JP3147199B2 - 共吊用可変速巻上装置 - Google Patents

共吊用可変速巻上装置

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JP3147199B2
JP3147199B2 JP28689792A JP28689792A JP3147199B2 JP 3147199 B2 JP3147199 B2 JP 3147199B2 JP 28689792 A JP28689792 A JP 28689792A JP 28689792 A JP28689792 A JP 28689792A JP 3147199 B2 JP3147199 B2 JP 3147199B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、荷物を共吊りし移動
させる共吊用可変速巻上装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図12は従来のクレーン共吊り揃速制御
方法により制御される共吊り用電動荷役装置を示す概略
図である。この電動荷役装置は、例えば特開平2−86
598号公報に開示されたものである。図12におい
て、1は第1クラブ巻上げドラム、2は第2クラブ巻上
げドラムである。3は第1電動機で、第1クラブ巻上げ
ドラム1を回転させる誘導電動機であり、4は第2電動
機で、第2クラブ巻上げドラム2を回転させる誘導電動
機である。5は第1インバータ制御装置で、第1電動機
3に任意の相回転方向と周波数の三相交流を出力し、任
意の回転方向と速度で回転させる。6は第2インバータ
制御装置で、第2電動機4に任意の相回転方向と周波数
の三相交流を出力し、任意の回転方向と速度で回転させ
る。
【0003】7は第1シンクロ発信機で、第1クラブ巻
上げドラム1とともに回転し、第1クラブ巻上げドラム
1の回転量信号を発生する。8は第2シンクロ発信機
で、第2クラブ巻上げドラム2とともに回転し、第2ク
ラブ巻上げドラム2の回転量信号を発生する。9は差動
受信機で、第1シンクロ発信機7から零調器7aを介し
て入力された第1クラブ巻上げドラム1の回転量信号
と、第2シンクロ発信機8から入力された第2クラブ巻
上げドラム2の回転量信号とに基づき、両ドラムの回転
量の差を検出する。差動受信機9は、検出された回転量
差から両ドラムに取り付けられたクラブのフックレベル
の差を算出し、第2クラブのフックが第1クラブのフッ
クより進んでいる場合には進み接点を、また遅れている
場合には遅れ接点を閉じる。10は吊荷で、第1クラブ
巻上げドラム1,第2クラブ巻上げドラム2の回転によ
り上下する両クラブのフックにより両端を共吊りされて
いる。
【0004】次に図12の装置の動作について説明す
る。第1インバータ制御装置5および第2インバータ制
御装置6に同時に運転指令が入ると両制御装置は、同一
の相回転方向・周波数の三相交流を、第1電動機3およ
び第2電動機4にそれぞれ印加する。この時、両クラブ
のフックに均等に荷重がかかっていれば両クラブの巻上
げ速度はほとんど同じであり、吊荷10が傾くことはな
い。
【0005】しかし荷重に差があると、フックに係る荷
重が重いほど、巻上げドラムの回転速度は、巻上げの場
合には遅く、巻下げの場合には速くなる。このため両ク
ラブのフックレベルに差が出て吊荷10が傾くことにな
る。例えば、巻上げ運転において、第2クラブに係る荷
重の方が第1クラブに係る荷重より重いとすると、第2
電動機4の回転速度が第1電動機3の回転速度より遅く
なる。この結果、第2シンクロ発信機8が発生する第2
クラブ巻上げドラム2の回転量信号が第1シンクロ発信
機7が発生する第1クラブ巻上げドラム1の回転量信号
を下回るため、差動受信機9が遅れ接点を閉じる。
【0006】遅れ接点を閉じると第2インバータ制御装
置6はこれに応答しインバータ出力周波数を増やすた
め、第2電動機4の回転速度が速くなり、第2クラブ巻
上げドラム2の回転が加速される。この結果、第2クラ
ブのフックが第1クラブのフックに追い付き両フックの
レベルが合わせられる。逆に第2クラブのフックが第1
クラブのフックより進んだ場合には差動受信機9は進み
接点を閉じる。これに応答し、第2インバータ制御装置
6はインバータ出力周波数を減らし第2電動機4の回転
速度をおくらせて両フックのレベルを合わせる。
【0007】上述のように差動受信機9は、両クラブの
フックのレベル差に応じて進み接点、遅れ接点を閉じ、
第2インバータ制御装置6はこれに応答し、第2電動機
4に印加する三相交流の周波数を増減する。この結果、
両クラブのフックのレベルが合わせられ長尺物の吊荷1
0が水平に維持される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の電動荷役装置は
以上のように構成されているので、つぎのような問題が
あった。例えば2台の電動荷役装置の巻上げ電動機によ
る第1クラブと第2クラブで共吊りを行う場合、第1ク
ラブ側にある第1シンクロ発信機7の信号を第2クラブ
側にある差動受信機9に送るための配線が必要であり、
配線作業に手間が係る上、差動受信機9などの高価な機
器を必要とし、装置が複雑になる。また両クレーンの移
動にともない両クラブ間の配線が断線する恐れがある。
【0009】更に、共吊りクラブの台数が3台以上にな
るとクラブ間の配線が更に増え、差動受信機9などの高
価な機器が多数必要となり、いよいよ装置が複雑にな
る。従って共吊りクラブの台数が増えるとシステムの構
成が事実上不可能になる。
【0010】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、共吊りクラブの台数にかかわ
らず巻上げ機間の巻上げ電動機回転検出信号の配線や差
動受信機などの高価な機器が不要であり、共吊用可変速
巻上装置システム全体を安価な構成で行える共吊用可変
速巻上装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決する手段】この第1の発明に係る共吊用可
変速巻上装置は、荷物を共吊りするとともにインバータ
で可変速制御される電動機を有する可変速巻上装置を備
えた共吊用可変速巻上装置において、前記荷物を移動さ
せる電動機の回転方向及び回転量を検出するロータリー
エンコーダと、前記電動機の目標回転量に相当する基準
パルスを発生する基準パルス発生手段と、前記基準パル
ス発生手段のパルス数と前記ロータリーエンコーダが発
生するパルス数との偏差を出力する偏差カウンタと、前
記インバータの出力周波数を増減して前記偏差カウンタ
から出力される偏差を無くすように運転制御する運転制
御手段とを備えたものである。また第2の発明に係る共
吊用可変速巻上装置は、第1の発明に記載の装置におい
て、偏差カウンタは、アップダウンカウンタで構成した
ものである。また第3の発明に係る共吊用可変速巻上装
置は、第2の発明に記載の装置において、アップダウン
カウンタを、運転停止時リセットするよう構成したもの
である。 また第4の発明に係る共吊用可変速巻上装置
は、荷物を共吊りするとともにインバータで可変速制御
される電動機を有する共吊用可変速巻上装置において、
前記荷物を移動させる電動機の回転方向及び回転量を検
出するロータリーエンコーダと、前記電動機の目標回転
量に相当する基準パルスを発生する基準パルス発生手段
と、前記基準パルス発生手段のパルス数と前記ロータリ
ーエンコーダが発生するパルス数との偏差を出力する偏
差カウンタと、可変速巻上装置のいずれかの前記偏差カ
ウンタの出力する偏差が所定値を超えると共吊用可変速
巻上装置を停止させる停止制御手段とを備えたものであ
る。 また第5の発明に係る共吊用可変速巻上装置は、荷
物を共吊りするとともにインバータで可変速制御される
電動機を有する共吊用可変速巻上装置において、前記荷
物を移動させる電動機の回転方向及び回転量を検出する
ロータリーエンコーダと、前記電動機の目標回転量、前
記電動機の目標回転量に相当する基準パルスを発生する
基準パルス発生手段と、前記基準パルス発生手段のパル
ス数と前記ロータリーエンコーダが発生するパルス数と
の偏差を出力する偏差カウンタと、前 記可変速巻上装置
のいずれかの偏差カウンタの出力する偏差が所定値を超
えると、前記共吊用可変速巻上装置を停止させる停止制
御手段とを備えたものである。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【作用】この第1の発明に係る共吊用可変速巻上装置
は、基準パルス発生手段により電動機の目標回転量に対
応した基準パルスが発生され、ロータリーエンコーダに
より前記電動機の回転方向及び回転量が検出され、偏差
カウンタにより、基準パルス発生手段から発生された前
記電動機の目標回転量に相当する基準パルス数と前記ロ
ータリーエンコーダが発生するパルス数との偏差を出力
し、運転制御手段により前記偏差を無くすように運転制
御を行うものである。この第2の発明に係る共吊用可変
速巻上装置は、アップダウンカウンタにより、基準パル
ス発生手段から発生された前記電動機の目標回転量に相
当する基準パルス数と前記ロータリーエンコーダが発生
するパルス数との偏差を出力する。この第3の発明に係
る共吊用可変速巻上装置は、アップダウンカウンタを運
転停止時リセットする。この第4の発明に係る共吊用可
変速巻上装置は基準パルス発生手段により電動機の目標
回転量に対応した基準パルスが発生され、ロータリーエ
ンコーダにより前記電動機の回転方向及び回転量が検出
され、偏差カウンタにより、基準パルス発生手段から発
生された前記電動機の目標回転量に相当する基準パルス
数と前記ロータリーエンコーダが発生するパルス数との
偏差を出力し、運転制御手段により前記偏差を無くすよ
うに運転制御されるとともに、偏差カウンタの出力する
偏差が所定値を超えると、停止制御手段により共吊用可
変速巻上装置を停止させる。この第5の発明に係る共吊
用可変速巻上装置は、可変速巻上装置のいずれかの偏差
カウンタの出力する偏差が所定値を超えると、停止制御
手段により前記共吊用可変速巻上装置の全てを停止させ
る。
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【実施例】実施例1. 次に図を参照しながらこの発明の実施例について説明す
る。図1は第1の発明の実施例に係る可変速巻上装置の
回路図である。11はインバータで、給電線R、S、T
から三相交流が供給される。12は巻上げ電動機で、イ
ンバータ11から出力される三相交流の相回転方向と周
波数に応じた回転方向と速度で回転する。13はブレー
キコイルで、無通電時は巻上げ電動機12が回転しない
ようにロックし、通電時は巻上げ電動機12が自由に回
転できるように開放する。14は巻上げ運転用常開押し
ボタンで、押し込むと接点が閉じる。15は巻下げ運転
用常開押しボタンで、押し込むと接点が閉じる。なおこ
の巻上げ運転用常開押しボタン14と巻下げ運転用常開
押しボタン15は機械的インターロックにより同時には
押せないように構成されている。
【0028】16は電磁リレーコイルで、巻上げ運転用
常開押しボタン14が押されると励磁され、常開接点1
6a1、16a2を閉じる。常開接点16a1は、その
閉鎖により、巻上げ電動機12が巻上げ方向に回転する
相回転方向でインバータ11が三相交流を出力するよう
に指示する。また常開接点16a2は、その閉鎖によ
り、後述の周波数指令装置20に巻上げ運転中であるこ
とを知らせる。17は電磁リレーコイルで、巻下げ運転
用常開押しボタン15が押されると励磁され、常開接点
17a1、17a2を閉じる。常開接点17a1は、そ
の閉鎖により、巻上げ電動機12が巻上げ方向に回転す
る相回転方向でインバータ11が三相交流を出力するよ
うに指示する。また常開接点17a2は、その閉鎖によ
り、後述の周波数指令装置20に巻下げ運転中であるこ
とを知らせる。18は電磁リレーコイルで、インバータ
11が巻上げ電動機12に三相交流を出力している間、
励磁され、ブレーキコイル13に通電する常開接点18
aを閉じる。
【0029】19はロータリーエンコーダで、巻上げ電
動機12の回転角度と回転方向に対応するA相信号およ
びB相信号からなる2相信号を出力する。20は基準パ
ルス発生手段としての周波数指令装置で、速度検出セン
サとしてのロータリーエンコーダ19に端子SP、SG
から電圧を供給する。この装置の指令はすべて内蔵のマ
イクロコンピュータ20aで行われる。また、周波数指
令装置20は、マイクロコンピュータ20aの指示によ
り、端子A、Bにロータリーエンコーダ19から入力さ
れるA相信号、B相信号と、常開接点16a2、常開接
点17a2の閉鎖に応答し、インバータ11の出力周波
数を指示する電圧信号を端子T2からインバータ11に
出力する。上記インバータ11は上記周波数指令装置2
0によって指令周波数が所定の値に設定されると、その
設定された周波数に従って、所定の傾斜特性で出力周波
数を変化させるので、モータはこの傾斜特性に沿って変
化する。
【0030】次に、この発明の実施例に係る可変速巻上
装置の動作について巻上げ運転の場合を例にとって説明
する。図2はこの発明の実施例に係る可変速巻上装置
インバータ出力周波数および巻上げ電動機回転速度の変
化を示す動作特性図である。時刻t1において、巻上げ
運転用常開押しボタン14を押すと、電磁リレーコイル
16の常開接点16a1、16a2が閉じる。常開接点
16a2が閉じると、運転制御手段としての周波数指令
装置20は巻上げ運転中であることを検知する。また常
開接点16a1が閉じると、インバータ11は周波数0
Hzから周波数指令装置20によって指示された周波数f
2まで予め設定された傾斜で増やし始める。
【0031】時刻t2において周波数がf1に達する
と、インバータ11は巻上げ電動機12に出力を開始
し、同時に電磁リレーコイル18を励磁して常開接点1
8aを閉じる。この結果、ブレーキコイル13は通電状
態になり、巻上げ電動機12を開放し、巻上げ電動機1
2は巻上げ方向に回転し始め、増速してゆく。時刻t3
において、周波数f2に達すると、インバータ11は周
波数の増加を停止し、巻上げ電動機12は回転速度S1
で定速運転される。
【0032】定速運転開始時刻t3から所定時間経過後
の時刻t4において、周波数指令装置20は、ロータリ
ーエンコーダ19から入力される2相信号に基づいて巻
上げ電動機12の回転速度S1と予め設定された目標回
転速度S3とを比較して、その差に応じてインバータ1
1に対する指令周波数を増減する。例えば、図2に示さ
れているように、回転速度S1が目標の回転速度S3よ
りも遅いことを検知した場合、周波数指令装置20は、
回転速度S3と回転速度S1の差に対応する増分だけ指
令周波数を増加し、指令周波数を周波数f2から周波数
f4に増加する。インバータ11はこれに応答し、出力
周波数を予め設定された傾斜で出力周波数を周波数f2
から周波数f4に増加し、巻上げ電動機12の回転速度
を目標回転速度S3に近付ける。
【0033】時刻t5において、周波数が指令周波数f
4に達すると、インバータ11は周波数の増加を停止
し、巻上げ電動機12は回転速度S4で定速運転され
る。時刻t5から、更に所定時間経過後の時刻t6にお
いて、周波数指令装置20は、再度、ロータリーエンコ
ーダ19の2相信号出力に基づいて検出された巻上げ電
動機12の回転速度と、目標回転速度S3とを比較し、
検出回転速度と目標回転速度S3の差に応じて指令周波
数を増減する。
【0034】例えば、図2に示されるように、回転速度
S4が目標回転速度S3よりも速い場合、回転速度S4
と目標回転速度S3の差に応じて、指令周波数を周波数
f4から周波数f3に減少させる。インバータ11は、
これに応答し、予め設定された傾斜で出力周波数を周波
数f4から周波数f3に減少し、周波数がf3に達する
と周波数の減少を停止する。この結果、巻上げ電動機1
2は、目標回転速度S3に極めて近い回転速度S2で定
速運転される。
【0035】時刻t8において、巻上げ運転用常開押し
ボタン14を押すのを止めると電磁リレーコイル16は
消勢され、その常開接点16a1、16a2が開く。こ
の結果、インバータ11は、出力周波数を0Hzまで、
予め設定された傾斜で減少させる。時刻t9において、
出力周波数がf1に達すると、インバータ11は巻上げ
電動機12への出力を停止し、電磁リレーコイル18を
消勢する。この結果、常開接点18aが開き、ブレーキ
コイル13は無通電状態になって巻上げ電動機12をロ
ックして停止させる。
【0036】巻下げ運転用常開押しボタン15を押して
巻下げ運転を行う場合は、電磁リレーコイル17が励磁
され巻上げ電動機12が巻下げ方向に回転するが、これ
以外は、上に説明した巻上げ運転の場合と同じである。
【0037】次に第1の発明の他の実施例について説明
する。回路構成は図1と同様であるが、相違点は、ロー
タリーエンコーダ19等の速度検出センサより取込んだ
信号を積算又はカウントする後述の積算器が周波数指令
装置20内に設けられ、この積算器によりモータの回転
量を検出し、この回転量とあらかじめ図3,4の目標特
性SA,SBに対応して検出した目標回転量とを比較
し、この比較結果に応じて周波数の設定を切換えるもの
である。この発明の動作について巻上げ運転の場合を例
にとって説明する。図3,4は電動荷役装置のインバー
タ出力周波数および巻上げ電動機回転速度の変化を示す
動作特性図である。図3において、台形状の回転速度曲
線(A−B−C−D−E−F−G−H−J−K−L−M
−N)は、各時刻における巻上げ電動機12の目標回転
量を決定するための速度パターンを示す。即ち、この曲
線と時間軸で囲まれた面積が全行程の目標回転量を表
し、また、始動時から各時刻までの目標回転量は、この
曲線と時間軸、およびその時刻に対応する時間軸上の点
から垂線で囲まれた面積で表される。一方、速度曲線A
−B1−C1−D1−W−E1― ―F1−G1−H1
−J1−K1−L1−M1−N1は、実際の巻上げ電動
機12の速度変化を示す。
【0038】図3の時刻t1において、巻上げ運転用常
開押しボタン14を押すと電磁リレーコイル16が励磁
され、その常開接点16a1、16a2が閉じる。そし
て、常開接点16a2の閉鎖により、周波数指令装置2
0は巻上げ運転中であることを検知する。また、常開接
点16a1の閉鎖に応答し、インバータ11は、出力周
波数を0Hzから、周波数指令装置20から指示された
周波数f21まで予め設定された傾斜で増加させ始め
る。
【0039】時刻t2において、出力周波数がf11に
達すると、インバータ11は巻上げ電動機12に出力を
開始し、同時に電磁リレーコイル18を励磁してその常
開接点18aが閉じる。この結果、ブレーキコイル13
は通電状態になり、巻上げ電動機12が開放され、巻上
げ方向に回転し始める。
【0040】時刻t3において、出力周波数がf21に
達すると、インバータ11は出力周波数の増加を停止す
るので、巻上げ電動機12は回転速度S11で定速運転
される。この場合、回転速度S11は、インダクション
モータのすべりを見込んで目標回転速度S21から若干
ずれている。例えば、図3に示すように、回転速度S1
1は目標回転量を達成する上限回転速度S21よりも若
干低い値に設定される。
【0041】時刻t3から所定時間経過後の時刻t4に
おいて、周波数指令装置20は、ロータリーエンコーダ
19の出力から決定される巻上げ電動機12の実際の回
転速度、および目標回転速度を積算ないし積分し、目標
回転量(A−B−C−D−P−Aで囲まれた面積)と実
際の回転量(A−B1−C1−D1−P−Aで囲まれた
面積)を算出し、両者の差を算出する。例えば、図3に
示された場合において、周波数指令装置20は、実際の
回転量が目標回転量にたいし、A−B−C−D−D1−
C1−B1−Aで囲まれた面積分だけ不足していること
を算出する。
【0042】そして、周波数指令装置20は回転量の不
足ないし超過分に応じて指令周波数を増減する。例え
ば、図3に示された場合、周波数指令装置20は回転量
の不足分に応じて指令周波数の設定を周波数f51に変
更する。インバータ11は、これに応答し、予め設定さ
れた傾斜で出力周波数を周波数f21から周波数f51
に増加する。時刻t5において、周波数がf51に達す
るとインバータ11は、出力周波数の増加を停止するの
で、巻上げ電動機12は回転速度S41で定速運転され
る。
【0043】定速運転に入った時刻t5から所定時間経
過後の時刻t6において、周波数指令装置20は、再
度、実際の回転量と目標回転量を比較し、インバータ1
1への指令周波数を増減する。例えば図3の場合、周波
数指令装置20は、時刻t6において、時刻t6までの
目標回転量(A−B−C−E−Q−Aで囲まれる面積)
を検出回転量(A−B1−C1−D1−W−E1−Q−
Aで囲まれる面積)と比較し、検出回転量が目標を上回
ったことを検知し、指令周波数の設定を周波数f51か
ら周波数f21に変更させる。これに応答してインバー
タ11は、予め設定された傾斜で出力周波数を周波数f
21まで減少させる。時刻t7において、出力周波数が
周波数f21に達すると、インバータ11は周波数の減
少を停止し、巻上げ電動機12は回転速度S11で定速
運転される。
【0044】更に時刻t8から所定時間経過後の時刻t
9において、周波数指令装置20は実際の回転量と目標
回転量を比較してインバータ11への指令周波数を増減
し、その後はインバータ11の検出回転量が目標回転量
を超えた場合は出力周波数を減らし、下回った場合は増
やすように調整する。例えば図3の場合、周波数指令装
置20は、時刻t8において、時刻t8までの目標回転
量(A−B−C−F−R−Aで囲まれる面積)を検出回
転量(A−B1−C1−D1−W−E1−X−F1−R
−Aで囲まれる面積)と比較し、検出回転量が目標を下
回ったことを検知し、指令周波数の設定を周波数f21
から周波数f51に変更させる。これに応答してインバ
ータ11は予め設定された傾斜で出力周波数を増加させ
始める。この結果、巻上げ電動機12の回転速度は増加
し始める。
【0045】以降も同様に、インバータ11の検出回転
量が目標回転量を超えた場合は出力周波数を減らし、下
回った場合は増やすようにする毎に周波数指令装置20
は、巻上げ電動機の回転量を算出し、これを目標回転量
と比較して、比較の結果に応じて指令周波数を増減す
る。例えば図3の場合、時刻t9および時刻t11にお
いては、検出回転量(時刻t9においてはA−B1−C
1−D1−W−E1−X−F1−G1−S−Aで囲まれ
る面積、時刻t11においてはA−B1−C1−D1−
W−E1−X−F1−G1−H1−J1−U−Aで囲ま
れる面積)が目標回転量(時刻t9に対してはA−B−
C−G−Aで囲まれる面積、時刻t11に対してはA−
B−C−J−U−Aで囲まれる面積)を上回っているの
で指令周波数の設定を周波数f51から周波数f21に
変更させる。これに応答してインバータ11は予め設定
された傾斜で出力周波数を周波数f41から周波数f2
1に向かって減少させる。
【0046】一方時刻t10および時刻t12において
は、検出回転量(時刻t10においてはA−B1−C1
−D1−W−E1−X−F1−G1−H1−T−Aで囲
まれる面積、また時刻t12においてはA−B1−C1
−D1−W−E1−X−F1−G1−H1−J1−K1
−V−Aで囲まれる面積)が目標回転量(時刻t10に
対してはA−B−C−H−T−Aで囲まれる面積、時刻
t12に対してはA−B−C−K−U−Aで囲まれる面
積)を下回っているので指令周波数の設定を周波数f2
1から周波数f51に変更させる。これに応答しインバ
ータ11は、予め設定された傾斜で出力周波数を周波数
f21から周波数f31に向かって増加し始める。
【0047】時刻t13において巻上げ運転用常開押し
ボタン14を押すのを止めると、電磁リレーコイル16
の励磁が停止され、その常開接点16a1、16a2が
開く。これに応答し、インバータ11は出力周波数をf
31から0Hzまで予め設定された傾斜で減らし始め
る。
【0048】時刻t14において周波数f1に達すると
インバータ11は巻上げ電動機12への出力を停止し、
同時に電磁リレーコイル18を消勢してその常開接点1
8aを開く。この結果、ブレーキコイル13は無通電状
態になり、巻上げ電動機12をロックして停止させる。
【0049】巻下げ運転用常開押しボタン15を押して
巻下げ運転する場合は、電磁リレーコイル17が励磁さ
れ、巻上げ電動機12が巻下げ方向に回転するが、他の
動作は巻上げ運転用常開押しボタン14を押して巻上げ
運転を行う場合と同じである。以上のように、周波数の
目標設定をS21とS51とに交互に切換え簡単な操作
で、速度を、あらかじめ設定した特性に近づくように変
化させることができる。
【0050】なお上記実施例では、速度検知手段として
ロータリーエンコ―ダ19を用いているが、指速発電機
などを使用してもよい。また、上記実施例では主にリレ
ー回路で制御回路を実現しているが、周波数指令装置2
0を含め、マイクロコンピュータ、IC回路などで構成
してもよい。
【0051】また、上記実施例では、定速運転開始後の
所定時刻または検出回転量が目標回転量を超えた場合は
出力周波数を減らし、下回った場合は増やすように指令
周波数を増減しているが、周波数を増減するタイミング
は定期的でも不定期的でもよい。さらに、上記実施例で
は、指令周波数増減を2段階切り替えとしたが、多段階
切り替えとしても、また、連続的に増減してもよい。更
にまた上の実施例では、巻上げ運転用常開押しボタン1
4、15を1段押し込みとしたが、2段以上の多段押し
込みボタンとし、多段速運転としてもよい。
【0052】また、上記実施例では、図1に示す可変速
巻上装置が一対となって2台の巻上電動機による共吊り
の場合について説明したが、この発明は巻上げ、巻下げ
運転をする共吊用可変速巻上装置ばかりではなく、横
行、走行運転を行う可変速巻上装置にも適用できる。
【0053】つぎに、図4を用いて、この発明の実施例
に係る巻下動作を説明する。図4は、第3の発明の実施
例に係る可変速巻上装置のインバータ出力および巻下げ
電動機回転速度の変化を示す動作特性図である。時間t
1において、巻下げ運転用常開押しボタン15を押すと
電磁リレーコイル17の常開接点が閉じ、周波数増減装
置20に巻下げ運転中であることを知らせると同時に、
常開接点17a1が閉じインバータ11が周波数0Hzか
ら周波数増減装置20より指示された基本運転周波数f
22まで、予め設定された傾斜で増やし始める。そして
時間t2において、周波数f12に達するとインバータ
11は巻上げ電動機12に出力を開始すると同時に電磁
リレーコイル18を付勢するため、常開接点18aが閉
じブレーキコイル13は通電状態となり、巻上げ電動機
12が開放され巻下げ方向に回転し始め、増速してゆ
く。
【0054】時間t3において、基本運転周波数f22
に達するとインバータ11は周波数の増加を停止するの
で、巻上げ電動機12は目標速度S22を超え、回転速
度S12での定速回転で運転される。時間t4におい
て、時刻t4までの目標回転量を示す点A−B−C−D
−P−Aで囲まれる面積に対して、検出回転量の方が点
A−B1−C1−P−Aで囲まれる面積を超えているこ
とを検知し、周波数増減装置20が指令周波数を基本運
転周波数f22より補正運転周波数f52に減らすと、
インバータ11は予め設定された傾斜で周波数f52ま
で減らし始める。そして、時間t5において、周波数が
f52に達すると、インバータ11は周波数の減少を停
止するので、巻上げ電動機12は回転速度S42での定
速回転で運転される。
【0055】時間t6において、時間t6までの目標回
転量を示す点A−B−C−E−Q−Aで囲まれる面積を
検出回転量を示す点A−B1−C1−D1−W−E1−
Q−Aで囲まれる面積が下回ったことを検知すると、周
波数増減装置20が指令周波数の設定をf52よりf2
2に増やすように変更する。これによりインバータ11
は予め設定された傾斜で基本運転周波数f22まで増や
し始める。そして、時間t7において、周波数が基本運
転周波数f22に達すると、インバータ11は周波数の
増加を停止するので、巻上げ電動機12は回転速度S1
2での定速回転で運転される。
【0056】時間t8において、時間t8までの目標回
転量を示す点A−B−C−F−R−Aで囲まれる面積を
検出回転量を示す点A−B1−C1−D1−W−E1−
X−F1−R−Aで囲まれる面積が上回ったことを検知
し、周波数増減装置20が指令周波数の設定をf22よ
りf52に減らすように変更すると、インバータ11は
予め設定された傾斜で補正運転周波数f42まで減らし
始める。回転速度がS32まで減速した時刻t7におい
て、時間t9までの目標回転量を示す点A−B−C−G
−S−Aで囲まれる面積を検出回転量を示す点A−B1
−C1−D1−W−E1−X−F1−G1−S−Aで囲
まれる面積が下回ったことを検知し、周波数増減装置2
0が指令周波数をf42よりf22に増やすと、インバ
ータ11は予め設定された傾斜で周波数f42よりf2
2まで増やし始める。
【0057】回転速度がS12まで増速した時間t10
において、時間t10までの目標回転量を示す点A−B
−C−H−T−Aで囲まれる面積を検出回転量を示す点
A−B1−C1−D1−W−E1−X−F1−G1−H
1−T−Aで囲まれる面積を上回ったことを検知し、周
波数増減装置20が指令周波数の設定をf22よりf4
2に減らすように変更する。これにより、インバータ1
1は予め設定された傾斜で周波数f22よりf42まで
減らし始める。回転速度がS32まで減速した時間t1
1において、時間t11までの目標回転量を示す点A−
B−C−J−U−Aで囲まれる面積を検出回転量を示す
点A−B1−C1−D1−W−E1−X−F1−G1−
H1−J1−U−Aで囲まれる面積が下回ったことを検
知し、周波数増減装置20が指令周波数の設定をf42
よりf32に増やすように変更すると、インバータ11
は予め設定された傾斜で周波数f42よりf32まで増
やし始める。
【0058】時間t12において、巻下げ運転用常開押
しボタン15を押すのを止めると、電磁リレーコイル1
7は消勢され、その常開接点17a1、17a2が開
く。するとインバータ11は、周波数をf32より0H
zになるまで予め設定された傾斜で減らし始める。時間
t13において、周波数f12に達すると、インバータ
11は、巻上げ電動機12への出力を停止すると同時
に、電磁リレーコイル18を消勢するので、その常開接
点18aが開き、ブレーキコイル13は無通電状態とな
り、巻上げ電動機12をロックされ停止する。
【0059】図5は巻上げ、巻下げそれぞれの場合の基
本運転速度S11,S12、補正運転速度S41,S4
2、目標速度S21,S22の関係を示したものであ
る。図5において、巻上時の目標速度S21は無負荷時
の基本運転速度を上回るところに設定している。また、
巻下時の目標速度S22は無負荷時の基本運転速度を下
回るところに設定している。図5について詳述すると、
巻上げの場合には基本運転周波数f21を例えば60H
z、補正運転周波数f51を例えば70Hzとした場
合、目標回転量と実際の回転量との比較に応じて周波数
増減装置20が指令周波数の設定を60Hzと70Hz
のいずれか一方に切換え、実際の回転速度がS11とS
41との間に保持されるように、すなわち目標速度特性
SA(図4)を中心に変動するように制御する。
【0060】巻下げの場合には基本運転周波数f22を
例えば60Hz、補正運転周波数f52を例えば30H
zとした場合、目標回転量と実際の回転量との比較に応
じて周波数増減装置20が指令周波数の設定を30Hz
と60Hzのいずれか一方に切換え、実際の回転速度が
S12とS42との間に保持されるように、すなわち目
標速度特性SB(図4)を中心に変動するように制御す
る。
【0061】この場合、周波数増減装置20は、マイク
ロコンピュータ20a(図1)より構成されており、こ
の機能ブロックの一例を示すと、図6のように構成され
る。同図において、201は巻上げ制御手段、202は
巻下げ制御手段であり、これ等制御手段201、202
は巻上げ、巻下げ判定手段203によって選択されるも
ので、電動機の回転量検出手段201a、202aで検
出される実際の検出回転量と、目標回転量検出手段20
1b、202bからの目標回転量とを比較する比較手段
201c、202cと、この比較手段201c、202
cの出力に応じて周波数f51かf21、周波数f52
かf22を選択する選択手段201d、202dを備え
ている。出力線204からは、巻上げ時には周波数f5
1とf21のいずれか一方が、巻下げ時には周波数f5
2とf22のいずれか一方が出力される。なお、偏差カ
ウンタは回転量検出手段201a、目標回転量検出手段
201b、比較手段201cからなる。
【0062】巻上げ,巻下げ回転量検出手段201a,
202aとしては、例えばモータの回転に同期してパル
スを出力するロータリーエンコーダ19等の回転数検出
センサhからのパルスを積算又は積分又はカウントする
積算器iが用いられる。目標回転量検出手段201b,
202bとしては、図3,図4中の各巻上げ,巻下げの
目標速度特性SA,SBに対応して時間経過に従ってパ
ルスを出力するパルス発生手段j及びこのパルス発生手
段jからのパルスを積算又は積分又はカウントする積算
器kが用いられる。
【0063】次に第2、3、4の発明について説明す
る。上記巻上、巻下げ制御手段201、202としては
図7に示すように上記回転数検出センサh、パルス発生
手段jからのパルスをアップカウント、ダウンカウント
するアップダウンカウンタm及びこのアップダウンカウ
ンタmの値にもとづき選択手段201d、202dを制
御する判定手段nを用いて構成してもよい。この場合、
アップダウンカウンタmの出力値としてはモータの実際
の回転量と目標回転量との偏差が直接現れる。上記構成
において、回転数検出センサh、パルス発生手段jから
の信号にもとづいてモータの停止を検出する停止検出手
段70を有し、この停止検出手段70によりアップダウ
ンカウンタmをリセットし、モータ動作時にカウント動
作するように構成されている。これにより、運転開始時
にカウント(積算)が開始されるので、玉掛け時は別々
に操作し、吊荷の各点を各ホイストで吊り、希望の姿勢
にした後全ホイストに同時に指令を送るだけでそのまま
の姿勢で上、下ができ、操作も容易である。
【0064】この実施例における可変速巻上装置は、基
本運転周波数での巻上無負荷運転速度よりもわずかに早
い速度を目標速度として目標回転量を計算し、検出回転
量が不足すると補正運転周波数に切り換え、速度を早め
に補うので、基本運転中に目標との誤差があまり発生せ
ず安定した動作が得られる。またこの実施例における可
変速巻上装置は、基本運転周波数での巻下無負荷運転速
度よりもわずかに遅い速度を目標速度として目標回転量
を計算し、検出回転量がオーバーすると補正運転周波数
に切り換え、速度をおとして補正するので、基本運転中
に目標との誤差があまり発生せず安定した動作が得られ
る。
【0065】実施例2.上記実施例1では基本運転周波
数を巻上げ,巻下げで各1つとしたが、図8に示したよ
うに高速,低速運転用に個別に設定して2段速としても
よく、しかも、巻上げ時の低速補正運転周波数と巻下げ
時の高速補正運転周波数を同一としてもよい。
【0066】図8を詳述すると、巻上げに対し、低速基
本運転周波数f21a,低速補正運転周波数f51aの
他に、高速基本運転周波数f21b,高速補正運転周波
数f51bを有し、巻下げに対し、低速基本運転周波数
f22a,低速補正運転周波数f52aの他に、高速基
本運転周波数f22b,高速補正運転周波数f52bを
有し、高速,低速の周波数を、モータを高速運転するか
低速運転するかに応じて切換えて使用するのである。
【0067】これを実現するための回路例を図9に示
す。同図において、201A,201Bは高速,低速の
巻上げ制御手段であり、202A,202Bは高速,低
速の巻下げ制御手段であり、高速巻上げ制御手段201
Aからは周波数f21b,f51bのいずれか一方が、
低速の巻上げ制御手段201Bからは周波数f21a,
f51aのいずれか一方が、高速の巻下げ制御手段20
2Aからは周波数f22b,f52bのいずれか一方
が、低速の巻下げ制御手段202Bからは周波数f22
a又はf52aのいずれか一方が出力される。この場
合、前記巻上げ,巻下げ判定手段203には、高速,低
速の種別を示す信号が高速,低速判別手段203aより
入力され、この入力及び巻上げ,巻下げに応じて高速巻
上げ制御手段201A,低速巻上げ制御手段201B,
高速巻下げ制御手段202A,低速巻下げ制御手段20
2Bのいずれかが選択されて駆動される。なお、高速,
低速判別手段203aには図示しない操作ボタンからの
信号が入力される。
【0068】このような構成によれば、高速,低速いず
れの場合にも周波数f21b,f51b,f21a,f
51a,f22b,f52b,f22a,f52aを選
択することにより巻上げ,巻下げに対しあらかじめ設定
した図示しない高速,低速用の目標速度特性に対応して
モータを運転できる。各周波数の具体例としては、f5
1bを70Hz、f21bを60Hz、f51aを30
Hz、f21aを10Hz、f52aを5Hz、f22
aを10Hz、f52bを30Hz、f22bを60H
zとすればよい。このように、f51aとf52bとを
ともに30Hzとして共用すれば周波数の設定をその分
少なくできる。
【0069】実施例3.上記実施例1では、押ボタンか
ら手を離すとすぐに減速停止するものとしたが、図10
に示した点K1−K−L−M−M1−L1−K1の目標
回転量が残ったまま時刻t14でブレーキをかけて停止
してしまうことになる。そこで減速後、低速運転を続け
上記の残った目標回転量を消化後停止してもよい。
【0070】すなわち、巻上げ時、時間t13において
巻上げ運転用常開押しボタン14を離すと、周波数がf
31になった所で0に向かって徐々に低下することにな
り、回転数が徐々に減少することになる。時間t14で
周波数がf11(あらかじめ設定)となったときにブレ
ーキを掛けると、回転が停止されることになるが、この
状態では、点K1−K−L−M−M1−L1−K1の残
り回転量部分(斜線部分)の目標回転量が残ったまま停
止してしまい、僅かではあるが、正確な位置に位置決め
されないことになる。そこで、本実施例では目標回転数
がt=14で0となって、周波数がf11となったとし
てもブレーキを掛けないで放置しておく。これにより、
上記残り回転量部分Fが、放置した後の実際の回転量P
で相殺され、この相殺後にブレーキを掛ければ正確な位
置に停止できる。
【0071】このように構成するためには図11に示す
ように押ボタンを押している間発生する運転信号が、押
ボタンを離すことにより消去しても、これに代えて比較
手段201cからの信号が運転信号として出力されるよ
うに構成すれば、比較手段201cより信号が発生して
いる間すなわち残り回転量部分が相殺されるまで運転信
号を出力し、ブレーキが掛るのを遅らせることができ
る。
【0072】実施例4.上記実施例1では、押ボタンか
ら手を離して運転指令をなくしたが、図1に示した周波
数増減装置20内のマイクロコンピュータ20aに絶対
位置検出機能すなわち、吊荷があらかじめ設定した基準
位置を越えたか否かを検出する機能をもたせ、その出力
により押ボタンを押していても運転指令をなくすように
構成してもよい。この場合絶対位置の検出、判断機能と
前記検出回転量、目標回転量の積算、比較機能とを同一
のマイクロコンピュータ内に設けてもよい。このように
運転指令を絶対位置検出装置の出力でなくすことによ
り、簡易リフトの4隅を4台の巻上機で巻上下するよう
な、途中で傾いても困るような場合、最終的に傾きも少
なくなり、停止位置精度も高くなり、精度を必要とする
用途にも適用できる。
【0073】実施例5.次に第5発明について説明する。 上記実施例1では、押
しボタンを押した時点からの全目標回転量と全検出回転
量とを比較するものとしたが、マイクロコンピュータ内
の1メモリをアップダウンカウンタとして用い、その差
のみを残すものとし、またその差が一定量を超えると異
常と判断し、停止すると共に異常出力をしてもよい。す
なわち、図7に示すように、アップダウンカウンタmの
値があらかじめ設定した値に達すると停止制御手段とし
ての異常信号を出力する異常判別手段80を設け、これ
により自機を停止するとともに、他機を停止するように
してもよい。この場合、上記アップダウンカウンタmの
値をマイクロコンピュータ中のメモリに格納することに
より、計算に要するメモリ数を大幅に削減できると共
に、アップダウンカウンタの値を見るだけで差が判断で
き、制御プログラムの容量も少なくでき安価となる。
【0074】
【発明の効果】第1の発明によれば、電動機の目標回転
量に対応した基準パルスとロータリーエンコーダから発
生するパルス数との偏差を無くすようにしたので、1台
の可変速巻上装置単体で偏差を無くすことができるの
で、共吊り相手の他方の可変速巻上装置との電動機の回
転量の突き合せ制御が不要で、このため突き合せ制御用
通信ケーブルや通信手段が不要となり、偏差をみるだけ
なので、偏差カウンタとして小さな桁数のものでよく、
共吊用可変速巻上装置システム全体を安価に構成するこ
とができる。 また、可変速巻上装置を多数台用いてシス
テムを構成する場合、共吊り相手台数が多くなると突き
合せ制御が極めて複雑となるなどの不具合があるが、こ
の発明によればかかる不具合もなく、極めて至便であ
る。第2の発明によれば、偏差カウンタはアップダウン
カウンタを用いたので、さらにメモリ容量が小さくてよ
く、演算も速く行うことができる。第3の発明によれ
ば、偏差カウンタはアップダウンカウンタを用い運転停
止時にリセットするようにしたのでメモリ容量が小さく
てよく、演算も速く行うことができるとともに、偏差を
打ち消すための補正制御も不要となり積算された偏差値
が一掃されるので吊荷の正確な位置制御ができる。第4
の発明によれば、電動機の目標回転量に対応した基準パ
ルスとロータリーエンコーダから発生するパルス数との
偏差を無くすようにしたので、1台の可変速巻上装置単
体で偏差を無くすことができるので、共吊り相手の他方
の可変速巻上装置との電動機の回転量の突き合せ制御が
不要で、電動機の目標回転量に対応した基準パルスとロ
ータリーエンコーダから発生するパルス数との偏差が所
定値を超えると装置全体を停止させるようにしたので、
突き合せ制御用通信ケーブルや通信手段が不要となり、
偏差をみるだけなので、偏差カウンタとして小さな桁数
のものでよく、共吊用可変速巻上装置システム全体を安
価に構成することができる。また可変速巻上装置のいず
れかが故障したり、定格を超える大きな荷重がかかりイ
ンバータの出力周波数を増減したとしても、偏差値が更
に増加しようとしても、吊荷が大きく傾く前に停止でき
るので極めて安全性に優れた共吊用可変 速巻上装置を得
ることができる。第5の発明によれば、電動機の目標回
転量に対応した基準パルスとロータリーエンコーダから
発生するパルス数との偏差が所定値を超えると装置全体
を停止させるようにしたので、共吊用可変速巻上装置の
システムを構成する共吊用可変速巻上装置のいずれかが
故障したり、定格を超える大きな荷重がかかりインバー
タの出力周波数を増減しても、偏差値が更に増加しよう
としても、吊荷が大きく傾く前に停止できるので極めて
安全性に優れた共吊用可変速巻上装置を得ることができ
る。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の可変速巻上装置の回路図である。
【図2】 この発明の可変速巻上装置のインバータ出力
周波数および巻上電動機回転速度の変化を示す動作特性
図である。
【図3】 この発明の可変速巻上装置のインバータ出力
周波数および巻上電動機回転速度の変化を示す動作特性
図である。
【図4】 この発明の可変速巻上装置のインバータ出力
周波数および巻上電動機回転速度の変化を示す動作特性
図である。
【図5】 図3,図4における巻上げ、巻下げそれぞれ
の場合の基本運転速度、補正運転速度、目標速度の関係
を示す図である。
【図6】 図1の周波数増減装置内蔵のマイクロコンピ
ュータの構成を示す機能ブロック図である。
【図7】 図6の巻上げ、巻下げ制御手段における具体
例を示す回路図である。
【図8】 この発明の他の実施例を示す巻上げ、巻下げ
それぞれの場合の基本運転速度、補正運転速度、目標速
度の関係を示す図である。
【図9】 図8の具体的構成を示す回路図である。
【図10】 この発明の他の実施例を示す低速運転と目
標回転量との関係を示す図である。
【図11】 図10の具体的構成を示す回路図である。
【図12】 従来のクレーン共吊り揃速制御方法により
制御される共吊り用電動荷役装置を示す概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H02P 5/46 H02P 5/46 H (56)参考文献 特開 昭49−125791(JP,A) 特開 昭57−9678(JP,A) 特開 平1−191908(JP,A) 特開 平2−133804(JP,A) 特開 平4−4793(JP,A) 特開 平5−70089(JP,A) 特公 昭48−40219(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 5/408 - 5/412 B66C 13/00 - 15/06 B66D 1/40

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷物を共吊りするとともにインバータで
    可変速制御される電動機を有する可変速巻上装置を備え
    た共吊用可変速巻上装置において、前記荷物を移動させ
    る電動機の回転方向及び回転量を検出するロータリーエ
    ンコーダと、前記電動機の目標回転量に相当する基準パ
    ルスを発生する基準パルス発生手段と、前記基準パルス
    発生手段のパルス数と前記ロータリーエンコーダが発生
    するパルス数との偏差を出力する偏差カウンタと、前記
    インバータの出力周波数を増減して前記偏差カウンタか
    ら出力される偏差を無くすように運転制御する運転制御
    手段とを備えたことを特徴とする共吊用可変速巻上装
    置。
  2. 【請求項2】 偏差カウンタは、アップダウンカウンタ
    であることを特徴とする請求項1に記載の共吊用可変速
    巻上装置。
  3. 【請求項3】 偏差カウンタを、運転停止時にリセット
    することを特徴とする請求項1に記載の共吊用可変速巻
    上装置。
  4. 【請求項4】 荷物を共吊りするとともにインバータで
    可変速制御される電動機を有する共吊用可変速巻上装置
    において、前記荷物を移動させる電動機の回転方向及び
    回転量を検出するロータリーエンコーダと、前記電動機
    の目標回転量に相当する基準パルスを発生する基準パル
    ス発生手段と、前記基準パルス発生手段のパルス数と前
    記ロータリーエンコーダが発生するパルス数との偏差を
    出力する偏差カウンタと、可変速巻上装置のいずれかの
    前記偏差カウンタの出力する偏差が所定値を超えると共
    吊用可変速巻上装置を停止させる停止制御手段とを備え
    たことを特徴とする共吊用可変速巻上装置。
  5. 【請求項5】 荷物を共吊りするとともにインバータで
    可変速制御される電動機を有する共吊用可変速巻上装置
    において、前記荷物を移動させる電動機の回転方向及び
    回転量を検出するロータリーエンコーダと、前記電動機
    の目標回転量に相当する基準パルスを発生する基準パル
    ス発生手段と、前記基準パルス発生手段のパルス数と前
    記ロータリーエンコーダが発生するパルス数との偏差を
    出力する偏差カウンタと、前記可変速巻上装置のいずれ
    かの偏差カウンタの出力する偏差が所定値を超えると、
    全ての前記共吊用可変速巻上装置を停止させる停止制御
    手段とを備えたことを特徴とする共吊用可変速巻上装
    置。
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