JP3145097B2 - ドライエッチング装置 - Google Patents

ドライエッチング装置

Info

Publication number
JP3145097B2
JP3145097B2 JP12998190A JP12998190A JP3145097B2 JP 3145097 B2 JP3145097 B2 JP 3145097B2 JP 12998190 A JP12998190 A JP 12998190A JP 12998190 A JP12998190 A JP 12998190A JP 3145097 B2 JP3145097 B2 JP 3145097B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
supersonic
plasma
gas
vacuum chamber
molecular flow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12998190A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03101226A (ja
Inventor
高一 斧
達夫 大森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to DE4018954A priority Critical patent/DE4018954A1/de
Priority to US07/538,931 priority patent/US5108535A/en
Publication of JPH03101226A publication Critical patent/JPH03101226A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3145097B2 publication Critical patent/JP3145097B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Drying Of Semiconductors (AREA)
  • ing And Chemical Polishing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ドライエッチング装置に係わり、特に半
導体デバイス製造プロセスに不可欠な低損傷,高選択,
高異方性エッチングを可能にするドライエッチング装置
に関するものである。
〔従来の技術〕
半導体デバイス製造プロセスのドライエッチングにお
いては、選択性が高い、すなわち被エッチング薄膜のエ
ッチング速度がその下地物質あるいはフォトレジストな
どのマスク材のエッチング速度よりはるかに大きいこ
と、また異方性が高い、すなわち被エッチング薄膜の薄
膜表面に垂直方向のエッチング速度が水平方向のエッチ
ング速度よりはるかに大きくエッチング形状においてい
わゆるアンダーカットが無視できること、そして損傷が
小さい、すなわち被エッチング薄膜の表面層にエッチン
グによって生じる物性的変化が極めて小さいことが本質
的に必要である。このようなエッチングの高選択性,高
異方性,低損傷性に対する要請は、デバイスの集積度の
向上に伴い益々高まっている。
従来のドライエッチング装置としては、RF放電やマイ
クロ波放電などによる高周波放電プラズマを用いたもの
があり、微細加工性と量産性を兼ね備えた装置として半
導体デバイス製造プロセスの中で広範に採用されてい
る。
第6図は例えば明石和夫、服部秀三,松本修編「光・
プラズマプロセシング」(日刊工業新聞社,東京,昭和
61年),第10章“プラズマエッチングの基礎”(安田幸
夫執筆)に示された従来のRF放電プラズマを用いたドラ
イエッチング装置の概略を示す断面図である。
図において、1は被エッチング基板、2はこの被エッ
チング基板1が載置された第1の平行平板電極、3はこ
の平行平板電極2に対向して配置された第2の平行平板
電極、4は上記第1の平行平板電極2とこの第2の平行
平板電極3が設置されたプラズマ反応真空容器、5はこ
の容器4の内部ガスを排気する真空排気手段、6は上記
第1の平行平板電極2と上記第2の平行平板電極3との
間にRF電力を印加するRF電力印加手段、7は上記プラズ
マ反応容器4内に供給されるエッチングガスAが充填さ
れたガスボンベ、8はこのガスボンベ7から上記容器4
内へのエッチングガス流量を調節するガス流量制御手
段、9は上記容器4内のエッチングガス圧力を監視する
圧力計、10は上記第1の平行平板電極2と上記第2の平
行平板電極3の間に生じるRF放電プラズマである。
被エッチング基板1上の被エッチング材,下地物質,
フォトレジストとしては、例えば多結晶シリコン(Poly
crystalline Si),酸化シリコン(SiO2),PMMA(Poly
[Methyl Methacrylate])がそれぞれ用いられ、ガス
ボンベ7内に充填されるエッチングガスAとしては、例
えば塩素(Cl2)とアルゴン(Ar)の混合ガスが用いら
れる。また、RF電力印加手段6の周波数は、例えば13.5
6MHzである。
次に動作について説明する。
まず被エッチング基板1をプラズマ反応真空容器4内
の第1の平行平板電極2上に載置した後、真空排気手段
5により容器4内の真空排気を行う。続いてガス流量制
御手段8によりガスボンベ7から容器4内に供給される
エッチングガスAの流量を調節,設定し、さらに圧力計
9により容器4内のガス圧力を監視しつつ真空排気手段
5のガス排気速度を調節して、容器4内のエッチングガ
ス圧力を設定する。
次いで、RF電力印加手段6により第1,第2の平行平板
電極2,3の間にRF電力を印加すると、プラズマ反応容器
4内のエッチングガスは該両電極2,3間に生じる高周波
グロー放電により電離し、反応性弱電離プラズマ10が発
生する。その結果生じた中性原子ラジカルや原子イオ
ン、あるいはそれらの組合せから構成される中性分子ラ
ジカルや分子イオンにより、基板1上の物質はエッチン
グされる。
ここで、エッチングガスAとして、例えば塩素(C
l2)とアルゴン(Ar)の混合ガスを用いた場合、中性原
子ラジカルとしてはCl、原子イオンとしてはCl+とAr+
そして分子イオンとしてはCl2 +が生じる。この例の場
合、分子ラジカルは存在しない。また、プラズマ反応容
器4内のエッチングガス圧力は0.01〜1Torr,ガス密度で
示すと3×1014〜3×1016cm-3であり、プラズマ密度は
109〜1011cm-3程度である。
第7図は、この従来のRF放電プラズマを用いたエッチ
ング装置において、プラズマ中の電極上に載置された基
板上物質がエッチングされるメカニズムを説明するため
の概略図である。このような放電プラズマ中には、様々
なエネルギーを持つ多くの種類の中性原子,分子とそれ
らのイオンおよび様々なエネルギーの電子と光子(輻
射)が存在するが、基板上物質のエッチングに直接寄与
する粒子は、基板近傍に形成される空間電荷領域(シー
ス)における原子,分子イオンと中性原子,分子ラジカ
ルである。
このシース領域において、正の電荷を持つ正イオン
は、100V〜1kV程度のシース電位(プラズマ電位+電極
の自己バイアス電位)によって基板方向に加速され基板
表面に垂直に入射する傾向にあるが、中性ラジカルはシ
ース電位に応答せず、500〜1000゜K程度の熱的な無秩序
運動によって基板表面に等方的に入射する。
このようなドライエッチング装置において、エッチン
グの選択性、すなわち被エッチング薄膜のエッチング速
度とその下地物質あるいはフォトレジストなどのマスク
材のエッチング速度との比は、主に中性ラジカルのそれ
ぞれの物質に対する化学反応性の差異によって得られる
が、基板表面に対し等方的に入射する中性ラジカルのみ
による化学的エッチングは等方的である。
一方、エッチングの異方性、すなわち被エッチング薄
膜の薄膜表面に垂直方向のエッチング速度と水平方向の
エッチング速度との比は、主にシース電位によって加速
され、基板表面に垂直に入射するイオンの基板表面に対
する運動の方向性によって得られるが、イオンによる物
理的スパッタリングは、それぞれの物質に対して非選択
的であり、また被エッチング薄膜表面層に少なからず損
傷を与える。現実的には、イオンアシスト過程と呼ばれ
るこれら中性ラジカルとイオンとの競合過程によって基
板上物質のエッチングが進行する。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の放電プラズマを用いたドライエッチング装置
は、以上のようにプラズマ中の電極上に被エッチング基
板を載置し、基板近傍に形成される空間電荷領域(シー
ス)において、シース電位によって加速され基板表面に
垂直に入射するイオンの運動の方向性のみによりエッチ
ングの異方性を得るように構成されているので、エッチ
ングの異方性を高くするにはシース電位ひいてはイオン
の基板への入射エネルギーを高くしなければならず、そ
の結果、高異方性を得ようとすればするほど選択性が低
下し、損傷が増加するという問題点があった。
この発明は上記のような問題点を解消するためになさ
れたもので、超高異方性とともに超高選択性と極低損傷
性をも同時に満足するエッチングを実現できるドライエ
ッチング装置を得ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本願の請求項1の発明に係るドライエッチング装置
は、原料気体を導入して、被エッチング材料のエッチン
グを行うドライエッチング装置において、生成気体を噴
出する噴出ノズルを有し、上記原料気体の原子分子を電
離してプラズマを生成するための放電室と、該プラズマ
を上記噴出ノズルを介して内部に導入し、これを超音速
膨張させて超音速自由噴流を形成するための第1の真空
室と、該プラズマの超音速自由噴流から超音速分子流を
抽出するスキマーを有し、該超音速分子流を導入するた
めの第2の真空室とを備え、該第2の真空室内に取り出
されたプラズマの超音速分子流を上記被エッチング材料
に吹きつけるようにしたものである。
また、本願の請求項2の発明に係るドライエッチング
装置は、原料気体を導入して被エッチング材料のエッチ
ングを行うドライエッチング装置において、生成気体を
噴出する噴出ノズルを有し、上記原料気体の原子分子を
電離してプラズマを生成するための放電室と、該プラズ
マを上記噴出ノズルを介して内部に導入し、これを超音
速膨張させて超音速自由噴流を形成するための第1の真
空室と、該プラズマの超音速自由噴流からプラズマの超
音速分子流を抽出するスキマーを有し、該超音速分子流
を導入するための第2の真空室と、該第2の真空室内に
取り出されたプラズマの超音速分子流からイオンと電子
とを除去して中性原子分子気体の超音速分子流を形成す
る荷電粒子除去手段とを備え、該中性原子分子気体の超
音速分子流を上記被エッチング材料に吹きつけるように
したものである。
また、本願の請求項3の発明に係るドライエッチング
装置は、反応性気体原子分子の放電を用いるドライエッ
チング装置において、プラズマを生成する放電室と、該
放電室において生成されたプラズマを超音速膨張させ
る、開口部断面が矩形スリット状の二次元ノズルと第1
の真空室と、前記放電室から該ノズルを通して、該第1
の真空室内に超音速自由膨張して形成されたプラズマの
超音速自由噴流から超音速分子流を抽出する、開口部断
面が矩形スリット状の二次元スキマーと第2の真空室と
を備え、前記第1の真空室から該スキマーを通して、該
第2の真空室内に取り出されたプラズマの超音速分子流
を、被エッチング基板に吹きつけてエッチングを行うよ
うにしたものである。
また、本願の請求項4の発明に係るドライエッチング
装置は、反応性気体原子分子の放電を用いるドライエッ
チング装置において、プラズマを生成する放電室と、該
放電室において生成されたプラズマを超音速膨張させ
る、開口部断面が矩形スリット状の二次元ノズルと第1
の真空室と、前記放電室から該ノズルを通して該第1の
真空室内に超音速自由膨張して形成されたプラズマの超
音速自由噴流から超音速分子流を抽出する、開口部断面
が矩形スリット状の二次元スキマーと第2の真空室と、
前記第1の真空室内から該スキマーを通して該第2の真
空室内に取り出されたプラズマの超音速分子流から荷電
粒子を除去する手段とを備え、前記第2の真空室内に取
り出されたプラズマの超音速分子流から、前記荷電粒子
除去手段によってイオンと電子を取り除いた中性原子分
子気体の超音速分子流を、被エッチング基板に吹きつけ
てエッチングを行うようにしたものである。
また、本願の請求項5の発明に係るドライエッチング
装置は、請求項3または4記載のドライエッチング装置
において、前記被エッチング基板の位置を、前記流れに
垂直な断面形状が矩形スリット状のシート状ビームとな
る超音速分子流に対して、相対的にその短辺方向に移動
させながらエッチングを行うようにしたものである。
また、本願の請求項6の発明に係るドライエッチング
装置は、反応性気体原子分子の放電を用いるドライエッ
チング装置において、プラズマを生成する放電室と、該
放電室において生成されたプラズマを超音速膨張させる
ノズルと第1の真空室と、前記放電室から該ノズルを通
して、該第1の真空室内に超音速自由膨張して形成され
たプラズマの超音速自由噴流から超音速分子流を抽出す
るスキマーと第2の真空室とを備え、前記放電室に反応
性気体と、ヘリウムあるいは水素等の軽元素気体を導入
して該混合気体を電離し、前記第1の真空室から該スキ
マーを通して、前記第2の真空室内に取り出された該プ
ラズマの超音速分子流を、被エッチング基板に吹きつけ
てエッチングを行うようにしたものである。
また、本願の請求項7の発明に係るドライエッチング
装置は、反応性気体原子分子の放電を用いるドライエッ
チング装置において、プラズマを生成する放電室と、該
放電室において生成されたプラズマを超音速膨張させる
ノズルと第1の真空室と、前記放電室から該ノズルを通
して該第1の真空室内に超音速自由膨張して形成された
プラズマの超音速自由噴流から超音速分子流を抽出する
スキマーと第2の真空室と、前記第1の真空室から該ス
キマーを通して該第2の真空室内に取り出されたプラズ
マの超音速分子流から荷電粒子を除去する手段とを備
え、前記放電室に反応性気体と、ヘリウムあるいは水素
等の軽元素気体を導入して該混合気体を電離し、前記第
2の真空室内に取り出された該プラズマの超音速分子流
から、前記荷電粒子除去手段によってイオンと電子を取
り除いた中性原子分子気体の超音速分子流を、被エッチ
ング基板に吹き付けてエッチングを行うようにしたもの
である。
また、本願の請求項8の発明に係るドライエッチング
装置は、請求項6または7記載のドライエッチング装置
において、前記放電室を2室に分け、ヘリウムあるいは
水素等の軽元素気体を導入して該軽元素気体を電離する
第1室と、該電離して生成したプラズマが流入し、さら
に反応性気体を導入して両気体を混合させる第2室とを
設けるようにしたものである。
〔作用〕
本願の請求項1の発明においては、上述のように構成
することにより、放電によって生成されたプラズマを真
空中に超音速膨張させて、気体温度が極めて低い、すな
わち中性原子分子やイオンなど重粒子の熱運動速度が極
めて小さく重粒子間の相互作用が無視できるプラズマの
超音速分子流を生成し、このプラズマの超音速分子流を
被エッチング基板に吹きつけるようにしたから、プラズ
マのイオンや中性原子分子は低温低エネルギー粒子ビー
ムとして基板表面に垂直に入射することとなる。この場
合イオンや中性ラジカルの基板表面に対して水平方向の
速度成分は垂直方向の入射速度に比べて極めて小さく、
また入射エネルギーは物理的スパッタしきい値に比べて
遙かに小さい。このため本装置では、中性ラジカルによ
る非等方的化学エッチングが基板上物質のエッチング過
程を支配することになり、超高異方性のみならず超高選
択性と極低損傷性をも同時に満足するエッチングが可能
となる。
また、本願の請求項2の発明においては、上述のよう
に構成することにより、上記プラズマの超音速分子流か
らイオンと電子を取り除いて、気体温度が極めて低い、
すなわち中性原子分子の熱運動速度が極めて小さく粒子
間の相互作用が無視できる中性原子分子気体の超音速分
子流を取り出し、この中性原子分子気体の超音速分子流
を被エッチング基板に吹きつけるようにしたから、中性
原子分子は低温低エネルギー粒子ビームとして基板表面
に垂直に入射する。
従って、この場合は中性ラジカルによる非等方的化学
エッチングのみにより基板上物質のエッチングが進行す
ることとなり、超高異方性,超高選択性及び極低損傷性
を同時に満足するエッチングが可能となるだけでなく、
被エッチング基板のチャージアップによる静電的な破壊
を防止することができる。
また、本願の請求項3の発明においては、上述のよう
に構成することにより、まず放電によって生成されたプ
ラズマを真空中に超音速膨張させて、気体温度が極めて
低いすなわち中性原子分子やイオンなど重粒子の熱運動
速度が極めて小さく、重粒子間の相互作用が無視できる
プラズマの超音速分子流を生成し、このプラズマの超音
速分子流を被エッチング基板に吹きつけるようにしたの
で、プラズマのイオンや中性原子分子ラジカルは低温低
エネルギー粒子ビームとして基板表面に垂直に入射する
ことになる。この場合、イオンや中性ラジカルの基板表
面に対して水平方向の速度成分は、垂直方向の入射速度
に比べて極めて小さく、また入射エネルギーは物理的ス
パッタしきい値に比べて遙かに小さい。このため、本ド
ライエッチング装置においては、中性ラジカルによる非
等方的化学エッチングが基板上物質のエッチング過程を
支配することにより、超高異方性のみならず超高選択性
と極低損傷性をも同時に満足するエッチングが可能とな
る。
また、本願の請求項4の発明においては、上述のよう
に構成することにより、上記プラズマの超音速分子流か
ら荷電粒子のイオンと電子を取り除いて、気体温度が極
めて低い、すなわち中性原子分子の熱運動速度が極めて
小さく粒子間の相互作用が無視できる中性原子分子気体
の超音速分子流を取り出し、この中性原子分子気体の超
音速分子流を被エッチング基板に吹きつけるようにした
ので、中性原子分子ラジカルは低温低エネルギ粒子ビー
ムとして基板表面に垂直に入射することになる。この場
合、中性ラジカルの基板表面に対して水平方向の速度成
分は、垂直方向の入射速度に比べて極めて小さく、また
入射エネルギーは物理的スパッタしきい値に比べて遙か
に小さい。このため、中性ラジカルによる非等方的化学
エッチングのみにより、基板上物質のエッチングが進行
することとなり、超高異方性,超高選択性および極低損
傷性を同時に満足するエッチングが可能となるだけでな
く、荷電粒子による被エッチング基板の帯電(チャージ
アップ)に起因する静電的な破壊を防止することができ
る。
また、本願の請求項5の発明においては、上述のよう
に構成することにより、上記プラズマの超音速分子流
や、上記中性原子分子気体の超音速分子流においては、
それらの生成に際して開口部断面が矩形スリット状の二
次元ノズルとスキマーを用いているため、流れに垂直な
断面形状が矩形スリット状となる。そこで、上記被エッ
チング基板の位置を、超音速分子流に対して相対的に、
その断面の短辺方向に移動させながらエッチングを行う
ようにしたので、超高異方性,超高選択性および極低損
傷性を同時に満足するエッチングが大口径基板に対して
可能となる。
また、本願の請求項6の発明においては、上述のよう
に構成することにより、まず放電室に反応性気体とヘリ
ウムあるいは水素等の軽元素気体を導入して該混合気体
のプラズマを生成し、該プラズマを真空中に超音速膨張
させて、気体温度が極めて低い、すなわち中性原子分子
やイオンなど重粒子の熱運動が極めて小さく、重粒子間
の相互作用が無視できるプラズマの超音速分子流を生成
し、このプラズマの超音速分子流を被エッチング基板に
吹きつけるようにしたので、プラズマのイオンや中性原
子分子ラジカルは低温低エネルギー粒子ビームとして基
板表面に垂直に入射することになる。この場合、イオン
や中性ラジカルの基板表面に対して水平方向の速度成分
は垂直方向の入射速度に比べて極めて小さく、また入射
エネルギーは物理的スパッタしきい値に比べて遙かに小
さい。また、反応性気体の軽元素気体に対する混合比を
小さくすると、反応性気体に関するイオンや中性ラジカ
ルの基板表面に対して垂直方向の入射速度は、軽元素気
体に関する原子分子の入射速度とほぼ等しい値にまで速
くなる。このため、本ドライエッチング装置において
は、速い中性ラジカルによるより非等方的な化学エッチ
ングが基板上物質のエッチング過程を支配することにな
り、超高異方性のみならず、超高選択性と極低損傷性を
も同時に満足するエッチングが高速度で実現できる。
また、本願の請求項7の発明においては、上述のよう
に構成することにより、上記プラズマの超音速分子流か
ら荷電粒子のイオンと電子を取り除いて、気体温度が極
めて低い、すなわち中性原子分子の熱運動速度が極めて
小さく粒子間の相互作用が無視できる中性原子分子気体
の超音速分子流を取り出し、この中性原子分子気体の超
音速分子流を、被エッチング基板に吹きつけるようにし
たので、中性原子分子ラジカルは低温低エネルギー粒子
ビームとして基板表面に垂直に入射することになる。こ
の場合、中性ラジカルの基板表面に対して水平方向の速
度成分は、垂直方向の入射速度に比べて極めて小さく、
また入射エネルギーは物理的スパッタしきい値に比べて
遙かに小さい。また、反応性気体の軽元素気体に対する
混合比を小さくすると、反応性気体に関する中性ラジカ
ルの基板表面に対して垂直方向の入射速度は、軽元素気
体に関する原子分子の入射速度とほぼ等しい値にまで速
くなる。このため速い中性ラジカルによる、より非等方
的な化学エッチングのみにより、基板上物質のエッチン
グが進行することとなり、超高異方性,超高選択性およ
び極低損傷性を同時に満足する高速エッチングが可能と
なるだけでなく、荷電粒子による被エッチング基板の帯
電(チャージアップ)に起因する静電的な破壊を防止す
ることができる。
また、本願の請求項8の発明においては、上述のよう
に構成することにより、上記放電室を2室に分けて、ヘ
リウムあるいは水素等の軽元素気体を導入して該軽元素
気体を電離する第1室と、該電離気体が流入し、さらに
反応性気体を導入して両気体を混合させる第2室とを設
けたので、反応性気体原子分子の電離や解離は直接の放
電ではなく、直接の放電によって生成された軽元素気体
プラズマとの相互作用、すなわち放電による電離や解離
によって生成,励起された軽元素気体原子分子やプラズ
マの電子と反応性気体原子分子との衝突によって進行す
る。
従って、反応性気体原子分子が解離して中性ラジカル
が生成される量は、直接の放電による場合よりも多く、
また反応性気体の直接の放電による放電室の腐食,損傷
の程度も小さくなる。このようにして生成されたプラズ
マから抽出されたプラズマの超音速分子流、あるいはプ
ラズマの超音速分子流から上記荷電粒子除去手段によっ
てイオンと電子を取り除いた中性原子分子気体の超音速
分子流を被エッチング基板に吹きつけてエッチングを行
うようにしたので、超高異方性,超高選択性および極低
損傷性を同時に満足できるエッチングがより高速で得ら
れるとともに、放電室の劣化を抑制し寿命を長くするこ
とができる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図について説明する。
第1図はこの発明の第1の実施例によるドライエッチ
ング装置の構成を示す要部断面図である。図において、
21は反応性気体放電室、22はこの放電室21に隣接して配
置された第1の真空室、23はこの第1の真空室22に隣接
して配置された第2の真空室、24はこの第2の真空室23
に隣接して配置され、被エッチング基板1を載置するた
めの電極2を有する第3の真空室、26は上記反応性気体
放電室21の一端25に設置されたノズル、27は上記第1の
真空室22と上記第2の真空室23とを仕切る第1の隔壁、
28はこの第1の隔壁27に設置されたスキマー、29は上記
第2の真空室23と上記第3の真空室24とを仕切る第2の
隔壁、30はこの第2の隔壁29に設置されたコリメーター
である。
また、31は上記第1の真空室22の排気を行う第1の真
空排気手段、32,33はそれぞれ上記第2,第3の真空室23,
24の排気のための第2,第3の真空排気手段、7は上記反
応性気体放電室21内に供給するエッチングガスAを充填
したガスボンベ、8はこのガスボンベ7から上記放電室
21内へのエッチングガスの流量を調節するガス流量制御
手段、9は上記放電室21内のエッチングガス圧力を監視
するための圧力計、11〜13はそれぞれ上記第1〜第3の
真空室22〜24内の真空度を監視するための第1〜第3の
真空計、14は上記反応性気体放電室21の周囲に設置され
た高周波誘導コイル、6はこのコイル14にRF電力を印加
するRF電力印加手段である。
また、10は上記放電室21の上記コイル14が設置された
部分に生じるRF誘導放電プラズマ、Dはこのプラズマ10
が上記ノズル26を通して上記第1の真空室22内に導入さ
れ、ここで超音速膨張することによって形成されたプラ
ズマの超音速自由噴流、Eはこのプラズマの超音速自由
噴流Dから上記スキマー28を通して上記第2の真空室23
内に抽出されたプラズマの超音速分子流、Jはこのプラ
ズマの超音速分子流Eのうち、上記コリメーター30を通
過して上記第3の真空室24内に流入したプラズマの超音
速分子流で、上記被エッチング基板1はこのプラズマの
超音速分子流Jに対向するよう上記第3の真空室24内の
電極2上に設置されている。
なお、上記ノズル26,スキマー28および上記コリメー
ター30は一直線上に配置され、上記第1の真空室22内の
超音速自由噴流D、上記第2の真空室23内の超音速分子
流E、および上記第3の真空室24内の超音速分子流Jの
中心軸と同一軸上にある。
また、被エッチング基板1上の被エッチング材,下地
物質,フォトレジストとしては、例えば従来例と同じく
多結晶シリコン,二酸化シリコン,PMMAがそれぞれ用い
られ、ガスボンベ7内に充填されるエッチングガスAと
しても、例えば従来例と同じく塩素とアルゴンの混合ガ
スが用いられる。また、RF電力印加手段6の周波数も、
例えば従来例と同じく13.56MHzである。
次に、上記実施例に係るドライエッチング装置の動作
について説明する。
まず、第1〜第3の真空排気手段31〜33により、それ
ぞれ第1〜第3の真空室22〜24の排気を行い、反応性気
体放電室21と第1〜第3の真空室22〜24を所定の真空度
にする。
次いで第1〜第3の真空排気手段31〜33による排気を
行いつつ、反応性気体放電室21内にガスボンベ7からガ
ス流量制御手段8を通してエッチングガスAを導入し、
さらに圧力計9により放電室21内のガス圧力を監視しつ
つ、ガス流量制御手段8によりエッチングガス流量を調
節して放電室21内のガス圧力を設定する。
続いて、RF電力印加手段6により高周波誘導コイル14
にRF電力を印加すると、放電室21内のエッチングガス
は、RF誘導グロー放電あるいはアーク放電により電離
し、反応性弱電離プラズマ10が発生する。ここで、上記
放電室21内の圧力は102〜103Torr程度、温度は103〜104
度程度であり、圧力は圧力計9により示される。
上記反応性気体放電室21において生成されたエッチン
グガスAのプラズマは、ノズル26を通過して第1の真空
室22内に導入され、ここで超音速膨張し、超音速自由噴
流Dを形成する。該ノズル26の開口径は例えば1mm程度
で、また第1の真空室22内の真空度は10-3〜10-2Torr程
度に保持されており、これは第1の真空計11により表示
される。
上記超音速自由噴流Dは第2図にその詳細を示すよう
に、静寂領域(Zone of Silence)と呼ばれる超音速自
由膨張流の領域と、この静寂領域を取り囲む樽型衝撃波
(Barrel Shock)及びマッハ円盤(Mach Disk)と呼ば
れる衝撃波とによって特徴づけられる。なお、樽型衝撃
波の周囲にはジェット境界(Jet Boundary)が、またマ
ッハ円盤の下流には反射衝撃波(Reflected Shock)が
存在する。上記静寂領域内の超音速自由膨張流において
は、流れの中心軸に沿って下流に移るに従い、気体の超
音速自由膨張、言いかえれば気体の断熱膨張によりプラ
ズマの密度と温度、すなわちプラズマを構成する中性原
子分子,イオン,および電子の密度と温度が減少する。
従って、プラズマの粒子間衝突頻度は減少し電離度は凍
結するが、流速は増大する。そして、ノズル26から該ノ
ズル26の開口径の10倍程度以上下流において、プラズマ
の気体温度、すなわち中性原子分子やイオンなど重粒子
の温度は絶対温度で数度以下の極低温となり、重粒子間
の衝突頻度はほぼ無限小となる。但し、プラズマの電子
温度は重粒子の温度ほどには低下せず、103度程度に止
まる。
このようなプラズマの超音速自由噴流Dにおいて、流
れの中心軸に沿って超音速自由膨張が十分に発達してプ
ラズマの気体温度が十分に低下し、中性原子分子やイオ
ンなど重粒子の熱運動速度が極めて小さく重粒子間の相
互作用が無視できる位置に、スキマー28を配置する。具
体的には第1の隔壁27にスキマー28を設置し、該スキマ
ー28の開口部は、超音速自由噴流Dの上流に攪乱を与え
ない形状を有し、その開口径がノズル26の開口径の2〜
3倍程度以下のものとする。このようなスキマー28によ
り第1の真空室22内に形成されたプラズマの超音速自由
噴流Dの静寂領域における中心軸付近の部分が、第2の
真空室23内に超音速分子流Eとして抽出される。この第
2の真空室23内の真空度は10-6〜10-5Torr程度に保持さ
れており、これが第2の真空計12により表示される。
ところで、プラズマの超音速自由噴流Dの状態、例え
ばその静寂領域の大きさや流れの中心軸に沿ってのプラ
ズマの気体密度,温度,流速などの物理的諸量の変化
は、ノズル26の形状と開口径、反応性気体放電室21内の
圧力及び第1の真空室22内の真空度などの諸条件によっ
て規定される。従って、第1の真空室22内に形成される
プラズマの超音速自由噴流Dの静寂領域からスキマー28
を通して第2の真空室23内へプラズマの超音速分子流E
を抽出する場合、該抽出を色々な諸条件の変化に対応し
て最適に保つためには、ノズル26とスキマー28との間の
距離を連続的に可変とする機構を設けておくことが好ま
しく、本実施例ではこの機構を備えている。
次に第3図を用いてこのようなノズル26−スキマー28
間距離の連続可変機構の一例を説明する。図に示すよう
にこの機構では、放電室21は例えばベローズ41によって
第1の真空室22に接続され、このベローズ41の長さを伸
縮させて反応性気体放電室21を第3図に示す矢印α及び
β方向に動かすことにより、ノズル26−スキマー28間距
離を連続的に変えることができる。従って、諸条件の変
化に対応して状態の変化するプラズマの超音速自由噴流
Dから最適にプラズマの超音速分子流Eを抽出すること
ができる。
このようにして第2の真空室23内に抽出されたプラズ
マの超音速分子流Eにおいては、プラズマの気体温度が
絶対温度で数度以下と極めて低い、すなわち中性原子分
子やイオンなど重粒子の熱運動速度が極めて小さく重粒
子間の相互作用が無視できる。このような特性を有する
プラズマの超音速分子流Eは、第2の隔壁29に設置され
たコリメーター30を通過して第3の真空室24内に流入す
る。ここで、コリメーター30の開口径はスキマー28の開
口径と同程度以下であり、第3の真空室24内の真空度は
10-8〜10-7Torr程度に保持されており、これが第3の真
空計13により示される。第3の真空室24内にはコリメー
ター30を通過して流入したプラズマの超音速分子流Jに
対向して、被エッチング基板1が電極2上に配置されて
いるので、プラズマの超音速分子流Jは被エッチング基
板1に対し垂直に吹きつけられることとなる。
このように被エッチング基板1には、気体温度が絶対
温度で数度以下と極めて低い、すなわち中性原子分子や
イオンなど重粒子の熱運動速度が極めて小さく、重粒子
間の相互作用が無視できる反応性弱電離プラズマの超音
速分子流Jが吹きつけられるので、反応性弱電離プラズ
マのイオンや中性原子分子ラジカルなどは低温低エネル
ギー反応性粒子ビームとして基板表面に垂直に入射す
る。従って、イオンや中性原子分子ラジカルの基板表面
に対して水平方向の速度成分は垂直方向の入射速度に比
べて極めて小さくなり、また入射エネルギーは物理的ス
パッタしきい値に比べて遙かに小さくなる。
ここで、エッチングガスAとして、例えば従来例と同
じく塩素Cl2とアルゴンArの混合ガスを用いた場合、中
性原子ラジカルとしてはCl、原子イオンとしてはCl+とA
r+、そして分子イオンとしてはCl2 +が生じる。この例の
場合、分子ラジカルは存在しない。また、プラズマの超
音速分子流の気体密度、すなわち中性原子分子やイオン
など重粒子の密度は1012〜1015cm-3、プラズマ密度は10
9〜1012cm-3程度である。
第4図はこの実施例のプラズマの超音速分子流を用い
たドライエッチング装置において、プラズマの超音速分
子流に対向する電極上に配置された基板上物質がエッチ
ングされるメカニズムを説明するための概略図である。
この場合も、従来例と同じく基板近傍には空間電荷領域
(シース)が形成され、シース領域に入射した正イオン
は、10V程度のシース電位(プラズマ電位)によって基
板方向に加速され基板表面に垂直に入射する。
一方、中性ラジカルはシース電位に応答しないが、従
来例とは異なり超音速分子流の状態で基板表面に垂直に
入射する。従ってエッチングの選択性を決定する中性ラ
ジカルによる化学エッチングは非等方的となり、エッチ
ングの異方性を同時に与える。
また、イオンの基板表面への入射エネルギーは、シー
ス電位によって加速されてもなお20eV程度の物理的スパ
ッタしきい値より小さく、イオンによる基板表面の物理
的スパッタリングやイオンアシスト過程と呼ばれる中性
ラジカルとイオンとの競合過程によるエッチングは発生
せず、被エッチング薄膜表面層に対する損傷も生じな
い。
結局、この実施例のドライエッチング装置において
は、中性ラジカルによる非等方的化学エッチングが基板
上物質のエッチング過程を支配し、超高異方性のみなら
ず超高選択性及び極低損傷性をも同時に満足するエッチ
ングが行われることとなる。
このように本実施例では、放電によって生成されたプ
ラズマ10をノズル26を通して第1の真空室22内に超音速
膨張させてプラズマの超音速自由噴流Dを形成し、さら
にこの超音速自由噴流Dからスキマー28を通して第2の
真空室23内にプラズマの超音速分子流Eを抽出し、この
気体温度が極めて低い、すわち中性原子分子やイオンな
ど重粒子の熱運動速度が極めて小さく重粒子間の相互作
用が無視できるプラズマの超音速分子流をコリメーター
30を通して第3の真空室24内の被エッチング基板1に吹
きつけるように構成したので、プラズマのイオンや中性
原子分子は低温低エネルギー粒子ビームとして基板表面
に垂直に入射することとなる。この場合、イオンや中性
ラジカルの基板表面に対して水平方向の速度成分は垂直
方向の入射速度に比べて極めて小さく、また入射エネル
ギーは物理的スパッタしきい値に比べて遙かに小さくな
る。この結果中性ラジカルによる非等方的化学エッチン
グが基板上物質のエッチング過程を支配し、超高異方性
のみならず超高選択性と、極低損傷性をも同時に満足す
るエッチングを実現できる放電プラズマを用いたドライ
エッチング装置が得られる効果がある。
また、本実施例では第3図に示すようにノズル26−ス
キマー28間距離の連続可変機構を設けているので、諸条
件の変化に対応して状態の変化するプラズマの超音速自
由噴流Dから最適にプラズマの超音速分子流Eを抽出す
ることができる。
なお、上記実施例ではイオンや中性ラジカルの入射エ
ネルギーを物理的スパッタしきい値より小さく設定した
場合について説明したが、イオンの入射エネルギーを物
理的スパッタしきい値より大きく設定して、イオンによ
る物理的スパッタリング等を補助的に行うようにしても
よい。
例えば、被エッチング物質の種類によっては、イオン
の基板表面への入射エネルギーを物理的スパッタしきい
値より高くして、中性ラジカルによる非等方的化学エッ
チングのみならず、イオンによる物理的スパッタリング
や中性ラジカルとイオンとの競合過程であるイオンアシ
スト過程によるエッチングを付加する必要が生じる。従
って、色々な被エッチング物質に対応して最適なエッチ
ングを行うには、イオンの基板表面への入射エネルギー
を高くできる手段を独立に設けておくことが好ましい。
次にこのようなイオン入射エネルギーを増大する手段
を設けた場合について第5図を用いて説明する。
ここでは、図に示すように被エッチング基板1が載置
された電極2にRF電力を印加するRF電力印加手段43を設
け、電極2に自己バイアス電位を発生させることによっ
て、基板近傍に形成されるシースのシース電位(プラズ
マ電位+電極の自己バイアス電位)を高めている。すな
わちRF電力印加手段43によって電極2に印加するRF電力
を増大させると、基板近傍に形成されるシースのシース
電位は高くなり、シース領域に入射したイオンのシース
電位による加速が増大し、基板表面へのイオンの入射エ
ネルギーを高くすることができる。これにより、イオン
による物理的スパッタリングとイオンアシスト過程によ
るエッチングをも行なうことができる。
次に本発明の第2の実施例について説明する。第8図
は本発明の第2の実施例によるドライエッチング装置の
構成を示す要部断面図である。図において、第1図と同
一符号は同一または相当部分を示し、34は上記第2の真
空室23内に設置され、第2の真空室23内のプラズマの超
音速分子流Eから荷電粒子、つまりイオンや電子を除去
して中性原子分子気体の超音速分子流Fを形成するため
の一対の荷電粒子除去用電極、35はこの一対の電極34の
間に電圧を印加する直流電圧印加手段で、上記電極34及
び直流電圧印加手段35から荷電粒子除去手段が構成され
ている。またGはこの中性原子分子気体の超音速分子流
Fのうち、上記コリメーター30を通過して上記第3の真
空室24内に流入した中性原子分子気体の超音速分子流で
あり、上記被エッチング基板1はこの超音速分子流Gに
対向するよう上記第3の真空室24内の電極2上に配置さ
れている。
次に動作について説明する。
上記放電室21内でエッチングガスAを電離し、第1の
真空室22内で該電離気体を超音速膨張させて超音速自由
噴流Dを形成し、さらにスキマー28により該噴流Dから
超音速分子流Eを上記第2の真空室23内に抽出するとこ
ろまでは上記第1の実施例と同様であるのでその説明は
省略する。
上記第2の真空室23内には、プラズマの超音速分子流
Eを挟むように一対の荷電粒子除去用電極34が配設され
ており、この一対の電極34の間には直流電圧印加手段35
により電圧が印加されて、上記超音速分子流Eの中心軸
と直角方向に電界が生じている。従って、この一対の電
極34の間に流入したプラズマの超音速分子流Eのイオン
と電子は、超音速分子流Eの流れの中心軸と直角方向の
電界によってお互いに逆方向に分離,移動し、一対の電
極34に捕捉される。その結果、荷電粒子除去用電極34を
通過したプラズマの超音速分子流Eからはイオンと電子
が取り除かれ、中性原子分子気体の超音速分子流Fが取
り出される。
このようにして生成された中性原子分子気体の超音速
分子流Fにおいては、プラズマの超音速分子流Eと同
様、気体温度が絶対温度で数度以下と極めて低く、すな
わち中性原子分子の熱運動速度が極めて小さく、粒子間
の相互作用が無視できる。このような特性を有する中性
原子分子気体の超音速分子流Fは、第2の隔壁29に配置
されたコリメーター30を通過して第3の真空室24内に流
入する。なおここで該コリメーター30の開口径は上記第
1の実施例と同様、スキマー28の開口径と同程度以下で
あり、また第3の真空室24内の真空度は10-8〜10-7Torr
程度に保持され、これが第3の真空計13により表示され
ている。
そして上記第3の真空室24内では、コリメーター30を
通過して流入した中性原子分子気体の超音速分子流G
が、電極2上に載置された被エッチング基板1に垂直に
吹きつけられることとなる。
このように被エッチング基板1には、気体温度が絶対
温度で数度以下と極めて低い、すなわち中性原子分子の
熱運動速度が極めて小さく粒子間の相互作用が無視でき
る反応性中性原子分子気体の超音速分子流Gが吹きつけ
られるので、反応性中性原子分子気体の中性原子分子ラ
ジカルは低温低エネルギーの反応性粒子ビームとして基
板表面に垂直に入射する。従って、中性原子分子ラジカ
ルの基板表面と水平方向の速度成分は垂直方向の入射速
度に比べて極めて小さく、また入射エネルギーは物理的
スパッタしきい値に比べて遙かに小さい。
次にこの第2の実施例のドライエッチング装置におけ
る、中性原子分子気体の超音速分子流Gと基板上物質と
のエッチングのメカニズムについて第9図を用いて説明
する。
この実施例装置においては、プラズマではなく中性原
子分子気体を用いてエッチングを行うので、基板近傍に
空間荷電領域(シース)は形成されず、またイオンのエ
ッチングへの寄与も存在しない。一方、中性原子分子ラ
ジカルは超音速分子流の状態で基板表面に垂直に入射す
るので、中性ラジカルによる基板上物質の化学エッチン
グは非等方的となり、エッチングの選択性のみならず異
方性をも同時に与える。従ってこの実施例のドライエッ
チング装置においては、中性ラジカルによる非等方的化
学エッチングのみにより基板上物質のエッチングは進行
し、超高選択性と極低損傷性をも同時に満足するエッチ
ングが行われる。
なお、ここではプラズマの超音速分子流Eからイオン
や電子を取り除いて生成された中性原子分子気体の超音
速分子流Fは、原子ラジカルとしてClを含み、気体密度
は1012〜1015cm-3程度となっている。
このように、本実施例によれば、放電によって生成さ
れたプラズマ10をノズル26を通して第1の真空室22内に
超音速膨張させてプラズマの超音速自由噴流Dを形成
し、次にこの超音速自由噴流Dからスキマー28を通して
第2の真空室23内に気体温度が極めて低く重粒子間の相
互作用が無視できるプラズマの超音速分子流Eを抽出
し、さらにこのプラズマの超音速分子流Eから荷電粒子
除去手段によってイオンと電子を取り除いて、気体温度
が極めて低い、すなわち中性原子分子の熱運動速度が極
めて小さく粒子間の相互作用が無視できる中性原子分子
気体の超音速分子流Fを取り出し、この中性原子分子気
体の超音速分子流Fをコリメーター30を通して被エッチ
ング基板1に吹きつけるように構成したので、中性原子
分子が低温低エネルギー粒子ビームとして基板表面に垂
直に入射することになる。
この場合、中性原子分子ラジカルの基板表面と水平方
向の速度成分は垂直方向の入射速度に比べて極めて小さ
く、また入射エネルギーは物理的スパッタしきい値に比
べて遙かに小さい。従って中性原子分子ラジカルによる
非等方的化学エッチングのみにより基板上物質のエッチ
ングが進行し、これにより超高異方性のみならず超高選
択性および極低損傷性をも同時に満足するエッチングを
実現できる効果がある。
また、エッチングが中性原子分子ラジカルにより行わ
れるため、被エッチング基板のチャージアップによる静
電的な破壊を防止することができる効果もある。
なお、この第2の実施例ではプラズマの超音速分子流
Eのイオンと電子を、第2の真空室23内に設置した電荷
粒子除去用電極34によって取り除いて中性原子分子気体
の超音速分子流Fを取り出す場合について説明したが、
荷電粒子除去用電極34は第3の真空室24内に設置しても
よい。その場合、プラズマの超音速分子流Eはコリメー
タ30を通過して第3の真空室24内に流入し、第3の真空
室24内でプラズマの超音速分子流からイオンと電子を取
り除いて中性原子分子気体の超音速分子流を取り出すこ
とになる。
また、上記第2の実施例では荷電粒子除去手段に電界
のみを用いる場合について説明したが、電界と磁界の両
方を用いてもよい。
第10図は電界と磁界とを用いた構成を説明するための
断面構成図であり、この構成では中心に開口を有する一
対の電極34aがプラズマの超音速分子流Eに対向して設
置され、この一対の電極34aの間には直流電圧印加手段3
5により電圧が印加されて、超音速分子流Eの流れの方
向と平行に電界が生じている。
この場合、この一対の電極34aの間に流入したプラズ
マの超音速分子流Eのイオンと電子は、超音速分子流の
流れの中心軸に平行な電界によって互いに逆方向に分
離,移動し、一対の電極34aに捕捉される。ここで捕捉
しきれない荷電粒子は、一対の電極34aに続いて設置さ
れた永久磁石あるいは電磁コイルを用いた磁界印加手段
43aによって向きを変えられて超音速分子流から取り除
かれ、中性原子分子気体の超音速分子流Fが取り出され
る。ここで、直流電圧印加手段35の極性は負、磁界印加
手段43aによる磁界の方向は超音速分子流に直角なγ方
向、またIは磁界γにより向きを変えられたイオン流で
ある。
さらに上記第1、第2の実施例では、反応性気体放電
室21内のプラズマの生成を、RFを用いた高周波誘導グロ
ー放電あるいはアーク放電により、つまり放電室の外側
に取り付けたコイル等により間接的にその内部に高周波
電流を誘導して行う場合について説明したが、これはプ
ラズマをRFあるいはマイクロ波などを用いた高周波グロ
ー放電あるいはアーク放電により行う、つまり、例えば
RF放電の場合、放電室21内に対向電極を配置してこれに
より直接該放電室内に高周波電力を導入してプラズマの
生成を行うようにしてもよく、また電子ビーム,イオン
ビーム,中性粒子ビーム,レーザービームなどを用いた
ビーム照射電離放電によりプラズマを生成する構成とし
てもよい。
また、上記各実施例では、エッチングガスAとして塩
素とアルゴンの混合ガスを用い、被エッチング基板1上
の多結晶シリコンをエッチングする場合について説明し
たが、その他のエッチングガスを選択してもよく、また
多結晶シリコン以外の被エッチング物質を適当なエッチ
ングガスを選択してエッチングを行ってもよい。
さらに上記各実施例ではRF電力印加手段6および43の
周波数が13.56MHzの場合について説明したが、その他の
周波数を用いてもよい。
さらにまた、上述の実施例ではノズル26の開口径が1m
m程度の場合について説明したが、第1の真空排気手段3
1の排気速度を増強してノズル26の開口径を1mm程度より
大きくし、さらに第2の真空排気手段32の排気速度を増
強してスキマー28の開口径をノズル26の開口径に適応し
て大きくしてもよい。
この場合、第1の実施例装置では、スキマー28を通し
て抽出されるプラズマの超音速分子流Eの流束は増大
し、第3の真空排気手段33の排気速度を増強してコリメ
ーター30の径を大きくすることにより、被エッチング基
板1上の被エッチング面積とエッチング速度が増大す
る。
また、第2の実施例装置では、スキマー28を通して抽
出されるプラズマの超音速分子流Eの流束ひいては荷電
粒子除去用電極34を通過して取り出される中性原子分子
気体の超音速分子流Fの流束が増大し、第3の真空排気
手段33の排気速度を増強してコリメーター30の径を大き
くすることにより、被エッチング基板1上の被エッチン
グ面積とエッチング速度が増大する。
また、第11図は、この発明の第3の実施例によるドラ
イエッチング装置の構成を示す要部断面図である。図に
おいて、21は放電室、22はこの放電室21に隣接して配置
された第1の真空室、23はこの第1の真空室22に隣接し
て配置された第2の真空室、24はこの第2の真空室23に
隣接して配置され、被エッチング基板1を載置するため
の電極2を有する第3の真空室、26aは上記反応性気体
放電室21の一端25に設置された開口部断面が矩形スリッ
ト状の二次元ノズル、27は上記第1の真空室22と上記第
2の真空室23とを仕切る第1の隔壁、28aはこの第1の
隔壁27に設置された、開口部断面が矩形スリット状の二
次元スキマー、29は上記第2の真空室23と上記第3の真
空室24とを仕切る第2の隔壁、30aはこの第2の隔壁29
に設置された断面が矩形スリット状のコリメーターであ
る。
また、31は上記第1の真空室22の排気を行う第1の真
空排気手段、32,33はそれぞれ上記第2,第3の真空室23,
24の排気のための第2,第3の真空排気手段、7は上記放
電室21内に供給するエッチングガスAを充填したガスボ
ンベ、8はこのガスボンベ7から上記放電室21内へのエ
ッチングガスの流量を調節するガス流量制御手段、9は
上記放電室21内のガス圧力を監視するための圧力計、11
〜13はそれぞれ上記第1〜第3の真空室22〜24内の真空
度を監視するための第1〜第3の真空計、14は上記放電
室21の周囲に設置された高周波誘導コイル、6はこのコ
イル14にRF電力を印加するRF電力印加手段である。
また、10は上記放電室21の上記コイル14が設置された
部分に生じるRF誘導放電プラズマ、Dはこのプラズマ10
が上記ノズル26aを通して上記第1の真空室22内に超音
速膨張することによって形成されたプラズマの超音速自
由噴流、Eはこのプラズマの超音速自由噴流Dから上記
スキマー28aを通して上記第2の真空室23内に抽出され
たプラズマの超音速分子流、Jはこのプラズマの超音速
分子流Eのうち、上記コリメーター30aを通過して上記
第3の真空室24内に流入したプラズマの超音速分子流で
あり、上記被エッチング基板1はこのプラズマの超音速
分子流Jに対向するよう上記第3の真空室24内の電極2
上に設置されている。
なお、開口部断面が矩形スリット状のノズル26a,スキ
マー28aおよびコリメーター30aは同一平面上に配置さ
れ、上記第1の真空室22内の超音速自由噴流D、上記第
2の真空室23内の超音速分子流E、および上記第3の真
空室24内の超音速分子流Jの中心面と同一面上にある。
また、被エッチング基板1上の被エッチング材,下地
物質,フォトレジストとしては、例えば従来例と同じく
多結晶シリコン,酸化シリコン,PMMAがそれぞれ用いら
れ、ガスボンベ7内に充填されるエッチングガスAとし
ても、例えば従来例と同じく塩素とアルゴンの混合ガス
が用いられる。また、RF電力印加手段6の周波数も、例
えば従来例と同じく13.56MHzである。
次に、上記実施例に係るドライエッチング装置の動作
について説明する。
まず、第1〜第3の真空排気手段31〜33により、それ
ぞれ第1〜第3の真空室22〜24の排気を行い、反応性気
体放電室21と第1〜第3の真空室22〜24を所定の真空度
にする。
次いで第1〜第3の真空排気手段31〜33による排気を
行いつつ、放電室21内にガスボンベ7からガス流量制御
手段8を通してエッチングガスAを導入し、さらに圧力
計9により放電室21内のガス圧力を監視しつつ、ガス流
量制御手段8によりエッチングガス流量を調節して放電
室21内のガス圧力を設定する。
続いて、RF電力印加手段6により高周波誘導コイル14
にRF電力を印加すると、放電室21内のエッチングガス
は、RF誘導グロー放電あるいはアーク放電により電離
し、反応性弱電離プラズマ10が発生する。ここで、上記
放電室21内の圧力は102〜103Torr程度、温度は103〜104
度程度であり、圧力は圧力計9により示される。
放電室21において生成されたエッチングガスAのプラ
ズマは、開口部断面が矩形スリット状の二次元ノズル26
aを通過して第1の真空室22内に超音速膨張し、超音速
自由噴流Dを形成する。該ノズル26aの開口部は例えば
0.5×50mm(縦横比100)程度で、また第1の真空室22内
の真空度は10-3〜10-2Torr程度に保持されており、これ
は第1の真空計11により表示される。
第12図に超音速自由噴流Dの詳細を示す。超音速自由
噴流は、静寂領域(Zone of Silence)と呼ばれる超音
速自由膨張流の領域と、この静寂領域を取り囲む樽型衝
撃波(Barrel Shock)及びマッハ円盤(Mach Disk)と
呼ばれる衝撃波とによって特徴づけられる。なお、樽型
衝撃波の周囲にはジェット境界(Jet Boundary)が、ま
たマッハ円盤の下流には反射衝撃波(Reflected Shoc
k)が存在する。静寂領域内の超音速自由膨張流におい
ては、流れの中心軸に沿って下流に移るに従い、気体の
超音速自由膨張、言いかえれば気体の断熱膨張によりプ
ラズマの密度と温度、すなわちプラズマを構成する中性
原子分子,イオン,および電子の密度と温度が減少す
る。従って、プラズマの粒子間衝突頻度は減少し電離度
は凍結するが、流速は増大する。そして、ノズル26aか
ら該ノズル26aの開口部短辺の10倍程度以上下流におい
て、プラズマの気体温度、すなわち中性原子分子やイオ
ンなど重粒子の温度は絶対温度で数度以下の極低温とな
り、重粒子間の衝突頻度はほぼ無限小となる。但し、プ
ラズマの電子温度は重粒子の温度ほどには低下せず、10
3度程度に止まる。
このようなプラズマの超音速自由噴流Dにおいて、流
れの方向に沿って超音速自由膨張が十分に発達してプラ
ズマの気体温度が十分に低下し、中性原子分子やイオン
など重粒子の熱運動速度が極めて小さく重粒子間の相互
作用が無視できる位置に、開口部断面が矩形スリット状
の二次元スキマー28aを配置する。具体的には第1の隔
壁27にスキマー28aを設置し、該スキマー28a開口部は、
超音速自由噴流Dの上流に攪乱を与えない形状を有し、
その開口部の短辺がノズル26aの開口部の短辺の2〜3
倍程度以下のものとする。このようなスキマー28aによ
り第1の真空室22内に形成されたプラズマの超音速自由
噴流Dの静寂領域における中心軸付近の部分が、第2の
真空室23内に超音速分子流Eとして抽出される。この第
2の真空室23内の真空度は10-6〜10-5Torr程度に保持さ
れており、これが第2の真空計12により表示される。ま
た、超音速分子流Eの流れに垂直な断面形状は矩形スリ
ット状となる。
ところで、プラズマの超音速自由噴流Dの状態、例え
ばその静寂領域の大きさや流れの方向に沿ってのプラズ
マの気体密度,温度,流速などの物理的諸量の変化は、
ノズル26aの形状と開口部の大きさ、放電室21内の圧力
及び第1の真空室22内の真空度などの諸条件によって規
定される。従って、第1の真空室22内に形成されるプラ
ズマの超音速自由噴流Dの静寂領域からスキマー28aを
通して第2の真空室23内へプラズマの超音速分子流Eを
抽出する場合、該抽出を色々な諸条件の変化に対応して
最適に保つためには、ノズル26aとスキマー28aとの間の
距離を連続的に可変とする機構を設けておくことが好ま
しい。
第13図にこのようなノズル26a−スキマー28a間距離の
連続可変機構の一例を示す。図において、放電室21は例
えばベローズ41によって第1の真空室22に接続され、こ
のベローズ41の長さを伸縮させて放電室21を第13図に示
す矢印α及びβ方向に動かすことにより、ノズル26a−
スキマー28a間距離を連続的に変えることができる。従
って、諸条件の変化に対応して状態の変化するプラズマ
の超音速自由噴流Dから最適にプラズマの超音速分子流
Eを抽出することができる。
このようにして第2の真空室23内に抽出されたプラズ
マの超音速分子流Eにおいては、プラズマの気体温度が
絶対温度で数度以下と極めて低い、すなわち中性原子分
子やイオンなど重粒子の熱運動速度が極めて小さく重粒
子間の相互作用が無視できる。このような特性を有する
プラズマの超音速分子流Eは、第2の隔壁29に設置され
た断面が矩形スリット状のコリメーター30aを通過して
第3の真空室24内に流入する。ここで、コリメーター30
の開口部の短辺はスキマー28aの開口部の短辺と同程度
以下であり、第3の真空室24内の真空度は10-8〜10-7To
rr程度に保持されており、これが第3の真空計13により
示される。第3の真空室24内にコリメーター30aを通過
して流入したプラズマの超音速分子流Jに対向して、被
エッチング基板1が電極2上に配置されているので、プ
ラズマの超音速分子流Jは被エッチング基板1に対し垂
直に吹きつけられることとなる。また、超音速分子流J
の流れに垂直な断面形状は矩形スリット状となる。
このように被エッチング基板1には、気体温度が絶対
温度で数度以下と極めて低い、すなわち中性原子分子や
イオンなど重粒子の熱運動速度が極めて小さく、重粒子
間の相互作用が無視できる反応性弱電離プラズマの超音
速分子流Jが吹きつけられるので、反応性弱電離プラズ
マのイオンや中性原子分子ラジカルなどは低温低エネル
ギー反応性粒子ビームとして基板表面に垂直に入射す
る。従って、イオンや中性原子分子ラジカルの基板表面
に対して水平方向の速度成分は垂直方向の入射速度に比
べて極めて小さくなり、また入射エネルギーは物理的ス
パッタしきい値に比べて遙かに小さくなる。
ここで、エッチングガスAとして、例えば従来例と同
じく塩素Cl2とアルゴンArの混合ガスを用いた場合、中
性原子ラジカルとしてはCl、原子イオンとしてはCl+とA
r+、そして分子イオンとしてはCl2 +が生じる。この例の
場合、分子ラジカルは存在しない。また、プラズマの超
音速分子流の気体密度、すなわち中性原子分子やイオン
など重粒子の密度は1012〜1015cm-3、プラズマ密度は10
9〜1012cm-3程度である。
第14図はこの実施例のプラズマの超音速分子流を用い
たドライエッチング装置において、プラズマの超音速分
子流に対向する電極上に配置された基板上物質がエッチ
ングされるメカニズムを説明するための概略図である。
この場合も、従来例と同じく基板近傍には空間電荷領域
(シース)が形成され、シース領域に入射した正イオン
は、10V程度のシース電位(プラズマ電位)によって基
板方向に加速され基板表面に垂直に入射する。
一方、中性ラジカルはシース電位に応答しないが、従
来例とは異なり超音速分子流の状態で基板表面に垂直に
入射する。従ってエッチングの選択性を決定する中性ラ
ジカルによる化学エッチングは非等方的となり、エッチ
ングの異方性が同時に得られる。
また、イオンの基板表面への入射エネルギーはシース
電位によって加速されてもなお20eV程度の物理的スパッ
タしきい値より小さく、イオンによる基板表面の物理的
スパッタリングやイオンアシスト過程と呼ばれる中性ラ
ジカルとイオンとの競合過程によるエッチングは発生せ
ず、被エッチング薄膜表面層に対する損傷も生じない。
結局、この実施例のドライエッチング装置において
は、中性ラジカルによる非等方的化学エッチングが基板
上物質のエッチング過程を支配し、超高異方性のみなら
ず超高選択性及び極低損傷性をも同時に満足するエッチ
ングが行われることとなる。
このように本実施例では、放電によって生成されたプ
ラズマ10をノズル26aを通して第1の真空室22内に超音
速膨張させてプラズマの超音速自由噴流Dを形成し、さ
らにこの超音速自由噴流Dからスキマー28aを通して第
2の真空室23内にプラズマの超音速分子流Eを抽出し、
この気体温度が極めて低い、すなわち中性原子分子やイ
オンなど重粒子の熱運動速度が極めて小さく重粒子間の
相互作用が無視できるプラズマの超音速分子流をコリメ
ーター30aを通して第3の真空室24内の被エッチング基
板1に吹きつけるように構成したので、プラズマのイオ
ンや中性原子分子は低温低エネルギー粒子ビームとして
基板表面に垂直に入射することとなる。この場合、イオ
ンや中性ラジカルの基板表面に対して水平方向の速度成
分は垂直方向の入射速度に比べて極めて小さく、また入
射エネルギーは物理的スパッタしきい値に比べて遙かに
小さくなる。この結果中性ラジカルによる非等方的化学
エッチングが基板上物質のエッチング過程を支配し、超
高異方性のみならず超高選択性と、極低損傷性をも同時
に満足するエッチングを実現できる放電プラズマを用い
たドライエッチング装置が得られる効果がある。
また、本実施例では第13図に示すようにノズル26a−
スキマー28a間距離の連続可変機構を設けているので、
諸条件の変化に対応して状態の変化するプラズマの超音
速自由噴流Dから最適にプラズマの超音速分子流Eを抽
出することができる。
なお、上記実施例ではイオンや中性ラジカルの入射エ
ネルギーを物理的スパッタしきい値より小さく設定した
場合について説明したが、イオンの入射エネルギーを物
理的スパッタしきい値より大きく設定して、イオンによ
る物理的スパッタリングを補助的に行うようにしてもよ
い。
例えば、被エッチング物質の種類によっては、イオン
の基板表面への入射エネルギーを物理的スパッタしきい
値より高くして、中性ラジカルによる非等方的化学エッ
チングのみならず、イオンによる物理的スパッタリング
や中性ラジカルとイオンとの競合過程であるイオンアシ
スト過程によるエッチングを付加する必要が生じる。従
って、色々な被エッチング物質に対応して最適なエッチ
ングを行うには、イオンの基板表面への入射エネルギー
を高くできる手段を独立に設けておくことが好ましい。
第15図に、このようなイオン入射エネルギーを増大す
る手段を設けた場合について示す。
ここでは、被エッチング基板1が載置された電極2に
RF電力を印加するRF電極印加手段43を設け、電極2に自
己バイアス電位を発生させることによって、基板近傍に
形成されるシースのシース電位(プラズマ電位+電極の
自己バイアス電位)を高めている。すなわちRF電力印加
手段43によって電極2に印加するRF電力を増大させる
と、基板近傍に形成されるシースのシース電位は高くな
り、シース領域に入射したイオンのシース電位による加
速が増大し、基板表面へのイオンの入射エネルギーを高
くすることができる。これにより、中性ラジカルによる
非等方的化学エッチングのみならず、イオンによる物理
的スパッタリングや中性ラジカルとイオンの競合過程で
あるイオンアシスト過程によるエッチングも進行する。
次に本発明の第4の実施例について説明する。第16図
は本発明の第4の実施例によるドライエッチング装置の
構成を示す要部断面図である。図において、第11図と同
一符号は同一または相当部分を示し、34は上記第2の真
空室23内に設置され、第2の真空室23内のプラズマの超
音速分子流Eから荷電粒子、つまりイオンや電子を除去
して中性原子分子気体の超音速分子流Fを形成するため
の一対の荷電粒子除去用電極、35はこの一対の電極34の
間に電圧を印加する直流電圧印加手段で、上記電極34及
び直流電圧印加手段35から荷電粒子除去手段が構成され
ている。またGはこの中性原子分子気体の超音速分子流
Fのうち、上記コリメーター30aを通過して上記第3の
真空室24内に流入した中性原子分子気体の超音速分子流
であり、上記被エッチング基板1はこの超音速分子流G
に対向するよう上記第3の真空室24内の電極2上に配置
されている。
次に動作について説明する。
上記放電室21内でエッチングガスAを電離し、該電離
気体を開口部断面が矩形スリット状の二次元ノズル26a
を通して第1の真空室22内にて超音速膨張させ、超音速
自由噴流Dを形成し、さらに開口部断面が矩形スリット
状の二次元スキマー28aにより、該超音速自由噴流Dか
ら流れに垂直な断面形状が矩形スリット状のプラズマの
超音速分子流Eを上記第2の真空室23内に抽出するとこ
ろまでは上記第3の実施例と同様であるのでその説明は
省略する。
上記第2の真空室23内には、プラズマの超音速分子流
Eを挟むように一対の荷電粒子除去用電極34が配設され
ており、この一対の電極34の間には直流電圧印加手段35
により電圧が印加されて、上記超音速分子流Eの流れの
方向と直角方向に電界が生じている。従って、この一対
の電極34の間に流入したプラズマの超音速分子流Eのイ
オンと電子は、超音速分子流Eの流れの方向と直角方向
の電界によってお互いに逆方向に分離,移動し、一対の
電極34に捕捉される。その結果、荷電粒子除去用電極34
を通過したプラズマの超音速分子流Eからはイオンと電
子が取り除かれ、中性原子分子気体の超音速分子流Fが
取り出される。ここで、超音速分子流Fの流れに垂直な
断面形状も矩形スリット状である。
このようにして生成された中性原子分子気体の超音速
分子流Fにおいては、プラズマの超音速分子流Eと同
様、気体温度が絶対温度で数度以下と極めて低く、すな
わち中性原子分子の熱運動速度が極めて小さく、粒子間
の相互作用が無視できる。このような特性を有する中性
原子分子気体の超音速分子流Fは、第2の隔壁29に配置
された断面が矩形スリット状のコリメーター30aを通過
して第3の真空室24内に流入する。なおここで該コリメ
ーター30aの開口部の短辺は上記第3の実施例と同様、
スキマー28aの開口部の短辺と同程度以下であり、また
第3の真空室24内の真空度は10-8〜10-7Torr程度に保持
され、これが第3の真空計13により表示されている。
そして上記第3の真空室24内では、コリメーター30a
を通過して流入した中性原子分子気体の超音速分子流G
が、電極2上に載置された被エッチング基板1に垂直に
吹きつけられることとなる。また、超音速分子流Gの流
れに垂直な断面形状は矩形スリット状となる。
このように被エッチング基板1には、気体温度が絶対
温度で数度以下と極めて低い、すなわち中性原子分子の
熱運動速度が極めて小さく粒子間の相互作用が無視でき
る反応性中性原子分子気体の超音速分子流Gが吹きつけ
られるので、反応性中性原子分子気体の中性原子分子ラ
ジカルは低温低エネルギーの反応性粒子ビームとして基
板表面に垂直に入射する。従って、中性原子分子ラジカ
ルの基板表面に水平方向の速度成分は垂直方向の入射速
度に比べて極めて小さく、また入射エネルギーは物理的
スパッタしきい値に比べて遙かに小さい。
第17図は、この第4の実施例のドライエッチング装置
において、中性原子分子気体の超音速分子流に対向して
配置された基板上物質がエッチングされるメカニズムを
説明するための概略図である。この実施例装置において
は、プラズマではなく中性原子分子気体を用いてエッチ
ングを行うので、基板近傍に空間電荷領域(シース)は
形成されず、またイオンのエッチングへの寄与も存在し
ない。一方、中性原子分子ラジカルは超音速分子流の状
態で基板表面に垂直に入射するので、中性ラジカルによ
る基板上物質の化学エッチングは非等方的となり、エッ
チングの選択性のみならず異方性をも同時に与える。従
ってこの実施例のドライエッチング装置においては、中
性ラジカルによる非等方的化学エッチングのみにより基
板上物質のエッチングは進行し、超高異方性のみならず
超高選択性と極低損傷性をも同時に満足するエッチング
が行われる。
なお、ここではプラズマの超音速分子流Eからイオン
や電子を取り除いて生成された中性原子分子気体の超音
速分子流Fは、原子ラジカルとしてClを含み、気体密度
は1012〜1015cm-3程度となっている。
このように本実施例によれば、放電によって生成され
たプラズマ10をノズル26aを通して第1の真空室22内に
超音速膨張させてプラズマの超音速自由噴流Dを形成
し、次にこの超音速自由噴流Dからスキマー28aを通し
て第2の真空室23内に気体温度が極めて低く重粒子間の
相互作用が無視できるプラズマの超音速分子流Eを抽出
し、さらにこのプラズマの超音速分子流Eから荷電粒子
除去手段によってイオンと電子を取り除いて、気体温度
が極めて低い、すなわち中性原子分子の熱運動速度が極
めて小さく粒子間の相互作用が無視できる中性原子分子
気体の超音速分子流Fをコリメーター30aを通して被エ
ッチング基板1に吹きつけるように構成したので、中性
原子分子が低温低エネルギー粒子ビームとして基板表面
に垂直に入射することになる。
この場合、中性原子分子ラジカルの基板表面と水平方
向の速度成分は垂直方向の入射速度に比べて極めて小さ
く、また入射エネルギーは物理的スパッタしきい値に比
べて遙かに小さい。従って中性原子分子ラジカルによる
非等方的化学エッチングのみにより基板上物質のエッチ
ングが進行し、これにより超高異方性のみならず超高選
択性および極低損傷性をも同時に満足するエッチングを
実現できる効果がある。
また、エッチングが中性原子分子ラジカルにより行わ
れるため、荷電粒子による被エッチング基板の帯電(チ
ャージアップ)による静電的な破壊を防止することがで
きる効果もある。
なお、この第4の実施例ではプラズマの超音速分子流
Eのイオンと電子を、第2の真空室23内に設置した電荷
粒子除去用電極34によって取り除いて中性原子分子気体
の超音速分子流Fを取り出す場合について説明したが、
荷電粒子除去用電極34は第3の真空室24内に設置しても
よい。その場合プラズマの超音速分子流Eはコリメータ
30aを通過して第3の真空室24内に流入し、第3の真空
室24内でプラズマの超音速分子流からイオンと電子を取
り除いて中性原子分子気体の超音速分子流を取り出すこ
とになる。
また、上記第4の実施例では荷電粒子除去手段に電界
のみを用いる場合について説明したが、電界と磁界の両
方を用いてもよい。
第18図は電界と磁界とを用いた構成を説明するための
断面構成図であり、この構成では中心に矩形の開口部を
有する一対の電極34aがプラズマの超音速分子流Eに対
向して設置され、この一対の電極34aの間には直流電圧
印加手段35により電圧が印加されて、超音速分子流Eの
流れの方向と平行に電界が生じている。
この場合、この一対の電極34aの間に流入したプラズ
マの超音速分子流Eのイオンと電子は、超音速分子流の
流れの方向に平行な電界によって互いに逆方向に分離,
移動し、さらに一対の電極34aに続いて設置された永久
磁石あるいは電磁コイルを用いた磁界印加手段43aによ
って向きを変えられて超音速分子流から取り除かれ、中
性原子分子気体の超音速分子流Fが取り出される。ここ
で、直流電圧印加手段35の極性は負、磁界印加手段43a
による磁界の方向は超音速分子流の流れの方向に直角な
γ方向、またIは磁界γにより向きを変えられたイオン
流である。
さらに本発明の第5の実施例について説明する。第19
図は、本発明の第5の実施例によるドライエッチング装
置における被エッチング基板1の付近を示す部分断面図
である。図において、第11図,第16図と同一符号は同一
または相当部分を示し、50は被エッチング基板1の位置
を、エッチングに際してプラズマの超音速分子流Jある
いは中性原子分子気体の超音速分子流Gに対して相対的
に移動させる方向を示している。
次に動作について説明する。本発明の第3,第4の実施
例においては、放電室21で生成されたプラズマを、開口
部断面が矩形スリット状の二次元ノズル26aを通して第
1の真空室22内に超音速膨張させてプラズマの超音速自
由噴流Dを形成し、さらにこの超音速自由噴流Dから開
口部断面が矩形スリット状の二次元スキマー28aを通し
て第2の真空室23内にプラズマの超音速分子流Eを抽出
しているので、この超音速分子流Eはその流れに垂直な
断面形状が矩形スリット状のシート状ビームとなる。従
って、それに続いて断面が矩形スリット状のコリメータ
ー30aを通過して第3の真空室24内に流入したプラズマ
の超音速分子流J、あるいは荷電粒子除去用電極34とコ
リメーター30aを通過して、第3の真空室24内に流入し
た中性原子分子気体の超音速分子流Gについて、その流
れに垂直な断面形状は矩形スリット状となる。従ってエ
ッチングに際して、その短辺方向50に被エッチング基板
1の位置を移動させることにより、超高異方性,超高選
択性および極低損傷性を同時に満足するエッチングがよ
り大口径基板に対して可能となる効果がある。ここで、
エッチング可能な被エッチング基板1の口径は、シート
状ビームであるプラズマの超音速分子流Jあるいは中性
原子分子気体の超音速分子流Gの流れに垂直な断面の長
辺程度、ひいては断面が矩形スリット状の二次元ノズル
26aおよび二次元スキマー28aの開口部の長辺程度とな
る。
なお、上記第3,第4,第5の実施例は、放電試室21内の
プラズマの生成を、RFを用いた高周波誘導グロー放電あ
るいはアーク放電により、つまり放電室の外側に設置し
たコイル14等により間接的にその内部に高周波電界を誘
導して行う場合について説明したが、これはプラズマを
RFあるいはマイクロ波などを用いた高周波グロー放電あ
るいはアーク放電により行う、つまり放電室21内に対向
電極あるいはアンテナを配置して、これにより直接該放
電室内に高周波電界を発生してプラズマの生成を行うよ
うにしてもよく、またマイクロ波ビーム,電子ビーム,
イオンビーム,中性粒子ビーム、レーザービームなどを
用いたビーム照射電離放電によりプラズマを生成する構
成としてもよい。
また、上記各実施例では、エッチングガスAとして塩
素とアルゴンの混合ガスを用い、被エッチング基板1上
の多結晶シリコンをエッチングする場合について説明し
たが、その他のエッチングガスを選択してもよく、また
多結晶シリコン以外の被エッチング物質を適当なエッチ
ングガスを選択してエッチングを行ってもよい。
さらに上記各実施例では、RF印加手段6および43の周
波数が13.56MHzの場合について説明したが、その他の周
波数を用いてもよい。
さらにまた、上記各実施例では断面が矩形スリット状
の二次元ノズル26aの開口部が0.5×50mm(縦横比100)
程度の場合について説明したが、第1の真空排気手段31
の排気速度を増強して、ノズル26aの開口部面積を大き
くし、さらに第2の真空排気手段32の排気速度を増強し
て断面が矩形スリット状の二次元スキマー28aの開口部
面積をノズル26aの開口部面積に適応して大きくしても
よい。
この場合、第3の実施例装置ではスキマー28aを通し
て抽出されるプラズマの超音速分子流Eの流束は増大
し、第3の真空排気手段33の排気速度を増強してコリメ
ーター30aの開口部を大きくすることにより、被エッチ
ング基板1上の被エッチング面積とエッチング速度が増
大する。
また第4の実施例装置では、スキマー28aを通して抽
出されるプラズマの超音速分子流Eの流束、ひいては荷
電粒子除去用電極34を通過して取り出される中性原子分
子気体の超音速分子流Fの流束が増大し、第3の真空排
気手段33の排気速度を増強してコリメーター30aの開口
部を大きくすることにより、被エッチング基板1上の被
エッチング面積とエッチング速度が増大する。
さらに、第5の実施例装置では、特に断面が矩形スリ
ット状の二次元ノズル26aおよび二次元スキマー28aの開
口部の縦横比を大きくすることが有効である。開口部の
長辺をより長くして、被エッチング基板1の位置を流れ
に垂直な断面形状が矩形スリット状となる超音速分子流
JあるいはGに対して相対的に、その短辺方向に移動さ
せながらエッチングを行うことにより、より大口径基板
のエッチングが可能となる。
さらに、第20図はこの発明の第6の実施例によるドラ
イエッチング装置の構成を示す要部断面図である。図に
おいて、21は放電室、22はこの放電室21に隣接して配置
された第1の真空室、23はこの第1の真空室22に隣接し
て配置された第2の真空室、24はこの第2の真空室23に
隣接して配置され、被エッチング基板1を載置するため
の電極2を有する第3の真空室、26は上記放電室21の一
端25に設置されたノズル、27は上記第1の真空室22と上
記第2の真空室23とを仕切る第1の隔壁、28はこの第1
の隔壁27に設置されたスキマー、29は上記第2の真空室
23と上記第3の真空室24とを仕切る第2の隔壁、30はこ
の第2の隔壁29に設置されたコリメーターである。
また、31は上記第1の真空室22の排気を行う第1の真
空排気手段、32,33はそれぞれ上記第2,第3の真空室23,
24の排気のための第2,第3の真空排気手段、7は上記放
電室21内に供給するエッチングガスAを充填した第1の
ガスボンベ、8はこの第1のガスボンベ7から上記放電
室21内へのエッチングガスの流量を調節する第1のガス
流量制御手段、15は上記放電室21内に供給する軽元素ガ
スBを充填した第2のガスボンベ、16はこの第2のガス
ボンベ15から上記放電室21内への軽元素ガスの流量を調
節する第2のガス流量制御手段、9は上記放電室21内の
ガス圧力を監視するための圧力計、11〜13はそれぞれ上
記第1〜第3の真空室22〜24内の真空度を監視するため
の第1〜第3の真空計、14は上記放電室21の周囲に設置
された高周波誘導コイル、6はこのコイル14にRF電力を
印加するRF電力印加手段である。
また、10は上記放電室21の上記コイル14が設置された
部分に生じるRF誘導放電プラズマ、Dはこのプラズマ10
が上記ノズル26を通して上記第1の真空室22内に超音速
膨張することによって形成されたプラズマの超音速自由
噴流、Eはこのプラズマの超音速自由噴流Dから上記ス
キマー28を通して上記第2の真空室23内に抽出されたプ
ラズマの超音速分子流、Jはこのプラズマの超音速分子
流Eのうち、上記コリメーター30を通過して上記第3の
真空室24内に流入したプラズマの超音速分子流であり、
上記被エッチング基板1はこのプラズマの超音速分子流
Jに対向するよう上記第3の真空室24内の電極2上に設
置されている。
なお、上記ノズル26,上記スキマー28およびコリメー
ター30は一直線上に配置され、上記第1の真空室22内の
超音速自由噴流D、上記第2の真空室23内の超音速分子
流E、および上記第3の真空室24内の超音速分子流Jの
中心軸と同一軸上にある。
また、被エッチング基板1上の被エッチング材,下地
物質,フォトレジストとしては、例えば従来例と同じく
多結晶シリコン,酸化シリコン,PMMAがそれぞれ用いら
れ、第1のガスボンベ7内に充填されるエッチングガス
Aとしても、例えば従来例と同じく塩素が用いられる。
また、RF電力印加手段6の周波数も、例えば従来例と同
じく13.56MHzである。
さらに、第2のガスボンベ15内に充填される軽元素ガ
スBとしては例えばヘリウムHeが用いられる。
次に、上記実施例に係るドライエッチング装置の動作
について説明する。
まず、第1〜第3の真空排気手段31〜33により、それ
ぞれ第1〜第3の真空室22〜24の排気を行い、放電室21
と第1〜第3の真空室22〜24を所定の真空度にする。次
いで第1〜第3の真空排気手段31〜33による排気を行い
つつ、放電室21内に第1のガスボンベ7から第1のガス
流量制御手段8を通してエッチングガスAを導入し、さ
らに第2のガスボンベ15から第2のガス流量制御手段16
を通して、軽元素ガスBを導入する。そして、圧力計9
により放電室21内のガス圧力を監視しつつ、第1のガス
流量制御手段8によりエッチングガス流量を、さらに第
2のガス流量制御手段16により軽元素ガス流量を調節し
て放電室21内のガス圧力を設定する。
続いて、RF電力印加手段6により高周波誘導コイル14
にRF電力を印加すると、放電室21内のエッチングガスと
軽元素ガスの混合ガスは、RF誘導グロー放電あるいはア
ーク放電により電離し、反応性弱電離プラズマ10が発生
する。ここで、上記放電室21内の圧力は102〜103Torr程
度、温度は103〜104度程度で、これが圧力計9により示
される。
放電室21において生成されたエッチングガスAと軽元
素ガスBの混合気体のプラズマは、ノズル26を通過して
第1の真空室22内に超音速膨張し、超音速自由噴流Dを
形成する。該ノズル26の開口径は例えば1mm程度で、ま
た第1の真空室22内の真空度は10-3〜10-2Torr程度に保
持されており、これは第1の真空計11により表示され
る。
第21図に、超音速自由噴流Dの詳細を示す。超音速自
由噴流は、静寂領域(Zone of Silence)と呼ばれる超
音速自由膨張流の領域と、この静寂領域を取り囲む樽型
衝撃波(Barrel Shock)及びマッハ円盤(Mach Disk)
と呼ばれる衝撃波とによって特徴づけられる。なお、樽
型衝撃波の周囲にはジェット境界(Jet Boundary)が、
またマッハ円盤の下流には反射衝撃波(Reflected Shoc
k)が存在する。静寂領域内の超音速自由膨張流におい
ては、流れの方向に沿って下流に移るに従い、気体の超
音速自由膨張、言いかえれば気体の断熱膨張によりプラ
ズマの密度と温度、すなわちプラズマを構成する中性原
子分子,イオン,および電子の密度と温度が減少する。
従って、プラズマの粒子間衝突頻度は減少し電離度は凍
結するが、流速は増大する。そして、ノズル26から該ノ
ズル26の開口径の10倍程度以上下流において、プラズマ
の気体温度、すなわち中性原子分子やイオンなど重粒子
の温度は絶対温度で数度以下の極低温となり、重粒子間
の衝突頻度はほぼ無限小となる。但し、プラズマの電子
温度は重粒子の温度ほどには低下せず、103度程度に止
まる。
第22図に、超音速自由噴流Dの静寂領域における流れ
の特性の詳細を単原子分子気体について示す。気体の温
度がT0に保たれている放電室21からノズル26を通過して
第1の真空室22内に超音速自由膨張する流れにおいて
は、その中心軸に沿って下流に移るに従い、気体温度T
は低下する一方、流れの速度uは増大する。この場合、
流れのエンタルピー保存を考慮すると、速度uに関する
運動エネルギー1/2Mu2の値の上限は1/2・5kT0となり、
従って速度uの値の上限は(5kT0/M)1/2となる。ここ
でMは原子の質量、kはボルツマン定数である。軽元素
気体ヘリウムHeと例えばアルゴンArとを比較すると、温
度T0が同一の場合、Heの上限速度(5kT0/MHe1/2はAr
の上限速度(5kT0/MAr1/2に比較して3倍余り速い。
また、反応性気体とHeあるいはArとの混合気体を考える
と、反応性気体とHeあるいはArガスの混合比を5%程度
以下にすると、超音自由噴流Dの静寂領域において、反
応性気体の原子分子に関する流れの速度はHeあるいはAr
に関する流れの速度にほぼ等しくなる。
従って、反応性気体を軽元素気体のHeと混合して超音
速自由膨張させた方が、Arと混合する場合と比較して、
反応性気体原子分子に関する流れの速度について3倍余
り速い値を得ることができる。
このようなプラズマの超音速自由噴流Dにおいて、流
れの中心軸に沿って超音速自由膨張が十分に発達してプ
ラズマの気体温度が十分に低下し、中性原子分子やイオ
ンなど重粒子の熱運動速度が極めて小さく重粒子間の相
互作用が無視できる位置に、スキマー28を配置する。具
体的には第1の隔壁27にスキマー28を設置し、該スキマ
ー28の開口部は、超音速自由噴流Dの上流に攪乱を与え
ない形状を有し、その開口径がノズル26の開口径の2〜
3倍程度以下のものとする。このようなスキマー28によ
り第1の真空室22内に形成されたプラズマの超音速自由
噴流Dの静寂領域における中心軸付近の部分が、第2の
真空室23内に超音速分子流Eとして抽出される。この第
2の真空室23内の真空度は10-6〜10-5Torr程度に保持さ
れており、これが第2の真空計12により表示される。
ところで、プラズマの超音速自由噴流Dの状態、例え
ばその静寂領域の大きさや流れの中心軸に沿ってのプラ
ズマの気体密度,温度,流速などの物理的諸量の変化
は、ノズル26の形状と開口径、放電室21内の圧力及び第
1の真空室22内の真空度などの諸条件によって規定され
る。従って、第1の真空室22内に形成されるプラズマの
超音速自由噴流Dの静寂領域からスキマー28を通して第
2の真空室23内へプラズマの超音速分子流Eを抽出する
場合、該抽出を色々な諸条件の変化に対応して最適に保
つためには、ノズル26とスキマー28との間の距離を連続
的に可変とする機構を設けておくことが好ましい。
第23図にこのようなノズル26−スキマー28間距離の連
続可変機構の一例を示す。図において、放電室21は例え
ばベローズ41によって第1の真空室22に接続され、この
ベローズ41の長さを伸縮させて放電室21を第23図に示す
矢印α及びβ方向に動かすことにより、ノズル26−スキ
マー28間距離を連続的に変えることができる。従って、
諸条件の変化に対応して状態の変化するプラズマの超音
速自由噴流Dから最適にプラズマの超音速分子流Eを抽
出することができる。
このようにして第2の真空室23内に抽出されたプラズ
マの超音速分子流Eにおいては、プラズマの気体温度が
絶対温度で数度以下と極めて低い、すなわち中性原子分
子やイオンなど重粒子の熱運動速度が極めて小さく重粒
子間の相互作用が無視できる。このような特性を有する
プラズマの超音速分子流Eは、第2の隔壁29に設置され
たコメーター30を通過して第3の真空室24内に流入す
る。ここで、コリメーター30の開口径はスキマー28の開
口径と同程度以下であり、第3の真空室24内の真空度は
10-8〜10-7Torr程度に保持されており、これが第3の真
空計13により示される。第3の真空室24内にコリメータ
ー30を通過して流入したプラズマの超音速分子流Jに対
向して、被エッチング基板1が電極2上に配置されてい
るので、プラズマの超音速分子流Jは被エッチング基板
1に対し垂直に吹きつけることとなる。
このように被エッチング基板1には、気体温度が絶対
温度で数度以下と極めて低い、すなわち中性原子分子や
イオンなど重粒子の熱運動速度が極めて小さく、重粒子
間の相互作用が無視できる反応性弱電離プラズマの超音
速分子流Jが吹きつけられるので、反応性弱電離プラズ
マのイオンや中性原子分子ラジカルなどは低温低エネル
ギー反応性粒子ビームとして基板表面に垂直に入射す
る。従って、イオンや中性原子分子ラジカルの基板表面
に対して水平方向の速度成分は垂直方向の入射速度に比
べて極めて小さくなり、また入射エネルギーは物理的ス
パッタしきい値に比べて遙かに小さい。
ここで、エッチングガスAとして、例えば従来例と同
じく塩素Cl2を、また軽元素ガスBとしてヘリウムHeを
用いた場合、中性原子ラジカルとしてはCl、原子イオン
としてはCl+とHe+、そして分子イオンとしてはCl2 +が生
じる。この例の場合、分子ラジカルは存在しない。ま
た、プラズマの超音速分子流の気体密度、すなわち中性
原子分子やイオンなど重粒子の密度は1012〜1015cm-3
プラズマ密度は109〜1012cm-3程度である。ここで、放
電室22の気体温度をT0=104K,塩素ガスとヘリウムガス
との混合比を5%程度以下にすると、超音速分子流の流
れ方向の速度の上限は(5kT0/MHe1/2≒1×106cm/sec
となり、He,Clについての運動エネルギーはそれぞれ2e
V,19eV程度に相当する。
第24図はこの実施例のプラズマの超音速分子流を用い
たドライエッチング装置において、プラズマの超音速分
子流に対向する電極上に配置された基板上物質がエッチ
ングされるメカニズムを説明するための概略図である。
この場合も、従来例と同じく基板近傍には空間電荷領域
(シース)が形成され、シース領域に入射した正イオン
は、10V程度のシース電位(プラズマ電位)によって基
板方向に加速され基板表面に垂直に入射する。
一方、中性ラジカルはシース電位に応答しないが、従
来例とは異なり超音速分子流の状態で基板表面に垂直に
入射する。従ってエッチングの選択性を決定する中性ラ
ジカルによる化学エッチングは非等方的となり、エッチ
ングの異方性が同時に得られる。
また、イオンの基板表面への入射エネルギーはシース
電位によって加速されてもなお20eV程度の物理的スパッ
タしきい値より小さく、イオンによる基板表面の物理的
スパッタリングやイオンアシスト過程と呼ばれる中性ラ
ジカルとイオンとの競合過程によるエッチングは発生せ
ず、被エッチング薄膜表面層に対する損傷も生じない。
結局、この実施例のドライエッチング装置において
は、速い速度で基板表面に入射する中性ラジカルによる
非等方的化学エッチングが基板上物質のエッチング過程
を支配し、超高異方性のみならず超高選択性及び極低損
傷性をも同時に満足するエッチングが行われることとな
る。
このように本実施例では、放電によって生成されたエ
ッチングガスAと軽元素ガスBとの混合気体のプラズマ
10をノズル26を通して第1の真空室22内に超音速膨張さ
せてプラズマの超音速自由噴流Dを形成し、さらにこの
超音速自由噴流Dからスキマー28を通して第2の真空室
23内にプラズマの超音速分子流Eを抽出し、この気体温
度が極めて低い、すわち中性原子分子やイオンなど重粒
子の熱運動速度が極めて小さく重粒子間の相互作用が無
視できるプラズマの超音速分子流をコリメーター30を通
して第3の真空室24内の被エッチング基板1に吹きつけ
るように構成したので、プラズマのイオンや中性原子分
子は低温低エネルギー粒子ビームとして基板表面に垂直
に入射することとなる。この場合、イオンや中性ラジカ
ルの基板表面に対して水平方向の速度成分は垂直方向の
入射速度に比べて極めて小さく、また入射エネルギーは
物理的スパッタしきい値に比べて遙かに小さくなる。ま
た、反応性気体の軽元素気体に対する混合比を小さくす
ると、反応性気体に関するイオンや中性ラジカルの基板
表面に対して垂直方向の入射速度は、軽元素気体に関す
る原子分子の入射速度とほぼ等しい値にまで速くなる。
この結果、速い中性ラジカルによる、より非等方的な化
学エッチングが基板上物質のエッチング過程を支配し、
超高異方性のみならず超高選択性と、極低損傷性をも同
時に満足する高速エッチングを実現できる放電プラズマ
を用いたドライエッチング装置が得られる効果がある。
また、本実施例では第23図に示すようにノズル26−ス
キマー28間距離の連続可変機構を設けているので、諸条
件の変化に対応して状態の変化するプラズマの超音速自
由噴流Dから最適にプラズマの超音速分子流Eを抽出す
ることができる。
なお、上記実施例ではイオンや中性ラジカルの入射エ
ネルギーを物理的スパッタしきい値より小さく設定した
場合について説明したが、イオンの入射エネルギーを物
理的スパッタしきい値より大きく設定して、イオンによ
る物理的スパッタリングを補助的に行うようにしてもよ
い。
例えば、被エッチング物質の種類によっては、イオン
の基板表面への入射エネルギーを物理的スパッタしきい
値より高くして、中性ラジカルによる非等方的化学エッ
チングのみならず、イオンによる物理的スパッタリング
や中性ラジカルとイオンとの競合過程であるイオンアシ
スト過程によるエッチングを付加する必要が生じる。従
って、色々な被エッチング物質に対応して最適なエッチ
ングを行うには、イオンの基板表面への入射エネルギー
を高くできる手段を独立に設けておくことが好ましい。
第25図に、このようなイオン入射エネルギーを増大す
る手段を設けた場合について示す。ここでは、被エッチ
ング基板1が載置された電極2にRF電力を印加するRF電
力印加手段43を設け、電極2に自己バイアス電位を発生
させることによって、基板近傍に形成されるシースのシ
ース電位(プラズマ電位+電極の自己バイアス電位)を
高めている。すなわちRF電力を増大させると、基板近傍
に形成されるシースのシース電位は高くなり、シース領
域に入射したイオンのシース電位による加速が増大し、
基板表面へのイオンの入射エネルギーを高くすることが
できる。これにより、中性ラジカルによる非等方的化学
エッチングのみならず、イオンによる物理的スパッタリ
ングや中性ラジカルとイオンの競合過程であるイオンア
シスト過程によるエッチングも進行する。
次に本発明の第7の実施例について説明する。
第26図は本発明の第7の実施例によるドライエッチン
グ装置の構成を示す要部断面図である。図において、第
20図と同一符号は同一または相当部分を示し、34は上記
第2の真空室23内に設置され、第2の真空室23内のプラ
ズマの超音速分子流Eから荷電粒子、つまりイオンや電
子を除去して中性原子分子気体の超音速分子流Fを形成
するための一対の荷電粒子除去用電極、35はこの一対の
電極34の間に電圧を印加する直流電圧印加手段で、上記
電極34及び直流電圧印加手段35から荷電粒子除去手段が
構成されている。またGはこの中性原子分子気体の超音
速分子流Fのうち、上記コリメーター30を通過して上記
第3の真空室24内に流入した中性原子分子気体の超音速
分子流であり、上記被エッチング基板1はこの超音速分
子流Gに対向するよう上記第3の真空室24内の電極2上
に配置されている。
次に動作について説明する。
上記放電室21内でエッチングガスAと軽元素ガスBの
混合気体を電離し、該電離気体をノズル26を通して第1
の真空室22内にて超音速膨張させ、超音速自由噴流Dを
形成し、さらにスキマー28により、該超音速自由噴流D
からプラズマの超音速分子流Eを上記第2の真空室23内
に抽出するところまでは上記第6の実施例と同様である
のでその説明は省略する。
上記第2の真空室23内には、プラズマの超音速分子流
Eを挟むように一対の荷電粒子除去用電極34が配設され
ており、この一対の電極34の間には直流電圧印加手段35
により電圧が印加されて、上記超音速分子流Eの流れの
方向と直角方向に電界が生じている。従って、この一対
の電極34の間に流入したプラズマの超音速分子流Eのイ
オンと電子は、超音速分子流Eの流れの方向と直角方向
の電界によってお互いに逆方向に分離,移動し、一対の
電極34に捕捉される。その結果、荷電粒子除去用電極34
を通過したプラズマの超音速分子流Eからはイオンと電
子が取り除かれ、中性原子分子気体の超音速分子流Fが
取り出される。
このようにして生成された中性原子分子気体の超音速
分子流Fにおいては、プラズマの超音速分子流Eと同
様、気体温度が絶対温度で数度以下と極めて低く、すな
わち中性原子分子の熱運動速度が極めて小さく、粒子間
の相互作用が無視できる。このような特性を有する中性
原子分子気体の超音速分子流Fは、第2の隔壁29に配置
されたコリメーター30を通過して第3の真空室24内に流
入する。なおここで該コリメーター30の開口径は上記第
6の実施例と同様、スキマー28の開口径と同程度以下で
あり、また第3の真空室24内の真空度は10-8〜10-7Torr
程度に保持され、これが第3の真空計13により表示され
ている。
そして上記第3の真空室24内では、コリメーター30を
通過して流入した中性原子分子気体の超音速分子流G
が、電極2上に載置された被エッチング基板1に垂直に
吹きつけられることとなる。
このように被エッチング基板1には、気体温度が絶対
温度で数度以下と極めて低い、すなわち中性原子分子の
熱運動速度が極めて小さく粒子間の相互作用が無視でき
る反応性中性原子分子気体の超音速分子流Gが吹きつけ
られるので、反応性中性原子分子気体の中性原子分子ラ
ジカルは低温低エネルギーの反応性粒子ビームとして基
板表面に垂直に入射する。従って、中性原子分子ラジカ
ルの基板表面に対して水平方向の速度成分は垂直方向の
入射速度に比べて極めて小さく、また入射エネルギーは
物理的スパッタしきい値に比べて遙かに小さい。
第27図は、この第7の実施例のドライエッチング装置
において、中性原子分子気体の超音速分子流に対向して
配置された基板上物質がエッチングされるメカニズムを
説明するための概略図である。この実施例装置において
は、プラズマではなく中性原子分子気体を用いてエッチ
ングを行うので、基板近傍に空間電荷領域(シース)は
形成されず、またイオンのエッチングへの寄与も存在し
ない。一方、中性原子分子ラジカルは超音速分子流の状
態で基板表面に垂直に入射するので、中性ラジカルによ
る基板上物質の化学エッチングは非等方的となり、エッ
チングの選択性のみならず異方性をも同時に与える。
従ってこの実施例のドライエッチング装置において
は、速い速度で基板表面に入射する中性ラジカルによる
非等方的化学エッチングのみにより基板上物質のエッチ
ングは進行し、超高異方性のみならず超高選択性と極低
損傷性をも同時に満足するエッチングが行われる。
なお、ここではプラズマの超音速分子流Eからイオン
や電子を取り除いて生成された中性原子分子気体の超音
速分子流Fは、原子ラジカルとしてClを含み、気体密度
は1012〜1015cm-3程度となっている。また、放電室21の
気体温度をT0=104K,塩素ガスとヘリウムガスとの混合
比を5%程度以下にすると、上記第6の実施例において
述べたように、超音速分子流の流れ方向の速度の上限は
(5kT0/MHe1/2≒1×106cm/secとなり、He,Clについ
ての運動エネルギーはそれぞれ2eV,19eV程度に相当す
る。
このように本実施例によれば、放電によって生成され
たエッチングガスAと軽元素ガスBとの混合気体のプラ
ズマ10をノズル26を通して第1の真空室22内に超音速膨
張させてプラズマの超音速自由噴流Dを形成し、次にこ
の超音速自由噴流Dからスキマー28を通して第2の真空
室23内に気体温度が極めて低く重粒子間の相互作用が無
視できるプラズマの超音速分子流Eを抽出し、さらにこ
のプラズマの超音速分子流Eから荷電粒子除去手段によ
ってイオンと電子を取り除いて、気体温度が極めて低
い、すなわち中性原子分子の熱運動速度が極めて小さく
粒子間の相互作用が無視できる中性原子分子気体の超音
速分子流Fをコリメーター30を通して被エッチング基板
1に吹きつけるように構成したので、中性原子分子が低
温低エネルギー粒子ビームとして基板表面に垂直に入射
することになる。
この場合、中性原子分子ラジカルの基板表面に対して
水平方向の速度成分は垂直方向の入射速度に比べて極め
て小さく、また入射エネルギーは物理的スパッタしきい
値に比べて遙かに小さい。また、反応性気体の軽元素気
体に対する混合比を小さくすると、反応性気体に関する
中性ラジカルの基板表面に対して垂直方向の入射速度
は、軽元素気体に関する原子分子の入射速度とほぼ等し
い値にまで速くなる。従って速い中性原子分子ラジカル
による、より非等方的な化学エッチングのみにより基板
上物質のエッチングが進行し、これにより超高異方性の
みならず超高選択性および極低損傷性をも同時に満足す
る高速エッチングを実現できる効果がある。
また、エッチングが中性原子分子ラジカルにより行わ
れるため、荷電粒子による被エッチング基板の帯電(チ
ャージアップ)による静電的な破壊を防止することがで
きる効果もある。
なお、この第7の実施例ではプラズマの超音速分子流
Eのイオンと電子を、第2の真空室23内に設置した荷電
粒子除去用電極34によって取り除いて中性原子分子気体
の超音速分子流Fを取り出す場合について説明したが、
荷電粒子除去用電極34は第3の真空室24内に設置しても
よい。その場合プラズマの超音速分子流Eはコリメータ
30を通過して第3の真空室24内に流入し、第3の真空室
24内でプラズマの超音速分子流からイオンと電子を取り
除いて中性原子分子気体の超音速分子流を取り出すこと
になる。
また、上記第7の実施例では荷電粒子除去手段に電界
のみを用いる場合について説明したが、電界と磁界の両
方を用いてもよい。
第28図は電界と磁界とを用いた構成を説明するための
断面構成図であり、この構成では中心に開口を有する一
対の電極34aがプラズマの超音速分子流Eに対向して設
置され、この一対の電極34aの間には直流電圧印加手段3
5により電圧が印加されて、超音速分子流Eの流れの方
向と平行に電界が生じている。
この場合、この一対の電極34aの間に流入したプラズ
マの超音速分子流Eのイオンと電子は、超音速分子流の
流れの方向に平行な電界によって互いに逆方向に分離,
移動し、さらに一対の電極34aに続いて設置された永久
磁石あるいは電磁コイルを用いた磁界印加手段43aによ
って向きを変えられて超音速分子流から取り除かれ、中
性原子分子気体の超音速分子流Fが取り出される。ここ
で、直流電圧印加手段35の極性は負、磁界印加手段43a
による磁界の方向は超音速分子流の流れの方向に直角な
γ方向、またIは磁界γにより向きを変えられたイオン
流である。
さらに本発明の第8の実施例について説明する。第29
図は、本発明の第8の実施例によるドライエッチング装
置における放電室21の付近を示す部分断面図である。図
において、第20図,第26図と同一符号は同一または相当
部分を示す。放電室21は2室に分けられ、ヘリウムある
いは水素等の軽元素ガスBを導入して該軽元素ガスを電
離する第1室と、該電離気体が流入し、さらにエッチン
グガスAを導入して両気体を混合させる第2室51が設け
られ、これら第1,第2室は開孔56を通して結ばれてい
る。
次に動作について説明する。
放電室21の第1室にヘリウムあるいは水素等の軽元素
ガスBを導入して、該軽元素ガスを電離する。該軽元素
の電離気体は開孔56を通過して第2室51に流入し、ここ
でエッチングガスAと混合される。その結果、エッチン
グガス原子分子の電離や解離は、直接の放電ではなく、
直接の放電によって生成された軽元素気体プラズマとの
相互作用、すなわち放電による電離や解離によって生
成,励起された軽元素気体原子分子やプラズマの電子と
エッチングガス原子分子との衝突によって進行する。従
って、反応性気体原子分子が解離して中性ラジカルが生
成される量は、直接の放電による場合よりも多く、また
反応性気体の直接の放電による放電室の腐食,損傷の程
度も小さくなる。
このようにして生成されたプラズマから抽出されたプ
ラズマの超音速分子流、あるいはこのプラズマの超音速
分子流から上記荷電粒子除去手段によってイオンと電子
を取り除いた中性原子分子気体の超音速分子流を被エッ
チング基板に吹きつけてエッチングを行うようにしたの
で、超高異方性,超高選択性および極低損傷性を同時に
満足できるエッチングがより高速で得られるとともに放
電室の劣化を抑制し寿命を長くできる効果がある。
なお、上記第6,第7,第8の実施例は、放電室21内のプ
ラズマの生成を、RFを用いた高周波誘導グロー放電ある
いはアーク放電により、つまり放電室21の外側に設置し
たコイル14等により間接的にその内部に高周波電界を誘
導して行う場合について説明したが、これはプラズマを
RFあるいはマイクロ波などを用いた高周波グロー放電あ
るいはアーク放電により行う、つまり放電室21内に対向
電極あるいはアンテナを配置して、これにより直接該放
電室内に高周波電界を発生してプラズマの生成を行うよ
うにしてもよく、またマイクロ波ビーム,電子ビーム、
イオンビーム,中性粒子ビーム、レーザービームなどを
用いたビーム照射電離によりプラズマを生成する構成と
してもよい。
また、上記各実施例では、エッチングガスAとして塩
素を用い、被エッチング基板1上の多結晶シリコンをエ
ッチングする場合について説明したが、その他のエッチ
ングガスを選択してもよく、また多結晶シリコン以外の
被エッチング物質を適当なエッチングガスを選択してエ
ッチングを行ってもよい。
さらに上記各実施例では、RF印加手段6および43の周
波数が13.56MHzの場合につて説明したが、その他の周波
数を用いてもよい。
一方、上記各実施例では軽元素ガスBとしてヘリウム
を用いる場合について説明したが、水素等を用いてもよ
い。
さらに上記各実施例ではRF電力印加手段6および43の
周波数が13.56MHzの場合について説明したが、その他の
周波数を用いてもよい。
さらにまた、上記各実施例ではノズル26の開口径が1m
m程度の場合について説明したが、第1の真空排気手段3
1の排気速度を増強して、ノズル26の開口径を1mm程度よ
り大きくし、さらに第2の真空排気手段32の排気速度を
増強してスキマー28の開口径をノズル26の開口径に適応
して大きくしてもよい。
この場合、第6の実施例装置ではスキマー28を通して
抽出されるプラズマの超音速分子流Eの流束は増大し、
第3の真空排気手段33の排気速度を増強してコリメータ
ー30の開口径を大きくすることにより、被エッチング基
板1上の被エッチング面積とエッチング速度が増大す
る。
また第7の実施例装置では、スキマー28を通して抽出
されるプラズマの超音速分子流Eの流束、ひいては荷電
粒子除去用電極34を通過して取り出される中性原子分子
気体の超音速分子流Fの流束が増大し、第3の真空排気
手段33の排気速度を増強してコリメーター30の径を大き
くすることにより、被エッチング基板1上の被エッチン
グ面積とエッチング速度が増大する。
さらに、第8の実施例装置においても、上記第6の実
施例装置における、あるいは上記第7の実施例装置にお
ける効果と同様な効果を得ることができる。
〔発明の効果〕
以上のように、本願の請求項1の発明に係るドライエ
ッチング装置によれば、原料気体を導入して、被エッチ
ング材料のエッチングを行うドライエッチング装置にお
いて、生成気体を噴出する噴出ノズルを有し、上記原料
気体の原子分子を電離してプラズマを生成するための放
電室と、該プラズマを上記噴出ノズルを介して内部に導
入し、これを超音速膨張させて超音速自由噴流を形成す
るための第1の真空室と、該プラズマの超音速自由噴流
から超音速分子流を抽出するスキマーを有し、該超音速
分子流を導入するための第2の真空室とを備え、該第2
の真空室内に取り出されたプラズマの超音速分子流を上
記被エッチング材料に吹きつけるようにしたので、超高
異方性とともに超高選択性と超低損傷性をも同時に満足
するエッチングを実現できる効果がある。
また、本願の請求項2の発明に係るドライエッチング
装置によれば、原料気体を導入して被エッチング材料の
エッチングを行うドライエッチング装置において、生成
気体を噴出する噴出ノズルを有し、上記原料気体の原子
分子を電離してプラズマを生成するための放電室と、該
プラズマを上記噴出ノズルを介して内部に導入し、これ
を超音速膨張させて超音速自由噴流を形成するための第
1の真空室と、該プラズマの超音速自由噴流からプラズ
マの超音速分子流を抽出するスキマーを有し、該超音速
分子流を導入するための第2の真空室と、該第2の真空
室内に取り出されたプラズマの超音速分子流からイオン
と電子とを除去して中性原子分子気体の超音速分子流を
形成する荷電粒子除去手段とを備え、該中性原子分子気
体の超音速分子流を上記被エッチング材料に吹きつける
ようにしたので、エッチングの超高異方性,超高選択性
及び超低損傷性を同時に満足できるとともに、被エッチ
ング基板のチャージアップによる静電的な破壊を防止す
ることができる効果がある。
また、本願の請求項3の発明に係るドライエッチング
装置によれば、反応性気体原子分子の放電を用いるドラ
イエッチング装置において、プラズマを生成する放電室
と、該放電室において生成されたプラズマを超音速膨張
させる、開口部断面が矩形スリット状の二次元ノズルと
第1の真空室と、前記放電室から該ノズルを通して、該
第1の真空室内に超音速自由膨張して形成されたプラズ
マの超音速自由噴流から超音速分子流を抽出する、開口
部断面が矩形スリット状の二次元スキマーと第2の真空
室とを備え、前記第1の真空室から該スキマーを通し
て、該第2の真空室内に取り出されたプラズマの超音速
分子流を、被エッチング基板に吹きつけてエッチングを
行うようにしたので、超高異方性とともに超高選択性と
超低損傷性をも同時に実現できる効果がある。
また、本願の請求項4の発明に係るドライエッチング
装置によれば、反応性気体原子分子の放電を用いるドラ
イエッチング装置において、プラズマを生成する放電室
と、該放電室において生成されたプラズマを超音速膨張
させる、開口部断面が矩形スリット状の二次元ノズルと
第1の真空室と、前記放電室から該ノズルを通して該第
1の真空室内に超音速自由膨張して形成されたプラズマ
の超音速自由噴流から超音速分子流を抽出する、開口部
断面が矩形スリット状の二次元スキマーと第2の真空室
と、前記第1の真空室内から該スキマーを通して該第2
の真空室内に取り出されたプラズマの超音速分子流から
荷電粒子を除去する手段とを備え、前記第2の真空室内
に取り出されたプラズマの超音速分子流から、前記荷電
粒子除去手段によってイオンと電子を取り除いた中性原
子分子気体の超音速分子流を、被エッチング基板に吹き
つけてエッチングを行うようにしたので、超高異方性,
超高選択性および極低損傷性を同時に満足するエッチン
グが可能となるだけでなく、荷電粒子による被エッチン
グ基板の帯電(チャージアップ)に起因する静電的な破
壊を防止することができる効果がある。
また、本願の請求項5の発明に係るドライエッチング
装置によれば、請求項3または4記載のドライエッチン
グ装置において、前記被エッチング基板の位置を、前記
流れに垂直な断面形状が矩形スリット状のシート状ビー
ムとなる超音速分子流に対して、相対的にその短辺方向
に移動させながらエッチングを行うようにしたので、超
高異方性、超高選択性および超低損傷性を同時に満足す
るエッチングが大口径基板に対して可能となる効果があ
る。
また、本願の請求項6の発明に係るドライエッチング
装置によれば、反応性気体原子分子の放電を用いるドラ
イエッチング装置において、プラズマを生成する放電室
と、該放電室において生成されたプラズマを超音速膨張
させるノズルと第1の真空室と、前記放電室から該ノズ
ルを通して、該第1の真空室内に超音速自由膨張して形
成されたプラズマの超音速自由噴流から超音速分子流を
抽出するスキマーと第2の真空室とを備え、前記放電室
に反応性気体と、ヘリウムあるいは水素等の軽元素気体
を導入して該混合気体を電離し、前記第1の真空室から
該スキマーを通して、前記第2の真空室内に取り出され
た該プラズマの超音速分子流を、被エッチング基板に吹
きつけてエッチングを行うようにしたので、超高異方性
とともに超高選択性と超低損傷性をも同時に満足するエ
ッチングを高速度で実現できる効果がある。
また、本願の請求項7の発明に係るドライエッチング
装置によれば、反応性気体原子分子の放電を用いるドラ
イエッチング装置において、プラズマを生成する放電室
と、該放電室において生成されたプラズマを超音速膨張
させるノズルと第1の真空室と、前記放電室から該ノズ
ルを通して該第1の真空室内に超音速自由膨張して形成
されたプラズマの超音速自由噴流から超音速分子流を抽
出するスキマーと第2の真空室と、前記第1の真空室か
ら該スキマーを通して該第2の真空室内に取り出された
プラズマの超音速分子流から荷電粒子を除去する手段と
を備え、前記放電室に反応性気体と、ヘリウムあるいは
水素等の軽元素気体を導入して該混合気体を電離し、前
記第2の真空室内に取り出された該プラズマの超音速分
子流から、前記荷電粒子除去手段によってイオンと電子
を取り除いた中性原子分子気体の超音速分子流を、被エ
ッチング基板に吹き付けてエッチングを行うようにした
ので、超高異方性,超高選択性および超低損傷性を同時
に満足する高速度エッチングを実現できるとともに、被
エッチング基板の帯電(チャージアップ)に起因する静
電的な破壊を防止することができる効果がある。
また、本願の請求項8の発明に係るドライエッチング
装置によれば、請求項6または7記載のドライエッチン
グ装置において、前記放電室を2室に分け、ヘリウムあ
るいは水素等の軽元素気体を導入して該軽元素気体を電
離する第1室と、該電離して生成したプラズマが流入
し、さらに反応性気体を導入して両気体を混合させる第
2室とを設けるようにしたので、超高異方性,超高選択
性および超低損傷性を同時に満足できるエッチングがよ
り高速度で得られるとともに、放電室の劣化を抑制し寿
命を長くすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の第1の実施例によるドライエッチン
グ装置の構成図を示す要部断面図、第2図は第1図に示
す超音速自由噴流の詳細を示す断面図、第3図は本実施
例装置のノズル−スキマー間距離の連続的可変機構の一
例を示す図、第4図は本実施例装置においてプラズマ構
成粒子が被エッチング基板表面へ入射する様子を示す模
式図、第5図は本実施例装置の被エッチング基板載置用
電極にRF電力を印加するRF電力印加手段を設けた場合を
示す部分断面図、第6図は従来のドライエッチング装置
を示す概略断面図、第7図は従来装置においてプラズマ
構成粒子がエッチング基板表面へ入射する様子を示す模
式図、第8図は本発明の第2の実施例によるドライエッ
チング装置の構成を示す要部断面図、第9図は該第2の
実施例のドライエッチング装置において、エッチングの
際中性原子分子がエッチング基板表面に入射する様子を
示す模式図、第10図は該第2の実施例装置において荷電
粒子の除去を電界と磁界を用いて行う荷電粒子除去手段
の構成を示す断面図、第11図はこの発明の第3の実施例
によるドライエッチング装置の構成を示す要部断面図、
第12図は第11図に示す超音速自由噴流の詳細を示す断面
図、第13図は本実施例装置のノズル−スキマー間距離の
連続可変機構の一例を示す断面図、第14図は本実施例装
置において、プラズマの構成粒子が被エッチング基板へ
入射する様子を示す模式図、第15図は本実施例装置の被
エッチング基板載置用電極にRF電力を印加する手段を設
けた場合を示す部分断面図、第16図は本発明の第4の実
施例によるドライエッチング装置の構成を示す要部断面
図、第17図は該実施例装置において中性原子分子が被エ
ッチング基板に入射する様子を示す模式図、第18図は該
第4の実施例装置において、荷電粒子の除去を電界と磁
界を用いて行う場合を示す部分断面図、第19図は本発明
の第5の実施例装置において被エッチング基板の位置を
超音速分子流に対して相対的に移動させる様子を示す概
略断面図、第20図はこの発明の第6の実施例によるドラ
イエッチング装置の構成を示す要部断面図、第21図は第
20図に示す超音速自由噴流の詳細を示す断面図、第22図
は第21図に示す超音速自由噴流の静寂領域における流れ
の特性を示す詳細図、第23図は本実施例装置のノズル−
スキマー間距離の連続可変機構の一例を示す断面図、第
24図は本実施例装置において、プラズマの構成粒子が被
エッチング基板へ入射する様子を示す模式図、第25図は
本実施例装置の被エッチング基板載置用電極にRF電力を
印加する手段を設けた場合を示す部分断面図、第26図は
本発明の第7の実施例によるドライエッチング装置の構
成を示す要部断面図、第27図は該実施例装置において中
性原子分子が被エッチング基板に入射する様子を示す模
式図、第28図は該第7の実施例装置において、荷電粒子
の除去を電界と磁界を用いて行う場合を示す部分断面
図、第29図は本発明の第8の実施例装置において放電室
を2室に分けた場合を示す部分断面図である。 図において、1は被エッチング基板、21は放電室、22は
第1の真空室、23は第2の真空室、26,26aはノズル、2
8,28aはスキマー、34は荷電粒子除去用電極、35は直流
電圧印加手段、41はノズル−スキマー間距離連続可変機
構、43はRF電力印加手段、43aは磁界印加手段、51はエ
ッチングガス混合室、Aはエッチングガス、Bは軽元素
ガス、Dは電離気体の超音速自由噴流、Eは電離気体の
超音速分子流、Fは中性原子分子気体の超音速分子流で
ある。 なお図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−205720(JP,A) 特開 昭61−150322(JP,A) 特開 昭61−42135(JP,A) 特開 昭63−124528(JP,A) 特開 昭61−163287(JP,A) 特開 昭52−77840(JP,A)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料気体を導入して、被エッチング材料の
    エッチングを行うドライエッチング装置において、 生成気体を噴出する噴出ノズルを有し、上記原料気体の
    原子分子を電離してプラズマを生成するための放電室
    と、 該プラズマを上記噴出ノズルを介して内部に導入し、こ
    れを超音速膨張させて超音速自由噴流を形成するための
    第1の真空室と、 該プラズマの超音速自由噴流から超音速分子流を抽出す
    るスキマーを有し、該超音速分子流を導入するための第
    2の真空室とを備え、 該第2の真空室内に取り出されたプラズマの超音速分子
    流を上記被エッチング材料に吹きつけるようにしたこと
    を特徴とするドライエッチング装置。
  2. 【請求項2】原料気体を導入して被エッチング材料のエ
    ッチングを行うドライエッチング装置において、 生成気体を噴出する噴出ノズルを有し、上記原料気体の
    原子分子を電離してプラズマを生成するための放電室
    と、 該プラズマを上記噴出ノズルを介して内部に導入し、こ
    れを超音速膨張させて超音速自由噴流を形成するための
    第1の真空室と、 該プラズマの超音速自由噴流からプラズマの超音速分子
    流を抽出するスキマーを有し、該超音速分子流を導入す
    るための第2の真空室と、 該第2の真空室内に取り出されたプラズマの超音速分子
    流からイオンと電子とを除去して中性原子分子気体の超
    音速分子流を形成する荷電粒子除去手段とを備え、 該中性原子分子気体の超音速分子流を上記被エッチング
    材料に吹きつけるようにしたことを特徴とするドライエ
    ッチング装置。
  3. 【請求項3】反応性気体原子分子の放電を用いるドライ
    エッチング装置において、 プラズマを生成する放電室と、 該放電室において生成されたプラズマを超音速膨張させ
    る、開口部断面が矩形スリット状の二次元ノズルと第1
    の真空室と、 前記放電室から該ノズルを通して、該第1の真空室内に
    超音速自由膨張して形成されたプラズマの超音速自由噴
    流から超音速分子流を抽出する、開口部断面が矩形スリ
    ット状の二次元スキマーと第2の真空室とを備え、 前記第1の真空室から該スキマーを通して、該第2の真
    空室内に取り出されたプラズマの超音速分子流を、被エ
    ッチング基板に吹きつけてエッチングを行うことを特徴
    とするドライエッチング装置。
  4. 【請求項4】反応性気体原子分子の放電を用いるドライ
    エッチング装置において、 プラズマを生成する放電室と、 該放電室において生成されたプラズマを超音速膨張させ
    る、開口部断面が矩形スリット状の二次元ノズルと第1
    の真空室と、 前記放電室から該ノズルを通して該第1の真空室内に超
    音速自由膨張して形成されたプラズマの超音速自由噴流
    から超音速分子流を抽出する、開口部断面が矩形スリッ
    ト状の二次元スキマーと第2の真空室と、 前記第1の真空室内から該スキマーを通して該第2の真
    空室内に取り出されたプラズマの超音速分子流から荷電
    粒子を除去する手段とを備え、 前記第2の真空室内に取り出されたプラズマの超音速分
    子流から、前記荷電粒子除去手段によってイオンと電子
    を取り除いた中性原子分子気体の超音速分子流を、被エ
    ッチング基板に吹きつけてエッチングを行うことを特徴
    とするドライエッチング装置。
  5. 【請求項5】請求項3または4記載のドライエッチング
    装置において、 前記被エッチング基板の位置を、 前記流れに垂直な断面形状が矩形スリット状のシート状
    ビームとなる超音速分子流に対して、相対的にその短辺
    方向に移動させながらエッチングを行うことを特徴とす
    るドライエッチング装置。
  6. 【請求項6】反応性気体原子分子の放電を用いるドライ
    エッチング装置において、 プラズマを生成する放電室と、 該放電室において生成されたプラズマを超音速膨張させ
    るノズルと第1の真空室と、 前記放電室から該ノズルを通して、該第1の真空室内に
    超音速自由膨張して形成されたプラズマの超音速自由噴
    流から超音速分子流を抽出するスキマーと第2の真空室
    とを備え、 前記放電室に反応性気体と、ヘリウムあるいは水素等の
    軽元素気体を導入して該混合気体を電離し、 前記第1の真空室から該スキマーを通して、前記第2の
    真空室内に取り出された該プラズマの超音速分子流を、
    被エッチング基板に吹きつけてエッチングを行うことを
    特徴とするドライエッチング装置。
  7. 【請求項7】反応性気体原子分子の放電を用いるドライ
    エッチング装置において、 プラズマを生成する放電室と、 該放電室において生成されたプラズマを超音速膨張させ
    るノズルと第1の真空室と、 前記放電室から該ノズルを通して該第1の真空室内に超
    音速自由膨張して形成されたプラズマの超音速自由噴流
    から超音速分子流を抽出するスキマーと第2の真空室
    と、 前記第1の真空室から該スキマーを通して該第2の真空
    室内に取り出されたプラズマの超音速分子流から荷電粒
    子を除去する手段とを備え、 前記放電室に反応性気体と、ヘリウムあるいは水素等の
    軽元素気体を導入して該混合気体を電離し、 前記第2の真空室内に取り出された該プラズマの超音速
    分子流から、前記荷電粒子除去手段によってイオンと電
    子を取り除いた中性原子分子気体の超音速分子流を、被
    エッチング基板に吹き付けてエッチングを行うことを特
    徴とするドライエッチング装置。
  8. 【請求項8】請求項6または7記載のドライエッチング
    装置において、 前記放電室を2室に分け、ヘリウムあるいは水素等の軽
    元素気体を導入して該軽元素気体を電離する第1室と、 該電離して生成したプラズマが流入し、さらに反応性気
    体を導入して両気体を混合させる第2室とを設けたこと
    を特徴とするドライエッチング装置。
JP12998190A 1989-06-15 1990-05-18 ドライエッチング装置 Expired - Fee Related JP3145097B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DE4018954A DE4018954A1 (de) 1989-06-15 1990-06-13 Trockenaetzgeraet
US07/538,931 US5108535A (en) 1989-06-15 1990-06-15 Dry etching apparatus

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1-153191 1989-06-15
JP15319189 1989-06-15

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03101226A JPH03101226A (ja) 1991-04-26
JP3145097B2 true JP3145097B2 (ja) 2001-03-12

Family

ID=15557037

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12998190A Expired - Fee Related JP3145097B2 (ja) 1989-06-15 1990-05-18 ドライエッチング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3145097B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2720767B2 (ja) * 1993-10-25 1998-03-04 日本電気株式会社 ドライエッチング方法
JP3751772B2 (ja) 1999-08-16 2006-03-01 日本電気株式会社 半導体薄膜製造装置
US6667459B1 (en) 2000-11-21 2003-12-23 Hypertherm, Inc. Configurable nozzle baffle apparatus and method
JP2005149956A (ja) * 2003-11-17 2005-06-09 Ulvac Japan Ltd 大面積高均一プラズマ処理方法及び装置
JP2014086247A (ja) * 2012-10-23 2014-05-12 Canon Inc 超音速ビーム装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03101226A (ja) 1991-04-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5108535A (en) Dry etching apparatus
TWI630656B (zh) 原子層蝕刻用之方法與設備
US4371412A (en) Dry etching apparatus
JPS6130036A (ja) マイクロ波プラズマ処理装置
US4521286A (en) Hollow cathode sputter etcher
US5435886A (en) Method of plasma etching
EP1667198A2 (en) Gas cluster ion beam emitting apparatus and method for ionization of gas cluster
US7510666B2 (en) Time continuous ion-ion plasma
KR100629062B1 (ko) 플라즈마 에칭 장치 및 방법
JP3145097B2 (ja) ドライエッチング装置
US20030109092A1 (en) Surface smoothing device and method thereof
Matsuo et al. Nanofabrication technology by gas cluster ion beams
JPS5813627B2 (ja) マイクロ波プラズマエッチング装置
EP0789506B1 (en) Apparatus for generating magnetically neutral line discharge type plasma
Ono et al. RF-plasma-assisted fast atom beam etching
JP2007266522A (ja) プラズマ処理装置およびそれを用いた加工方法
JPH0219968B2 (ja)
JPS5939508B2 (ja) 乾式エツチング装置
JPH0534433B2 (ja)
JPH0473288B2 (ja)
JPH1092794A (ja) プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法
JPH02301940A (ja) イオン源
JPH01179324A (ja) マイクロ波プラズマ処理方法
JPS6217936A (ja) イオン源
JPS6217933A (ja) イオン源

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080105

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090105

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100105

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees