JP2794963B2 - ドライエッチング方法およびドライエッチング装置 - Google Patents

ドライエッチング方法およびドライエッチング装置

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JP2794963B2
JP2794963B2 JP3030019A JP3001991A JP2794963B2 JP 2794963 B2 JP2794963 B2 JP 2794963B2 JP 3030019 A JP3030019 A JP 3030019A JP 3001991 A JP3001991 A JP 3001991A JP 2794963 B2 JP2794963 B2 JP 2794963B2
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etching
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は プラズマを用いたドラ
イエッチング技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高密度半導体集積回路の進歩は産業革命
にも比較される変革をもたらしつつある。高密度化は素
子寸法の微細化、デバイスの改良、チップサイズの大面
積化等により実現されてきた。素子寸法の微細化は光の
波長程度まで進んで来ており、リソグラフィにはエキシ
マレーザや軟エックス線の使用が検討されている。微細
パターンの実現には、リソグラフィと並んでドライエッ
チングが重要な役割を果たしている。
【0003】ドライエッチングとは、プラズマ、ラジカ
ル、イオン等による気相ー固相表面に於ける化学的また
は物理的反応を利用し、薄膜または基板の不要な部分を
除去する加工法である。ドライエッチング技術として最
も広く用いられている反応性イオンエッチング(RIE)
は、適当なガスの高周波放電プラズマ中に試料を曝すと
エッチング反応により試料表面の不要部分が除去される
というものである。必要な部分は、通常、マスクとして
用いたホトレジストパターンにより保護されている。微
細化のためにはイオンの方向性を揃えることが必要であ
るが、このためにはプラズマ中でのイオンの散乱を減ら
すことが不可欠である。イオンの方向性を揃えるために
は、プラズマの真空度を高めてイオンの平均自由行程を
大きくするのが効果的であるが、真空度を高めると高周
波放電が生じ難くなるという問題がある。この対策とし
て一般にプラズマ室に磁場を印加し、放電を容易にする
方法としてマグネトロン反応性イオンエッチングやECR
(電子サイクロトロン共鳴)エッチング技術が開発され
てきた。
【0004】図14は従来のマグネトロン放電を用いた
反応性イオンエッチング装置を示す模式図である。金属
性チャンバー81中には、ガスコントローラ82を通し
て反応性ガスが導入され、排気系83によって適切な圧
力に制御されている。チャンバー81の上部にはアノー
ド(陽極)84が設けられ、下部にはカソード(陰極)
となる試料台85が設けられている。試料台85には、
インピーダンス整合回路86を介してRF電源87が接
続されており、試料台85とアノード84との間で高周
波放電を起こすことができる。チャンバー81中には、
側面に設置された、2対の、位相の90度異なる対向す
る交流電磁石88によって回転磁界が印加され、高真空
中での放電を容易にしている。電子は印加磁場により、
サイクロイド運動をするため、イオン化効率が高くなる
というものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うなマグネトロン放電やECR放電はプラズマ密度を高め
ることを目的としているが、試料表面全域で高いプラズ
マ密度を均一に発生させると言う点には十分配慮されて
いない。このため加工する試料に損傷が導入されてしま
うという問題があった。たとえば従来のマグネトロン反
応性イオンエッチング装置では、回転磁場によって局所
的なプラズマの偏りを時間平均して均一にしているが、
瞬時のプラズマ密度は均一ではないため局所的な電位差
を発生し、MOSLSIプロセスに適用するとゲート酸化膜破
壊を生じることがある。同様にECRエッチング装置で
は、磁場がチャンバーの径方向に分布を持つため、プラ
ズマ密度の局所的な粗密により、エッチング種の不均一
を生じたり、局所的な電位差を発生したりする。このプ
ラズマの不均一性に基づいてエッチングの均一性が悪く
なり、LSIを歩留まり良く作成することが困難であっ
た。そしてこのことは、さらに薄いゲート酸化膜が使用
された超微細パターンLSIのドライエッチングや大口径
ウェハーの使用等においては均一なエッチングが一層困
難であることを意味する。
【0006】従来の13.56MHz励起の平行平板型マグネト
ロンエッチング装置に100から200MHzの高周波電力を重
畳させ、プラズマの高密度化し、セルフバイアス電圧を
低減し高エネルギーイオンによる試料への損傷を低減さ
せることも試みられている。この方法でもやはりプラズ
マの均一性向上は難しく、プラズマ不均一に起因する問
題の解決には十分とは言えない。
【0007】本発明は上記問題点に鑑み、高真空のもと
で微細加工性に優れた、均一性の良い、デバイスへの損
傷の少ないドライエッチング技術を提供するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のドライエッチン
グ方法は、真空室内のプラズマ発生部周辺に電極対と試
料台を配置し、前記プラズマ発生部にエッチング用反応
性ガスを導入し、前記電極対に前記電極間距離を電子が
走行するのに要する時間よりも周期の短い第1の高周波
電力を印加して前記プラズマ発生部の電子を振動させて
前記発生部にプラズマを発生させ、前記プラズマ中で生
じた反応生成物を試料台上に設置した試料に照射し、前
記試料のエッチングを行っている。また、本発明のドラ
イエッチング方法は、真空室内の側面側のプラズマ発生
部周辺に、第1の対向する電極および第2の対向する電
極を配置し、前記真空室内の下部に試料台を配置し、前
記プラズマ発生部にエッチング用反応性ガスを導入し、
前記真空室には磁場を印加せず、前記第1の対向する電
極には、第1の周波数の高周波電力を印加し、前記第2
の対向する電極には、位相がおよそ90度異なる前記第
1の周波数の高周波電力を印加し、前記試料台には前記
第1の高周波とは異なる第2の高周波電力を印加して
前記プラズマ発生部の電子を回転運動させて前記発生部
にプラズマを発生させ、前記プラズマ中で生じた反応生
成物を試料台上に設置した試料に照射し、前記試料のエ
ッチングを行っている。また、本発明のドライエッチン
グ装置は、エッチング用反応性ガスが導入される真空室
内のプラズマ発生部周辺に配置された電極対、試料台
と、前記電極対に前記電極間距離を電子が走行するのに
要する時間よりも周期の短い高周波電力を印加する第1
の高周波電源と、前記試料台上に設置された試料とを有
し、前記高周波電力の印加により前記プラズマ発生部の
電子を振動させて前記発生部にプラズマを発生させ、前
記プラズマ中で生じた反応生成物を試料台上に設置した
試料に照射させている。
【0009】
【0010】
【0011】
【作用】本発明は上記した構成によって、1対以上の電
極対に高周波電力を印加し、チャンバー中の電子を振
動、回転またはサイクロイド等のリサージュ図形を描く
ように運動させる。この電子の運動は電子とガス分子と
の衝突断面積を実効的に大きくするので、従来の平行平
板型ドライエッチ装置と比べると高真空中においても高
いイオン化効率が得られ、また放電も容易である。本発
明の装置では、従来の磁場支援を用いたマグネトロン放
電やECR放電と比較すると、それらの磁場分布に比べて
チャンバー中の高周波電界が均一なためプラズマの均一
性が良く、また装置の大型化も容易である。またプラズ
マの局所的な偏りがほとんどないので、ゲート酸化膜破
壊等のデバイスへの損傷も極めて小さくなる。また、従
来の平行平板ドライエッチ装置に比べて高真空であるた
め、ガス分子によるイオン散乱が少なく異方性の高いエ
ッチングとなる。
【0012】
【実施例】以下本発明の一実施例のドライエッチング装
置について、図面を参照しながら説明する。
【0013】図1は本発明のドライエッチング装置の一
実施例の構造を示す模式図である。図1において、1は
チャンバー(真空室)、2は50MHzの高周波電力が印加
される試料台、3は試料台2上に設置された被エッチン
グ物試料である半導体ウェハーである。4は試料台2の
対向電極、5、6および7、8は300MHzの高周波電力が
印加される電極対である。電極5、6間に印加される電
力の位相は電極7、8間に印加される電力の位相とおよ
そ90度異なっている。電極2,4〜8で囲まれた部分
がプラズマ発生部であり、このプラズマ発生部の周囲に
電極2,4〜8が配置されている。チャンバー1にはエ
ッチングガスがマスフローコントローラ(図示せず)を
介して導入口(図示せず)から導かれ、チャンバー内圧
力はターボポンプ(図示せず)により0.1Paから10Pa程
度に制御されている。電極5、6、7、8に整合回路1
2、13を介して高周波電力を供給するアンプ9および
10は、フェーズロック機構11により一定の位相差
(90度)になるよう制御されている。また、周波数を
等しくするため、一つの信号源から生成された信号を増
幅し、アンプ9、10によって位相の異なる同一周波数
の交流電力を供給している。また、試料台2に50MHzの
高周波電力をアンプ14で増幅し、整合回路15を介し
て供給している。後で詳しく述べるようにチャンバー中
で電子は揃った方向に回転運動するので、プラズマから
は磁界が発生する。16はホール素子であり、このプラ
ズマから輻射される磁場の強度がプラズマ密度に比例す
ることを用いて、電極5〜8に印加する高周波電力を制
御するために使用している。
【0014】以上のように構成されたドライエッチング
装置について、以下図2を用いてその動作を説明する。
【0015】図2aは一対の平行平板電極5、6に高周
波電力を印加した場合の電子eの軌跡を模式的に示した
図である。電子eは電極5、6間の高周波電界により振
動をしながら、自身の有する運動エネルギーの方向に進
行する。高周波の1周期中に電子が進む距離を周波数の
関数として求めたのが図3である。この場合は20eVの
電子を想定している。例えば、X方向に20eVのエネル
ギーで進行する電子は、50MHzの高周波電力の1周期
に当たる20ナノ秒の間に約6cm移動する。電極間隔が
30cmであるとすると、その距離を走る間に約5回の振
動を受けることになる。電子のエネルギーが大きいとそ
の速度も大きいから、電極間を走行する間の振動数は減
少する。
【0016】ガス種により異なるが、一般にガスを電離
する場合には約15eV以上の電子エネルギーが必要であ
る。また、電離は電子とガス分子との衝突により生じる
ので、電子の走行距離が長いほど衝突確率が増し、イオ
ン化効率が高くなる。本発明では電子を振動または回転
運動させることにより電子の走行距離を長くし、イオン
化効率を高めている。あるいは電子の振動または回転運
動によりガス分子との衝突断面積が実効的に大きくなっ
たと見ることもできる。電極5、6の距離は通常数10
cm であることから、電子を高周波により振動させイオ
ン化効率を向上するには、およそ50MHz以上の高周波
が必要となる。しかしながら50MHzよりも低い周波数
で電子の振動または回転運動による走行距離の増加がな
くなっても、より低エネルギーの電子が振動または回転
することにより電子がチャンバー壁に衝突し消滅する確
率が低下し電子密度の減少が防止されるので、イオン化
効率は高い。
【0017】このような50MHzあるいはそれ以上の高
周波電力は、従来においてGHz帯でマグネトロンを用い
たマイクロ波電源がマイクロ波放電に使用されている程
度でプラズマ発生にはほとんど使用されていなかっ
た。。
【0018】図2aの状態の電子に、先の高周波電場に
垂直に位相が90度異なる同一周波数の高周波電力を1
対の平行平板電極7、8に印加した場合を図2bに示
す。電子eはこれにより回転運動を始める。これはオッ
シロスコープのX信号入力,Y信号入力に同一周波数の
90度位相の異なる信号を入力した場合に見られる、い
わゆるリサージュ波形と呼ばれるものと同様のものであ
る。リサージュ波形はXYに入力される高周波電力の位
相差により異なる波形となる。位相差とリサージュ波形
の関係を図4に示す。このように電子を電場により振動
または回転運動させ、イオン化効率向上を図っているの
が本発明のドライエッチング技術である。
【0019】従来の回転磁場を用いたマグネトロンエッ
チング装置では、ある瞬時の試料台直上の磁束分布20
は図5aのように不均一である。このためチャンバー中
の電子e(図5b中の黒丸)は、磁場強度に逆比例した軌
道半径で回転するため、磁場強度の弱い場所の電子の半
径は大きくなり、電子eがチャンバー壁に衝突して消滅
する。このため磁場強度の弱い場所の電子密度が減少
し、プラズマ密度も低くなる。こうしてプラズマ密度に
不均一が生じ、エッチングの不均一や加工物への損傷が
生じていたのである。
【0020】これに対して本発明のドライエッチング装
置を用いると、平行平板電極5、6間および電極7、8
間内全域の電界は均一なので、図6のように電子の回転
半径も各所で等しく、プラズマ発生部21全域でのプラ
ズマ密度も均一になり、プラズマ発生部21でのエッチ
ング用反応ガスから生じる反応生成物は試料3全面に均
一に照射される。このためプラズマ発生部21に面して
いる試料全域でのエッチングも均一になりチャージアッ
プによる損傷も極めて少ない。しかもプラズマ密度も高
く、エッチングレートは大きい。
【0021】図7(a)は従来の回転磁場を用いたマグ
ネトロンエッチング装置でボロンリンガラスをエッチン
グした例を模式的に示している。図中30はSi基板、
31はボロンリンガラス、32はフォトレジストパター
ンである。Si基板30直上のある瞬時の磁場強度分布
が図7(b)に示すように、試料台中央で最小値を持つ
場合では、Si基板30表面に入射して来るイオン(エ
ッチング用反応生成物)のフラックスIは磁場強度分布
に応じたプラズマ密度分布に比例し、図7(a)に示す
ように、中央で疎となる。酸化膜(ボロンリンガラス3
1)のエッチング速度も図7(c)のようにイオンフラ
ックスIにほぼ従ったものとなり、不均一になる。また
プラズマ密度の不均一は電荷の偏在による損傷を引き起
こす。
【0022】これに対して、本発明のドライエッチング
技術によれば、先に述べたように均一なプラズマが発生
するため、図8(a)に示すようにSi基板30表面に
入射するエッチング用反応生成物であるイオンフラック
スIIも均一になり、エッチング速度も同図(b)のよ
うに均一性の高いものとなる。また、プラズマが均一な
ので、チャージの偏在は小さく、チャージによる損傷は
極めて小さい。この場合にはチャンバー内に導入するガ
スとしてCHF3+O2、CF4+CH22等、フロンガ
スをベースにしたガスを用い、圧力は0.1〜10Paで行
った。この際、エッチングレートは100から350nm
/minであった。本発明の方法によれば特にサブミクロン
パターンのエッチング、6インチ,8インチ等の大口径
半導体ウェハーのエッチングに特に好ましい。それはチ
ャンバー内の圧力が低いため、イオン散乱が少なくフォ
トレジストパターンからのエッチングによる寸法シフト
(いわゆるCDロス)やエッチングレートのパターン寸
法依存性が小さいからである。また、プラズマの均一性
が高くチャンバーの大型化が容易な構造であるためであ
る。
【0023】また本発明のドライエッチング装置による
他の実験では、SF6に微量の酸素を混合したガスを用
い、被エッチング材料はリンドープした多結晶Siとし
た。エッチングガスとしては、SF6や酸素、塩素、よ
う素等のエレクトロネガチィブ(負性)ガスを用いた場
合に本発明の効果の大きいことが実験結果から得られ
た。エレクトロネガチィブ(負性)ガスの高周波プラズ
マ中では、電子密度が少なく抵抗が高いので、プラズマ
中の電位傾度がエレクトロポジティブ(正性)ガスに比
べて大きいため本発明の効果が特に大きい。この場合に
も平行平板電極間内部における電界は均一なので、均一
性の良いプラズマが得られ、エッチングの均一性も良好
である。またプラズマの局所的な偏りがほとんどないの
で、MOSLSIのゲート酸化膜破壊等のデバイスへの損傷も
極めて少なくなった。エッチングレートは200から4
00nm/minの値を得ている。
【0024】図1では、プラズマ中の電子の回転運動に
より生じる磁場強度をホール素子16により検出し、磁
場強度がプラズマ密度に比例することを用いて、その値
が設定値になるよう高周波電力を増減することによりプ
ラズマ状態を一定に保つことも行なっている。これによ
り、プラズマ状態から直接のフィードバックが行えるた
め、良好なプラズマ状態の再現が実現できる。
【0025】本実施例では酸化膜、多結晶シリコンエッ
チングの場合を示したが、Si化合物、Al等のメタル
のエッチング、多層レジストにおけるレジストのエッチ
ング等にも本発明を用いても高い効果が得られる。その
場合、塩素やSF6、O2等のエレクトネガティブガスを
使用すると効果がさらに良くなる。
【0026】図9に従来のドライエッチング方法と本発
明のドライエッチング方法との比較を示す。従来に比べ
て本発明のドライエッチング方法の優位性が分かる。
【0027】以上のように本実施例によれば、第1の対
向する電極5、6に第1の周波数の高周波電力を印加
し、第2の対向する電極7、8に電極5、6とは位相が
およそ90度異なる第1の周波数の高周波電力を印加
し、真空中(プラズマ発生部)の電子を円運動(楕円運
動を含む)させることにより高真空にもかかわらず高密
度で均一性の良いプラズマの発生を行ない、さらに試料
台2を構成する対向する電極に50MHzの高周波電力を印
加制御することにより、エッチングの際の下地との選択
比もコントロールすることができた。またプラズマの局
所的な偏りがほとんどないので、加工物への損傷も極め
て少なくすることができた。
【0028】なお、本実施例では高周波電力の位相差は
90度一定にした場合を示したが、この場合が最もプラ
ズマへの電力投入効率がよいということであり、90度
と異なっていても本発明の効果は得られる。また位相を
時間の関数の様に変化させてもよい。
【0029】以下本発明の第2の実施例について図面を
参照しながら説明する。図10は本発明の第2の実施例
であるドライエッチング装置の構造を示す模式図であ
る。図10おいて、41はチャンバー、42は13.56MHz
の高周波電力が印加される試料台、43は対向電極とな
るアース電極、44、45はそれぞれ150MHz,300MHzの
高周波電力が印加されるカソード電極、46、47はそ
れらの対向電極となるアース電極である。電極44、4
5に印加される電力の位相は同じとしたが異なってもよ
い。48、49、50は整合回路である。チャンバー4
1内圧力はターボポンプ(図示せず)により0.1Paから1
0Pa程度に制御されている。電極44、45には周波数
比を一定に保つため、高周波電力を供給するアンプ51
および52では、一つの信号源から生成された信号を逓
倍,増幅し、おのおの150MHz,300MHzの高周波電力を供給
している。高周波電力を供給するアンプ51および52
は、フェーズロック機構54により一定の位相差(この
場合は0度)になるよう制御されている。チャンバー4
1はコイル55により形成されるカプス磁場によりプラ
ズマ閉じこめをおこなっている。
【0030】図1と異なるのは電極44、45にそれぞ
れ150MHz,300MHzの異なる高周波電力が印加されてお
り、またコイル55によりカプス磁場を形成しプラズマ
閉じこめをおこなっているいる点である。
【0031】図11は図2と同様にドライエッチング装
置のチャンバー中の電子eの軌跡を水平面に投影した場
合の一例を模式的に示すものである。やはり、電極4
4、45に印加された交流電力により電子が「8の字
状」に回転運動し、高真空中にもかかわらず高いイオン
化効率が得られ、高いプラズマ密度が得られている。酸
化膜エッチングに適用した場合、CHF3+O2、CF4
+CH22等、フロンガスをベースにしたガスを用い、
圧力は0.1〜10Paとした。この際、エッチングレート
は150から500nm/minが得られた。
【0032】以上のように本実施例によれば、3対の電
極のうち第1の1対の電極44、46に周波数Fの高周
波電力を印加し、第2の1対の電極45、47に周波数
2Fの高周波電力を印加し、被エッチング試料を載せる
試料台を構成している残りの第3の1対の電極42、4
3に別の周波数の高周波電力を印加する機構とを設ける
ことにより、均一性の良いプラズマが得られ、エッチン
グの均一性も良好とすることができる。またプラズマの
局所的な偏りがほとんどないので、ゲート酸化膜破壊等
のデバイスへの損傷も極めて少なくすることができる。
なお、本実施例では第1、第2、第3の高周波電源のア
ース電極(46、48、43)は同電位であるとした
が、第1、第2の高周波電源のアース電極(46、4
8)と第3の高周波電源のアース電極(43)の電位は
異なっていてもよい。
【0033】図12は本発明の第3の実施例であるドラ
イエッチング装置の構造を示す模式図である。図12に
おいて、42は300MHzの高周波電力が印加される試料
台、44、45は300MHzの高周波電力が印加される電
極、43、46、47はそれらの対向電極である。電極
44、45に印加される電力の位相は試料台42に対し
てそれぞれおよそ120度ずつ進行し、また遅れてい
る。チャンバー内圧力はターボポンプ(図示せず)によ
り0.1Paから10Pa程度に制御されている。電極42、4
4、45には周波数を等しくするため、高周波電力を供
給するアンプ51、52および53では、一つの信号源
から生成された信号を増幅し、300MHzの高周波電力を供
給している。高周波電力を供給するアンプ51、52、
および53は、フェーズロック機構60により一定の位
相差(この場合は各々120度)になるよう制御されて
いる。
【0034】図1と異なるのは電極42、44、45に
それぞれ300MHzの120度ずつ位相の異なる高周波電力
が印加されている点である。
【0035】この場合にはチャンバー41中の電子は高
周波電力により球面上で回転運動し、高真空中にもかか
わらず高いイオン化効率が得られ、高いプラズマ密度が
得られる。
【0036】アルミニウムエッチングに適用した場合、
BCl3+Cl2、SiCl4+Cl2+CHCl3等、塩
素をベースにしたガスを用い、圧力は0.1〜20Paとし
た。この際、エッチングレートは400から900nm/m
inが得られた。 以上のように本実施例によれば、3対
の電極に同じ周波数で位相が120度ずつ異なる高周波
電力を印加する機構を設けることにより、均一性の良い
プラズマが得られ、エッチングの均一性も良好とするこ
とができる。またプラズマの局所的な偏りがほとんどな
いので、ゲート酸化膜破壊等のデバイスへの損傷も極め
て少なくすることができる。
【0037】なお、本実施例ではエッチングされる試料
3は電極42のみに置く場合を示したが、電極44、4
5は42と等価であり、試料を44、45に同時におい
ても同様にエッチングが進行し、スループットが向上す
ることも可能である。
【0038】以下本発明の第4の実施例について図面を
参照しながら説明する。図13は本発明の第4の実施例
であるドライエッチング装置の構造を示す模式図であ
る。図13において、71はチャンバー、72はアンプ
79、整合回路78を介して50MHzの高周波電力が印加
される温度制御された試料台、73は対向電極となるア
ース電極、74、75はアンプ76、整合回路77を介
してそれぞれ300MHzの高周波電力が印加される対向する
電極である。チャンバー内圧力はターボポンプ(図示せ
ず)とバタフライバルブ(図示せず)により0.1Paから3
0Pa程度の所定圧力に制御されている。試料台72はエ
ッチング室中最も低温とされおよそ10度から-10度
の範囲で制御されている。
【0039】図1と異なるのは300MHzの高周波電力が印
加されている電極が1対である点である。また、電極7
4、75が石英またはセラミック材料を介してエッチン
グチャンバーの外に設置されており、エッチングによる
腐食を避け、また電極からの金属汚染を防止しているこ
とである。
【0040】以上のように構成されたドライエッチング
装置について、以下図13を用いてその動作を説明す
る。
【0041】第1の実施例でも述べたように、電極7
4、75に印加された高周波電力により電子が振動運動
し、高真空中にもかかわらず高いイオン化効率が得ら
れ、高いプラズマ密度が得られている。イオン化効率を
高くするには50MHz以上の高周波を印加することが望
ましいがそれより低くても効果は認められる。
【0042】BCl3+Cl2、SiCl4+Cl2+CH
Cl3等、塩素をベースにしたガスを用いるアルミニウ
ムエッチングに適用すると、平行平板電極内における電
界は均一なので、均一性の良いプラズマが得られ、エッ
チングの均一性も良好である。本装置では試料台72を
エッチング室中最も低温にすることにより、ホトレジス
トとの選択比を5以上の高くすることができた。またプ
ラズマの局所的な偏りがほとんどないので、加工物への
損傷も極めて少なくなった。
【0043】試料台72に印加している50MHzの高周波
電力は、選択比の制御等のために試料に到達するイオン
のエネルギーを変化させるためのバイアス形成のための
ものである。このため、通常は数十ワット程度で電極7
4、75に印加される高周波電力よりも小さい。このた
め、試料に流れ込む電流量はエッチングに必要な量だけ
であり、プラズマ維持に必要な値に比べて小さくて済
む。このため、試料台をプラズマ維持のための高周波電
力供給用電極とした場合に比べてチャージアップによる
ダメージも少ない。
【0044】以上のように本実施例によれば、1対の電
極に50MHz以上の第1の周波数の高周波電力を印加し、
被エッチング試料を載せる試料台が一方の電極を構成し
ている他の1対の電極に第2の周波数の高周波電力を印
加する機構とを設けることにより、均一性の良い高密度
プラズマが得られ、プラズマの均一性も良好とすること
ができる。またプラズマの局所的な偏りがほとんどない
ので、加工物への損傷も極めて少なくすることができ
る。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明は、適当な高周波電
界をのもとでは電子が振動, 回転またはサイクロイド運
動するという現象を用いて、高真空のもとで発生した高
密度かつ広い範囲で均一性の高いプラズマをエッチング
に適用している。本発明により、微細加工性に優れかつ
量産性が高く、均一性の良い、ゲート酸化膜破壊等のデ
バイスへの損傷も極めて少ないエッチングが実現でき、
高密度半導体装置の製造に大きく寄与する。る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例におけるドライエッチン
グ装置の構造を示す模式図である。
【図2】同実施例におけるドライエッチング装置のチャ
ンバー中の電子の動きを説明するための軌跡を水平面に
投影した場合の模式図である。
【図3】一周期中に電子の進む距離の周波数依存性を示
す特性図である。
【図4】位相差とリサージュ波形の関係を示す模式図で
ある。
【図5】従来のマグネトロンエッチング装置における磁
束分布と電子の回転を示す模式図である。
【図6】本発明のドライエッチング装置における電子の
回転を示す模式図である。
【図7】従来のマグネトロンエッチング装置におけるボ
ロンリンガラスのエッチングを説明するための断面図と
磁場強度分布図である。
【図8】本発明のドライエッチング装置におけるボロン
リンガラスのエッチングを説明するための断面図であ
る。
【図9】本発明のドライエッチング装置と従来のドライ
エッチング装置を比較した図である。
【図10】本発明の第2の実施例におけるドライエッチ
ング装置の構造を示す模式図である。
【図11】同実施例におけるドライエッチング装置のチ
ャンバー中の電子の動きを説明するための軌跡を水平面
に投影した場合の模式図である。
【図12】本発明の第3の実施例におけるドライエッチ
ング装置の構造を示す模式図である。
【図13】本発明の第4の実施例におけるドライエッチ
ング装置の構造を示す模式図である。
【図14】従来のマグネトロン放電を用いた反応性イオ
ンエッチング装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1 チャンバー 2 試料台 3 ウェハー 4 試料台に対向するアース電極 5、6および7、8 300MHzの高周波電力が印加される
電極対 9、10、14 アンプ 11 フェーズロック機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−202438(JP,A) 特開 昭63−102321(JP,A) 特開 平2−125619(JP,A) 特開 平2−270320(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空室内のプラズマ発生部周辺に電極対と
    試料台を配置し、前記プラズマ発生部にエッチング用反
    応性ガスを導入し、前記電極対に前記電極間距離を電子
    が走行するのに要する時間よりも周期の短い第1の高周
    波電力を印加して前記プラズマ発生部の電子を振動させ
    て前記発生部にプラズマを発生させ、前記プラズマ中で
    生じた反応生成物を試料台上に設置した試料に照射し、
    前記試料のエッチングを行う、ドライエッチング方法。
  2. 【請求項2】真空室内の側面側のプラズマ発生部周辺
    に、第1の対向する電極および第2の対向する電極を配
    置し、前記真空室内の下部に試料台を配置し、前記プラ
    ズマ発生部にエッチング用反応性ガスを導入し、 前記真空室には磁場を印加せず、前記第1の対向する電
    極には、第1の周波数の高周波電力を印加し、前記第2
    の対向する電極には、位相がおよそ90度異なる前記第
    1の周波数の高周波電力を印加し、前記試料台には、前
    記第1の周波数とは異なる第2の周波数の高周波電力を
    印加して、前記プラズマ発生部の電子を回転運動させて
    前記発生部にプラズマを発生させ、前記プラズマ中で生
    じた反応生成物を試料台上に設置した試料に照射し、前
    記試料のエッチングを行う、ドライエッチング方法。
  3. 【請求項3】エッチング用反応性ガスが導入される真空
    室内のプラズマ発生部周辺に配置された電極対、試料台
    と、前記電極対に前記電極間距離を電子が走行するのに
    要する時間よりも周期の短い高周波電力を印加する第1
    の高周波電源と、前記試料台上に設置された試料とを有
    し、前記高周波電力の印加により前記プラズマ発生部の
    電子を振動させて前記発生部にプラズマを発生させ、前
    記プラズマ中で生じた反応生成物を試料台上に設置した
    試料に照射させる、ドライエッチング装置。
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