JP3144511B2 - 断熱繊維構造体 - Google Patents

断熱繊維構造体

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JP3144511B2 JP4390593A JP4390593A JP3144511B2 JP 3144511 B2 JP3144511 B2 JP 3144511B2 JP 4390593 A JP4390593 A JP 4390593A JP 4390593 A JP4390593 A JP 4390593A JP 3144511 B2 JP3144511 B2 JP 3144511B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電車、自動車等の断熱
材に適した繊維構造体に関し、更には、断熱材をセット
する時ドリルでの穴開け性に優れた断熱材に適したリサ
イクルが可能な繊維構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、電車、自動車等の断熱材にはガラ
ス繊維が多用されているが、設置する際、ガラス繊維の
粉が飛び散り、作業員の皮膚に刺さり被害を与えてい
る。この問題を解決するため、飛散した粉が刺さらない
繊維構造体を使うことが試されているが、設置する為の
穴開け時、繊維がドリルに巻きつき作業性が著しく悪く
なる問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を改良し、ガラス繊維に勝る断熱効果を有する繊維構造
体の特徴を生かすため、設置時の穴開け時ドリルへの繊
維の巻きつきを改善し、設置作業性の良好な断熱繊維構
造体を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段、即ち本発明は、ガラス転移点温度が60℃以上
の熱可塑性ポリエステルからなる捲縮短繊維をマトリッ
クス材とし、該捲縮短繊維を構成するポリマ−の融点よ
り40℃以上低い融点を有するポリマーを熱接着成分と
した熱接着繊維とのブレンド成形繊維構造体であり、前
記捲縮短繊維の極限粘度が0.53以下、伸度が30%
以下であり、前記熱接着繊維は繊維構造体中に20重量
%含有されており、繊維構造体の少なくとも片面から厚
さ1mm以上の密度が0.04g/cm3 以上に高密度化さ
れていることを特徴とする断熱繊維構造体である。
【0005】本発明の繊維構造体は、ガラス転移点温度
が60℃以上の熱可塑性ポリエステルからなる捲縮短繊
維をマトリックスとする。ガラス転移点温度が60℃以
下では、車両の外壁が直射日光で温められ60℃以上に
なると、塑性変形して繊維構造を保持しにくくなるので
好ましくない。好ましいガラス転移点温度は68℃以
上、より好ましくは80℃以上である。本発明の好まし
い組成として、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチ
レンナフタレ−ト、ポリシクロヘキシレンジメチルテレ
フタレ−ト及びそれらの共重合体等が例示できる。これ
らの組成は蒸気で加水分解できるため、強度と伸度を容
易に所望の特性に調製できることからも、好ましい。開
繊ウエッブ化するため捲縮が必要である。捲縮形態は嵩
高となる立体捲縮が好ましい。
【0006】本発明の繊維構造体を形成するマトリック
スを構成する繊維の極限粘度は0.53以下、伸度が3
0%以下である。極限粘度が0.53以上では、脆性破
断しにくくなり、繊維が衝撃破断しにくくなり、ドリル
に巻きつき易くなるので好ましくない。伸度が30%以
上では切断に至るまでに繊維が伸びてドリルに巻きつき
易くなるので好ましくない。好ましい極限粘度は0.4
5以下、より好ましくは0.40以下であるが、0.2
0以下になると脆性破断が著しくなり、開繊時繊維の損
傷が大きくなるので好ましくない。好ましい伸度は25
%以下、より好ましくは20%以下である。このような
特性を付与するには、通常は、極限粘度の低いポリエス
テルを紡糸し、高倍率で延伸して得る方法が知られてい
るが、操作性が著しく悪くなり、商業生産が困難な場合
が多い。特に、立体捲縮を付与する場合は、収縮処理し
て捲縮を発現させるため伸度が増加するので低伸度化が
困難である。この為、前記の如く蒸気で加水分解するの
が好ましい。
【0007】本発明の繊維構造体を構成する熱接着繊維
の接着成分の融点は、マトリックス繊維の融点より少な
くとも40℃低いものが用いられる。40℃より差が少
ないと熱成形時に高温で接着成形する必要から、マトリ
ックス繊維の熱劣化が促進され、繊維構造体の形態保持
性が劣るので好ましくない。好ましい接着成分の融点は
マトリックス繊維の融点より60℃低くく、110℃よ
り高いものであり、より好ましくは、80℃以上低く、
130℃より高いものである。このような好ましい熱接
着成分の融点では、直射日光で外壁が100℃近くまで
加熱されても、繊維構造体の形態を保持できる。このよ
うな熱接着成分としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレン2・6ジカルボン酸、ナフタレン2・7
ジカルボン酸、ジフェニル4・4’ジカルボン酸等の芳
香族ジカルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸
等の脂環族ジカルボン酸、琥珀酸、アジピン酸、セバチ
ン酸ダイマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これら
のエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸
の少なくとも1種以上と、1・4ブタンジオ−ル、エチ
レングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトレメチ
レングリコ−ル、ペンタメチレングリコ−ル、ヘキサメ
チレングリコ−ル等の脂肪族ジオ−ル、1・1シクロヘ
キサンジメタノ−ル、1・4シクロヘキサンジメタノ−
ル等の脂環族ジオ−ル、またはこれらのエステル形成性
誘導体などから選ばれたジオ−ル成分の少なくとも1種
からなる共重合ポリエステルがマトリックス繊維がポリ
エステルの場合、接着性の良さからも好ましい。また、
脆さが付与きるので好ましい。
【0008】本発明の好ましい繊維構造体を形成するに
必要な熱接着繊維の形態としてシ−スコア型構造をとる
場合、コア成分としては、ポリブチレンテレフタレ−ト
(PBT)以外にポリエチレンテレフタレ−ト(PE
T)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリシク
ロヘキシレンジメチルテレフタレ−ト(PCHDT)な
どの高いガラス転移点を持つポリエステルと複合化でき
るため塑性変形しにくくなり、繊維構造体の形態保持性
がより向上するので好ましい。
【0009】本発明の繊維構造体は、上述の熱接着繊維
を20重量%以上含有して構成される。熱接着繊維の含
有率が20%以下では、マトリックス繊維の固定が困難
となり、ドリルに巻きつきやすくなり好ましくない。他
方、熱接着繊維の含有量が60重量%以上では、嵩高さ
が低下し、マトリックス繊維が少なくなり変形し易くな
るので注意が必要である。好ましい熱接着繊維の含有量
は30重量%以上、より好ましくは40〜50重量%で
ある。このような含有量にすることで、マトリックス繊
維を固定し、切断し易くすると共に、断熱材としての形
態保持が良好となる。
【0010】本発明の繊維構造体は、少なくとも片面か
ら厚さ1mm以上の密度が0.04g/cm3 以上に高密度
化されている。この高密度層がない場合は、繊維の固定
が不充分な低密度層に直接ドリルが入り、巻きつきが多
くなる。一旦、繊維の固定が充分な高密度層に切り込
み、次いで低密度層にドリルが入る場合、繊維の巻きつ
きが著しく少なくなる。この理由は明らかではないが、
切り込み時に繊維の固定が不充分ではドリルの先端に引
っ掛かり繊維の巻きつきは著しくなるが、高密度層で巻
きつきが起こらないと、強い力で押しつけ穴を開けよう
として、ドリルが低密度層に達すると、その反動で早く
低密度層を通過でき、繊維への衝撃力が大きくなり、繊
維が切断されやすくなって、比較的繊維の巻きつきが少
ないのではないかと類推している。このような高密度層
は厚みが少なくとも1mm以上で密度が0.04g/cm3
以上とすることで効果がある。厚みが少ないと効果も少
なく、密度が低くても効果が少ない。好ましくは、厚み
が2mm以上、密度が0.05g/cm3 以上である。な
お、繊維の固定法には、熱接着繊維の含有率を増やし、
ニ−ドルパンチなどで繊維を交絡処理しておくとより効
果が顕著となるので好ましい。特に好ましくは、断熱層
の両面がこのような高密度層で覆われていることであ
る。高密度層は切削時の効果と同時に、形態保持性も良
好とする効果がある。
【0011】本発明の繊維構造体は断熱層として作用す
るので、見掛けの嵩密度は少ないほうが好ましく、通常
の好ましい見掛け密度は0.03g/cm3 以下、より好
ましくは、0.02g/cm3 以下である。
【0012】本発明の繊維構造体に使用されるマトリッ
クス繊維のデニ−ルは特に限定されないが、嵩高さと形
態保持性の面から、4〜50デニ−ルが好ましく、特に
は、6〜25デニ−ルである。また、各種デニ−ルが混
合されていても差し支えない。繊維の強度は特に限定さ
れないが強度が1g/d以下では開繊時問題が起こる場
合があり、好ましくは3g/d以下1g/d以上であ
る。断面形状は中空、異形中空のものが好ましいが特に
は限定されない。捲縮形態は、立体捲縮が嵩高となるの
で好ましいが機械捲縮でも使用できる。捲縮数や捲縮率
は特に限定されないが、好ましくは捲縮数が5〜30山
/インチ、捲縮率が5〜30%の範囲であれば使用でき
るが、より好ましくは捲縮数が10〜25山/インチ、
捲縮率が10〜25%である。
【0013】本発明の繊維構造体に使用される熱接着繊
維のデニ−ルは特に限定されないが、マトリックス繊維
と混繊が可能な範囲として、2〜20デニ−ルの範囲が
好ましい。断面形状は、サイドバイサイド型やシ−スコ
ア型で熱接着成分が繊維表面に50%以上露出したもの
が好ましい。しかして、100%熱接着成分から成る熱
接着繊維も使用できる。なお、リサイクルするために回
収した硬綿類にマトリックス繊維と共にすでに含有して
いる熱接着繊維も利用できる。捲縮形態も特には限定さ
れないが、開繊し易い機械捲縮を保持するのが好まし
い。
【0014】本発明の繊維構造体を構成するマトリック
スの捲縮短繊維は、通常の方法で作られた原綿を蒸気に
て加水分解させて得ることができる。一例として、極限
粘度0.63、強度3.8g/d,伸度42%の立体捲
縮綿を、180℃の蒸気で30分、高圧キヤ−釜にて処
理すると、極限粘度0.40、強度2.3g/d,伸度
20%の立体捲縮綿が得られる。この方法の特徴は、捲
縮形態を何ら変えることなく所望の特性を得られること
にある。更には、リサイクルのために回収した硬綿をこ
の方法で処理することで、蒸気殺菌と繊維の表面の汚れ
さえ除去できる効果もある。
【0015】本発明の繊維構造体を構成する熱接着繊維
は通常の方法で得ることができる。
【0016】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を詳述する。
【0017】実施例1 極限粘度0.63のポリエチレンテレフタレ−トを常法
にて285℃にてC型に突起を3個有するノズルオリフ
ィスより吐出せしめ、ノズル直下で風速3m/秒の冷却
風で急冷し1300m/分にて巻き取った未延伸糸を次
いで70℃の温浴で破断延伸倍率の0.8倍で延伸し、
クリンパ−にて弾性捲縮を発現せしめ、切断し、次いで
潜在捲縮を160℃の熱風で発現させ、立体捲縮を持つ
原綿を得た。得られた原綿の特性は、繊度12デニ−
ル、強度3.0g/d,伸度45%、捲縮度25%、捲
縮数21山/インチ、極限粘度0.62、融点258℃
の中空異形断面を有する立体捲縮糸であった。この原綿
を高圧キヤ−釜にて160〜200℃にて、30分間加
水分解処理してマトリックスとなる捲縮短繊維を得た。
得られた綿の特性を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】極限粘度0.63のポリエチレンテレフタ
レ−トを芯成分に、融点110℃の共重合ポリエステル
(テレフタル酸/イソフタル酸:60/40モル比−エ
チレングリコ−ル/ジエチレングリコ−ル:95/5モ
ル比)を鞘成分として、常法により熱接着繊維(芯/
鞘:50/50重量比、繊度4デニ−ル、強度3.4g
/d、伸度48%)を得た。マトリックス繊維と熱接着
繊維を60/40重量比で予備混合して目付け150g
/m2の開繊ウエッブを作成し、半分をニ−ドルパンチに
て交絡させた厚み3mmのウエッブを作成して、開繊ウエ
ッブに積層し、多孔板にて圧縮し、160℃の熱風で5
分間処理し、見掛け嵩密度0.02g/cm3 の繊維構造
体を得た。比較のため、ニ−ドルパンチしないものを積
層して同様にして見掛け嵩密度0.02g/cm3 の繊維
構造体を得た。得られた繊維構造体をハンドドリルにて
3mmのきりにて穴開け試験し、繊維の巻きつき程度を評
価した。評価基準は著しい巻きつき:××、巻きつき
大:×、巻きつき中:△、巻きつき小:○、巻きつき微
小:◎とした。得られた繊維構造体の作成条件、特性、
及び穴開け試験結果を表2に示す。結果から明らかなよ
うに、本発明の要件を外れるものは、穴開け時にドリル
への繊維の巻きつきは著しいが、本発明のものは穴開け
時のドリルへの繊維の巻きつきは改善されている。
【0020】
【表2】
【0021】実施例2 マトリックス繊維A−2を用い、熱接着繊維の混率を1
0重量%、30重量%、60重量%とした以外、実施例
1と同様にして得た繊維構造体の穴開け試験結果を表3
に示す。熱接着繊維の混率を10重量%のものは繊維巻
きつきが多かったが、本発明のものは繊維巻きつきが改
善されていた。
【0022】
【表3】
【0023】実施例3 マトリックス繊維A−2を用い、熱接着繊維の混率を4
0重量%としてた目付け150g/m2の開繊ウエッブを
作成し、一旦、ニードルパンチ不織布の代わりとして、
見掛け嵩密度を0.025g/cm3 、0.04g/c
m3 、0.06g/cm3 とした繊維構造体を180℃に
て作成し、次いで目付け150g/m2の開繊ウエッブに
積層して、実施例1と同様に圧縮成形して得た繊維構造
体の穴開け試験結果を表4に示す。高密度層の嵩密度が
0.025g/cm3 のものは繊維巻きつきが多かった
が、本発明のものは繊維巻きつきが改善されていた。
【0024】
【表4】
【0025】
【発明の効果】本発明はガラス繊維に替わる性能を有
し、設置作業性を著しく改善した、特に使用条件が過酷
な自動車用、鉄道車両用及び船舶用などの断熱材に適し
た繊維構造体である。また、本発明に開示した方法を用
いると、ポリエステルからなる繊維構造体なら再び本発
明の繊維構造体としてリサイクルができ、地球環境の保
全にも極めて有用である。本発明の繊維構造体の有用な
他の用途としては、農業用材、建設用材などがある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−168160(JP,A) 特開 平2−154050(JP,A) 特開 昭64−52860(JP,A) 特開 昭62−256646(JP,A) 特開 昭55−103345(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D04H 1/00 - 18/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移点温度が60℃以上の熱可塑
    性ポリエステルからなる捲縮短繊維をマトリックス材と
    し、該捲縮短繊維を構成するポリマ−の融点より40℃
    以上低い融点を有するポリマーを熱接着成分とした熱接
    着繊維とのブレンド成形繊維構造体であり、前記捲縮短
    繊維の極限粘度が0.53以下、伸度が30%以下であ
    り、前記熱接着繊維は繊維構造体中に20重量%以上含
    有されており、繊維構造体の少なくとも片面から厚さ1
    mm以上の密度が0.04g/cm 3 以上に高密度化されて
    いることを特徴とする断熱繊維構造体。
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US20090252941A1 (en) * 2008-04-03 2009-10-08 Usg Interiors, Inc. Non-woven material and method of making such material
US8563449B2 (en) 2008-04-03 2013-10-22 Usg Interiors, Llc Non-woven material and method of making such material
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