JP3139390B2 - 非水電解液二次電池用負極とその製造方法、ならびにそれを使用した非水電解液二次電池 - Google Patents
非水電解液二次電池用負極とその製造方法、ならびにそれを使用した非水電解液二次電池Info
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Description
用負極、及びそれを使用した非水電解液二次電池に関
し、特に優れた安全性と放電特性を実現する非水電解液
二次電池用負極、及びそれを使用した非水電解液二次電
池に関する。
ーダー等携帯機器が著しく高性能化し、消費電力は年々
増加している。しかし一方でより長時間の使用が求めら
れ、動力源としての充電式電池に要求される性能は加速
度的に高くなってきている。従来このような携帯機器の
分野にはニッケルカドミウム電池が使用されてきたが、
最近ではそれに変わる充電式電池として、ニッケル水素
電池や、リチウム電池が開発され、実際に使用されはじ
めている。特にリチウム電池は、ニッケルカドミウム電
池の2〜3倍のエネルギー密度を有する。
ム二次電池は、原理上リチウムが金属状態で存在するこ
とがなく、常にイオンの状態で充放電反応を行なう。こ
のためリチウムイオン二次電池と呼ばれることもあり、
従来、金属リチウム二次電池で懸念されていたリチウム
のデンドライト成長による短絡問題を解決しつつ、高容
量、高電圧、高エネルギー密度を実現している。
負極材料は、その比表面積が非常に重要であるとされて
いる。
(Ulrich von Sacken)らによるソリ
ッドステート・アイオニクス(Solid State
Ionics 69 (1994) pp284−2
90)によれば、非水電解液二次電池の負極材料として
使用する炭素質材料において、その比表面積が大きいほ
ど電解液と接触した際の自己発熱反応が促進されること
が記載されている。すなわち負極炭素質材料の比表面積
は小さい方が、安全性に優れる。
積は重要視されている。
にはBET法による比表面積が1〜10m2 /gであ
り、平均粒径が10〜30μmであり、且つ、粒径10
μm以下の粉末の含有率及び粒径30μm以上の粉末の
含有率の少なくとも一方が10%以下である黒鉛粉末は
初期充放電効率、保存特性、急速充電特性、及び高率放
電特性の全ての特性に優れると記載されている。
法による比表面積が100m2 /g以上であり、且つ、
X線回折パラメータd002が3.37オングストロー
ム以上であるコークスを使用することにより、リチウム
吸蔵放出量を増加させることができ、電池容量が大きい
と記載されている。
法比表面積A(m2 /g)が0.1<A<100の範囲
で、かつX線回折における結晶厚みLc(オングストロ
ーム)と真密度ρ(g/cm3 )の値が条件1.80<
ρ<2.18、15<Lcかつ120×ρ−227<L
c<120×ρ−189を満たす範囲にある炭素質材料
を負極の活物質として用いることを特徴とする二次電池
について述べており、特に負極活物質の比表面積に関し
てはさらに詳しく述べている。炭素質材料はBET法比
表面積A(m2 /g)が0.1より大きく、100未満
でなければならない。好ましくは0.1より大きく50
未満、さらに好ましくは0.1より大きく25未満の範
囲であるとしている。0.1m2 /g以下の場合では好
ましくない理由として、あまりに表面積が小さく、負極
表面での円滑な電気化学的反応が進行しにくいためとし
ている。一方、100m2 /g以上の比表面積を有する
場合では好ましくない理由として、サイクル寿命特性、
自己放電特性、さらには電流効率特性の面で特性の低下
がみられるためとしている。このような特性の低下は、
あまりに表面積が大きいが故に負極表面での種々の副反
応が起こり、電池性能に悪影響を及ぼしているものと推
察している。
次電池の負極活物質として比表面積が0.5m2 /g以
上、10m2 /g以下の炭素質材料を使用するという記
述がある。この公報では自己放電率などの電池の特性は
比表面積が適正な炭素質材料を使用することにより、改
善されるとの知見を得るに至ったとしている。非水電解
液二次電池において自己放電は、粒径の細かい炭素質材
料もしくは細孔を多く有する炭素質材料、すなわち、比
表面積が大きな炭素質材料を使用することにより引き起
こされるとしている。従って、自己放電を防止するため
には比表面積の小さな炭素質材料を使用することが好ま
しい。一方、炭素質材料の比表面積が小さすぎる場合に
は、充填密度が小さくなり、放電容量などの面で不都合
が生じると記載されている。
比表面積の研究開発動向を記したが、安全性・信頼性・
自己放電特性を高めるためには比表面積は小さい方が適
し、放電特性を高めるためには比表面積は大きい方が適
する。従って両者のバランスのとれた電池を開発するた
めには、電池材料の比表面積をコントロールすることが
必須である。ただし、従来の研究では負極材料そのもの
の比表面積にのみ、注目していることは明らかである。
池は負極材料単体をそのまま使用するわけではない。
する。まず負極活物質である炭素質材料に、ポリフッ化
ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ブタジエンゴム、EPDMなどの結着剤を混合し、
N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキサンなどの溶
媒中に溶解または分散させてスラリー(ペースト状混合
物)とする。スラリーを調製する場合には、アセチレン
ブラックなどの導電性付与材を加える場合もある。ま
た、スラリーの粘度を調整するために、増粘材を混合す
ることもある。このスラリーを銅、ニッケルなどの金属
箔上に塗布し、さらに圧縮成型し、切断して負極とす
る。上記の工程を図1に示す。また、実際の電池に使用
する負極の形態を図2に示す。また、このようにして作
製した負極が実際の非水電解液二次電池に使用されてい
る様子を図3に示す。
は、負極活物質である炭素質材料に結着剤としてポリフ
ッ化ビニリデン5〜20重量%を使用し、N−メチル−
2−ピロリドン(NMP)を溶剤としてスラリー(ペー
スト)を作成し、銅箔などの金属箔上に塗布し、圧縮成
型して負極とすると記載されている。
開平7−288124号公報には、スラリー調製時にア
セチレンブラックを添加する方法が記載されている。
向上のために行われる。電池はその大きさが決められて
いるため、一定体積中に負極材料を詰め込む必要があ
る。しかし、負極材料は金属箔上に塗布したままでは嵩
密度が小さいために、一定体積中へ詰め込むには向かな
い。このため負極を圧縮成型し、充填密度を高め、容量
の向上を試みている。
負極の密度を規定した技術も開示されている。例えば特
開平6−168724号公報では、負極の見かけ充填密
度を0.9g/cm3 以上1.6g/cm3 以下に規定
している。これは、密度が低すぎると高い容量が得られ
ないためで、密度が高すぎると炭素六角網状平面が負極
集電体に対し平行に配向し、リチウムの進入サイトの減
少、負極の内部抵抗の増大により、重量あたりの放電容
量が減少するとしている。
極活物質層の見かけ密度が0.95〜1.18g/cm
3 であることと規定している。
の電池に使用する負極が製作されるわけであるが、いか
に材料としての比表面積がコントロールされていよう
と、結着剤とともにスラリーにして金属箔上に塗布され
ることにより、結着剤により活物質の表面が覆われ、電
解液と触れる面積は少なくなり、実効的な比表面積は低
下する。さらに圧縮成型の工程でも何らかの影響を受け
比表面積は当然変化するものと考えられる。
でいるものの、実際の電池に使用される負極となるまで
に行われる工程が、負極としての比表面積にどのような
影響を与えるのか、また、負極の比表面積が電池の特性
・安全性にどのような影響を与えるのかに関しては、従
来は全く考慮されていなかったことは明らかである。
いて、高度な安全性・信頼性を保ちつつ良好な放電特性
を実現することである。
きなかった原因は、材料の研究開発が負極材料単体での
評価にのみ捕らわれていたためで、実際の電池に組み込
んだ状態での評価を行っていなかったためである。
た結果、非水電解液二次電池の安全性・信頼性の向上、
同時に放電特性を向上させるためには活物質単体の比表
面積ではなく、電池に組み込む負極としての形態での比
表面積こそが真に重要なパラメータであると確信し、負
極としての比表面積がなにに影響されるのか、また、負
極としての比表面積が電池の特性・安全性にどのような
影響を与えるのかを詳細に調査した。
負極の活物質層の重量あたりの比表面積は、材料固有の
比表面積ではなく、負極材料の持つ結着剤との親和性、
応力がかかったときの割れ具合、負極の製造工程、特に
圧縮成型工程に大きな影響を受けることを見いだした。
さらに、非水電解液二次電池の特性及び安全性は、この
負極の比表面積に大きく依存していることを見いだし
た。
まない活物質層の重量あたり0.5m2 /g以上、2.
0m2 /g以下に制御することにより、高度な安全性・
信頼性を保ちつつ良好な放電特性を実現することを可能
とした。
た発明の実施の形態を記す。
が、コーティング工程を経ることによりどのような影響
を受けるか調査を行った。
うにして作製した。
して溶媒中に分散させてスラリーとし、金属箔の両面に
ドクターブレード法にて塗布した。
測定した。
り、これをサンプルとした。BET比表面積測定装置は
Quanta chrome社製のQuantasor
bを使用し、窒素ガスを吸着ガスとした。サンプルセル
にはバルクソリッドセルを使用し、負極サンプルをこの
セルの中に丸めてセットした。なお、吸着ガスをクリプ
トンにすることにより、さらに小さなサンプルでの測定
も可能である。
とによって、負極活物質が本来持っている表面積の2割
程度しか使用できていないことが明らかとなった。ま
た、表面積の減少の程度は炭素材料の種類により異なっ
た。比表面積減少の原因は結着剤が、負極材料の表面を
覆ってしまうためであり、炭素材料によって比表面積の
減少の程度が異なるのは、炭素材料の表面と、結着剤と
の親和性に差があるため、結着剤による覆われかたに差
がでるためと考えられる。
用負極をローラープレス器で圧縮成型した。
の細孔が埋まり、負極の比表面積は減少するとの予想を
立てていた。
圧を高めることによって、驚くべきことに負極の比表面
積は増加した。負極比表面積増大の原因を探るため圧縮
成型後の負極を電子顕微鏡により観察した。その結果、
圧縮成型工程により、負極活物質が崩れていることが明
らかとなった。また、負極の比表面積の増加の程度は、
炭素材料の種類を変えることにより異なった。これは炭
素材料により、応力が加わった場合の割れかた、崩れか
たに差があるためと考えられる。
物質層の密度を高め、容量向上には役立つものの、負極
を構成する材料に、割れ、崩れなどが生じ、新たな表面
が形成されることによって負極としての比表面積が著し
く増大するため、電池としての信頼性・安全性などの性
能に大きな影響がでると予想される。
二次電池用負極を使用して、非水電解液二次電池を製作
した。
や、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウムなどの金
属酸化物を使用し、導電性付与材、結着剤を混合後、溶
媒中に分散させてスラリーとし、これを金属箔上にドク
ターブレード法にて塗布した。塗布後、ローラープレス
により圧縮成型を行い、負極とした。
使用した。
ネートの混合溶媒に支持塩を溶解させたものを使用し
た。
回し、電池缶に挿入し、電解液を含浸し、封止してリチ
ウムイオン二次電池を得た。
池の放電特性評価として、初回充放電容量、初回充放電
効率、大電流放電容量、温度特性、サイクル特性試験を
行った。また安全性の評価としてホットボックス試験を
行った。
特性、安全性に大きく寄与していることが明らかとなっ
た。具体的には優れた放電特性と、安全性を実現するた
めには、銅箔などの金属箔を除いた負極活物質層の比表
面積が0.5m2 /g以上2.0m2 /g以下であるこ
とが望ましいことが明らかとなった。
細に説明する。しかしながら本発明が以下の実施例に限
定されるものではない。
が21μm、d002 値が3.37オングストローム、B
ET比表面積が2.0m2 /gであるメソカーボンマイ
クロビーズを90重量%、導電性付与材として比表面積
が45m2 /gであるカーボンブラックを3重量%、結
着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を7重量
%混合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分
散させ、厚み10μmの銅箔にドクターブレード法にて
塗布した。負極の塗布量は両面併せて20.0mg/c
m2で、厚みは銅箔を含め202μmとなり、銅箔をの
ぞいた負極活物質層の密度は1.04g/ccとなっ
た。
切断し、BET比表面積測定用のサンプルとした。比表
面積測定の結果、上記負極の銅箔を含まない負極活物質
層の単位重量あたりのBET比表面積は、0.58m2
/gあった。メソカーボンマイクロビーズとカーボンブ
ラックの比表面積と、負極の組成から考慮すると、その
比表面積は3.15m2 /gである。このように、活物
質の塗布工程を経ることによって、負極の表面積は負極
材料が本来持っている表面積の約2割に減少した。この
原因は結着剤であるPVDFが、負極材料の表面を覆っ
てしまうためである。
これを銅箔上に塗布し、同様の1cm×20cmのサン
プルに切り取って表面積を測定したところ、0.01m
2 以下であった。負極サンプルの見かけの表面積は0.
0040cm2 であるから、塗布後のPVDFは、ほぼ
見かけの表面積しか持っておらず、PVDFの皮膜表面
は非常になめらかであるといえる。
の方法で塗布した負極を、ローラープレス器でプレス圧
を変えながら圧縮成型した。ここではプレス圧を表すパ
ラメーターとして、負極の活物質層密度を用いることに
する。
が1.04〜1.84g/ccの負極を作製した。それ
ぞれの負極について上記の方法で表面積を測定した。結
果を図4示す。
の細孔が埋まり、負極の比表面積は減少するとの予想を
立てていた。
負極のプレス圧を高める、すなわち負極の密度を高める
ことによって、驚くべきことに負極の比表面積は増加し
た。塗布工程のみ、すなわち圧縮成型工程を経ないもの
は、銅箔を含まない活物質層あたりの密度が1.04g
/ccで、0.6m2 /g程度の比表面積を持ち、圧縮
成型により密度を高めるに従って比表面積は増大し、密
度が1.95g/ccとなったときにその比表面積は
2.38m2 /gとなった。
型後の負極を電子顕微鏡により観察した。その結果ロー
ラープレス機による圧縮成型工程により、負極活物質で
あるメソカーボンマイクロビーズが崩れていることが明
らかとなった。
工程を経ることによって、負極を構成する材料に、割
れ、崩れなどが生じ、新たな表面が形成されることによ
って表面積が増大することが明らかとなった。
二次電池用負極を使用して、非水電解液二次電池を製作
した。
次電池用負極を使用した。
を87重量%、導電性付与材としてアセチレンブラック
を10重量%、結着剤としてPVDFを3重量%をNM
P中に分散させてスラリーとし、これを箔厚20μmの
アルミ箔上にドクターブレード法にて塗布した。塗布
後、ローラープレスにより圧縮成型を行い、正極とし
た。
使用した。
ルカーボネートの体積比50:50の混合溶媒に1mo
l/lのLiPF6 を溶解させたものを使用した。
回し、電池缶につめ、電解液を含浸し、封止してリチウ
ムイオン二次電池を得た。
電池用負極を用いた非水電解液二次電池の、室温におけ
る初回充放電容量を示す。
に増加している。特に比表面積の小さな領域での容量増
加が著しい。ただしこれは負極面積増大のためではな
く、負極密度が高まったために、活物質の充填量が増大
したためである。比表面積の小さな領域で充電容量の増
加傾向が著しいのは、図4より明らかなようにこの領域
での密度の増加傾向が大きいためである。
に多少増加しているものの、増加の程度は小さく、なお
かつ比表面積が2.0m2 /g付近をピークに、逆に減
少し始めている。これは負極比表面積が増加したことに
より、負極の表面での副反応による不可逆容量が増大し
たためである。
重量あたりの比表面積が0.5m2/gよりも小さな場
合は電極密度が低く、電池容量が小さい。一方2.0m
2 /gより大きな場合は電極密度が高く充電容量は高く
なるものの、不可逆容量が大きく放電容量の低下が認め
られることから、銅箔をのぞいた活物質層の単位重量あ
たりの比表面積が0.5m2 /g以上、2.0m2 /g
以下であることが望ましい。
電池用負極を用いた非水電解液二次電池の室温における
大電流放電特性試験の結果を表1に示す。大電流放電特
性としては20℃、0.2Aにおける定電流放電容量に
対する、20℃、2.0Aでの定電流放電容量の割合で
記した。
方が、大電流放電時においても容量を保っている。これ
は圧縮成型工程により、負極中に存在していた空隙が狭
まり、電解液中を伝わるリチウムイオンの移動経路が狭
まったためとも考えられるが、負極比表面積が増加した
ことにより、副反応による生成物が負極表面上に堆積
し、この堆積物が負極表面におけるリチウムイオンの透
過を阻害しているためと考えられる。
面積は少しでも小さい方がよいものの、2.0A放電で
も50%以上の放電容量を保つ2.0m2 /g以下であ
れば、十分な性能を発揮するといえる。
電池用負極を用いた非水電解液二次電池の放電容量の温
度特性を表1に示す。温度特性としては20℃、0.2
Aにおける定電流放電容量に対する、−20℃及び60
℃での0.2Aの定電流放電容量の割合で記した。
は負極比表面積が小さい方が優れる。これは大電流放電
特性同様、圧縮成型工程により、負極中に存在していた
空隙が狭まり、電解液中を伝わるリチウムイオンの移動
経路が狭まったためとも考えられるが、負極比表面積が
増加したことにより、副反応による生成物が負極表面上
に堆積し、この堆積物が負極表面におけるリチウムイオ
ンの透過を阻害しているためと考えられる。
表面積が2.0m2 /g以上になると、20℃の容量よ
りも増加している。これは副反応による生成物が負極表
面上に堆積しても、高温ではリチウムイオンの拡散が促
進され、セルの内部インピーダンスが減少し、容量が一
見増加したように見えると考えられる。
電池用負極を用いた非水電解液二次電池のサイクル特性
のグラフを表1に示す。サイクル条件としては0.6
A、4.2V、4.0hrの定電流低電圧充電の後、
1.0Aの定電流で3.0Vまでの放電を100サイク
ル行った。サイクルは20℃で行った。
方が、長期のサイクル経過後も高容量を保っている。こ
れも、負極比表面積が増加したことにより、副反応によ
る生成物が負極表面上に堆積し、この堆積物が負極表面
におけるリチウムイオンの透過を阻害しているためと考
えられる。
試験の結果を表2に示す。表においてなし、とあるのは
発火発煙がなかったことを示し、あり、とあるのは発煙
したことを示す。
いほど、より低温で熱暴走が起こりやすいことが示され
ている。これも表面積が大きいことにより、反応面積が
大きくなり、熱暴走反応が起きやすくなったためと考え
られる。熱暴走反応の起きない範囲として銅箔を除いた
負極活物質層が2.0m2 /g以下の比表面積であるこ
とが望ましい。
つ良好な放電特性を維持するためには、負極の比表面積
を少しでも小さくした方がよいことは明らかである。し
かしながら、負極の比表面積を小さくしすぎると負極の
嵩密度が小さくなり、非水電解液二次電池としての容量
が稼げない。以上のことを考慮すると負極比表面積は銅
箔をのぞく活物質層の重量あたりの表面積で表した際
に、0.5m2 /g以上2.0cm2 /g以下とする事
が望ましい。
素材料を使用し、実施例1と同様の操作を行った。
積、負極を作製した場合の比表面積、および圧縮成型後
の比表面積を表3に各示す。
面積は、炭素材料の比表面積に依存していない。また、
圧縮成型工程の比表面積への影響も、炭素材料により大
きく異なっている。
積に左右されないのは、炭素材料の種類によって表面と
バインダとの親和性に差があり、バインダに覆われやす
いものは比表面積が小さくなり、覆われにくいものは比
表面積が大きくなると考えられる。
によって異なる原因は、圧縮成型による炭素粉末の割れ
かた、崩れかたに炭素材料によって差があるためと考え
られる。実際に、圧縮成型の前後の負極表面をSEM観
察したところ、割れかた、崩れかたには大きな違いがあ
った。例えば、人造黒鉛の粒子は圧縮成型によって押し
つぶされたような形状になり、ハードカーボンは粒子が
割れ、細かくなっていた。
親和性、応力が加わった場合の割れかた、崩れかたが、
負極比表面積の圧縮成型による増加の程度に大きく寄与
している。
液二次電池を作製し、サイクル特性を測定した。結果は
表3に示したとおりである。炭素材料自体に差があるた
め一概にはいえないものの、やはり負極比表面積が小さ
いものの方がサイクル特性が優れることは明らかであ
る。
の選択の条件として非常に重要ではあるものの、実際の
電池に使用する状態での比表面積、すなわち負極の状態
での比表面積を測定する事が、より重要であることは明
らかである。
カーボンブラックの組成を変化させて負極を作製し、負
極活物質層と銅箔との密着性、圧縮成型後の負極銅箔を
除いた負極活物質層の比表面積との相関を調査した。密
着性は塗布工程終了後の負極を半径1mmの金属棒に巻
き付け、活物質の剥離が生じない場合は○とし、剥離が
生じる場合は×とした。結果を表4に示す。
wt%より多くなると、比表面積は大きく低下した。こ
れは炭素材料の表面がPVDFによりほとんど覆われて
しまうためと考えられる。一方、PVDFの量が3wt
%以下になると、活物質層の剥離が発生し、密着性に問
題が生じた。また、カーボンブラックの量が5wt%の
場合には、比表面積が大きくなりすぎた。
組成は、MCMBを85重量%から95重量%、PVD
Fを4重量%から15重量%、あるいはこれにカーボン
ブラックを1重量%から3重量%の範囲にすればよいこ
とが示された。
るMCMBの比表面積にも大きな影響を受ける。そこで
MCMBの比表面積と、そのMCMBを使用して作製し
た負極の比表面積との相関を調査した。MCMBの比表
面積は、MCMBの粒度や表面処理方法に影響を受け
る。今回は比表面積が0.7m2 /gから2.87m2
/gであるMCMBを使用した。作製する負極の組成は
MCMB90wt%、PVDF7wt%、カーボンブラ
ック3wt%とした。結果を表5に示す。
/g以上、2.5m2 /g以下の場合に、負極の銅箔を
除いた負極活物質層の単位重量あたりの比表面積が0.
5m2 /gから2.0m2 /gになることが示された。
の重量あたりの表面積で表した際に、0.5m2 /g以
上2.0cm2 /g以下になるようコントロールした非
水電解液二次電池用負極を使用することにより、高度な
安全性・信頼性を保ちつつ良好な放電特性を実現可能と
した。
である。
を除いた負極活物質層の密度と比表面積の関係を示すグ
ラフである。
を用いた非水電解液二次電池の初回充放電容量を示すグ
ラフである。
Claims (13)
- 【請求項1】炭素質材料と結着剤、あるいはこれに導電
性付与剤を加えてなる負極活物質層を金属箔上に塗布し
たのち、圧縮成型した非水電解液二次電池用負極におい
て、金属箔を含まない前記負極活物質層の単位重量あた
りBET比表面積が、0.5m2 /g以上2.0m2 /
g以下であることを特徴とする非水電解液二次電池用負
極。 - 【請求項2】 前記炭素質材料が球状の黒鉛化メソカーボ
ンマイクロビーズよりなることを特徴とする請求項1記
載の非水電解液二次電池用負極。 - 【請求項3】 前記結着剤がポリフッ化ビニリデン(PV
DF)よりなることを特徴とする請求項1記載の非水電
解液二次電池用負極。 - 【請求項4】前記負極活物質層が、炭素質材料として球
状の黒鉛化メソカーボンマイクロビーズを85重量%か
ら95重量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを4
重量%から15重量%、あるいはこれに導電性付与剤と
してカーボンブラックを1重量%から3重量%を加えて
総量を100重量%としたものであることを特徴とする
請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。 - 【請求項5】前記黒鉛化メソカーボンマイクロビーズの
BET比表面積が、0.7m2 /g以上2.5m2 /g
以下であることを特徴とする請求項4記載の非水電解液
二次電池用負極。 - 【請求項6】 金属箔を含まない前記負極活物質層の密度
が1.04〜1.62g/ccであることを特徴とする
請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。 - 【請求項7】 炭素質材料と結着剤、あるいはこれに導電
性付与剤を混合して溶媒中に分散させたスラリーを金属
箔に塗布する工程と、スラリーが塗布された金属箔を圧
縮成 型することによって金属箔を含まない前記負極活物
質層の単位重量あたりBET比表面積が0.5m 2 /g
以上2.0m 2 /g以下である負極活物質層を形成する
工程とからなることを特徴とする非水電解液二次電池用
負極の製造方法。 - 【請求項8】 スラリーが塗布された金属箔を、金属箔を
含まない前記負極活物質層の密度が1.04〜1.62
g/ccとなるようなプレス圧で圧縮成型することを特
徴とする請求項7記載の非水電解液二次電池用負極の製
造方法。 - 【請求項9】 結着剤としてPVDFを用いることによっ
て炭素質材料の表面を前記PVDFによって覆った後、
圧縮成型することを特徴とする請求項7または8のいず
れかに記載の非水電解液二次電池用負極の製造方法。 - 【請求項10】 炭素質材料として球状の黒鉛化メソカー
ボンマイクロビーズを用いることを特徴とする7から9
のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極の製造方
法。 - 【請求項11】 炭素質材料と結着剤、あるいはこれに導
電性付与剤を混合して溶媒中に分散させたスラリーが、
炭素質材料として球状の黒鉛化メソカーボンマイクロビ
ーズを85重量%から95重量%、結着剤としてポリフ
ッ化ビニリデンを4重量%から15重量%、あるいはこ
れに導電性付与剤としてカーボンブラックを1重量%か
ら3重量%を加えて総量を100重量%とし、溶媒に分
散したものであることを特徴とする請求項7から10の
いずれかに記載の非水電解液二次電池用負極の製造方
法。 - 【請求項12】 前記黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ
のBET比表面積が、0.7m 2 /g以上2.5m 2 /
g以下であることを特徴とする請求項11記載の非水電
解液二次電池用負極の製造方法。 - 【請求項13】請求項1から6のいずれかに記載の非水
電解液二次電池用負極を使用することを特徴とする、非
水電解液二次電池。
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