JP3138786B2 - ポリアリ−レンチオエ−テルの製造法 - Google Patents

ポリアリ−レンチオエ−テルの製造法

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JP3138786B2
JP3138786B2 JP05050409A JP5040993A JP3138786B2 JP 3138786 B2 JP3138786 B2 JP 3138786B2 JP 05050409 A JP05050409 A JP 05050409A JP 5040993 A JP5040993 A JP 5040993A JP 3138786 B2 JP3138786 B2 JP 3138786B2
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性、耐薬品性、寸法
安定性、加工性等に優れたエンジニアリングプラスチッ
クとして知られているポリアリ−レンチオエ−テルの製
造法に関し、特に、チオフェノ−ル類および/またはジ
フェニルジスルフィド類(以下、これらをモノマ−とい
う場合がある)を光エネルギ−を用いた新しい触媒酸化
重合法により温和な条件で効率よく得ることができるポ
リアリ−レンチオエ−テルの製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリフェニレンチオエ−テル(以
下、これをPPTと略記することがある。)などのポリ
アリ−レンチオエ−テル(以下、これをPATと略記す
ることがある。)は、ジハロゲン芳香族化合物とアルカ
リ金属化合物を、極性溶媒中で重縮合することにより製
造している。しかし、この方法では、高温加圧下でのみ
反応が進行するため、アルカリ金属塩の混入、副反応の
生起、消費エネルギ−が大きくコスト高となる等の問題
点があった。
【0003】一方、本発明者らは、先にチオフェノ−
ル、またはジフェニルジスルフィドを、電解、またはル
イス酸、キノン等を酸化剤に用いて酸化重合するPAT
製造法を発明、出願した(特開昭63−213526
号、特開昭63−241032号、特開平2−2125
20号参照)。しかし、この方法は高価な酸を多量に用
いる必要があった。
【0004】更に、本発明者らは、チオフェノ−ル、ま
たはジフェニルジスルフィドを、バナジル錯体を触媒と
して、酸素を酸化剤として用いて酸化重合するPAT製
造法も発明、出願した(特開平2−169626号参
照)。しかし、この方法においても、酸が必要であると
共に、重合の進行にともない当量的に生成する水を除去
するため、高価な酸無水物を多量に使用しなければなら
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、前記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、原
料モノマ−として、チオフェノ−ルおよび/またはジフ
ェニルジスルフィドを用い、増感剤に芳香族ニトリル化
合物を用いて光酸化重合させることにより、上記の問題
点を解決しうることを見出し、この発明を完成させるに
至ったもので、本発明の目的は、温和な条件下で光エネ
ルギ−を用いチオフェノ−ルおよび/またはジフェニル
ジスルフィドを効率よく酸化重合してポリアリ−レンチ
オエ−テルを製造する方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、一般式
[I]
【0007】
【化10】
【0008】(ただし、式[I]中、 1 、R 2 は、それ
ぞれ、炭素数8以下のアルキル基、および炭素数6以下
のアルコキシ基よりなる群から選択された置換基を表
す。 3 4 は、水素原子、炭素数8以下のアルキル
基、炭素数6以下のアルコキシ基よりなる群から選択さ
れた置換基を表す。なお、 1 〜R 4 は、たがいに同じ種
類であっても異なった種類であってもよい。)で表され
るチオフェノ−ル類および/または一般式[II]
【0009】
【化11】
【0010】(ただし、式[II]中、Sはイオウ原子を
表し、 5 〜R 8 は、炭素数8以下のアルキル基、炭素数
6以下のアルコキシ基からなる群より選択された基を表
す。 9 〜R 12 は、それぞれ水素原子、炭素数8以下の
ルキル基、あるいは炭素数6以下のアルコキシ基を表
す。なお、 5 〜R 12 は、たがいに同じ種類であっても
よい。)で表されるジフェニルジスルフィド類を、一般
式[III]、一般式[IV]又は一般式[V]で示される
芳香族ニトリル化合物を増感剤として用いて光酸化重合
することを特徴とするポリアリ−レンチオエ−テルの製
造法であり、また、光励起状態で1.0V(銀塩化銀基
準)以上の酸化還元電位を有する増感剤を用いて光酸化
重合することを特徴とするポリアリ−レンチオエ−テル
の製造法である。 一般式[III]
【0011】
【化12】
【0012】一般式[IV]
【0013】
【化13】
【0014】一般式[V]
【0015】
【化14】
【0016】(ただし、式中、 13 〜R 36 は水素原子ま
たはシアノ基を表す。なお、 13 〜R 36 は互いに同じ種
類であってもよい。ただし、各一般式におけるRのうち
少なくとも1つのRはシアノ基を表す。)
【0017】すなわち、本発明は一般式[I]または
[II]で表される前記モノマ−類は一般式[III]、[I
V]または[V]で示される芳香族ニトリル化合物、或
いは光励起状態で1.0V(銀塩化銀基準)以上の酸化
還元電位を有する化合物を増感剤として用いることによ
り、光照射により温和な条件下で重合しPATを生成す
ることができる。
【0018】以下、本発明について詳細に述べる。前記
一般式[I]中の 1 、R 2 について、さらに詳しく説明
すると次の通りである。すなわち、前記 1 、R 2 のそれ
ぞれの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、1−メチルエチル基、ブチル基、1−メチ
ルプロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチ
ルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オ
クチル基、などの低級アルキル基;メトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、
イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブト
キシ基、ペンチルオキシ基などの低級アルコキシ基を挙
げることができる。これらの中でも、メチル基、エチル
基、メトキシ基などの基が好ましい。
【0019】前記一般式[I]の中の 3 、R 4 につい
て、さらに詳しく説明すると次の通りである。すなわ
ち、前記 3 、R 4 のそれぞれの具体例としては、例え
ば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、1−
メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2
−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの低
級アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、
sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチル
オキシ基、ヘキシルオキシ基、などの低級アルコキシ基
を挙げることができる。これらの中でも、水素原子;メ
チル基、エチル基などのさらに低級なアルキル基;メト
キシ基などのさらに低級なアルコキシ基が好ましく、特
に水素原子、メチル基、エチル基などが好ましい。
【0020】前記一般式[I]で表されるチオフェノ−
ル類としては、例えば、3,5−ジメチルチオフェノ−
ル、3,5−ジメトキシチオフェノ−ル、3−メチル−
5−メトキシチフェノ−ル、2,3,5−トリメチルチ
オフェノ−ル、2,3,5−トリエチルチオフェノ−
ル、2,3,5,6−テトラメチルチオフェノ−ル、
2,6−ジエチル−3,5−ジメチルチオフェノ−ル、
2,6−ジエチル−3,5−ジメトキシチオフェノ−
ル、3,5−ジエチルチオフェノ−ル、2,3,5,6
−テトラエチルチオフェノ−ルなどが好ましい。
【0021】前記一般式[II]の中の 5 〜R 8 につい
て、さらに詳しく説明すると以下の通りである。すなわ
ち、前記 5 〜R 8 のそれぞれの具体例としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、1−メチルエチル基、ブチ
ル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、
1,1−ジメチルエチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基などの低級アルキル基;メトキ
シ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、
ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t
ert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキ
シ基などの低級アルコキシ基を挙げることができる。こ
れらの中でも、メチル基、エチル基などのさらに低級な
アルキル基;メトキシ基などのさらに低級なアルコキシ
基が好ましく、特にメチル基、エチル基などが好まし
い。
【0022】前記一般式[II]中の 9 〜R 12 につい
て、さらに詳しく説明すると以下の通りである。すなわ
ち、前記 9 〜R 12 のそれぞれの具体例としては、例え
ば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、1−
メチルエチル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、2
−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などの低
級アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、
sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチル
オキシ基、ヘキシルオキシ基、などの低級アルコキシ基
を挙げることができる。
【0023】これらの中でも、水素原子;メチル基、エ
チル基などのさらに低級なアルキル基;メトキシ基など
のさらに低級なアルコキシ基が好ましく、特に水素原
子、メチル基、エチル基などが好ましい。すなわち一般
式[II]によって表されるジフェニルジスルフィド類と
しては例えば、3,3,5,5−テトラメチルジフェニ
ルジスルフィド、2,2,3,3,5,5−ヘキサメチ
ルジフェニルジスルフィド、2,2,3,3,5,5,
6,6−オクタエチルジフェニルジスルフィド、2,
2,3,3,5,5,6,6−オクタメチルジフェニル
ジスルフィド、3,3,5,5−テトラメトキシジフェ
ニルジスルフィド、2,2,3,3,5,5−ヘキサメ
トキシジフェニルジスルフィド、2,2,3,3,5,
5,6,6−オクタメトキシジフェニルジスルフィド、
2,2,6,6−テトラメトキシ−3,3,5,5−テ
トラメチルジフェニルジスルフィド、などのジフェニル
ジスルフィドを挙げることができる。
【0024】前記一般式[III]中の 13 〜R 18 につい
て、さらに詳しく説明すると以下の通りである。前記
13 〜R 18 のそれぞれの具体例としては、例えば、水素原
子、シアノ基を挙げることができる。すなわち一般式
[III]によって表されるベンゼンニトリル化合物とし
ては、例えば、シアノベンゼン、1,3−ジシアノベン
ゼン、1,4−ジシアノベンゼン、1,2,4−トリシ
アノベンゼン、1,2,4,5−テトラシアノベンゼ
ン、1,2,3,4,5−ペンタシアノベンゼン、ヘキ
サシアノベンゼンを挙げることができる。
【0025】前記一般式[IV]中の 19 〜R 26 につい
て、さらに詳しく説明すると以下の通りである。 19
26 のそれぞれの具体例としては、例えば、水素原子、
シアノ基を挙げることができる。すなわち一般式[I
V]によって表されるナフタレンニトリル化合物として
は、例えば、1−シアノナフタレン、2−シアノナフタ
レン、1,4−ジシアノナフタレン、2,3−ジシアノ
ナフタレン、1,2,4−トリシアノナフタレン、2,
3,5,8−テトラシアノナフタレンを挙げることがで
きる。
【0026】前記一般式[V]中の 27 〜R 36 につい
て、さらに詳しく説明すると以下の通りである。 27
36 のそれぞれの具体例としては、例えば、水素原子、
シアノ基を挙げることができる。すなわち一般式[V]
によって表されるアントラセンニトリル化合物として
は、例えば、1−シアノアントラセン、9−シアノアン
トラセン、1,4−ジシアノアントラセン、9,10−
ジシアノアントラセン、1,9,10−トリシアノアン
トラセン、1,2,5,6−テトラシアノアントラセン
を挙げることができる。
【0027】光励起状態で1.0V(銀塩化銀基準)以
上の酸化還元電位を有し、光励起状態でチオフェノ−ル
類またはジスルフィドの化合物を酸化できる(酸化還元
電位1.0V近く)増感剤であれば制限を受けない。更
に詳しく言うと、ルテニウム錯体、オスミニウム錯体、
クロム錯体、酸化チタン、硫化カドニウムなど半導体な
どが好適である。
【0028】この発明の方法においては、前記一般式
[I]で表されるチオフェノ−ル類および前記一般式
[II]で表されるジフェニルジスルフィド類の中から選
ばれる1種または2種以上の化合物を単独重合または共
重合せしめて様々な種類・構造のポリアリ−レンチオエ
−テル(単独重合体・共重合体またはそれらの混合物も
しくは組成物)を得ることができる。通常、一般式[V
I]
【0029】
【化15】
【0030】(ただし、式[VI]中、 37 〜R 40 は、
前記一般式[I]中の 1 〜R 4 または前記一般式[II]
中の 5 〜R 8 もしくは 9 〜R 12 と同様の意味を表す。
nは2以上の整数を表す。)で表される主鎖構造を有す
るポリアリ−レンチオエ−テル、特に架橋度の著しい低
い直鎖状もしくは実質的に直鎖上のポリアリ−レンチオ
エ−テルを得ることができる。
【0031】この重合反応は溶媒中で行う。使用できる
溶媒としては、重合活性を実質的に消失させないもので
あれば使用可能であるが、通常用いるモノマ−を溶解で
きるものが望ましく、また、ある程度の極性を有し光励
起錯体の電荷分離を阻害しないものが好ましい。通常、
好適に使用できる溶媒としては、たとえば、ニトロメタ
ン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピレンカ−
ボネ−トなどを挙げることができる。
【0032】なおこれらの溶媒は、1種単独で用いても
2種以上を混合して用いてもよく、あるいは必要によ
り、たとえば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水
素などの不活性溶媒などを適宜混合して用いてもよい。
【0033】前記光照射を行うに際して使用する光源と
しては、増感剤の励起波長光を照射できるものであれば
特に制限はなく、これらの例としては、たとえば、高圧
水銀灯、中圧水銀灯が挙げられる。
【0034】光反応容器は、特に制限はなく、公知の様
々な方式を用いることができる。要するに石英ガラス等
の反応容器を、光源の光が充分照射されるよう配置すれ
ばよく、反応溶液を撹拌することができ、温度調節機構
を持つものが好適に用いられる。
【0035】本発明の方法においては、前記光酸化重合
は、通常、次に示す条件で行う。モノマ−濃度すなわ
ち、使用する反応液中の前記チオフェノ−ル類とジフェ
ニルジスルフィド類の合計の濃度としては、特に制限は
ないが、通常、たとえば、10 ̄4〜10mol/lの
範囲とするのが好適である。
【0036】反応液中の水の存在は、重合速度を増加さ
せたり、一方重合活性を低下させたり、重合に対して様
々な形で影響を与えるが、水の濃度が、ある濃度以上に
なると、通常、重合活性が著しく低下することがあるの
で、その濃度を許容範囲となるように設定して行うのが
望ましい。この水の許容濃度範囲は、使用するモノマ−
の種類などによって異なるので一様に規定できないが、
通常0.1mol%である。
【0037】前記重合に際しての反応温度は、使用する
モノマ−の種類によって一様ではないが、通常、−5〜
150℃であり、好ましくは0〜50℃である。反応圧
力としては、特に制限がなく、通常、常圧もしくは反応
系の自圧で好適に行うことができる。もっとも、必要に
より、重合反応に支障のない希釈ガスなどを用いて加圧
下に行うこともできる。
【0038】反応時間は、用いるモノマ−の種類やその
使用割合、反応温度などの他の条件によって著しく異な
るのであるが、通常、0.01〜80時間であり、好ま
しくは0.1〜72時間である。前記重合反応系を構成
するにあたって、前記チオフェノ−ル類やジフェニルジ
スルフィド類および前記溶媒の配合の順序・方法につい
ては特に制限はなく、それぞれを同時にあるいは種々の
順序・様式で段階的に配合することもできる。反応方式
としては、特に制限はなく、連続式、反連続式、回分式
のいずれを用いてもよい。回分式を用いる場合には、反
応系を撹拌して行うことが望ましい。以上のような方法
によって光照射後、溶液中に目的とするポリアリ−レン
チオエ−テルを得ることができる。
【0039】目的とするポリマ−は、様々な後処理を施
して、種々の純度、形態として回収することができる。
この後処理は、公知の様々の方法に準じて行うことがで
きる。この後処理の一例を挙げれば、以下の通りであ
る。
【0040】すなわち、前記重合反応が、完結もしくは
必要な程度に進行したならば、反応混合物を水、メタノ
−ルなどの低級アルコ−ルあるいはそれらの混合物と接
触させて、生成物のポリマ−を沈澱せしめる。この際、
必要により、塩基性物質等の重合停止剤を併用してもよ
い。
【0041】この沈澱したポリマ−は、通常のろ過など
の分離操作によって、液体から分離される。この分離し
たポリマ−は必要に応じて、適当な溶媒と再沈液とを用
いて溶解・再沈・分離・メタノ−ル洗浄などの洗浄を必
要なだけ繰り返したのち、乾燥され、種々の純度に精製
されたポリアリ−レンチオエ−テルとして回収すること
ができる。
【0042】なお、前記溶解・再沈に用いる溶媒として
は、ポリマ−を効率よく溶解するという点などから、た
とえばN−メチルピロリドンなどが好適に用いられる。
また、上記再沈液、洗浄液としては、通常、たとえば
水、メタノ−ルあるいは、これらの混合液など、特にメ
タノ−ルなどが好適に使用できる。
【0043】一方ポリマ−から分離された混合液中の未
反応モノマ−、副生低分子化合物、溶媒、メタノ−ルな
どは通常の蒸留操作によって精製・回収され、繰り返
し、反応系あるいは後処理工程に、あるいは他の様々な
用途に有効に利用することができる。
【0044】この発明の方法によって得られたポリフェ
ニレンチオエ−テルなどのポリアリ−レンチオエ−テル
は、耐熱性、耐薬品性に優れ、耐性、強度、耐衝撃性、
耐摩耗性などの種々の機械的特性に優れるとともに、特
に、従来問題となっていた食塩などの耐絶縁性を悪化さ
せる塩を含まないので、耐絶縁性の電気特性に著しく優
れており、さらにポリマ−の構造が実質的に直鎖状であ
るなどの理由によって、加工性にも優れたエンジニアリ
ングプラスチックであり、電子、電気分野、機械分野、
塗料関係、自動車、化学関係など様々な分野・関係の機
器部品、機械部品、素材などとして好適に用いられる。
【0045】
【実施例及び比較例】以下、実施例をもって本発明を具
体的に説明する。 実施例1 窒素雰囲気下、ビス(3,5−ジメチルフェニル)ジス
ルフィド0.28gをアセトニトリル20mlに溶解
し、2,3−ジシアノナフタレン0.0178g、トリ
フルオロ酢酸2.28gと混合し、室温下、高圧水銀灯
により、フィルタ−(HOYA GLASS FILT
ER No.B410)を用いて一昼夜撹拌しながら光
照射した。反応溶液を塩酸酸性メタノ−ル中に滴下する
と、白色の沈澱が得られた。沈澱を濾過することにより
未反応物、触媒と分離し、洗浄、乾燥することにより白
色粉末0.11gを得た。 元素分析(Calcd.)C;71.02(70.33%) H; 7.36(6.23%) S;25.02(23.44%) IRスペクトル γC−H=2850,2920cm-1 γC=C=1460cm-1 δC−H=840cm-1 以上により、ポリ(3,5−ジメチルフェニレンスルフ
ィド)を確認した。
【0046】実施例2 窒素雰囲気下、ビス(3,5−ジメチルフェニル)ジス
ルフィド0.28gをアセトニトリル20mlに溶解
し、1,4−ジシアノベンゼン0.0128g、トリフ
ルオロ酢酸2.28gと混合し、室温下、高圧水銀灯に
より、フィルタ−(HOYA GLASS FILTE
R No.B410)を用いて一昼夜撹拌しながら光照
射した。反応溶液を塩酸酸性メタノ−ル中に滴下する
と、白色の沈澱が得られた。所定の精製によりポリ
(3,5−ジメチルフェニレンスルフィド)0.02g
を得た。 元素分析(Calcd.)C;69.33(70.33%) H; 8.10(6.23%) S;23.55(23.44%) IRスペクトル γC−H=2850,2920cm-1 γC=C=1460cm-1 δC−H=842cm-1
【0047】
【発明の効果】この発明によると、特定な原料モノマ−
を用い、かつ光酸化重合という特定の重合方法を用いて
いるので、反応条件が温和であり、製造方法が簡便であ
り、かつ原料および触媒が安価であるなど工業的に有利
なポリアリ−レンチオエ−テルの製造法を提供すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 Chemistry Letter s,1993,No.7,p.1101−1104 Macromolecular Ch emistry and Physic s,1994,vol.195,No.9,p. 3087−3094 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 75/00 - 75/32 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[I] 【化1】 (ただし、式[I]中、 1 、R 2 は、それぞれ、炭素数
    8以下のアルキル基、および炭素数6以下のアルコキシ
    基よりなる群から選択された置換基を表す。 3
    4 は、水素原子、炭素数8以下のアルキル基、炭素数6
    以下のアルコキシ基よりなる群から選択された置換基を
    表す。なお、 1 〜R 4 は、たがいに同じ種類であっても
    異なった種類であってもよい。)で表されるチオフェノ
    −ル類および/または一般式[II] 【化2】 (ただし、式[II]中、Sはイオウ原子を表し、 5
    8 は、炭素数8以下のアルキル基、炭素数6以下のア
    ルコキシ基からなる群より選択された基を表す。 9
    12 は、それぞれ水素原子、炭素数8以下のアルキル
    基、あるいは炭素数6以下のアルコキシ基を表す。な
    お、 5 〜R 12 は、たがいに同じ種類であってもよ
    い。)で表されるジフェニルジスルフィド類を、一般式
    [III] 【化3】 (ただし、式[III]中、 13 〜R 18 は水素原子または
    シアノ基を表し、少なくとも1つのRはシアノ基であ
    る。なお、 13 〜R 18 は互いに同じ種類であってもよ
    い。)で表されるベンゼンニトリル化合物よりなる増感
    剤の存在下光酸化重合することを特徴とするポリアリ−
    レンチオエ−テルの製造法。
  2. 【請求項2】 一般式[I] 【化4】 (ただし、式[I]中、R 1 、R 2 は、それぞれ、炭素数
    8以下のアルキル基、および炭素数6以下のアルコキシ
    基よりなる群から選択された置換基を表す。R 3 、R
    4 は、水素原子、炭素数8以下のアルキル基、炭素数6
    以下のアルコキシ基よりなる群から選択された置換基を
    表す。なお、R 1 〜R 4 は、たがいに同じ種類であっても
    異なった種類であってもよい。)で表されるチオフェノ
    −ル類および/または一般式[II] 【化5】 (ただし、式[II]中、Sはイオウ原子を表し、R 5
    8 は、炭素数8以下のアルキル基、炭素数6以下のア
    ルコキシ基からなる群より選択された基を表す。R 9
    12 は、それぞれ水素原子、炭素数8以下のアルキル
    基、あるいは炭素数6以下のアルコキシ基を表す。な
    お、R 5 〜R 12 は、たがいに同じ種類であってもよ
    い。)で表されるジフェニルジスルフィド類を一般式
    [IV] 【化6】 (ただし、式[IV]中、 19 〜R 26 は水素原子または
    シアノ基を表し、少なくとも1つのRはシアノ基であ
    る。なお、 19 〜R 26 は互いに同じ種類であってもよ
    い。)で表されるナフタレンニトリル化合物よりなる増
    感剤の存在下光酸化重合することを特徴とするポリアリ
    −レンチオエ−テル製造法。
  3. 【請求項3】 一般式[I] 【化7】 (ただし、式[I]中、R 1 、R 2 は、それぞれ、炭素数
    8以下のアルキル基、および炭素数6以下のアルコキシ
    基よりなる群から選択された置換基を表す。R 3 、R
    4 は、水素原子、炭素数8以下のアルキル基、炭素数6
    以下のアルコキシ基よりなる群から選択された置換基を
    表す。なお、R 1 〜R 4 は、たがいに同じ種類であっても
    異なった種類であってもよい。)で表されるチオフェノ
    −ル類および/または一般式[II] 【化8】 (ただし、式[II]中、Sはイオウ原子を表し、R 5
    8 は、炭素数8以下のアルキル基、炭素数6以下のア
    ルコキシ基からなる群より選択された基を表す。R 9
    12 は、それぞれ水素原子、炭素数8以下のアルキル
    基、あるいは炭素数6以下のアルコキシ基を表す。な
    お、R 5 〜R 12 は、たがいに同じ種類であってもよ
    い。)で表されるジフェニルジスルフィド類を、一般式
    [V] 【化9】 (ただし、式[V]中、 27 〜R 36 は水素原子またはシ
    アノ基を表し、少なくとも1つのRはシアノ基である。
    なお、 27 〜R 36 は互いに同じ種類であってもよい。)
    で表されるアントラセンニトリル化合物よりなる増感剤
    の存在下光酸化重合することを特徴とするとするポリア
    リ−レンチオエ−テル製造法。
  4. 【請求項4】 増感剤が光励起状態で1.0V(銀塩化
    銀基準)以上の酸化還元電位を有する化合物である請求
    項1〜3記載の製造法
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Chemistry Letters,1993,No.7,p.1101−1104
Macromolecular Chemistry and Physics,1994,vol.195,No.9,p.3087−3094

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