JP3137920B2 - 繊維補強ホース - Google Patents

繊維補強ホース

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JP3137920B2 JP09074967A JP7496797A JP3137920B2 JP 3137920 B2 JP3137920 B2 JP 3137920B2 JP 09074967 A JP09074967 A JP 09074967A JP 7496797 A JP7496797 A JP 7496797A JP 3137920 B2 JP3137920 B2 JP 3137920B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動車の
配管機器のように高シール性および外観品質が要求され
る部位に使用されて好適な繊維補強ホースに関し、特
に、繊維補強ホースの補強糸層を編組する補強糸の改良
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車の配管機器等には、ゴム
からなる内層と外層との間に補強糸を編組した補強糸層
を有する繊維補強ホースが嵌挿,接続されている。この
ような繊維補強ホースは、例えばホース成形用芯材の外
周に内層,補強糸層,外層をこの順に積層した状態で押
出成形し、この後、加硫工程、芯材抜き工程を経て製造
される。
【0003】ここで、エンジンや燃料タンクのような熱
源周りに配設されるホースにあっては、長期の使用にと
もなってゴム自体が不可避的に熱劣化してシール性が低
下するという不具合がある。そこで、従来より、補強糸
を熱収縮率の比較的高い単糸を撚り合わせたものとする
ことにより、高温雰囲気下の使用にともなって補強糸が
適宜に収縮して配管機器類への締結力が向上し、高いシ
ール性を維持するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例のように補強糸を熱収縮率の高い高収縮糸のみで構
成すると、製造工程における押出成形時や加硫工程での
加熱により補強糸が大きく収縮してしまう。この結果、
押出または加硫後のホース内面もしくは外面に補強糸の
網目が浮き出てしまい、シール性が低下するとともに外
観品質が低下するといった問題がある。また、加硫時に
補強糸が収縮してホース成形用の芯材を締め付けてしま
い、続く芯材抜き工程で芯材が抜き難くなるといった不
具合を生じてしまう。
【0005】一方、熱収縮率の比較的低い単糸により補
強糸を形成した場合、ホースの内外面への補強糸の浮き
出しが阻止されて外観品質が向上するものの、このよう
なホースをエンジン室内のように高温雰囲気下の配管機
器に組み付けた場合、上述したような使用の経過に伴う
補強糸の適宜な収縮を得ることができず、つまり配管機
器に対しての十分な締め付けが得られず、良好なシール
性を維持することができない。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、請求項1の発明
は、ゴムからなる内層と外層との間に、補強糸を編組し
た補強糸層を有する円筒状の繊維補強ホースにおいて、
上記補強糸は、熱収縮率の比較的高い単糸と、熱収縮率
の比較的低い単糸とを、1:2〜2:1の割合で撚り合
わせて形成されることを特徴としている。
【0007】より好適には、請求項2の発明のように、
上記熱収縮率の高い単糸は、100℃×30分での湿熱
収縮率が7.0〜8.0%であり、上記熱収縮率の低い
単糸は、上記湿熱収縮率が4.0〜5.0%である。
【0008】
【発明の効果】本発明によれば、補強糸を熱収縮率の高
い単糸と低い単糸とを1:2〜2:1で撚り合わせたも
のとすることにより、シール性,外観品質,および製造
時におけるホース成形用芯材の抜け性にバランス良く優
れた繊維補強ホースを得ることができる。
【0009】つまり本発明の繊維補強ホースでは、高温
雰囲気下の使用において熱収縮率の高い単糸が収縮して
配管機器への締め付け力が有効に高められ、長期にわた
って高シール性を維持することができる。しかも、この
ような熱収縮率の高い単糸が熱収縮率の低い単糸と所定
の割合で撚り合わされていることから、押出し成形時や
加硫工程における加熱時に補強糸の収縮が適度に抑制さ
れ、補強糸がホース表面に浮き出して外観不良を生じた
りシール性を低下させることが阻止され、かつ、補強糸
が過度にホース成形用芯材を締め付けて抜け性を損ねる
ようなこともない。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係わる繊維補強
ホース1の一例を示している。このホース1は、内側よ
り順に、ゴムからなる内層2,中間層3,繊維からなる
補強糸層4,およびゴムからなる外層5を円筒状に積層
した構造となっており、各層2〜5を図外のホース成形
用芯材の外周に押出成形した後に、加硫工程,芯材抜き
工程等を経て製造される。このようにして製造されたホ
ース1は、例えば自動車の配管機器としての金属パイプ
の一端部に嵌挿され、外側よりクランプ等の締結帯を締
め付けることにより接続,固定されて使用される。
【0011】上記補強糸層4は、補強糸6をメッシュ状
に編み組して円筒状に形成されるものであり、各補強糸
6は、図2,3にも示すように、熱収縮率の比較的大き
な単糸7と、熱収縮率の比較的小さな単糸7とを、1:
2〜2:1の割合で撚り合わせたものとなっている。こ
こで補強糸6は、例えば図2に示すように複数本の単糸
7を螺旋状に撚り合わせた撚糸8であってもよく、ある
いは図3に示すように撚糸8を複数本引きそろえた引き
そろえ糸9であってもよい。この場合、引きそろえられ
る各撚糸8を、熱収縮率の高い単糸7と、熱収縮率の低
い単糸7とを撚り合わせたものとすれば、配管機器への
締付性に優れ、かつホース外面に補強糸6が浮き出るこ
となく外観に優れた非常にバランスの良いホース1を得
ることができる。
【0012】さらに、低収縮率の単糸と高収縮率の単糸
との構成比率(割合)が異なる複数の撚糸を引きそろえ
た引きそろえ糸を補強糸とすることもできる。例えば、
単糸3本の撚糸を2本引きそろえて補強糸としている場
合、一方の撚糸を低収縮率の単糸1本と高収縮率の単糸
2本とし、他方の撚糸を低収縮率の単糸2本と高収縮率
の単糸1本とすることにより、低収縮率の単糸と高収縮
率の単糸との構成比が1:1となった補強糸を得ること
ができる。
【0013】使用可能な単糸としては、ビニロン繊維、
ポリエステル織維等が挙げられる。例えばポリエステル
繊維の場合、低収縮率の単糸としてはポリエチレンテレ
フタレートの低重合タイプやポリエチレンナフタレート
が、また高収縮率の単糸としてはポリエチレンテレフタ
レートの高重合タイプの使用が好ましい。
【0014】特に、繊維補強ホースが燃料ホースの場合
には、20番手のビニロン紡績糸を用い、低収縮の単糸
2本と高収縮の単糸1本の撚糸を2本引きそろえた引き
そろえ糸を補強糸として使用するのが好ましい。
【0015】ここで、低収縮率の単糸は、100℃×3
0分での湿熱収縮率が4.0〜5.0%のものが好まし
く、また高収縮率の単糸は、上記湿熱収縮率が7.0〜
8.0%のものが特に好ましい。
【0016】
【実施例】フッ素ゴムの内層2とエピクロルヒドリンゴ
ムの中間層3とをクロスヘッド機構を有する二重押出機
を用いてホース成形用芯材の外周に押出成形し、その外
周上に補強糸6を高速編組機により編み組んで補強糸層
4を形成する。さらにその外周上にエピクロルヒドリン
ゴムの外層5を形成し、中間押出品を得る。この中間押
出品を加硫釜にて160℃×60分で加硫した後に芯材
を抜き取って、図1に示すような実施例1,2、比較例
1,2の繊維補強ホース1を得た。これら実施例および
比較例の材料,構成を表1に示す。なお、これらのホー
スは主に自動車用燃料ホースとして使用される。
【0017】ここで、実施例1,2の補強糸は、熱収縮
率の異なった単糸を1対2の割合で3本撚り合わせた撚
糸を2本引きそろえた引きそろえ糸であり、比較例1の
補強糸は、低収縮率の単糸3本を撚り合わせた撚糸を2
本引きそろえたものであり、比較例2の補強糸は、高収
縮率の単糸3本を撚り合わせた撚糸を2本引きそろえた
ものである。
【0018】
【表1】
【0019】このようにして得られた実施例1,2およ
び比較例1,2の各ホースについて、シール性,ホース
外観,芯材抜け性の試験を行った。その結果を表2に示
す。なお、各試験方法および評価方法は次の通りであ
る。
【0020】[シール性の試験]実施例1,2および比
較例1,2の各ホースを、金属パイプの一端に嵌挿して
外側より締結帯を締め付けて固定し、この状態で熱劣化
(130℃×72時間,130℃×300時間)を実施
した後のシール性を確認した。具体的には、室温下にて
内部通路に充填した燃料油B(トルエン:イソオクタン
=3:7)を0.54MPaに加圧したときの液漏れの
有無を確認した。
【0021】[ホース外観の試験]実施例1,2および
比較例1,2の各ホースを目視により評価して、ホース
表面に補強糸の網目が浮き出しているか否かを判定し
た。
【0022】[芯材抜け性の試験]内側に150mのホ
ース成形用芯材が挿入された加硫後の各ホースに対し、
その一端をワンタッチクランプ等でホース成形用芯材に
対し緊締した状態で、他端から50〜60Kgf/cm
2の水圧を加える。この状態で1分間保持した後にワン
タッチクランプを解除する。この時にホース内部の水が
ホース端部から吹き出すのと同時に芯材が抜け出るか否
かを判定した。
【0023】
【表2】
【0024】表2から明らかなように、実施例1,2の
繊維補強ホースは、シール性,ホース外観および芯材の
抜け性の全てにおいてバランス良く優れていることがわ
かる。
【0025】これに対し、比較例1の繊維補強ホース
は、補強糸を熱収縮率の低い単糸のみで形成してあるた
め、加熱による十分な収縮が得られず、130℃×30
0Hで加熱したときにシール性が劣化していることが明
らかとなった。また比較例2のホースは、補強糸を熱収
縮率の高い単糸のみで形成したため、押出成形や加硫成
形時の加熱により補強糸が過度に収縮し、この結果、外
面に補強糸層の網目が浮き出た外観不良品となり、さら
にホース成形用芯材の抜け性が悪化していることが明ら
かとなった。
【図面の簡単な説明】
【図3】本発明に係わる繊維補強ホースの一例を示す一
部破断斜視図。
【図1】補強糸としての撚糸の構成を示す説明図。
【図2】補強糸としての引きそろえ糸の構成を示す説明
図。
【符号の説明】
1…繊維補強ホース 2…内層 3…中間層 4…補強糸層 5…外層 6…補強糸 7…単糸 8…撚糸 9…引きそろえ糸

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴムからなる内層と外層との間に、補強
    糸を編組した補強糸層を有する円筒状の繊維補強ホース
    において、上記補強糸は、熱収縮率の比較的高い単糸
    と、熱収縮率の比較的低い単糸とを、1:2〜2:1の
    割合で撚り合わせて形成されることを特徴とする繊維補
    強ホース。
  2. 【請求項2】 上記熱収縮率の高い単糸は、100℃×
    30分での湿熱収縮率が7.0〜8.0%であり、上記
    熱収縮率の低い単糸は、上記湿熱収縮率が4.0〜5.
    0%であることを特徴とする請求項1に記載の繊維補強
    ホース。
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