JP4323507B2 - ポリエステル系短繊維 - Google Patents
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Description
またこのような課題に着目し、その解決策を提案した文献も報告されている(例えば特許文献2〜4参照。)。
上記のポリエステルおよび/またはポリオレフィン系ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤、蛍光増白剤、安定剤、難燃剤、難燃助剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、着色のための各種顔料などが含有されていてもよい。
繊度は目的に応じて選択すればよく、特に限定されないが、一般的に0.01〜500デシテックス程度の範囲で用いられる。
例えば、エアレイド法でウェブを成型する場合、繊維長は2〜30mmが好ましい。繊維長を2mm以上とすることにより工業的に安定して短繊維を得ることができる。また、繊維長を30mm以下とすることにより、繊維の開繊性がさらに良くなり、ウェブ塊が発生し難くなる。より好ましい繊維長は3〜20mmである。また、捲縮は不織布の目的に応じて、付与しても付与しなくてもよい。つまり、不織布に嵩高性を与えたい場合は捲縮を付与すればよいし、その必要がなく空気開繊性および吐出能力をより向上させたい場合は捲縮を付与しなくてもよい。捲縮を付与する場合は、捲縮数を3〜13山/25mm、捲縮率を3〜15%とすることが好ましい。捲縮数を13山/25mm以下、捲縮率を15%以下とすることで空気開繊性がより良好なものとなる。本発明の短繊維は従来のものに比べて捲縮数および捲縮率が小さくなる傾向にあり、より上記範囲にコントロールしやすい。また、嵩高性を得るためには、捲縮数を3山/25mm以上、捲縮率を3%以上とするのが好ましい。また、捲縮の形態は、平面内に包含される平面ジグザグ型あるいはオメガ型の捲縮が、スパイラル状の3次元捲縮よりも開繊性の点でより好ましい。これらの構成を満たすことによって、エアレイド法で成型されたウェブ中の未開繊成分を5重量%以下とすることができる。
本発明の不織布は、本発明の短繊維に他の短繊維を混合した不織布であっても良いし、他の短繊維からなる不織布を積層したのもであってもよいが、特に本発明の短繊維のみで成型される不織布は従来のポリエステル短繊維を用いた不織布と異なる独特の柔軟な風合いを呈するため、特に好ましい。
本発明のポリエステル系短繊維は、ポリエステル系ポリマーにポリオレフィン系ポリマーが0.5〜15重量%混合分散されているブレンドポリマーによって、繊維表面積の50%が占められていることにより、従来知られるポリエステル系短繊維よりも繊維間の摩擦が低減し、風合いが柔軟となり、また開繊性が良好となり均一な地合いの不織布が得られる。そのメカニズムについては明確ではないが、ポリエステル系ポリマーに非相溶であるポリオレフィン系ポリマーが適量分散混合していることによって、ポリエステル系ポリマーの海にポリオレフィン系ポリマーの島が浮かんだような状態になり、これが繊維表面に島状に露出し起伏ができることによって、短繊維同士の接触機会が少なくなり繊維間摩擦が低減するためと考えられる。
JIS L 1015 7.5.1 A法に記載の方法により測定した。
(b)繊維長
JIS L 1015 7.4.1 C法に記載の方法により測定した。
(c)捲縮数、捲縮率
JIS L 1015 7.12に記載の方法により測定した。
(d)固有粘度([η])
オルトクロロフェノールを溶媒として、温度35℃で測定した。
(e)メルトインデックス(MFR)
JIS K 7210 条件4に記載の方法により測定した。
(f)ガラス転移点(Tg)、融点(Tm)
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を使用し、昇温速度20℃/分で測定した。
(g)結晶化度
ノルマルヘプタンと四塩化炭素から構成される密度勾配管を使用して25℃中での密度ρ(g/cm3)を測定し、下記関係式にPETの結晶密度ρc(=1.455g/cm3)と非晶密度ρa(=1.335g/cm3)を代入することによって、結晶化度χc(重量%)を算出した。
χc=ρc(ρ−ρa)/ρ(ρc−ρa)
(h)複屈折率(Δn)
浸漬液としてブロムナフタリンを使用し、ベレックコンペンセーターを用いてリターデーション法により求めた。(共立出版社発行:高分子実験化学講座 高分子物性II参照)
(i)未開繊率
エアレイド法により成型したウェブ10g中から未開繊塊を取り出して、その重量xを測定し、下式により未開繊率uを算出した。
u=x/10×100(%)
(j)剛軟度(45°カンチレバー法)
JIS L 1085 5.7A法に記述の方法に従い実施した。数値が小さいほど、柔軟であることを示す。
(k)不織布地合い
ウェブの外観を観察し、以下の基準で評価する。
レベル1:未開繊塊や目付斑(濃淡)が見られず、均一な地合いである。
レベル2:未開繊塊は目立たないが、目付斑(濃淡)が目視で確認できる。
レベル3:未開繊塊と目付斑(濃淡)が目立ち、不均一な地合いである。
120℃で16時間真空乾燥した固有粘度[η]が0.61、Tmが256℃のポリエチレンテレフタレート(PET)のペレットと、MFRが20g/10分、Tmが131℃の高密度ポリエチレン(HDPE)のペレットを97:3の割合で混合し、これを二軸エクストルーダーで溶融し、280℃の溶融ポリマーとして直径0.3mmの丸穴キャピラリーを600孔有する口金から200g/分の吐出量で押し出した。これを30℃の冷却風で空冷し、1150m/分で巻き取って未延伸糸を得た。この未延伸糸に、押込み型クリンパーで捲縮数が8山/25mm、捲縮率が4%の平面ジグザグ型捲縮を付与し、アルキルホスフェートカリウム塩/ポリオキシエチレン変成シリコーン=80/20からなる油剤を0.25重量%付与し、さらに45℃の温風で乾燥した後、5mmの繊維長にカットした。得られた短繊維の繊度は3.1デシテックス、結晶化度は16%、複屈折率は0.0035であった。
PETの代りに、Tmが220℃のイソフタル酸を10モル%共重合した共重合PETを用いた以外は、実施例1と同様にして短繊維およびエアレイド法不織布を得た。短繊維の繊度は3.4デシテックス、結晶化度は9%、複屈折率は0.0027であった。また、不織布の剛軟度は44mm、未開繊率は0.8%、不織布地合いはレベル1であった。
50℃で24時間真空乾燥した固有粘度[η]が0.55、Tgが65℃のイソフタル酸を40モル%共重合した非晶性共重合PETのチップと、MFRが20g/10分、Tmが131℃のHDPEのチップを95:5の割合で混合し、これを二軸エクストルーダーで溶融し、250℃の溶融ポリマーとした。一方、120℃で16時間真空乾燥した固有粘度[η]が0.61のPETのペレットをエクストルーダーで溶融し、280℃の溶融ポリマーとした。両溶融ポリマーを、前者を鞘成分A、後者を芯成分Bとし、かつ断面積比率がA:B=50:50となるように、直径0.3mmの丸穴キャピラリーを1032孔有する公知の芯鞘型複合紡糸口金から、複合化して溶融吐出させた。この際、口金温度は285℃、吐出量は870g/分であった。さらに、吐出ポリマーを30℃の冷却風で空冷し1150m/分で巻き取り、未延伸糸を得た。この未延伸糸を80℃の温水中で3.75倍に延伸した後、単糸同士が融着しないように直ちに30℃の水バスを通して冷却し、アルキルホスフェートカリウム塩/ポリオキシエチレン変成シリコーン=80/20からなる油剤を0.2重量%付与した後、押込み型クリンパーで捲縮数9山/25mm、捲縮率12%の平面ジグザグ型捲縮を付与し、50℃で乾燥した後、5mmの繊維長にカットした。得られた短繊維の繊度は2.1デシテックスであった。
鞘成分Aを、非晶性共重合PETとHDPEとの混合ポリマーから、固有粘度[η]が0.55、Tgが65℃のイソフタル酸を40モル%共重合した非晶性共重合PETのみに変更した以外は、実施例3と同様にして短繊維および不織布を得た。短繊維の繊度は2.1デシテックスであった。また、不織布の剛軟度は83mm、未開繊率は11%、不織布地合いはレベル3であった。
鞘成分Aの非晶性共重合PETとHDPEとのチップ混合割合を95:5から84:16に変更した以外は、実施例3と同様に実施したが、曳糸性不良のため紡糸不能であった。
鞘成分AのHDPEを、MFRが50g/分、Tmが135℃のエチレン・プロピレンランダム共重合体(共重合モル比、エチレン:プロピレン=37:63)に変更した以外は、実施例3と同様にして短繊維および不織布を得た。短繊維の繊度は2.2デシテックスであった。また、不織布の剛軟度は58mm、未開繊率は1.3%、不織布地合いはレベル1であった。
鞘成分AのHDPEを、MFRが8g/分、Tmが96℃の無水マレイン酸3.5重量%グラフト共重合直鎖状低密度ポリエチレンに変更した以外は、実施例3と同様にして短繊維および不織布を得た。短繊維の繊度は2.2デシテックスであった。また、不織布の剛軟度は52mm、未開繊率は0.8%、不織布地合いはレベル1であった。
芯成分BのPETを、35℃のメタクレゾール溶媒で測定した固有粘度が1.34、Tmが215℃のナイロン−6に変更し、該ポリマーのチップをエクストルーダーで溶融した後の溶融ポリマー温度を240℃、口金温度を250℃、吐出量を500g/分とした。また、得られた未延伸糸は、2.1倍冷延伸後、55℃温水中で1.05倍延伸し、水バスを通して冷却し、油剤を付与した後、捲縮数12山/25mm、捲縮率6.5%の平面ジグザグ型捲縮を付与し、45℃で乾燥し、短繊維にカットした。これ以外は実施例3と同様に行った。得られた短繊維の繊度は2.2デシテックスであった。
この短繊維を用い、実施例3と同様にして不織布を得た。この不織布の剛軟度は41mm、未開繊率は0.9%、不織布地合いはレベル1であった。
カット長を5cmから3cmに変更した以外は、実施例3と同様にして短繊維および不織布を得た。この不織布の剛軟度は57mm、未開繊率は1.6%、不織布地合いはレベル1であった。
芯鞘型複合紡糸口金を偏心芯鞘型複合紡糸口金に変更し、捲縮数8山/25m、捲縮率15%の捲縮を付与した以外は、実施例3と同様にして短繊維を得た。この短繊維はオメガ型捲縮を有しており、繊度は2.3デシテックスであった。
この短繊維を用い、実施例3と同様にして不織布を得た。この不織布の剛軟度は55mm、未開繊率は0.9%、不織布地合いはレベル1であった。
延伸糸に捲縮の付与を行わなかった以外は、実施例3と同様にして、短繊維および不織布を得た。この不織布の剛軟度は53mm、未開繊率は0.2%、不織布地合いはレベル1であった。
熊谷理機工業株式会社製の角型シートマシンを用い、実施例10で得られた短繊維と、木材パルプとを80:20の重量割合で水中に投入し、よく撹拌・混合して分散させ、大きさが約25cm×約25cmで、目付が50g/m2のシートを作成した。次に、該シートを室温中で一昼夜以上乾燥させた後、孔を開けたテフロン(登録商標)シートの上に載せ、120℃の熱風循環式乾燥機の中で5分間の収縮処理を行い、湿式不織布を得た。この不織布の剛軟度は38mm、不織布地合いはレベル1であった。
延伸糸に捲縮の付与を行わなかった以外は、比較例2と同様にして短繊維を得た。この短繊維を用い、実施例11と同様にして湿式不織布の得た。この不織布の剛軟度は38mm、不織布地合いはレベル2であった。
カット長を5mmから51mmに変更した以外は、実施例3と同様にして短繊維を得た。この短繊維をローラー・カードに通しカード・ウェブを得た。この際、カード通過性は良好であった。このウェブを積層して目付50g/m2とし、実施例3と同様にして熱風で熱接着させて、カード法熱接着不織布を得た。この不織布の剛軟度は58mm、不織布地合いはレベル1であった。
カット長を5mmから51mmに変更した以外は、実施例10と同様にして短繊維を得た。この短繊維を用い、実施例12と同様にして、カード法熱接着不織布を得た。この際、カード通過性は良好であった。この不織布の剛軟度は51mm、不織布地合いはレベル1であった。
Claims (6)
- ポリエステル系ポリマーにポリオレフィン系ポリマーが0.5〜15重量%混合分散されているブレンドポリマーによって、繊維表面積の50%以上が占められており、該ポリオレフィン系ポリマーが、高密度ポリエチレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、無水マレイン酸をブロック共重合またはグラフト共重合させたポリエチレンおよび無水マレイン酸をブロック共重合またはグラフト共重合させたポリプロピレンよりなる群から選択された少なくとも1種類のポリマーからなることを特徴とするポリエステル系短繊維。
- ポリエステル系ポリマーがポリアルキレンテレフタレートまたはイソフタル酸共重合ポリアルキレンテレフタレートである請求項1記載のポリエステル系短繊維。
- 短繊維の結晶化度が20%以下、または、複屈折率が0.05以下である請求項1〜2のいずれかに記載のポリエステル系短繊維。
- 短繊維が、ブレンドポリマーを鞘成分として配した芯鞘型複合繊維または偏心芯鞘型複合繊維である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル系短繊維。
- 繊維長が2〜30mmであり、捲縮数が3〜13山/25mm、捲縮率が3〜15%の平面ジグザグ型あるいはオメガ型の捲縮を有する請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル系短繊維。
- 繊維長が30〜200mmであり、捲縮数が5〜30山/25mm、捲縮率が3〜30%の捲縮を有する請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル系短繊維。
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