JP3137325B2 - 多層シート - Google Patents

多層シート

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JP3137325B2
JP3137325B2 JP09346667A JP34666797A JP3137325B2 JP 3137325 B2 JP3137325 B2 JP 3137325B2 JP 09346667 A JP09346667 A JP 09346667A JP 34666797 A JP34666797 A JP 34666797A JP 3137325 B2 JP3137325 B2 JP 3137325B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、易開封性、耐衝撃
性、耐熱性に優れる包装用、容器用の多層シートに関す
るものである。更に詳しくは、本発明は、食品や飲料等
の包装材として加熱殺菌時に加えられる圧力、熱に耐え
る密封性を有し、且つ、易開封性を有し、シール部のみ
で剥離し、剥離面の外観が良好な包装用、容器用の多層
シートに関するものであり、特に容器として用いる場合
には、蓋材に加わる振動、衝撃への耐性にも優れている
多層シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品、飲料等の包装容器として、蓋が容
易に開けられる易開封性のプラスチック製密封容器が一
般に用いられている。従来から行われている一般的な容
器の開封方法としては、蓋材のシール層を構成する樹脂
の組成を変えることで容器とのシール強度を制御し(通
常500〜1500g/15mm、剥離速度:300m
m/min)、蓋材と容器との界面をピールして開封を
行う界面剥離タイプ、凝集剥離タイプが一般的であっ
た。ところが、シール強度はシール条件、雰囲気温度、
内容物の底材と蓋材との界面への付着等の影響を受け易
く、シール強度のバラツキの原因となっていた。往々に
して、内容物の漏れ対策からシール強度を強めに設定し
て開封感を損ねたり、また逆にピール感を優先すること
でシール不良による漏れの問題を起こしていた。
【0003】これらの問題を解決するために密封性、易
開封性ともに優れた容器として、シール層とそれに隣接
する層とのデラミネーションにより開封する方法が提案
されているが、通常のシールではシール層がうまく破断
せず、内容物が取り出しにくいという難点がある。ま
た、剥離層と隣接層との切り離しを容易にするためフラ
ンジ部に切り込みを設ける構造も提案されている(特開
昭62−251363号公報、特開昭63−25037
号公報)。しかしながら、これらの構造の容器の場合に
は、製造段階において切り込み部分の外側をシールしな
ければならないため、シール時の位置設定に厳密な管理
が必要となる構造上の問題点がある。その上、本体容器
シール層を剥離する方式においては、そのフランジ部の
周辺端部までシールを行う関係上、剥離を周辺端部から
開始する必要があり、このため容器形状の面にも制約を
受ける欠点がある。
【0004】また、特開平2−98560号公報に記載
されているようにフランジ部外側に剥離開始用弱め線と
フランジ部内側に剥離停止用弱め線を設置し、孔部を設
置することによりシール盤の位置精度を厳密に設定しな
ければならないという製造上の不都合を解消した構造も
提唱されている。しかし、この構造容器の場合には、フ
ランジ部外側、内側に弱め線を入れ、更に孔部を設置す
る工程が必要となりコストもかかる欠点がある。
【0005】この欠点を解決する方策として特開平3−
148464号公報に記載されているように、フランジ
部の蓋材とのシール部の最内層厚み、変曲点部の最内層
厚み、最内層材料の破断強度等を特定した容器を用いる
ことにより平シールのみで開封容易にシールすることが
できる構造も提案されている。しかし、この構造容器の
場合は変曲点を成型するには特殊な金型、クランプが必
要となり、また蓋材を開封後、最内層シール部の内縁か
らフランジ内側、またはフランジ段落とし部の変曲点に
かけての最内層非シール部が蓋材に付着し外観を損ねる
欠点がある。
【0006】また、これらの問題点を解決するために、
容器フランジ部に平シールのみをすることにより密封性
と層間剥離による易開封性を両立すべくメルトインデッ
クスの異なる少なくとも2種以上の高密度ポリエチレン
樹脂をシール層に配合した方法(特開平3−10853
9号公報、特開平8−142278号公報)が提案され
ている。しかし、シール層のカット性が良好であるた
め、同時にその脆弱性から蓋材にかかる衝撃、振動に弱
く、製品流通時に内容物が漏れ出す危険性が高い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術にお
いては背反性能である加熱殺菌にも耐えうる密封性と層
間剥離による易開封性を製造工程上の不都合、容器形状
の制約なしに容器フランジ部に平シールのみを施すこと
で両立させ、且つ、製品流通時に加わる振動、衝撃への
十分な耐性を有する容器用多層シートを提供するもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、剥離機能を有
するシール層と隣接層の少なくとも2層以上からなる多
層シートであって、シール層が引張破壊のびが400〜
1000%(JISK 6760)の高密度ポリエチレ
ン系樹脂5〜95重量%と、引張破壊のびが50〜60
0%(JIS K 6760)の高密度ポリエチレン系
樹脂95〜5重量%の比率からなり、その引張破壊のび
の差は100%以上である引張破壊のびの異なる2種の
混合高密度ポリエチレン20〜95重量%と、破断時抗
張力が100〜400Kg/cm2(ASTM D63
8)である直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂80〜5重
量%からなり、シール層の外側の隣接層がポリオレフィ
ン系樹脂からなる多層シートであり、更に好ましくはシ
ール層の厚みが2〜30μmであり、ポリオレフィン系
樹脂がポリプロピレン系樹脂である多層シートである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるシール層に
は、引張破壊のびの異なる2種の高密度ポリエチレン系
樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の混合物が用い
られる。引張破壊のびの異なる高密度ポリエチレン系樹
脂の数は2種とするのが好ましいが、2種を超えても良
い。高密度ポリエチレン系樹脂の数が2種の場合、両者
の引張破壊のびの差は100%以上であることが好まし
い。特に好ましくは、300%以上である。高密度ポリ
エチレン系樹脂と直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の配
合比率は、高密度ポリエチレン系樹脂95重量%〜20
重量%に対し直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂5重量%
〜80重量%である。高密度ポリエチレン系樹脂の内訳
は2種の場合、引張破壊のびが50〜600%(JIS
K 6760)の高密度ポリエチレン系樹脂:5重量
%〜95重量%に対し引張破壊のびが400〜1000
%(JIS K 6760)高密度ポリエチレン系樹
脂:95重量%〜5重量%である。好ましい配合比率と
しては高密度ポリエチレン系樹脂50〜70重量%に対
し直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂:50〜30重量
%、高密度ポリエチレン系樹脂の内訳は2種の場合、引
張破壊のびが50〜600%(JIS K 6760)
の高密度ポリエチレン系樹脂:20重量%〜80重量%
に対し引張破壊のびが400〜1000%(JISK
6760)の高密度ポリエチレン系樹脂:80重量%〜
20重量%で、易開封性、耐衝撃性、耐熱性の良好なも
のが得られる。シール層の直鎖状低密度ポリエチレン系
樹脂の量が80%を越えるとカット性が低下し、開封面
に毛羽立ちや糸引きにより外観を損ねる恐れがある。一
方、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂が5%未満である
と十分な耐衝撃性が得られない。
【0010】本発明に用いられる高密度ポリエチレン系
樹脂のメルトインデックスは、フィルム押出製膜可能な
0.1〜30(JIS K 6760)である。直鎖状
低密度ポリエチレン系樹脂の引張破壊のびは50〜10
00%で、かつ破断時抗張力は100〜400Kg/c
2(ASTM D638)である。破断時抗張力が1
00Kg/cm2未満であれば十分な耐振動、耐衝撃強
度が得られず、400Kg/cm2を越えると開封時の
シール層のカット性を損ねる恐れがある。
【0011】シール層の厚みは2〜30μmが好まし
く、更に好ましくは5〜15μmである。2μm未満に
なると密封不足や衝撃、振動への耐性の低下を招き、逆
に30μmを越えるとカット性が悪くなり開封感を損ね
たり、毛羽立ちや糸引きによる外観を損ねる恐れがあ
る。
【0012】本発明に用いられる隣接層の樹脂は易開封
性の点よりポリオレフィン系の樹脂が用いられ、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの共重合体
等が用いられるが、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、メルトインデックスが0.5
〜5のものが押出し成形をする上で望ましい。また、耐
熱性を保持する上でホモポリプロピレン樹脂が望ましい
が、特に耐熱性を必要とせず特性を害しない場合にはエ
チレン等の他のオレフィン系あるいは共重合系樹脂を単
独若しくは、ブレンドして使用しても構わない。ポリプ
ロピレン系樹脂のメルトインデックスが0.5未満の場
合は樹脂の広がりが悪く、また、メルトインデックスが
5を越えると樹脂垂れの為、シート化に支障がある。
【0013】また、隣接層としてはポリオレフィン系樹
脂の単独層以外に、例えば、酸素バリア性等の向上の必
要があれば接着層を介してエチレン−酢酸ビニル共重合
体を中間層に挟む等、要求される特性に応じて必要な樹
脂を積層して多層構成としても差し支え無い。本発明の
多層シートの製造方法としては共押出法、ドライラミネ
ート法、押出しラミネート法で製造することができる。
【0014】
【実施例】以下の実施例により本発明を説明するが、こ
れらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定される
ものではない。 (実施例1〜5、比較例1〜5)実施例、比較例のシー
ル層は、表1、2に示す樹脂、シール層厚みより構成し
た。隣接層は、厚みが750μmであるホモポリプロピ
レン系樹脂、接着層(無水マレイン酸変性ポリプロピレ
ン樹脂)、酸素ガスバリア層(エチレン−酢酸ビニル共
重合体のケン化物)、接着層、ホモポリプロピレン系樹
脂の5層構成とし、共押出法によりシート化した後、シ
ール層を押出しラミネーション法により接着し6層構成
からなる多層シートを成形した。
【0015】容器での評価はこの多層シートを真空、圧
空成形により65mmφ、70ccのフランジ付き(フ
ランジ幅5mm)の丸形成形容器に成形し、60℃の湯
を充填した後、中抜きリング状のシール板を用い温度1
80℃、面圧力15kg/cm2、シール時間1.5秒
の条件で2回蓋材とシールし、更に120℃、30mi
nの条件でレトルト処理したものを用いた。尚、蓋材は
ポリエチレンテレフタレート樹脂(厚み15μm)/ナ
イロン樹脂(厚み15μm)/直鎖状低密度ポリエチレ
ン系樹脂(厚み60μm)のフィルムを用い、直鎖状低
密度ポリエチレン系樹脂側をシール側とした。
【0016】評価方法は下記の方法にて実施した。パン
ク圧は耐内圧試験法(当社法)に基づき、密封強度試験
機を用いて蓋材をシールした容器での評価を行った。ピ
ール感は蓋材をシールした容器を用い、蓋材を手でピー
ルし、容易にピールできるものを○、やや抵抗があるが
ピール可能なものを△、ピールできないものを×とし
た。外観はピール感を評価した後、容器、蓋材のシール
部付近に糸引き、毛羽立ち、ヒゲの無いものを○、少し
あるが気にならないものを△、目立って発生したものを
×とした。総合評価はピール感、外観共に○で且つ、パ
ンク圧が0.5kg/cm2以上のものを○とし、他は
×とした。評価結果を表1および2に示した。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【発明の効果】本発明により、従来技術においては背反
性能である加熱殺菌にも耐えうる密封性と層間剥離によ
る易開封性を製造工程上の不都合、容器形状の制約なし
に両立させ、且つ、製品流通時に加わる振動、衝撃への
十分な耐性を有する包装用、容器用に有効な多層シート
が得られた。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剥離機能を有するシール層と隣接層の少
    なくとも2層以上からなる多層シートであって、シール
    層が引張破壊のびが400〜1000%(JIS K
    6760)の高密度ポリエチレン系樹脂5〜95重量%
    と、引張破壊のびが50〜600%(JIS K 67
    60)の高密度ポリエチレン系樹脂95〜5重量%の比
    率からなり、その引張破壊のびの差は100%以上であ
    る引張破壊のびの異なる2種の混合高密度ポリエチレン
    20〜95重量%と、破断時抗張力が100〜400K
    g/cm2(ASTM D638)である直鎖状低密度
    ポリエチレン系樹脂80〜5重量%からなり、シール層
    の外側の隣接層がポリオレフィン系樹脂からなることを
    特徴とする多層シート。
  2. 【請求項2】 シール層の厚みが2〜30μmである請
    求項1記載の多層シート。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン
    系樹脂である請求項1または2記載の多層シート。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101757958B1 (ko) * 2013-08-05 2017-07-14 중앙대학교 산학협력단 현악기용 안족

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