JP3146660B2 - スラブ形固体レーザ装置 - Google Patents

スラブ形固体レーザ装置

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JP3146660B2 JP20687592A JP20687592A JP3146660B2 JP 3146660 B2 JP3146660 B2 JP 3146660B2 JP 20687592 A JP20687592 A JP 20687592A JP 20687592 A JP20687592 A JP 20687592A JP 3146660 B2 JP3146660 B2 JP 3146660B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は金属の熱加工等に用い
られるレーザ装置であって、レーザ光を全反射する1対
の板面と,熱絶縁される1対の側面と,レーザ光が出入
りする1対の斜端面とをもつスラブ状体に形成されたレ
ーザ媒体が1個または複数個、冷却媒体が内部を通流す
る収納容器内に各レーザ媒体の両斜端面が冷却媒体と接
するようにかつ互いに光軸を合わせて直列にあるいは熱
絶縁される側面同志を互いに当接させて並列に配備され
るとともに、前記1個または複数個配備されたレーザ媒
体の両板面を照射する1対の励起光源と、収納容器の開
口部に取り付けられてレーザ光を透過させる1対のレー
ザ光透光部材と、該各レーザ光透光部材とレーザ媒体と
の間にレーザ媒体と光軸を合わせて配されるスラブ状の
レーザ光導光路と、前記収納容器の外部でそれぞれレー
ザ光透過部材と対抗する全反射ミラーおよび出力ミラー
とを備えてなるスラブ形固体レーザ装置の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】本発明が対象としたスラブ形固体レーザ
装置の一例を図5および6に示す。この装置は本発明者
がさきに提案した構成のもので (特願平3−107685号)
、レーザ光Lを全反射してジグザグの光路をとらせる
1対の板面10aと,熱絶縁される1対の側面10b
と,レーザ光が出入りする1対の斜端面10cとをもつ
スラブ状体に形成されたレーザ媒体10を、ここでは2
個、光軸を合わせて直列に収納容器15内に配備すると
ともに、収納容器15の開口部に取り付けられたレーザ
光透過部材202とレーザ媒体10との間に高透光率の
光学ガラスからなるスラブ状導光路201が配され、前
記収納容器15の透光部材202と対向する全反射ミラ
ー21および出力ミラー22の間のレーザ共振系を構成
している。
【0003】前記直列に配備されたレーザ媒体10の両
側には、各レーザ媒体10の両板面を照射する励起光源
2がレーザ媒体10と平行に配置され、この励起光源2
とレーザ媒体10との間には、レーザ媒体に有害な紫外
光を遮断する紫外光フィルタ8が配されている。この紫
外光フィルタ8とレーザ媒体10との間には、レーザ媒
体10をその両板面10a側から冷却する冷却媒体の流
路が形成され、レーザ媒体10の斜端面10cもこの冷
却媒体と接触する。冷却媒体は、図6に示す収納容器1
5の上部に形成されたヘッダ室15bに入り、レーザ媒
体10と紫外光フィルタ8との間の流路を通過して収納
容器下部のヘッダ室15aに入り、ここから外部へ流出
する。なお、図において、符号204は励起光源2の励
起光をレーザ媒体10の両板面10aに向けて反射する
レフレクタ、206はレフレクタ204を収納容器15
内に保持するとともに、励起光源2の端子金具205を
支持する励起光源保持板である。
【0004】ところで、レーザ媒体10の収納容器15
内の保持は次のように行われる。すなわち、まず、図7
に示すように、断面が面対称五角系に形成された棒状の
熱絶縁体208を接着剤213を用いてレーザ媒体10
の側面10bに固着させ、これを、図6に示すように、
収納容器15に位置の寸法精度高く形成された,断面Y
字状の座面の間に、紙面の上下方向に遊動可能なY字状
保持金具203aと、ナット210bにより下方へ押さ
れるY字状保持金具203bとを介して保持される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような保
持方法には次のような欠点があった。 (1) 接着剤がレーザ発振中にレーザ光で焼け、焼けた接
着剤がレーザ媒体の励起面すなわち両板面に付着し、レ
ーザ出力の低下、またはレーザ媒体の焼損を起こす。
【0006】(2) 接着時に接着剤の硬化に時間がかかる
とともに、接着作業時にレーザ媒体の励起面に接触剤が
付着しないようにすることが難しい。 (3) 接着剤が経年変化し、接着力が低下する。 この発明の目的は、接着剤を使用しなくともレーザ媒体
を収納容器内に位置精度高く保持しかつレーザ媒体側面
の熱絶縁機能をもたせることのできるレーザ媒体保持構
造もしくは熱絶縁構造を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては、冒頭記載の構成によるスラブ形
固体レーザ装置において、レーザ媒体の側面を熱絶縁す
る熱絶縁体を、該側面に当接される熱絶縁面と、該熱絶
縁面のレーザ媒体両板面間方向の横ずれを防止するため
にレーザ媒体両板面の側面間方向端部により熱絶縁面の
レーザ媒体側面への当接時に案内されもしくは該端部に
嵌め込むまれる嵌合面と、熱絶縁面をレーザ媒体側面に
押圧するための押圧力を受けるとともにレーザ媒体を収
納容器内に保持する際の位置決め面を形成する保持面と
を備えた, レーザ媒体の両斜端面間方向に長い棒状体と
して形成する。
【0008】ここで、棒状の熱絶縁体に形成される嵌合
面を、該熱絶縁体の熱絶縁面がレーザ媒体側面に当接し
たときに、レーザ媒体両板面の側面間方向端部の両斜端
面間全長にわたる面取り面として形成された短斜面とレ
ーザ媒体両斜端面間の全長もしくは一部の区間でほぼ密
着する面として形成するか、該熱絶縁体の熱絶縁面を底
面とし幅をレーザ媒体両板面間の厚み寸法と等しく形成
した,該熱絶縁体長手方向のレーザ媒体両斜端面間全長
もしくは一部の区間にわたる角溝の両側面として形成す
れば好適である。
【0009】なお、棒状の熱絶縁体の保持面が該熱絶縁
体長手方向の全長にわたり剛性の高い金属製補強材によ
り覆われたものとすればさらに好適である。
【0010】
【作用】このように、熱絶縁体を熱絶縁面と,嵌合面
と,保持面とを備えた棒状体に形成すると、レーザ媒体
側面の熱絶縁を行いながら接着剤を用いることなくレー
ザ媒体を収納容器内に位置精度高く保持することが可能
になる。また、熱絶縁体本体は耐熱性に関し材料の選択
幅が広く、耐熱性を接着剤より格段に高くできるので、
熱絶縁面をレーザ媒体側面に直接密着状態に接触させて
も焼損等の問題が生じない。
【0011】レーザ媒体を収納容器内で不動に保持する
ための嵌合面をレーザ媒体の面取り面とほぼ密着する面
とすると、レーザ媒体は硬度が高く、脆い材質のため、
エッジ部は通常面取りを施しており、かつこの面取りさ
れた部分は励起光源で照射されてもレーザ光を全反射す
る光路を形成せず、共振器と組み合わせてもレーザ発振
しない部分のため、このエッジ部の面取り面がレーザ媒
体の保持に有効に利用されることになる。
【0012】また、嵌合面を角溝の側面とすれば、寸法
精度高く熱絶縁体の横ずれを防止することが容易に可能
になる。しかし、一方、全反射面の一部が嵌合面により
覆われるためにレーザ出力が低下する。しかし、他方、
全反射面の熱絶縁体に近い部分が励起光の照射からカッ
トされると、中央部の, 温度分布が平坦な部分をビーム
が通過するので、ビームの広がり角が小さくなり、ビー
ムの品質が向上するメリットが生じる。従って、装置を
高品質ビームのレーザ発振器とする場合には、角溝方嵌
合面が効果を発揮する。
【0013】さらに、棒状の熱絶縁体の保持面が該熱絶
縁体長手方向の全長にわたり剛性の高い金属製補強材に
より覆われているようにすると、熱絶縁体の剛性が小さ
い場合にも熱絶縁体とレーザ媒体との接触を均一に保つ
ことができ、接触面に冷却媒体が流入することがなく、
レーザ媒体側面の断熱特性の低下を防止することができ
る。
【0014】
【実施例】図1に本発明の第1の実施例を示す。この実
施例は、レーザ媒体10がその高い硬度と脆い材質のた
め、レーザ光を全反射する両板面の側面側端部に面取り
が施されている場合の熱絶縁体構造の一例を示すもので
ある。熱絶縁体208aは、全体として断面が面対称五
角形の棒状体に形成され、レーザ媒体10の側面に当接
される熱絶縁面208a1 と、図の当接状態においてレ
ーザ媒体10の面取り面のほぼ密着状態となる短斜面と
して形成された嵌合面208a2 と、図示されない収納
容器側から押圧力を受けるとともに収納容器内でレーザ
媒体の位置決めを行うための保持面208a3 とを備え
ている。熱絶縁体208aをこのように形成すると、レ
ーザ媒体10と熱絶縁体208aとのレーザ媒体両板面
間方向の横ずれが防止され、レーザ媒体10は収納容器
内の所定の位置に位置精度よく保持される。
【0015】また、この熱絶縁体構造では、熱絶縁体2
08aがレーザ媒体両板面の面取り部を覆うのみであ
り、この面取り部は、本来、硬度が高く、材質的に脆い
レーザ媒体の損傷防止のために形成されている部分でレ
ーザ出力には寄与しない部分であり、レーザ出力を保持
しながら接着剤なしでレーザ媒体を収納容器内に保持す
ることができる。
【0016】図2に本発明の第2の実施例を示す。熱絶
縁体208bは全体として断面が面対称五角形の棒状体
に形成され、嵌合面208b2 は熱絶縁体208bの全
長にわたる角溝の側面として形成されている。なお、角
溝の底面が熱絶縁面208b 1 を構成する。嵌合面をそ
のように形成すると、レーザ媒体10と熱絶縁体208
bとの嵌合いが精度高く行われ、レーザ媒体を収納容器
内に保持する際の保持位置の位置精度が高くなる。しか
し、この嵌合い構造では、嵌合面208b2 レーザ媒体
10の全反射面の一部を覆い、励起光の照射面積が減る
ためレーザ出力が低下する。しかし、レーザビームの広
がり角に関係するレーザ媒体内側面間方向の温度分布は
中央部が側面側より平坦となり、この平坦な温度分布領
域をレーザビームが通過することとなるのでビームの広
がりが小さくなり、ビーム品質の良いレーザ装置を得る
ことができる。
【0017】図3に本発明の第3の実施例を示す。この
実施例は、図2における嵌合面の長手方向中央部を切り
欠き、嵌合面を両端部にのみ残したものである。このよ
うな嵌合面構造とすると、熱絶縁体208cとレーザ媒
体10との組立てが容易になり、また、レーザ媒体全反
射面の露出面積がほとんど変化しないので、レーザ出力
を高い値に保持することができる。
【0018】図4に本発明の第4の実施例を示す。この
実施例による熱絶縁体は、図3に示す熱絶縁体208c
の保持面208c3 を熱絶縁体208cの長手方向全長
にわたり、剛性の高い金属, 例えばステンレス鋼からな
る補強材212で覆い、熱絶縁体208cの熱絶縁面2
08c1 とレーザ媒体側面10bとの接触を均一にしよ
うとするものである。これは熱絶縁体が寸法, 材質等の
理由から剛性を大きくできないとき、収納容器側から熱
絶縁体保持面に押圧力を加えても、押圧点が離れている
と接触面全体に均一な接触力が得られず、接触面間に冷
却媒体が介在してレーザ媒体側面の断熱特性が低下する
ので、これを防止しようとするものである。
【0019】
【発明の効果】本発明においては、スラブ状レーザ媒体
の熱絶縁される側面を熱絶縁する熱絶縁体を以上のよう
な構造としたので、以下に記載する効果が得られる。 (1) 請求項1の構造では、レーザ媒体を収納容器内の所
定位置に保持するのに、熱絶縁体とレーザ媒体とを接着
剤で固定する必要がなくなり、接着剤の焼けによる焼損
物がレーザ媒体の励起面 (全反射面, 両板面) を汚染す
ることがなくなり、レーザ出力の低下およびレーザ媒体
の焼損を防止することができる。また、接着工程を省く
ことができ (接着作業および接着剤の硬化に5〜6日を
要する)、製作日数が短縮され、装置の製作コストが低
減する。さらに、接着剤のように経年的な接着力低下に
起因するレーザ媒体保持機能の低下が生ぜず、長期保持
の信頼性が向上する。
【0020】(2) 請求項2の構造では、嵌合面にレーザ
媒体の面取り部を利用することとしたので、レーザ出力
を落とすことなくレーザ媒体を収納容器内の所定位置に
位置精度よく保持することができる。 (3) 請求項3の構造では、嵌合面が熱絶縁面を底面とす
る角溝の側面として形成したので、熱絶縁面とレーザ媒
体側面との横ずれ防止を寸法精度高く行うことが容易に
できる。
【0021】また、嵌合面をレーザ媒体斜端面間全長に
わたり形成するときには、レーザ出力は低下するが高品
質のビームを得ることができ、また、レーザ媒体斜端面
間の一部の長さに形成するときには、レーザ媒体と熱絶
縁体との組立てが容易でかつレーザ出力を保持できる装
置とすることができる。 (4) 請求項4の構造では、熱絶縁体の剛性が小さいとき
にも熱絶縁面をレーザ媒体側面に均一に接触させること
ができ、レーザ媒体側面の断熱特性が保持され、品質の
安定したレーザ装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレーザ媒体熱絶縁構造の第1の実
施例を示す斜視図
【図2】本発明によるレーザ媒体熱絶縁構造の第2の実
施例を示す斜視図
【図3】本発明によるレーザ媒体熱絶縁構造の第3の実
施例を示す斜視図
【図4】本発明によるレーザ媒体熱絶縁構造の第4の実
施例を示す斜視図
【図5】本発明が対象とするスラブ形固体レーザ装置と
して本発明者がさきに提案した装置 (特願平3−107685
号) の平面断面図
【図6】図5の装置のA−A線に沿う正面断面図
【図7】従来のレーザ媒体熱絶縁構造を示す斜視図
【符号の説明】
2 励起光源 10 レーザ媒体 10a 板面 10b 側面 10c 斜端面 15 収納容器 21 全反射ミラー 22 出力ミラー 201 導光路(レーザ光導光路) 202 透光部材(レーザ光透光部材) 203a 保持金具 203b 保持金具 208 熱絶縁体 208a 熱絶縁体 208a1 熱絶縁面 208a2 嵌合面 208a3 保持面 208b 熱絶縁体 208b1 熱絶縁面 208b2 嵌合面 208b3 保持面 208c 熱絶縁体 208c 1 熱絶縁面 208c 2 嵌合面 208c 3 保持面 212 補強材 213 接着剤 C 冷却媒体 L レーザ光

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザ光を全反射する1対の板面と,熱絶
    縁される1対の側面と,レーザ光が出入りする1対の斜
    端面とをもつスラブ状体に形成されたレーザ媒体が1個
    または複数個、冷却媒体が内部を通流する収納容器内に
    各レーザ媒体の両斜端面が冷却媒体と接するようにかつ
    互いに光軸を合わせて直列にあるいは熱絶縁される側面
    同志を互いに当接させて並列に配備されるとともに、前
    記1個または複数個配備されたレーザ媒体の両板面を照
    射する1対の励起光源と、収納容器の開口部に取り付け
    られてレーザ光を透過させる1対のレーザ光透光部材
    と、該各レーザ光透光部材とレーザ媒体との間にレーザ
    媒体と光軸を合わせて配されるスラブ状のレーザ光導光
    路と、前記収納容器の外部でそれぞれレーザ光透過部材
    と対抗する全反射ミラーおよび出力ミラーとを備えてな
    るスラブ形固体レーザ装置において、レーザ媒質の側面
    を熱絶縁する熱絶縁体が、該側面に当接される熱絶縁面
    と、該熱絶縁面のレーザ媒体両板面間方向の横ずれを防
    止するためにレーザ媒体両板面の側面間方向端部により
    熱絶縁面のレーザ媒体側面への当接時に案内されもしく
    は該端部に嵌め込むまれる嵌合面と、熱絶縁面をレーザ
    媒体側面に押圧するための押圧力を受けるとともにレー
    ザ媒体を収納容器内に保持する際の位置決め面を形成す
    る保持面とを備えた, レーザ媒体の両斜端面間方向に長
    い棒状体として形成されることを特徴とするスラブ形固
    体レーザ装置。
  2. 【請求項2】請求項第1項に記載の装置において、棒状
    の熱絶縁体に形成される嵌合面は、該熱絶縁体の熱絶縁
    面がレーザ媒体側面に当接したときに、レーザ媒体両板
    面の側面間方向端部の両斜端面間全長にわたる面取り面
    として形成された短斜面とレーザ媒体両斜端面間の全長
    もしくは一部の区間でほぼ密着する面であることを特徴
    とするスラブ形固体レーザ装置。
  3. 【請求項3】請求項第1項に記載の装置において、棒状
    の熱絶縁体に形成される嵌合面は、該熱絶縁体の熱絶縁
    面を底面とし幅をレーザ媒体両板面間の厚み寸法と等し
    く形成した,該熱絶縁体長手方向のレーザ媒体両斜端面
    間全長もしくは一部の区間にわたる角溝の両側面である
    ことを特徴とするスラブ形固体レーザ装置。
  4. 【請求項4】請求項第1項に記載の装置において、棒状
    の熱絶縁体の保持面が該熱絶縁体長手方向の全長にわた
    り剛性の高い金属製補強材により覆われていることを特
    徴とするスラブ形固体レーザ装置。
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