JP2005016579A - 合成樹脂管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この合成樹脂管は、中密度ポリエチレン樹脂製帯状体(1)を螺旋状に巻回して、先行する帯状体(1)と後続する帯状体(1)の側縁部(1a)(1b)同士を熱融着若しくは接着してなる管壁(2)を備え、延伸超高分子量ポリエチレン樹脂繊維(4)(4)…と低密度ポリエチレン樹脂繊維(5)(5)…とを収束してなる補強線材(3)(3)…を、管壁(2)に対して螺旋状に巻き付けてある。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガス管等に適用される合成樹脂管に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ガス管としては、鋼管等の金属製の管が長年使用されていた。このような金属製の管は、強度的に優れているが、重量が重くて扱い難く、錆等の発生によって腐食し易いといった欠点があった。そこで、近年では、ポリエチレン樹脂等を素材とする合成樹脂製のガス管が多く用いられている。
【0003】
この種の合成樹脂製のガス管においては、その管壁が、合成樹脂を押出機によってチューブ状に押し出すことによって形成されている。ところが、このようなチューブ状に押出成形した管壁では、その樹脂の分子セグメントが軸方向にのみ部分配向していることから、耐内圧クリープ性に悪影響を及ぼすことがあり、また低温下で衝撃を受けて亀裂発生に至った場合、軸方向に沿って亀裂伝播が長距離に亘って発生し易いといった欠点があった。また、このような軸方向への部分配向とともに、管壁の周方向の均一性が乏しいことから、長期在庫による自然荷重や熱変形等によって、管軸が偏心して断面形状が楕円形となってしまうことが多く、このため断面形状が真円の継手に対してガス管を挿入する際に、ガス管が入らなかったり、継手内周面とガス管外周面との間に隙間が生じて、エレクトロフュージョン接合に際して支障をきたすといった問題もあった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているように、管壁に補強糸や補強シートを巻き付けて補強するようにした合成樹脂製のガス管が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−301049号公報
【特許文献2】特開2002−71058号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、管壁を補強するにしても、管壁そのものの強度が弱いことから、強度向上には限界があり、依然として上記のような不具合が発生する可能性があった。
【0007】
そこで、この発明は、管壁自体の強度を高めながら、管壁を補強することで、耐内圧クリープ性の向上、亀裂伝播や管軸の偏心を防止するようにした合成樹脂管の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明の合成樹脂管は、中密度ポリエチレン樹脂製帯状体を螺旋状に巻回して、その先行する帯状体と後続する帯状体の側縁部同士を熱融着若しくは接着してなる管壁を備え、延伸超高分子量ポリエチレン樹脂繊維と低密度ポリエチレン樹脂繊維とを収束してなる補強線材を、前記管壁に対して螺旋状に巻き付けたことを特徴とする。
【0009】
また、前記補強線材を、前記先行する帯状体と後続する帯状体の側縁部間に介装したり、或いは、前記管壁の内層と外層との間に介装して、管壁の内部に埋設してある。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
この発明の第1実施形態に係る合成樹脂管としてのガス管は、図1及び図2に示すように、中密度ポリエチレン樹脂を素材とする帯状体(1)を螺旋状に巻回してなる管壁(2)を備えている。
【0011】
帯状体(1)は、外周側の側縁部(1a)と内周側の側縁部(1b)とを連結部(1c)を介して一体的に連結した断面略Z字状に形成されている。外周側の側縁部(1a)及び内周側の側縁部(1b)は、軸方向に平行に配されており、連結部(1c)は、径方向に対して斜めに傾斜して配されている。
【0012】
そして、この帯状体(1)の螺旋巻回に際して、先行する帯状体(1)の内周側の側縁部(1b)と後続する帯状体(1)の外周側の側縁部(1a)を互いに径方向に重ね合わせて、熱融着している。これにより、管壁(2)の肉厚が、軸方向の全長に亘ってほぼ均一で、管壁(2)の内外周面がほぼ平滑になっている。
【0013】
上記のような管壁(2)は、複数本の補強線材(3)(3)…によって補強されている。補強線材(3)は、図3に示すように、強化繊維としての延伸超高分子量ポリエチレン樹脂繊維(4)(4)…と、マトリックス繊維としての低密度ポリエチレン樹脂繊維(5)(5)…とを組紐状に収束してなり、先行する帯状体(1)と後続する帯状体(1)の側縁部(1a)(1b)間に挟み込まれて、管壁(2)の内部に埋設された状態で、螺旋状に巻き付けられている。なお、補強線材(3)としては、延伸超高分子量ポリエチレン樹脂繊維(4)(4)…と低密度ポリエチレン樹脂繊維(5)(5)…とを組紐状に収束したものだけに限らず、例えば図4に示すように、延伸超高分子量ポリエチレン樹脂繊維(4)(4)…を中心に据えて、その周りに低密度ポリエチレン樹脂繊維(5)(5)…を配置するように収束させたものであっても良い。
【0014】
上記構成のガス管の製造に際しては、中密度ポリエチレン樹脂を押出機によって帯状に押し出し、その帯状体(1)をマンドレル上に螺旋状に巻回しながら、所定ピッチで螺旋状に巻回した複数本の補強線材(3)(3)…を、先行する帯状体(1)と後続する帯状体(1)の側縁部(1a)(1b)間に挟み込んだ状態で、それら側縁部(1a)(1b)同士を熱融着している。
【0015】
この場合、中密度ポリエチレン樹脂を素材とする帯状体(1)の溶融熱により、補強線材(3)(3)…における帯状体(1)よりも融点の低い低密度ポリエチレン樹脂繊維(5)(5)…のみが溶融して、この溶融した低密度ポリエチレン樹脂繊維(5)(5)…が、溶融せずに延伸状態が良好に維持された延伸超高分子量ポリエチレン樹脂繊維(4)(4)…と帯状体(1)との間に介在して、管壁(2)と補強線材(3)(3)…とが(相溶)一体化するようになっている。これにより、帯状体(1)の側縁部(1a)(1b)間に補強線材(3)(3)…を介装したにもかかわらず、帯状体(1)の側縁部(1a)(1b)間において剥離が生じ難く、しかも補強線材(3)(3)…の強度が損なわれることもない。
【0016】
このようなガス管においては、帯状体(1)を螺旋巻回することによって管壁(2)を形成しているので、管壁(2)の分子セグメントが周方向すなわち螺旋方向に沿って部分配向した状態となり、従来のように管壁の樹脂の分子セグメントが軸方向にのみ部分配向している場合と比べて、耐内圧クリープ性や亀裂伝播性の向上を図ることができ、また仮に低温下で強い衝撃を受けて亀裂発生に至った場合でも、軸方向への亀裂伝播距離が短くなって、亀裂伝播による被害を最小限に抑えることができる。さらに、管壁(2)の周方向の均一性が向上することで、上記の周方向への部分配向による効果と相俟って、管軸の偏心を防止して断面形状を真円に維持し易くなり、継手に対するエレクトロフュージョン接合も良好に行うことができる。
【0017】
しかも、このように管壁(2)自体の強度を高めた上に、この管壁(2)に対して補強線材(3)(3)…を螺旋状に巻き付けているので、さらに高強度、高耐圧のガス管となっている。
【0018】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る合成樹脂管としてのガス管は、図5及び図6に示すように、軸方向に連続する内層(6)と軸方向に連続する外層(7)とを径方向に積層してなる管壁(8)を備えている。
【0019】
内層(6)は、中密度ポリエチレン樹脂を素材とする断面略平行四辺形状の帯状体(9)を螺旋状に巻回して、その先行する帯状体(9)の側縁部の斜めに傾斜した後端面(9a)と後続する帯状体(9)の側縁部の斜めに傾斜した先端面(9b)とを重ね合わた状態で熱融着することによって形成されている。
【0020】
外層(7)も同様に、中密度ポリエチレン樹脂を素材とする断面略平行四辺形状の帯状体(10)を螺旋状に巻回して、その先行する帯状体(10)の側縁部の斜めに傾斜した後端面(10a)と後続する帯状体(10)の側縁部の斜めに傾斜した先端面(10b)とを重ね合わた状態で熱融着することによって形成されている。
【0021】
そして、この管壁(8)の内部に、上述した補強線材(3)(3)…を螺旋状に巻き付けた状態で埋設することで、管壁(8)を補強している。具体的には、管壁(8)の内層(6)と外層(7)との間に、螺旋方向を異ならせて巻回した複数本の補強線材(3)(3)…を挟み込みことで、内層(6)と外層(7)との間に網目状の補強層を設けて、管壁(8)を補強している。なお、螺旋方向を同じにして所定ピッチで巻回した補強線(3)(3)…を、内層(6)と外層(7)との間に介装するようにしても良い。
【0022】
上記構成のガス管の製造に際しては、中密度ポリエチレン樹脂を押出機によって帯状に押し出し、その帯状体(9)をマンドレル上に螺旋状に巻回して、その先行する帯状体(9)の側縁部と後続する帯状体(9)の側縁部の端面(9a)(9b)同士を熱融着することで、内層(6)を形成する。そして、この内層(6)の外周面に補強線材(3)(3)…を螺旋状に巻き付けた後に、中密度ポリエチレン樹脂を押出機によって帯状に押し出し、その帯状体(10)を内層(6)の外周面に螺旋状に巻回して、その先行する帯状体(10)の側縁部と後続する帯状体(10)の側縁部の端面(10a)(10b)同士を熱融着することで、外層(7)を形成する。そして、帯状体(9)(10)の溶融熱により、帯状体(9)(10)を熱融着させて、管壁(8)と補強線材(3)(3)…とを(相溶)一体化している。なお、その他の構成及び効果は、第1実施形態に係るガス管と同様である。
【0023】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。
【0024】
例えば、管壁において、帯状体の側縁部同士を、熱融着の代わりに接着するようにしても良い。また、合成樹脂管としては、例えば図7に示すように、中密度ポリエチレン樹脂を素材とする断面略菱形状の帯状体(11)を螺旋状に巻回して、その側縁部の端面同士を熱融着叉は接着して管壁(12)を形成し、この管壁(12)の外周面に補強線材(3)(3)…を螺旋状に巻き付け、それら補強線材(3)(3)…を保護層(14)によって覆うようにしたものであっても良い。なお、この場合の保護層(14)としては、中密度ポリエチレン樹脂を素材とする帯状体(15)を螺旋状に巻回して、その側縁部同士を熱融着叉は接着することによって形成したものが望ましい。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明の合成樹脂管においては、中密度ポリエチレン樹脂製帯状体を螺旋状に巻回して管壁を構成しているので、管壁の樹脂の分子セグメントが周方向に沿って部分配向するようになり、従来のようなチューブ状に押し出した管壁に比べて、耐内圧クリープ性や亀裂伝播性の向上を図ることができ、管の長期性能を向上させることができるほか、亀裂伝播による被害を低減することができる。しかも、管壁の周方向の均一性が向上することで、周方向への部分配向による効果と相俟って、管軸の偏心を防止することができ、継手に対するエレクトロフュージョン接合も良好に行うことができる。
【0026】
さらに、このように強度を高めた管壁に対して補強線材を螺旋状に巻き付けて補強しているので、強度及び耐圧性を格段に向上した合成樹脂管を提供することができる。
【0027】
その上、補強線材は、延伸超高分子量ポリエチレン樹脂繊維と低密度ポリエチレン樹脂繊維とを収束してなることから、製造時の管壁の溶融熱によって融点の低い低密度ポリエチレン樹脂繊維が溶融して、この低密度ポリエチレン樹脂繊維が、溶融せずに延伸状態が維持された延伸超高分子量ポリエチレン樹脂繊維と管壁との間に介在して、管壁と補強線材とを強固に(相溶)一体化させることができる。これにより、補強線材部分において管壁に剥離や亀裂等が生じるといった不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係るガス管の縦断面図である。
【図2】同じくその要部の拡大縦断面図である。
【図3】補強線材の拡大縦断面図である。
【図4】別の補強線材の拡大縦断面図である。
【図5】この発明の第2実施形態に係るガス管の縦断面図である。
【図6】同じくその要部の拡大縦断面図である。
【図7】他の実施形態に係るガス管の要部の拡大縦断面図である。
【符号の説明】
(1)(9)(10)(11) 帯状体
(1a)(1b) 側縁部
(2)(8)(12) 管壁
(3) 補強線材
(4) 延伸超高分子量ポリエチレン樹脂繊維
(5) 低密度ポリエチレン樹脂繊維
(6) 内層
(7) 外層
Claims (4)
- 中密度ポリエチレン樹脂製帯状体を螺旋状に巻回して、その先行する帯状体と後続する帯状体の側縁部同士を熱融着若しくは接着してなる管壁を備え、延伸超高分子量ポリエチレン樹脂繊維と低密度ポリエチレン樹脂繊維とを収束してなる補強線材を、前記管壁に対して螺旋状に巻き付けたことを特徴とする合成樹脂管。
- 前記補強線材を、前記管壁の内部に埋設してある請求項1記載の合成樹脂管。
- 前記補強線材を、前記先行する帯状体と後続する帯状体の側縁部間に介装した請求項2記載の合成樹脂管。
- 前記管壁は、内層と外層とを径方向に積層してなり、これら内層と外層との間に、前記補強線材を介装した請求項2記載の合成樹脂管。
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- 2003-06-24 JP JP2003179742A patent/JP2005016579A/ja active Pending
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