JP3147485B2 - アルバダ式逆ガリレオファインダー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は複数の撮影モードを有す
るカメラのファインダーに関し、特に、一の撮影モード
時に第１の視野枠による視野枠像と第２の視野枠による
視野枠像を被写体像に重ねてファインダー視野に表示
し、他の撮影モード時に第２の視野枠による視野枠像の
みを被写体像に重ねてファインダー視野に表示するアル
バダ式逆ガリレオファインダーに関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、通常撮影とパノラマ撮影とが切
替可能なカメラには、撮影モードの切替に応じてファイ
ンダー視野に表示する視野枠が設けられている。これら
のカメラにおいては、対物レンズ、反射鏡、第１の視野
枠を付設した平面ガラス、及び第２の視野枠を付設した
接眼レンズを光軸方向にこの順に有し、パノラマ撮影時
に第１の視野枠による視野枠像と第２の視野枠による視
野枠像を被写体像に重ねてファインダー視野に表示し、
通常撮影時に平面ガラスを移動させて第２の視野枠によ
る視野枠像のみを被写体像に重ねてファインダー視野に
表示するファインダーが比較的良く用いられている。こ
のファインダーにおいては、平面ガラスを移動する手段
としては、以下の方式が採用されていた。

【０００３】第１の方式としては、通常撮影時に視野枠
を付設した平面ガラス等の光学部材の全体をファインダ
ーの鏡筒の外部に出す方式である。この方式では、ファ
インダーの鏡筒の外部に光学部材収容部を設けておき、
通常撮影時には光学部材を光学部材収容部に収容するこ
とによって、ファインダーの鏡筒の外部へ光学部材を退
避させ視野枠での反射をなくし、通常撮影用視野枠像の
みを表示し、パノラマ撮影時には光学部材をファインダ
ーの鏡筒内に配置することによって通常撮影用視野枠像
とパノラマ撮影用視野枠像の両方をファインダー視野に
被写体像に重ねて表示していた。

【０００４】第２の方式は、上記第１の方式の改良方式
である。すなわち、第１の方式と異なる点は、通常撮影
時に、平面ガラス等の光学部材の視野枠を付設した部分
のみをファインダー鏡筒の外部に退避させ、かつ、光学
部材のうちファインダーの鏡筒内に残されている部分を
遮光して、光学部材の端部等での反射をなくし、通常撮
影用視野枠像のみを表示する方式である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の方式に
は次のような問題点があった。先ず、第１の方式は、光
学部材をファインダーの鏡筒外に完全に退避させるの
で、光学部材の端部による反射が防止され、ファインダ
ーの鏡筒内が必要以上に明るくならず、また、第１の視
野枠にも光線が当たらないため、その第１の視野枠の反
射によるゴースト像の発生が防止され、ファインダーの
視野に表示される被写体像の視認性が高いという利点が
ある反面、ファインダーの鏡筒の外に光学部材を完全に
出すためにカメラ本体の形状が大きくなってしまうとい
う問題点があった。

【０００６】第２の方式は、ファインダーの鏡筒内にお
いて光学部材の視野枠付設部分だけを光路外に退避させ
るだけで光学部材全体をファインダーの鏡筒外に出さな
いので、第１の方式に比べてカメラの小型化が図れる反
面、光学部材の一部または全部がファインダーの鏡筒内
に残るため内面反射の原因となる。従って、ファインダ
ーの鏡筒内に残っている光学部材を遮光する必要がある
が、光学部材が可動であるために遮光機構が複雑にな
り、そのため、カメラの製造コストの上昇、カメラ機構
の信頼性の低下及びカメラの保守点検の困難化を招くと
いう問題点があった。

【０００７】本発明は、このような問題点に鑑み為され
たものであり、カメラ本体が小型で、かつ、極めて簡単
な構成でありながら、ファインダー視野に表示される被
写体像の視認性を低下させることなく、撮影モードの切
り替えに対応して必要な視野枠像を表示することを目的
とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明にかかるアルバダ式逆ガリレオファインダーは、対
物レンズ、反射鏡、第１の視野枠を付設した平面ガラ
ス、及び第２の視野枠を付設した接眼レンズを光軸方向
にこの順に有し、ファインダーの鏡筒内面に内面反射防
止部を設け、平面ガラスを、第１の視野枠での反射光が
反射鏡を介して視認可能な鏡筒内の第１の位置と、第１
の視野枠での反射光が内面反射防止部に導かれるような
鏡筒内の第２の位置とを取り得るように構成し、移動手
段を、一の撮影モード時に平面ガラスを第１の位置に配
置させ、他の撮影モード時に平面ガラスを第２の位置に
配置させ得るように構成したことを特徴とする。

【０００９】

【作用】上記構成からなる本発明のアルバダ式逆ガリレ
オファインダーによれば、一の撮影モード時において
は、平面ガラスは、第１の視野枠での反射光が反射鏡を
介して視認可能な鏡筒内の第１の位置に配置される。こ
れによって、対物レンズ、反射鏡、平面ガラス及び接眼
レンズを介してファインダー視野に表示される被写体像
に、第１の視野枠での反射光による視野枠像と第２の視
野枠での反射光による視野枠像とが重ねて表示される。

【００１０】一方、他の撮影モード時においては、平面
ガラスは、平面ガラスに付設された第１の視野枠での反
射光が内面反射防止部に導かれるような鏡筒内の第２の
位置に配置される。この場合において、ファインダーの
鏡筒に入射した光線は、平面ガラスに付設された第１の
視野枠で反射する。この反射した光線は、反射鏡で反射
されて鏡筒の上部内面に設けられた内面反射防止部に到
達し、ここで吸収される。従って、第１の視野枠で反射
した光線による視野枠像は、ファインダー視野に表示さ
れないが、接眼レンズに設けられた第２の視野枠で反射
された光線は、平面ガラスを通過して反射鏡で再び反射
されて、平面ガラス、接眼レンズを介してファインダー
視野に視野枠像として表示される。よって、ファインダ
ー視野には、被写体像に第２の視野枠での反射光による
視野枠像のみが重ねて表示される。

【００１１】

【実施例】以下、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図
面に基づき詳細に説明する。先ず、本発明に係るアルバ
ダ式逆ガリレオファインダー（以下ファインダーとい
う。）の構成について、図１を参照して説明する。

【００１２】ファインダー１は、対物レンズ２、視野枠
反射鏡（反射鏡）３、平面ガラス４、接眼レンズ５、内
面反射防止部６、及び平面ガラス４の移動手段７とを有
し、平面ガラス４に設けられた第１の視野枠８の視認位
置、非視認位置を取り得るように平面ガラス４を可動と
なし、非視認位置では、平面ガラス４に設けられた第１
の視野枠８での反射光を鏡筒９の内部に設けられた内面
反射防止部６に導くようにしている。

【００１３】ここで、ファインダー１の構成について詳
細に説明する。対物レンズ２は、負の屈折率を有する凹
レンズであり、正の屈折率を有する凸レンズである接眼
レンズ５とともに逆ガリレオファインダー光学系を構成
する。視野枠反射鏡３は、微弱なレンズパワーのメニス
カスレンズであり、特に限定されないが、その接眼側の
凹面全体は、アルミニウムまたは硫化亜鉛で薄く蒸着さ
れて半透過反射鏡を形成している。そして、この視野枠
反射鏡３は、対物レンズ２と接眼レンズ５との間に固定
設置される。平面ガラス４は、平板状の形状であって、
接眼側の面にアルミニウム蒸着により形成される第１の
視野枠８を有し、視野枠反射鏡３と接眼レンズ５の間に
設置される。そして、この平面ガラス４は、軸１４を中
心に鏡筒９に回転自在に取り付けられ、かつ、その下端
部は、図示しないバネによって接眼レンズ５側に付勢さ
れている。対物レンズ５は、接眼側に凸面を有し、対物
側の表面には第２の視野枠１０がアルミニウム蒸着され
ている。また、鏡筒９の内部に設けられた内面反射防止
部６は、特に限定されないが、光軸方向の断面が鋸刃状
で表面に艶消しの黒色塗装を施してなる反射防止壁１１
で構成される。平面ガラス４の移動手段７は、平面ガラ
ス４の一の側面１２の上部に設けたピン１３と、折曲片
によって形成される押圧部１６を有する切替スイッチ１
５とで形成される。このうち、切替スイッチ１５は通常
撮影モードとパノラマ撮影モードの切換用のスイッチで
あって、図１において断面逆Ｌ形の形状をしており、カ
メラ本体に摺動自在に取り付けられている。

【００１４】１７は、カメラ本体のカバーであって、切
替スイッチ１５の切替時に、切替スイッチ１５の押圧部
１６をガイドし、かつ、切替スイッチ１５の摺動を円滑
にする。

【００１５】以上の構成によって、鏡筒９に入射した光
線の一部が第１の視野枠８、第２の視野枠１０で反射
し、再び、視野枠反射鏡３で反射し、平面ガラス４、接
眼レンズ５を透過して被写体像にパノラマ撮影用視野枠
像と通常撮影用視野枠像が重なって見えるアルバタ式ブ
ライトフレーム表示系が構成される。

【００１６】次に、ファインダー１の動作について説明
する。先ず、パノラマ撮影時における動作について図１
を用いて説明する。パノラマ撮影時には、切替スイッチ
１５は、接眼側の位置にセットされている。従って、押
圧部１６は接眼側の位置にあるため、平面ガラス４はバ
ネによって接眼レンズ５側に付勢されて、光軸Ｌと略直
角の状態に置かれている。この状態で対物レンズ２から
鏡筒９に光線が入射すると、光線の大部分は、視野枠反
射鏡３、平面ガラス４及び接眼レンズ５を通過してファ
インダー視野１８に被写体像として表示される。この場
合において、光路Ａを通る光線は、対物レンズ２、視野
枠反射鏡３を通過し、平面ガラス４に設けられた視野枠
８で反射する。この反射した光線は、視野枠反射鏡３側
に戻りそこで反射され、平面ガラス４、接眼レンズ５を
通過してファインダー視野１８にパノラマ撮影用視野枠
像として表示される。また、光路Ｂを通る光線は、対物
レンズ２、視野枠反射鏡３及び平面ガラス４を通過し、
接眼レンズ５に設けられた視野枠１０で反射される。こ
の反射した光線は、平面ガラス４を通過して視野枠反射
鏡３で反射され、平面ガラス４、接眼レンズ５を通過し
てファインダー視野１８に通常撮影用視野枠像として表
示される。

【００１７】この場合のファインダー視野１８に表示さ
れる視野枠像を図３に示す。すなわち、図３において、
光路Ａを通る光線によって表示されたパノラマ撮影用視
野枠像２１と光路Ｂを通る光線によって表示される通常
撮影用視野枠像２２がファインダー視野１８に重なって
表示される。

【００１８】次に、通常撮影時における動作について図
２を用いて説明する。通常撮影時には、切替スイッチ１
５は、対物側の位置にセットされる。従って、押圧部１
６は、切替スイッチ１５の移動に伴って対物側に移動す
る。よって、ピン１３は、押圧部１６の押圧により対物
側に移動する。そのため、平面ガラス４は軸１４を中心
に第２図において時計方向にわずかに回転する。この状
態で対物レンズ２から鏡筒９に光線が入射すると、光線
の大部分は、視野枠反射鏡３、平面ガラス４及び接眼レ
ンズ５を通過してファインダー視野１８に被写体像とし
て表示される。この場合において、光路Ａを通る光線
は、対物レンズ２、視野枠反射鏡３を通過し、平面ガラ
ス４に設けられた視野枠８で反射する。この反射した光
線は、視野枠反射鏡３で反射されて鏡筒９の上部内面に
設けられた反射防止壁１１に到達し、ここで吸収され
る。従って、第１の視野枠で反射した光線は、接眼レン
ズ５側には入射しないので、視野枠８によるパノラマ撮
影用視野枠像は、ファインダー視野１８に表示されな
い。一方、光路Ｂを通る光線は、対物レンズ２、視野枠
反射鏡３及び平面ガラス４を通過し、接眼レンズ５に設
けられた視野枠１０で反射される。この反射した光線
は、平面ガラス４を通過して視野枠反射鏡３で反射さ
れ、平面ガラス４、接眼レンズ５を通過してファインダ
ー視野１８に通常撮影用視野枠像として表示される。

【００１９】この場合のファインダー視野１８に表示さ
れる視野枠像を図４に示す。すなわち、図４において、
光路Ｂを通る光線によって表示される通常撮影用視野枠
像２２のみがファインダー視野１８に表示される。

【００２０】以上のように本実施例によれば、通常撮影
時は、ファインダー視野１８に被写体像と、パノラマ撮
影用視野枠像と、通常撮影用視野枠像とが重なって表示
される。一方、パノラマ撮影時は、切替用スイッチ１５
の切替に連動して、切替スイッチ１５の折曲片によって
形成される押圧部１６が、平面ガラス４を、ファインダ
ー１の鏡筒９の外に出すことなく、軸１４を中心に回転
させ、その結果、ファインダー視野１８に被写体像と通
常撮影用視野枠像が重なって表示される。従って、視野
枠像の切替のための機構がファインダー１内に配置して
行われるためカメラ本体の小型化が図れる。また、切替
スイッチ１５の切り替えだけで、撮影モードに応じた視
野枠像を自動的にファインダー視野１８に表示できるの
で、極めて簡単に視野枠像の切替表示を行うことがで
き、かつ、この切替スイッチ１５の切り替えは、押圧部
１６がカバー１７によってガイドされて移動されるので
極めて円滑に行うことができる。

【００２１】更に、第１の視野枠８での反射光は内面反
射防止壁１１によって吸収されるのでファインダー１内
が不必要に明るくならず、かつ、第１の視野枠によるゴ
ースト像も発生しないのでファインダー視野に表示され
る被写体像の視認性を低下させることがない。従って、
平面ガラス４を遮光する機構が必要ないので、極めて簡
単に構成できる。

【００２２】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、例えば、平面ガラスは、プラスチックの材
料を用いても良いし、平面ガラスを複数設けて視野枠を
３種類以上設けても良い。また、平面ガラスを移動させ
る手段としてガイド部材を用いても良い。更に、上記実
施例は撮影モードの切替に応じてファインダー視野に表
示する視野枠像を切り替える例を説明したが、マクロ撮
影時のパララックス補正枠や、ハーフ撮影時におけるフ
ァインダー視野に表示される視野枠像の切替表示に応用
することも可能であるし、視野枠以外の表示であっても
複数の表示を選択する用途全般に応用可能である。ま
た、ファインダーの光学系は、複数の対物レンズ及び接
眼レンズを用いても良い。

【００２３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、鏡筒内で
平面ガラスの移動をするだけなので、カメラ本体の小型
化が図られ、かつ、極めて簡単に構成できる。しかも、
不必要な内面反射がないので、ファインダー視野に表示
される被写体像の視認性を低下させることなく、撮影モ
ードの切り換えに対応して必要な視野枠像を表示するこ
とができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のパノラマ撮影時におけるファインダー
の断面図である。

【図２】本発明の望遠撮影時におけるファインダーの断
面図である。

【図３】本発明のパノラマ撮影時におけるファインダー
視野に表示される視野枠像を示す図である。

【図４】本発明の通常撮影時におけるファインダー視野
に表示される視野枠像を示す図である。

【符号の説明】

１ アルバダ式逆ガリレオファインダー ２ 対物レンズ ３ 視野枠反射鏡 ４ 平面ガラス ５ 接眼レンズ ６ 反射防止機構 ７ 移動手段 ８ 第１の視野枠 ９ 鏡筒 １０ 第２の視野枠 １１ 反射防止壁 １３ ピン １４ 軸 １６ 押圧部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 対物レンズ、反射鏡、第１の視野枠を付
   設した平面ガラス、及び第２の視野枠を付設した接眼レ
   ンズを光軸方向にこの順に有し、一の撮影モード時にお
   いて前記第１の視野枠による視野枠像と前記第２の視野
   枠による視野枠像を被写体像に重ねてファインダー視野
   に表示し、他の撮影モード時に移動手段によって前記平
   面ガラスを移動させて前記第２の視野枠による視野枠像
   のみを被写体像に重ねてファインダー視野に表示するア
   ルバダ式逆ガリレオファインダーにおいて、 ファインダーの鏡筒内面に内面反射防止部を設け、 前記平面ガラスを、前記第１の視野枠での反射光が前記
   反射鏡を介して視認可能な鏡筒内の第１の位置と、前記
   第１の視野枠での反射光が前記内面反射防止部に導かれ
   るような鏡筒内の第２の位置とを取り得るように構成
   し、 前記移動手段を、前記一の撮影モード時に前記平面ガラ
   スを前記第１の位置に配置させ、前記他の撮影モード時
   に前記平面ガラスを前記第２の位置に配置させ得るよう
   に構成した、 ことを特徴とするアルバダ式逆ガリレオファインダー。