JP2700890B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ処理装置

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JP2700890B2
JP2700890B2 JP63047835A JP4783588A JP2700890B2 JP 2700890 B2 JP2700890 B2 JP 2700890B2 JP 63047835 A JP63047835 A JP 63047835A JP 4783588 A JP4783588 A JP 4783588A JP 2700890 B2 JP2700890 B2 JP 2700890B2
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直弘 門馬
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はプラズマ処理装置に係り、特に、強異方性エ
ッチング、高効率スパッタエッチング、平坦化成膜、あ
るいはプラズマドーピングに好適なプラズマ処理装置に
関する。
(従来の技術) 従来の有磁界のマイクロ波プラズマ処理装置は、大別
して次の2つの方式に分けられる。
(1) 特開昭55-141729号公報に記載のように、プラ
ズマ生成室内に電子サイクロトロン共鳴(以下、ECR)
面を形成し、そこで発生したイオンを、該プラズマ生成
室の出口に設置したイオン引き出し電極によって効率良
く引き出そうとする装置。
(2) 特開昭56-13480号公報に記載のように、被処理
物に交場電位を印加することによってイオンを加速し、
被処理物に対するイオンの衝撃度を大きくしようとする
装置。
このような従来技術においては、イオンの励起度が最
も高くなるECR面が被処理物から離れた所に形成された
ため、プラズマ処理効率が低かった。
(発明が解決しようとする課題) 上記従来技術では、プラズマ源からのイオンの引き出
しや、被処理物である基板近傍に存在するイオンの該基
板への入射速度の制御については考慮されていたが、EC
R面で発生した高励起プラズマ種の有効利用については
考慮されていなかった。
プラズマ処理の効率は、電位勾配等によりイオンに与
えられる並進エネルギよりも、イオンの励起エネルギに
大きく依存している。
すなわち、イオンの電子エネルギ、振動エネルギ、お
よび回転エネルギが高いほど被処理物に対するプラズマ
処理効率が向上する。
一方、イオンの励起エネルギはECR面において最も高
くなるが、ここで生成されたイオンの励起度は、被処理
物に到達する間のエネルギ散逸や他の粒子との衝突によ
って徐々に失われ、被処理物までの距離がイオンの平均
自由行程よりも遠くなると、さらにその傾向が顕著にな
る。
したがって、被処理物に対するプラズマ処理効率は、
ECR面と被処理物との距離が短くなるほど向上する。
ところが、特開昭55-141729号公報に記載の方式で
は、このECR面がプラズマ生成室内に形成されるため、E
CR面と被処理物とはイオンの平均自由行程以上に離れて
いた。
したがって、プラズマ生成室の出口に設置したイオン
引き出し電極によってイオンを効率良く引き出しても、
イオンの励起度が、被処理物に到達するまでの他の粒子
との衝突等によって低下するため、プラズマ処理効率は
低かった。
また、特開昭56-13480号公報に記載の方式では、イオ
ンは交場電位によって加速されて基板に直接入射される
ため、イオンの衝撃度は大きい。しかし、上記従来技術
と同様、ECR面で発生する励起度の高いイオンを利用し
ていないので、イオン衝撃度の大きさの割には処理効率
が低いという問題があった。
本発明の目的は、上記の諸問題を解決し、高励起のイ
オンを有効利用することによってプラズマ処理効率の高
いプラズマ処理装置を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 前記の問題点を解決するために、本発明は、ECR面
を、被処理物の表面からイオンの平均自由行程内に発生
させるようにした点に特徴がある。
さらに、前記被処理物とECR面との間に、交場電位が
印加されるグリッドを設置した点に特徴がある。
(作用) 上記したように、ECR面が被処理物の表面からイオン
の平均自由行程内に発生するようにしたので、ECR面に
おいて励起されたイオンは、他のイオン、粒子等に衝突
することによってその励起度を失うことなく、被処理物
の表面に入射される。
さらに、被処理物とECR面との間に、交場電位が印加
されるグリッドを設置したので、イオンの励起エネルギ
を損なうこと無く、該イオンに対して並進エネルギを付
与すると共に、被処理物に入射する角度を改善すること
ができる。
ところで、グリッドに印加される電位には直流と高周
波電位の2通りがあるが、直流電位を印加すると被処理
物にはイオンが連続的に到達する。
したがって、この被処理物が半導体基板であり、その
表面にホトレジストなどの絶縁物が形成されていると、
該絶縁物はイオンによってチャージアップされ、イオン
の入射が阻害される。
さらに、このチャージアップによって基板上の界面に
は新たなエネルギ準位面が形成されるので半導体のデバ
イス特性が劣化する。
ところが、高周波電位を印加するとチャージアップが
発生しにくいため、グリッドに印加される電位は高周波
電位であることが望ましい。
また、グリッドに印加される電位が高周波電位であっ
ても、その周波数が10MHz以上であるとイオンが追随で
きなくなってプラズマと基板との間に自己バイアス電位
が発生し、前記直流電圧を印加した場合と同様の問題が
発生する。
したがって、グリッドに印加される高周波電位の周波
数は、10MHz以下かつ、プラズマ処理中に少なくとも1
サイクルは経過する周波数であることが望ましく、この
周波数範囲の交場電位をグリッドに印加すれば、基板が
チャージアップすることなく、基板へのイオンの入射効
率が向上する。
さらに、界面準位の発生も防止できるので、チャージ
アップによるデバイス特性への悪影響を防止できる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。
第1図は本発明の一実施例であるプラズマ処理装置の
主要部の模式図である。
本実施例装置は処理室2、プラズマ生成室4、基板1
を支持する基板支持台3、マイクロ波導波管7(マイク
ロ波発振器は図示省略)、マイクロ波6を導入するマイ
クロ波導入窓8、ECR面13を発生させる主磁界コイル
9、付加磁界コイル12、排気口11(排気系は図示省
略)、反応ガス供給ノズル5、10(反応ガス供給系は図
示省略)、グリッド14(電位印加手段は図示省略)より
なる。
プラズマ生成室4は直径370mmφ、長さ200mmであり、
その一端は円錐形の透明石英製マイクロ波導入窓8とな
っている。
処理室2は直径370mmφのステンレス鋼製であり、そ
の中に設置された基板支持台3は直径120mmφのアルミ
ナ製である。
主磁界コイル9、付加磁界コイル12はプラズマ生成室
4あるいは処理室2の周囲に設置されており、これらの
コイルによってプラズマ生成室4内に発生する最大磁束
密度は2.5KGaussである。
グリッド14および基板支持台3は装置の中心軸方向に
移動可能であり、グリッド14に印加される電圧および周
波数も可変である。
第2図は、本実施例の装置内部における磁束密度分布
を示した図であり、点線は装置内部においてECR条件を
満たす磁束密度を示し、共鳴周波数が2.45GHzのマイク
ロ波を用いた本実施例では、875Gaussである。
実線は主磁界コイル9、付加磁界コイル12によって装
置内部に発生する磁束密度分布を示しており、この磁束
密度分布は前記主磁界コイル9、付加磁界コイル12に印
加する電圧および周波数を制御することによって自由に
設定することができる。
ECR面13は、主磁界コイル9、付加磁界コイル12によ
って装置内部に発生した磁束密度が、ECR条件を満たす
領域、すなわち、同図において点線と実線とが交差する
領域に形成される。
すなわち、本実施例では主磁界コイル9、付加磁界コ
イル12に印加する電圧および周波数を制御することによ
って、ECR面13と基板1との距離を自由に設定すること
ができる。
したがって、本実施例では主磁界コイル9、付加磁界
コイル12を制御することによって、ECR面13を基板1の
表面からイオンの平均自由行程内に発生させることがで
きる。
以下に、上記した構成を有する本発明のプラズマ処理
装置を用いて行ったエッチングの結果について説明す
る。
第3図は、エッチングの強異方性とグリッド−基板間
の距離との関係を示した図であり、強異方性を示す尺度
は、基板に対して垂直方向のエッチング速度と基板に対
して平行方向のエッチング速度との比(垂直方向エッチ
ング速度/平行エッチング速度)によって表した。
なお、このときの基板1は直径100mmのシリコンウエ
ハであり、その表面には厚さ100nmの熱酸化膜が形成さ
れている。
さらに、該熱酸化膜の表面には厚さ500nmの多結晶シ
リコンが堆積され、さらに、その表面にはレジストパタ
ーニングが施されている。
上記のような基板に対して、本実施例では、プラズマ
生成室内に第1のガス導入管5よりCl2を30ml/minの速
度で導入し、周波数2.45GHzのマイクロ波6を導波管7
より伝搬させてマイクロ波導入窓8からプラズマ生成室
内に導入した。
さらに、主磁界コイル9、付加磁界コイル12によって
前記プラズマ生成室内に875Gaussの磁界を発生させた。
このとき、処理室内の圧力は1mTorrに保ち、ECR面と
グリッドとの距離は2cmであった。
以上のような条件下でのエッチングにおいて、グリッ
ドと基板との距離を変化させて異方性を測定すると、異
方性は、第3図に示されるようにグリッドと基板との距
離がClイオンの平均自由行程である13cmよりも短い距離
では著しく強くなる。
第4図は、エッチングの強異方性とグリッドに印加す
る交場電位の周波数との関係を示した図である。
このときのECR面とグリッドとの距離、およびグリッ
ドと基板との距離は共に2cmに設定されており、その他
の条件は前記と同様である。
同図より明らかなように、異方性はグリッドに印加さ
れる交場電位の周波数が107Hzを越えるあたりから著し
く低下する。
第5図は、エッチングの強異方性とグリッドに印加す
る交場電位の電圧との関係を示した図であり、特に、実
線は交場電位の周波数が106Hzの場合の関係を示し、点
線は交場電位の周波数が108Hzの場合の関係を示してい
る。
第5図によれば、Clイオンによるエッチングの場合、
グリッドと基板との距離を2cmに設定し、交場電位の周
波数を106Hzとすると、異方性は交場電位の電圧が10Vを
越えるあたりから著しく強くなり、約25Vの時点におい
て一旦鈍るものの、その後も電圧の上昇と共に強くな
る。
これに対して、交場電位の周波数を108Hzとすると、
交場電位の周波数が106Hzの場合に認められたようなイ
オン処理効率の著しい向上は認められず、単に印加電圧
に比例した向上しか認められない。しかも、その処理効
率は交場電位の周波数が106Hzの場合に較べて非常に低
いことがわかる。
すなわち、イオン処理効率は、交場電位の電圧にかか
わらず、交場電位の周波数が106Hzの場合のほうが、108
Hzよりも高いと言える。
以上のことから、ECR面と基板との距離をイオンの平
均自由行程よりも短くし、さらに、ECR面と基板との間
にグリッドを設け、該グリッドに印加する交場電位の周
波数をイオンが追随できる周波数に設定すれば、イオン
処理効率が著しく向上することがわかる。
以下に、第1図に示した本発明の装置を用いてスパッ
タリングを行った結果について説明する。
第6図は、熱酸化膜のスパッタレートとグリッド−基
板間の距離との関係を示した図である。
なお、このときの処理基板1は直径100mmのシリコン
ウエハであり、その表面には厚さ100nmの熱酸化膜が形
成されている。
本実施例では、プラズマ生成室内に第1のガス導入管
5よりArガスを30ml/minの速度で導入した。
このときのECR面とグリッドとの距離は2cmであり、グ
リッドに印加される交場電位の電圧は200V、周波数は10
6Hz、その他の条件は前記実施例と同様である。
以上のような条件下でのスパッタリングにおいても、
グリッドと基板との距離を変化させて熱酸化膜のスパッ
タレートを測定すると、第6図に示されるようにグリッ
ドと基板との距離が短い程スパッタレートが高くなり、
その距離がイオンの平均自由行程よりも短ければ、その
傾向が顕著になる。
また、第1図に示した本発明の装置において、第1の
ガス導入管5より、前記ArガスにO2ガスを30ml/min混合
し、さらに、第2のガス導入管10よりSiH4ガスを6ml/mi
nの速度で導入して平坦化成膜を行ったところ、グリッ
ドと基板との距離が短いほど平坦化成膜速度が大きくな
り、その距離がイオンの平均自由行程よりも短ければ、
その傾向が顕著になることが確認された。
なお、上記した実施例においては、交場電位をECR面
と基板との間に設置したグリッドに印加するものとして
説明したが、該ECR面が基板に十分近い位置に形成され
る場合は、交場電位を基板あるいは基板支持台に印加す
るようにしても良く、この場合にはグリッドを設ける必
要は無い。
すなわち、基板近傍に存在するイオンに並進エネルギ
を付与し、該イオンの基板への入射角度が改善させるよ
うな電界を発生することができれば、交場電位はどのよ
うに印加されても良い。
(発明の効果) 本発明によれば、ECR面が被処理物の表面からイオン
の平坦自由行程内に発生するようにしたので、被処理物
に入射されるイオンは高い励起度を保ち、プラズマ処理
効率が向上する。
さらに、被処理物とECR面との間に、イオンの交場電
位を印加するための電界を発生させるようにしたので、
被処理物をチャージアップさせることなくイオンに対し
て並進エネルギを付加すると共に該イオンの基板への入
射角度を改善させることができ、その結果、プラズマ処
理効率をさらに向上させることができる。
したがって、該被処理物が半導体基板であっても、半
導体基板のデバイス特性を劣化させずに高効率なプラズ
マ処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例であるプラズマ処理装置の主
要部の模式図である。 第2図は本実施例の装置内部における磁束密度分布を示
した図である。 第3図はエッチングの強異方性とグリッド−基板間の距
離との関係を示した図である。 第4図はエッチングの強異方性とグリッドに印加する交
場電位の周波数との関係を示した図である。 第5図はエッチングの強異方性とグリッドに印加する
交場電位の電圧との関係を示した図である。 第6図はスパッタレートとグリッド−基板間の距離との
関係を示した図である。 1……基板、2……処理室、3……支持台、4……プラ
ズマ生成室、5、10……反応ガス供給ノズル、7……マ
イクロ波導波管、8……マイクロ波導入窓、9……主磁
界コイル、11……排気口、12……付加磁界コイル、13…
…ECR面、14……グリッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 門馬 直弘 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 園部 正 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (72)発明者 鈴木 和夫 茨城県日立市会瀬町2丁目9番1号 日 立サービスエンジニアリング株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−263434(JP,A) 特開 昭57−79621(JP,A) 特開 昭62−229841(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被処理物を収納する真空容器と、 前記真空容器の内部にあって被処理物を支持する支持台
    と、 被処理物近傍に存在するイオンに対して、周波数が10MH
    z以下の交場電位を与えるための電界を発生させる手段
    と、 前記真空容器にプラズマガスを供給する手段と、 電子サイクロトロン共鳴を、被処理物の表面からイオン
    の平均自由行程内に引起こし、且つ電子サイクロトロン
    共鳴位置から被処理物へ向かって磁束密度が漸次減少す
    る磁界を発生する磁界発生コイルとを具備したことを特
    徴とするプラズマ処理装置。
  2. 【請求項2】前記被処理物と電子サイクロトロン共鳴が
    引起こされる領域との間に、交場電位が印加されるグリ
    ッドを設置したことを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載のプラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】前記被処理物を支持する支持台には、交場
    電位が印加されることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項または第2項記載のプラズマ処理装置。
JP63047835A 1988-03-01 1988-03-01 プラズマ処理装置 Expired - Lifetime JP2700890B2 (ja)

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JPS5779621A (en) * 1980-11-05 1982-05-18 Mitsubishi Electric Corp Plasma processing device
JPH0770510B2 (ja) * 1984-06-12 1995-07-31 富士通株式会社 プラズマ処理装置
JPS62229841A (ja) * 1986-03-28 1987-10-08 Anelva Corp 真空処理装置

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