この考案は、圧力鍋に関するものであり、圧力鍋およびその付属品類を製造する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
圧力鍋は、密閉ロック機構をもたない通状の鍋類に比べ高温、高圧下で短時間の加熱調理を実現化し、光熱費の削減や調理時間を短縮できるだけでなく、魚を骨ごと食べられるよう柔らかくしたり、硬い肉を柔らかく煮たり、玄米を美味しく炊き上げたりという様々な調理法を可能とするものであり、近年は、一般家庭からの二酸化炭素排出量の削減にも役立つものとして広く利用されるようになってきている。
このように一般家庭にも広く普及している圧力鍋は、ガステーブルに装備されている焦げ付きや火災発生防止用の温度センサーが、加熱中の圧力鍋底部の高温を感知して誤作動し、調理途中にも関わらず自動的にガスの供給をストップして加熱を中断してしまうという現象が発生することがあった。
こうした現象は例えば、図13の加熱調理中の従来型圧力鍋の断面図、および図14の温度センサーが誤作動を起こす従来型圧力鍋要部の断面図中に示すように、従来型の圧力鍋1内に図示しない玄米と水とを適宜割合で入れた内鍋8を収容すると共に、該圧力鍋1内周壁と内鍋8外周壁との間にも適量の水Wを入れて、鍋蓋5にて密閉ロック機構6を介して密閉状に施蓋し、ガステーブルの五徳9上に載置すると、該圧力鍋1底下面4中央に、同ガステーブルのバーナー中央より上向きに突設している温度センサー90の上端面が弾性的に当接して、圧力鍋1底下面4中央部分の温度を検知可能な状態となる。
ガステーブルのスイッチを操作して加熱調理を開始すると、圧力鍋1底部から同圧力鍋1全体に熱が伝導し、同圧力鍋1内周壁と内鍋8外周壁との間に収容された水Wが煮沸すると共に、その湯、蒸気および空気によって内鍋8、ならびにその内部に収容された図示しない玄米と水とが効率的且つ満遍なく加熱されることとなり、その高温高圧下の加熱調理の途中に、該圧力鍋1内周壁と内鍋8外周壁との間に収容された湯Wが殆ど蒸発して次第に、図14中に示されるような状態となってしまう。
図14中に示すように、圧力鍋1底上面3に湯Wが殆ど残っていない状態は、温度センサー90にとって一般的な鍋における空焚き状態に等しいものであり、図13中の内鍋8内の玄米が未だ炊きあがっていないにも拘わらず、直ちにガスバーナーへのガス供給をカットして自動停止させてしまい、従来型の温度センサー90を持たないガステーブルで上手に炊けていた玄米も、温度センサー90付きのガステーブルでは失敗してしまうという現象が発生していた。
(従来の技術)
そうした事情を打開しようとして、例えば、後記する実用新案登録文献1(1)に掲載されている考案のように、鍋本体の底壁の中央部ないし中央部近傍部位を上向き凸状に突出させ、底壁下面を窪ませることによって、温度測定センサ収容部を形成し、該温度測定センサ収容部内に温度測定センサを収容し、該温度測定センサにより鍋本体内部の温度を忠実に測定可能としてなるものや、同実用新案登録文献1(2)に見られるもののように、窯業製品の底部外面に、薄膜金属皮膜層を形成してなる下向き環状凹部を設けた土鍋において、前記底部外面の中央に、下向きの平坦凸部を設けるとともに、この平坦下向き凸部に薄膜金属皮膜層を形成し、底下面中央に接触する温度センサーが、土鍋の実体温度を正確に検知できるようにしてなる電磁誘導加熱調理器用の土鍋は、その本来の目的とは無関係であるが、土鍋底上面の形状が、同底下面の凹凸形状にならって形成された結果、その底上面の遠心がわが、中央よりも高く設定されたものとなって、土鍋内の湯全部が蒸発してしまう直前まで、温度センサー直上に集合するような形状となっているものなどが散見される。
しかし、前者実用新案登録文献1(1)に示されているような、鍋本体の底壁の中央部付近に温度測定センサ収容部を形成したものは、加熱調理中に鍋本体内の湯が沸騰して次第に蒸発、減少して行くと、温度センサーが接触している底中央付近の熱湯が最も早い段階で蒸発してしまい、温度センサー周囲付近の鍋底上面上に未だ熱湯が残っている状態であっても、温度センサーが誤作動してしまうという現象を引き起こす虞があり、さらに、このような鍋本体の底上面中央に、温度センサ用の収容部分を凸状に形成したものの場合には、圧力鍋で玄米を炊く場合などに利用される内鍋の安定収容が非常に困難なものになってしまうという致命的な欠点があった。
また、後者の実用新案登録文献1(2)に代表されるような電磁誘導加熱調理器用の土鍋などにあっては、土鍋底下面の中央を低く設定して、該土鍋底下面が温度センサーに直接的に接触可能なものとしており、その結果として偶然にも同土鍋底上面の遠心がわから中央に向けて下り勾配に設定されたものとなっていて、図らずも土鍋内の熱湯の殆どが蒸発してしまった場合に、温度センサー直上に最後まで湯が残り、通常の鍋よりも温度センサーの作動を遅延させる可能性の高いものとなっているが、土鍋は元来、空焚きすると割れてしまう虞が高いという性質のものであって、温度センサーとの接触面積を十分に確保し、より正確な土鍋温度の検出を目的とすべきものであり、この鍋底形状に温度センサーの作動を積極的に遅延させようとする技術的な思想が全く無いことは自明であり、しかもこうした土鍋専用窯業製品の底壁構成をそのまま圧力鍋に応用することは殆ど不可能であって、圧力鍋の密閉加熱条件下に生ずるガステーブル温度センサーの誤作動を、未然に防ぐものには成り得ないものであった。
(1)特開2000−41832号公報 (2)実用新案登録第3096191号公報(第2頁、図3および図4)
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある前者実用新案登録文献1(1)に開示されたような、ガステーブルの温度センサーに接触する鍋底下面中央付近に形成した温度測定センサー収容部を、そのまま利用した圧力鍋とした場合にも、圧力鍋特有の温度センサーの誤作動を防止できないものであり、また、後者実用新案登録文献1(2)の電磁調理器用土鍋に代表されるようなものは、土鍋特有の陶磁器類を使用した底壁構成となっており、このような底壁をそのまま圧力鍋に利用することは殆ど不可能な上、こうした底壁を利用した圧力鍋を製造可能とした場合であっても、加熱調理中に発生するガステーブル温度センサーの誤作動を防止することは不可能なものであり、温度センサー付きガステーブルであっても加熱調理の途中に、温度センサーが誤作動して、自動停止してしまう現象を未然に防止できる圧力鍋については未だ存在しないという状況にある。
(考案の目的)
そこで、この考案は、圧力鍋内の水分が減少した場合にも、調理加熱中にガステーブルの温度センサーが誤作動して加熱調理を中断してしまうという現象を未然に防ぎ、しかも加熱調理が完了して圧力鍋内の水分が殆ど蒸発したときに温度センサーが作動して自動的に加熱調理を終了するようにして、加熱調理中の見張りが不要となる新たな圧力鍋の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の圧力鍋、およびそれを利用した新たな構造の圧力鍋セットを実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの考案を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(考案の構成)
図面に示すこの考案を代表する実施例からも明確に理解されるように、この考案の圧力鍋は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、器型外周壁の上がわ適所に把手を設けた鍋本体と、該鍋本体適所との間に密閉ロック機構を有して同鍋本体上端開口縁に密閉状に施蓋可能であって、同鍋本体内圧の上昇限度を規制可能な鍋内圧調節機構が組み込まれてなる鍋蓋との組み合わせからなり、当該鍋本体の内がわとなる底上面が、その遠心がわから中央に向けて求心方向の下り勾配とするよう、転倒錐形内周面状の緩傾斜流導面に形成してなるものとした構成を要旨とする圧力鍋である。
この基本的な構成からなる圧力鍋を表現を変えて示すと、器型外周壁の上がわ適所に把手を設けた鍋本体と、該鍋本体適所との間に密閉ロック機構を有して同鍋本体上端開口縁に密閉状に施蓋可能であって、同鍋本体内圧の上昇限度を規制可能な鍋内圧調節機構が組み込まれてなる鍋蓋との組み合わせからなり、当該鍋本体の外がわとなる底下面の遠心がわをコンロ五徳上に安定載置可能な環状平面形の五徳用接地面に形成すると共に、同底下面であって該環状平面形の五徳用接地面に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端平面の外周縁か、外周縁の一部かの何れかのみ接触可能となるよう、凹面形のセンサー感度緩和面を形成してなるものとした構成からなる圧力鍋となる。
さらに、別の表現で示すと、器型外周壁の上がわ適所に把手を設けた鍋本体と、該鍋本体適所との間に密閉ロック機構を有して同鍋本体上端開口縁に密閉状に施蓋可能であって、同鍋本体内圧の上昇限度を規制可能な鍋内圧調節機構が組み込まれてなる鍋蓋との組み合わせからなり、当該鍋本体の外がわとなる底下面の遠心がわをコンロ五徳上に安定載置可能な環状平面形の五徳用接地面に形成すると共に、同底下面であって該環状平面形の五徳用接地面に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端平面の一部のみが接触可能となるよう、下向き凸面形のセンサー感度緩和面をその下向き頂部が、該五徳用接地面に一致するか、または底肉厚寸法内に没入状に配置、形成してなるものとした構成からなる圧力鍋となる。
これを換言すると、器型外周壁の上がわ適所に把手を設けた鍋本体と、該鍋本体適所との間に密閉ロック機構を有して同鍋本体上端開口縁に密閉状に施蓋可能であって、同鍋本体内圧の上昇限度を規制可能な鍋内圧調節機構が組み込まれてなる鍋蓋との組み合わせからなり、当該鍋本体の外がわとなる底下面の遠心がわをコンロ五徳上に安定載置可能な環状平面形の五徳用接地面に形成すると共に、同底下面であって該環状平面形の五徳用接地面に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端平面の外周縁のみが接触可能となるよう、凹面形のセンサー感度緩和面を形成したものとする一方、当該鍋本体の内がわとなる底上面が、その遠心がわから該センサー感度緩和面の底壁肉厚を隔てた直上に対応する中央に向けて求心方向の下り勾配とするよう、転倒錐形内周面状の緩傾斜流導面に形成してなるものとした構成からなる圧力鍋となる。
より具体的には、器型外周壁の上がわ適所に把手を設けた鍋本体と、該鍋本体適所との間に密閉ロック機構を有して同鍋本体上端開口縁に密閉状に施蓋可能であって、同鍋本体内圧の上昇限度を規制可能な鍋内圧調節機構が組み込まれてなる鍋蓋との組み合わせからなり、当該鍋本体外がわとなる底下面の遠心がわをコンロ五徳上に安定載置可能な環状平面形の五徳用接地面に形成すると共に、同底下面であって該環状平面形の五徳用接地面に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端面の外周縁のみが接触可能となるよう、凹面形のセンサー感度緩和面を形成したものとする一方、当該鍋本体内がわとなる底上面の中央に、該底下面センサー感度緩和面の直上に対応するよう、煮沸液集合平面域を確保した上、同底上面の遠心がわから中央の該煮沸液集合平面域に向けて求心方向の下り勾配とするよう、有底漏斗状の緩傾斜流導面を形成してなるものとした構成からなる圧力鍋となる。
さらに表現を変えて示すと、器型外周壁の上がわ適所に把手を設けた鍋本体と、該鍋本体適所との間に密閉ロック機構を有して同鍋本体上端開口縁に密閉状に施蓋可能であって、同鍋本体内圧の上昇限度を規制可能な鍋内圧調節機構が組み込まれてなる鍋蓋との組み合わせからなり、当該鍋本体の外がわとなる底下面の遠心がわをコンロ五徳上に安定載置可能な環状平面形の五徳用接地面に形成すると共に、同底下面であって該五徳用接地面の内周縁より、コンロ温度センサー上端の適正配置、当接域を規制可能とするよう、上向き陥入状の短尺内周面形としたセンサー用囲繞境界面を凹設した上、該センサー用囲繞境界面の深部がわ上端縁に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端平面の外周縁のみが接触可能となるよう、凹面形のセンサー感度緩和面を形成したものとする一方、当該鍋本体の内がわとなる底上面が、その遠心がわから該底下面センサー感度緩和面の直上に対応する中央に向けて求心方向の下り勾配とするよう、転倒錐形内周面状か、または中央に煮沸液集合平面域を確保した有底漏斗状かの何れか一方の緩傾斜流導面に形成してなるものとした構成からなる圧力鍋となる。
(関連する考案)
上記した圧力鍋に関連し、この考案には、それを利用した圧力鍋セットも包含している。
即ち、この考案の基本をなす圧力鍋に対し、同圧力鍋の鍋本体と、密閉ロック機構を介して密閉状に施蓋した鍋蓋との内に収容可能な寸法、形状に設定した、有蓋か無蓋かの何れか一方の内鍋を組み合わせてなるものとした構成を要旨とする圧力鍋セットである。
以上のとおり、この考案の圧力鍋によれば、従前までは、温度センサー付きのガステーブルによる加熱調理中に、温度センサーが誤作動し、自動停止してしまう現象を未然に防止できなかったが、器型鍋本体と、該鍋本体上端開口縁に密閉状に施蓋可能な密閉ロック機構を有し、鍋内圧調節機構が組み込まれてなる鍋蓋との組み合わせからなり、当該鍋本体の底上面が、その遠心がわから中央に向けて求心方向の下り勾配とするよう、転倒錐形内周面状の緩傾斜流導面に形成してなるものとし、圧力鍋内の水が蒸発して減少した場合にも、鍋内の水が緩傾斜流導面に沿って温度センサー直上付近となる鍋底中央に向けて集合状となり、水分が完全に蒸発してしまう直前まで、センサー検知温度を低下させて、調理途中でガステーブルの温度センサーが誤作動し、加熱調理を中断してしまうという現象を未然に防ぎ、しかも加熱調理が完了して圧力鍋内の水分が殆ど蒸発したときに温度センサーが作動して自動的に加熱調理を終了するようにし、従来不可欠であった加熱調理中の見張りを不要として、調理作業の負担を大幅に軽減し、さらに、過熱による火災を安全に防止することができるようになるという秀れた特徴が得られるものである。
加えて、鍋本体底下面の遠心がわを環状平面形の五徳用接地面に形成すると共に、同底下面であって該環状平面形の五徳用接地面に囲まれた中央に、凹面形のセンサー感度緩和面を形成してなるものとし、コンロ五徳上に安定載置可能となり、しかも底下面中央のセンサー感度緩和面が、コンロ温度センサー上端平面の外周縁か、外周縁の一部かの何れかのみ接触可能となって、鍋本体底下面からコンロ温度センサー上端平面に伝導する熱量を低減し、調理途中に温度センサーが誤作動して加熱調理を自動中断してしまうのを確実に防止することができ、しかも適切な時機に温度センサーが作動して自動停止するものとなって、調理中の見張りを不要とし、火災を安全に防止することができるものとなる上、鍋本体底下面に対して凹面形としたセンサー感度緩和面は、コンロ五徳などへの直接的な干渉を防ぐのに有効な形状であって、傷や変形を防止してコンロ温度センサー上端平面との接触面積を長期にわたり一定に維持し、安定した誤動作防止効果を得ることができる。
また、鍋本体底下面の五徳用接地面に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端平面の一部のみが接触可能となるよう、下向き凸面形のセンサー感度緩和面をその下向き頂部が、該五徳用接地面に一致するか、または底肉厚寸法内に没入状に配置、形成してなるものとし、コンロ温度センサー上端平面の中央付近または外周付近などの一部のみに接触可能となり、鍋本体底下面からコンロ温度センサー上端平面に伝導する熱量を低減可能とし、調理途中に温度センサーが誤作動してしまうのを確実に防止でき、しかも適切な時機に温度センサーが作動して自動停止するものとなって、調理中の見張りを不要とし、火災を安全に防止することができる上、該鍋本体底下面の遠心がわとなる五徳用接地面に下向き頂部が一致するか、または底肉厚寸法内に没入状に配置、形成した当該凸面形のセンサー感度緩和面は、周囲の五徳用接地面に保護されてコンロ五徳などに直接的に干渉するのを防止するものとなり、傷や摩耗、変形などを防止してコンロ温度センサー上端平面との接触面積を長期にわたり一定に維持するものとなって、誤動作防止効果を安定して得ることができるものとなる。
さらにまた、鍋本体底下面の五徳用接地面に囲まれた中央に、凹面形のセンサー感度緩和面を形成したものとする一方、同鍋本体底上面が、その遠心がわから該センサー感度緩和面の底壁肉厚を隔てた直上に対応する中央に向けて求心方向の下り勾配とするよう、転倒錐形内周面状の緩傾斜流導面に形成してなるものは、鍋本体底下面のセンサー感度緩和面が、コンロ温度センサー上端平面への伝導熱量を低減してコンロ温度センサーの加熱調理中の誤動作を防止するものとなり、しかも同鍋本体中に収容した水分が、調理中に加熱、蒸発して行く過程中にも、鍋本体底上面緩傾斜流導面の転倒錐形内周面形状に沿って、同底上面中央付近に向けて集合するよう誘導されるから、最後の水分が蒸発するまで鍋本体底下面のセンサー感度緩和面付近の蒸発熱を奪い、過熱を防いでコンロ温度センサーの誤作動を防止するものとなり、鍋本体底下上面のセンサー感度緩和面および緩傾斜流導面の各作用によって相乗的にコンロ温度センサーの誤作動防止効果を一段と確実に発揮できるものとすることができる。
そして、鍋本体底下面中央に、凹面形のセンサー感度緩和面を形成したものとする一方、当該鍋本体底上面中央に、該底下面センサー感度緩和面の直上に対応するよう、煮沸液集合平面域を確保した上、同底上面の遠心がわから中央の該煮沸液集合平面域に向けて求心方向の下り勾配とするよう、有底漏斗状の緩傾斜流導面を形成してなるものは、鍋本体底上面に転倒錐形内周面状の緩傾斜流導面を形成した場合に比して、鍋本体内の最後の水分が蒸発する段階に、該底下面センサー感度緩和面の直上に対応する略全域に水分を集合可能となり、センサー感度緩和面の中央から外れた箇所にコンロ温度センサーが接触するような配置関係となった場合にあっても、コンロ温度センサーの誤作動を、より確実に防止するものとすることができる。
また、鍋本体底下面の五徳用接地面内周縁より、上向き陥入状短尺内周面形としたセンサー用囲繞境界面を凹設した上、該センサー用囲繞境界面の深部がわ上端縁に囲まれた中央に、凹面形のセンサー感度緩和面を形成したものとする一方、当該鍋本体底上面が、その遠心がわから中央に向けて求心方向の下り勾配とするよう、転倒錐形内周面状か、または中央に煮沸液集合平面域を確保した有底漏斗状かの何れか一方の緩傾斜流導面に形成してなるものは、鍋本体をコンロ五徳上に載置し、コンロ温度センサーがセンサー感度緩和面から外れそうな場合に、該センサー用囲繞境界面が、コンロ温度センサー上端外周縁に干渉し、その感触を利用者が感知して鍋本体の適正なコンロ五徳上搭載位置を知ることができ、コンロ温度センサーを簡単且つ正確にセンサー感度緩和面に対応させるよう操作することができるものとなり、しかも底下面に該センサー用囲繞境界面を有した鍋本体の底上面に、緩傾斜流導面を形成したものは、該センサー用囲繞境界面が誘導したコンロ温度センサーの直上付近に、過熱調理中に蒸発して行く鍋本体内の最後の水分が集合するようになり、コンロ温度センサーの誤作動を一段と確実に防止するものとなる。
そして、センサー用囲繞境界面は、環状平面形の五徳用接地面内周縁と、センサー感度緩和面外周縁との間に上下1ないし3mm、望ましくは2mmの深さとするよう、寸法設定した錐形内周面状、筒形内周面状または球形内周面状の何れか1つに設定されてなるものは、五徳用接地面内周縁とセンサー感度緩和面外周縁との間に、コンロ温度センサー上端外周縁が確実に係合可能な段差形状を確保可能とし、コンロ温度センサー上端面が、センサー感度緩和面の範囲内に、より正確に誘導できるものとなり、さらに確実にコンロ温度センサーの誤作動を防止できる。
また、凹面形のセンサー感度緩和面が、その凹面形外周の直径が45ないし55mm、望ましくは50mmであって、曲率半径を350ないし450mm、望ましくは400mmの球面形に設定されてなるものは、コンロ五徳上に載置した鍋本体の、センサー感度緩和面中心にコンロ温度センサー上端面の略中心を一致するよう配置した場合に、各メーカー毎やガステーブルの型式毎に寸法の異なる既存のコンロ温度センサー上端面各外周縁に、センサー感度緩和面を略同等の接触面積比率で接触、可能なものとすることができ、確実にセンサー感度緩和面からコンロ温度センサー上端面に伝導する熱量を減少させ、一段と確実にコンロ温度センサーの誤作動を防止可能となる。
そして、鍋本体底下面の緩傾斜流導面の傾斜角度を0.5度ないし4度、望ましくは4度に設定し、煮沸液集合平面域を形成したものの場合に、同煮沸液集合平面域外周の直径が45ないし55mm、望ましくは50mmであって、センサー感度緩和面の凹面形外周の直径に一致するよう設定されてなるものは、鍋本体底壁の厚み寸法を、圧力鍋に適する厚み内に納めて、底壁全体を略均質に過熱できるようにし、しかも鍋本体内に収容した水分が過熱、蒸発によって次第に減少すると、緩傾斜流導面を伝い鍋本体底上面の中央に向けて、より確実且つ速やかに流れ下って集合し、センサー感度緩和面の凹面形外周の直径に一致する範囲内の過熱を防止し、コンロ温度センサーの誤作動をより一層確実に防止できるようになる。
さらに、この考案の圧力鍋を利用した圧力鍋セットによれば、この考案の基本をなす圧力鍋の鍋本体と、密閉ロック機構を介して密閉状に施蓋した鍋蓋との内に収容可能な寸法、形状に設定した、有蓋か無蓋かの何れか一方の内鍋を組み合わせてなり、内鍋を収容した圧力鍋は、内鍋を収容していない圧力鍋に比較して、圧力鍋内に収容した水分の殆どが、過熱調理中に蒸発してしまう虞が高いが、この考案の基本をなす圧力鍋の底部形状が、コンロ温度センサーの誤作動を確実に抑制するものとなり、内鍋を利用した場合にも、従来品では得られない程度に各段に安定した加熱調理を実現化できるものとなるという秀れた効果を発揮するものとなる。
上記したとおりの構成からなるこの考案の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
鍋本体は、圧力鍋の底部がわとなる所定容量の器型の加熱用容器を形成し、上部開口を鍋蓋の装着によって密閉状に閉鎖可能とする機能を果たすものであり、容器外周壁の上がわ適所に着脱自在か、または固着状かの何れかとした把手を設けると共に、同器型容器の上端開口縁に鍋蓋を組み合わせて密閉状に施蓋可能なものとした上、該鍋本体と鍋蓋との各適所間に密閉ロック機構を設けたものとし、一般的な圧力鍋以上の加熱調理に耐え得る耐久強度を有して充分な安全を確保できるものとしなければならず、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン合金、銅などの各種金属や合金またはそれらの積層体からなるものとすることができ、表現を変えると、鋳物、プレス加工品、切削加工品などの各種加工品またはそれらの組み合わせとすることが可能である外、強化ガラス製品やセラミックス製品、あるいはそれらの組み合わせからなるものなどとすることが可能である。
把手は、加熱調理によって高温となった圧力鍋を安全に掴み、取り扱えるようにする機能を有しており、熱や重量負担に十分耐え得る強度を有するものとしなければならず、鍋本体より各段に熱伝導率の低い素材製としたり、または、鍋本体との間に断熱部分を介在したものとして設けるべきであり、必要に応じて密閉ロック機構の一部を組み込んでなるものとすることができ、簡単に脱着や交換できる着脱機構を設けたものとすることが可能であり、後述する実施例に示すように、器型鍋本体の中央縦軸心回り180度毎となる外周壁上がわ夫々に、両手持ち用とするよう設けたものや、同鍋本体の中央縦軸心回り180度毎となる外周壁上がわの一方に柄型握り手状のもの、反対がわには両手持ち用の一方と同じ形状のものを装着してなるものなどとするのが望ましいが、片手で安全に取り扱える程度に小さな圧力鍋の場合などには、柄型のものを1つのみ設けたものとすることが可能である。
鍋本体の底上面は、底下面がわから加えられた熱を鍋本体内に効率よく伝達可能とすると共に、同鍋本体内に収容された水分を同底上面の中央付近に自動的に集合可能とする機能を果たすものであり、遠心がわから中央に向けて求心方向の下り勾配とするよう、転倒錐形内周面状の緩傾斜流導面に形成してなるものとするか、または、同底上面の中央付近にセンサー感度緩和面の直上に対応するよう、煮沸液集合平面域を確保した上、同底上面の遠心がわから中央の該煮沸液集合平面域に向けて求心方向の下り勾配とするよう、有底漏斗状の緩傾斜流導面を形成してなるかの何れか1つの形状に設定したものとしなければならない。
底上面の緩傾斜流導面は、鍋本体内に収容した水が加熱調理中に蒸発し、次第に減少して行く過程で、底上面の水を遠心がわから中央に向けて自動的に誘導可能とする機能を果たすものであり、該底上面の遠心がわから中央に向けて求心方向の下り勾配とするよう、転倒錐形内周面状に形成されたものとするか、または、該底上面の遠心がわから、同底上面の中央付近に形成した煮沸液集合平面域に向けて求心方向の下り勾配とするよう、有底漏斗状に形成してなるものとするかの何れか一方に設定したものとしなければならず、該緩傾斜流導面の縦断面形状を直線的または曲線的なもの、あるいは直線と曲線とを組み合わせたものなどとすることができ、例えば後述する実施例に示すように、該緩傾斜流導面の傾斜角度を0.5度ないし4度、望ましくは4度に設定し、煮沸液集合平面域を形成したものの場合には、同煮沸液集合平面域外周の直径が45ないし55mm、望ましくは50mmであって、センサー感度緩和面の凹面形外周の直径に一致するよう設定されてなるものとすることが可能である。
該センサー感度緩和面や煮沸液集合平面域の直径は、各社のガステーブルのコンロ五徳やコンロ温度センサー上端平面の形状や寸法に基づき設定したものであり、45ないし55mmの寸法範囲を外れると、何れかかのガステーブルで、コンロ温度センサーの誤作動を招く虞が高くなる。
底上面の煮沸液集合平面域は、鍋本体内に収容した水が加熱調理中に蒸発し、次第に減少して行く過程で、緩傾斜流導面に誘導されて底上面の中央に集合した水を、底下面のセンサー感度緩和面が形成された領域の直上に相当する範囲内に水溜状に留めるという機能を果たし、底下面の五徳用接地面に平行(水平)な平面状に形成するか、または底下面の中央にむけて僅かに下り勾配となるものとするよう設定すべきであるが、均質に水を留めるよう、ディンプル状の複数の窪みを均質に点在させたものや、底下面の中央から同心波紋状の縦断面波型に形成されたものなどとすることが可能である。
鍋本体の底下面は、圧力鍋をコンロ五徳上に安定載置可能とし、バーナーからの熱を効率よく底上面へと伝導すると共に、コンロ五徳の中央から上向きに突設してあるコンロ温度センサー上端平面との接触面積を所定割合で低減し、同温度センサーの感度を同圧力鍋による調理に適した水準まで自動的に引き下げ調整可能にするという機能を果たし、底下面の遠心がわをコンロ五徳上に安定載置可能な環状平面形の五徳用接地面に形成すると共に、同底下面であって該環状平面形の五徳用接地面に囲まれた中央に、凹面形または凸面形のセンサー感度緩和面を形成したものとしなければならず、テーブル上などへの安定な据え置きや、他物への干渉による摩耗、傷、変形などを考慮すると、センサー感度緩和面の最下部分が、五徳用接地面に一致するか、または、鍋本体の底壁肉厚内に収まる形状、寸法に設定したものとすべきである。
底下面の五徳用接地面は、圧力鍋をコンロ五徳上に安定載置可能とするよう、底下面のセンサー感度緩和面を除いた遠心がわとなる範囲に環帯状の平面(水平面)を形成する機能を果たし、圧力鍋の垂直軸心回りの何れの角度姿勢にあっても、コンロ五徳上に安定載置可能とする平面形状に設定しなければならず、必要に応じてセンサー感度緩和面を中心とする波紋状波型の凹凸溝を刻設したものや、鍋本体の金属材料よりも熱伝導率が高い、環帯状の合金板を積層状に一体化したものなどとすることが可能である。
底下面のセンサー感度緩和面は、ガステーブルのコンロ五徳の中央から上向きに突設したコンロ温度センサー上端平面との接触面積を低減し、同温度センサーの感度を同圧力鍋による調理に適した水準に引き下げ調整するという機能を果たし、コンロ温度センサー上端平面と鍋本体底下面との接触面積を減少する形状に設定しなければならず、コンロ温度センサー上端平面との接触面積比を0%を超える値とし、且つ100%未満の値としなければならず、安定したセンサー動作を得るには、10ないし80%とすべきであり、例えば後述する実施例に示すように、10ないし40%に設定したものとすることが可能であり、底下面であって該環状平面形の五徳用接地面に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端平面の外周縁か、外周縁の一部かの何れかのみ接触可能となる下向き凹面形に形成したものか、または、同底下面であって該環状平面形の五徳用接地面に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端平面の一部のみが接触可能となる下向き凸面形に形成し、且つその下向き頂部が、該五徳用接地面に一致するか、または底肉厚寸法内に没入状に配置、形成してなるものかの何れか一方に設定されたものとすべきであり、必要に応じて底下面の中心から五徳用接地面内周縁にかけて波紋状波型の凹凸溝を刻設したものや、五徳用接地面に囲まれた範囲内に下向きの突起を複数一体化形成してなるものなどとすることが可能である外、鍋本体の材質よりも熱伝導率が低い、断熱用部品を積層状に一体化したものなどとすることが可能である。
また、鍋本体の底下面は、五徳用接地面の内周縁より、コンロ温度センサー上端の適正配置、当接域を規制可能とするよう、上向き陥入状の短尺内周面形としたセンサー用囲繞境界面を凹設し、該センサー用囲繞境界面の深部がわ上端縁に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端平面の外周縁のみが接触可能となるよう、凹面形のセンサー感度緩和面を形成したものとすることが可能である。
底下面のセンサー用囲繞境界面は、鍋本体底下面のセンサー感度緩和面にコンロ温度センサー上端が当接するよう、コンロ五徳上に圧力鍋を載置する場合に、該コンロ温度センサー上端が同底下面五徳用接地面がわに外れてしまわないよう、物理的に干渉し、その感触によってコンロ温度センサーに対する圧力鍋の位置関係を利用者に知らせる機能を果たし、該底下面の五徳用接地面内周縁より、上向き陥入状の短尺内周面形に凹設されたものとしなければならず、該センサー用囲繞境界面の深部がわ上端縁に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端平面の外周縁のみが接触可能となるよう、凹面形のセンサー感度緩和面を形成したものとすることが可能である外、該センサー用囲繞境界面の深部がわ上端縁に囲まれた中央に、コンロ温度センサー上端平面の一部のみが接触可能となるよう、下向き凸面形のセンサー感度緩和面をその下向き頂部が、該五徳用接地面に一致するか、または底肉厚寸法内に没入状に配置、形成してなるものとすることができる。
鍋蓋は、器型鍋本体の上端開口を開閉可能であって、しかも密閉状に閉鎖可能とし、圧力鍋内の気圧が上昇限度を超えた場合に自動的に減圧可能とする機能を果たすものであり、十分な耐熱性および耐圧性を有するものとし、鍋本体適所との間に密閉ロック機構を有し、且つ同鍋本体内圧の上昇限度を規制可能な鍋内圧調節機構が組み込まれてなるものとしなければならず、その材質は鍋本体と同様に設定したものとするのが望ましい。
密閉ロック機構は、鍋蓋を鍋本体の上端開口に密閉且つ仮固定状に装着可能として圧力鍋内を密閉状に保持可能とし、必要に応じて圧力鍋から鍋蓋を開放可能とする機能を果たすものであり、例えば後述する実施例に示すように、鍋本体上端開口縁に沿って外向きか、または内向きかの何れか一方の複数個の凸ブロック部を所定間隔毎に突設し、これに対応する鍋蓋周縁に沿って外向きか、または内向きかの何れか他方の同数の凸ブロック部を突設し、互いの凸ブロック部同士が干渉しない位置で施蓋状に組み合わせ、鍋本体の上端開口に対して鍋蓋を垂直軸心回りに回動操作して互いの凸ブロック部同士が噛み合い、密閉状にロックできるようにした所謂バヨネット型のものや、鍋本体の上端開口と鍋蓋周縁との間に雄ネジ・雌ネジを刻設して螺合可能としたもの、あるいは、圧力鍋の垂直軸心回りの均衡配置となる複数箇所夫々の、該鍋本体の上端開口寄りとなる外周壁面と、これに対応する鍋蓋外周がわ上面との間に、施錠および解錠可能なバックル金具類を設けたものなど、既存もしくは将来的に開発される様々な圧力鍋に用いられる鍋蓋用ロック機構の何れであっても、単独または組み合わせて用いることが可能である、密閉性を高めるよう軟質且つ耐熱性のシールパッキンを併用したものとするのが望ましい。
鍋内圧調節機構は、圧力鍋の加熱中に、その内圧が上昇限度を超えそうになった場合に、自動的に内気を放出して同圧力鍋の内圧を上昇限度未満にまで減圧可能とする機能を果たすものであり、内圧を適正且つ自動的に制御可能であって、しかも十分な耐圧、耐熱強度および安全性を確保したものとしなければならず、例えば後述する実施例に示すように、鍋蓋上面より突出した調圧ノズルの先端に錘を載せたものであって、該錘の重さを変えたり、重さの異なる複数の錘を付け替えたりして調節圧力を変更可能なものや、バネが錘の役目を果たすよう組み込まれた内圧調節弁などとすることができ、より具体的には、例えば1.0ないし1.45Kg/cm2程度の範囲内の何れか任意設定した内圧を超えたときに、自動的に減圧動作するものとするのが望ましく、さらに、該鍋内圧調節機構とは別体とするよう、鍋蓋の適所に配した1個または複数個のセーフティーバルブを組み合わせて、より高い安全性を確保したものとするのがよい。
内鍋は、水を張った鍋本体中に収容して二重鍋構造を形成するごとくして使用可能とする機能を果たし、十分な耐熱性および耐圧性を有するものとし、鍋本体中に収容して鍋蓋にて密閉状に施蓋可能な寸法、形状に設定されたものとしなければならず、該内鍋自体にも開閉可能な蓋を設けたものとすることが可能であり、金属製、陶磁器製、セラミックス製、耐熱ガラス製など様々な素材製、またはそれらの組み合わせからなるものとすることができる。
以下では、図面に示すこの考案を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
図1の圧力鍋の断面図、図2の鍋本体要部の断面図、図3の調理中の圧力鍋の断面図、図4の温度センサー接触状態にある鍋本体要部の断面図、図5の緩傾斜流導面の変形例である鍋本体要部の断面図、図6の緩傾斜流導面の別の変形例である鍋本体要部の断面図、図7のセンサー感度緩和面の変形例である鍋本体要部の断面図、および、図8のセンサー感度緩和面の別の変形例である鍋本体要部の断面図に示す事例は、器型鍋本体2と、該鍋本体2上端開口縁20に密閉状に施蓋可能な密閉ロック機構6を有し、鍋内圧調節機構7が組み込まれてなる鍋蓋5との組み合わせからなり、当該鍋本体2の底上面3が、その遠心がわから中央に向けて求心方向の下り勾配とするよう、転倒錐形内周面状の緩傾斜流導面31に形成してなるものとした、この考案の圧力鍋1およびそれを利用した圧力鍋セット10における代表的な一実施例を示すものである。
図1ないし図4からも明確に把握できるとおり、この考案の圧力鍋1は、外径210mm、高さ105mmの器型に鋳造したアルミニウム合金製の鍋本体2と、これを施蓋可能とした外径210mm、中央部の高さ40mmで同じく鋳造アルミニウム合金製の鍋蓋5との組み合わせからなるものであり、当該鍋本体2の器型外周壁上がわの、同鍋本体2器型の垂直軸心回り180度置き毎となる2箇所の一方に、片手持ち用の柄型把手21が遠心方向に向けて突設、一体化されたものとし、また、同器型の垂直軸心回り180度置き毎となる2箇所の他方に、両手持ち用の舌片型把手22を突設、一体化したものとしてあり、当該鍋本体2の上端開口周縁20と鍋蓋5の下向き周縁50との間には、図示しない耐熱弾性樹脂製のシールパッキンと共に密閉ロック機構6を設けたものとしている。
密閉ロック機構6は、図1中に示すように、鍋本体2上端開口周縁20の外周面に沿う所定間隔毎に、遠心方向に突出する凸ブロック部60,60,……を一体に設けると共に、鍋蓋5の下向き周縁50の外周面に沿う所定間隔毎に、求心方向に突出する凸ブロック部51,51,……を一体化し、鍋本体2がわの各凸ブロック部60,60,……間に、鍋蓋5がわの各凸ブロック部51,51,……を装着するようにして施蓋し、鍋本体2に対して鍋蓋5を垂直軸心回りに、1ブロック部分回し、各凸ブロック部60,60,……,51,51,……同士が歯合して気密状閉鎖可能となり、1ブロック部分逆転して開放、離脱可能となる所謂バヨネット型のものとしてあり、さらに、該鍋本体2上端開口周縁20と鍋蓋5の周縁50の各凸ブロック部60,60,……,51,51,……より内側となる適所に沿って輪状に配置するよう、同鍋本体2がわか、または鍋蓋5がわかの何れか一方に、図示しない環状のシールパッキンを脱着可能に装着したものとしている。
鍋蓋5は、図1中に示すように、鍋本体2に対して密閉ロック機構6を介して密閉状に施蓋した状態で、該鍋本体2の柄型把手21上に一致する外周壁に、同柄型把手21に束ね(添え木)状配置となるよう、上部柄型把手52を一体化してあり、さらに、同鍋蓋5の中央上面には、突出端上に重さの異なる複数の錘71,71,……の中の何れか1個を選択的に載せることができる調圧ノズル70を突設してなる鍋内圧調節機構7が設けられており、該鍋蓋5の中央から外れた上面適所に、例えば2個の図示しないセーフティーバルブを設けたものとしてある。
図1中の二点鎖線円内、および図2中に示すように、当該鍋本体2内がわとなる底上面3の中央には、直径D1が50mmの円形水平面状に設定した煮沸液集合平面域30を形成し、該煮沸液集合平面域30の円形外周縁と同底上面3遠心がわ円形内隅との間には、その遠心がわから該煮沸液集合平面域30の円形外周縁に向けて求心方向の下り勾配となるよう、傾斜角度Aが0.5度ないし4度望ましくは4度の有底漏斗状の緩傾斜流導面31に形成してある。
該緩傾斜流導面31は、その縦断面形状を直線的に設定しているが、円弧線や二次曲線的な縦断面形状のものに設定したものとすることができる。
同図1および図2中に示すように、当該鍋本体2外がわとなる底下面4の遠心がわには、図3中に示すように、コンロ五徳9上に安定載置可能とするよう環状平面形とした五徳用接地面40を形成し、図2中に示すように、同底下面4五徳用接地面40の直径54mmに設定した内周縁より、深さ1.5mmないし2mmの上向き陥入状であって、曲率半径R2が40mmの球形短尺筒状内周面形としたセンサー用囲繞境界面41を凹設し、さらに、該センサー用囲繞境界面41の深部がわ上端縁に囲まれた中央に、直径D2が50mm、曲率半径R1を350ないし450mm、望ましくは400mmの球面形に設定した、五徳用接地面40からの上向き深さBが1ないし3mm、望ましくは2mmの凹面形センサー感度緩和面42を形成したものとしている。
当該センサー用囲繞境界面41は、40mmの曲率半径R2とした球形短尺筒状内周面形であるが、同等の深さ、同等の傾斜角度に設定した錐形内周面状や筒形内周面状などに形成されたものとすることができる。
該底下面4センサー感度緩和面42の直径D2と、当該底上面3煮沸液集合平面域30の直径D1とは、同心状且つ同一直径50mmに設定してあり、しかも各煮沸液集合平面域30、センサー感度緩和面42間の鍋本体2底部中央の最小肉厚寸法を3mmに設定し、それよりも肉厚の大きな遠心がわの五徳用接地面40部分に比較して高い熱伝導を得るように設定されたものとしてある。
当該圧力鍋1は単独で使用することが可能であるが、図3中に示すように、この圧力鍋1内に蓋80を有するか、または蓋80をもたないものかの何れか一方に設定した金属製、陶磁器製または耐熱ガラス製などの内鍋8を、二重鍋型に密閉状収容可能に組み合わせて圧力鍋セット10としたものとすることが可能である。
図1中の二点鎖線円内に示す、当該鍋本体2の底上面3および底下面4は、図5中に示すように、煮沸液集合平面域30やセンサー用囲繞境界面41、センサー感度緩和面42を設けず、底上面3の遠心がわから中央に向けて求心方向の下り勾配とするよう、傾斜角度Aが0.5度ないし4度望ましくは4度の転倒錐形内周面状の緩傾斜流導面31に形成し、底下面4の略全面を水平面状の五徳用接地面40に形成したものとすることが可能である。
また、図6中に示すように、当該鍋本体2の底上面3中央の煮沸液集合平面域30相当箇所を曲率半径R3が350ないし600mm、望ましくは400mmの球面形に形成し、それ以外の形状、寸法は、図2と同様に設定されたものとすることができる。
そして、図7中に示すように、当該鍋本体2の底上面3を図5に示したものと同一形状とし、底下面4中央のセンサー感度緩和面42を、傾斜角度A2が1.3度ないし1.5度、望ましくは1.4度の円錐形内周面状に形成したものとすることが可能でる。
さらにまた、図8中に示すように、当該鍋本体2の底上面3を図6に示したものと同一形状とし、底下面4中央のセンサー感度緩和面42を、傾斜角度A2が1.3度ないし1.5度、望ましくは1.4度の概略円錐形内周面状に形成し、しかもその円錐形先端部分(上端最深部分)が円形水平面状であって、図3および図4中に示したコンロ温度センサー90の円形上端平面より遙かに小さな3ないし4mm、望ましくは4mmの直径D3に設定した最深部平面43に形成してなるものとすることができる。
図9のセンサー感度緩和面を凸面形とした鍋本体要部の断面図、図10の温度センサー接触状態にある鍋本体要部の断面図、図11の緩傾斜流導面の変形例である鍋本体要部の断面図、および、図12の緩傾斜流導面の別の変形例である鍋本体要部の断面図に示す事例は、鍋本体2の底下面4の五徳用接地面40に囲まれた中央に、コンロ温度センサー90の上端平面の一部のみが接触可能となるよう、下向き凸面形のセンサー感度緩和面44をその下向き頂部が、該五徳用接地面40に一致するか、または底肉厚寸法内に没入状に配置、形成してなるものとしたこの考案の圧力鍋1およびそれを利用した圧力鍋セット10における代表的な一実施例を示すものである。
以下には、前記実施例1に示したものと同一形状、寸法部分ついては同一符号を伏してその説明を省略して、要部についてのみ説明することとする。
図9に示すように、該圧力鍋1鍋本体2は、その内がわとなる底上面3の煮沸液集合平面域30および緩傾斜流導面31について、前記第一実施例の図2中に示したものと同一形状に設定したものとする一方、同鍋本体2の外がわとなる底下面4の五徳用接地面40内周縁に連続形成したセンサー用囲繞境界面41の、深部がわ上端縁に囲まれた中央に、曲率半径R4が350ないし450mm、望ましくは400mmの球面形に設定されてなる下向き凸面形のセンサー感度緩和面44を、その下向き頂部が、底肉厚寸法内に没入状に配置、形成したものである。
図11に示すよう圧力鍋1鍋本体2の底上面3は、実施例1の図5中に示したように、鍋本体2底上面3と同一の形状、寸法として煮沸液集合平面域30をもたない緩傾斜流導面31からなるものとすることが可能であり、また、図12に示すように、圧力鍋1鍋本体2の底上面3は、底上面3中央の煮沸液集合平面域30相当箇所を、実施例1の図6中に示したのと同一寸法、形状の曲率半径R3が350ないし600mm、望ましくは400mmの球面形に形成したものとすることが可能である。
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの考案の圧力鍋1、およびそれを利用した圧力鍋セット10は、例えば玄米を炊飯調理する場合に、図3および図4中に示すように、適量の水Wを張った鍋本体2内底上面3上に玄米と適量の水を入れた(蓋80付きの)内鍋8を収容してから、同鍋本体2に鍋蓋5を施蓋するよう、同鍋本体2上端開口縁20の各凸ブロック部60,60,……間に、鍋蓋5周縁50の各凸ブロック部51,51,……を対応するよう施蓋、装着して同鍋本体2の垂直軸心回りに鍋蓋5を回してバヨネット型の密閉ロック機構6を密閉状に閉鎖したものとする。
このように玄米炊飯の準備を終えた圧力鍋セット10は、同圧力鍋1の底下面4五徳用接地面40が、コンロ五徳9上に水平状且つ安定状に載置された状態とすると共に、該コンロ五徳9の中央より上向きに突設されているコンロ温度センサー90の上端平面を、鍋本体2底下面4の下向き凹面形のセンサー感度緩和面42の略中央に当接させるよう配置する。
該コンロ温度センサー90は、コイルバネを内臓して鍋本体2底下面4に弾性的に接触するようになっており、図4中のコンロ温度センサー90下方となる中央下部に、ハッチングされた円環形状の投影図として示すように、コンロ温度センサー90の上端平面は、その外周縁の円環帯状となる、接触面積比にして10ないし40%のみが、底下面4の下向き凹面形のセンサー感度緩和面42に接触することとなる。
当該接触面積比は、コンロ温度センサー90の上端平面の形状や、コンロ温度センサー90に対する鍋本体2の水平面方向の配置関係によって多少変化するものである。
当該鍋本体2底下面4のセンサー用囲繞境界面41は、図3および図4中に示すように、下向き凹面形のセンサー感度緩和面42に接触するコンロ温度センサー90上端の周辺を、深さ1.5mmないし2mmの壁で包囲するものとなっており、鍋本体2をコンロ五徳9上で水平面方向に引き押し移動させた場合などに、同コンロ温度センサー90上端が、センサー用囲繞境界面41に干渉することとなり、その感触で利用者は、センサー感度緩和面42とコンロ温度センサー90上端との位置関係を容易に知ることが可能となる。
加えて、該センサー用囲繞境界面41は、図2中に示すように、曲率半径R2が40mmの球形短尺筒状内周面形に設定されており、万が一コンロ温度センサー90上端周縁に強く干渉した場合であっても、自動的且つ円滑にコンロ温度センサー90上端面を押し下げるものとなり、コンロ温度センサー90が損傷から守られる。
また、図3および図4中に示すように、下向き凹面形のセンサー感度緩和面42は、周囲の五徳用接地面40より上向き凹欠形状をなすよう陥没形成されており、圧力鍋1の調理、洗浄、運搬、収納などの各種作業中に、他物との干渉による不要な傷や変形から保護されるものとなり、コンロ温度センサー90上端平面との接触面積比を、長期間にわたり一定に保持することが可能である。
こうして図3および図4中に示すように、圧力鍋セット10をコンロ五徳9上に載置した後、ガステーブルを操作してバーナーに点火し、加熱調理を開始すると速やかに圧力鍋セット10の圧力鍋1内の水分Wが沸騰して加圧状態となり、内鍋8内の玄米が、通常の鍋の3ないし4倍の早さで加熱調理されることとなる。
加熱調理中の圧力鍋1内は、摂氏120度前後、1.0ないし1.45Kg/cm2程度の内圧となって炊飯調理されるものであり、図3に示すよう圧力鍋1内底上面3上に張られた水分Wは、図4中に示すように、次第に蒸発して減少して行くこととなるが、同底上面3の緩傾斜流導面31に沿って誘導されて最後の一滴が蒸発してしまうまで煮沸液集合平面域30上に留まり、該緩傾斜流導面31直下の底下面4下向き凹面形のセンサー感度緩和面42に接しているコンロ温度センサー90上端平面の温度を水分Wの沸騰温度に留めるものとなる。
加えて、底下面4下向き凹面形のセンサー感度緩和面42との接触面積比を10ないし40%に抑えられたコンロ温度センサー90は、図5中に示した水平面状の100%接触する底下面4の場合に比べて、センサー作動による自動停止時期を遅延させることが可能となり、玄米の炊飯調理が終了するまでコンロ温度センサー90の作動を確実に阻止するものとなる。
そして、圧力鍋1内底上面3の煮沸液集合平面域30上にも水Wが無くなるまで蒸発してしまい、さらに、底下面4下向き凹面形のセンサー感度緩和面42との接触面積比を10ないし40%に抑えられたコンロ温度センサー90が、動作温度まで上昇した頃合いに玄米炊飯が終し、内鍋8内で炊きあがった玄米御飯が激しく焦げ付く前に、コンロ温度センサー90が高温状態を検知し、ガスの供給を強制的に自動停止することとなり、その後は所定の時間、玄米御飯を蒸らしながら圧力鍋1の内圧が大気圧に近い状態に下がるまで室温下にて自然冷却した後、鍋本体2に対して鍋蓋5を垂直軸心回りに回し、密閉ロック機構6による密閉を解除して取り外し、内鍋8の蓋80を開いて炊飯作業を完了するものである。
圧力鍋1鍋本体2は、図5中に示すように、底下面4の略全面を面一状の五徳用接地面40としてあるから、コンロ温度センサー90上端平面(図示せず)と底下面4との接触面積比が100%となっているが、底上面3の遠心がわから中心に向けて下り勾配となる緩傾斜流導面31が形成してあり、同緩傾斜流導面31の中央であって、コンロ温度センサー90上端平面直上付近となる底上面3中央に、加熱調理中の最終段階まで水(図示せず)が留まり、従来型の圧力鍋よりもコンロ温度センサー90の作動を適切に遅延させることが可能となる。
図6に示す圧力鍋1鍋本体2は、その底上面3煮沸液集合平面域30相当箇所を曲率半径R3の球状凹面形に形成しているから、加熱調理の最終段階で残量が少なくなった水(図示せず)が必ず、底上面3の中心位置に誘導されることとなり、従って底上面3上の全ての水が蒸発して無くなる直前まで、下向き凹面形のセンサー感度緩和面42に当接させたコンロ温度センサー90上端平面(図示せず)の直上位置に、より近い箇所に水が自動的に誘導されるものとしてコンロ温度センサー90の作動を適切に遅延可能なものとなる。
図7に示す圧力鍋1鍋本体2は、その底下面4中央に円錐形内周面状に形成した下向き凹面形のセンサー感度緩和面42が、図2中に示したセンサー感度緩和面42と略同様に、コンロ温度センサー90上端平面との接触面積比を10ないし40%に抑えるものとなり、図5に示したものと同形状の緩傾斜流導面31からなる底上面3と相俟ってコンロ温度センサー90の作動を適切に遅延化するものとなる。
図8の圧力鍋1鍋本体2は、その底下面4中央の円錐形先端部分(上端最深部分)が円形水平面状であって、コンロ温度センサー90の円形上端平面(図示せず)より遙かに小さな直径D3に設定した最深部平面43を形成してなる下向き凹面形のセンサー感度緩和面42は、同センサー感度緩和面42を上向きに深く陥没するよう形成した場合であっても、該最深部平面43直上の底壁肉厚を十分に確保することができるものとなり、センサー感度緩和面42中央の熱の集中やそれに伴う異常過熱を阻止するものとなり、図6中に示したものと同様に煮沸液集合平面域30相当箇所を曲率半径R3の球状凹面形に形成してなる底上面3と相俟って、コンロ温度センサー90の作動を適切に遅延可能となる。
(実施例2の作用)
図9に示すように、圧力鍋1鍋本体2の底上面3に形成した煮沸液集合平面域30および緩傾斜流導面31は、実施例1の図2中に示した鍋本体2底上面3と同様の作用をもたらすものとなり、同鍋本体2の底下面4中央に形成した下向き凸面形のセンサー感度緩和面44は、図10中のコンロ温度センサー90下方となる中央下部に、ハッチングされた小円形状の投影図として示すように、コンロ温度センサー90の上端平面の中央の小円形となる、接触面積比にして10ないし40%のみが接触することとなり、コンロ温度センサー90の作動を適切に遅延することが可能なものとなる。
下向き凸面形のセンサー感度緩和面44の場合、当該接触面積比は、コンロ温度センサー90に対する鍋本体2の配置関係に関わらず、略一定の値となり、加えて、同下向き凸面形のセンサー感度緩和面44の下向き頂部が、底肉厚寸法内に没入状に配置、形成したものとなっていて、圧力鍋1の調理、洗浄、運搬、収納などの各種作業中に、他物との摩擦や干渉などによる不要な摩耗や傷、変形から保護されるものとなり、コンロ温度センサー90上端平面との接触面積比を、長期間にわたって一定に保つことが可能である。
当該鍋本体2底下面4のセンサー用囲繞境界面41は、図10中に示すように、下向き凸面形のセンサー感度緩和面44が、周囲の五徳用接地面40よりも上方に没入した状態に形成されているから、下向き凸面形のセンサー感度緩和面44に接触するコンロ温度センサー90上端の周辺を、センサー用囲繞境界面41の僅かな深さの壁で包囲するものとなり、鍋本体2をコンロ五徳9上で摺動状に移動させた場合などに、同コンロ温度センサー90上端が、センサー用囲繞境界面41に干渉することとなり、その感触で利用者は、センサー感度緩和面44とコンロ温度センサー90上端との位置関係を的確に知ることが可能となる。
さらに、図11中に示すように、底上面3および底下面4を形成した圧力鍋1鍋本体2は、底上面3について実施例1の図5中に示した煮沸液集合平面域30をもたない緩傾斜流導面31と同等に、蒸発前の水を自動的に底上面3中心に集合可能とする作用をもたらすものとなり、底下面4の下向き凸面形のセンサー感度緩和面44は、図9および図10に示したものと同様に、コンロ温度センサー90の上端平面との接触面積比を低減して、コンロ温度センサー90の作動を適切に遅延化するものとなる。
また、図12中に示すような底上面3および底下面4とした圧力鍋1鍋本体2は、その底上面3が、実施例1の図6や図8中に示した底上面3と同様に、底上面3中央の煮沸液集合平面域30相当箇所に形成した曲率半径R3の球面形上向き凹欠部分に蒸発前の水を自動的に集合可能とするものとなり、さらに、底下面4の下向き凸面形のセンサー感度緩和面44は、図9、図10および図11に示したものと同様であって、コンロ温度センサー90上端平面との接触面積比を低減し、コンロ温度センサー90の作動を適切に遅延可能なものとなる。
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の圧力鍋1、およびそれを利用した圧力鍋セット10は、前記この考案の効果の項で記載の特徴に加え、図1および図3中に示すように、密閉ロック機構6を介して仮固定状に密閉施蓋される鍋本体2と鍋蓋5との間に、図示しないシールパッキンを介在するものとし、高い密閉性を確保できるものとしており、さらに、鍋蓋5に設けた鍋内圧調節機構7の外に、図示しない複数個のセーフティーバルブを有しており、万が一鍋内圧調節機構7が正常に作動しなかった場合に、何れか1個または全部のセーフティーバルブが機能して内部蒸気を自動的に放出し、より高い安全性を確保することができる。
加えて、図6や図8中に示したように、鍋本体2底上面3の煮沸液集合平面域30に相当する範囲に、曲率半径R3の上向け凹欠部分を形成したものの場合にも、煮沸液集合平面域30と略同等に、蒸発前の水Wを集合可能であり、特にコンロ温度センサー90が底下面4下向き凹面形のセンサー感度緩和面42の中央に一致して接触した場合には、煮沸液集合平面域30よりも、より適切な時期までコンロ温度センサー90の作動を安定的に遅延可能なものとすることができる。
(実施例2の効果)
実施例2の圧力鍋1、およびそれを利用した圧力鍋セット10は、前記この考案の効果の項で記載の特徴に加え、図9ないし図12中に示したように、鍋本体2底下面4の下向き凸面形のセンサー感度緩和面44の下向き頂部が、周囲の五徳用接地面40よりも上方に没した配置、形状としてあり、したも下向き凸面形のセンサー感度緩和面44外周縁と、五徳用接地面40内周縁との間に、実施例1の図2中に示した、曲率半径R2のセンサー用囲繞境界面41と同じ形状に設定してあり、下向き凸面形のセンサー感度緩和面44の摩耗や損傷、変形などを防止して長寿命化するつことができ、しかもコンロ五徳9上に載置した鍋本体2を摺動状に移動させた場合などに、コンロ温度センサー90上端が、センサー用囲繞境界面41に干渉する感触で、センサー感度緩和面44とコンロ温度センサー90上端との位置関係を的確に知ることが可能となり、コンロ五徳9上に正確に載置可能としてムラ無く一段と安定した過熱調理を実現化することができる。
(結 び)
叙述の如く、この考案の圧力鍋、およびそれを利用した圧力鍋セットは、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造が容易で、従前からの圧力鍋に比較してガステーブルの温度センサーによる誤作動を大幅に低減し、安定且つ確実な加熱調理を実現可能とするものとなる上、温度センサーの感度を適切に抑制して加熱調理完了時に丁度、ガステーブルが自動停止するよう設定可能なものとし、従来不可欠とされてきた調理状況の見張りを不要として、加熱調理作業の負担を各段に軽減できるものとなり、さらに構造もシンプルで軽量化且つ低廉化、長寿命化して、遥かに経済的なものとすることができることから、温度センサーを有するガステーブルで誤作動してしまい従来型の圧力鍋を使うことができなかった一般家庭や外食業界はもとより、こうした問題への対応に苦慮してきた、圧力鍋を取り扱う食器業界や厨房機器業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
図面は、この考案の圧力鍋、およびそれを利用した圧力鍋セットの技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
圧力鍋を示す断面図である。
図1中の二点鎖線円部分である鍋本体要部を示す断面図である。
加熱調理中の圧力鍋を示す断面図である。
温度センサーが接触した鍋本体要部を示す断面図である。
鍋本体緩傾斜流導面の変形例を示す断面図である。
緩傾斜流導面の別の変形例を示す断面図である。
センサー感度緩和面の変形例を示す断面図である。
センサー感度緩和面の別の変形例を示す断面図である。
凸面形としたセンサー感度緩和面を示す断面図である。
温度センサーが接触した鍋本体要部を示す断面図である。
緩傾斜流導面の変形例を示す断面図である。
緩傾斜流導面の別の変形例を示す断面図である。
加熱調理中の従来型圧力鍋を示す断面図である。
センサーが誤作動する従来型圧力鍋要部を示す断面図である。
符号の説明
1 圧力鍋
10 同 圧力鍋セット
2 鍋本体
20 同 上端開口縁
21 同 柄型把手
22 同 舌片型把手
3 底上面
30 同 煮沸液集合平面域
31 同 緩傾斜流導面
4 底下面
40 同 五徳用接地面
41 同 センサー用囲繞境界面
42 同 下向き凹面形のセンサー感度緩和面
43 同 最深部平面
44 同 下向き凸面形のセンサー感度緩和面
5 鍋蓋
50 同 周縁
51 同 凸ブロック部
52 同 上部柄型把手
6 密閉ロック機構
60 同 凸ブロック部
7 鍋内圧調節機構
70 同 調圧ノズル
71 同 錘
8 内鍋
80 同 蓋
9 コンロ五徳
90 同 コンロ温度センサー
W 水分
D1 煮沸液集合平面域の直径
A 緩傾斜流導面の傾斜角度
D2 センサー感度緩和面の直径
R1 下向き凹面形センサー感度緩和面の曲率半径
B センサー感度緩和面の上向き深さ
R2 センサー用囲繞境界面の曲率半径
R3 煮沸液集合平面域相当箇所の曲率半径
A2 センサー感度緩和面の傾斜角度
D3 センサー感度緩和面最深部平面の直径
R4 下向き凸面形センサー感度緩和面の曲率半径