JP3141803B2 - 蛍光x線のスペクトル線強度算出方法 - Google Patents
蛍光x線のスペクトル線強度算出方法Info
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Description
において、試料から得られる蛍光X線のスペクトル線強
度を算出する方法に係り、詳しくは、同一のピークに含
まれる異なる元素のスペクトル線のそれぞれの強度値を
求める方法に関する。
ず得られるのは、蛍光X線のスペクトル波形である。ス
ペクトル波形には波長位置に沿って多数のピークがあ
る。
ング、バックグランド除去、ピーク検出等の処理を行
い、各ピークについてその波長位置(ピーク位置)と強度
(ピーク強度)とのデータを得る。
の波長位置(ピーク位置)と、その波長位置での標準化さ
れた相対的な強度(ピーク強度)とが予め求められてお
り、これらのデータがたとえばROM等の記憶装置にテ
ーブル化されて格納されている。なお、ここでは、各元
素について理論上の波長位置(ピーク位置)のデータを波
長テーブル、各元素について理論上の波長位置での標準
化されたピーク強度のデータをスペクトル線強度比テー
ブルと称する。
に対しては、ピーク強度の高いものから順に、予め記憶
されている波長テーブルを参照することで、どの元素の
スペクトル線が含まれているか、元素名とスペクトル線
名とを同定していく。
定量分析を行う場合には、上記の元素名とスペクトル線
名を同定するだけでは不十分で、その各元素についての
代表的なスペクトル線を特定し、その特定されたスペク
トル線の波長位置でのピーク強度を求める必要がある。
成している場合は、そのピーク強度がそのままスペクト
ル線の強度となる。
単独のピークとして現れるわけではなく、他の元素のス
ペクトル線が妨害スペクトル線として近接した波長位置
にあって、図2に示すように、同一のピークPに異なる
元素A,Bのスペクトル線PA,PBが重畳して含まれて
いることがある。
トル線PA,PBが重畳している場合には、各々の強度を
ピーク強度と一義的に結び付けることはできず、単独で
ピークを形成しているスペクトル線とは異なる仕方で強
度を求める必要がある。
り、定量に必要な元素についての各スペクトル線の強度
を求めるようにしている。
まれる一方の元素Bのスペクトル線PBについて定量分
析を行う必要がある場合、他方の元素Aのスペクトル線
PAは妨害となる。
線PAについて、予め記憶しているスペクトル線強度比
テーブルを使って、同じ元素Aの他のスペクトル線の強
度と比較することで、その特定されたピークにおける強
度値IAを算出する。そして、このスペクトル線強度IA
をピーク強度IPから差し引き(IP−IA)、その残分
のピーク強度が他方の元素Bのスペクトル線PBの強度
値IBであるとして決定する。
波形のうちの同一のピークPに異なる元素のスペクトル
線が含まれている場合、これらのスペクトル線は、互い
に影響を及ぼし合い強め合っているのであって、その強
度は、実際よりも増加している。
畳して含まれる各元素のスペクトル線PA,PBの強度値
IA,IBを求める場合には、前述のスペクトル線強度比
テーブルを使用しているが、この強度比テーブルの値
は、スペクトル線が単独でピークを形成している状態で
求められたものであって、近接位置にある他のスペクト
ル線の影響までは考慮されていない。
頼り、しかも単純に引き算をするだけの従来の方法で
は、求められたスペクトル線の強度値IA,IBに誤差が
含まれることになり、分析精度を高める上で問題があ
る。
クトル波形の同一のピークに異なる元素のスペクトル線
が含まれている場合、各元素のスペクトル線の強度がよ
り正確に算出されるようにして、分析精度を高めること
を課題とする。
成するために、蛍光X線分析装置において、測定された
蛍光X線のスペクトル波形に現れるピークのうち、同一
のピークに異なる元素のスペクトル線が重畳して含まれ
ている場合、それぞれのスペクトル線の強度を算出する
方法として、前記ピークについてピーク位置およびピー
ク強度を求めるステップと、そのピークに含まれる各元
素のスペクトル線が、理論上の波長位置において有する
強度を求めるステップと、前記理論上の波長位置とその
位置での強度とから、各元素のスペクトル線の形状を所
要の関数に近似して関数化するステップと、各スペクト
ル線の形状を示す関数から、ピーク位置での各スペクト
ル線の強度を推定するステップと、ピーク位置での各ス
ペクトル線の推定強度について、相互の比率を一定とし
て、その和がピーク強度と一致するようそれぞれ補正
し、その補正値を各スペクトル線の強度値として出力す
るステップとを含む方法を構成した。
を参照して説明する。
が重畳して一つのピークPが形成されている状態を示し
ている。
の波長位置(ピーク位置)CPと、その位置での強度(ピー
ク強度)IPとを求める。これらの値CP,IPは、スペク
トル波形に対して、スムージング、バックグランド除去
等を行った後、ピーク検出処理を行うことで得られる。
る元素A,Bが既に同定されておれば、定量分析に必要
な各元素についての代表的なスペクトル線の線名を特定
する。
A,PBについて、理論上の波長位置CA,CBと、その位
置でのピーク強度値IA,IBが算出される。この場合の
各元素A,Bの理論上のピークの波長位置CA,CBは、
波長テーブルを参照することによって得られる。また、
そのピーク位置での強度IA,IBは、スペクトル線強度
比テーブルを参照し、同じ元素A,Bの他のスペクトル
線(このスペクトル線は単独でピークを形成している)と
比較することで算出される。
要として特定された一方の元素Bのスペクトル線PBに
対して、他の元素Aのスペクトル線PAが近接した波長
位置にあるときには、このスペクトル線PAは妨害とな
る。
上記(2)のステップで、各スペクトル線A,Bについて
理論上の波長位置CA,CBとその位置での強度IA,IB
とが得られたので、これらの値に基づいて、各スペクト
ル線A,Bの形状を関数化する。ここでは、ガウス関数
に近似するものとする。
A,Bの形状は、言うまでもなく、理論上の波長位置C
A,CBを中心にして、その中心で極大値をとる波形であ
り、しかも、その半値幅Wは、蛍光X線を分光する分光
結晶のような分光手段により一義的に決まる値となる。
す関数にピーク位置CPの値を代入して、そのピーク位
置CPにおける各スペクトル線PA,PBの強度IPA,I
PBを求める。
方は、ガウス関数としたとき、次式のように示すことが
できる。
強度IPAは、 IPA=IA・Exp[−4・log2・{(CP−CA)/W}2] (イ) スペクトル線Bのピーク位置CPにおける強度IPBは、 IPB=IB・Exp[−4・log2・{(CP−CB)/W}2] (ロ) となる。
位置CPでの強度IPA,IPBは、互いに加算しても、そ
の和は通常、ピーク強度IPには一致しない。これは、
各スペクトル線A,Bについての強度IPA,IPBの算出
の基礎となった関数自体が理論的に推測したものである
ためで、実際のスペクトル線は、近接することで互いに
強め合っている。
置CPでの強度IPA,IPBの和が、ピーク強度IPの値に
一致するように、各スペクトル線A,Bのピーク位置C
Pでの強度IPA,IPBの値を補正する。
ペクトル線A,Bのピーク位置CPでの強度IPA,IPB
の値に応じて比例配分するものである。すなわち、スペ
クトル線Aのピーク位置CPにおける補正後の強度IPA'
は、 IPA'=IP・{IPA/(IPA+IPB)} (ハ) スペクトル線Bのピーク位置CPにおける補正後の強度
IPB'は、 IPB'=IP・{IPB/(IPA+IPB)} (ニ) となる。当然ながら、(ハ),(ニ)から分かるように、I
PA'+IPB'=IPである。
IPA',IPB'は、2つのスペクトル線A,Bの重なり具
合に応じてピーク強度IPを分け合う量であり、実際の
各スペクトル線の最大強度にごく近い値と見ることがで
き、これらの補正値IPA',IPB'を各スペクトル線A,
Bの強度値として出力する。
線A,Bの形状をガウス関数に近似しているが、より精
密な近似関数として、VOIGHT関数を用いてもよ
い。
PBの形状について、ピーク位置CPでの強度IPAは、次
式で与えられる。
位置CPにおける強度IPA,IPBを、前記(5)に記し
たような仕方で補正し、その補正値をスペクトル線
PA,PBの強度値IPA,IPBとして出力してもよいこと
は言うまでもない。
Bのスペクトル線PA,PBが重畳して一つのピークピー
クが形成されている場合について説明しているが、これ
に限定されるものではなく、3つ以上のスペクトル線が
重畳して一つのピークが形成されている場合にも同様に
本発明を適用することが可能である。
異なる元素のスペクトル線が重畳して含まれている場
合、複数のスペクトル線の重なり具合に応じてピーク強
度を分け合う形で、各スペクトル線の強度が求められ、
従来のように単純な引き算で求める場合よりも、正確で
真値に近い強度値を得ることができ、定量分析を行う場
合に一段と分析精度が向上する。
図である。
A,PB…スペクトル線、CA,CB…各スペクトル線
PA,PBの波長位置、IA,IB…各スペクトル線PA,
PBの強度、IPA,IPB…各スペクトル線PA,PBのピ
ーク位置CPでの強度、IPA',IPB'…各強度IPA,I
PBの補正値。
Claims (1)
- 【請求項1】 蛍光X線分析装置において、測定された
蛍光X線のスペクトル波形に現れるピークのうち、同一
のピークに異なる元素のスペクトル線が重畳して含まれ
ている場合、それぞれのスペクトル線の強度を算出する
方法であって、 前記ピークについてピーク位置およびピーク強度を求め
るステップと、 そのピークに含まれる各元素のスペクトル線が、理論上
の波長位置において有する強度を求めるステップと、 前記理論上の波長位置とその位置での強度とから、各元
素のスペクトル線の形状を所要の関数に近似して関数化
するステップと、 各スペクトル線の形状を示す関数から、ピーク位置での
各スペクトル線の強度を推定するステップと、 ピーク位置での各スペクトル線の推定強度について、相
互の比率を一定として、その和がピーク強度と一致する
ようそれぞれ補正し、その補正値を各スペクトル線の強
度値として出力するステップと、 を含むことを特徴とする蛍光X線のスペクトル線強度算
出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09000663A JP3141803B2 (ja) | 1997-01-07 | 1997-01-07 | 蛍光x線のスペクトル線強度算出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP09000663A JP3141803B2 (ja) | 1997-01-07 | 1997-01-07 | 蛍光x線のスペクトル線強度算出方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10197457A JPH10197457A (ja) | 1998-07-31 |
JP3141803B2 true JP3141803B2 (ja) | 2001-03-07 |
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JP09000663A Expired - Fee Related JP3141803B2 (ja) | 1997-01-07 | 1997-01-07 | 蛍光x線のスペクトル線強度算出方法 |
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JP6581539B2 (ja) * | 2016-04-27 | 2019-09-25 | Toyo Tire株式会社 | 高分子材料の硫黄架橋形態解析方法 |
JP7307761B2 (ja) * | 2021-03-23 | 2023-07-12 | 日本電子株式会社 | スペクトル解析装置 |
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