JP3145707B2 - 繊維に化合物を充填する方法 - Google Patents

繊維に化合物を充填する方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、一般に繊維質材料の中空内部、細胞壁、お
よび繊維表面に化合物を充填する方法に関するものであ
る。より詳細には本発明は、充填剤が製紙用パルプに近
接してその場で形成され、充填剤の実質的部分が製紙用
パルプのセルロース繊維の内腔および細胞壁内に装入さ
れた充填剤入り製紙用パルプを調製するための改良法、
それにより調製される製紙用パルプ、ならびにそれらの
パルプから製造される紙に関するものである。
発明の背景 紙は、極めて短い(0.02−0.16インチ、すなわち0.5
−4mm)けれどもその幅より約100倍長い柔軟なセルロー
ス繊維から形成された材料である。これらの繊維は水に
対して、および相互に、強い吸収性をもち;水に懸濁さ
れると吸水によって膨潤する。水中における多数のこれ
らの繊維の懸濁液をワイヤスクリーンで濾過すると、繊
維は互いに弱く吸着する。スクリーン上に形成されたマ
ットからより多量の水を吸引およびプレスにより除去す
ると、シートはより強靭にはなるが、なおかなり弱い。
シートを乾燥させると、これはより強靭になり、紙が製
造される。
木材、わら、竹、大麻、バガス、サイザル麻、亜麻、
綿、ジュートおよびラミーなど、繊維質原料はいずれも
製紙に用いることができる。これらの材料中の繊維を分
離することは、その処理に伴う精製の程度に関係なくパ
ルプ化と呼ばれる。分離された繊維は、スラリーとして
水中に懸濁しているか、またはいずれかの程度脱水され
ているかに関係なく、パルプと呼ばれる。パルプ化処理
により得られ、もはやスラリーではない程度に脱水さ
れ、かつ破断されて、遊離水を含有しないように見える
クランプとなったパルプは、“脱水クラム(crumb)パ
ルプ”と呼ばれる。脱水クラムパルプは粒状フラグメン
トのような見えるが、それらのパルプは最高で約95重量
%の水を含有する場合がある。
木材は他の植物と比べてその分布が広く、かつその密
度が高いため、パルプ化用繊維の主要な原料である。い
かなる種の木材も使用しうるが、軟材の方が繊維が長
く、道管が無いため、硬材より好ましい。木材および他
の大部分の繊維質材料はヘミセルロース、リグニン、お
よび樹脂または抽出分と総称される他の多数の物質と共
に、セルロースをそれらの主要な構成成分として含有す
る。
パルプ化は周知の方法のいずれか、たとえば機械的パ
ルプ化、クラフトパルプ化、および亜硫酸パルプ化によ
り実施しうる。紙の多数の最終用途の本質的特性はその
不透明さである。印刷されたシートの裏面上、またはそ
の下側のシート上の印刷が、できるだけ紙を通して見え
ないことが望ましい印刷用紙においては、これは特に重
要である。また印刷その他の用途について、紙は一定の
白度(すなわち製紙工業において知られている白色度)
をもたなければならない。多くの紙製品について、許容
しうる水準のこれらの光学的特性がパルプ繊維のみから
得られる。しかし他の製品においては、繊維固有の光反
射能が消費者の要望にとって不十分である。このような
場合、製紙業者は製紙用組成物に充填剤を添加する。
充填剤は通常は鉱物源の不溶性固体の微粒子からな
る。粒子は表面積−対−重量比が高い(かつ時には屈折
率が高い)ため、高い光反射率をシートに付与し、これ
により不透明度および白色度を共に高める。平滑さの改
善、印刷性の改善および耐久性の改善など、他の利点も
紙に付与しうるが、それから製造される紙の光学的特性
を高めることが組成物に充填剤を添加する主目的であ
る。
印刷用紙および筆記用紙の製造に際してアルカリ性条
件を採用する場合が増えているため、高い充填量のアル
カリ性充填剤、たとえば炭酸カルシウムの添加が技術的
に可能となった。この充填剤の充填量を増加させること
には経済的な誘因がある。紙を重量に基づいて(または
シートで)販売する場合、より高価な繊維をより安価な
充填剤で置き換えられからである。繊維の価格がより高
いヨーロッパでは、印刷用紙および筆記用紙は一般に30
−50%の炭酸カルシウムを添加して製造される;これに
対し米国ではわずか15−20%の添加量が一般に採用され
る。充填剤の充填量が高いほど、強度など他の望ましい
紙の特性を維持するためには、さらに高価な化学添加剤
を用いる必要がある。ヨーロッパでは、繊維の価格が高
いためこの付加的な経費が擁護される。しかし米国では
繊維の価格がより低いため、より高い充填剤置換を達成
するために化学添加剤を用いることは価格的に効果が少
ないものとなる。それにもかかわらず、炭酸カルシウム
はパルプ繊維の価格の約20−25%であるので、充填剤に
よるパルプの置換量を高めるための経済的な方法が依然
として望まれている。しかし充填剤の添加は、実際には
若干の問題を提起する。
充填剤の添加に伴う問題の1つは、シートの機械的強
度が充填剤入り繊維と非−充填剤入り繊維の比から予想
されるものより低いことである。これに対する通常の説
明は、若干の充填剤粒子が繊維にトラップされ、これに
より紙の強度の主な根源である繊維−対−繊維の結合強
度が低下するというものである。
充填剤の添加に伴う第2の問題は、小粒子のかなりの
部分が抄紙機によるシート形成に際して水と共に排出す
ることである。一般に白水として知られるこの排水から
の粒子の回収および再循環は、製紙業者にとって困難な
問題を提示する。この問題を軽減するために、多くの研
究者は充填剤がシートに保持される様式を調べた。主な
メカニズムはコーフロキュレーション(co−flocculati
on)、すなわち繊維への顔料粒子の付着であることが分
かってきた。この知見の結果、充填剤技術における主な
努力は付着力の向上に向けられるようになった。この研
究により、保持助剤として知られる多種多様な可溶性の
化学添加剤が開発され、使用された。これらのうち最も
古く、かつ最も広く用いられているものは硫酸アルミニ
ウム(製紙業者用みょうばん)であるが、近年多用な有
標ポリマーが導入された。しかしこれらの保持助剤のい
ずれについても、保持はなお完全とはほど遠いものであ
る。他の保持メカニズムは、ペーパーウェブによる顔料
粒子の濾過である。これは粗大な充填剤に関しては比較
的重要であるが、微細な充填剤に関しては無視しうる。
米国特許第4,510,020号明細書(グリーンら)には、
粒状充填剤、たとえば二酸化チタン、ホエーまたは炭酸
カルシウムを製紙用パルプのセルロース繊維内腔に充填
する方法が記載されている。このグリーンらの特許方法
においては、パルプおよび充填剤の懸濁液を繊維内腔に
充填剤が充填されるまで撹拌することにより、繊維内腔
に選択的に粒状充填剤を充填する。この方法は繊維内腔
に充填しうるより実質的に多量の粒状充填剤を用いる必
要がある。従ってこの方法は、繊維外表上の充填剤が実
質的にすべて除去されるまでパルプを激しく洗浄するこ
とにより、充填された繊維から残留する懸濁充填剤を分
離する工程を必要とする。従ってグリーンらの特許方法
は、充填剤を白水から回収しなければならないという前
記の問題を解決しない。
米国特許第2,583,548号明細書(クレイグ)には、顔
料を繊維の上または周りに沈殿させることにより顔料入
りセルロースパルプを調製する方法が記載されている。
クレイグの'548号特許方法によれば、乾燥セルロース繊
維を塩化カルシウムの溶液に添加する。この懸濁液を機
械的に処理して繊維をゲル化させる。乾燥セルロース素
材と塩化カルシウム溶液の割合は広範に及びうるが、一
般に希溶液中に存在する塩化カルシウムの量は、それに
より処理されるセルロース繊維の重量の数倍である。次
いで第2の反応体、たとえば炭酸カルシウムを添加し
て、炭酸カルシウムの微細な固体粒子を繊維の上または
周りに沈殿させる。次いで繊維を洗浄して、可溶性副生
物、この場合は塩化ナトリウムを除去する。クレイグ
の'548号特許方法により製造された顔料入り繊維はセル
ロースより多量の顔料を含有し、製紙用添加剤として用
いる場合にはさらに未処理の製紙用パルプと混合され
る。この繊維状の顔料化した添加剤は良好な保持性を備
えているが、この方法は実際にはかなりの制限をもつ。
繊維表面に充填剤が存在すること、および繊維に対する
ゲル化作用は、紙の強度にとって有害である。
クレイグの'548号特許方法の変法が米国特許第2,599,
091号明細書(クレイグ)に記載されている。クレイグ
の'091号特許方法においては、13%程度のパルプ固形分
を有する乾燥した製紙用素材を、素材への固体塩化カル
シウムの添加により処理する。固体塩化カルシウムは数
分の撹拌後にセルロース繊維を著しく変化させる。繊維
が多少ともゲル状および透明な外観になる。塩化カルシ
ウム処理後に、素材を10%溶液の形の可溶性炭酸塩で処
理する。これは塩化カルシウムと反応し、不溶性の炭酸
カルシウム顔料を沈殿させるのに十分な量で添加され
る。得られた処理済みおよび顔料入り素材は高度に水和
されており、ほとんど強度をもたないか、または未処理
素材と比較してはるかに低い強度をもつ。次いでこの顔
料入り素材を未処理の製紙用素材と混合して、紙の製造
に適した顔料入り製紙用素材を得る。
米国特許第3,029,181号(トムセン)は、クレイグ特
許の現場沈殿法のさらに変法である。トムセン特許方法
においては、繊維をまず塩化カルシウムの10%溶液に懸
濁する。次いで繊維を含水率50%にまでプレスし、すべ
てのカルシウムが炭酸塩として沈殿するのに十分な量の
濃厚な炭酸アンモニウム溶液を吹き付ける。次いで繊維
を洗浄して塩化アンモニウムを除去する。洗浄済み繊維
は抄紙機に使用しうる状態であり、通常は約10%の充填
剤を含有する。トムセン特許は、そこに記載される方法
が内部領域を充填剤で被覆し、このような内部充填によ
りセルロース繊維の不透明度を高めるものであることを
示す。
特願昭60−297382号明細書(北越製紙)には、パルプ
のスラリー中において炭酸カルシウムを沈殿させる方法
が記載されている。その実施例に示された北越特許方法
においては、叩解または未叩解パルプの1%スラリーに
水酸化カルシウムを分散させる。次いで二酸化炭素ガス
をパルプスラリーと水酸化カルシウムの混合物に吹き込
み、水酸化カルシウムを炭酸カルシウムに変換する。
クレイグ特許およびトムセン特許には繊維の存在下で
顔料を沈殿させる方法が示されているが、これらの特許
明細書に示される方法はいずれも目的外の塩類、すなわ
ち塩化ナトリウムまたは塩化アンモニウムを除去するた
めの洗浄工程を必要とする。またこれらの方法は、前記
のように繊維に対するゲル化作用のため紙の強度が低下
するという欠点をもつ。北越特許方法には、炭酸カルシ
ウムがクラムパルプではなくスラリーの水相中で沈殿
し、実質的にはパルプ繊維の内腔および細胞壁中に存在
するのではないという事実がある。
従って、既存の抄紙機で用いるのに適した簡単な方法
で実質量の充填剤をセルロース繊維の内腔および細胞壁
中に分散させることができる方法を提供することが極め
て望ましいであろう。また後続の洗浄工程の必要がない
方法により繊維質セルロース材料の繊維の中空内部およ
び細胞壁中に化合物を充填する方法を提供することが極
めて望ましいであろう。
発明の概要 製品の観点においては本発明は、中空内部を囲む細胞
壁を有し、繊維の中空内部、繊維壁内、および繊維表面
に化合物が充填された多数の長い繊維からなる新規な繊
維質材料に関するものである。
方法の観点においては本発明は、化合物を繊維質材料
の繊維付近においてその場で調製する方法に関するもの
である。この方法においては、中空内部を囲む繊維壁を
有する多数の長い繊維からなる繊維質材料を用意する。
この繊維質材料は繊維質材料の重量の40−95%の水準の
含水率を有し、その水は実質的に繊維の中空内部、およ
び繊維の繊維壁内にある。化合物を、その化合物が繊維
質材料中に存在する水と会合する様式で繊維質材料に添
加する。次いで繊維質材料を、その化合物と反応して水
不溶性化合物を形成するガスと接触させる。この方法
は、繊維の中空内部、繊維の繊維壁内、および繊維表面
に化合物が充填された繊維質材料を提供する。
本発明の各種観点を製紙用パルプへの充填に関してよ
り詳細に説明するが、本発明方法は中空内部を囲む繊維
壁を有する多数の長い繊維からなり、中空内部および繊
維壁内に実質量の水を分散含有しうる他の繊維質材料に
使用しうると解すべきである。
図面の説明 図1−7は、本発明により炭酸カルシウムを充填した
セルロースから製造されたペーパーハンドシート(手す
き紙)の各種パラメーターを、常法により直接に表面に
炭酸カルシウムが充填されたペーパーハンドシートと比
較したものである。
発明の詳細な記述 セルロース繊維の構造および物理的特性は本発明の重
要な観点である。製紙のために最も広範に用いられるセ
ルロース繊維は木材から得られるものである。パルプ化
処理により遊離した製紙用繊維の大部分は、その長さの
大部分につき均一なサイズであるが各末端がテーパーを
もつ、長い中空の管状に見える。繊維の長さに沿って繊
維壁には小さな開口(ピット)があり、これらが中心キ
ャビティ(内腔)を繊維外部へ連絡している。製紙用パ
ルプは、湿潤したように見えることなく、またはスラリ
ーを形成することなく、細胞壁内および内部の中心キャ
ビティすなわち内腔内に高率の水分を含有しうることは
周知である。このようなパルプの一例は、“脱水クラム
パルプ”と呼ばれる。パルプ表面に遊離水分を生じるこ
となく脱水クラムパルプ内に存在しうる水分の最高水準
は、パルプを調製するために用いた木材の種類、木材の
繊維を分離させる(defiberize)ために用いられるパル
プ化法、および脱水法に依存する。各パルプにつき遊離
水が表面に現れる時点の含水率を“遊離含水率(free
moisture level)”と呼ぶ。遊離含水率より高い含水
率においては、パルプ繊維が水に分散し、スラリーが形
成される。パルプの種類に応じて、パルプの遊離含水率
は水分約95−約90%、すなわちパルプ約5−約10%であ
る。特に指示しない限り、ここで用いる%はすべて重量
によるものであり、温度はすべて゜Fによるものであ
る。
本発明によれば、遊離含水率より低い水分を含有する
脱水クラムパルプが用いられる。好ましくは脱水クラム
パルプは全重量を基準として約40−約95%の水分を含有
する。本発明の重要な形態においては、水分約70−約15
%、すなわちセルロース繊維約85−約30%を含有する脱
水クラムパルプを用いることが好ましい。
本発明の繊維充填法は広範な製紙用繊維に利用するこ
とができる。本方法は一般的なパルプ化法および漂白法
のいずれかにより多種の木材から得られたパルプにつき
実施することができる。これらのパイプは“乾燥しては
いない”脱水状態でこのプロセスに装入するか、または
水を用いてそれを乾燥状態から上記範囲内の含水率に再
構成することができる。
軟材繊維、硬材繊維、綿繊維、ならびにバガス、大麻
および亜麻から得た繊維を含めた多様な天然セルロース
繊維を用いることができる。繊維は化学的パルプ化によ
り調製しうるが、機械的にパルプ化された繊維、たとえ
ば砕木、サーモメカニカルパルプおよびケミサーモメカ
ニカルパルプも使用しうる。化合物を内腔に充填する前
に、繊維にある種の機械的処理、たとえば精砕または叩
解を施してもよい。到達しうる内部中空構造を備えた合
成繊維、たとえば中空フィラメントレーヨンも、本発明
方法により内腔充填することができる。
さらに本発明によれば酸化カルシウム(石灰)または
水酸化カルシウムを、目的の含水率を有する脱水クラム
パルプと混合する。これに関して酸化カルシウムは、乾
燥繊維を再構成するために用いられる水に、その水を繊
維に添加する前に添加することができる。酸化カルシウ
ムを脱水クラムパルプに添加し、数分間簡単に混合する
と、酸化カルシウム(白色粉末状)が水と結合してパル
プ中の繊維素材内で水酸化カルシウムを形成する。酸化
カルシウムおよび水酸化カルシウムは共に水に比較的不
溶性であり(それぞれ1.2および1.6g/リットル)、かつ
繊維上に実質的な遊離表面水分が無いので、酸化カルシ
ウムが中空繊維内部および繊維壁内にある水中へ取り込
まれるメカニズムは完全には分かっていない。しかし酸
化カルシウムは水と激しく発熱反応して水酸化カルシウ
ムを生成し、生石灰100gが200gの水を0゜Fから沸騰さ
せるのに十分である。いずれかの理論に拘束されること
は望まないが、酸化カルシウムが繊維表面開口にある水
と反応して水酸化カルシウムを形成し、この水酸化カル
シウムが静水力によりセルロース繊維の細胞壁内および
中空内部へ引き込まれると考えられる。このため、本発
明方法には反応性の高い形態の酸化カルシウム(生石
灰)を用いることが好ましい。より低い反応性の形態、
たとえばドロマイト形石灰石および死焼石灰石は、これ
より適性が低い。
酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムは、乾燥セル
ロース系材料の重量に対して約50%までのいずれかの割
合で添加することができる。酸化カルシウム添加の低限
は所望により低くすることができるが、約0.1%未満で
はないことが好ましい。極めて好ましくは、酸化カルシ
ウムまたは水酸化カルシウムは乾燥セルロース系材料の
重量に対して約10−約40%の割合で存在する。二酸化炭
素は、上記化合物がこのガスと完全に反応して水不溶性
化合物を形成するのに十分な割合で添加される。それ以
上の反応は起こらないので、過剰のガスを添加すること
ができる。2種類の水溶性塩類を用いて水不溶性化合物
を沈殿させる場合のように余分な化合物が形成されるこ
とはないので、本発明により沈殿した炭酸カルシウムを
繊維に充填するために二酸化炭素で処理したのちは、セ
ルロース系材料を洗浄する必要がない。製紙用パルプの
場合、この製紙用パルプを直ちに抄紙操作に移し、ここ
でこれをスラリーとなし、精砕し、長網抄紙機または他
の適切な製紙装置に乗せることができる。あるいは化合
物を充填した製紙用パルプをさらに乾燥させ、商品とし
て後続利用のために製紙工場へ輸送してもよい。
水分約40−約85%(繊維15−60%)を含有し、約10−
約40%の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを充填
したセルロース系繊維における炭酸カルシウムの沈殿
は、加圧容器内で低剪断混合下に容易に実施されること
が認められた。容器内の二酸化炭素の圧力は好ましくは
約5−約60psig(約0.35−約4.22kg/cm2)であり、低剪
断混合は好ましくは約1−約60分間継続される。
水分約95−約85%(繊維5−15%)を含有し、上記と
同量の酸化カルシウムを充填した繊維については、炭酸
カルシウムを完全に沈殿させるためには二酸化炭素との
接触に際して高剪断処理が必要であることも認められ
た。これに関して、いずれか適切な高剪断混合装置を用
いることができる。好ましくは高剪断処理は、乾燥重量
基準で繊維のkg当たり約10−約70ワット時のエネルギー
を付与することで十分である。
二酸化炭素を高剪断処理下で製紙用パルプと接触させ
るための簡単な方法は、加圧精砕機によるものであるこ
とが認められた。加圧精砕機は製紙工業において用いら
れる周知の装置であり、円筒形のホッパーを備え、この
中へ製紙用パルプが装填される。円筒形のホッパーは気
密であり、ガスで加圧することができる。ビーターアー
ムを収容した回転シャフトがホッパー内に配置され、製
紙用パルプがマッティング(matting)を生じないよう
にする。ホッパーの下方に、製紙用パルプを一組の整合
したディスク間の内部空間中へ運搬するためのオーガー
スクリューが配置される。一方のディスクは静止してお
り、これに対し対向するディスクはモーターにより駆動
される。これらのディスクは、パルスが静止ディスクと
回転ディスクの間を通過するのに伴ってパルプクラムを
細断するのに十分な距離だけ間隔を置いて配置される。
ディスクは精砕用表面を備えていてもよい。“デビルズ
トゥース(devul's tooth)”プレート、または繊維化
板(fiberizing plate)も適切であることが認められ
た。パルプを回転プレートと接触させる前に二酸化炭素
を密閉ホッパーに送入してホッパーを二酸化炭素で加圧
し、製紙用パルプがホッパー内で撹拌され、かつパルプ
が精砕機ディスク間をオーガーにより輸送される間、二
酸化炭素はパルプと接触した状態に保持される。
二酸化炭素を脱水クラムパルプと酸化カルシウムまた
は水酸化カルシウムの混合物に吹き込むことにより酸化
カルシウムまたは水酸化カルシウムと二酸化炭素の反応
を行わせるのは不可能であることも認められた。
本発明により製造されたハンドシート(手すき紙)を
調べることにより、沈殿した炭酸カルシウムの約50%が
パルプ繊維により保持されることが認められた。残りの
50%は白水として回収され、通常の表面充填法に従って
抄紙機により紙を充填するのに用いることができる。保
持された炭酸カルシウムはセルロース繊維の内腔、細胞
壁内、およびセルロース繊維の表面に、ほぼ均等に分布
している。加圧精砕機を用いるより、加圧容器内で低剪
断下に炭酸カルシウムを沈殿させる方が、高い保持率が
達成される。しかし沈殿を加圧精砕機により行ったパル
プから製造されるハンドシートの品質の方が優れてい
る。
以下の実施例は本発明の種々の特色をさらに説明する
ものであって、請求の範囲に記載された本発明の範囲を
限定するものではない。
材料 パルプ − 使用したパルプはコンソリデイティッド・
ペーパー・カンパニーにより供給された軟材パルプ混合
物および硬材パルプ混合物であり、さらに単一ディスク
精砕機により、軟材についてはパルプ自由度(pulp fr
eeness)410および180(CSF)、硬材については395およ
び290(CSF)に精砕された。
カルシウム反応体 − 使用した酸化カルシウムは工業
用(フィッシャー・ケミカル・カンパニー)または高反
応性コンチネンタル石灰(マーブルヘッド・ライム社)
であった。試薬用水酸化カルシウム(アルドリッヒ・ケ
ミカル)も用いられた。直接充填法の比較例としては、
製紙業者用炭酸カルシウム(ファイザー)を用いた。
装置 ミキサー − 20クオート(約19リットル)のステンレ
ス製ボールおよび平形ビーターを備えた卓上型3−スピ
ードのホバート食品ミキサーを、カルシウム反応体とパ
ルプの混合に用いた。
精砕機 − スプラウト−バウエル加圧ディスク型精砕
機が、炭酸カルシウムを沈殿させ、それをパルプ繊維に
取り込ませるための反応チャンバーおよび精砕機の双方
に用いられた。
濾過型遠心機 − 2−スピード遠心機に、低稠度スラ
リーの連続流を濾過するためのキャンバスバッグで内張
りした有孔容器を取り付けた。
バウエル−マックネット・ファイバー・アナライザー
− 非滲出性充填剤の保持率を測定するための工業的標
準法。
マッフル炉 − サーモダイン炉を試料の灰化に用い
た。
代表的な精砕機操作法 ホバート − 各操作につき1kgのパルプ(繊維の乾燥
重量を基準として)をホバートミキサー中で、種々の量
のカルシウム反応体、ならびに個々の化合物の充填およ
び稠度に必要な水とブレンドした。パルプを低速度(約
110rpm)で15分間混合して、カルシウムを均質に取り込
ませた。
精砕機 − 次いで高稠度パルプを精砕機のホッパーに
装填し、これを閉じ、シールした。二酸化炭素をホッパ
ーに注入して水酸化カルシウムと反応させた。二酸化炭
素をタンク内に20lbs(約9.1kg)の圧力で15分間保持し
た。この期間中に、酸化カルシウムまたは水酸化カルシ
ウムと二酸化炭素の反応によりパルプ繊維内に炭酸カル
シウムが沈殿した。次いで二酸化炭素雰囲気中で、炭酸
塩と繊維を密に接触させるために望まれるプレートギャ
ップおよび供給速度において、パルプを精砕した。
直接充填 − 比較のため、加圧精砕機を用いずに直接
に炭酸カルシウムをパルプに充填した。直接充填用のパ
ルプは、ブリティッシュ・ディスインテグレーターによ
りタッピ(Tappi)基準T−205に従って60g/m2ハンドシ
ート製造用に繊維化され、ドラータンク(doler tan
k)に注入された。ハンドシート製造前に、種々の量の
炭酸カルシウムをドラータンク内の低稠度パルプスラリ
ーに添加し、撹拌して、均一に分布させた。
遠心分離 − ホバートミキサーを用いる高稠度混合工
程を避けるために、場合によりパルプに低稠度で酸化カ
ルシウムまたは水酸化カルシウムを充填し、次いで脱水
した。パルプおよびカルシウム反応体を2%の稠度で空
気撹拌機により15分間撹拌した。次いでパルプスラリー
を濾過型遠心機に供給して、パルプを約30%の稠度にま
で脱水した。パルプを遠心機バッグから取り出し、細断
し、二酸化炭素との反応のために加圧精砕機を充填し
た。
試験法 走査型電子顕微鏡検査(SEM) − SEM観察およびX線
微量分析をパルプ繊維およびハンドシートの横断面につ
き実施した。断面は安全かみそりの刃を用いて手で切断
された。乾燥パルプおよびハンドシートのストリップ
(1cm×0.3cm)をアルミニウム片に接着し、金でスパッ
ターコーティングした。試料をJEOL 840 SEMにより加
速電圧20kvで撮影した。
SEM X線微量分析 − SEM観察の場合と同様に試料を
調製し、ただし炭素試験片に接着し、導電性炭素層でコ
ーティングした。X線微量分析は、走査型電子顕微鏡と
組み合わせたトラコル・ノーザーンT−2000/4000エネ
ルギー分散型分光計を用いて行われた。微量分析スペク
トルをエネルギー範囲15keVにおいて記録した。
X線分析のための試料の調製法は、X線データの比較
が有効であるためには対照を用いることを必要とする。
パルプおよびハンドシートの試料を同時に同一条件下で
乾燥させた。これにより処理のばらつきにより生じる変
動が避けられる。試料を乾燥させたのちは、それを水分
から遮断しておくように注意を払った。試料を室内の空
気に暴露せず、また元素の混入の恐れがあるので化学的
乾燥剤を入れたデシケーター中には保存しなかった。比
較しうるすべてのX線データは、生物学的X線微量分析
の場合と同じ試験電流を用いて得られた。
炭酸塩試験 パルプおよびハンドシート試験片を1%硝酸銀水溶液
に30分間装入し、蒸留水中ですすぎ、5%チオ硫酸ナト
リウム水溶液に3分間装入し、水道水中で洗浄した(炭
酸塩に関するファン・コッサ(Van Kossa)法)。カー
ボネート基(カルシウム)は黒色に着色する。炭酸塩の
存在を確認するために試料につき迅速スポット試験を実
施した。
パルプ/紙試験 充填剤入りパルプ試料がそれぞれ精砕機から排出され
る毎に、自由度、pHおよび灰分の測定のためにランダム
試料を採取した。パルプの灰分はタッピ法T−211によ
り評価された。ハンドシート(60g/m2)をパルプから標
準タッピ法T−205により製造した。このハンドシート
についても灰分を測定し、保持率をパルプ中の充填剤の
%に対するハンドシート中の充填剤の%として報告する
(かつパルプ当初の灰分のわずかなブランクを差し引
く)。従って保持率は、標準的ハンドシート製造に際し
てパルプと共に残留する充填剤の保持率を表す。精砕機
排出物からの他のパルプ試料をバウエル−マックネット
繊維分別装置のチャンバー内において水道水で十分に洗
浄し(20分間)、200メッシュのスクリーン上に採取し
た。このバウエル−マックネット洗浄したパルプ試料に
つき灰分を測定し、データ表中にB/M灰分%として示
す。
これらのハンドシートを破裂指数(burst index)の
評価および光学的特性の評価に用いた。タッピ法T−40
3により測定される破裂指数は、繊維結合強度の簡便な
尺度であり、かつ一般に受け入れられている尺度であ
る。ハンドシートの密度はタッピ法T−220により測定
され、自由度および破裂指数の双方と重要な関連をもつ
と思われた。白色度、不透明度および散乱係数などの光
学的特性は、テクニダイン光度計により測定された。パ
ルプおよびハンドシートにつき得られたすべての試験デ
ータのシートを末尾に添付する。
SEM 電子顕微鏡検査により、CaOを用いる初期充填実験に
おいてサイズ1−3ミクロンの斜方面体晶系の方解石結
晶が生成したことが示された。パルプおよびハンドシー
ト繊維の断面の走査電子顕微鏡検査は、炭酸カルシウム
が別個の角張った粒子、すなち結晶として沈殿したこと
を示した。内腔および表面には結晶凝集物が見られる。
カルシウム特有のスペクトルが、繊維表面および細胞内
腔のほか、細胞壁中にも見られる。この後者の情報は、
カルシウムイオンの一部が繊維壁中へも拡散しうること
を示す。炭酸カルシウムはパルプおよびハンドシート繊
維の内腔および表面にあることが確認された。
表1は、精砕機処理ハンドシートの破裂特性および光
学的特性(同じ初期自由度において)を比較したもので
ある。かっこ内の2数値、たとえば(15,20)はそれぞ
れパルプの稠度およびカルシウム反応体の充填率を示
す。同様に比較のために、ハンドシートの製造に際して
製紙用炭酸塩(ファイザー)を直接に添加することによ
り充填剤の充填がなされたハンドシートの破裂特性およ
び光学的特性を示す。表1の結果を図1−7にも示す。
散乱係数、不透明度または白色度を破裂指数に対してプ
ロットした場合、繊維充填ハンドシートからの図1−7
のポイントは直接充填ハンドシートからのポイントと同
じ曲線上にある。これらのプロットは光学的特性と強度
の間に予想された逆の関数を指摘する;すなわち破裂指
数が増大すると、目的とする光学的特性が低下する。本
発明の繊維充填ハンドシートと直接充填ハンドシートの
双方が同じ曲線上にあるという事実は、充填剤を取り込
ませる方法に関係なく、光学的特性の一定の増大のいず
れについてもそれに匹敵する強度特性の損失を予想しな
ければならないことを意味する。
図4は破裂指数−対−灰分のプロットである。直接充
填ハンドシートは滑らかな曲線上にある;これも灰分の
増加に伴って破裂強度が低下することを立証する。繊維
充填ハンドシートからのポイントが同じ図にプロットさ
れ、すべての繊維充填ハンドシートが直接充填曲線のか
なり上方にある。これは、匹敵する灰分においては本発
明の繊維充填ハンドシートの方がかなり強靭であること
を意味する。図5−7に示すように、光学的特性を灰分
に対してプロットした場合、逆のことが言える。等しい
灰分においては、直接充填ハンドシートの方が本発明の
繊維充填ハンドシートより良好な光学的特性を示す。
結論 炭酸カルシウムの繊維充填は、酸化(または水酸化)
カルシウムと二酸化炭素とを高稠度脱水クラムパルプ中
で現場反応させることにより達成しうることが立証され
た。加圧スプラウト−バウエル−ディスク型精砕機を反
応チャンバーとして、かつ充填剤および繊維を良好に分
散させる手段として用いるのが適切である。SEM検査に
より、炭酸カルシウム結晶が繊維外表および細胞内腔の
双方に存在することが明らかになった;またX線微量精
密分析は細胞壁内にカルシウムが存在することを示す。
加圧精砕機を用いる繊維充填のための最適条件は、軟材
パルプについては18%、硬材パルプについては21%のパ
ルプ稠度において得られる。
幾つかの点において、繊維充填パルプから製造された
ハンドシートの特性は直接充填ハンドシートより優れて
いた。等しい充填剤含量および等しい自由度において比
較した場合、繊維充填ハンドシートの方が大きな破裂強
度を示した。これは、繊維充填パルプから製造されたハ
ンドシートについては直接充填パルプから製造されたハ
ンドシートより高い灰分において、匹敵する破裂強度が
得られることを意味する。また同じ破裂強度において
は、同様な光学的特性が得られる。これにより、破裂特
性または光学的特性の損失なしに、より高価な繊維をよ
り安価な炭酸カルシウムで置き換えることが可能とな
る。これは製紙経費において多大な節減を可能にする。
等しい灰分において直接充填シートと比較して光学的
特性がより劣る理由は、最大散乱能を達成するために製
紙用炭酸塩が結晶形態および粒度に関して特別に設計さ
れていることから一部は理解できる。さらに細胞壁材料
(たとえば内側の細胞内腔)と近接した充填剤は、充填
剤と細胞壁材料間の屈折率の差が充填剤と空気間の屈折
率の差より小さいため、本来、散乱がより少ないと思わ
れる。
本発明の範囲は請求の範囲の記載により定められる
が、以下に述べるより具体的態様もまた意図される。
(1) セルロース繊維に炭酸カルシウムを充填するた
めの下記よりなる方法: (a)中空内部を囲む繊維壁を有する多数の長い繊維
からなるセルロース系繊維質材料を用意し、該繊維質材
料は脱水クラムパルプの形のセルロース系繊維質材料を
提供するのに十分な水準の水分を含有し; (b)酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムよりな
る群から選ばれる化合物を、該化合物の少なくとも若干
がパルプ内に存在すると水と会合した状態となる様式で
パルプに添加し;そして (c)パルプを二酸化炭素と接触させて、実質量の炭
酸カルシウムが多数のセルロース繊維の中空内部および
繊維壁内に充填されたセルロース系繊維質材料を調製す
る。
(2) 繊維質材料の含水率が約40〜約95重量%であ
る、(1)に記載の方法。
(3) 化合物が繊維質材料の乾燥重量に対して約0.1
〜約50重量%の水準で添加される、(1)に記載の方
法。
(4) 化合物が繊維質セルロース材料の乾燥重量に対
して約5〜約20重量%の水準で添加される、(1)に記
載の方法。
(5) 二酸化炭素との接触が二酸化炭素ガスにより加
圧された密閉容器内で行われる、(1)に記載の方法。
(6) 二酸化炭素ガスの圧力が約5〜約60psig(約0.
35〜約4.22kg/cm2)である、(5)に記載の方法。
(7) 二酸化炭素が約1〜約60分間、パルプと接触し
た状態に保持される、(5)に記載の方法。
(8) 二酸化炭素との接触が、パルプに高剪断混合を
施しながら行われる、(1)に記載の方法。
(9) 高剪断混合が、乾燥重量基準で繊維のkg当たり
約10〜約70ワット時のエネルギーを付与するのに十分な
ものである、(8)に記載の方法。
(10) 炭酸カルシウムの一部がセルロース繊維の内腔
および細胞壁内にある、炭酸カルシウムを充填した製紙
用パルプ。
(11) 炭酸カルシウムが酸化カルシウム基準で製紙用
パルプの乾燥重量に対して約0.1〜約50重量%の水準で
存在する、(10)に記載の製紙用パルプ。
(12) 炭酸カルシウムが酸化カルシウム基準で製紙用
パルプの乾燥重量に対して約5〜約20重量%の水準で存
在する、(10)に記載の製紙用パルプ。
(13) (10)に記載の製紙用パルプから製造された充
填剤入りの紙。
(14) セルロース繊維の内腔および細胞壁が、酸化カ
ルシウムおよび水酸化カルシウムよりなる群から選ばれ
る化合物を脱水クラムパルプに添加し、そして該化合物
を二酸化炭素と接触させることにより内腔および細胞壁
内で形成された炭酸カルシウムを含有する、充填剤入り
の紙。
(15) 製紙用パルプの含水率が約40〜約95重量%であ
る、(14)に記載の充填剤入りの紙。
(16) 化合物が製紙用パルプの乾燥重量に対して約0.
1〜約50重量%の水準で製紙用パルプに添加されてい
る、(14)に記載の充填剤入りの紙。
(17) 化合物が製紙用パルプの乾燥重量に対して約5
〜約20重量%の水準で製紙用パルプに添加されている、
(14)に記載の充填剤入りの紙。
(18) 管状壁面および内腔を有するセルロース繊維か
ら、沈殿した炭酸カルシウムを含有する充填剤入りの紙
を製造するための、下記よりなる方法: (a)水を含有するセルロース繊維を用意し: (b)水酸化カルシウムおよび乾燥酸化カルシウムよ
りなる群から選ばれる化合物をセルロース繊維に添加
し: (c)繊維を二酸化炭素ガスと接触させて上記化合物
と反応させ、繊維の内部および繊維壁内の双方に沈殿し
た炭酸カルシウムを形成させ:そして (d)該繊維から紙を形成する。
(19) 水がセルロース繊維の乾燥重量に対して約40〜
約95%の水準で存在する、(18)に記載の方法。
(20) 化合物がセルロース繊維の乾燥重量に対して約
0.1〜約50重量%の水準で添加される、(18)に記載の
方法。
(21) 化合物がセルロース繊維の乾燥重量に対して約
5〜約20重量%の水準で添加される、(18)に記載の方
法。
(22) 二酸化炭素との接触が二酸化炭素ガスにより加
圧された密閉容器内で行われる、(18)に記載の方法。
(23) 二酸化炭素ガスの圧力が約5〜約60psig(約0.
35〜約4.22kg/cm2)である、(22)に記載の方法。
(24) 二酸化炭素が約10〜約60分間、パルプと接触し
た状態に保持される、(22)に記載の方法。
(25) 二酸化炭素との接触が、パルプに高剪断混合を
施しながら行われる、(22)に記載の方法。
(26) 高剪断混合が、乾燥重量基準で繊維のkg当たり
約10〜約70ワット時のエネルギーを付与するのに十分な
ものである、(25)に記載の方法。
(27) セルロース繊維の内部および繊維壁内の双方に
存在する沈殿した炭酸カルシウムを含有する充填剤入り
の紙。
(28) 沈殿した炭酸カルシウムが水酸化カルシウムと
二酸化炭素の反応により形成されたものである、(27)
に記載の充填剤入りの紙。
(29) 炭酸カルシウムが酸化カルシウム基準でセルロ
ース繊維の乾燥重量に対して約0.1〜約50重量%の水準
で存在する、(27)に記載の充填剤入りの紙。
(30) 炭酸カルシウムが酸化カルシウム基準で繊維質
材料の乾燥重量に対して約5〜約20重量%の水準で存在
する、(27)に記載の充填剤入りの紙。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 サックス,アーヴィング・ビー アメリカ合衆国ウィスコンシン州53711, マディソン,ヴェイル・サークル 4402 (72)発明者 シケス,マーガリト・エス アメリカ合衆国ウィスコンシン州53705, マディソン,ロウリー・アベニュー 2100 (72)発明者 タン,フレヤ アメリカ合衆国ウィスコンシン州53703, マディソン,ウエスト・ウィルソン・ス トリート 512,ナンバー 108 (72)発明者 シルツ,リチャード・ウォルター アメリカ合衆国ウィスコンシン州53589, ストウトン,ジャクソン・ストリート 1409 (56)参考文献 特開 昭62−162098(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セルロース繊維に炭酸カルシウムを充填す
    るための下記よりなる方法: (a)中空内部を囲む繊維壁を有する多数の長い繊維か
    らなるセルロース系繊維質材料を用意し、該繊維質材料
    は脱水クラムパルプの形のセルロース系繊維質材料を提
    供するのに十分な水準の水分を含有し; (b)酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムよりなる
    群から選ばれる化合物を、該化合物の少なくとも若干が
    パルプ内に存在する水と会合した状態となる様式でパル
    プに添加し;そして (c)該繊維質材料に高剪断混合を施しながらパルプを
    二酸化炭素と接触させて、実質量の炭酸カルシウムが多
    数のセルロース繊維の中空内部および繊維壁内に充填さ
    れたセルロース系繊維質材料を調製する。
  2. 【請求項2】化合物が繊維質材料の乾燥重量に対して約
    0.1〜約50重量%の水準で添加される、請求の範囲第1
    項に記載の方法。
  3. 【請求項3】二酸化炭素との接触が二酸化炭素ガスによ
    り加圧された密閉容器内で行われる、請求の範囲第1項
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】高剪断混合が、乾燥重量基準で繊維のkg当
    たり約10〜約70ワット時のエネルギーを付与するのに十
    分なものである、請求の範囲第1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】セルロース繊維の内腔および細胞壁が、酸
    化カルシウムおよび水酸化カルシウムよりなる群から選
    ばれる化合物を脱水クラムパルプに添加し、そして該化
    合物をパルプに高剪断混合を施しながら二酸化炭素と接
    触させることにより内腔および細胞壁内で形成された炭
    酸カルシウムを含有する、充填剤入りの紙。
  6. 【請求項6】化合物が製紙用パルプの乾燥重量に対して
    約0.1〜約50重量%の水準で製紙用パルプに添加されて
    いる、請求の範囲第5項に記載の充填剤入りの紙。
  7. 【請求項7】化合物が製紙用パルプの乾燥重量に対して
    約5〜約20重量%の水準で製紙用パルプに添加されてい
    る、請求の範囲第5項に記載の充填剤入りの紙。
  8. 【請求項8】管状壁面および内腔を有するセルロース繊
    維から、沈殿した炭酸カルシウムを含有する充填剤入り
    の紙を製造するための、下記よりなる方法: (a)水を含有する脱水クラムパルプの形のセルロース
    繊維を用意し: (b)水酸化カルシウムおよび乾燥酸化カルシウムより
    なる群から選ばれる化合物をセルロース繊維に添加し: (c)繊維を高剪断混合を施しながら二酸化炭素ガスと
    接触させて上記化合物と反応させ、繊維の内部および繊
    維壁内の双方に沈殿した炭酸カルシウムを形成させ:そ
    して (d)該繊維から紙を形成する。
  9. 【請求項9】化合物がセルロース繊維の乾燥重量に対し
    て約0.1〜約50重量%の水準で添加される、請求の範囲
    第8項に記載の方法。
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