JP3152112B2 - 車両用ロックアップクラッチのスリップ制御装置 - Google Patents

車両用ロックアップクラッチのスリップ制御装置

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JP3152112B2
JP3152112B2 JP17735695A JP17735695A JP3152112B2 JP 3152112 B2 JP3152112 B2 JP 3152112B2 JP 17735695 A JP17735695 A JP 17735695A JP 17735695 A JP17735695 A JP 17735695A JP 3152112 B2 JP3152112 B2 JP 3152112B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用ロックアッ
プクラッチのスリップ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ロックアップクラッチ付トルクコンバー
タやロックアップクラッチ付フルードカップリングなど
のようなロックアップクラッチ付流体式伝動装置を備え
た車両においては、加速走行時におけるロックアップク
ラッチの回転損失を一層少なくして車両の燃費を改善す
ることを目的として、ロックアップクラッチの解放領域
と係合領域との間にスリップ領域を設け、そのスリップ
領域においてロックアップクラッチを半係合状態とする
ように実際のスリップ量すなわちポンプ翼車の回転速度
とタービン翼車の回転速度との差を、予め定められた目
標スリップ回転速度に追従するようにスリップ制御を実
行することが提案されている。また、減速走行中におい
てエンジン回転速度が予め設定されたフューエルカット
回転速度よりも高い領域ではそのエンジンに対する燃料
を遮断するフューエルカット装置を備えた車両において
は、その減速走行時にも、エンジン回転速度を引き上げ
てフューエルカット範囲を拡大するために、上記と同様
のスリップ制御を実行することが提案されている。
【0003】ところで、上記のスリップ制御中には、作
動油の劣化やロックアップクラッチの表面状態の変化に
よってロックアップクラッチの摩擦状態が不安定とな
り、スリップ回転速度が不連続に変化する所謂ジャダ現
象が発生することがある。このジャダ現象は、流体伝動
装置の出力軸回転速度の変動すなわちタービン回転速度
の変動に基づいて検出され得るが、車両の走行路面に凹
凸が存在するときにもタービン回転速度の変動が発生す
る。このため、タービン回転速度の変動に基づいて上記
ジャダが検出されたときにはスリップ制御を中止し、こ
の中止期間内においてもタービン回転速度の変動が継続
する場合には、ジャダではなくてそのタービン回転速度
の変動が路面状態に由来したものであると考えて、スリ
ップ制御を再開させるスリップ制御装置が提案されてい
る。たとえば、特開平4−224363号公報に記載さ
れたスリップ制御装置がそれである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、路面に
局所的に形成された突起或いは穴を車輪が通過したよう
な場合は、タービン回転速度の変動が持続せず、極く短
期間で減衰する。このような場合では、スリップ制御を
中止させた中止期間内においてタービン回転速度の変動
が継続しないため、上記従来のスリップ制御装置では、
上記路面の突起或いは穴に起因する振動に基づいてジャ
ダが発生したという誤判定が行われるおそれがあった。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、高精度でジャダ
判定が行われるようにした車両用ロックアップクラッチ
のスリップ制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】斯る目的を達成す
るための、第1発明の要旨とするところは、ポンプ翼車
とタービン翼車との間に設けられたロックアップクラッ
チを有する車両において、前記ロックアップクラッチの
スリップ回転速度が所定の目標スリップ回転速度と一致
するように制御するスリップ制御手段と、前記タービン
翼車の回転速度の変動を検出する回転変動検出手段と、
スリップ制御手段によるスリップ制御中に回転変動検出
手段により検出された前記タービン翼車の回転速度変動
の数に基づいて前記ロックアップクラッチのジャダを判
定するジャダ判定手段とを備えた車両用ロックアップク
ラッチのスリップ制御装置であって、(a) 前記回転変動
検出手段により検出された前記タービン翼車の回転速度
変動の振幅を検出する回転変動振幅検出手段と、(b) そ
の回転変動振幅検出手段により検出された振幅の変化が
予め設定された判断基準値以上であるか否かを判定し、
振幅の変化が判断基準値以上であると判定された回転変
動を前記ジャダ判定手段の判定に用いられることを阻止
する振幅変化判定手段とを、含むことにある。
【0007】
【第1発明の効果】このようにすれば、振幅変化判定手
段により、回転変動振幅検出手段により検出された振幅
の変化が予め設定された判断基準値以上であるか否かが
判定され、振幅の変化がその判断基準値以上であると判
定された回転変動は前記ジャダ判定手段の判定に用いら
れることが阻止される。
【0008】路面に局所的に形成された突起や穴に起因
する回転変動はその発生時或いは減衰時において振幅変
化が大きいが、本発明によれば、そのような振幅の変化
が判断基準値以上である回転変動は振幅変化判定手段に
より判定されてジャダ判定手段の判定に用いられないの
で、ジャダ判定手段によるジャダ判定の精度が大幅に高
められる。また、このようにジャダ判定の精度が高めら
れる結果、不要なスリップ制御中止が解消されて、燃費
が良くなる。
【0009】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を
達成するための第2発明の要旨とするところは、ポンプ
翼車とタービン翼車との間に設けられたロックアップク
ラッチを有する車両において、前記ロックアップクラッ
チのスリップ回転速度が所定の目標スリップ回転速度と
一致するように制御するスリップ制御手段と、前記ター
ビン翼車の回転速度の変動を検出する回転変動検出手段
と、スリップ制御手段によるスリップ制御中に回転変動
検出手段により検出された前記タービン翼車の回転速度
変動の数に基づいて前記ロックアップクラッチのジャダ
を判定するジャダ判定手段とを備えた車両用ロックアッ
プクラッチのスリップ制御装置であって、(a) 前記回転
変動検出手段により検出された前記タービン翼車の回転
速度変動の周期を検出する回転変動周期検出手段と、
(b) その回転変動周期検出手段により検出された回転変
動周期が予め設定された判断基準範囲を外れるものであ
るか否かを判定し、回転変動周期が判断基準範囲を外れ
ると判定された回転変動を前記ジャダ判定手段の判定に
用いられることを阻止する周期判定手段とを、含むこと
にある。
【0010】
【第2発明の効果】このようにすれば、周期判定手段に
より、回転変動周期検出手段により検出された周期が予
め設定された判断基準範囲を外れるものであるか否かが
判定され、周期がその判断基準範囲を外れると判定され
た回転変動は前記ジャダ判定手段の判定に用いられるこ
とが阻止される。
【0011】路面に局所的に形成された突起や穴に起因
する回転変動はその発生周期が定まっていないが、ジャ
ダによる回転変動はロックアップクラッチの摩擦材の材
質やオイルの特性に従って比較的定まった特定の周期で
発生する性質がある。本発明によれば、このため、周期
が判断基準範囲を外れる回転変動は周期判定手段により
判定されてジャダ判定手段の判定に用いられないので、
ジャダ判定手段によるジャダ判定の精度が大幅に高めら
れる。また、このようにジャダ判定の精度が高められる
結果、不要なスリップ制御中止が解消されて、燃費が良
くなる。
【0012】ここで、好適には、前記第1発明或いは第
2発明において、前記ジャダ判定手段は、スリップ制御
中において前記回転変動検出手段により検出された前記
タービン翼車の回転速度の変動の数が予め設定された値
を超えたか否かを判定するスリップ制御中回転変動数判
定手段と、スリップ制御中回転変動数判定手段によりス
リップ制御中の前記タービン翼車の回転速度の変動の数
が予め設定された値を超えたと判定された場合は前記ス
リップ制御手段によるスリップ制御を中止させるスリッ
プ制御中止手段と、スリップ制御の中止期間における前
記タービン翼車の回転速度の変動の数が予め設定された
値を超えたか否かを判定するスリップ制御中止中回転変
動数判定手段とを含む。このようにすれば、このスリッ
プ制御中止中回転変動数判定手段によりスリップ制御の
中止期間におけるタービン回転速度の変動の数が予め設
定された値を超えないことが判定された場合は、スリッ
プ制御中ではジャダに基づいて回転変動が発生したこと
が明らかであることから、ジャダ判定の精度が一層高め
られる。
【0013】また、好適には、前記スリップ制御中止中
回転変動数判定手段によりスリップ制御中止中の前記タ
ービン翼車の回転速度の変動の数が予め設定された値を
超えたと判定された場合は前記スリップ制御中止手段に
より中止されていたスリップ制御を再び実行させるスリ
ップ制御再実行手段がさらに含まれる。このようにすれ
ば、スリップ制御の中止期間における前記タービン翼車
の回転速度の変動の数が予め設定された値を超えたこと
が判定された場合は、スリップ制御中ではジャダではな
く路面の凹凸に基づいて回転変動が発生したことが明ら
かであることから、スリップ制御中止手段により中止さ
れていたスリップ制御が再び実行されるので、スリップ
制御の中止および再実施の繰り返しが解消され、車両の
走行性が損なわれることがない。
【0014】因みに、前記特開平4−224363号公
報に記載されていた技術では、たとえば継続的に走行路
面の凹凸に由来する振動が発生するような場合には、タ
ービン回転速度の変動の発生によりスリップ制御を中止
し、スリップ制御中止期間におけるタービン回転速度の
変動に基づいてジャダではなかったと判明したらスリッ
プ制御を再開すると言った作動が、連続的に繰り返され
る場合があるため、スリップ制御の中止および再実施の
繰り返しによって車両の走行性が損なわれる欠点があっ
た。
【0015】また、好適には、前記ジャダ判定手段によ
りジャダが判定された場合、すなわち前記スリップ制御
中止中回転変動数判定手段により、スリップ制御中止中
のタービン翼車の回転速度の変動の数が予め設定された
値を超えないと判定された場合は、前記スリップ制御手
段によるスリップ制御をそれ以後において継続的に停止
させるスリップ制御停止手段がさらに含まれる。このよ
うにすれば、ジャダが発生したときには、ロックアップ
クラッチの摩擦条件の回復が期待できる車両状態、たと
えば一旦エンジンが停止させられてから再始動されると
きまで、スリップ制御が継続して停止させられる利点が
ある。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0017】図1は、本発明の一実施例が適用された車
両用動力伝達装置の骨子図である。図において、エンジ
ン10の動力はロックアップクラッチ付トルクコンバー
タ12、3組の遊星歯車ユニットなどから構成された有
段式自動変速機14を経て、図示しない差動歯車装置お
よび駆動輪へ伝達されるようになっている。
【0018】上記トルクコンバータ12は、エンジン1
0のクランク軸16と連結され、外周部において断面U
字状に曲成されるとともにエンジン10側へ向かう方向
成分を有する作動油の流れを発生させる羽根を有するポ
ンプ翼車18と、上記自動変速機14の入力軸20に固
定され、ポンプ翼車18の羽根に対向する羽根を有し、
そのポンプ翼車18の羽根からのオイルを受けて回転さ
せられるタービン翼車22と、一方向クラッチ24を介
して非回転部材であるハウジング26に固定されたステ
ータ翼車28と、軸方向に移動可能且つ軸まわりに相対
回転不能にタービン翼車22のハブ部に嵌合されたピス
トン30を介して上記入力軸20に連結されたロックア
ップクラッチ32とを備えている。
【0019】トルクコンバータ12内においては、ピス
トン30により分割された係合側油室35および解放側
油室33のうちの解放側油室33内の油圧が高められ且
つ係合側油室35内の油圧が解放されると、ピストン3
0が後退させられてロックアップクラッチ32が非係合
状態とされるので、トルクコンバータ12の入出力回転
速度比に応じた増幅率でトルクが伝達される。しかし、
係合側油室35内の油圧が高められ且つ解放側油室33
内の油圧が最低圧となると、上記ピストン30が前進さ
せられてロックアップクラッチ32がポンプ翼車18に
押圧されて係合状態とされるので、トルクコンバータ1
2の入出力部材、すなわちクランク軸16および入力軸
20が直結状態とされる。
【0020】自動変速機14は、同軸上に配設された3
組のシングルピニオン型遊星歯車ユニット34,36,
38と、前記入力軸20と、遊星歯車ユニット38のリ
ングギヤとともに回転する出力歯車39と図示しない差
動歯車装置との間で動力を伝達するカウンタ軸(出力
軸)40とを備えている。それら遊星歯車ユニット3
4,36,38の構成要素の一部は互いに一体的に連結
されるだけでなく、3つのクラッチC0 ,C1 ,C2
よって互いに選択的に連結されている。また、上記遊星
歯車ユニット34,36,38の構成要素の一部は、4
つのブレーキB0 ,B1 ,B2 ,B3 によってハウジン
グ26に選択的に連結されるとともに、さらに、構成要
素の一部は3つの一方向クラッチF0 ,F1 ,F2 によ
ってその回転方向により相互に若しくはハウジング26
と係合させられるようになっている。
【0021】上記クラッチC0 ,C1 ,C2 、ブレーキ
0 ,B1 ,B2 ,B3 は、例えば多板式のクラッチや
1本または巻付け方向が反対の2本のバンドを備えたバ
ンドブレーキ等にて構成され、それぞれ油圧アクチュエ
ータによって作動させられるようになっており、後述の
変速用電子制御装置184によりそれ等の油圧アクチュ
エータの作動がそれぞれ制御されることにより、図2に
示されているように変速比I(=入力軸20の回転速度
/カウンタ軸40の回転速度)がそれぞれ異なる前進4
段・後進1段の変速段が得られる。図2において、「1
st」,「2nd」,「3rd」,「O/D(オーバドライブ)」
は、それぞれ前進側の第1速ギヤ段,第2速ギヤ段,第
3速ギヤ段,第4速ギヤ段を表しており、上記変速比は
第1速ギヤ段から第4速ギヤ段に向かうに従って順次小
さくなる。なお、上記トルクコンバータ12および自動
変速機14は、軸線に対して対称的に構成されているた
め、図1においては入力軸20の回転軸線の下側および
カウンタ軸40の回転軸線の上側を省略して示してあ
る。
【0022】図3は、車両の制御装置の構成を説明する
図である。図において、油圧制御回路44には、上記自
動変速機14のギヤ段を制御するための変速制御用油圧
制御回路と、ロックアップクラッチ32の係合を制御す
るためのロックアップクラッチ制御用油圧制御回路とが
設けられている。変速制御用油圧制御回路は、よく知ら
れているようにソレノイドNo.1およびソレノイドNo.2に
よってそれぞれオンオフ駆動される第1電磁弁S1およ
び第2電磁弁S2を備えており、それら第1電磁弁S1
および第2電磁弁S2の作動の組み合わせによって図2
に示すようにクラッチおよびブレーキが選択的に作動さ
せられて前記第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のうちのい
ずれかが成立させられるようになっている。
【0023】また、上記ロックアップクラッチ制御用油
圧制御回路は、たとえば図4に示すように、ソレノイド
48によりオンオフ作動させられて切換用信号圧Psw
発生する第3電磁弁S3と、その切換用信号圧Pswに従
ってロックアップクラッチ32を解放状態とする解放側
位置とロックアップクラッチ32を係合状態とする係合
側位置とに切り換えられるロックアップリレー弁52
と、変速用電子制御装置184から供給される駆動電流
SLU に対応したスリップ制御用信号圧PSLU を発生す
るリニアソレノイド弁SLUと、リニアソレノイド弁S
LUから出力されるスリップ制御用信号圧PSLU に従っ
て係合側油室35および解放側油室33の圧力差ΔPを
調節し、ロックアップクラッチ32のスリップ量を制御
するロックアップコントロール弁56とを備えている。
【0024】上記図4において、図示しないタンクに還
流した作動油をストレーナ58を介して吸引して圧送す
るためのポンプ60はエンジン10によって回転駆動さ
れるようになっている。ポンプ60から圧送された作動
油圧は、オーバフロー形式の第1調圧弁62により第1
ライン圧Pl1に調圧されるようになっている。この第1
調圧弁62は、図示しないスロットル弁開度検知弁から
出力されたスロットル圧に対応して大きくなる第1ライ
ン圧Pl1を発生させ、第1ライン油路64を介して出力
する。第2調圧弁66は、オーバフロー形式の調圧弁で
あって、第1調圧弁62から流出させられた作動油を上
記スロットル圧に基づいて調圧することにより、エンジ
ン10の出力トルクに対応した第2ライン圧Pl2を発生
させる。第3調圧弁68は、上記第1ライン圧Pl1を元
圧とする減圧弁であって、一定の第3ライン圧Pl3を発
生させる。また、マニュアル弁70は、シフト操作レバ
ー174がRレンジであるときには、Rレンジ圧PR
発生する。そして、OR弁72は、第2速ギヤ段以上で
あるときに係合する前記ブレーキB2 を作動させる圧P
B2および上記Rレンジ圧PR のうちのいずれか高い側を
選択して出力する。
【0025】上記ロックアップリレー弁52は、解放側
油室33と連通する解放側ポート80、係合側油室35
と連通する係合側ポート82、第2ライン圧Pl2が供給
される入力ポート84、ロックアップクラッチ32の解
放時に係合側油室35内の作動油が排出される第1排出
ポート86、ロックアップクラッチ32の係合時に解放
側油室33内の作動油が排出される第2排出ポート8
8、第2調圧弁66から排出される作動油の一部がロッ
クアップクラッチ32の係合期間に冷却のために供給さ
れる供給ポート90と、それらのポートの接続状態を切
り換えるスプール弁子92と、そのスプール弁子92を
オフ側位置に向かって付勢するスプリング94と、スプ
ール弁子92のスプリング94側端部に当接可能に配置
されたプランジャ96と、それらスプール弁子92とプ
ランジャ96との端面にRレンジ圧PR を作用させるた
めにそれらの間に設けられた油室98と、プランジャ9
6の端面に作用させる第1ライン圧Pl1を受け入れる油
室100と、スプール弁子92の端面に第3電磁弁S3
からの切換用信号圧Pswを作用させてオン側位置へ向か
う推力を発生させるためにその切換用信号圧Pswを受け
入れる油室102とを備えている。
【0026】第3電磁弁S3は、非励磁状態(オフ状
態)では油室102とOR弁72との連通をその球状弁
子が遮断し且つ油室102をドレン圧とするが、励磁状
態(オン状態)では油室102とOR弁72とを連通さ
せて切換用信号圧Pswを油室102に作用させる。この
ため、第3電磁弁S3がオフ状態であるときには、油室
102には第3電磁弁S3からの切換用信号圧Pswが作
用させられず、スプール弁子92はスプリング94の付
勢力と油室100に作用する第1ライン圧Pl1とにした
がってオフ側位置に位置させられることから、入力ポー
ト84と解放側ポート80、係合側ポート82と第1排
出ポート86がそれぞれ連通させられるので、解放側油
室33内の油圧Poff は係合側油室35内の油圧Pon
りも高められてロックアップクラッチ32が解放される
と同時に、係合側油室35内の作動油は上記第1排出ポ
ート86、オイルクーラ104、および逆止弁106を
介してドレンへ排出される。
【0027】反対に、第3電磁弁S3がオン状態である
ときには、第3電磁弁S3からの切換用信号圧Pswが油
室102に作用させられてスプール弁子92はスプリン
グ94の付勢力と油室100に作用する第1ライン圧P
l1とに抗してオン側位置に位置させられることから、入
力ポート84と係合側ポート82、解放側ポート80と
第2排出ポート88、供給ポート90と第1排出ポート
86がそれぞれ連通させられるので、係合側油室35内
の油圧Ponは解放側油室33内の油圧Poff よりも高め
られてロックアップクラッチ32が係合されると同時
に、解放側油室33内の作動油は上記第2排出ポート8
8およびロックアップコントロール弁56を介してドレ
ンへ排出される。
【0028】前記リニアソレノイド弁SLUは、第3調
圧弁68で発生させられる一定の第3ライン圧Pl3を元
圧とする減圧弁であって、図5に示すように変速用電子
制御装置184からの駆動電流ISLU (すなわち駆動デ
ューティ比DSLU)に伴って小さくなるスリップ制御
用信号圧PSLU を発生させ、このスリップ制御用信号圧
SLU をロックアップコントロール弁56へ作用させ
る。リニアソレノイド弁SLUは、第3ライン圧Pl3
供給される供給ポート110およびスリップ制御用信号
圧PSLU を出力する出力ポート112と、それらを開閉
するスプール弁子114と、そのスプール弁子114を
閉弁方向へ付勢するスプリング115と、スプール弁子
114をスプリング115よりも大きい推力で開弁方向
へ付勢するスプリング116と、駆動電流ISLU に従っ
てスプール弁子114を閉弁方向へ付勢するスリップ制
御用電磁ソレノイド118と、スプール弁子114に閉
弁方向の推力を発生させるためのフィードバック圧(ス
リップ制御用信号圧PSLU )を受け入れる油室120と
を備えており、スプール弁子114はスプリング116
による開弁方向の付勢力、電磁ソレノイド118、スプ
リング115およびフィードバック圧による閉弁方向の
付勢力とが平衡するように作動させられる。
【0029】ロックアップコントロール弁56は、前記
第2ライン圧Pl2が供給されるライン圧ポート130、
前記第2排出ポート88から排出される解放側油室33
内の作動油を受け入れる受入ポート132、その受入ポ
ート132に受け入れられた作動油を排出するためのド
レンポート134と、受入ポート132とドレンポート
134との間を連通させて解放側油室33内の作動油を
排出させることにより係合側油室35および解放側油室
33の圧力差ΔP(=Pon−Poff )を増加させる第1
位置(図4の左側位置)へ向かう方向と受入ポート13
2とライン圧ポート130との間を連通させて解放側油
室33内に第2ライン圧Pl2を供給することにより上記
ΔPを減少させる第2位置(図4の右側位置)へ向かう
方向に向かって移動可能に設けられたスプール弁子13
6と、そのスプール弁子136を第1位置に向かって付
勢するためにそのスプール弁子136に当接可能に配置
されたプランジャ138と、そのプランジャ138にス
リップ制御用信号圧PSLUを作用させて第1位置に向か
う方向の推力を発生させるためにスリップ制御用信号圧
SLU を受け入れる信号圧油室140と、プランジャ1
38に解放側油室33内の油圧Poff を作用させてプラ
ンジャ138にスプール弁子136をその第1位置へ向
かう方向の推力を発生させるためにその油圧Poff を受
け入れる油室142と、スプール弁子136に係合側油
室35内の油圧Ponを作用させてスプール弁子136に
その第2位置へ向かう方向の推力を発生させるために油
圧Ponを受け入れる油室144と、この油室144内に
収容されてスプール弁子136をその第2位置へ向かう
方向へ付勢するスプリング146とを、備えている。
【0030】ここで、上記プランジャ138には、油室
142側から順に大きくなる断面積A1 およびA2 を有
する第1ランド148および第2ランド150が形成さ
れており、また、スプール弁子136には、信号圧油室
140側から断面積A3 である第3ランド152および
第4ランド154が形成されている。したがって、プラ
ンジャ138はスプール弁子136と当接して相互に一
体的に作動し、ピストン30の両側にスリップ制御用信
号圧PSLU に対応した大きさの圧力差ΔP(=Pon−P
off )が形成される。すなわち、A1 =A3 であるとす
ると、圧力差ΔPはスリップ制御用信号圧PSLU に対し
て数式1により傾き〔(A2 −A1 )/A1 〕に従って
変化する。なお、数式1において、Fs はスプリング1
46の付勢力である。
【0031】
【数1】
【0032】図6は、上記のように構成されているロッ
クアップコントロール弁56の作動により得られる圧力
差ΔPのスリップ制御用信号圧PSLU に対する変化特性
を示している。したがって、ロックアップリレー弁52
がオン状態にあるときは、スリップ制御用信号圧PSLU
が大きくなるに伴って係合側油室35と解放側油室33
との圧力差ΔPが大きくなるので、ロックアップクラッ
チ32のスリップ回転速度NSLPが小さくされるが、
反対に、スリップ制御用信号圧PSLU が小さくなるに伴
って係合側油室35と解放側油室33との圧力差ΔPが
小さくなるので、ロックアップクラッチ32のスリップ
回転速度NSLPが大きくされる。
【0033】図3に戻って、車両には、エンジン10の
回転速度NE すなわちポンプ翼車18の回転速度NP
検出するエンジン回転速度センサ160、吸気配管を通
してエンジン10へ吸気される吸入空気量Qを検出する
吸入空気量センサ162、吸気配管を通してエンジン1
0へ吸気される吸入空気の温度TAIR を検出する吸入空
気温度センサ164、アクセルペダル165の操作によ
り開閉されるスロットル弁166の全閉状態および開度
θ1 を検出するアイドルスイッチ付スロットルセンサ1
67、自動変速機14の出力軸の回転速度すなわち車速
Vを検出する車速センサ168、エンジン10の冷却水
温TWAを検出する冷却水温センサ170、ブレーキペダ
ルが操作されたことを検出するブレーキセンサ172、
シフト操作レバー174の操作位置Ps すなわちL、
S、D、N、R、Pレンジのいずれかを検出するための
操作位置センサ176、タービン翼車22の回転速度
(タービン回転速度)NT すなわち自動変速機14の入
力軸20の回転速度を検出するタービン回転速度センサ
178、油圧制御回路44の作動油の温度TOIL を検出
する油温センサ180が設けられている。そして、上記
各センサから出力された信号は、エンジン用の電子制御
装置182および変速用の電子制御装置184にそれぞ
れ直接または間接的に供給されるようになっている。エ
ンジン用の電子制御装置182と変速用の電子制御装置
184とは通信インターフェイスを介して相互連結され
ており、入力信号などが必要に応じて相互に供給される
ようになっている。
【0034】変速用の電子制御装置184はCPU、R
OM、RAM、インターフェースなどから成る所謂マイ
クロコンピュータであって、そのCPUは、RAMの一
時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログ
ラムに従って入力信号を処理し、自動変速機14の変速
制御およびロックアップクラッチ32の係合制御を図示
しないメインルーチンに従って実行して、第1電磁弁S
1、第2電磁弁S2、第3電磁弁S3、およびリニアソ
レノイド弁SLUをそれぞれ制御する。
【0035】上記変速制御では、予めROMに記憶され
た複数種類の変速線図から実際の変速ギヤ段に対応した
変速線図が選択され、その変速線図から車両の走行状
態、たとえばスロットル弁開度θ1 と車速Vとに基づい
て変速ギヤ段が決定され、その変速ギヤ段が得られるよ
うに第1電磁弁S1、第2電磁弁S2が駆動されること
により、自動変速機14のクラッチC0 ,C1 ,C2
およびブレーキB0 ,B 1 ,B2 ,B3 の作動が制御さ
れて前進4段のうちのいずれかのギヤ段が成立させられ
る。
【0036】上記ロックアップクラッチ32の係合制御
は、たとえば第3速ギヤ段、および第4速ギヤ段での走
行中に実行されるものであり、その係合制御において
は、予めROMに記憶された図7に示す関係から、車両
の走行状態たとえば出力軸回転速度(車速)Nout およ
びスロットル弁開度θ1 に基づいてロックアップクラッ
チ32の解放領域、スリップ制御領域、係合領域のいず
れであるかが判断される。このスリップ制御領域は、運
転性を損なうことなく燃費を可及的によくすることを目
的としてエンジン10のトルク変動を吸収しつつ連結さ
せるようにロックアップクラッチ32がスリップ状態に
維持される。図7は車両の加速走行中において用いられ
るものである。また、車両の減速惰行走行中でも、フュ
ーエルカット制御の制御域を拡大することを目的として
ロックアップクラッチ32のスリップ制御が実行され
る。すなわち、スロットル弁開度θ1 が零である惰行走
行状態においてフューエルカット装置による燃料遮断作
動が終了させられるまでスリップ制御が実行される。
【0037】上記車両の走行状態が上記係合領域内にあ
ると判断されると、第3電磁弁S3が励磁されてロック
アップリレー弁52がオン状態とされると同時にリニア
ソレノイド弁SLUに対する駆動電流ISLU が最小駆動
電流(定格値)に設定されるので、ロックアップクラッ
チ32が係合させられる。また、車両の走行状態が上記
解放領域内にあると判断されると、第3電磁弁S3が非
励磁とされてロックアップリレー弁52がオフ状態とさ
れるので、リニアソレノイド弁SLUに対する駆動電流
SLU に拘わらず、ロックアップクラッチ32が解放さ
れる。そして、車両の走行状態が上記スリップ制御領域
内にあると判断されると、第3電磁弁S3が励磁されて
ロックアップリレー弁52がオン状態とされると同時
に、リニアソレノイド弁SLUに対する駆動電流ISLU
がたとえば数式2に従って調節される。すなわち、たと
えば目標スリップ回転速度TNSLPと実際のスリップ
回転速度NSLP(=NE −NT )との偏差ΔE(=N
SLP−TNSLP)が解消されるように駆動電流I
SLU すなわち駆動デューティ比DSLUが算出されて出
力される。
【0038】
【数2】
【0039】上記数式2の右辺のDFWDは、たとえば
エンジン10の出力トルクの函数であるフィードフォワ
ード値であり、KGDは機械毎の特性などに対応して形
成される学習制御値であり、DFBはたとえば数式3に
示すように偏差ΔEの比例値、微分値、積分値を加えた
フィードバック制御値である。
【0040】
【数3】
【0041】また、エンジン用の電子制御装置182
も、変速用の電子制御装置184と同様のマイクロコン
ピュータであって、そのCPUは予めROMに記憶され
たプログラムに従って入力信号を処理することにより種
々のエンジン制御を実行する。たとえば、燃料噴射量制
御では燃焼状態を最適とするために燃料噴射弁186を
制御し、点火時期制御では、遅角量を適切とするために
イグナイタ188を制御し、トラクション制御では、駆
動輪のスリップを防止して有効な駆動力および車両の安
定性を確保するためにスロットルアクチュエータ190
により第2スロットル弁192を制御し、フューエルカ
ット制御では、燃費を良くするために、惰行走行におい
てエンジン回転速度NE が予め設定されたフューエルカ
ット回転速度NCUT を上まわる期間だけ燃料噴射弁18
6を閉じる。
【0042】図8は、上記変速用電子制御装置184の
制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図
8において、車両がたとえば図7のスリップ制御領域内
の走行状態或いは減速走行状態となると、スリップ制御
手段196が、ロックアップクラッチ32の実際のスリ
ップ回転速度NSLP(=NE −NT )と、予め設定さ
れた目標スリップ回転速度TNSLPとが一致するよう
に、数式2の制御式により算出された制御値DSLUを
出力する。回転変動検出手段198はタービン回転速度
T の変動すなわち脈動を検出する。回転変動振幅検出
手段200は、上記タービン回転速度NT の変動の振幅
DNTJを逐次検出する。振幅変化判定手段202は、
その回転速度NT の変動の振幅DNTJの変化すなわち
今回の振幅DNTJと前回の振幅DNTJOとの差|D
NTJ−DNTJO|が予め設定された判断基準値tK
DNTJSを超えたか否かを判定する。回転変動周期検
出手段204は、上記タービン回転速度NT の変動の周
期DTJを逐次検出する。周期判定手段206は、ター
ビン回転速度NT の変動周期DTJが予め設定された判
断基準範囲tKDTJA≦DTJ≦tKDTJBを超え
たか否かを判定する。
【0043】また、ジャダ判定手段208は、スリップ
制御中のタービン回転速度NT の変動とスリップ制御中
止中のタービン回転速度NT の変動とに基づいてスリッ
プ制御中におけるロックアップクラッチ32のジャダの
発生を判定する。スリップ制御停止手段210は、その
ジャダ判定手段208によりロックアップクラッチ32
のジャダの発生が判定された場合は、スリップ制御手段
196によるスリップ制御を継続して停止させる。この
ようにすれば、ジャダが発生したときには、ロックアッ
プクラッチ32の摩擦条件の回復が期待できる車両状
態、たとえば一旦エンジンが停止させられてから再始動
されるときまで、スリップ制御が継続して停止させられ
る利点がある。
【0044】そして、前記振幅変化判定手段202は、
タービン回転速度NT の回転変動のうち、その振幅の変
化|DNTJ−DNTJO|が予め設定された判断基準
値tKDNTJSを超えたものを上記ジャダ判定手段2
08の判定に用いられることを阻止する。また、前記周
期判定手段206は、タービン回転速度NT の回転変動
のうち、その周期DTJが予め設定された判断基準範囲
tKDTJA≦DTJ≦tKDTJBを超えたものを上
記ジャダ判定手段208の判定に用いられることを阻止
する。これにより、路面の凹凸に起因するタービン回転
速度NT の回転変動がジャダ判定に用いられないので、
ジャダ判定手段208におけるジャダ判定の精度が高め
られる。
【0045】ここで、上記ジャダ判定手段208は、ス
リップ制御中において回転変動検出手段198により検
出されたタービン回転速度NT の変動の数が予め設定さ
れた値を超えたか否かを判定するスリップ制御中回転変
動数判定手段212と、そのスリップ制御中回転変動数
判定手段212によりスリップ制御中のタービン回転速
度NT の変動の数が予め設定された値を超えたと判定さ
れた場合はスリップ制御手段196によるスリップ制御
を中止させるスリップ制御中止手段214と、そのスリ
ップ制御の中止期間におけるタービン回転速度NT の変
動の数が予め設定された値を超えたか否かを判定するス
リップ制御中止中回転変動数判定手段216とを含む。
このスリップ制御中止中回転変動数判定手段216によ
りスリップ制御の中止期間におけるタービン回転速度N
T の変動の数が予め設定された値を超えないことが判定
された場合は、スリップ制御中ではジャダに基づいて回
転変動が発生したことが明らかであることから、ジャダ
判定の精度が高められる。
【0046】上記スリップ制御中止中回転変動数判定手
段216によりスリップ制御の中止期間におけるタービ
ン回転速度NT の変動の数が予め設定された値を超えた
ことが判定された場合は、スリップ制御中ではジャダで
はなく路面の凹凸に基づいて回転変動が発生したことが
明らかであることから、スリップ制御中止手段214に
より中止されていたスリップ制御がスリップ制御再実行
手段218により再び実行されるので、スリップ制御の
中止および再実施の繰り返しが解消され、車両の走行性
が損なわれない。
【0047】また、上記スリップ制御中止中回転変動数
判定手段216により、スリップ制御中止中のタービン
回転速度NT の変動の数が予め設定された値を超えない
と判定された場合において、スリップ制御停止手段21
0が、スリップ制御手段196によるスリップ制御をそ
れ以後において継続的に停止させる。
【0048】図9および図10は、その変速用電子制御
装置184の制御作動の要部、すなわちスリップ制御ル
ーチンおよびフラグ切換ルーチンをそれぞれ示してお
り、それらのルーチンは相互に並列的或いは直列的に繰
り返し実行される。
【0049】図9のステップSN1(以下、ステップを
省略する)では、スリップ制御禁止フラグXJLB1の
内容が「1」にセットされているか否かが判断される。
このフラグXJLB1は、その内容が「1」にセットさ
れているときに、作動油の劣化或いはロックアップクラ
ッチ32の表面状態の悪化によってジャダなどが発生し
てスリップ制御がうまく実行されない状態であることを
示し、たとえばイグニッションキーが操作されることに
よりクリアされるようになっている。
【0050】上記SN1の判断が肯定された場合は、ス
リップ制御中を表すためのフラグXEXEの内容がSN
8において「0」にクリアされるとともにスリップ制御
が中止された後、SN9においてロックアップリレー弁
52がオフ状態とされることにより、ロックアップクラ
ッチ32が解放状態とされ、スリップ制御の実行が阻止
される。しかし、上記SN1の判断が否定された場合
は、SN2においてスリップ制御が実行中であるか否か
がフラグXEXEの内容に基づいて判断される。
【0051】当初は上記SN2の判断が否定されるの
で、SN3においてスリップ制御開始条件が満足された
か否かが判断される。このスリップ制御開始条件には、
図7のスリップ制御領域内であること或いは減速走行で
あること、およびスロットル弁開度θ1 の変化が小さい
定常状態であることなどが含まれる。このSN3の判断
が否定された場合は前記SN8以下が実行されるが、肯
定された場合は、前記スリップ制御手段196に対応す
るSN4においてスリップ制御が実行されるとともに前
記フラグXEXEの内容が「1」にセットされる。この
スリップ制御では、数式2から実際の制御偏差ΔEが解
消されるように制御出力値DSLUが決定され且つ出力
される。
【0052】次いで、SN5において、ジャダ判定準備
フラグXJRDYの内容が「1」にセットされているか
否かが判断される。このSN5の判断が否定された場合
は、SN6においてロックアップリレー弁52がオン状
態に切り換えられるので、上記制御出力値DSLUに従
ってスリップ制御が実行される。しかし、SN5の判断
が肯定された場合は、SN9においてロックアップリレ
ー弁52がオフ状態に切り換えられるので、スリップ制
御中モードであってもロックアップクラッチ32が解放
状態とされて、上記制御出力値DSLUの出力に拘わら
ずスリップ制御が中止される。
【0053】上記のようにしてフラグXEXEの内容が
一旦「1」にセットされると、次の制御サイクルにおけ
るSN2の判断が肯定されるので、SN7においてスリ
ップ制御の終了条件が満足されたか否かが判断される。
このスリップ制御の終了条件には、図7のスリップ制御
領域外であること或いは減速走行でないこと、およびス
ロットル弁開度θ1 の変化が大きく過渡状態であること
などが含まれる。そして、このSN7の判断が否定され
た場合は、前記SN4以下が実行されてスリップ制御状
態が継続されるが、SN7の判断が肯定された場合は、
前記SN8以下が実行されてスリップ制御が終了させら
れる。
【0054】図10において、SO1では、スリップ制
御中であるか否かがフラグXEXEの内容に基づいて判
断される。スリップ制御中でないときはこのSO1の判
断が否定されるので、SO2においてジャダ判定カウン
タCJADAの内容が「0」にクリアされた後に本ルー
チンが終了させられ、上記SO1以下の実行が繰り返さ
れる。スリップ制御中であるときは上記SO1の判断が
肯定されるので、続くSO3においてジャダ判定準備フ
ラグXJRDYの内容が「1」であるか否かが判断され
る。
【0055】上記SO3の判断が否定された場合、すな
わちロックアップクラッチ32のスリップ制御中の場合
は、SO4、SO5、SO6において悪路判定カウンタ
CAKURO、経過時間タイマCTJDC、良路判定タ
イマCTJDC3の内容が「0」にクリアされ、続くS
O7において、図11に示すジャダ判定カウンタCJA
DAのカウントアップルーチンが実行される。このジャ
ダ判定カウンタCJADAは、予め設定された一定の時
間間隔毎にクリアされ、その時間間隔内でタービン回転
速度NT の回転変動の数、たとえば回転変動の屈曲点と
なる上ピーク点および下ピーク点を繰り返し計数するも
のであり、その一定の時間間隔が相互にずらされて並列
的に作動する複数個のジャダ判定カウンタが用意されて
いる。
【0056】図12は、上記図11におけるジャダ判定
カウンタCJADAの計数作動の対象となるタービン回
転速度NT の回転変動などを検出するために一定の周期
たとえば4ms程度の割り込み周期で繰り返し実行され
る回転変動検出ルーチンを示している。図12のSW1
においてタービン回転速度センサ188により検出され
たタービン回転速度NT が図13のデータポイントに示
すように読み込まれる。続くSW2では、よく知られた
ピーク判定アルゴリズムに従ってタービン回転速度NT
の屈曲点Pが検出されたか否かが判断される。このSW
2の判断が否定された場合は本ルーチンが終了させられ
るが、肯定された場合は、SW3において屈曲点間の時
間間隔すなわち回転変動の半周期DTJが算出されると
ともに、SW4において各屈曲点における回転速度値の
差分すなわち振幅DNTJが算出される。すなわち、タ
ービン回転速度NT の回転変動すなわち屈曲点の検出、
回転変動の半周期DTJおよび回転変動の振幅DNTJ
の算出がたとえば4ms周期で逐次行われるのである。
本実施例では、上記SW2が回転変動検出手段198
に、上記SW3が回転変動周期検出手段204に、上記
SW4が回転変動振幅検出手段200に対応している。
【0057】図11に示すカウントアップルーチンで
は、SO72乃至SO74の4つの条件が満足されるこ
とを条件として、タービン回転速度NT の回転変動すな
わちその屈曲点の発生毎にジャダ判定カウンタCJAD
Aが計数されるようになっている。すなわち、SO71
ではタービン回転速度NT の屈曲点が発生したか否かが
判断される。このSO71の判断が否定された場合は本
ルーチンが終了させられるが、肯定された場合はSO7
2において、今回のサイクルで検出されたタービン回転
速度NT の回転変動の振幅DNTJが予め設定された振
幅範囲DNTJ≧tKDNTJAを満足するものである
か否かが判断される。この振幅範囲を定める判断基準値
tKDNTJAは、ジャダに起因する回転変動を確実に
検出するために予め実験的に求められた値であり、たと
えば30rpm程度の値が用いられる。
【0058】続くSO73では、今回のサイクルで検出
されたタービン回転速度NT の回転変動の振幅変化値|
DNTJ−DNTJO|が予め設定された振幅変化範囲
|DNTJ−DNTJO|<tKDNTJSを満足する
か否か、すなわち判断基準値tKDNTJSより小さい
か否かが判断される。この判断基準値tKDNTJS
は、路面の凹凸による回転変動が振幅変化を伴うもので
あることを利用してそれによる回転変動を除外するため
に予め実験的に求められた値であり、たとえば9rpm
程度の値が用いられる。本実施例では、上記SO73が
振幅変化判定手段202に対応している。
【0059】続くSO74では、今回のサイクルで検出
されたタービン回転速度NT の回転変動の半周期DTJ
が予め設定された周期変化範囲tKDTJA≦DTJ≦
tKDTJBを満足するか否かが判断される。この周期
範囲を定める判断基準値tKDTJAおよびtKDTJ
Bは、ジャダが固有の回転変動周期を有するものである
ことを利用してそのジャダにより回転変動を確実に検出
するために予め実験的に求められた値であり、たとえば
4ms程度および20ms程度の値がそれぞれ用いられ
る。本実施例では、上記SO74が周期判定手段206
に対応している。
【0060】上記のSO72乃至SO74の判断のうち
の少なくとも1つが否定されると本ルーチンが終了させ
られるが、肯定されると、SO75においてジャダ判定
カウンタCJADAの内容に「1」が加算されるのであ
る。
【0061】図10に戻って、上記において詳しく説明
したSO7のカウントアップルーチンに続くSO8で
は、ジャダ判定カウンタCJADAの内容が予め設定さ
れた判断基準値tKNJADAに到達したか否かが判断
される。この判断基準値tKNJADAは、運転性或い
はスリップ制御に影響する程度の回転変動すなわちジャ
ダを予備判定するために予め実験的に求められた値であ
る。本実施例では、このSO8がスリップ制御中回転変
動数判定手段212に対応している。
【0062】このSO8の判断が否定された場合は本ル
ーチンが終了させられるが、肯定された場合は、前記ス
リップ制御中止手段214に対応するSO9においてジ
ャダ判定準備フラグXJRDYの内容が「1」にセット
された後、本ルーチンが終了させられる。このようにジ
ャダ判定準備フラグXJRDYの内容が「1」にセット
されると、前記SN5の判断が肯定されてロックアップ
リレー弁52がオフ状態に切り換えられ、実行中のスリ
ップ制御が停止させられる。図14および図15のt1
時点はこの状態を示している。なお、図14は、悪路判
定が行われた場合の作動を示すタイムチャートであり、
図15は、ジャダ判定が行われた場合の作動を示すタイ
ムチャートである。
【0063】上記のようにしてジャダ判定準備フラグX
JRDYの内容が「1」にセットされると、次の制御サ
イクルではSO3の判断が肯定されるので、続くSO1
0において、前記SO8において回転変動が判定されて
からの経過時間を計数する経過時間タイマCTJDCの
内容に「1」が計数された後、SO11においてその経
過時間タイマCTJDCの内容が予め設定された第1経
過時間tKTJDC1以上となったか否かが判断され
る。この第1経過時間tKTJDC1は、スリップ制御
の中止が実行されてからロックアップクラッチ32が確
実に解放されるまでの遅れ時間に相当するように設定さ
れた値であり、たとえば0.2秒程度の値が採用され
る。これにより、悪路判定カウンタCAKUROにより
計数されるタービン回転速度の変動数に対するロックア
ップクラッチ32の摩擦変動の影響が除去され、専ら路
面による影響でタービン回転速度NT が変動させられる
ようになる。
【0064】当初は上記SO11の判断が否定されるの
で本ルーチンが終了させられるが、上記第1経過時間t
KTJDC1以上の時間が経過すると、それ以後の悪路
判定カウンタCAKUROの計数が許可されるので、S
O12において悪路判定カウンタCAKUROのカウン
トアップが行われる。図14および図15のt2 時点は
この状態を示す。この悪路判定カウンタCAKURO
は、ジャダ判定カウンタCJADAと同様にタービン回
転速度の変動数を計数するものであるが、クリアの操作
があるまでは計数を継続する。次いで、SO13では、
前記経過時間タイマCTJDCの内容が予め設定された
第2経過時間tKTJDC2と同じ値となったか否かが
判断される。この第2経過時間tKTJDC2は、路面
の凹凸の影響を判定するために予め設定された必要かつ
充分な時間であり、たとえば0.7秒程度の値が採用さ
れる。
【0065】当初は上記SO13の判断が否定されるの
で、SO14において経過時間タイマCTJDCの内容
が予め設定された第2経過時間tKTJDC2以上とな
ったか否かが判断される。当初はこのSO14の判断も
否定されるので、本ルーチンが終了させられる。
【0066】上記のステップが繰り返し実行されるう
ち、経過時間タイマCTJDCの内容が予め設定された
第2経過時間tKTJDC2に到達すると、SO13の
判断が肯定されて、SO15において悪路判定カウンタ
CAKUROの内容が予め設定された悪路判断基準値t
KNAKURO以上であるか否かが判断される。悪路で
ある場合は路面に凹凸が多く存在するために上記SO1
5の判断が肯定されるので、SO16において悪路判定
カウンタCAKUROの内容がクリアされた後、本ルー
チンが終了させられる。図14のt3 時点はこの状態を
示している。
【0067】一方、ジャダ判定準備フラグXJRDYの
内容が「1」とされているスリップ制御中止期間におい
て上記悪路判定カウンタCAKUROの内容が悪路判断
基準値tKNAKUROに到達しない場合は、前記SO
15の判断が否定される。このような場合は、前記ジャ
ダ判定カウンタCJADAはロックアップクラッチ32
のジャダ現象による回転変動を計数したものであること
が明らかであるから、SO17においてスリップ制御禁
止フラグXJLB1の内容が「1」にセットされる。図
15のt3 時点はこの状態を示している。これにより、
前記SN1の判断が肯定されるので、それまでジャダ判
定準備フラグXJRDYの内容が「1」とされることに
より中止されていたスリップ制御が、スリップ制御禁止
フラグXJLB1の内容が「1」とされることにより更
に継続してスリップ制御が停止される。本実施例では、
上記SO15はスリップ制御中止中回転変動数判定手段
216に対応し、上記SO17がスリップ制御停止手段
210に対応している。
【0068】上記のようにSO13の判断が一旦肯定さ
れた以後では、SO14の判断条件が常に満足されるの
で、続くSO18において、悪路判定カウンタCAKU
ROの内容が予め設定された良路判断基準値tKNRY
ORO以上であるか否かが判断される。当初はこのSO
18の判断が否定されるので、SO19において良路判
定タイマCTJDC3の内容に「1」が加算された後、
SO20において良路判定タイマCTJDC3の内容が
予め設定された第3経過時間tKTJDC3以上となっ
たか否かが判断される。この第3経過時間tKTJDC
3は、路面の凹凸に関連したタービン回転速度NT の回
転変動数が良路と判定できる程度に少ない状態か否かを
判定できるように予め定められた時間幅である。当初
は、このSO20の判断も否定されるので本ルーチンが
終了させられる。
【0069】上記のステップが繰り返し実行されるう
ち、悪路判定カウンタCAKUROの内容が予め設定さ
れた良路判断基準値tKNRYORO以上となると、S
O18の判断が肯定されるので、SO22およびSO2
3において悪路判定カウンタCAKUROの内容および
上記良路判定タイマCTJDC3の内容がクリアされた
後、本ルーチンが終了させられる。図14のt4 時点は
この状態を示す。
【0070】しかし、以上のステップが繰り返し実行さ
れるうち、良路判定タイマCTJDC3の内容が予め設
定された第3経過時間tKTJDC3以上となると前記
SO20の判断が肯定されるので、前記スリップ制御再
実行手段218に対応するSO21においてジャダ判定
準備フラグXJRDYの内容が「0」にクリアされる。
これにより、前記SN5の判断が否定されてSN6のス
リップ制御が再開される。図14のt5 時点はこの状態
を示す。本実施例では、上記SO20もスリップ制御中
止中回転変動数判定手段216に対応する。また、前記
スリップ制御中回転変動数判定手段212、スリップ制
御中止手段214、スリップ制御中止中回転変動数判定
手段216などが前記ジャダ判定手段208を構成して
いる。
【0071】上述のように、本実施例によれば、振幅変
化判定手段202に対応するSO73により、回転変動
振幅検出手段200に対応するSW4により検出された
振幅DNTJの変化|DNTJ−DNTJO|が予め設
定された判断基準値tKDNTJS以上であると判定さ
れた場合は、SO75におけるジャダ判定カウンタCJ
ADAに計数されないようにされて、そのときの回転変
動はジャダ判定手段208の判定、すなわちスリップ制
御中回転変動数判定手段212に対応するSO8の判定
に用いられることが阻止される。図16に示すように路
面に局所的に形成された突起や穴に起因する回転変動は
その発生時或いは減衰時において振幅変化が大きいが、
本実施例によれば、そのような振幅の変化|DNTJ−
DNTJO|が判断基準値tKDNTJS以上である回
転変動は上記振幅変化判定手段202により判定されて
ジャダ判定手段208の判定に用いられないので、ジャ
ダ判定手段208によるジャダ判定の精度が大幅に高め
られる。また、このようにジャダ判定の精度が高められ
る結果、不要なスリップ制御中止が解消されて、燃費が
良くなる。なお、本実施例によれば、路面の突起を乗り
越えたときだけでなく、図18に示すような悪路走行に
おいても効果がある。
【0072】また、本実施例によれば、周期判定手段2
06に対応するSO74により、回転変動周期検出手段
204に対応するSW3により検出された周期DTJが
予め設定された判断基準範囲tKDTJA≦DTJ≦t
KDTJBを外れるものであるか否かが判定され、周期
DTJがその判断基準範囲tKDTJA≧DTJ≧tK
DTJBを外れると判定された回転変動はSO75にお
けるジャダ判定カウンタCJADAに計数されないよう
にされて、ジャダ判定手段208の判定、すなわちスリ
ップ制御中回転変動数判定手段212に対応するSO8
の判定に用いられることが阻止される。路面に局所的に
形成された突起や穴に起因する回転変動はその発生周期
が定まっていないが、ジャダによる回転変動は図17に
示すようにロックアップクラッチ32の摩擦材の材質や
オイルの特性に従って比較的定まった特定の周期で発生
する性質がある。本実施例によれば、スリップ制御中に
おけるタービン回転速度NT の回転変動の周期DTJが
判断基準範囲tKDTJA≦DTJ≦tKDTJBを外
れる回転変動は周期判定手段206により判定されてジ
ャダ判定手段208の判定に用いられないので、ジャダ
判定手段208によるジャダ判定の精度が大幅に高めら
れる。また、このようにジャダ判定の精度が高められる
結果、不要なスリップ制御中止が解消されて、燃費が良
くなる。
【0073】また、本実施例においては、ジャダ判定手
段208は、スリップ制御中において回転変動検出手段
198により検出されたタービン回転速度NT の変動の
数が予め設定された値tKNJADA以上となったか否
かを判定するスリップ制御中回転変動数判定手段212
と、そのスリップ制御中回転変動数判定手段212によ
りスリップ制御中のタービン回転速度NT の変動の数が
予め設定された値tKNJADA以上となったと判定さ
れた場合はスリップ制御手段196によるスリップ制御
を中止させるスリップ制御中止手段214と、スリップ
制御の中止期間におけるタービン回転速度NT の変動の
数が予め設定された値tKNAKURO或いはtKNR
YORO以上となったか否かを判定するスリップ制御中
止中回転変動数判定手段216とを含む。このようにす
れば、このスリップ制御中止中回転変動数判定手段21
6によりスリップ制御の中止期間におけるタービン回転
速度NT の変動の数が予め設定された値tKNRYOR
Oを下まわったことが判定された場合は、スリップ制御
中ではジャダに基づいて回転変動が発生したことが明ら
かであることから、ジャダ判定の精度が一層高められ
る。
【0074】また、本実施例によれば、スリップ制御中
止中回転変動数判定手段216に対応するSO20によ
りスリップ制御中止中のタービン回転速度NT の変動の
数が予め設定された値tKTJDC3以上となったと判
定された場合はスリップ制御中止手段214により中止
されていたスリップ制御を再び実行させるスリップ制御
再実行手段218に対応するSO21がさらに含まれ
る。このようにすれば、スリップ制御の中止期間におけ
るタービン回転速度NT の変動の数が予め設定された値
tKTJDC3を超えたことが判定された場合は、スリ
ップ制御中ではジャダではなく路面の凹凸に基づいて回
転変動が発生したことが明らかであることから、スリッ
プ制御中止手段214により中止されていたスリップ制
御が再び実行されるので、スリップ制御の中止および再
実施の繰り返しが解消され、車両の走行性が損なわれる
ことがない。すなわち、SO20は車両の走行路面が凹
凸のない良路であることを判断するものであり、SO2
1はそのSO20の良路判断に基づきスリップ制御を再
実施させることから、スリップ制御の中止、実行の繰り
返しが防止されて、車両走行性低下が防止されるのであ
る。
【0075】また、本実施例では、ジャダ判定手段20
8によりジャダが判定された場合、すなわちスリップ制
御中止中回転変動数判定手段216により、スリップ制
御中止中のタービン回転速度NT の変動の数が予め設定
された値tKNRYOROを下まわったと判定された場
合は、スリップ制御手段196によるスリップ制御をそ
れ以後において継続的に停止させるスリップ制御停止手
段210がさらに含まれる。このようにすれば、ジャダ
が発生したときには、ロックアップクラッチ32の摩擦
条件の回復が期待できる車両状態、たとえば一旦エンジ
ンが停止させられてから再始動されるときまで、スリッ
プ制御が継続して停止させられる利点がある。
【0076】また、本実施例によれば、悪路判定カウン
タCAKUROは第1経過時間tKTJDC1の経過後
において、ロックアップクラッチ32が確実に解放され
た状態で計数が許容されるので、悪路判定およびジャダ
判定の精度が高められる利点がある。
【0077】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明はその他の態様においても適用され
る。
【0078】たとえば、前述の実施例の回転変動周期検
出手段204ではタービン回転速度NT の変動の半周期
DTJが算出されていたが、上ピーク点間或いは下ピー
ク点間の時間間隔である1周期或いは2周期が算出され
て、周期判定手段206ではその1周期或いは2周期が
予め設定された範囲内であるか否かが判断されるように
してもよい。
【0079】また、前述の実施例においては、回転変動
検出手段198によってタービン翼車22の回転速度N
T の回転変動を検出するために、そのタービン翼車22
の回転速度NT すなわち自動変速機14の入力軸20の
回転速度をタービン回転速度センサ178によって直接
的に検出していたが、回転速度NT を間接的に検出する
こともできる。例えば、車速センサ168で検出された
カウンタ軸(出力軸)40の回転速度Nout に、実際に
選択されている自動変速機14のギヤ段に対応する変速
比Iを乗ずれば回転速度NT が得られ、或いは、車輪に
回転速度センサが設けられている場合には、その回転速
度に終減速機の減速比および変速比Iを乗ずれば回転速
度NT が得られることから、何れにしても、タービン翼
車22の回転速度NT が実質的に検出されることになる
ため、必ずしも直接的に検出する必要はないのである。
なお、上記のように間接的に検出する場合には、タービ
ン回転速度センサ178は設けられなくとも良い。
【0080】また、上記のようにタービン翼車22の回
転速度NT を間接的に検出する場合には、検出したカウ
ンタ軸(出力軸)40の回転速度Nout や車輪の回転速
度をそのまま回転速度NT に代えて用いて、上記回転変
動検出手段198によってタービン翼車22の回転速度
T の変動を検出しても良い。すなわち、実質的にター
ビン翼車22の回転速度NT の変動が検出されれば差し
支えないのである。
【0081】また、前述の実施例のSO72では、ター
ビン回転速度NT の変動の振幅DNTJが予め設定され
た値tKDNTJAよりも大きいものをジャダ判定カウ
ンタCJADAの計数の対象としていたが、上限値より
も小さいものであるという条件が加えられてもよい。一
般に、悪路走行ではタービン回転速度NT の変動の振幅
DNTJが一定とならず、その振幅変化率がジャダ発生
時よりも大きい性質があるので、このようにすれば、悪
路走行における路面の影響を除去できる利点がある。
【0082】また、前述の実施例において、スリップ制
御中止中回転変動数判定手段216のスリップ制御中止
中のタービン回転速度NT の変動の数の判断基準値であ
るtKNAKUROおよびtKNRYOROは同じ値で
あっても差支えない。
【0083】なお、上述したのはあくまでも本発明の一
実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲にお
いて種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のスリップ制御装置が適用さ
れた車両用動力伝達装置を示す図である。
【図2】図1のロックアップクラッチ付トルクコンバー
タを備えた自動変速機において、第1電磁弁および第2
電磁弁の作動の組み合わせとそれにより得られる変速段
との関係を説明する図表である。
【図3】図1の車両に備えられている制御装置の構成を
説明するブロック線図である。
【図4】図3の油圧制御回路の要部構成を説明する図で
ある。
【図5】図4のリニアソレノイド弁の出力特性を示す図
である。
【図6】図4の油圧制御回路に設けられたスリップ制御
弁の特性であって、係合用油室および解放用油室との圧
力差ΔPとスリップ制御用信号圧PSLU との関係を説明
する図である。
【図7】図3の変速用電子制御装置に記憶されている、
車両の走行状態とロックアップクラッチの係合状態との
関係を示す図である。
【図8】図3の変速用電子制御装置の制御機能の要部を
説明する機能ブロック線図である。
【図9】図3の変速用電子制御装置の制御機能の要部を
説明するフローチャートであって、スリップ制御ルーチ
ンを示す図である。
【図10】図3の変速用電子制御装置の制御機能の要部
を説明するフローチャートであって、フラグ切換ルーチ
ンを示す図である。
【図11】図10のカウントアップルーチンを説明する
フローチャートである。
【図12】図11に用いられるタービン回転速度NT
回転変動の屈曲点、振幅、振幅変化、周期を算出する割
り込みルーチンを説明するフローチャートである。
【図13】図12の作動を説明するタイムチャートであ
る。
【図14】図9および図10の制御作動であって、悪路
判定された場合を説明するタイムチャートである。
【図15】図9および図10の制御作動であって、ジャ
ダ判定された場合を説明するタイムチャートである。
【図16】路面の局部的な突起或いは凹みに起因して発
生するタービン回転速度の変動を示す図である。
【図17】スリップ制御中に発生するロックアップクラ
ッチのジャダに起因するタービン回転速度の変動を示す
図である。
【図18】未舗装道路などの悪路走行時において路面の
応答に起因して発生するタービン回転速度の変動を示す
図である。
【符号の説明】
18:ポンプ翼車 22:タービン翼車 32:ロックアップクラッチ 196:スリップ制御手段 198:回転変動検出手段 200:回転変動振幅検出手段 202:振幅変化判定手段 204:回転変動周期検出手段 206:周期判定手段 208:ジャダ判定手段 210:スリップ制御停止手段 212:スリップ制御中回転変動数判定手段 214:スリップ制御中止手段 216:スリップ制御中止中回転変動数判定手段 218:スリップ制御再実行手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−172240(JP,A) 特開 平7−42768(JP,A) 特開 平4−224363(JP,A) 特開 昭63−303257(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプ翼車とタービン翼車との間に設け
    られたロックアップクラッチを有する車両において、前
    記ロックアップクラッチのスリップ回転速度が所定の目
    標スリップ回転速度と一致するように制御するスリップ
    制御手段と、前記タービン翼車の回転速度の変動を検出
    する回転変動検出手段と、該スリップ制御手段によるス
    リップ制御中に該回転変動検出手段により検出された前
    記タービン翼車の回転速度変動の数に基づいて前記ロッ
    クアップクラッチのジャダを判定するジャダ判定手段と
    を備えた車両用ロックアップクラッチのスリップ制御装
    置であって、 前記回転変動検出手段により検出された前記タービン翼
    車の回転速度変動の振幅を検出する回転変動振幅検出手
    段と、 該回転変動振幅検出手段により検出された振幅の変化が
    予め設定された判断基準値以上であるか否かを判定し、
    振幅の変化が該判断基準値以上であると判定された回転
    変動を前記ジャダ判定手段の判定に用いられることを阻
    止する振幅変化判定手段とを含むことを特徴とする車両
    用ロックアップクラッチのスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 ポンプ翼車とタービン翼車との間に設け
    られたロックアップクラッチを有する車両において、前
    記ロックアップクラッチのスリップ回転速度が所定の目
    標スリップ回転速度と一致するように制御するスリップ
    制御手段と、前記タービン翼車の回転速度の変動を検出
    する回転変動検出手段と、該スリップ制御手段によるス
    リップ制御中に該回転変動検出手段により検出された前
    記タービン翼車の回転速度変動の数に基づいて前記ロッ
    クアップクラッチのジャダを判定するジャダ判定手段と
    を備えた車両用ロックアップクラッチのスリップ制御装
    置であって、 前記回転変動検出手段により検出された前記タービン翼
    車の回転速度変動の周期を検出する回転変動周期検出手
    段と、 該回転変動周期検出手段により検出された回転変動周期
    が予め設定された判断基準範囲を外れるものであるか否
    かを判定し、回転変動周期が該判断基準範囲を外れると
    判定された回転変動を前記ジャダ判定手段の判定に用い
    られることを阻止する周期判定手段とを含むことを特徴
    とする車両用ロックアップクラッチのスリップ制御装
    置。
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US08/539,070 US5620390A (en) 1994-10-07 1995-10-04 Motor vehicle lock-up clutch control apparatus, having means for detecting clutch judder with high accuracy
DE69501579T DE69501579T2 (de) 1994-10-07 1995-10-06 Kraftfahrzeug-Überbrückungskupplungssteuerung mit Einrichtungen zur hochgenauen Erfassung von Kupplungsrupfen
EP95115799A EP0705997B1 (en) 1994-10-07 1995-10-06 Motor vehicle lock-up clutch control apparatus, having means for detecting clutch judder with high accuracy
KR1019950034618A KR0163376B1 (ko) 1994-10-07 1995-10-07 고 정확도로 록크-업 클러치의 조더를 판정하는 수단을 가진 차량용 록크-업 클러치의 슬립 제어 장치

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6630561B2 (en) 2000-04-24 2003-10-07 Ube Industries, Ltd. Crystalline polyesterpolyol and hot-melt adhesive

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6630561B2 (en) 2000-04-24 2003-10-07 Ube Industries, Ltd. Crystalline polyesterpolyol and hot-melt adhesive

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