JP3138182B2 - 電界効果トランジスタ - Google Patents

電界効果トランジスタ

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JP3138182B2
JP3138182B2 JP07153175A JP15317595A JP3138182B2 JP 3138182 B2 JP3138182 B2 JP 3138182B2 JP 07153175 A JP07153175 A JP 07153175A JP 15317595 A JP15317595 A JP 15317595A JP 3138182 B2 JP3138182 B2 JP 3138182B2
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秀利 古川
大助 上田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電界効果トランジスタ
(FET)に係り、特にゲート電極の下方にリセス構造
を有するものの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、表面状態の影響を回避しFE
Tの耐圧特性を改善するためにリセス構造を設ける技術
があることはよく知られている。このようなリセス構造
を有するFETの例として、図5に示す構造がある。同
図に示すように、半絶縁性基板1上にn型GaAs層
(以下、活性層と略記する)2が形成され、活性層2上
にソース電極5及びドレイン電極6が互いに所定距離だ
け離れた位置に形成されている。そして、各電極5,6
間の中間付近の部位で活性層2の一部が表面から所定深
さだけエッチングされてなるリセス部10が設けられて
おり、このリセス部10及びその周辺部に亘る活性層2
上にゲート電極7が形成されている。図5に示すような
リセス構造を有するFETでは、リセス部10のエッジ
部に電界分布が分散されるので耐圧特性が向上するとと
もに、ゲート電極7の端部周辺の界面状態の影響も受け
にくいという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記図
5に示すようなリセス構造を有するFETの場合、以下
のような問題があった。
【0004】図4は、FETのドレイン電流−ドレイン
電圧特性を示す図である。同図中の特性線(B)に示す
ように、上記図5に示すリセス構造を有するFETの場
合、飽和特性におけるドレイン電流、あるいはドレイン
コンダクタンスにkinkが発生するという現象が観察
された。そして、このようなkinkがFETの動作す
る電圧内で発生した場合、例えばこのFETを増幅器と
して用いると、増幅された信号に歪が発生する原因とな
る。
【0005】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、上記kinkが、本来リセス底部の
ゲート−半導体層間のショットキー接合部に印加される
ゲート電圧とドレイン電極に印加される動作電圧とで決
まるべきFETの飽和特性に、リセス周辺部のゲート−
半導体層間のショットキー接合部へのゲート電圧の印加
による活性層の空乏化の影響が及んでしまうために発生
していた点に着目し、このようなkinkの発生による
FETの動作への悪影響を有効に防止する手段を講ずる
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明が講じた手段は、FETの構造を、リセス周
辺のゲート−半導体間のショットキー接合による活性層
の空乏化を生ぜしめる電圧がFETの動作範囲外になる
ような構造とすることにある。
【0007】具体的に、請求項1の講じた手段は、半絶
縁性基板と、上記半絶縁性基板上に一定の厚みで形成さ
れチャネル領域として機能可能な少なくとも1つの活性
層を含む半導体層と、上記半導体層の一部が上記活性層
の少なくとも一部を残す深さまで掘り込まれてなる凹部
と、上記凹部及び凹部両側の周辺部に亘る半導体層の上
に形成され半導体層との間でショットキー接合部を形成
する導電性物質からなるゲート電極と、上記ゲート電極
の両側の半導体層上に設けられたソース電極及びドレイ
ン電極とを備え、上記ドレイン電極に印加される所定の
動作電圧に応じて動作するように構成された電界効果ト
ランジスタを対象とする。そして、上記凹部の底部の下
方における上記半導体層の厚みを、凹部の底部下方の活
性層の一部で上下方向に連続する空乏化領域を形成する
ときに必要な上記ゲート電極の第1の電圧が上記動作電
圧以下になるように規定する。少なくとも上記凹部の周
辺部における上記半導体層の厚みを、上記凹部の周辺部
の活性層の一部で上下方向に連続する空乏化領域を形成
するために必要な上記ゲート電極の第2の電圧が上記動
作電圧以上となるように規定する。
【0008】請求項2が講じた手段は、請求項1におい
て、上記半導体層を、上記半絶縁性基板上に形成され一
導電型不純物が導入された1層の活性層で構成したもの
である。
【0009】請求項3が講じた手段は、請求項1におい
て、上記半導体層を、上記半絶縁性基板の上に形成され
一導電型不純物が導入された活性層と、該活性層の上に
形成され活性層よりも低いキャリア濃度を有する低キャ
リア濃度層とで構成し、上記凹部を上記低キャリア濃度
層の一部を掘り込んで形成し、上記凹部の深さを底面が
上記活性層に達しないように規定する構成としたもので
ある。
【0010】請求項4が講じた手段は、請求項1におい
て、上記半導体層を、上記半絶縁性基板の上に形成され
一導電型不純物が導入された活性層と、該活性層の上に
形成され活性層よりも低いキャリア濃度を有する低キャ
リア濃度層と、さらにその上部に形成され上記活性層内
の不純物と同じ導電型の不純物が高濃度で導入された高
濃度不純物拡散層とで構成し、上記凹部を上記低キャリ
ア濃度層の一部を掘り込んで形成し、上記凹部の両側方
に、上記ソース電極−ドレイン電極間の上記高濃度不純
物拡散層を表面から底部が上記低キャリア濃度層内に達
するまで掘り込んでなる大凹部を形成し、上記大凹部の
底部が上記凹部の周辺部となり、上記凹部の深さを上記
凹部の下に少なくとも活性層の一部が残るように規定す
る。さらに、上記ソース電極及びドレイン電極を上記高
濃度不純物拡散層の上に形成したものである。
【0011】
【作用】請求項1の発明では、凹部の底面におけるゲー
ト電極−活性層間のショットキー接合にゲート電極から
電圧が印加されその電圧が第1の電圧に達すると凹部の
底部の下方に位置する活性層の一部で上下に連続する空
乏化領域が形成され、ドレイン電流−ドレイン電圧特性
が飽和状態となる。そして、その後ゲート電圧を上昇さ
せていくことによって、チャネル長変調作用が営まれ、
トランジスタの飽和特性を利用した信号の増幅が行われ
る。この場合、飽和ドレイン電流は、凹部のゲート−活
性層間のショットキー接合に印加されるゲート電圧とソ
ース電極−ドレイン電極間に印加されるドレイン電圧に
よって定まるチャネルコンダクタンスに応じた値とな
る。一方、ゲート電圧がさらに高くなって第2の電圧に
達すると、凹部の周辺部におけるゲート−活性層間のシ
ョットキー接合に印加されるゲート電圧によって凹部の
周辺部の下方に位置する活性層の一部で上下に連続する
空乏化領域が形成され、本来チャネル領域外となる部分
で電流が阻害されるので上述のようなkinkが発生す
る。しかし、この第2の電圧はFETの動作電圧よりも
高くなるように凹部の深さが予め設定されているので、
FETを使用する電圧内では凹部の周辺部のショットキ
ー接合の影響によるkinkが発生しない。このためF
ETの高周波動作における入出力信号間の線形性が従来
より改善され、低歪な信号の増幅が可能となる。
【0012】請求項2の発明では、半導体層が1つの活
性層のみで構成されているという簡素な構成で低歪な信
号の増幅が可能となる。
【0013】請求項3の発明では、低キャリア濃度層に
凹部が設けられているので、ショットキー接合のドレイ
ン端での電界の集中が緩和され、耐圧特性の向上を図り
つつ、低歪な信号の増幅が可能となる。
【0014】請求項4の発明では、請求項3の発明の作
用に加え、ソース電極及びドレイン電極と高濃度不純物
拡散層との間で、抵抗の小さいオーミックコンタクトが
得られるので、寄生抵抗素子部分の性能の向上により、
相互コンダクタンス等のトランジスタの特性が向上する
ことになる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例について説
明する。
【0016】(第1実施例)図1は、第1実施例に係る
FETの断面図である。図1に示すように、半絶縁性基
板1の上には、不純物濃度N, 厚さtのn型GaAs活
性層(以下活性層と略記する)2が形成されており、こ
の活性層2上には、互いに所定の距離を隔てたソース電
極5とドレイン電極6とが形成されている。そして、両
電極5,6間のほぼ中間の活性層2の一部を掘り込んで
なる凹部であるリセス部10が形成されており、このリ
セス部10の深さdは活性層2の厚みtを越えないよう
に設定されている。そして、ソース電極5とドレイン電
極6との間で、リセス部10とその両側のエッチングさ
れていない周辺部とに亘る活性層2の上にゲート電極7
が形成されている。すなわち、ゲート電極7とその両側
のソース電極5及びドレイン電極6とを備えたFETが
形成されている。本実施例では、半絶縁性基板1上の半
導体層が単一の活性層2で構成されている。
【0017】ここで、上記リセス部10のエッチング深
さd及び活性層2の厚みtは、以下のような条件にて設
定されている。
【0018】 d=T2 −T1 VDD>Vth1 =(q・N・T1 2 /εs )ーV0 (1) VDD<Vth2 =(q・N・T2 2 /εs )ーV0 (2) ただし、上記式(1) ,(2) における各文字は各々下記の
パラメータを表している。
【0019】T1 :第1半導体層厚(リセス部の底部
下方における活性層厚) T2 :第2半導体層厚(=t)(リセス部を除く部分
の活性層厚) VDD :FETの動作電圧(ドレイン電圧) Vth1 :第1空乏化電圧 Vth2 :第2空乏化電圧 V0 :ビルトイン電圧 q :電荷素量(約1.602×10-19 C) εs :GaAsの誘電率(約1.160×10-10
2 /N・m2 ) ただし、上記第1空乏化電圧Vth1 とは、リセス部10
の底部下方のショットキー接合部に印加されるゲート電
圧によって、リセス部10の底部下方の活性層2の一部
で上部から下部に亘って完全に空乏化されるときつまり
上下に連続する空乏化領域が形成されるときの当該ゲー
ト電圧である。また、上記第2空乏化電圧Vth2 とは、
リセス部10の周辺部のショットキー接合部に印加され
るゲート電圧によって、リセス部10の周辺部の活性層
2の一部が上部から下部に亘って完全に空乏化されると
きつまり上下に連続する空乏化領域が形成されるときの
当該ゲート電圧である。
【0020】次に、上記各パラメータの具体的な設計方
法について説明する。
【0021】動作電圧VDDが5VのFETを作製する場
合、活性層2内の不純物濃度Nが3×1017cm-3、第
1空乏化電圧Vth1 が2V、第2空乏化電圧Vth2 が8
Vになるように、活性層2の厚みt(つまり第2半導体
層厚T2 )とリセス部10のエッチング深さdとを設計
すると以下のようになる。ただし、ビルトイン電圧V0
は0.7Vとして設計している。
【0022】 T2 =[εs (Vth2 +V0 )/(q・N)]1/2 =145(nm) T1 =[εs (Vth1 +V0 )/(q・N)]1/2 =81(nm) d=T2 −T1 =145−81=64(nm) 以上のような寸法のリセス部10を形成することは容易
である。そして、このようなリセス部10の上にゲート
電極7を形成した構造を有するFETでは、図4の特性
線(A)に示されるようなドレイン電流−ドレイン電圧
特性が得られる。ただし、図4に示すFETの動作電圧
は7Vであり、上述の設計例とは異なる設計によるもの
である。図4の特性線(A)に示すように、リセス周辺
のショットキー接合の影響によって飽和特性上にkin
kが発生しても、kinkを発生させる第2空乏化電圧
Vth2 (同図では、8.75V程度)がFETの動作電
圧(同図では7V)以上に設定されているので、上記k
inkがFETを使用する電圧の範囲内(同図の0〜7
V)に発生しない。このためFETの高周波動作におけ
る入出力信号間の線形性が従来より改善され、低歪な信
号増幅が可能となる。
【0023】(第2実施例)次に、第2実施例について
説明する。図2は第2実施例に係るFETの断面図であ
る。半絶縁性基板1の上に不純物濃度N,厚さtのn型
GaAs活性層(以下、活性層と略記する)2が形成さ
れており、この活性層2の上に低キャリア濃度層である
厚さti の高純度GaAs層(以下i−GaAs層と略
記する)3が形成されている。さらに、i−GaAs層
3上に、所定距離を隔ててソース電極5とドレイン電極
6とが形成されている。また、両電極5,6間にi−G
aAs層3の厚さti を越えないエッチング深さdを有
するリセス部11が形成されており、このリセス部11
とその両側のエッチングされていない周辺部に亘る領域
の上にゲート電極7が形成されている。すなわち、ゲー
ト電極7とその両側のソース電極5及びドレイン電極6
とからなるFETが形成されている。本実施例では、半
絶縁性基板1上の半導体層が活性層2及びi−GaAs
層3で構成されている。
【0024】ここで、上記リセス部11のエッチング深
さd、活性層2の厚みT1 ,及びi−GaAs層3の厚
みは、以下のような条件にて設定されている。
【0025】d=T2 −T1 <ti VDD>Vth1 =(q・N・t・T1 /εs )ーV0 VDD<Vth2 =(q・N・t・T2 /εs )ーV0 ただし、上記各式の文字は、以下のパラメータを表すも
のである。
【0026】T1 : 第1半導体層厚(リセス部下方
のi−GaAs層の厚みと活性層の厚みtとの和) T2 :第2半導体層厚(リセス部を除く部分のi−G
aAs層の厚みと活性層の厚みtとの和) VDD :FETの動作電圧 Vth1 :第1空乏化電圧 Vth2 :第2空乏化電圧 V0 :ビルトイン電圧 q :電荷素量(約1.602×10-19 C) εs :GaAsの誘電率(約1.160×10-10
2 /N・m2 ) ただし、上記第1空乏化電圧Vth1 とは、リセス部10
の底部下方のショットキー接合部に印加されるゲート電
圧によって、リセス部10の底部下方の活性層2の一部
で上下に連続する空乏化領域が形成されるときの当該ゲ
ート電圧である。また、上記第2空乏化電圧とは、リセ
ス部10の周辺部のショットキー接合部に印加されるゲ
ート電圧によって、リセス部10の周辺部の活性層2の
一部で上下に連続する空乏化領域が形成されるときの当
該ゲート電圧である。
【0027】次に、上記各パラメータの具体的な設計方
法について説明する。
【0028】動作電圧VDDが5VのFETを作製する場
合、活性層2内の不純物濃度Nが3×1017cm-3、活
性層2の厚みtを100nmと設定し,第1空乏化電圧
Vth1 が2V、第2空乏化電圧Vth2 が8Vになるよう
に、i−GaAs層3の厚みti 、及びリセス部11の
エッチング深さdを設計すると以下のようになる。
【0029】 ti >d=T2 ーT1 =εs (Vth2 ーVth1 )/(q・N・t) =145(nm) すなわち、動作電圧VDDが5Vの場合、i−GaAs層
3の厚みti を200nm、リセス部11のエッチング
深さdを145nmとすることで所望のFETが得られ
る。
【0030】本実施例では、ゲート電極7の下端部が活
性層2に直接接触していないので、上記第2実施例の効
果に加え、ゲート電極7の下端部の電界を緩和すること
ができる利点がある。
【0031】(第3実施例)次に、第3実施例について
説明する。図3は第3実施例に係るFETの断面図であ
る。半絶縁性基板1の上に不純物濃度N,厚さtのn型
GaAs活性層(以下、活性層と略記する)2が形成さ
れており、この活性層2の上に低キャリア濃度層である
厚さti の高純度GaAs層(以下i−GaAs層と略
記する)3が形成されており、さらにi−GaAs層3
上に高濃度不純物拡散層である厚さtn+のn型GaAs
層(以下コンタクト層と略す)4が形成されている。そ
して、コンタクト層4上にソース電極5とドレイン電極
6とが形成されている。一方、両電極5,6間のコンタ
クト層4を完全に除去しi−GaAs層3に至る深さd
1 (d1 >tn+)を有する第1リセス部12が形成され
ており、第1リセス部12の底部内に、さらに、底部が
i−GaAs層3を越えて活性層2に達しない程度の深
さd2 を有する第2リセス部13が形成されている。そ
して、この第2リセス部13及びその両側のエッチング
されていない周辺部に亘る領域の上にゲート電極7が形
成されている。すなわち、ゲート電極7とその両側のソ
ース電極5及びドレイン電極6とからなるFETが形成
されている。本実施例では、半絶縁性基板1上の半導体
層が活性層2,i−GaAs層3及びコンタクト層4で
構成されている。
【0032】この場合の第1リセス部12のエッチング
深さd1 、第2リセス部13のエッチング深さd2 、コ
ンタクト層4の厚みtn+、i−GaAs層ti ,及び活
性層の厚みtは、以下のような条件にて設定されてい
る。
【0033】d2 =T2 −T1 <ti d1 ≧tn+ d1 +d2 <tn++ti VDD>Vth1 =(q・N・t・T1 /εs )ーV0 VDD<Vth2 =(q・N・t・T2 /εs )ーV0 ここで T1 :第1半導体層厚(第2リセス部下方のi−Ga
As層の厚みと活性層厚tとの和) T2 :第2半導体層厚(第1リセス部下方のi−Ga
As層の厚みと活性層厚みtとの和) VDD :FETの動作電圧 Vth1 :第1空乏化電圧 Vth2 :第2空乏化電圧 V0 :ビルトイン電圧 q :電荷素量(約1.602×10-19 C) εs :GaAsの誘電率(約1.160×10-10
2 /N・m2 ) ただし、上記第1空乏化電圧Vth1 とは、第2リセス部
13の底部下方のショットキー接合部に印加されるゲー
ト電圧によって、第2リセス部13の底部下方の活性層
2の一部で上下に連続する空乏化領域が形成されるとき
の当該ゲート電圧である。また、上記第2空乏化電圧と
は、第2リセス部13の周辺部のショットキー接合部に
印加されるゲート電圧によって、第2リセス部13の周
辺部の活性層2の一部で上下に連続する空乏化領域が形
成されるときの当該ゲート電圧である。
【0034】次に、上記各パラメータの具体的な設計方
法について説明する。
【0035】動作電圧VDDが5VのFETを作製する場
合、活性層2内の不純物濃度Nを3×1017cm-3、活
性層2の厚みtを100nm、コンタクト層4の厚みt
n+を50nmと設定して、第1空乏化電圧Vth1 が2
V、第2空乏化電圧Vth2 が8Vになるように、i−G
aAs層3の厚みti 、及び2つのリセス部12,13
のエッチング深さd1 、d2 を設計すると以下のように
なる。
【0036】 ti >d2 =T2 ーT1 =εs (Vth2 ーVth1 )/(q・N・t) =145(nm) d1 +145(nm)<50(nm)+ti d1 >50(nm) すなわち、VDDが5Vの場合ti を200nm、第2リ
セス部13のエッチング深さd2 を145nm、第1リ
セス部12のエッチング深さd1 を60nmとすること
で所望のFETが得られる。
【0037】本実施例では、ソース電極5及びドレイン
電極6と、i−GaAs層3との間に高濃度不純物拡散
層であるコンタクト層4が介設されているので、上記第
2実施例の効果に加え、ソース電極及びドレイン電極と
高濃度不純物拡散層との間で抵抗の小さいオーミックコ
ンタクトが得られる。つまり、寄生抵抗素子部分の性能
の向上により、相互コンダクタンス等のトランジスタの
特性が向上する利点がある。
【0038】なお、本実施例では、凹部を低濃度層に設
けたが、凹部は少なくとも活性層の一部が残るように設
定すれば同様の効果が得られる。
【0039】また、上記各実施例では、半導体層として
GaAsの場合について述べたが、半導体層としては、
GaAs以外の化合物半導体でもよく、本実施例に限る
ものではない。またここでは、短チャネル効果を考慮せ
ずに単純な一次元解析での設計例を示したが、微細なゲ
ートを形成する場合は、二次元数値解析によるデバイス
シミュレーションにより本設計を同様の手順で行うこと
ができる。
【0040】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、半絶縁性基板
上の半導体層の一部に凹部を形成し、凹部及びその周辺
部の上にゲート電極を形成してなるリセス構造を有する
FETにおいて、凹部の底部下方における半導体層の厚
みをその領域の一部で上下に連続する空乏化領域を形成
するための第1の電圧が動作電圧以下になるように規定
し、かつ半導体層の厚みを凹部の周辺部の活性層の一部
で上下に連続する空乏化領域を形成するための第2の電
圧が動作電圧以上となるように規定したので、FETを
使用する電圧内におけるkinkの発生を有効に防止す
ることができ、よって、飽和特性を利用した増幅を行い
ながら、FETの高周波動作における入出力信号間の線
形性の改善による低歪な信号の増幅を図ることができ
る。
【0041】請求項2の発明によれば、半導体層を単一
の活性層のみで構成したので、簡素な構成で低歪な信号
の増幅を図ることができる。
【0042】請求項3の発明によれば、半導体層を活性
層とその上の低キャリア濃度層とで構成し、低キャリア
濃度層の一部を掘り込んでなる凹部の底部を活性層に達
しないようにしたので、電界の集中の緩和による耐圧特
性の向上を図りつつ、低歪な信号の増幅を図ることがで
きる。
【0043】請求項4の発明によれば、請求項3の発明
の構成に加え、ソース電極及びドレイン電極と高濃度不
純物拡散層との間で抵抗の小さいオーミックコンタクト
を形成するようにしたので、寄生抵抗素子部分の性能の
向上により、相互コンダクタンス等のトランジスタの特
性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係るFETの構造を示す断面図で
ある。
【図2】第2実施例に係るFETの構造を示す断面図で
ある。
【図3】第3実施例に係るFETの構造を示す断面図で
ある。
【図4】本発明のFETと従来のFETとのドレイン電
流ードレイン電圧特性を示す特性図である。
【図5】従来のFETの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 半絶縁性基板 2 n型GaAs活性層(活性層) 3 高純度GaAs層(i−GaAs層)(低キャリ
ア濃度層) 4 n+ GaAs層(コンタクト層) 5 ソース電極 6 ドレイン電極 7 ゲート電極 10 リセス部(凹部) 11 リセス部(凹部) 12 第1凹部(大凹部) 13 第2凹部(凹部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−264736(JP,A) 特開 昭63−52482(JP,A) 特開 平7−130768(JP,A) 特開 平2−231731(JP,A) 特開 平4−216635(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/338 H01L 29/41 H01L 29/812

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半絶縁性基板と、 上記半絶縁性基板上に一定の厚みで形成されチャネル領
    域として機能可能な少なくとも1つの活性層を含む半導
    体層と、 上記半導体層の一部が上記活性層の少なくとも一部を残
    す深さまで掘り込まれてなる凹部と、 上記凹部及び凹部両側の周辺部に亘る半導体層の上に形
    成され半導体層との間でショットキー接合部を形成する
    導電性物質からなるゲート電極と、 上記ゲート電極の両側の半導体層上に設けられたソース
    電極及びドレイン電極とを備え、 上記ドレイン電極に印加される所定の動作電圧に応じて
    動作するように構成された電界効果トランジスタであっ
    て、 上記凹部の底部の下方における上記半導体層の厚みは、
    凹部の底部下方の活性層の一部で上下方向に連続する空
    乏化領域を形成するときに必要な上記ゲート電極の第1
    の電圧が上記動作電圧以下になるように規定され、 少なくとも上記凹部の周辺部における上記半導体層の厚
    みは、上記凹部の周辺部の活性層の一部で上下方向に連
    続する空乏化領域を形成するために必要な上記ゲート電
    極の第2の電圧が上記動作電圧以上となるように規定さ
    れていることを特徴とする電界効果トランジスタ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電界効果トランジスタに
    おいて、 上記半導体層は、上記半絶縁性基板上に形成され一導電
    型不純物が導入された1層の活性層からなることを特徴
    とする電界効果トランジスタ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電界効果トランジスタに
    おいて、 上記半導体層は、 上記半絶縁性基板の上に形成され一導電型不純物が導入
    された活性層と、 該活性層の上に形成され活性層よりも低いキャリア濃度
    を有する低キャリア濃度層とからなり、 上記凹部は、上記低キャリア濃度層の一部が掘り込まれ
    てなり、 上記凹部の深さは、底面が上記活性層に達しないように
    規定されていることを特徴とする電界効果トランジス
    タ。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の電界効果トランジスタに
    おいて、 上記半導体層は、 上記半絶縁性基板の上に形成され一導電型不純物が導入
    された活性層と、 該活性層の上に形成され活性層よりも低いキャリア濃度
    を有する低キャリア濃度層と、 さらにその上部に形成され上記活性層内の不純物と同じ
    導電型の不純物が高濃度で導入された高濃度不純物拡散
    層とからなり、 上記凹部は、上記低キャリア濃度層の一部が掘り込まれ
    てなり、 上記凹部の両側方には、上記ソース電極−ドレイン電極
    間の上記高濃度不純物拡散層を表面から底部が上記低キ
    ャリア濃度層内に達するまで掘り込んでなる大凹部が形
    成されており、 上記大凹部の底部が上記凹部の周辺部となっていて、上
    記凹部の深さは、上記凹部の下に少なくとも活性層の一
    部が残るように規定されているとともに、 上記ソース電極及びドレイン電極は、上記高濃度不純物
    拡散層の上に形成されていることを特徴とする電界効果
    トランジスタ。
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