JP2000239168A - 脳卒中予防剤およびこれを配合してなる組成物 - Google Patents

脳卒中予防剤およびこれを配合してなる組成物

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JP2000239168A
JP2000239168A JP11084464A JP8446499A JP2000239168A JP 2000239168 A JP2000239168 A JP 2000239168A JP 11084464 A JP11084464 A JP 11084464A JP 8446499 A JP8446499 A JP 8446499A JP 2000239168 A JP2000239168 A JP 2000239168A
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dha
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Yoshikazu Inoue
良計 井上
Takeo Ishihara
健夫 石原
Yasushi Saito
康 齋藤
Nobuhiro Morizaki
信尋 森崎
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BIZEN KASEI KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高血圧性脳出血等の脳卒中を効果的に防止し
得る脳卒中予防剤およびこれを配合してなる組成物を提
供する。 【解決手段】 イカ外套筋や魚卵等を原料とし、構成脂
肪酸としてドコサヘキサエン酸を含む脂肪酸の残基をも
つグリセロリン脂質、より好ましくはホスファチジルコ
リンを有効成分としてなる脳卒中予防剤。また、該予防
剤を配合して医薬用組成物、食用組成物等の組成物とな
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の高度不飽和
脂肪酸を含有する構成脂肪酸をもつリン脂質を有効成分
としてなる脳卒中予防剤に係るものである。より詳しく
は、イカ皮や特定の鶏卵等から得られるドコサヘキサエ
ン酸含有脂肪酸を構成脂肪酸とするグリセロリン脂質を
有効成分としてなる脳卒中予防剤およびこれを配合して
なる組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高血圧状態が長期間持続すると、その原
因疾患のいかんにかかわらず、脳、心臓、腎臓等に重篤
な疾病、合併症を起こすことが知られている。例えば、
脳血管障害として高血圧性脳出血、高血圧性脳症、クモ
膜下出血等のいわゆる脳卒中症状が高血圧によって惹起
される。高血圧性脳出血は、脳の微細動脈ないしは小動
脈における中膜平滑筋細胞の壊死すなわち動脈の脆弱化
と、それに基づく動脈組織の破壊によってひき起こされ
る。これを予防するには血圧のコントロールとともに動
脈の中膜平滑筋細胞の壊死の予防、壊死に至った局所で
の残存平滑筋細胞の分裂および増殖の促進が重要とな
る。
【0003】近年、生活習慣および食事パターンと疾病
との関係が注目され、生活様式の見直しや各種食材に含
まれる成分の機能評価が行われている。この評価手段と
して種々の病態モデル動物が開発されており、脳出血等
の脳卒中を評価するための理想的なモデル動物としてS
HR−SP(脳卒中易発症自然発症高血圧ラット)が知
られている。このモデルは自然経過として生後の週齢依
存的に血圧が上昇し、約15週齢で収縮期血圧が200
mmHgを超え、このために週齢依存的に脳卒中を起こ
し、45週齢前後までには大部分が死亡するものである
(Y.Yamori etal.,Jpn.Cir.
J.,39,616−621,1975)。
【0004】食材中の脂質の構成成分としてエイコサペ
ンタエン酸(C20:5n−3以下、EPAという)や
ドコサヘキサエン酸(C22:6n−3以下、DHAと
いう)があり、これらをはじめとする高度不飽和脂肪酸
は、例えばカツオやマグロ等の魚油、卵黄油の構成要素
として含まれており、また微細藻類や微生物の組織中に
も油分の構成脂肪酸として存在することが知られてい
る。脂質の生理活性や薬理作用に関する研究が近年急速
に進展し、例えばDHAについても種々の機能が解明さ
れている。
【0005】すなわち、DHAの生理作用として血中脂
質低下(今泉勝巳、「臨床栄養」、第83巻、第4号、
第440頁、1993年など)、血小板凝集能抑制(氷
川祐三ら、「血液と脈管」、第15巻、第2号、第13
8−141頁、1984年)、記憶・学習能の改善
(A.hucas et al.,The Lance
t,339,261,1992など)、抗痴呆(M.S
oderberg etal.,Lipids,26
(6),421,1991)、抗腫瘍(成沢富雄ら、
「医学のあゆみ」、第145巻、第911頁、1988
年)、抗アレルギー(M.Shikano et a
l.,J.Immunology,150,3525,
1993)、視力低下抑制(横田明重、「臨床栄養」、
第83巻、第5号、第619頁、1993年)等の作用
が見出され、治療薬や食品への利用をはじめ様々な用途
への応用が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、DHA
は種々の生理的・薬理的機能を有するが、これらはいず
れも魚油等のトリグリセリドやエチルエステルの形態で
評価したものである。一般的に、脂肪酸等の構成要素が
同じであっても、その態様が異なる場合には、生体に投
与あるいは摂取したときの作用機序が相違し、予想を超
えた意外な知見が得られることがある。かかる状況に鑑
み、本発明では、脳の微細ないしは小動脈の中膜平滑筋
細胞の分裂、増殖を促し、脳出血を防止し、ひいては脳
卒中の発現を効果的に予防および治療し得る、DHAを
構成要素とする形態の成分を有効成分とする脳卒中予防
剤およびこれを配合してなる組成物を提供することを解
決すべき課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために、DHAを構成要素として有する種々
の成分について鋭意検討した結果、DHAを構成脂肪酸
としてもつグリセロリン脂質が顕著な脳卒中予防効果を
奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の課題とする脳卒中予防
剤は、構成脂肪酸としてDHAを含む脂肪酸の残基を有
するグリセロリン脂質を有効成分としてなる脳卒中予防
剤によって達成される。ここで、構成脂肪酸中のDHA
含量は5重量%以上であることが好ましく、グリセロリ
ン脂質は構成脂肪酸残基を1個有するモノアシル型およ
び/または2個有するジアシル型のホスファチジルコリ
ンであることが望ましく、さらに、本発明の脳卒中予防
剤は前記グリセロリン脂質を20重量%以上含有するも
のがより好ましい。
【0009】また、本発明において必須成分とするグリ
セロリン脂質は、動物性原料または魚介類由来の原料か
ら得られるものが望ましく、動物性原料としてはDHA
含有油を添加した飼料で飼育された鶏の卵の卵黄が好ま
しく、魚介類由来の原料としてはイカまたは魚卵が好ま
しい。本発明では、また、前記いずれかの脳卒中予防剤
を配合してなる組成物が提供される。この組成物の望ま
しい態様は医薬品または食品である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の脳卒中予防剤およびこれ
を配合してなる組成物について以下にさらに詳述する。
まず、本発明の脳卒中予防剤は、構成脂肪酸としてDH
Aを含む脂肪酸の残基を有するグリセロリン脂質を有効
成分としてなることを特徴とする。本発明でいうグリセ
ロリン脂質とは、具体的にはホスファチジルコリン、ホ
スファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシ
トール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸およ
びこれらのリゾ体を例示できる。本発明で用いるグリセ
ロリン脂質はこれらの1種または2種以上を含み、任意
の割合の組成でよく、カルジオリピンやスフィンゴミエ
リン等の他のリン脂質を含むものであってもさしつかえ
ないが、後述するような脂肪酸残基を1個もつモノアシ
ル型および/または2個もつジアシル型のホスファチジ
ルコリンであることが望ましい。また、かかるグリセロ
リン脂質は本発明の脳卒中予防剤中に20重量%以上、
より好適には30重量%以上含まれていることが望まし
い。20重量%未満では本発明の所望の効果が小さくな
る。
【0011】本発明のグリセロリン脂質を構成する脂肪
酸はDHAを必須として含む脂肪酸であり、DHAを構
成脂肪酸中5重量%以上含有するものが好ましく、より
好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量
%以上のものである。DHA含量が5重量%未満である
と本発明の所望の脳卒中予防効果が発現しなくなる場合
がある。なお、前記構成脂肪酸はDHA以外の高度不飽
和脂肪酸を含有するものであってもよい。かかる脂肪酸
は炭素数が18〜22、より好ましくは20〜22で、
炭素−炭素間二重結合が3個以上、より好ましくは4〜
6個のものである。具体例としてα−リノレン酸、γ−
リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、γ’−リノレン
酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、EPA、ドコ
サペンタエン酸等を挙げることができる。
【0012】本発明で用いるグリセロリン脂質の構成脂
肪酸は、前記の高度不飽和脂肪酸のほかに任意のものを
含有していてもさしつかえない。かかる脂肪酸の例とし
て酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレ
イン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リ
ノール酸、共役リノール酸等がある。なお、長鎖飽和脂
肪酸は本発明の所望の効果にはさほど関係するものでは
ないので、本発明を実施するにあたっては、該脂肪酸の
含有量をできるだけ低減させることが望ましい。
【0013】本発明で用いるグリセロリン脂質は、動
物、植物、魚介類、藻類、微生物等を原料として採取す
ることができ、また、化学的合成品としてあるいはリパ
ーゼおよび/またはホスホリパーゼA、D等の酵素を使
用して生化学的に調製してもよいが、DHA含量の多
少、採取効率および作業・操作の容易性等の点から動物
性原料または魚介類由来の原料を選択し、これから抽出
することが望ましい。動物性原料としては牛、豚、鶏、
アザラシ、ハープシール、オットセイ、セイウチ、トド
等の各種動物臓器を使用でき、とりわけ魚油等のDHA
含有油を添加した飼料で飼育した鶏の卵の卵黄が好適で
ある。
【0014】一般の鶏卵の卵黄中にはDHAが1個あた
り約50〜100mg含まれるが、例えば、DHAを構
成脂肪酸中20重量%以上含むDHA含有油を通常の飼
料に約3〜6重量%添加した配合飼料で鶏を飼育する
と、その鶏卵は卵黄1個あたり約200〜300mg、
高い場合には約400mgのDHAを含有するようにな
る。本発明ではかかるDHA高含有鶏卵を好適に使用で
き、例えば、三重経済連の「まんてんくん」、岡山経済
連の「おりこうさん」、あじたまの「健脳卵」等の市販
品を利用すればよい。なお、卵黄はそのまま抽出用原料
として使用してもよいが、保存や取扱い上の利便性を考
慮すると、乾燥卵黄、とりわけ水分含量が5重量%以下
のものを用いるのがよい。
【0015】魚介類由来の原料としては、カツオ、マグ
ロ、イワシ等のDHAを含有する魚類の組織、ケンサキ
イカ、コウイカ、マイカ、マツイカ、スルメイカ、ホタ
ルイカ、ヤリイカ等のイカ組織およびこれらの皮、カツ
オやマグロ等の魚卵を例示できる。このうち、イカ組織
から抽出して得られる油分は脂肪酸組成として約30〜
45重量%のDHAおよび約10〜15重量%のEPA
を含有しており、本発明において好適な原料である。イ
カ皮(外套筋)も同様に高濃度のDHAを含有してい
る。
【0016】前記原料から本発明に係るグリセロリン脂
質を得るには、圧搾法、煮とり法、抽出法等の公知の方
法によればよい。抽出法の場合、例えば、ヘキサン、エ
ーテル、石油エーテル等の脂溶性有機溶剤、あるいはこ
れに適宜にメタノール、エタノール、イソプロパノール
等の親水性アルコールを加えた混合溶剤を用い、常温で
もしくは加温して、常圧または加圧下、必要に応じて攪
拌して油分を抽出する。この抽出油分は一般に原油と称
せられ、グリセリドを主成分とするものであるから、こ
れ水を添加して脱ガム処理し、分離したガム質区分を乾
燥してグリセロリン脂質含量が20〜60重量%のリン
脂質含有油分を得ることができる。あるいは前記親水性
アルコールの含水溶剤を用いて抽出すると、抽出物とし
て前記同様のグリセロリン脂質含有油分が得られる。本
発明の脳卒中予防剤の製剤化にあたっては、前述の抽出
物をそのまま使用してもよいが、これをさらに分画処理
して有効成分であるグリセロリン脂質をより高濃度に含
有する分画物として用いてもよい。
【0017】かかる分画物を得るためには、有効成分の
溶剤に対する溶解性の差異を利用する液−液分離法が簡
便かつ実用的である。例えば、前記抽出物にアセトン沈
殿処理を施してグリセロリン脂質含量をさらに高めた分
画物を得ることができ、またシリカゲル、アルミナ等の
吸着剤を充填したカラムクロマトグラフィー処理に供す
ることにより、グリセロリン脂質含量が90重量%以上
の分画物を得ることもできる。
【0018】このようにして得られるグリセロリン脂質
含有油分およびこの分画物の望ましい態様は、グリセロ
リン脂質の含量が20重量%以上、より好ましくは30
重量%以上であり、該リン脂質の構成脂肪酸としてDH
Aを必須として含み、とりわけDHAを5重量%以上含
有するものである。本発明に係るグリセロリン脂質で
は、DHAや他の高度不飽和脂肪酸がリン脂質の構成脂
肪酸として含有されているため、魚油等の高度不飽和脂
肪酸トリグリセリドと比較して酸化安定性が優れてお
り、精製後の戻り臭や不快臭がほとんどない。
【0019】本発明の脳卒中予防剤は前述のようなグリ
セロリン脂質またはこれを含む油分を有効成分としてな
るものであり、これらを単独で配合した形態で構成さ
れ、望ましくはグリセロリン脂質の含有量が20重量%
以上、さらに好ましくは30重量%以上である。本発明
の所望の効果を阻害しない範囲および程度であれば、他
の公知の成分あるいは原材料を適宜に併用せしめてもよ
い。これらの例としてアスコルビン酸、アミノ酸、ペプ
チド、蛋白質およびこの分解物、各種糖質、澱粉および
この分解物、ミネラル類、ビタミンE、トコフェロー
ル、フィトステロール、カテキン等のポリフェノール類
等およびこれらの誘導体を挙げることができるが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
【0020】なお、これらの併用物質がアスコルビン酸
パルミテート、フィトステロール、ビタミンE等のよう
に油溶性の場合は、本発明に係るグリセロリン脂質また
はこれを含む油分と混合して均一状態となし、また、ア
スコルビン酸、アミノ酸、ミネラル、蛋白質等のように
水溶性ないしは水分散性の場合は、例えばその乾燥粉末
を本発明に係るグリセロリン脂質またはこれを含む油分
と混練して分散状態にするか、水および適宜に界面活性
剤を共存させて乳化状態となすこともできる。
【0021】本発明では、前述のように、DHAを構成
脂肪酸成分として含むグリセロリン脂質を有効成分とし
てなる脳卒中予防剤が提供されるが、さらにこの予防剤
を配合してなる組成物も提供される。この組成物の態様
としては医薬用組成物および食用組成物が好適である。
【0022】本発明の医薬用組成物は、本発明に係る前
記脳卒中予防剤すなわちDHAを含有する脂肪酸の残基
を有するグリセロリン脂質またはこれを含む油分に、本
発明の趣旨に反しない公知の賦型剤や添加剤を必要に応
じて加え、常法により加工して錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤、注射剤等の製剤となしたものである。経口摂
取、経管投与または注射投与して、脳卒中発症の予防あ
るいは治療のために適用する。前記製剤中に配合する本
発明の脳卒中予防剤は、前述のような分画精製処理を施
してDHA残基を有するグリセロリン脂質の含有量をで
きるだけ高めたものを用いるのが望ましい。その配合量
は製剤の種類、形態や用法、用量等により一律に規定し
難いが、概ね0.01〜50重量%である。経口摂取す
る場合の摂取量はとくに限定されないが、有効成分であ
る前記グリセロリン脂質として、成人(体重50kg)
1日あたり0.01〜10g、より好ましくは0.1〜
5gである。この範囲を外れて少ないと所望の効果を奏
することが難しくなり、逆に多すぎてもさらに顕著な効
果は認められない。
【0023】本発明の他の組成物の好適な態様は食用組
成物である。すなわち、前述のようにして得られるDH
Aを含有する脂肪酸の残基を有するグリセロリン脂質を
有効成分として含む脳卒中予防剤は、これをそのまま液
状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース、清
涼飲料、茶、スープ、ドレッシング、ゼリー、ヨーグル
ト、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、ケーキミックス、
粉末状または液状の乳製品、パン、クッキー等に添加し
たり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦型
剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加
工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加
工して健康食品や栄養補助食品等として利用できる。こ
れらの食品類あるいは食用組成物における本発明の脳卒
中予防剤の配合量は、当該食品や組成物の種類や状態等
により一律に規定しがたいが、約0.01〜50重量
%、より好ましくは0.1〜30重量%である。配合量
が0.01重量%未満では経口摂取による所望の効果が
小さく、50重量%を超えると食品の種類によっては風
味を損なったり当該食品を調製できなくなる場合があ
る。なお、本発明の脳卒中予防剤は、これをそのまま食
用に供してもさしつかえない。
【0024】
【実施例】実施例1 アルゼンチンマツイカの表皮(外套筋)を剥ぎとり、凍
結乾燥して乾燥イカ皮をつくり、この10kgに99%
(V/V)エタノール10Lを加え、60℃で2時間、
適宜ゆるやかに撹拌して抽出した。抽出液からエタノー
ルを減圧留去してペースト状の抽出物2.5kgを得
た。これに20倍量(v/w)のアセトンを加えて5℃
にて12時間静置し、生じた沈殿物を濾別した後、99
%(v/v)エタノール4Lに再溶解させ、この濾液か
らエタノールを減圧留去してペースト状物1.5kgを
得た。このペースト状物について高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GL
C)および薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて
分析した結果、該ペースト状物のグリセロリン脂質含
量:55.4重量%(内訳はホスファチジルコリン:5
1.9%、リゾホスファチジルコリン:1.2%、ホス
ファチジルエタノールアミン:20.1%、リゾホスフ
ァチジルエタノールアミン:5.7%、ホスファチジル
イノシトール:0.9%、その他:20.2%)、総脂
肪酸中のDHA含量:39.2重量%、EPA含量:1
4.9重量%であり、グリセロリン脂質の構成脂肪酸中
のDHA含量:38.7重量%、EPA含量:15.0
重量%であった。
【0025】比較例1 市販の通常の鶏卵の卵黄を乾燥した乾燥卵黄50kgを
抽出釜に仕込み、70%(V/V)エタノール500L
を加え、40℃で2.5時間、実施例1と同様に処理し
てペースト状物10kgを得た。実施例1と同様に分析
したところ、該ペースト状物のグリセロリン脂質含量:
53.1重量%(内訳はホスファチジルコリン:73.
6%、リゾホスファチジルコリン:5.5%、ホスファ
チジルエタノールアミン:14.7%、リゾホスファチ
ジルエタノールアミン:2.3%、ホスファチジルイノ
シトール:0.8%、その他:3.1%)、総脂肪酸中
のDHA含量:0.6重量%、EPA含量:0.1重量
%であり、グリセロリン脂質の構成脂肪酸中のDHA含
量:0.7重量%、EPA含量:0.2重量%であっ
た。
【0026】比較例2 マグロの魚体(頭部および腹部の細断片)を圧搾法で処
理して搾油し、魚油の原油を得た。これを脱ガム処理
し、グリセロリン脂質含量:0.1重量%、総脂肪酸中
のDHA含量:48.3重量%、EPA含量:7.3重
量%の精製魚油を得た。
【0027】試験例1 脳卒中易発症自然発症高血圧ラット(SHR−SP、1
5週齢オス)を1群15匹に分け、対照群では普通食
(オリエンタル酵母(株)製)飼料、試験群では前記普
通食に実施例1記載のイカ皮リン脂質を2重量%添加し
た飼料、前記普通食に比較例1記載の鶏卵リン脂質を2
重量%添加した飼料、または前記普通食に比較例2記載
の精製魚油を2重量%添加した飼料で、19〜30週齢
にわたりそれぞれ飼育した。なお、血圧をさらに上昇さ
せるために25週齢から飲水に食塩1%を添加した。試
験期間中、体重、血圧、28週齢における血清脂質の脂
肪酸および、脳卒中発症による死亡率を測定または分析
した。各群の体重および血圧のデータを表1に、28週
齢における血清脂質の脂肪酸組成(主な成分)を表2
に、また、25〜30週齢の生存率データを表3にそれ
ぞれ示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1において、数値は平均値±標準偏差
(%)を示し、NSを付けた数値は対照群の値と比較し
て有意差がないことを示す。表1のデータから、体重お
よび血圧はいずれも4群間で有意な差は認められなかっ
た。
【0030】
【表2】
【0031】表2中の数値は平均値を示す。28週齢で
の血清脂質の脂肪酸組成から、イカ皮リン脂質を添加し
た群では、対照群に比べてDHA含量が増加し、アラキ
ドン酸(C20:4n6)が減少していた。鶏卵リン脂
質添加群では大きな変動は示さなかった。また、魚油添
加群では、DHA含量が著しく増加したが、アラキドン
酸含量には大きな変化がみられなかった。
【0032】
【表3】
【0033】表3のデータから、対照群では25〜30
週齢に着実に死亡し、30週齢では生存率が10%以下
であったが、イカ皮リン脂質を添加した群ではこの傾向
が強く抑制され、30週齢でも生存率は約80%と高い
値であり、有意差(p<0.01)が認められた。鶏卵
リン脂質添加群は対照群と有意差がなかった。また、魚
油添加群ではわずかに対照群より低かった(p<0.0
5)。
【0034】これらの結果から、イカ皮から抽出された
DHAを構成脂肪酸とするグリセロリン脂質のみがSH
R−SPの脳卒中による死亡を予防することが明らかに
なった。これに対して、同じグリセロリン脂質の構造を
もつが構成脂肪酸としてDHAを含まない鶏卵リン脂質
では脳卒中の予防作用がなく、また、魚油添加群におい
て、血清脂質中のDHA含量がイカ皮リン脂質添加群の
場合と同様に上昇したにもかかわらず脳卒中予防効果が
認められなかったことより、DHAトリグリセリドの形
態でも脳卒中の予防作用はないものと推測できる。この
理由と作用機序は明確ではないが、表1に示した血圧の
変動結果と表3の生存率データとを併せ考えると、構成
脂肪酸としてDHAを含むグリセロリン脂質では、脳卒
中の病因となる高血圧を低下させるというより脳の最小
動脈ないしは小動脈の中膜平滑筋細胞の壊死を予防ある
いは治癒することによって高血圧性脳出血等の脳卒中発
症が防止されるものと考えられる。
【0035】実施例2 市販のDHA強化鶏卵(岡山経済連製、「おりこうさ
ん」、1個あたりの平均DHA含量:280mg)の卵
黄を乾燥した乾燥DHA強化卵黄50kgを抽出釜に仕
込み、70%(V/V)エタノール400Lを加え、4
5℃で2.5時間、適宜ゆるやかに攪拌して抽出した。
残渣を濾別して得た抽出液からエタノールを減圧留去し
てペースト状物11.5kgを得た。実施例1に記載の
方法で同様に分析したところ、該ペースト状物のグリセ
ロリン脂質含量:54.8重量%(内訳はホスファチジ
ルコリン:67.0%、リゾホスファチジルコリン:
2.8%、ホスファチジルエタノールアミン:18.8
%、リゾホスファチジルエタノールアミン:2.1%、
その他:9.3%)、総脂肪酸中のDHA含量:11.
6重量%、EPA含量:1.3重量%であり、グリセロ
リン脂質の構成脂肪酸中のDHA含量:11.3重量
%、EPA含量:1.5重量%であった。このペースト
状物を、SHR−SPを用いて試験例1に記載の方法で
同様に評価したところ、血圧はさほど変動なく、血清脂
質の総脂肪酸のうちDHA含量の増加(分析値は6.6
%)およびアラキドン酸含量の低下(分析値は12.4
%)が認められ、また、30週齢における生存率は58
%と高レベルであった。
【0036】実施例3 マグロ卵を原料とし、80%(V/V)エタノールを用
いて実施例1と同様に処理してペースト状物を得た。こ
のものはグリセロリン脂質含量:31.3重量%(ホス
ファチジルコリンが主成分)、総脂肪酸中のDHA含
量:34.1重量%、EPA含量:5.0重量%であ
り、グリセロリン脂質の構成脂肪酸中のDHA含量:3
5.6重量%、EPA含量:5.1重量%であった。こ
のペースト状物も対照と比較してSHR−SPの血圧に
大きな変動を及ぼさず、血清脂質の脂肪酸のうちDHA
含量を高め、アラキドン酸含量を低下させ、30週齢で
高い生存率を維持する結果となり、有効であった。
【0037】実施例4 実施例1で得たイカ皮由来のペースト状物200mg、
精製大豆油80mg、ミツロウ15mgおよびビタミン
E5mgを40℃に加温しながら十分に混合して均質な
液状物とした。これをカプセル充填機に供給して1粒内
容量が300mgのゼラチン被覆カプセル製剤を試作し
た。この製剤は医薬用組成物または食用組成物として利
用できる。
【0038】実施例5 バター200g、ショートニング200g、牛乳90g
および砂糖100gを家庭用ホイッパーでよく攪拌しな
がら、実施例2で原料として使用したDHA強化鶏卵1
00gを加えて十分に混合した後、小麦粉350g、ベ
ーキングパウダー2.5gおよび実施例2で得たペース
ト状物20gを加えてさらに混捏した。次いで、このド
ウを30分間ねかせた後、金型で50個に分割し、オー
ブンで焼いてバタークッキーを試作した。このクッキー
は通常の鶏卵を用いてつくったものに比べて風味、色合
い、食感等の食品適性に遜色なく、脳卒中予防用あるい
は当該疾患用の食品として好適である。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、イカ皮(外套筋)やD
HA強化鶏卵等を原料として、構成脂肪酸としてDHA
を含有する脂肪酸の残基を有するグリセロリン脂質を有
効成分としてなる脳卒中予防剤あるいは治療剤が提供さ
れる。これは、高血圧性脳出血等の脳卒中に対して、急
激な降圧作用や体重減少をともなうことなく、血中脂質
のアラキドン酸含量を効果的に低減させ、脳卒中発症に
ともなう死亡を顕著に防止できる。かかる効果は、DH
Aを構成脂肪酸とするグリセリドの形態である魚油や、
リン脂質の形態ではあってもDHAをもたない通常の鶏
卵では全く認められない。かかる効果は、また、前記構
成脂肪酸中のDHA含量が多くなるにつれて、さらには
グリセロリン脂質がホスファチジルコリンの形態である
ものにおいてより一層顕著に奏せられる。さらに、本発
明では、当該脳卒中予防剤を配合してなる医薬用組成物
あるいは食用組成物等の組成物が提供される。前記脳卒
中予防剤およびこれを配合してなる組成物は単に脳卒中
疾患用途への適用のみならず、血中脂質の改善や血管細
胞の強化およびこれらに関連する各種疾病の予防ないし
は治療を目的とした利用も可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/20 A61K 31/20 // A23L 1/32 A23L 1/32 Z Fターム(参考) 4B018 LB01 LE02 MD11 MD45 MD69 MD72 MD74 ME04 MF01 4B042 AC04 AE02 AE08 AG07 AG30 AG68 AH01 AH09 AP25 4C086 AA01 AA02 HA19 MA01 MA02 MA03 MA04 MA05 NA14 ZA15 4C206 AA01 AA02 DB09 DB47 MA01 MA02 MA03 MA04 MA05 NA14 ZA15

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成脂肪酸としてドコサヘキサエン酸を
    含む脂肪酸の残基を有するグリセロリン脂質を有効成分
    としてなる脳卒中予防剤。
  2. 【請求項2】 構成脂肪酸中のドコサヘキサエン酸含量
    が5重量%以上である請求項1に記載の脳卒中予防剤。
  3. 【請求項3】 グリセロリン脂質がモノアシル型および
    /またはジアシル型ホスファチジルコリンである請求項
    1または2に記載の脳卒中予防剤。
  4. 【請求項4】 グリセロリン脂質の含量が20重量%以
    上のものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の脳
    卒中予防剤。
  5. 【請求項5】 グリセロリン脂質が動物性原料または魚
    介類由来の原料から得られるものである請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の脳卒中予防剤。
  6. 【請求項6】 動物性原料がドコサヘキサエン酸含有油
    を添加した飼料で飼育された鶏の卵である請求項5に記
    載の脳卒中予防剤。
  7. 【請求項7】 魚介類由来の原料がイカまたは魚卵であ
    る請求項5に記載の脳卒中予防剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の脳
    卒中予防剤を配合してなる組成物。
  9. 【請求項9】 組成物が医薬用組成物または食用組成物
    である請求項8に記載の脳卒中予防剤を配合してなる組
    成物。
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