性液5gに、水15gを加えて十分に混合する。これに
指示薬として1%フェノールフタレイン溶液を3滴加
え、1/10規定水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和
滴定し、この滴定量から懸濁水性液における乳酸重量%
を求め、これを酸度として表わした。
【0032】4.酵母数の測定 試料中の不溶物を除去するために、無菌条件下で一定量
の試料に適量の滅菌生理食塩水を加え攪拌してホモジナ
イズし、さらに22×gで1分間遠心分離し、沈殿と上
澄液とに分ける。得られた沈殿に適量の滅菌生理食塩水
を加え、無菌条件下で攪拌してホモジナイズし、さらに
前記と同様に遠心分離して沈殿と上澄液とに分け、この
操作を3回反復する。このようにして得られた上澄液を
集め、これに滅菌生理食塩水を加えて所定量にする。こ
の中の一定量を採り、滅菌生理食塩水で適当な濃度に希
釈し、その1mlと液状の滅菌ポテトデキストローズ寒天
培地(日水製薬株式会社の商品)とをシャーレ中で混合
する。このシャーレを25℃の孵卵器内で72±3時間
培養し、シャーレ中の寒天培地に発生したコロニー数を
カウントし、このコロニー数と試料の希釈倍率から、試
料1g中の酵母数(CFU/g)を算出する。
【0033】5.脂質の酸価および過酸化物価の測定 1)試料からの脂質の抽出 (1)固体試料 固体試料15gを秤取し、これを円筒濾紙に入れ、その
上に脱脂綿を軽く詰める。この円筒濾紙をソックスレー
抽出器のガラス円筒部に入れ、さらに、ソックスレー抽
出器の抽出フラスコにヘキサン100mlを入れてソック
スレー抽出器にセットし、この抽出フラスコを電気恒温
湯浴器の水中に浸漬して、80℃で3時間加熱して固体
試料の脂質抽出を行った。抽出後、試料の脂質を完全に
抽出し終わったヘキサンが入っているソックスレー抽出
器の抽出フラスコを40℃で真空蒸留して、この抽出フ
ラスコ中のヘキサンを完全に除去し、さらに、この抽出
フラスコを乾燥剤を収納した真空デシケーターに入れ
て、真空ポンプで1時間吸引減圧した後、室温で減圧下
24時間放置して、抽出された脂質から水分を除去し
た。
【0034】(2)液状試料 たとえば、脱臭処理を経た懸濁水性液などの液状試料に
おける脂質抽出について記載する。先ず、脱臭処理され
た懸濁水性液35mlを100mlの分液ロートに取る。こ
れにヘキサン約20mlを加えて2分間激しく振り混ぜた
後静置し、ヘキサン層を分液ロートから分取し、次いで
水層に約10mlのヘキサンを加え、同様に激しく分液ロ
ートを振盪する。この操作を3回繰り返し、ヘキサン層
をすべて集め、40℃湯浴中で減圧蒸留して、ヘキサン
を除く。このようにしてヘキサンで抽出された懸濁水性
液の脂質は乾燥剤を収納した減圧デシケーター中で脱水
され、必要に応じて、脂質の抽出回収率、酸価および過
酸化物価等のそれぞれの測定用試料に供される。
【0035】2)酸価の測定 前記のようにして抽出された脂質0.3gを100ml容
三角フラスコに採り、エーテル・アルコール混液(2:
1)30mlに溶解し、フェノールフタレインを指示薬と
して、1/10規定水酸化カリウム・アルコール溶液で
中和滴定する。この滴定値から常法に従って酸価を算出
する。
【0036】3)過酸化物価の測定(レ−法改良法) 250ml容の密栓付きフラスコ中にクロロホルム15ml
を採り、乾燥炭酸ガスを通気してこのフラスコ中の空気
を乾燥炭酸ガスで置換しながら、抽出によって得られた
脂質1gを秤量して、これをこのフラスコ中に入れ、静
かに振りながらクロロホルムに溶解させる。さらに、氷
酢酸15mlとヨウ化カリウム飽和水溶液1mlを加え、乾
燥炭酸ガスの通気を止めて密栓し、1分間振り混ぜた
後、栓を開けて75mlの蒸留水を加えて、再び密栓して
激しく振り混ぜた後、1%デンプン指示薬1mlを加えて
フラスコ中の液を青色とし、次いで、1/100規定チ
オ硫酸ナトリウム水溶液で、フラスコ中の液の青色が消
失し、無色透明になるまで滴定する。他方、本試験と並
行して空試験を行う。これらの滴定値の差から過酸化物
価を算出する。
【0037】6.特有な不快臭および醗酵臭、ならび
に、生臭い魚味についての官能検査の評価基準(点数
法) 点数法に基づく、臭いと味の官能検査評価基準は次のよ
うである。但し、特有な不快臭、醗酵臭は試料が発する
臭覚を刺激する、所謂、臭いであるが、生臭い魚味は試
料を喫食した時に舌で感じる味の感覚を意味している。 評価点数 特有な不快臭 醗酵臭 生臭い魚味 0 しない しない しない 1 少しする 少しする 少しする 2 する する する 3 強くする 強くする 強くする
【0038】また、官能検査は年令22歳から55歳ま
での健常な女性5名と、年令25歳から55歳までの健
常な男性5名とから構成されたパネラーによって行わ
れ、各パネラー個人の特有な不快臭および醗酵臭、なら
びに、生臭い魚味に対するそれぞれの評価点数における
それぞれのパネラー総数の和の平均値をもって、特有な
不快臭および醗酵臭、ならびに、生臭い魚味のそれぞれ
の評価値とした。
【0039】実施例1 各種醗酵性可食性有機物、可食
性酵母および特有な不快臭を有するDHAオイルを含む
懸濁水性液の脱臭処理 各種醗酵性可食性有機物、可食性酵母、強烈で特有な不
快臭を有するDHAオイル、乳化剤および水からなる醗
酵性可食性有機物添加試験区、各種醗酵性可食性有機物
が添加されず、可食性酵母、強烈で特有な不快臭を有す
るDHAオイル、乳化剤および水からなる可食性酵母添
加対照区、ならびに、可食性酵母が添加されず、各種醗
酵性可食性有機物、強烈で特有な不快臭を有するDHA
オイル、乳化剤および水からなる可食性酵母無添加対照
区の3種類の懸濁水性液におけるそれぞれの脱臭効果を
調べた。
【0040】すなわち、上記の醗酵性可食性有機物添加
試験区、可食性酵母添加対照区および可食性酵母無添加
対照区の各懸濁水性液を38℃の孵卵器中に収納して、
脱臭処理時におけるこれらの懸濁水性液の特有な不快臭
および醗酵臭などの官能検査による評価、ならびに、発
生ガス量、ホルモール態窒素量および酸度等の測定を行
った。試験に供された醗酵性可食性有機物添加試験区お
よび可食性酵母無添加対照区の配合組成を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】また、上記の醗酵性可食性有機物添加試験
区および可食性酵母無添加対照区での脱臭処理の経過中
における1時間毎の発生ガス量(ml/20ml)、ホルモ
ール態窒素量(mg/g)、酵母数(CFU/g)、特有
な不快臭、醗酵臭および酸度(乳酸重量%)をそれぞれ
測定して、それらの経時変化を調べた。結果を表2に示
す。
【0043】
【表2】
【0044】可食性酵母添加対照区(結果の詳細は省
略)および可食性酵母無添加対照区の両者は、3時間に
わたる脱臭処理に付されても発生ガス量、ホルモール態
窒素量および酸度は増加せず、また、醗酵臭の生成もな
く、さらに、DHAオイルの強烈で特有な不快臭も全く
除去されない。しかしながら、表2に示す如く、可食性
酵母であるサッカロミセス セレビシェと大豆蛋白質、
小麦蛋白質、乳ペプチドおよびグルタミン酸ナトリウム
のような醗酵性可食性有機物がそれぞれ併用された醗酵
性可食性有機物添加試験区では、脱臭処理時間の経過に
よりDHAオイルの特有な不快臭は著しく低減せしめら
れ、かつ、少なくとも、発生ガス量、ホルモール態窒素
量または酸度のうちのどれかが増加するか、あるいは、
醗酵臭生成があるかの何れか1つ以上のこれらの現象、
すなわち、醗酵が必ず認められる。一方、醗酵性可食性
有機物の代わりに澱粉、デキストリンなどの非醗酵性可
食性有機物を用いた場合は、発生ガス量、ホルモール態
窒素量、または、酸度の何れも増加せず、また、醗酵臭
の生成もなく、DHAオイルの特有な不快臭も全く除去
されない。
【0045】以上の結果は、懸濁水性液における可食性
酵母によるEPAおよび/またはDHA含有脂質の強烈
で特有な不快臭の除去が、同時に存在する醗酵性可食性
有機物の可食性酵母による醗酵に共役して行われるもの
であり、この点が、単なる糊塗的な手段であるマスキン
グなどによる脱臭法とは基本的に異なる所以である。
【0046】実施例2 添加量を変化させた可食性酵
母、乳ペプチドおよび特有な不快臭を有するDHAオイ
ルを含む懸濁水性液の脱臭処理 脱臭すべきDHAオイル10gに対する添加量をそれぞ
れ0.3g、0.6g、1.0g、1.5g、2.0g、4.
0g、8.0gおよび10.0gとした可食性酵母、乳ペ
プチド、強烈で特有な不快臭を有するDHAオイル、乳
化剤および水からなる懸濁水性液である可食性酵母添加
試験区、ならびに、可食性酵母が添加されず、乳ペプチ
ド、強烈で特有な不快臭を有するDHAオイル、乳化剤
および水からなる懸濁水性液である可食性酵母無添加対
照区のそれぞれにおける脱臭効果について検討した。す
なわち、上記の可食性酵母添加試験区および可食性酵母
無添加対照区の各懸濁水性液を38℃の孵卵器中に収納
して、脱臭処理時におけるこれらの各懸濁水性液の特有
な不快臭および醗酵臭などの官能検査による評価、なら
びに、発生ガス量、ホルモール態窒素量および酸度の測
定を行った。試験に供されたそれぞれの懸濁水性液の配
合組成を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】また、表3の配合組成からなるそれぞれの
懸濁水性液の脱臭処理における発生ガス量、ホルモール
態窒素量、酸度、ならびに、特有な不快臭および醗酵臭
の経時変化を調べた。結果を表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】この結果によれば、可食性酵母だけが添加
されない可食性酵母無添加対照区では、脱臭処理におけ
る発生ガス量、ホルモール態窒素量、酸度および醗酵臭
に何らの変化がなく、DHAオイルの特有な不快臭も全
く除去されなかった。しかしながら、可食性酵母添加試
験区では、DHAオイル10gに対する可食性酵母の添
加量が増すほど、活発に醗酵が行われ、同時にDHAオ
イルの特有な不快臭も顕著に低減せしめられた。従っ
て、この結果から、DHAオイル10gに対し醗酵性可
食性有機物として乳ペプチド1.0gを用いる場合、DH
Aオイル10gに対する可食性酵母の添加量は、通常、
5×109CFU程度以上、好ましくは、1×1010
FU程度以上とされることが判る。
【0051】実施例3 添加量を変化させた乳ペプチ
ド、可食性酵母および特有な不快臭を有するDHAオイ
ルを含む懸濁水性液の脱臭処理 脱臭すべきDHAオイル10gに対する添加量をそれぞ
れ0g、0.2g、0.4g、0.6g、0.8g、1.0
g、1.5gおよび2.0gとした各濃度の乳ペプチド、
可食性酵母、強烈で特有な不快臭を有するDHAオイ
ル、乳化剤および水からなる可食性酵母添加試験区、な
らびに、可食性酵母が添加されず、上記の各濃度の乳ペ
プチド、強烈で特有な不快臭を有するDHAオイル、乳
化剤および水からなる可食性酵母無添加対照区における
それぞれの懸濁水性液を38℃の孵卵器中に収納して脱
臭処理し、脱臭処理時におけるこれらの各懸濁水性液の
特有な不快臭および醗酵臭などの官能検査による評価、
ならびに、発生ガス量、ホルモール態窒素量および酸度
の測定を行った。試験に供された各懸濁水性液の配合組
成を表5に示す。
【0052】
【表5】
【0053】また、表5に示した可食性酵母無添加対照
区および可食性酵母添加試験区における各懸濁水性液の
脱臭処理時の発生ガス量、ホルモール態窒素量および酸
度、ならびに、官能検査で評価される特有な不快臭およ
び醗酵臭の経時変化を検討した。結果を表6に示す。
【0054】
【表6】
【0055】表6において、可食性酵母無添加対照区で
は、乳ペプチドの添加量を増加しても、醗酵は全く進行
せず、また、DHAオイルの特有な不快臭も全く除去さ
れなかった。しかしながら、可食性酵母添加試験区で
は、乳ペプチドの添加量が増加されるに伴って、発生ガ
ス量、ホルモール態窒素量は顕著に増大せしめられて醗
酵が活発となり、同時にDHAオイルの特有な不快臭も
低減せしめられて、臭気が除去される。しかして、DH
Aオイル10gに対する可食性酵母の使用量が1×10
10CFUであるとき、特有な不快臭の除去の程度から見
て、DHAオイル10gに対する乳ペプチドの添加量
は、通常、0.6g程度以上、好ましくは0.8g程度以
上とされることが必要であることが判る。
【0056】実施例4 脱臭処理された、可食性酵母、
乳ペプチドおよび特有な不快臭を有するDHAオイルを
含む、システイン添加懸濁水性液が添加された生パン粉
中脂質の酸価、ならびに、過酸化物価 システインやグルタチオンなどのSH化合物は、他の抗
酸化剤にはない脱臭処理時におけるEPAおよび/また
はDHA含有脂質の酸価および過酸化物価の増加を抑制
するという特異な作用が見られることについては前述し
た。
【0057】そこで、この特異なシステインの作用が製
パン時にも認められるものなのかどうかについて検討し
た。先ず、特有な不快臭を有するDHAオイル40g、
製パン用イースト4g、乳ペプチド4g、乳化剤(グリ
セリン脂肪酸エステル)2gおよび水93.2gを混合
懸濁した懸濁水性液を正確に2分し、その一方の懸濁水
性液はシステイン塩酸塩0.06gを添加混合してシス
テインを含有せしめたシステイン添加懸濁水性液(以
下、システイン添加懸濁水性液 と記すこともある)と
なし、また、他方の懸濁水性液はシステイン塩酸塩を加
えないもとの懸濁水性液それ自体のシステイン無添加懸
濁水性液(以下、システイン無添加懸濁水性液 と記す
こともある)である。これら2種類の懸濁水性液はそれ
ぞれ38℃で3時間脱臭処理した後、表7に示す如く、
それぞれの懸濁水性液をパン生地に添加し、常法に従っ
て電極法により焼成して製パンし、これを粉砕して生パ
ン粉を得た。
【0058】
【表7】
【0059】それぞれの生パン粉からヘキサンで脂質を
抽出し、得られた脂質の酸価および過酸化物価を測定し
た。DHAオイルも、システインも、添加されていない
通常のパン生地で製パンされた生パン粉、システイン無
添加懸濁水性液添加パン生地で製パンされた生パン粉お
よびシステイン添加懸濁水性液添加パン生地で製パンさ
れた生パン粉のそれぞれにおける脂質の酸価は各々3.
61、4.10および3.60であり、また、それぞれの
脂質の過酸化物価は各々13.20、14.22および1
0.62を示した。
【0060】このように、システイン添加懸濁水性液添
加パン生地で製パンされた生パン粉における脂質の過酸
化物価は、油脂としてショートニングのみが添加されて
いる通常のパン生地で製パンされた生パン粉における脂
質の過酸化物価よりも可成り低い値を示した。このこと
は、システイン添加はEPAおよび/またはDHA含有
脂質の脱臭処理時における脂質の酸化を防止するだけに
止まらず、通常のパン生地の製パン時におけるショート
ニングの酸化をも抑制するという極めて有用な性質を有
していることを示している。なお、システイン添加懸濁
水性液添加パン生地はパンの製造においても、製パン後
の生パン粉の味覚においても、通常のパン生地および通
常のパン生地から得られた生パン粉に比して何ら遜色が
なかった。
【0061】実施例5 脱臭処理された、DHAオイル
を含む、懸濁水性液が添加されたパン生地で製パンされ
た生パン粉の保存安定性 実施例4で述べた脱臭処理されたシステイン無添加懸濁
水性液添加パン生地で製パンされた生パン粉は小麦粉に
対しDHAを0.5重量%含有する。この生パン粉の所
定量と脱酸素剤「エージレス(三菱ガス化学株式会社の
商品)」とを共にガスバリア性の包袋に詰めて密封した
ものを9袋作製し、これを20〜28℃の室温に放置
し、10日毎に1個の袋から生パン粉を取り出し、その
生パン粉からヘキサンにて脂質を抽出し、その脂質の酸
価および過酸化物価をそれぞれ測定して保存安定性を調
べた。室温放置開始時の脂質の酸価は4.02、放置3
0日後で4.07、放置60日後で4.12、放置80日
後で4.17となった。一方、室温放置開始時の脂質の
過酸化物価は13.71、放置30日後で13.89、放
置60日後で14.04、放置80日後で14.27を示
した。このように、生パン粉中のEPAおよび/または
DHA含有脂質は室温放置80日後においても、ほとん
ど酸化されることなく安定に保存され、また、前記の点
数法による官能検査の結果でも特有な不快臭および生臭
い魚味に何らの変化も認められなかった。
【0062】実施例6 脱臭された、可食性酵母、乳ペ
プチドおよび特有な不快臭を有するDHAオイルを含
む、懸濁水性液が添加されたうどん、またはドーナツの
臭いおよび味覚 表1に示された各成分の配合重量の3.6倍量をそれぞ
れ含有する可食性酵母、乳ペプチドおよび特有な不快臭
を有するDHAオイルを含む懸濁水性液を38℃に保た
れた孵卵器内で3時間静置して脱臭処理に付し、EPA
および/またはDHA含有脂質の強烈で特有な不快臭を
脱臭した。
【0063】(1)うどん 小麦粉(中力粉)に対するDHAの添加率がそれぞれ
0.5重量%、1.0重量%および1.5重量%となるよう
に上記の脱臭された懸濁水性液をそれぞれ添加してうど
ん生地を調製した。これらのうどん生地をそれぞれ使用
して、常法に従って生うどんを調製し、これを沸騰水中
で12分間茹でてうどんを得、さらに、うどんをつけ汁
に付けて喫食する、所謂、付け麺とした。生うどん、う
どんおよび付け麺のそれぞれについて前記の評価基準に
従って官能検査を行った。この結果によれば、上記の脱
臭された懸濁水性液が添加された生うどんで、特に多量
のDHAオイル添加において、特有な不快臭が極めて僅
かに感じられた。しかしながら、加熱後のうどんおよび
付け麺では、この特有な不快臭を消失し、僅か乃至は極
めて僅かに生臭い魚味が感じられるのみであって、多量
のDHAオイルが添加されているにも拘わらず、実際の
喫食に際してうどんおよび付け麺の臭いおよび食味には
全く悪影響を与えなかった。
【0064】(2)ドーナツ 上記の脱臭された懸濁水性液を小麦粉(薄力粉)に対す
るDHAの添加率がそれぞれ1重量%、2重量%および
3重量%となるように添加し、次いで、常法に従ってド
ーナツ生地を調製した。このドーナツ生地を160℃の
油で5分間揚げて油調ドーナツを得た。このようにして
得られた油調ドーナツのそれぞれの特有な不快臭および
醗酵臭、ならびに、生臭い魚味を前記の点数法による官
能検査の評価基準に従って判定した。何れの油調ドーナ
ツにも特有な不快臭および生臭い魚味が全く感じられ
ず、多量のDHAオイルが添加されているにも拘わらず
油調ドーナツの臭いおよび食味には全く悪影響を与えな
かった。
【0065】
【発明の効果】本発明の脱臭方法により、簡単な操作で
EPAおよび/またはDHA含有脂質を全く損耗するこ
となく、EPAおよび/またはDHA含有脂質が本来有
している強烈で特有な不快臭を除去することができ、さ
らに、本発明の脱臭方法で処理されヘキサン等で抽出さ
れたEPAおよび/またはDHA含有脂質、ならびに、
脱臭処理された醗酵性可食性有機物、可食性酵母および
EPAおよび/またはDHA含有脂質を含有する懸濁水
性液、または、この懸濁水性液を所望により濃縮して得
られた濃縮懸濁液は、何れもEPAおよび/またはDH
A含有脂質濃度が高いにも拘わらず、強烈で特有な不快
臭が全くないか乃至は極めて少なく、機能性食品素材お
よび機能性食品素材組成物として好適であり、また、こ
れらの機能性食品素材および機能性食品素材組成物をそ
れぞれ各種食品に添加して機能性食品とする場合、EP
Aおよび/またはDHA含有脂質を多量含有させても特
有な不快臭がないか乃至は極めて少ないので添加される
食品には特に制限がなく、利用範囲が極めて広い。

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特有な不快臭を有する高度不飽和脂肪酸
    を含む魚介類脂質および/または海獣類脂質と可食性酵
    母および醗酵性可食性有機物とを懸濁水性液中で接触さ
    せて、高度不飽和脂肪酸を含む魚介類脂質および/また
    は海獣類脂質の特有な不快臭を除去することを特徴とす
    る脱臭方法。
  2. 【請求項2】 高度不飽和脂肪酸が、少なくとも、エイ
    コサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸である請求
    項1記載の脱臭方法。
  3. 【請求項3】 可食性酵母がサッカロミセス属食用酵母
    である請求項1記載の脱臭方法。
  4. 【請求項4】 醗酵性可食性有機物が可食性酵母によっ
    て醗酵される蛋白質類、ヌクレオチド類、アミノ酸類ま
    たは糖類である請求項1記載の脱臭方法。
  5. 【請求項5】 サッカロミセス属食用酵母が、少なくと
    も、サッカロミセスセレビシェ、サッカロミセス エリ
    プソイデス、ビール酵母またはパン酵母である請求項3
    記載の脱臭方法。
  6. 【請求項6】 醗酵性可食性有機物が、少なくとも、大
    豆蛋白質、小麦蛋白質、卵白、乳ペプチド、グルタミン
    酸、グリシン、イノシン酸、グアニル酸、ブドウ糖、果
    糖、麦芽糖またはショ糖である請求項4記載の脱臭方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の懸濁水性液にシステイン
    および/またはグルタチオンを含有させて酸化されるこ
    となく高度不飽和脂肪酸を含む魚介類脂質および/また
    は海獣類脂質の特有な不快臭を除去することを特徴とす
    る脱臭方法。
  8. 【請求項8】 特有な不快臭が除去された請求項1記載
    の懸濁水性液から溶剤で抽出されたことを特徴とする特
    有な不快臭のない高度不飽和脂肪酸を含む魚介類脂質お
    よび/または海獣類脂質である機能性食品素材。
  9. 【請求項9】 高度不飽和脂肪酸が、少なくとも、エイ
    コサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸である請求
    項8記載の機能性食品素材。
  10. 【請求項10】 可食性酵母がサッカロミセス属食用酵
    母である請求項8記載の特有な不快臭のない高度不飽和
    脂肪酸を含む魚介類脂質および/または海獣類脂質であ
    る機能性食品素材。
  11. 【請求項11】 醗酵性可食性有機物が可食性酵母によ
    って醗酵される蛋白質類、ヌクレオチド類、アミノ酸類
    または糖類である請求項8記載の特有な不快臭のない高
    度不飽和脂肪酸を含む魚介類脂質および/または海獣類
    脂質である機能性食品素材。
  12. 【請求項12】 サッカロミセス属食用酵母が、少なく
    とも、サッカロミセス セレビシェ、サッカロミセス
    エリプソイデス、ビール酵母またはパン酵母である請求
    項10記載の特有な不快臭のない高度不飽和脂肪酸を含
    む魚介類脂質および/または海獣類脂質である機能性食
    品素材。
  13. 【請求項13】 醗酵性可食性有機物が、少なくとも、
    大豆蛋白質、小麦蛋白質、卵白、乳ペプチド、グルタミ
    ン酸、グリシン、イノシン酸、グアニル酸、ブドウ糖、
    果糖、麦芽糖またはショ糖である請求項11記載の特有
    な不快臭のない高度不飽和脂肪酸を含む魚介類脂質およ
    び/または海獣類脂質である機能性食品素材。
  14. 【請求項14】 特有な不快臭が除去された請求項7記
    載の懸濁水性液から溶剤で抽出されたことを特徴とする
    酸化されず、かつ、特有な不快臭のない高度不飽和脂肪
    酸を含む魚介類脂質および/または海獣類脂質である機
    能性食品素材。
  15. 【請求項15】 高度不飽和脂肪酸を含む魚介類脂質お
    よび/または海獣類脂質と可食性酵母および醗酵性可食
    性有機物とを含有する不快臭が除去された請求項1記載
    の懸濁水性液および/またはその濃縮懸濁液を含有させ
    てなり、特有な不快臭が実質的にないことを特徴とする
    機能性食品素材組成物。
  16. 【請求項16】 高度不飽和脂肪酸が、少なくとも、エ
    イコサペンタエン酸またはドコサヘキサエン酸である請
    求項15記載の機能性食品素材組成物。
  17. 【請求項17】 可食性酵母がサッカロミセス属食用酵
    母である請求項15記載の機能性食品素材組成物。
  18. 【請求項18】 醗酵性可食性有機物が可食性酵母によ
    って醗酵される蛋白質類、ヌクレオチド類、アミノ酸類
    または糖類である請求項15記載の機能性食品素材組成
    物。
  19. 【請求項19】 サッカロミセス属食用酵母が、少なく
    とも、サッカロミセス セレビシェ、サッカロミセス
    エリプソイデス、ビール酵母またはパン酵母である請求
    項17記載の機能性食品素材組成物。
  20. 【請求項20】 醗酵性可食性有機物が、少なくとも、
    大豆蛋白質、小麦蛋白質、卵白、乳ペプチド、グルタミ
    ン酸、グリシン、イノシン酸、グアニル酸、ブドウ糖、
    果糖、麦芽糖またはショ糖である請求項18記載の機能
    性食品素材組成物。
  21. 【請求項21】 懸濁水性液にシステインおよび/また
    はグルタチオンを含ませて、酸化されることなく脱臭せ
    しめられた請求項7記載の高度不飽和脂肪酸を含む魚介
    類脂質および/または海獣類脂質を含有させてなる機能
    性食品素材組成物。
  22. 【請求項22】 特有な不快臭が除去されたシステイン
    および/またはグルタチオンを含有させた懸濁水性液か
    らの溶剤抽出物であって、酸化されず、かつ、不快臭の
    ない請求項14記載の高度不飽和脂肪酸を含む魚介類脂
    質および/または海獣類脂質を含有させてなる機能性食
    品素材組成物。
  23. 【請求項23】 食品に、請求項8、請求項10、請求
    項11または請求項14記載の特有な不快臭のない高度
    不飽和脂肪酸を含む魚介類脂質および/または海獣類脂
    質である機能性食品素材を含有させてなる機能性食品。
  24. 【請求項24】 食品に、請求項15、請求項17、請
    求項18、請求項21または請求項22記載の機能性食
    品素材組成物を含有させてなる機能性食品。
  25. 【請求項25】 食品がパン粉類である請求項23また
    は24記載の機能性食品。
  26. 【請求項26】 食品が麺類である請求項23または2
    4記載の機能性食品。
  27. 【請求項27】 食品がドーナツである請求項23また
    は24記載の機能性食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009512435A (ja) * 2005-10-22 2009-03-26 セ ジョン パク 有機性廃棄物の悪臭除去効能を有する微生物及びその用途
JP2013163818A (ja) * 2005-11-18 2013-08-22 Evonik Stockhausen Gmbh 脱臭性の超吸収性組成物
JP2015101611A (ja) * 2013-11-21 2015-06-04 芳則 伊東 魚油の脱臭法
JP2015226533A (ja) * 2014-05-07 2015-12-17 株式会社ヤクルト本社 藻類由来成分含有飲食物

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