JPH1092794A - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法

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JPH1092794A
JPH1092794A JP24478896A JP24478896A JPH1092794A JP H1092794 A JPH1092794 A JP H1092794A JP 24478896 A JP24478896 A JP 24478896A JP 24478896 A JP24478896 A JP 24478896A JP H1092794 A JPH1092794 A JP H1092794A
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plasma
sample
container
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JP24478896A
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Hideto Matsuyama
日出人 松山
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料に入射する成分が正イオンと電子である
という点及びエッチングの物理的、化学的反応を正イオ
ンのみに頼っているという点を改善し、荷電分離等に起
因してプラズマエッチングの際に生じる種々の問題を解
決する。 【解決手段】 容器11内に導入された反応性ガスのプ
ラズマによって容器11内に保持された被処理試料Sの
処理を行うプラズマ処理装置において、シート状の横磁
場を容器11内に発生させる複数の永久磁石21を設
け、永久磁石21によって生じるシート状の横磁場によ
り被処理試料S近傍におけるプラズマ中の負イオンの割
合を増加させ、負イオンの増加したプラズマによって被
処理試料Sの処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマによるエ
ッチングあるいは成膜等を行うプラズマ処理装置及びプ
ラズマ処理方法に関し、特に半導体集積回路等の電子デ
バイスの製造等に好適なプラズマ処理装置及びプラズマ
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、半導体装置製造におけるエッ
チング及び成膜工程には、プラズマを利用して試料の加
工を行なうプラズマ処理装置が用いられてきている。近
年、半導体装置の集積度は著しく向上しているため、こ
のエッチング及び成膜工程に対しては極めて高精度の微
細加工技術が求められている。
【0003】エッチングにおいて高精度の微細加工を行
なうためには、高異方性、低損傷性及び高選択性が同時
に満たされるとともに、量産に適した十分なエッチング
速度と大面積の試料を処理できる良好な均一性が必要で
ある。例えば、微細で高アスペクト比のコンタクトホー
ルやゲートのエッチングにおいては、垂直加工形状とと
もに下地材料に対する高選択性が要求される。また、サ
ブハーフミクロンで高アスペクト比のパターンを高いエ
ッチング速度で異方性よく形成するためには、試料に対
して高密度のイオンを入射させる必要がある。
【0004】上記プラズマ処理装置は、反応性ガスを導
入するための容器と、この容器内に高周波電界を形成す
るための高周波もしくはマイクロ波の給電部とを備えて
いる。この高周波電界によって運動エネルギーを得た電
子が反応性ガスの分子に衝突してガス分子が電離すると
いうのが、反応性ガスをプラズマ化する原理である。ガ
ス分子の電離過程にはいくつかの種類が存在するが、ガ
ス分子から内部電子が放出され、ガス分子が正の電荷を
帯びた荷電粒子に変化するという過程が大多数を占めて
いる。したがって、プラズマ中の荷電粒子は、電子と正
イオンとによってそのほとんどが構成されている。
【0005】反応性ガスのプラズマによって試料加工を
行なうためには、所望の特性でかつ効率よくプラズマが
試料に照射されなければならない。このために、通常、
被処理試料には外部から調整可能な高周波電位(バイア
ス)が印加されている。この周期的に変化する高周波電
位によって、プラズマ中の電子と正イオンとは交互に試
料に引き込まれる。試料に引き込まれて試料の表面に衝
突する電子と正イオンのうち、電子は試料の材料と反応
を起こす作用はほとんど持っておらず、試料の材料と物
理的、化学的反応を起こして加工を進行させるのは正イ
オンである。ただし、正イオンの引き込みを左右する試
料表面の帯電状態は、電子と正イオンとの衝突量の釣り
合いによって決まるため、電子の挙動は帯電状態を通じ
て正イオンの挙動に大きな影響を与えている。
【0006】試料に引き込まれる正イオンの単位面積当
たりの電流量をイオン電流密度、試料表面に衝突する際
の正イオンのエネルギーをイオンエネルギーというが、
高周波電位を外部から調整することによってこのイオン
電流密度とイオンエネルギーとを変化させ、所望の加工
特性を得ることが可能となっている。
【0007】なお、プラズマを発生する高周波電力と被
処理試料に高周波電位(バイアス)を印加するための高
周波電力との電力系統がそれぞれ独立になっている構造
の装置を、独立バイアス型のプラズマ処理装置と呼ぶ。
【0008】微細加工技術に対する前記の要求を満足す
るためには、低圧力でも高密度であるとともに均一の密
度で大面積であるという特性を持ったプラズマを生成で
き、しかも試料に入射するイオンの電流量とエネルギー
を任意に制御し得る構造を持った独立バイアス型のプラ
ズマ処理装置が必要である。このような条件を満たすこ
とが可能なものとして、電磁的な誘導結合(ICP:イ
ンダクティブ・カップリング・プラズマ)、電子サイク
ロトロン共鳴(ECR:エレクトロン・サイクロトロン
・レゾナンス)、ヘリコン波等のプラズマ発生方法を用
いたプラズマ処理装置が注目されており、近年、実際の
半導体製造工程で利用されている。
【0009】ICPあるいはECRを用いたプラズマ処
理装置は、0.1〜数10mTorrの高真空で動作す
るため粒子の散乱が少なくイオンの直進性がよく、高精
度の微細加工技術に不可欠な高異方性を得ることができ
るとともに、大面積の試料を処理するために必要なプラ
ズマ密度の均一性も得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
プラズマ処理装置では、プラズマの主な成分は正イオン
と電子であるため、被処理試料に入射する荷電粒子のほ
とんど大部分がこの正イオンと電子である。一方、被処
理試料の材料と物理的、化学的反応を起こして加工を進
行させるのは正イオンである。このように、試料に入射
する成分のほとんどが正イオンと電子である一方、エッ
チングが主に正イオンのみによって進行しているという
ことに起因する問題が、微細かつ高アスペクト比のパタ
ーン形成が要求される最近の半導体装置の製造工程にお
いて深刻化している。この点について、その詳細を以下
説明する。
【0011】プラズマ処理装置を用いて微細で高アスペ
クト比の深い溝や穴を形成する場合、溝や穴の底部に正
イオンのみが到達してプラスにチャージアップする荷電
分離という現象が生じる。
【0012】図5は、ポリシリコンをパターニングする
場合を例にとり、上記荷電分離現象を模式的に示したも
のである。51は半導体基板、52はゲート酸化膜、5
3はポリシリコン膜、54はレジスト膜である。
【0013】エッチングを行なうために周期的に変化す
る高周波電位を試料に印加すると、試料表面に電子が付
着してシース電位と呼ばれる電位が発生する。電子と正
イオンはその熱運動的速度にしたがって等方的にシース
領域に侵入するが、正イオンはシースが持つ電界によっ
て加速されるため、正イオンは試料に対して垂直方向か
ら試料表面に衝突する。一方、電子は電界によって減速
されるため、大きな角度分布を持って試料表面に入射す
る。したがって、表面に起伏を持ったパターンがある場
合、電子はパターンの側壁に捕獲されてしまう。それ
故、高アスペクト比を有するパターンの底部は、過剰な
正イオンによってチャージアップしてしまうことにな
る。したがって、図5に示すように、パターンの上部に
電子が捕獲されてマイナスに帯電する一方、パターンの
底部に正イオンが多く到達してプラスに帯電し、上記荷
電分離現象が生じる。
【0014】以下に述べるようなエッチングによって生
じる問題は、上記荷電分離現象に起因していると考えら
れている。微細なゲート電極のエッチングにおいて、ゲ
ート酸化膜と接している部分のポリシリコンに対して横
方向にエッチングが生じるノッチングという問題があ
る。これは、荷電分離によって底部のゲート酸化膜が正
に帯電しているために正イオンの軌道を曲げる電界が発
生し、正イオンが垂直に入射してきても横方向に曲げら
れてポリシリコンに衝突するためだと考えられる。ゲー
トパターンの疎密が変化する箇所においてノッチングは
特に顕著に現れるが、これは底部の帯電の度合いがパタ
ーンの疎密によって異なることによる。
【0015】また、荷電分離によって生じるゲート酸化
膜上の電荷の蓄積は、ゲート酸化膜の絶縁破壊の一因で
あると考えられている。酸化膜上の正電荷の蓄積によっ
て酸化膜の下に負電荷が誘起され、これによって酸化膜
自体に電圧が印加されるからである。
【0016】さらに、パターン内に入射する正イオンを
減速したりその軌道を曲げたりするため、荷電分離は、
微細パターンでエッチング速度が遅くなるマイクロロー
ディング現象や酸化シリコンのエッチングにおけるエッ
チストップの原因の一つであると考えられている。
【0017】荷電分離による上記の問題は、パターンの
微細化や高アスペクト比化が進むにつれて、今後一層深
刻化すると思われる。上記のように、様々な問題の原因
となる荷電分離は、試料に入射する成分が正イオンと電
子の2種類であるという点に起因している。
【0018】また、エッチングの物理的、化学的反応を
正イオンにのみ頼っていることによる技術的限界や問題
点として、イオン衝撃による試料表面のダメージの問題
がある。正イオンは試料表面に衝突したときにエネルギ
ーを与え、試料表面から2次電子が放出される。このと
き、試料表面は、運動エネルギーを受けることと電子を
奪われることの二つによってダメージを受ける。また、
イオン衝撃の際に正イオンから与えられる正電荷に2次
電子の放出による正電荷が加わって電荷が蓄積されるた
め、試料表面の帯電に関係した問題も起こりやすい。こ
れらの問題は、正イオンのみをエッチングに利用してい
る限り免れ得ない。
【0019】以上の説明からわかるように、従来のプラ
ズマ処理装置は、プラズマ中に生成される荷電粒子のほ
とんどが正イオンと電子であり、試料に入射する成分も
正イオンと電子であるという点、また、エッチングの物
理的、化学的反応を正イオンのみに頼っているという点
に関し、さらに改善が望まれるといえる。
【0020】本発明の目的は、試料に入射する成分が正
イオンと電子であるという点及びプラズマ処理の物理
的、化学的反応を正イオンのみに頼っているという点を
改善することにより、荷電分離等に起因してプラズマエ
ッチングの際に生じるノッチング、ゲート酸化膜の絶縁
破壊、マイクロローディング現象、エッチストップとい
った問題を解決することが可能なプラズマ処理装置及び
プラズマ処理方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、容器内に導入
された反応性ガスのプラズマによって該容器内に保持さ
れた被処理試料の処理を行うプラズマ処理装置におい
て、シート状の横磁場を上記容器内に発生させる磁場発
生手段を設け、上記磁場発生手段によって生じるシート
状の横磁場により上記被処理試料近傍におけるプラズマ
中の負イオンの割合を増加させ、該負イオンの増加した
プラズマによって被処理試料の処理を行う、というもの
である。
【0022】より具体的には、容器内に導入された反応
性ガスのプラズマによって該容器内に保持された被処理
試料の処理を行うプラズマ処理装置において、主プラズ
マ発生領域と被処理試料とを結ぶ線に対して垂直方向で
かつ局在したシート状の横磁場を主プラズマ発生領域と
被処理試料との間に生成するための磁場発生手段を設
け、主プラズマ発生領域からのプラズマが横磁場を通過
して被処理試料近傍に拡散する際、プラズマが横磁場か
ら受ける作用によって少なくとも被処理試料近傍におい
てプラズマ中の負イオンの割合を増加させ、この負イオ
ンの増加したプラズマによって被処理試料の処理を行
う、というものである。
【0023】上記磁場発生手段としては、N極とS極と
を対面させて設置した永久磁石、又は電磁コイルを用い
ることができる。本発明におけるプラズマ処理方法は、
容器内に導入された反応性ガスのプラズマによって該容
器内に保持された被処理試料の処理を行うプラズマ処理
方法において、シート状の横磁場を上記容器内に発生さ
せることにより上記被処理試料近傍におけるプラズマ中
の負イオンの割合を増加させ、該負イオンの増加したプ
ラズマによって被処理試料の処理を行う、というもので
ある。
【0024】上記プラズマ処理装置及びプラズマ処理方
法によれば、シート状の横磁場によって被処理試料近傍
におけるプラズマ中の負イオンの割合を増加させ、負イ
オンの増加したプラズマによって被処理試料の処理を行
うので、被処理試料に入射する成分が正イオンと電子で
あるという点及びエッチングの物理的、化学的反応を正
イオンのみに頼っているという点を改善することがで
き、荷電分離等に起因してプラズマエッチングの際に生
じるノッチング、ゲート酸化膜の絶縁破壊、マイクロロ
ーディング現象、エッチストップといった問題を解決す
ることが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】まず、具体的な実施形態について
説明する前に、本発明におけるプラズマ処理の原理につ
いて説明する。従来のプラズマ処理装置において生成さ
れるプラズマ中にも微小割合で負イオンは存在する。特
に、電子親和力(分子や原子についての負イオンの形成
しやすさを表す。)の値の大きなF、Cl、Br等のハ
ロゲン元素を含む分子のガスでは、そのガスを用いて生
成されたプラズマ中の負イオンの割合は比較的大きくな
る傾向にある。このようなガスのなかでエッチングに用
いられるものの代表的なものとしては、フロロカーボン
系のガス、SF6 、HF、Cl2 、HCl、Br2 、H
Br等があげられ、またハロゲン元素を含まないO2
も負イオンを多く生成する傾向にある。
【0026】しかしながら、従来のプラズマ処理装置に
おけるプラズマ中の負イオンの割合は正イオンに比べて
非常に小さい。これには二つの理由があり、第1に電子
付着によって負イオンを生成する低速電子の存在比が小
さいこと、第2に負イオンに衝突してこれを消滅させて
しまう高速電子が多く存在することがあげられる。分子
もしくは原子に電子が衝突し、電子付着によって負イオ
ンが生成されるためには、1eV以下のエネルギーの電
子が最も効率がよい。逆に2〜3eV以上のエネルギー
を持った電子がすでに存在する負イオンに衝突した場
合、負イオンは解離して他の中性粒子や正イオンに変化
してしまう。従来のプラズマ処理装置において生じるプ
ラズマは電子温度が低くとも3eV以上あり、したがっ
て上記の理由によりプラズマ中に含まれる負イオンの割
合は非常に小さなものとなる。
【0027】本発明では、プラズマ発生領域と被処理試
料との間に局在したシート状横磁場によって放電容器を
2分割し、電子温度を最適化することで被処理試料近傍
での負イオンの生成効率を高めている。この局在したシ
ート状の横磁場を磁気フィルターと呼ぶ。磁気フィルタ
ーには高速電子を選択的に反射して低速電子のみを透過
させる働きがある。つまり、プラズマ発生領域から磁気
フィルターを通過してプラズマが被処理試料に向かって
拡散する際、磁気フィルターの作用によってプラズマ中
の電子の電子温度が低下する。したがって、磁気フィル
ターの磁場強度を最適化することにより、磁気フィルタ
ーを通過したプラズマの電子温度を1eV以下に下げる
ことができる。これにより、被処理試料近傍のプラズマ
は負イオンの生成に最も効率のよい電子温度となり、プ
ラズマ中の負イオンの割合を正イオンと同程度まで上げ
ることが可能となる。
【0028】つぎに、上記のように磁気フィルターの作
用によって負イオンの割合が増加したプラズマが被処理
試料をエッチングする際に持つ作用を説明する。すでに
説明したように、エッチングの際に問題となるノッチン
グ、ゲート酸化膜の絶縁破壊、マイクロローディング現
象、エッチストップといった現象は、主として正イオン
と電子とからなるプラズマを被処理試料に照射すること
によって生じる荷電分離等の帯電状態に起因している。
荷電分離等の帯電状態は、被処理試料表面にシース電位
が発生することと、正イオンと電子がシースに侵入した
ときの両者の運動が異なることによって生じるのである
が、これらはプラズマ中における正イオンと電子の質量
及び速度が大きく異なることが原因である。
【0029】これに対して本発明では、プラズマ中の負
イオンの割合を増加させ、電子の代わりに正イオンと同
程度の質量である負イオンを被処理試料に入射させるよ
うにしている。このように、電子の代わりに負イオンを
被処理試料に入射させた場合には、被処理試料の表面に
帯電する電荷は印加されている高周波電位の各周期毎に
中和されるため、シース電位は発生しない。また、正イ
オン及び負イオンは印加されている高周波電位に対して
同等な運動を行うため、荷電分離現象も発生しない。し
たがって、高アスペクト比で微細なパターンの底部に過
剰な正電荷が蓄積されることはなく、ノッチング、ゲー
ト酸化膜の絶縁破壊、マイクロローディング現象、エッ
チストップといった現象は生じない。このように、被処
理試料に照射されるプラズマ中の負イオンの割合を増加
させることで、上記問題を飛躍的に改善することができ
る。
【0030】また、すでに述べたように、エッチングの
化学的、物理的反応に正イオンを用いた場合の技術的限
界や問題点として、イオン衝撃による被処理試料表面の
ダメージの問題があるが、このような問題もエッチング
に負イオンによる反応を利用することによって軽減する
ことができる。正イオンが被処理試料に衝突した場合に
は、試料表面から2次電子が放出され、これがダメージ
の原因となる。これに対して負イオンの場合には、試料
に衝突した際に試料からエネルギーを吸収して電子が離
脱する吸熱反応であるため、被処理試料に与える影響は
ほとんどない。また、負イオンが衝突した場合には、正
イオンの場合のように試料表面から2次電子が放出され
て正電荷が蓄積するような現象がないため、試料表面の
帯電に関係した問題が生じることはない。
【0031】以上のように、負イオンを用いてエッチン
グを行う場合には、正イオンの場合では得ることのでき
ない優れた特性を有しており、高アスペクト比で微細な
パターンに対する優れたエッチング加工性を有する。
【0032】つぎに、以上述べた原理を参照して、本発
明の具体的な実施形態について説明する。図1は、本発
明の第1実施形態を示したものであり、本発明をICP
型プラズマエッチング装置に適用したものである。
【0033】11は中空部を有する円筒状の容器であ
り、この容器11の上部には石英やアルミナ(酸化アル
ミニウム)を用いた円盤状の誘電体壁12が設けてあ
る。13は容器11内に反応性ガスを導入するガス導入
管、14は容器11内の反応性ガスを排気する真空排気
口である。誘電体壁12の上側には螺旋状の金属導体を
用いて構成されたプラズマ発生用の高周波アンテナ15
が設けてあり、このアンテナ15には13.56MHz
の高周波電力を供給する高周波電源16が接続されてい
る。容器11の内部には被処理試料Sを保持する試料台
17が設けてあり、この試料台17には500kHz
(一般的には、10kHz〜1MHzの範囲であること
が好ましい。)の高周波電力を供給する高周波電源18
が接続され、被処理試料Sにバイアス電圧が印加され
る。ここまでの構成については、従来のICP型プラズ
マエッチング装置とほぼ同様である。
【0034】容器11の内部及び外部には、磁場発生手
段となる複数個の棒状の永久磁石21が設置されてい
る。この複数の永久磁石21によって複数個の局在した
シート状の横磁場が形成され、容器11を横方向に貫通
する磁気フィルターが構成される。
【0035】上記永久磁石21について、図1及び図2
を参照して、さらに詳細に説明する。永久磁石21は、
局在したシート状の横磁場を発生させるようにするた
め、N極とS極とが対面するように配置されている。そ
して、プラズマによる損傷を防止するとともに、永久磁
石21の材料成分がプラズマ中に放出されて被処理試料
Sに対する汚染源とならないよう、永久磁石21はプラ
ズマ耐性を有するパイプ内に詰められている。永久磁石
21によって構成される磁気フィルターは、プラズマ中
の負イオンの割合が最も大きくなるように、その中心磁
場強度を50〜120Gauss(一般的には、5〜5
00Gaussの範囲であることが好ましい。)に設定
している。
【0036】なお、図1では、説明の簡単のため、本来
ICP型プラズマ処理装置が備えている反応ガス導入系
及び真空排気系については、ガス導入管13及び真空排
気口14のみを示し、その他については省略してある。
【0037】つぎに、本実施形態の動作について説明す
る。容器11内にはガス導入管13から導入された反応
性ガスが満たされている。高周波アンテナ15には高周
波電源16から高周波電力が供給されており、高周波ア
ンテナ15に流れる電流によって生じる高周波電界は誘
電体壁12を透過して容器11内に入り、そこで誘起さ
れた高周波電界によってプラズマP1が生成される。プ
ラズマP1の性質は、従来のICP型プラズマ処理装置
によって生成されるプラズマと同様であり、主として正
イオンと電子によって構成され、負イオンの割合は小さ
い。
【0038】プラズマは拡散しつつ磁気フィルターを通
過して被処理試料S近傍の空間に入る。プラズマが磁気
フィルタを通過する際、高速電子は磁気フィルタの作用
によって選択的に反射され、エネルギー1eV以下の低
速電子のみが選択的に通過するため、被処理試料S近傍
のプラズマP2は電子温度が低下したものとなる。この
ようにして形成されたプラズマP2は、負イオンの生成
に最も効率のよい電子温度となっているため、プラズマ
P2中の負イオンの割合は正イオンの割合と同程度とな
っている。このようにして負イオンの割合が増加したプ
ラズマによって被処理試料Sの処理が行われる。
【0039】上記の処理方法により、n+ ポリシリコン
のゲート電極加工を行ったところ、ノッチング、ゲート
酸化膜の絶縁破壊及びマイクロローディング現象のない
エッチングが達成されるとともに、エッチング速度の向
上とゲート酸化膜に対するエッチングの選択比の向上が
確認された。
【0040】なお、上記の例では永久磁石21を容器1
1の内外に配置したが、プラズマの損失を抑制するよう
すべての永久磁石21を容器11の外側に配置するよう
にしてもよい。また、永久磁石21の個数は2個以上で
あればよいが、シート状の横磁場が効果的に形成される
よう3個以上であることが好ましい。また、永久磁石2
1の形状や永久磁石21によって形成される磁場強度等
も、必要に応じて適宜変更可能である。
【0041】さらに、ICP型プラズマ処理装置の構成
についても図1に示したものに限定されるものではな
く、その他種々のICP型プラズマ処理装置(少なくと
も高周波アンテナ及び誘電体壁を備え、電磁的な誘導結
合を利用してプラズマを生成するものは、ICP型プラ
ズマ処理装置と考えられる。)に適用可能である。具体
的には、装置を構成する容器、高周波アンテナ、誘電体
壁等の形状、配置関係、材料等は、設計に応じて種々変
更可能である。
【0042】図3は、本発明の第2実施形態を示したも
のであり、上記第1実施形態と同様、本発明をICP型
プラズマエッチング装置に適用したものである。図3に
示した容器11、誘電体壁12、ガス導入管13、真空
排気口14、高周波アンテナ15、高周波電源16、試
料台17及び高周波電源18の構成及び機能等は、図1
に示した第1実施形態と同様であるため、これらについ
ては第1実施形態の対応する説明を参照することとし、
説明は省略する。
【0043】容器11の外部には、磁場発生手段となる
一対の電磁コイル22(コイル電磁石)が設置されてい
る。この一対の電磁コイル22によって局在したシート
状の横磁場が形成され、容器11を横方向に貫通する磁
気フィルターが構成される。この電磁コイル22は、局
在したシート状の横磁場を発生させるようにするため、
N極とS極とが対面するように配置されている。そし
て、プラズマの損失を防止するため、容器11の外側に
のみ配置している。この一対の電磁コイル22によって
構成される磁気フィルターは、プラズマ中の負イオンの
割合が最も大きくなるように、その中心磁場強度を20
0Gauss(一般的には、5〜500Gaussの範
囲であることが好ましい。)に設定している。
【0044】なお、図2では、説明の簡単のため、本来
ICP型プラズマ処理装置が備えている反応ガス導入系
及び真空排気系については、ガス導入管13及び真空排
気口14のみを示し、その他については省略してある。
また、電磁コイル22に電力を供給する電力系について
も省略している。
【0045】本実施形態の基本的な動作はすでに説明し
た第1実施形態の動作と同様であり、したがって、本実
施形態においても第1実施形態と同様の作用効果を得る
ことができる。
【0046】なお、上記の例では電磁コイル22を容器
11の外側にのみに配置したが、プアラズマ中の負イオ
ンの生成効率をさらに向上するよう、容器11内にも電
磁コイル22を配置するようにしてもよい。また、電磁
コイル22の形状や個数、電磁コイル22によって形成
される磁場強度等についても、必要に応じて適宜変更可
能である。
【0047】さらに、ICP型プラズマ処理装置の構成
についても図3に示したものに限定されるものではな
く、その他種々のICP型プラズマ処理装置に適用可能
であり、装置を構成する容器、高周波アンテナ、誘電体
壁等の形状、配置関係、材料等は、設計に応じて種々変
更可能である。
【0048】図4は、本発明の第3実施形態を示したも
のであり、本発明をECR型プラズマエッチング装置に
適用したものである。31は中空部を有する円筒状の容
器であり、この容器31の上部には石英やアルミナ(酸
化アルミニウム)を用いた円盤状の誘電体壁32が設け
てある。33は容器31内に反応性ガスを導入するガス
導入管、34は容器31内の反応性ガスを排気する真空
排気口である。容器31の上部外壁の外周には容器31
の軸方向にECR用磁場を発生する磁場発生器35が設
けてある。容器31の上側にはマイクロ波アンテナ36
が設けてあり、このマイクロ波アンテナ36には導波管
37から2.54GHzのマイクロ波が供給されてい
る。容器31の内部には被処理試料Sを保持する試料台
38が設けてあり、この試料台38には500kHz
(一般的には、10kHz〜1MHzの範囲であること
が好ましい。)の高周波電力を供給する高周波電源39
が接続され、被処理試料Sにバイアス電圧が印加され
る。ここまでの構成については、従来のECR型プラズ
マエッチング装置とほぼ同様である。
【0049】容器31の内部及び外部には、磁場発生手
段となる複数個の棒状の永久磁石41が設置されてい
る。この複数の永久磁石41によって複数個の局在した
シート状の横磁場が形成され、容器41を横方向に貫通
する磁気フィルターが構成される。なお、この永久磁石
41及び永久磁石41によって構成される磁気フィルタ
ーの詳細については、図1に示した第1実施形態と同様
であるため、これらについては第1実施形態の対応する
説明を参照することとし、説明は省略する。
【0050】なお、図4では、説明の簡単のため、本来
ICP型プラズマ処理装置が備えている反応ガス導入系
及び真空排気系については、ガス導入管33及び真空排
気口34のみを示し、その他については省略してある。
また、磁場発生器35への給電系についても省略して描
いている。
【0051】つぎに、本実施形態の動作について説明す
る。容器31内にはガス導入管33から導入された反応
性ガスが満たされている。マイクロ波アンテナ36には
導波管37からマイクロ波が供給されており、マイクロ
波アンテナ36から放射されたマイクロ波が誘電体壁3
2を透過して容器31内に入る。そして、このマイクロ
波及び磁場発生器35からの所定強度の磁界によってE
CRが生じ、プラズマが生成される。このプラズマの性
質は、従来のECR型プラズマ処理装置によって生成さ
れるプラズマと同様であり、主として正イオンと電子に
よって構成され、負イオンの割合は小さい。
【0052】上記のようにして生成されたプラズマは拡
散しつつ磁気フィルターを通過して被処理試料S近傍の
空間に入る。プラズマが磁気フィルタを通過する際、高
速電子は磁気フィルタの作用によって選択的に反射さ
れ、エネルギー1eV以下の低速電子のみが選択的に通
過するため、被処理試料S近傍のプラズマは電子温度が
低下したものとなる。このようにして形成されたプラズ
マは、負イオンの生成に最も効率のよい電子温度となっ
ているため、プラズマ中の負イオンの割合は正イオンの
割合と同程度となっている。このようにして負イオンの
割合が増加したプラズマによって被処理試料Sの処理が
行われる。
【0053】以上のように、本実施形態における負イオ
ンの生成過程は第1実施形態とほぼ同様であり、したが
って第1実施形態と同様の作用効果を得ることができ
る。なお、上記の例では永久磁石41を容器31の内外
に配置したが、プラズマの損失を抑制するようすべての
永久磁石41を容器31の外側に配置するようにしても
よい。また、永久磁石41の個数は2個以上であればよ
いが、シート状の横磁場が効果的に形成されるよう3個
以上であることが好ましい。また、永久磁石41の形状
や永久磁石41によって形成される磁場強度等も、必要
に応じて適宜変更可能である。
【0054】さらに、ECR型プラズマ処理装置の構成
についても図4に示したものに限定されるものではな
く、その他種々のECR型プラズマ処理装置(少なくと
もマイクロ波アンテナ及び磁場発生器を備え、ECRを
利用してプラズマを生成するものは、ECR型プラズマ
処理装置と考えられる。)に適用可能である。具体的に
は、装置を構成する容器、マイクロ波アンテナ、誘電体
壁等の形状、配置関係、材料等は、設計に応じて種々変
更可能である。
【0055】なお、上記のようなECR型プラズマ処理
装置を用いるとともに、磁気フィルターの発生手段とし
て永久磁石の代わりに第2実施形態で説明したような磁
気コイルを用いて、プラズマ処理装置を構成することも
もちろん可能であり、この場合にも上記第1〜第3実施
形態と同様の作用効果を得ることができる。その他、本
発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施す
ることができる。
【0056】
【発明の効果】本発明におけるプラズマ処理装置及びプ
ラズマ処理方法では、シート状の横磁場により被処理試
料近傍におけるプラズマ中の負イオンの割合を増加さ
せ、この負イオンの増加したプラズマによって被処理試
料の処理を行うので、被処理試料に入射する成分が正イ
オンと電子であるという点及びプラズマ処理の物理的、
化学的反応を正イオンのみに頼っているという点を改善
することができる。したがって、荷電分離等に起因して
プラズマエッチングの際に生じるノッチング、ゲート酸
化膜の絶縁破壊、マイクロローディング現象、エッチス
トップといった問題を解決することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示した図。
【図2】図1に示した永久磁石の詳細を示した図。
【図3】本発明の第2実施形態を示した図。
【図4】本発明の第3実施形態を示した図。
【図5】従来技術の問題点を示した図。
【符号の説明】
11、31…容器 21、41…永久磁石(磁場発生手段) 22…電磁コイル(磁場発生手段) S…被処理試料

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器内に導入された反応性ガスのプラズ
    マによって該容器内に保持された被処理試料の処理を行
    うプラズマ処理装置において、 シート状の横磁場を上記容器内に発生させる磁場発生手
    段を設け、 上記磁場発生手段によって生じるシート状の横磁場によ
    り上記被処理試料近傍におけるプラズマ中の負イオンの
    割合を増加させ、該負イオンの増加したプラズマによっ
    て被処理試料の処理を行うことを特徴とするプラズマ処
    理装置。
  2. 【請求項2】 上記磁場発生手段としてN極とS極とを
    対面させて設置した永久磁石を用いることを特徴とする
    請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】 上記磁場発生手段として電磁コイルを用
    いることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装
    置。
  4. 【請求項4】 容器内に導入された反応性ガスのプラズ
    マによって該容器内に保持された被処理試料の処理を行
    うプラズマ処理方法において、 シート状の横磁場を上記容器内に発生させることにより
    上記被処理試料近傍におけるプラズマ中の負イオンの割
    合を増加させ、該負イオンの増加したプラズマによって
    被処理試料の処理を行うことを特徴とするプラズマ処理
    方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6385576B2 (en) 1997-12-24 2002-05-07 Kabushiki Kaisha Toshiba Speech encoding/decoding method using reduced subframe pulse positions having density related to pitch
US6541320B2 (en) * 2001-08-10 2003-04-01 International Business Machines Corporation Method to controllably form notched polysilicon gate structures
US7048869B2 (en) 1998-10-12 2006-05-23 Hitachi, Ltd. Plasma processing apparatus and a plasma processing method

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US7048869B2 (en) 1998-10-12 2006-05-23 Hitachi, Ltd. Plasma processing apparatus and a plasma processing method
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