JP3148875B2 - 鋳造物用移送装置 - Google Patents

鋳造物用移送装置

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JP3148875B2
JP3148875B2 JP16500693A JP16500693A JP3148875B2 JP 3148875 B2 JP3148875 B2 JP 3148875B2 JP 16500693 A JP16500693 A JP 16500693A JP 16500693 A JP16500693 A JP 16500693A JP 3148875 B2 JP3148875 B2 JP 3148875B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳造物を加工装置間で
移送するために使用する鋳造物用移送装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばエンジンのシリンダヘッド
を鋳造するには、主に低圧鋳造機が用いられていた。こ
の低圧鋳造機は、下金型に対して上金型が昇降すること
により型開き,型締めを行う構造で、下金型に形成され
た湯口から湯が供給され、鋳造後に型開きを行うと鋳造
物は上金型と共に下金型から離型するように構成されて
いた。
【0003】この種の鋳造機を用いた場合、鋳造物を上
金型から取出すには、下金型の上方へ移動した上金型の
下方に鋳造物受け部材を臨ませ、この鋳造物受け部材に
上方から鋳造物を移載させることによって行われてい
た。すなわち、鋳造物は湯口部側が鋳造物受け部材に支
持されることになる。
【0004】また、鋳造された鋳造物は、鋳造機から取
出されて冷却された後に中子用の砂が落とされ、次工程
である湯口部切断工程へ搬送されていた。鋳造物を冷却
させるに当たっては、コンベア上に載置させて次工程へ
搬送されるまでに空冷させたり、鋳造物に水を吹きかけ
たりして行っていた。また、砂落とし作業は、鋳造物を
例えばロボットに弾性支持させ、砂落とし用加振装置に
押し付けて行っていた。すなわち、加振装置の振動子に
鋳造物を押し付け、鋳造物に振動を加えることによって
鋳造物内の中子用の砂をふるい落としていた。そして、
この種の鋳造を行う鋳造工場では、上述した各作業は工
場の床に設置された作業機械を用いて行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上述したよ
うな鋳造物を取り扱う工場では、鋳造物を鋳造機から取
出して次工程へ搬送するときに鋳造物に加えられた振動
によって中子用の砂が脱落し、工場床にまき散らされて
しまうという問題があった。
【0006】本発明はこのような問題点を解消するため
になされたもので、鋳造物の中子用の砂が工場床に落ち
るのを防ぐことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る鋳造物用移
送装置は、鋳造物を鋳造機から取出して搬送する鋳造物
保持用ロボットにおける鋳造物を把持するハンドに、鋳
造物把持部分の下方および側方を囲む砂受け皿を設けた
ものである。
【0008】
【作用】鋳造物から脱落した中子用の砂は砂受け皿によ
って受けられる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1ないし図9に
よって詳細に説明する。図1は本発明に係る鋳造物用移
送装置を用いたユニット式工作機械の平面断面図、図2
は図1におけるユニット式工作機械のII−II線断面図、
図3は図1におけるユニット式工作機械のIII−III線断
面図、図4は図1におけるユニット式工作機械のIV−IV
線断面図である。
【0010】図5は本発明に係る鋳造物用移送装置の取
出しハンドを示す側面図、図6は図5におけるVI−VI線
断面図、図7は本発明に係る鋳造物用移送装置の砂落と
しハンドを示す正面図で、同図はハンド基部を部分的に
破断して描いてある。図8は図5におけるVIII−VIII線
断面図で、同図はハンド基部を部分的に破断して描いて
ある。図9は砂落としハンドの底面図である。
【0011】これらの図において、1は本発明に係る鋳
造物用移送装置で、この移送装置1は垂直多関節ロボッ
ト2と、このロボット2に対して着脱自在に構成されて
鋳造物Wを把持するロボットハンド3とから形成されて
いる。なお、ロボットハンド3は、後述する鋳造機から
鋳造物Wを取出すときに使用する取出しハンド4と、鋳
造物Wから中子用の砂を落とすために使用する砂落とし
ハンド5との2種類が用意されている。図1および図2
はロボット2に取出しハンド4が連結されている状態を
示している。また、本実施例で使用する鋳造物Wはエン
ジンのシリンダヘッドである。
【0012】そして、この移送装置1は箱体6の内部に
装着され、箱体6およびこの箱体6内に固定されて前記
ロボット2と協働して各種作業を行う各種作業機械と共
にユニット式工作機械を構成している。このユニット式
工作機械は、鋳造物Wの荒ばり取り,冷却,砂落とし,
湯口部切断および刻印付け作業を同一の箱体6内で行う
構造になっている。このユニット式工作機械を以下にお
いて砂落とし切断キャビネットという。
【0013】前記箱体6は、それぞれ平板状に形成され
た床板7,側板8および天井板9によって略立方体状に
形成され、図4に示すように床板7から下方へ向けて突
設された脚10によって工場床面11に載置固定されて
いる。すなわち、この箱体6は、床板7と工場床面11
との間に空間Sが設けられている。そして、この箱体6
の工場床面11に対する固定は、脚10の下端を工場床
面11に固定するボルト(図示せず)等の固定部材を外
すことによって、箱体6が工場床面11に対して移動可
能となるように構成されている。
【0014】また、この箱体6の側板8には、鋳造物W
を鋳造キャビネット12から箱体6内に搬入させるため
の搬入口13と、箱体6内から次工程の仕上げキャビネ
ット14に搬出させるための搬出口15と、操作者が出
入りするための出入り口16とが開口されている。前記
搬入口13および搬出口15はそれぞれ自動扉13a,
15aによって開閉されるように構成され、出入り口1
6は手動扉16aによって開閉されるように構成されて
いる。
【0015】前記鋳造キャビネット12は前記箱体6と
同等に形成された箱体17と、この箱体17内に配置さ
れた低圧鋳造機18とから構成され、箱体17を前記箱
体6に結合させて砂落とし切断キャビネットに隣接して
配設されている。箱体17は前記箱体6の搬入口13と
対向する部分が開口されると共に、低圧鋳造機18を目
視点検するための点検扉19が設けられている。前記低
圧鋳造機18は従来周知のものと同等に構成され、図2
に示すように下金型18aと、この下金型18aに接離
する上金型18bとを備えている。
【0016】この鋳造キャビネット12によって成形さ
れた鋳造物Wは、凝固後に上金型18bを上昇させるこ
とによって上金型18bと共に下金型18aから離型
し、図2に示すように後述する取出しハンド4を鋳造物
Wの下方に差し入れた状態で上金型18bのノックアウ
トピン(図示せず)を作動させることによって取出しハ
ンド4へ移載される。
【0017】前記仕上げキャビネット14は鋳造物Wの
仕上げを行うユニット式工作機械であり、前記箱体6と
同等に形成された箱体20と、この箱体20内に配置さ
れた鋳造物保持用ロボット(図示せず)と、このロボッ
トと協働して鋳造物Wの仕上げ加工を行う仕上げ加工装
置(図示せず)とから構成されている。そして、箱体2
0を前記箱体6に結合させて砂落とし切断キャビネット
に隣接して配設されている。図1においてこの仕上げキ
ャビネット14内に配置された符号21で示すものは、
砂落とし切断キャビネットから搬出された鋳造物Wを受
け取るための仮置台である。仕上げキャビネット14の
鋳造物保持用ロボットはこの仮置台21に載置された鋳
造物Wを把持して仕上げ加工装置へ移送する構造になっ
ている。
【0018】前記箱体6内に配置されたロボット2は、
図2に示すように、箱体6の床板7上に固定された基台
22と、この基台22上に鉛直方向軸線回りに回動自在
かつ水平方向へ移動自在に連結されたロボット本体23
とから構成されている。そして、このロボット本体23
の先端に鋳造物Wを把持するロボットハンド3が自動ハ
ンド交換装置24を介して着脱自在に取付けられている
(図1および図2では取出しハンド4が取付けられ、図
3では砂落としハンド5が取付けられている)。そし
て、このロボット2は自動ハンド交換装置24を図中に
一点鎖線Aで示す範囲内に移動させることができる構造
になっている。
【0019】前記取出しハンド4は図5および図6に拡
大して示すように、鋳造物Wの外形より十分に大きなベ
ース板25に鋳造物用把持装置26と鋳造物支持ピン2
7を設けて形成され、ベース板25が前記自動ハンド交
換装置24に連結される構造になっている。前記把持装
置26は、ベース板25を貫通して図においてベース板
25の上方へ延びる爪部材28をエアシリンダ29によ
って揺動させ、前記鋳造物支持ピン27に支承された鋳
造物Wを両爪部材28で把持するチャックである。
【0020】前記爪部材28はベース板25の裏面側に
固定された枢支ピン30によって揺動自在に支持され、
ベース板25の上面側に位置する揺動端が鋳造物Wに接
離し、裏面側に位置する揺動端がリンク部材31および
駆動板32を介して前記エアシリンダ29のピストンロ
ッド29aに連結されている。31aは爪部材28にリ
ンク部材31を連結する枢支ピン、31bはリンク部材
31に駆動板32を連結する枢支ピンである。
【0021】また、エアシリンダ29は、ベース板25
の裏面側に門形状の支持ブラケット33を介して支持固
定され、ピストンロッド29aおよび前記駆動板32が
ベース板25に接離するように軸線方向が定められてい
る。すなわち、ピストンロッド29aが図6中に実線で
示す戻り位置からベース板25側へ移動することによっ
て、駆動板32およびリンク部材31が同図中二点鎖線
で示すように移動し、一対の爪部材28が枢支ピン30
を中心として揺動することになる。なお、エアシリンダ
29を駆動するための圧力空気は、ロボット2から自動
ハンド交換装置24および不図示の空気管を介して供給
される構造になっている。
【0022】このときには両爪部材28の上端どうしが
離間し、鋳造物Wを把持しない状態となる。また、ピス
トンロッド29aが上述した状態から下降して図6に実
線で示した位置に戻ると、上記とは逆方向に駆動板3
2,リンク部材31および爪部材28が動作し、両爪部
材28の上端どうしが近接してそれらの間に鋳造物Wを
挾持するようになる。この状態では取出しハンド4は鋳
造物Wを剛直に支持することになる。鋳造物Wを搬送す
るには、上述した剛直支持状態で取出しハンド4をロボ
ット2によって移動させることによって行う。
【0023】また、前記ベース板25の側部には、ベー
ス板25の上面側へ突出しかつベース板25の全周にわ
たって延びる枠体34が固着されている。このようにベ
ース板25の外側部に枠体34を設けることによって、
鋳造物把持部分の下方および側方を囲む砂受け皿が構成
されることになる。
【0024】なお、ベース板25に穿設された符号25
aで示す穴は、図3中に符号6aで示す取出しハンド仮
置台の支持ピン6bが嵌入する位置決め穴である。この
取出しハンド4は、使用しないときには取出しハンド仮
置台6aに支持ピン6bを介して位置決めされた状態で
載置される。なお、この支持ピン6bは取出しハンド仮
置台6aに2本立設され、各々取出しハンド4を貫通し
て上方へ突出するように十分に長く形成されており、長
手方向の中途部に形成された段部(図示せず)に前記ベ
ース板25を支承させることにより取出しハンド4を支
持固定する構造になっている。
【0025】前記砂落としハンド5は、図7〜図9に示
すように、ロボット2の自動ハンド交換装置24に取付
けられるハンド基部35と、このハンド基部35にゴム
等の弾性体36を介して連結された把持部37とから構
成されている。ハンド基部35は、自動ハンド交換装置
24側となる空気通路形成ブロック38と、この空気通
路形成ブロック38によって開口部が閉塞された有底角
筒状の連結部材39とから形成されている。
【0026】前記把持部37は、前記連結部材39が貫
通する空間を有する平面視略ロ字状に形成された枠体4
0と、この枠体40の四隅に突設された鋳造物把持用の
チャック41とから形成されている。そして、この枠体
40の空間内であって枠体40の内側面と連結部材39
の外側面との間に前記弾性体36が介装されている。弾
性体36は、枠体40の各内側面と、この内側面に対向
する連結部材39の各外側面とに横架されており、一側
部に2個ずつ配設されている。すなわち、この砂落とし
ハンド5では8個の弾性体36が取付けられている。
【0027】前記チャック41は突出端に爪42が設け
られ、圧力空気が供給されることによって爪42が枠体
40に対して接近あるいは離間しつつチャック41の軸
心回りに90度回る構造になっている。図7および図9
では爪42によって鋳造物Wを把持している状態を示
す。
【0028】すなわち、図9中に実線で示した爪42が
枠体40から離間すると共に同図中二点鎖線で示す位置
へ90度回ることによって、鋳造物Wを離すことができ
る。鋳造物Wを把持するに当たっては、上述した動作と
は逆方向に爪42を動作させ、爪42と枠体40の位置
決め部材43とで鋳造物Wを挾持するようにして行われ
る。このチャック41を駆動させるための圧力空気は、
前記空気通路形成ブロック38内に形成された空気通路
38aと、枠体40内に形成されて前記空気通路38a
にホース44を介して連通された空気通路40aとを介
して供給される。なお、空気通路形成ブロック38の空
気通路38aには、自動ハンド交換装置34を介してロ
ボット本体23から圧力空気が供給されるように構成さ
れている。
【0029】また、この砂落としハンド5のハンド基部
35には、ハンド基部35と把持部37とを選択的に剛
直に結合するためのロック機構45が取付けられてい
る。このロック機構45は、ハンド基部35の連結部材
39内に配置された空気圧シリンダ46によってロック
ピン46aを枠体40のピン孔40bに嵌入させたり引
き抜いたりする構造になっている。前記空気圧シリンダ
46は、前記弾性体36と隣接する位置であって、連結
部材39の4隅にそれぞれ配置されている。しかも、連
結部材39の同側に位置するものどうしでは軸線方向
(図8中に一点鎖線で示す)を直交させて配置されてい
る。このように空気圧シリンダ46および弾性体36を
配置することによって、径方向より軸線方向に長くなり
がちな空気圧シリンダ46を狭い空間内に他の空気圧シ
リンダ46との干渉を避けつつ4つ配置することができ
る。なお、この空気圧シリンダ46を駆動する圧力空気
は、空気通路形成ブロック38に形成された空気通路3
8bおよび自動ハンド交換装置24を介してロボット本
体23から供給されるように構成されている。
【0030】すなわち、図8に示すようにロックピン4
6aがピン孔40bから引き抜かれている状態では、ハ
ンド基部35に把持部37が弾性体36を介して連結さ
れて弾性支持されることになる。この弾性支持状態を以
下においてフローティング状態という。また、ロックピ
ン46aをピン孔40bに嵌入させた状態では、把持部
37が弾性体36を介してハンド基部35に連結される
ことに加えてロックピン46aをも介して連結されるよ
うになり、ハンド基部35に剛直に支持されることにな
る。すなわち、把持部37がハンド基部35にロックさ
れた状態になる。この剛直支持状態を以下においてロッ
ク状態という。なお、この砂落としハンド5は、不使用
時には図1中に符号6cで示す砂落としハンド仮置台に
位置決めされた状態で載置される。
【0031】さらに、前記把持部37の枠体40には、
振動発生装置としてのバイブレータ47が取付けられて
いる。このバイブレータ47は、内蔵する振動子(図示
せず)が空気圧力によって振動する構造のものが採用さ
れ、枠体40の対向する2側部にそれぞれ配置されてい
る。なお、このバイブレータ47へ空気圧力を供給する
構成は、上述したチャック41と同等である。すなわ
ち、把持部37をハンド基部35に弾性支持させた状態
でバイブレータ47を作動させると、把持部37および
これに把持された鋳造物Wがハンド基部35やロボット
本体33に対して振動することになる。
【0032】また、前記バイブレータ47の近傍に穿設
された符号5aで示す穴は、この砂落としハンド5で鋳
造物Wを把持するときに取出しハンド4に対して位置決
めを行うための位置決め穴である。この位置決め穴5a
は前記取出しハンド仮置台6aの2本支持ピン6bと対
応するように2箇所に穿設され、その穴径は支持ピン6
bが嵌入できる寸法に設定されている。
【0033】図1〜図4において符号51で示すものは
荒ばり取り装置、52は砂落とし装置、53は湯口切断
装置、54は冷却装置、55は刻印装置で、これらの作
業機械と上述した移送装置1,箱体6とによって砂落と
し切断キャビネットが構成されている。
【0034】前記荒ばり取り装置51は鋳造物Wのパー
ティングラインに生じたばりを大まかに除去するもの
で、箱体6内における移送装置1と搬入口13との間に
配置されている。この荒ばり取り装置51は、エアシリ
ンダ51a内に圧縮空気を送ることによりハンマ51b
を往復動させる打撃装置によって構成されている。すな
わち、ロボット2によって鋳造物Wをこの荒ばり取り装
置51に押し付けることによって、前記ばりを略取り除
くことができる。なお、この荒ばり取り装置51で生じ
た切粉や鋳造物Wから脱落した中子用の砂は、本実施例
ではグレーチング床51cからホッパ51dを介して床
下の切粉排出用コンベア51eに排出される。
【0035】前記砂落とし装置52は鋳造物Wから中子
用の砂を落とすもので、図1および図4に示すように、
箱体6の1隅部に装着された打撃装置52aと、この打
撃装置52aの下方に位置する砂捕集用ホッパ52bと
から構成されている。前記打撃装置52aは、エアシリ
ンダ内に圧縮空気を送ることによりハンマを往復動させ
る構造になっている。なお、この打撃装置52aの振動
数は、前記バイブレータ47の振動数とは異なる値に設
定されている。すなわち、図4に示すようにロボット2
によってワークWをこの打撃装置52aに押し付けるこ
とによって、ワークWに振動が加えられてワークWの砂
を振り落とすことができる。また、前記ホッパ52b
は、上方から落下する砂を床板7の下方へ排出する構造
になっている。なお、このホッパ52bの砂排出口52
cの下方であって床板7と工場床面11との間の空間S
には、砂回収用コンベア56が配置されている。
【0036】前記湯口切断装置53は、鋳造物Wの湯口
を切断するもので、箱体6内における前記砂落とし装置
52とは対向する位置に配置された湯口切断機53a
と、この湯口切断機53aによって湯口を切断したとき
に生じる切粉や凝固した押湯を補集するホッパ53bと
から構成されている。前記湯口切断機53aは、円盤状
カッター53cを水平軸線回りに回転させる構造になっ
ている。この湯口切断機53aは、図4に示したよう
に、ロボット2によって鋳造物Wを円盤状カッター53
cに対して側方から移動させることによって、鋳造物W
の湯口が切断されることになる。また、前記ホッパ53
bは、本実施例では切断された湯口を下方の砂回収用コ
ンベア56に導く構造になっている。
【0037】前記冷却装置54は、鋳造物Wに不図示の
ノズルから水を吹き付けて鋳造物Wを冷却させる構造
で、箱体6内における上述した砂落とし装置52と湯口
切断装置53との間に配置されている。また、この冷却
装置54は、図1に示すように鋳造物Wを砂落としハン
ド5と共に2組仮置きできるように構成されると共に、
砂落とし装置52や湯口切断装置53より低く形成され
ている。この冷却装置54で使用した水は、下部ホッパ
部54aから床下の配水管57へ排出される構造になっ
ている。なお、この冷却装置54において鋳造物Wを2
つ仮置きできるように構成したのは、箱体6の両側に鋳
造キャビネット12を配置したときに、両鋳造キャビネ
ット12から搬送された鋳造物Wをそれぞれこの冷却装
置54で冷却させるためである。また、このように鋳造
物Wを2つ仮置きできる構成を採ると、鋳造物Wを一つ
冷却している間に別の鋳造物Wの砂落としや湯口切断を
行うようにして能率を高めることもできる。
【0038】前記刻印装置55は、湯口切断が終了した
鋳造物Wにロット番号等を刻印する構造で、前記砂落と
し装置52の打撃装置52aが設けられた側板8に装着
されている。なお、刻印装置55の位置は、砂落とし装
置52とは反対側に位置づけられている。
【0039】次に、本発明に係る移送装置1の動作を砂
落とし切断キャビネットでの作業順に説明する。先ず、
ロボット2に取出しハンド4を装着させる。この装着動
作は、ロボット本体23を図1に示すように移動させ、
取出しハンド仮置台6a上の取出しハンド4に自動ハン
ド交換装置24を連結させて行う。そして、鋳造機18
での鋳造が終了して上金型18bが開いた後、図2に示
すようにロボット2を作動させて前記取出しハンド4を
上金型18bの下方へ差し入れ、鋳造物Wをこの取出し
ハンド4へ移載させて把持させる。このとき、鋳造物W
の下面側(シリンダヘッドのドーム面側)が取出しハン
ド4に把持されることになる。
【0040】その後、ロボット2により鋳造物Wを図3
中にP1 で示すように荒ばり取り装置51に移送させ、
鋳造物Wにおける取出しハンド4によって把持されてい
ない上面側(シリンダヘッドのカム面側)と、側面(立
方体状に成形された鋳造物Wの左右面および前後面)の
荒ばり取りを行う。鋳造機18からこの荒ばり取り装置
51へ鋳造物Wを搬送するときには、取出しハンド4の
ベース板25および枠体34からなる砂受け皿が鋳造物
Wの下方に位置するため、鋳造物Wから中子用の砂が脱
落したとしても、この砂は取出しハンド4に受けられて
鋳造キャビネット12や砂落とし切断キャビネットの床
面上に落ちることはない。
【0041】この荒ばり取りが終了した後、ロボット2
は取出しハンド4を取出しハンド仮置台6aに載置さ
せ、取出しハンド4での鋳造物把持状態を解除させてか
ら自動ハンド交換装置24を外す。このときには、取出
しハンド仮置台6aの支持ピン6bをベース板25の位
置決め穴25aに嵌入させて取出しハンド4および鋳造
物Wを箱体6に対して位置決めしておく。
【0042】次いで、ロボット2は取出しハンド仮置台
6aに隣接して仮置きされた砂落としハンド5の上方に
ロボット本体23を移動させ、自動ハンド交換装置24
を砂落としハンド5に連結させる。このように砂落とし
ハンド5が取付けられた後、ロボット2は前記取出しハ
ンド4の上方へ砂落としハンド5を移動させ、図3中に
2 で示すように取出しハンド4上の鋳造物Wを砂落と
しハンド5によって把持させる。
【0043】この把持動作は、ロック機構45を作動さ
せずにフローティング状態とし、しかも、砂落としハン
ド5の位置決め穴5aを前記取出しハンド仮置台6aの
支持ピン6bに嵌入させた状態で行う。このようにする
と、砂落としハンド5,取出しハンド4および鋳造物W
が箱体6に対して同一位置に位置決めされるから、鋳造
物Wの持ち替えを正確に行うことができる。なお、前記
荒ばり取り装置51での作業が終了してから砂落としハ
ンド5が鋳造物Wを把持するまでの間にも鋳造物Wから
中子用の砂が落ちるが、その砂は取出しハンド4に設け
られた砂受け皿によって受けとめられて床7上に落ちる
ことはない。
【0044】そして、砂落としハンド5によって鋳造物
Wを把持させた後、ロボット2はバイブレータ47を作
動させ、グレーチング床51cの上方を通して鋳造物W
を荒ばり取り装置51へ搬送し、鋳造物Wの下面側(シ
リンダヘッドのドーム面側)の荒ばり取りを行う。すな
わち、鋳造物Wはこの荒ばり取り装置51によってカム
面側とドーム面側から荒ばり取りが行われ、ハンドによ
って保持されていない解放面(立方体状に成形された鋳
造物Wの上下,左右および前後の計6面)の加工が行わ
れる。なお、このときには中子用砂が後述する砂落とし
工程で落ち易いように、中子の露出している部分をハン
マ51bによって予め崩しておく。
【0045】次に、ロボット2は鋳造物Wを冷却装置5
4へ搬送し、図3および図4中P3で示すように冷却装
置54内に臨ませる。鋳造物Wを荒ばり取り装置51か
ら冷却装置54へ搬送するときには、砂落とし装置52
のホッパ52bの上方を通して行う。冷却装置54では
鋳造物Wに水をかけて冷却が行われる。冷却が終了した
後、ロボット2は鋳造物Wを砂落とし装置52へ搬送す
る。このときには、鋳造物Wが下部ホッパ部54aおよ
び砂落とし装置52のホッパ52bの上方を通るように
して行う。砂落とし装置52では、図1および図4中に
4 で示すように鋳造物Wを打撃装置52aに押し当て
て中子用の砂がふるい落とされる。この砂落とし時にも
バイブレータ47は継続して作動されるが、打撃装置5
2aでの振動数がバイブレータ47の振動数とは異なる
関係から、両者が共振したり振動が相殺されたりするこ
とがない。
【0046】砂落としが終了した後、ロボット2は鋳造
物Wを湯口切断装置53に搬送する。この搬送は、砂落
とし装置52から冷却装置54の上方を横切り、直線的
に湯口切断装置53へ到る搬送経路をもって行われる。
このとき、鋳造物Wを砂落とし装置52から湯口切断装
置53へ直線的に移動させたとしても、両者の間に位置
する冷却装置54は両者の作業位置より低く形成されて
いるため、冷却装置54が邪魔になることがない。湯口
切断装置53に鋳造物Wが搬送されると、ロボット2は
ロック機構45を作動させ、砂落としハンド5をロック
状態に変えると共に、バイブレータ47を停止させる。
なお、湯口切断装置53に搬送される以前では、砂落と
しハンド5はフローティング状態に保たれ、バイブレー
タ47は作動し続けられる。
【0047】湯口切断装置53では、図1および図4中
にP5 で示すように鋳造物Wを円盤状カッター53cに
対して側方から移動させることによって不要部分が切断
される。砂落としハンド5をロック状態として切断を行
うのは、鋳造物Wを剛直に支持して切断位置の精度を高
めるためである。
【0048】湯口切断装置53によって切断が終了した
後、ロボット2は砂落としハンド5をフローティング状
態に戻すと共に、バイブレータ47を作動させる。そし
て、この状態で鋳造物Wが刻印装置55に搬送される。
このときの搬送経路は、湯口切断装置53→冷却装置5
4の上方→砂落とし装置52のホッパ52bの上方→グ
レーチング床51cの上方を通るような経路とされる。
すなわち、湯口切断装置53から刻印装置55へ鋳造物
Wを搬送するときにも鋳造物Wはバイブレータ47によ
って振動されることになる。
【0049】刻印装置55に鋳造物Wが搬送された後、
ロボット2は砂落としハンド5を再びロック状態にする
と共にバイブレータ47を停止させ、この状態で鋳造物
Wを印字機構(図示せず)に押し付ける。これにより刻
印付け作業が行われる。そして、刻印付けが終了した
後、ロボット2は鋳造物Wを仕上げキャビネット14の
仮置台21に位置決めした状態で載置させ、砂落としハ
ンド5の把持状態を解除する。このように鋳造物Wを仮
置台21へ移した後、ロボット2は鋳造物Wのなくなっ
た砂落としハンド5を砂落としハンド仮置台6cへ戻
し、取出しハンド4へ交換する。そして、上述した動作
を再び繰り返す。
【0050】したがって、上述したように構成された鋳
造物用移送装置1では、工場内のレイアウトを変更する
ときには、箱体6を新たな設置場所へ移動させることに
よって、ロボット2,荒ばり取り装置51,砂落とし装
置52,湯口切断装置53,冷却装置54および刻印装
置55等の複数の作業機械が一度に移動することにな
る。
【0051】しかも、鋳造機18から取出した鋳造物W
を搬送するときは鋳造物Wから中子用の砂が落ちるが、
この砂は取出しハンド4に設けられた砂受け皿によって
受けられ、鋳造キャビネット12や砂落とし切断キャビ
ネットに落ちることはない。
【0052】なお、本実施例では箱体6を高床式に構成
して床下にコンベア51e,56等を配設したが、箱体
6としては工場床面11上に直接載置させることもでき
る。このようにする場合、工場床にピット等を掘り下
げ、そこへコンベア51e,56等を配置する。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る鋳造物
用移送装置は、鋳造物を鋳造機から取出して搬送するロ
ボットにおける鋳造物把持用ハンドに、鋳造物把持部分
の下方および側方を囲む砂受け皿を設けたため、鋳造物
から脱落した中子用の砂は砂受け皿によって受けられる
から、床面にまき散らされることがなくなる。このた
め、中子用の砂によって作業床が汚れるのを防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋳造物用移送装置を用いたユニッ
ト式工作機械の平面断面図である。
【図2】図1におけるユニット式工作機械のII−II線断
面図である。
【図3】図1におけるユニット式工作機械のIII−III線
断面図である。
【図4】図1におけるユニット式工作機械のIV−IV線断
面図である。
【図5】本発明に係る鋳造物用移送装置の取出しハンド
を示す側面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図である。
【図7】本発明に係る鋳造物用移送装置の砂落としハン
ドを示す正面図で、同図はハンド基部を部分的に破断し
て描いてある。
【図8】図5におけるVIII−VIII線断面図で、同図はハ
ンド基部を部分的に破断して描いてある。
【図9】砂落としハンドの底面図である。
【符号の説明】
1 移送装置 2 ロボット 4 取出しハンド 5 砂落としハンド 6 箱体 7 床板 8 側板 9 天井板 18 鋳造機 25 ベース板 26 把持装置 34 枠体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−344116(JP,A) 特開 平6−344119(JP,A) 特開 平6−344117(JP,A) 特開 平6−344287(JP,A) 特開 平6−246598(JP,A) 特開 平6−344248(JP,A) 特開 平5−38664(JP,A) 特開 平4−141356(JP,A) 特開 平4−171177(JP,A) 特開 昭61−71170(JP,A) 特開 昭61−63352(JP,A) 特開 平1−139462(JP,A) 特開 平5−318088(JP,A) 実開 平6−560(JP,U) 実開 平6−5755(JP,U) 実開 平2−104165(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 29/00 B22D 31/00 B23Q 37/00 B23Q 41/04 B65G 47/90 B65G 61/00 B22D 29/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳造物を鋳造機から取出して搬送する鋳
    造物保持用ロボットにおける鋳造物を把持するハンド
    に、鋳造物把持部分の下方および側方を囲む砂受け皿を
    設けたことを特徴とする鋳造物用移送装置。
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