JP3142624B2 - スルーホールを有するセラミックス基板の製造方法 - Google Patents
スルーホールを有するセラミックス基板の製造方法Info
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ラミックス基板の製造方法に関するものである。
する場合、セラミックス粉末、焼結助剤及び有機樹脂バ
インダー等を含む原料スラリーは、プレス法またはドク
ターブレード法に従ってシート状に成形される。その
後、グリーンシートには多数のスルーホール形成用孔が
透設され、各孔内には、主としてタングステン等の導電
性金属からなるペーストが印刷充填される。このような
グリーンシートを所定温度で焼成することにより、スル
ーホール内に導体層を有する基板が得られている。
のペーストを焼結させて導体層を形成する際、バインダ
ー等が焼失することによって、ペースト中の金属粒子間
には微小孔が形成され易い。また、小径のスルーホール
形成用孔が形成される高密度のパッケージ等のように、
前記孔の内径と長さとの比(アスペクト比)が大きくな
ると、ペースト印刷をしても前記孔内へペーストを確実
に充填することが困難になる。このような場合、スルー
ホール内に形成された導体層は脆弱になり、その内部に
欠損等を生じる虞れがある。また、上記の導体層は金属
粒子から形成されるため、粒界が多く存在する。
子と炭素化合物(バインダーの焼成残さ)との反応によ
って、タングステンカーバイド(W2C,WC)が形成
される。上記の3つの要因により、タングステン本来の
電気伝導性が損なわれ、導体層の内部抵抗は理論抵抗値
の約4〜5倍になってしまう。
のペーストを確実に充填することは容易でなく、充填性
が悪い場合には導体層における内部抵抗の増大を招く。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、そ
の目的は、内部抵抗が低く、かつ内部欠損等がほとんど
存在しない導体層をスルーホール内に確実に形成するこ
とができるスルーホールを有するセラミックス基板の製
造方法を提供することにある。
めに、本発明は、セラミックス粉末からなる所定形状の
グリーンシートを成形した後に、該グリーンシートに導
電性金属からなるワイヤを直接導入し、次いで仮焼成を
行い、さらに本焼成を施すことを特徴としている。
用いているため、金属粉末及びバインダーからなるペー
ストを用いた従来方法とは異なり、ペーストの充填性が
スルーホール形成用孔のアスペクト比に左右されること
はない。また、グリーンシートに焼成を施しても、スル
ーホール内の導体層中に粒界や微小孔を生じることもな
い。従って、導体層に発生する内部欠損等が防止でき
る。また、前記導体層の内部には炭素化合物は殆ど存在
していないため、導体層がカーバイド化されることもな
い。よって、導体層における内部抵抗の低減が達成で
き、その抵抗値も理論値に近い好適なものとすることが
できる。
ラミックス基板の製造方法について詳しく説明する。本
発明に適用可能なセラミックス材料としては、窒化アル
ミニウム、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素等があり、そ
の中でも電気絶縁性、熱伝導性、寸法安定性等に優れた
窒化アルミニウムを選択することが好適である。このよ
うなセラミックス粉末に有機樹脂バインダー等を添加し
た後、混練することにより原料スラリーが製造される。
前記原料スラリーは、スプレードライ法またはスプレー
フリーズドライ法によって粉末状に乾燥された後、例え
ば、金型プレスやラバープレス等の常法により所定形状
のグリーンシートに加圧成形される。勿論、ドクターブ
レード法等の他の方法に従って、グリーンシートの成形
を行っても良い。
シートに導入される導電性金属のワイヤについて説明す
る。前記ワイヤを形成するための導電性金属としては、
タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ等が適用
可能であり、その中でも特に導電性に優れたタングステ
ンを材料として用いることが望ましい。
つその直径が約0.05mm以上であることが好適であ
る。その理由は、直径がこの値より小さいと、グリーン
シートにワイヤを導入する際に、ワイヤが折れ曲がり易
くなるからである。
が望ましい。このような形状であると、ワイヤをグリー
ンシートに直接的に貫通させる場合、極めて有利であ
る。前記ワイヤは任意の切断手段により、グリーンシー
トの厚さとほぼ同程度の長さに切断される。そして、ワ
イヤ自動供給装置等を用いることによって、前記ワイヤ
はグリーンシートを貫通するように、そのグリーンシー
トに導入される。この場合、ワイヤの切断作業はグリー
ンシートへの導入工程の後に行っても勿論良い。
表面におけるワイヤ導入部分には、すり鉢状の凹部を設
けることが望ましい。その理由は、このような加工を施
しておくと、ワイヤの導入時にワイヤの先端部が凹部の
内周面に案内されるため、ワイヤを所望の部位へ容易に
かつ確実に導入することができるからである。また、前
記凹部を形成する場合、その端部開口部分の内径は0.
20mm以上であることが好ましい。内径がこの大きさ未
満であると、ワイヤが適切に案内されないため、ワイヤ
の導入作業を充分に容易化することができない。
止め部を形成しておくことが望ましい。抜け止め部が前
記凹部の内周面に係合することで、グリーンシートから
ワイヤが抜け落ちることが防止される。このような抜け
止め部の大きさは、ワイヤの直径より若干大きいことが
必要である。この条件を満たすものならば、例えば、超
硬カッター等によってワイヤを物理的に切断したとき
に、側方へ突出するように形成される切断端を抜け止め
部としても良い。
リーンシートに、その厚さ方向に沿ってグリーンシート
を貫通するスルーホール形成用孔を形成しておくことも
好適である。その理由は、ワイヤの導入作業が容易にな
ると共に、ワイヤを正確な位置にかつグリーンシートの
厚さ方向に対して垂直に導入できるからである。また、
このような孔を形成しておくことは、孔のアスペクト比
が大きい場合、細いワイヤを使用する場合等に極めて好
適である。
〜0.30mm程度に設定され、かつワイヤの直径よりも
若干大きくなるよう設定されることが好ましい。内径が
大き過ぎると、焼成後におけるスルーホール位置の寸法
精度が悪くなる。そればかりでなく、セラミックスと金
属とをメタライズすることができず、信頼性が低下して
しまう。また、このような場合、導体層の内部抵抗が増
大する虞れがある。
の凹部を透設した後に、ドリル加工、パンチング加工等
によって形成することが好適である。このような作業順
序にであれば、スルーホール形成用孔の透設時に生じた
削りカスによって、スルーホール形成用孔が目詰まりす
ることを未然に回避できる。
シートはセラミックス粉末と焼結助剤との共晶温度付近
(1650℃〜1950℃)で焼成される。この焼結温
度が前記範囲よりも高いと、セラミックス粒子が成長し
すぎて焼結体の強度が低下してしまう。一方、この焼結
温度が前記範囲よりも低いと、粒界に共晶が形成され
ず、セラミックスを焼結させることが困難になる。
ス法などを用いて、高温加圧下で行われることが好まし
い。このような条件下で焼成を施す理由は、微細なスル
ーホールを形成する場合にスルーホールの寸法を容易に
制御でき、また、セラミックスと金属とを均一にメタラ
イズすることができるからである。
ラミックス焼結体には研磨加工が施され、焼結体表面の
凹部、ワイヤの先端部及びワイヤの抜け止め部が除去さ
れる。そして、前記焼結体表面上に常法によって導体回
路パターンを形成することで、スルーホールを有するセ
ラミックス基板が製造される。
ルを有する単層の窒化アルミニウム基板の製造方法に具
体化した実施例1及びその比較例1について、図面に基
づき詳しく説明する。 〔実施例1〕 平均粒径が約1.0μmで酸素含有率が約1.0重量%
の窒化アルミニウム粉末2000gと、平均粒径が約
1.4μmの酸化イットリウム粉末100gと、ポリア
クリロニトリル系バインダー72gと、ベンゼン128
0mlとをボールミル中へ装入し、8時間以上混合した後
に凍結乾燥を施した。得られた粉末状乾燥混合物を適量
採取し、ラバ−プレスにより所定形状のグリーンシート
1(長さ45mm×幅45mm×厚さ2.0mm)を成形し
た。
ート1に対してドリル加工を施すことにより、すり鉢状
でありかつ開口2aの内径が0.30mmである複数の凹
部2を形成した。
ーホール形成用孔を設けることなく、ワイヤ自動供給装
置によりグリーンシート1に対して断面円形状のタング
ステン製ワイヤ4を直接的に導入した(図1(b)参
照)。本実施例1におけるワイヤ4の切断には超硬カッ
ターを使用し、このとき端部に側方へ突出するように形
成され、このワイヤ4の基端部は抜け止め部4aを備
え、その先端部9は針状の形状を備えている。尚、ワイ
ヤ4の直径は0.125mmである。
1870℃,200kg/cm2の高温加圧下でホットプレス
焼成を施した。そして、この焼成によって、図1(c)
に示すような導体層としてのワイヤ4を保持するスルー
ホール5(直径0.135mm)を形成した。
すように、焼結体6の両面を研磨することによって、凹
部2、ワイヤ4の先端部9及び抜け止め部4aを除去
し、最終的に厚さ0.75mmの焼結体6とした。そし
て、図1(e)に示すように、前記焼結体6の両面にそ
れぞれ導体回路パターン7を形成して、両面の導体回路
パターン7が導体層4によって連通された単層の窒化ア
ルミニウム基板10を得た。これを実施例1−1の基板
10とする。
の直径の設定を変更して、実施例1−2,1−3の二種
類の基板を製造した。実施例1−2,1−3では、ワイ
ヤ4の直径はそれぞれ0.100mm,0.090mmに設
定されている。そして、前記実施例1−1と同様の条件
及び方法に従い各グリーンシート1に焼成を施し、両面
の導体回路パターン7が導体層4によって連通された単
層の窒化アルミニウム基板とした。
板における導体層4の内部抵抗を測定したところ、何れ
も大変低い値を示した。また、抵抗比についても、理論
抵抗値に近い好適なものであった。そして、導体層4中
には粒界や微小孔は全く観察されず、内部欠損も生じて
いなかった。 〔比較例1〕 前記実施例1に対して、タングステンからなる従来のペ
ーストを用いて導体層を形成したものを比較例1とし
た。尚、この比較例1では、窒素雰囲気下かつ高温常圧
下(1870℃,200kg/cm2)にてグリーンシートの
焼成を行った。
では導体層の内部抵抗は14mΩ〜18mΩであって、
9.21mΩの前記実施例1−3と比較して高い値を示
した。従って、抵抗比も前記実施例1−3よりも高かっ
た。このような導体層を微視的に観察したところ、タン
グステン粒子間には粒界や微小孔が多く存在し、一部の
導体層では内部欠損が生じていた。
板は、従来の基板に比して極めて好適なものであること
が判る。
ールを有するセラミックス基板の製造方法によれば、焼
成前のグリーンシートに対してワイヤを直接的に導入で
き、内部抵抗が低く、かつ内部欠損等がほとんど存在し
ない導体層をスルーホール内に確実に形成することがで
きるという優れた効果を奏する。
する窒化アルミニウム基板の製造工程を示す概略図であ
る。
成用)孔、4 ワイヤ、4a 抜け止め部、9 (ワイ
ヤの)先端部。
Claims (6)
- 【請求項1】セラミックス粉末からなる所定形状のグリ
ーンシート(1)を成形した後に、該グリーンシート
(1)に導電性金属からなるワイヤ(4)を直接導入
し、次いで仮焼成を行い、さらに本焼成を施すことを特
徴とするスルーホールを有するセラミックス基板の製造
方法。 - 【請求項2】前記導電性金属はタングステンであること
を特徴とする請求項1に記載のスルーホールを有するセ
ラミックス基板の製造方法。 - 【請求項3】前記グリーンシート(1)表面におけるワ
イヤ(4)導入部分には、すり鉢状の凹部(2)を設け
ることを特徴とする請求項1または2に記載のスルーホ
ールを有するセラミックス基板の製造方法。 - 【請求項4】前記ワイヤ(4)の基端部には抜け止め部
(4a)を形成することを特徴とする請求項1乃至3の
何れか一項に記載のスルーホールを有するセラミックス
基板の製造方法。 - 【請求項5】前記ワイヤ(4)の先端部(9)は針状で
あることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記
載のスルーホールを有するセラミックス基板の製造方
法。 - 【請求項6】前記ワイヤ(4)を導入する前に、前記グ
リーンシート(1)にはスルーホール形成用孔(3)が
形成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一
項に記載のスルーホールを有するセラミックス基板の製
造方法。
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