JP3140497B2 - 広視野接眼レンズ - Google Patents

広視野接眼レンズ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、顕微鏡用等の広視野接
眼レンズに関し、特に、像面平坦性の良好な広視野接眼
レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、広視野接眼レンズとして、4群4
枚構成のものとして特開昭60−57315号のもの、
また、3群5枚構成のものとして特開昭56−1289
13号のもの等が知られている。
【0003】しかしながら、これら従来例では、前者の
ものは、接合面がないため、瞳収差、色収差(特に、瞳
の色収差)の補正が不十分であり、瞳の色収差の補正が
不十分な場合、眼を振った時に視野周辺に色付きが現れ
たりする問題がある。後者のものは、一番像側のレンズ
が像に近すぎるため、その一番像側のレンズ面のゴミや
キズが目立つという欠点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたものであり、その目的は、瞳収差、
色収差(特に、瞳の色収差)を含めた諸収差を良好に補
正し、かつ、レンズが像に近すぎないようにした広視野
接眼レンズを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の広視野接眼レンズは、光の入射側より順に、正レン
ズの第1レンズ群、全体としてメニスカス形状負レンズ
の第2レンズ群、正負接合レンズを含む全体として正レ
ンズの第3レンズ群を有し、全体の焦点距離をfa 、第
1レンズ群の焦点距離をf1 、第2レンズ群の入射側の
曲率半径をRF 、第3レンズ群の焦点距離をf3 、第3
レンズ群中の接合レンズの正、負レンズのアッベ数を各
々νv 、νc とするとき、以下の条件を満足することを
特徴とするものである。
【0006】 (1) 1 <|f1 /fa |<2 (2) 0.62<|RF /fa |<1 (3) 0.5<|f3 /fa |<2 (4) νv −νc >10
【0007】
【作用】以下、上記構成を採用した理由と作用について
説明する。広い画角で像面の平坦性を確保するには、ペ
ッツバール和を小さくして像面湾曲を小さくすることが
必要であるが、一般に、接眼レンズは正の強いパワーを
持つため、ペッツバール和も正の大きな値となり、像面
湾曲が大きくなる。そこで、その中の1群に強い凹パワ
ーを持たせ、大きな負のペッツバール和に関する係数を
発生させることによって、全体のペッツバール和を小さ
くすることが必要である。さらに、効果的に負のペッツ
バール和に関する係数を発生させるためには、凹面での
光線高を低くし、そこに強い凹面(小さな曲率半径)を
もってくることが望ましい。上記条件(1)はそのため
のものであり、第1レンズ群の正レンズで光線高を効果
的に下げて、第2レンズ群の第1面の強い凹面に光線を
導入するためのものである。ここで、条件(1)の下限
の1を超えると、光線高が急激に下がり過ぎ、第1レン
ズ群及び第2レンズ群第1面で発生するコマ収差等の諸
収差が後群で補正しきれなくなり、逆に、条件(1)の
上限の2を超えると、光線高が下がらず、効果的に負の
ペッツバール和に関する係数を発生させることができな
い。
【0008】また、第1レンズ群として正レンズを配す
ることにより、光線高を下げて強い凹面に導入すること
がきるるため、第1レンズ群を像にあまり近づける必要
もなくなる。
【0009】上記条件(2)はその負のペッツバール和
に関する係数を発生させるレンズに関するものであり、
下限の0.62を超えると、第2レンズ群の凹パワーが
強すぎ、そこで発生するコマ収差、歪曲収差等が他群で
補正しきれず、逆に、上限の1を超えると、十分な負の
ペッツバール和に関する係数を発生させることができな
い。また、このレンズがメニスカス形状をしているの
は、第3レンズ群へ入射する光線高を上げすぎないため
である。第3レンズ群へ入射する光線高が高くなると、
そこで正のペッツバール和に関する係数が発生しすぎ、
また、レンズ外径が大きくなりすぎるため、第2レンズ
群をメニスカス形状にすることが有効である。そのため
には、以下の条件(5)を満足することがより望まし
い。 (5) 1 <|RB /RF |<4 ただし、RB は第2レンズ群の射出側の曲率半径であ
る。
【0010】ここで、下限の1を超えると、その面のパ
ワーが強すぎ、像面湾曲、コマ収差等が発生しすぎ、逆
に、上限の4を超えると第3レンズ群へ入射する光線が
効果的に下がらない。
【0011】また、上記条件(3)は最終的に光線群を
効果的にアイポントへ導くためのものであり、下限の
0.5を超えると、アイポイントへ向かう光線が急激に
下がりすぎ、アイポイントまでの距離が短くなりすぎて
しまい、逆に、上限の2を超えると、凸パワーが弱くな
りすぎ、全体としての焦点距離の要件を満足することが
できなくなる。
【0012】また、上記条件(4)は色収差の補正に関
するものであり、この条件が満たされないときは、倍率
の色収差、及び、瞳の色収差がとりきれない。
【0013】さらに、全体として非常に良好にコマ収差
を補正してあることも本発明の大きな特徴である。シス
テマチックな顕微鏡では、中間鏡筒類が挿入されること
によって、対物レンズと接眼レンズの間の距離が大きく
変わり、接眼レンズにとっての入射瞳位置がかなり変動
することがある。このとき、接眼レンズのコマ収差が良
好に補正されていないと、入射瞳位置の変動によって像
面湾曲量が変わり、ある瞳の状態では像面の平坦性が良
くても、他の状態では著しく平坦性が損なわれることに
なる。上記条件(1)、(2)、(3)、(5)は、全
体としてコマ収差を良好に補正するためにも効果的なも
のである。
【0014】
【実施例】以下に本発明の広視野接眼レンズの実施例に
ついて説明する。実施例1から3のレンズ断面図を図1
から図3に示すが、そのレンズデータは後記する。
【0015】レンズ配置については、第1レンズ群G1
は、実施例1、3は像側(眼と反対側)に凹面を向けた
正メニスカスレンズからなり、実施例2は両凸正レンズ
からなる。第2レンズ群G2は、実施例1は像側に凹面
を向けた負メニスカスレンズ1枚からなり、実施例2、
3は両凹負レンズと両凸正レンズの貼り合わせレンズの
2枚からなる。第3レンズ群G3は、実施例1は両凸正
レンズ及び両凸正レンズと負メニスカスレンズの貼り合
わせレンズの計3枚からなり、実施例2、3は両凸正レ
ンズと負メニスカスレンズの貼り合わせレンズの2枚か
らなる。したがって、何れの実施例も合計5枚のレンズ
からなる。
【0016】以下に示すレンズデータにおいて、レンズ
面の表示は光線の進行方向の順に示してある。記号は、
上記の外、FNOはFナンバー、ωは半画角、d0 は像位
置から第1面までの距離、r1 、r2 …は各レンズ面の
曲率半径、d1 、d2 …は各レンズ面間の間隔、nd1
d2…は各レンズのd線の屈折率、νd1、νd2 …は各
レンズのアッベ数である。
【0017】実施例1 fa =25.03 FNO=12.48 ω =21.75 ° d0 =7.753141 r1 =-251.19045 d1 = 6.175281 nd1 =1.603112νd1 =60.70 r2 = -20.76911 d2 = 2.912833 r3 = -16.21232 d3 = 4.000000 nd2 =1.805176νd2 =25.44 r4 = -53.26369 d4 = 3.911036 r5 = 276.76482 d5 = 6.134503 nd3 =1.735198νd3 =41.08 r6 = -31.14131 d6 = 0.200000 r7 = 30.54632 d7 = 7.580399 nd4 =1.658441νd4 =50.86 r8 = -28.68146 d8 = 2.500000 nd5 =1.805176νd5 =25.44 r9 =-606.49730 |f1 /fa |=1.534 |RF /fa |=0.648 |f3 /fa |=0.903 νv −νc =25.43 |RB /RF |=3.29 。
【0018】実施例2 fa =25.00 FNO=12.48 ω =21.77 ° d0 =12.006315 r1 = 269.88444 d1 = 5.509016 nd1 =1.658441νd1 =50.86 r2 = -23.32410 d2 = 2.800987 r3 = -18.01722 d3 = 2.500000 nd2 =1.728249νd2 =28.46 r4 = 23.88796 d4 = 7.168205 nd3 =1.701536νd3 =41.24 r5 = -33.32449 d5 = 0.200000 r6 = 27.19792 d6 = 6.930938 nd4 =1.723420νd4 =37.95 r7 = -26.97019 d7 = 2.500000 nd5 =1.805176νd5 =25.44 r8 =-129.53057 |f1 /fa |=1.314 |RF /fa |=0.721 |f3 /fa |=1.368 νv −νc =12.51 |RB /RF |=1.85 。
【0019】実施例3 fa =25.00 FNO=12.48 ω =21.77 ° d0 =10.956710 r1 =-146.32731 d1 = 4.875195 nd1 =1.723420νd1 =37.95 r2 = -23.74747 d2 = 3.255608 r3 = -17.22412 d3 = 3.134893 nd2 =1.595508νd2 =39.21 r4 = 28.42070 d4 = 7.824016 nd3 =1.603112νd3 =60.70 r5 = -27.25993 d5 = 0.200000 r6 = 23.88151 d6 = 7.312041 nd4 =1.614047νd4 =54.95 r7 = -29.93143 d7 = 2.500000 nd5 =1.805176νd5 =25.44 r=−128.85989 |f1 /fa |=1.542 |RF /fa |=0.689 |f3 /fa |=1.574 νv −νc =29.52 |RB /RF |=1.58
【0020】以上の実施例1〜3の広視野接眼レンズの
球面収差、非点収差、歪曲収差、瞳収差、コマ収差(横
収差)を示す収差図をそれぞれ図4〜図6に示す。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
全体としてのペッツバール和が小さく、像面の平坦性が
良好で、色も含めた瞳収差も良好で、かつ、第1レンズ
が像に近すぎることもない広視野接眼レンズを得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の広視野接眼レンズの実施例1のレンズ
断面図である。
【図2】実施例2のレンズ断面図である。
【図3】実施例3のレンズ断面図である。
【図4】実施例1の球面収差、非点収差、歪曲収差、瞳
収差、コマ収差(横収差)を示す収差図である。
【図5】実施例2の図4と同様な収差図である。
【図6】実施例3の図4と同様な収差図である。
【符号の説明】
G1…第1レンズ群 G2…第2レンズ群 G3…第3レンズ群

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光の入射側より順に、正レンズの第1レ
    ンズ群、全体としてメニスカス形状負レンズの第2レン
    ズ群、正負接合レンズを含む全体として正レンズの第3
    レンズ群を有し、全体の焦点距離をfa 、第1レンズ群
    の焦点距離をf1 、第2レンズ群の入射側の曲率半径を
    F 、第3レンズ群の焦点距離をf3、第3レンズ群中
    の接合レンズの正、負レンズのアッベ数を各々νv 、ν
    c とするとき、以下の条件を満足することを特徴とする
    広視野接眼レンズ。 (1) 1 <|f1 /fa |<2 (2) 0.62<|RF /fa |<1 (3) 0.5<|f3 /fa |<2 (4) νv −νc >10
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