JP3137006B2 - 燃料ポンプ制御装置 - Google Patents

燃料ポンプ制御装置

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JP3137006B2
JP3137006B2 JP08261664A JP26166496A JP3137006B2 JP 3137006 B2 JP3137006 B2 JP 3137006B2 JP 08261664 A JP08261664 A JP 08261664A JP 26166496 A JP26166496 A JP 26166496A JP 3137006 B2 JP3137006 B2 JP 3137006B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料ポンプの制御
装置に係り、詳しくは、燃料ポンプを制御することによ
り、運転状態に応じた燃料量を内燃機関に対して供給す
るための制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な内燃機関においては、燃料ポン
プによって燃料タンク内の燃料が吸引吐出され、燃料噴
射弁が接続されたデリバリパイプに対して圧送される。
そして、燃料噴射弁が開弁することにより内燃機関に所
定量の燃料が供給される。ここで、デリバリパイプ内に
おける燃料の圧力(以下、「燃圧」という)は、内燃機
関に適正な燃料量を供給するために所定の圧力に保持さ
れている必要がある。燃圧を所定圧力に保持する技術と
して、例えば以下に示す構成を備えたものが従来より提
案されている。
【0003】デリバリパイプに、同パイプ内の燃圧に応
じて開閉する圧力調整弁と、同調整弁を介してデリバリ
パイプ内の燃料を燃料タンクに戻すリターン通路とを設
ける。そして、燃料ポンプから一定の吐出圧をもって燃
料を吐出し、デリバリパイプ内に供給する。デリバリパ
イプ内に過剰な燃料が供給された場合、即ち、同パイプ
内の燃圧が所定値以上に増加した場合には、圧力調整弁
が開弁して燃料がリターン通路を通じて燃料タンクに戻
される。従って、デリバリパイプ内の燃圧が圧力調整弁
の開弁圧に相当する一定値に保持される。
【0004】上記構成にあっては、燃料ポンプからの吐
出量を、内燃機関において消費される燃料量の最大値よ
りも多くなるように設定する必要がある。燃料ポンプか
らの吐出量が前記最大値を下回った場合には、燃圧を所
定値に保持することができなくなるからである。このた
め、低負荷運転時のように、燃料消費量が少ない場合に
は多量の余剰燃料がリターン通路から燃料タンクに戻さ
れる。即ち、上記構成では、燃料ポンプは余剰燃料を圧
送する分だけ無駄に駆動されることになるため、燃料ポ
ンプや、同ポンプに電力を供給するための電源装置(バ
ッテリ及びオルタネータ)の負荷が増大するという問題
が生じていた。更に、エンジンの熱により加熱された燃
料がリターン通路を通じて燃料タンクに戻され同タンク
内における燃料温度が上昇することにより、燃料ベーパ
が発生するという問題もあった。
【0005】そこで、電子制御装置を用いて、燃料ポン
プからの吐出量を内燃機関の運転状態に応じて変化させ
るようにした装置が提案されている。この装置によれ
ば、燃圧を所定値に保持するのに必要十分な吐出量が確
保されるようになるため、圧力調整弁及びリターン通路
が不要になるとともに、燃料ポンプの無駄な駆動がなく
なるため、前述したような問題を解消することが可能で
ある。
【0006】しかしながら、燃料ポンプの吐出量を制御
しようとした場合、その制御には応答遅れ(例えば燃料
ポンプの慣性による応答遅れ)が存在する。このため、
この応答遅れに起因して生じる目標吐出量と実際の吐出
量との間のズレが問題になる場合があった。例えば、内
燃機関の負荷が急激に増加したような場合には、同機関
において必要とされる燃料量が急増するため、その燃料
量の変化に燃料ポンプからの吐出量を追従させることが
困難になる。このため、一時的に内燃機関に供給される
燃料量が不足した状態になる虞があった。
【0007】特開昭59−150972号公報は、上記
問題を解消するための「エンジンの燃料ポンプ制御装
置」を開示する。この装置において、制御回路はエンジ
ン(内燃機関)の急激な負荷の増大を、スロットル開度
の変化量に基づいて検出する。急激な負荷増大が検出さ
れた場合に、制御回路は燃料ポンプからの基本吐出量
(内燃機関の負荷状態に応じて決定される)を増大する
ように補正する。即ち、上記装置では、内燃機関の負荷
が急激に増大した後に生じる燃料消費量の増加を予め見
越して燃料ポンプの吐出量を制御することによって、内
燃機関に供給される前記燃料量の不足を回避するように
している。
【0008】この装置において、制御回路は基本吐出量
を増量補正するための補正量を、一定量若しくは内燃機
関の負荷の増大に応じた可変量として決定する。このた
め、補正量は内燃機関の負荷の増加率に応じて一義的に
決定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記公報の装置では、
前記燃料消費量の増加は、負荷の増加率が同じであって
も、例えば、内燃機関の回転速度により異なった値にな
る。このため、回転速度の違いによっては、燃料消費量
の増大を的確に予測した補正を行うことができず、燃料
消費量の増大に追従させて燃料ポンプの吐出量を増加さ
せることが困難となる。また、内燃機関に供給される燃
料量の不足を回避するために、例えば、補正量を予め大
きい値に設定することが考えられる。ところが、このよ
うな構成では、特定の運転状態で過度な増量補正が行わ
れることになる。このため、燃料ポンプから内燃機関に
対して過剰な燃料が供給されることになり、同ポンプに
おける負荷が増大するという問題が生じる。
【0010】本発明は前述した事情を鑑みてなされたも
のであって、その目的は、過渡的な運転状態において内
燃機関で消費される燃料の変化に対して燃料ポンプから
の吐出量を的確に追従させ、内燃機関に対して必要十分
な燃料を供給することができる燃料ポンプ制御装置を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、燃料タンク内から吸引した
燃料を吐出して内燃機関に供給するための燃料ポンプを
備え、その燃料ポンプを内燃機関の運転状態に応じて制
御するようにした制御装置であって、内燃機関の運転状
態を検出するための運転状態検出手段と、検出された運
転状態に基づき基本吐出量を算出するための基本吐出量
算出手段と、内燃機関の負荷変化に応じた第1の補正値
を算出された運転状態に基づき算出するための第1の補
正値算出手段と、内燃機関に要求される燃料量の変化に
応じた第2の補正値を検出された運転状態に基づき算出
するための第2の補正値算出手段と、検出された運転状
態に基づき同機関が過渡運転状態にあるか否かを判定す
るための判定手段と、判定手段により内燃機関が過渡運
転状態にあると判定された場合に、算出された第1の補
正値及び第2の補正値に基づき算出された基本吐出量を
補正するための補正手段と、補正された基本吐出量に基
づき燃料ポンプを制御するための制御手段とを備えたこ
とををその趣旨としている。
【0012】上記構成によれば、燃料タンク内から燃料
ポンプによって吸引された燃料は、同ポンプから吐出さ
れ内燃機関に供給される。本発明に係る制御装置は、内
燃機関が過渡運転状態になった際に、同機関において消
費される燃料量の変化を予測し、その変化に追従するよ
うに燃料ポンプの吐出量を制御する。
【0013】即ち、基本吐出量算出手段は、運転状態検
出手段により検出された内燃機関の運転状態に基づいて
基本吐出量を算出する。第1の補正値算出手段は、内燃
機関の負荷変化に応じた第1の補正値を運転状態に基づ
き算出する。第2の補正値算出手段は、内燃機関に要求
される燃料量の変化に応じた第2の補正値を運転状態に
基づき算出する。
【0014】判定手段によって内燃機関が過渡運転状態
であると判定されることにより、補正手段は基本吐出量
を第1の補正値及び第2の補正値に基づいて補正する。
このように、本発明では、内燃機関の負荷変化に加え、
同機関に要求される燃料量の変化に基づいて基本吐出量
を補正するようにしている。
【0015】従って、補正後の基本吐出量は過渡運転状
態において内燃機関で消費される燃料の変化を予め見越
した量になる。例えば、本発明によれば、負荷変化が同
じ場合であっても、要求燃料量の変化が大きい場合には
基本吐出量が相対的により大きな量に増量補正される。
このように、負荷変化に加え、要求燃料量の変化に基づ
く補正を基本吐出量に対して行うことにより、内燃機関
の過渡運転時における変化を的確に予測して燃料消費量
が調整される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る燃料ポンプの
制御装置を具体化した実施形態を図面を参照して説明す
る。
【0017】図1は、本実施形態における燃料ポンプの
制御装置を示す概略構成図である。同図に示す燃料ポン
プ等は図示しない車輌に搭載されている。車輌は、燃料
を貯留する燃料タンク1と、そのタンク1の中に収納さ
れた電動式の燃料ポンプ2とを備えている。ポンプ2は
ブラケット(図示略)を介してタンク1に支持されてい
る。ポンプ2は、直流モータ(図示略)と、同モータに
より駆動されるインペラ(図示略)とを内蔵している。
通電によってモータが駆動され、インペラが回転するこ
とにより、タンク1内の燃料がポンプ2によって吸入さ
れ、同ポンプ2の吐出ポート2aから吐出される。ポン
プ2から吐出される燃料の量は、モータに印加される電
圧に応じて変化するインペラの回転速度に基づいて決定
される。
【0018】吐出ポート2aに接続された燃料ライン3
は、タンク1の上蓋1aを貫通し、燃料フィルタ4を介
して内燃機関(エンジン)7に設けられたデリバリパイ
プ5に接続されている。デリバリパイプ5に設けられた
複数のインジェクタ6は、エンジン7の各気筒に対応し
て配置されている。各インジェクタ6は電磁弁付きのノ
ズルであり、通電により開弁し、通電の遮断により閉弁
する。
【0019】エンジン7に接続された吸気通路8は外気
をエンジン7の各気筒へ導入する。吸気通路8に設けら
れたスロットルバルブ9は、アクセルペダル(図示略)
の操作に連動して作動することにより、同通路8の流路
断面積を調節する。スロットルバルブ9の開度(スロッ
トル開度)TAが調整されることにより、吸気通路8を
通じてエンジン7の各気筒へ導入される空気量(吸気
量)Qが調整される。
【0020】ポンプ2が作動することにより、タンク1
の燃料が燃料ライン3へ吐出される。吐出された燃料は
フィルタ4で異物が除去された後、燃料ライン3を通じ
てデリバリパイプ5へ圧送され、更にデリバリパイプ5
から各インジェクタ6に分配される。分配された燃料
は、各インジェクタ6の開弁時に同インジェクタ6から
噴射されて対応する各気筒へ供給される。各気筒へ供給
された燃料と空気との混合気が燃焼されることにより、
エンジン7のクランクシャフト(図示略)が回転し、エ
ンジン7に動力が得られる。
【0021】ポンプ2を駆動するための駆動回路10
は、バッテリ11に接続されており、同バッテリ11か
らポンプ2のモータに印加される電圧値の大きさを調整
する。スロットルバルブ9の近傍に設けられたスロット
ルセンサ21は、同バルブ9の開度TAを検出し、その
大きさに応じた信号を出力する。
【0022】デリバリパイプ5に設けられた燃圧センサ
22は、各インジェクタ6へ圧送される燃圧、即ちデリ
バリパイプ5内の燃圧PFを検出し、その大きさに応じ
た信号を出力する。
【0023】エンジン7に設けられた回転速度センサ2
3はクランクシャフトの回転速度、即ちエンジン回転速
度NEに相当する値を検出し、その値の大きさに応じた
信号を出力する。エンジン7に設けられた水温センサ2
4は、エンジン7の内部を流れる冷却水の温度(冷却水
温度)THWを検出し、その大きさに応じた信号を出力
する。吸気通路8に設けられた吸気圧センサ25は、同
通路8における吸気圧力PMを検出し、その大きさに応
じた信号を出力する。
【0024】電子制御装置(ECU)30は、入力信号
処理回路、メモリ、演算回路及び出力信号処理回路等
(いずれも図示略)を有する。ECU30には前述した
各種センサ21〜25と、各インジェクタ6、駆動回路
10及びバッテリ11が接続されている。ECU30は
前述した各種センサ21〜25から出力される信号を入
力し、これら入力信号に基づいて燃料噴射制御及び燃料
供給制御を実行するために、各インジェクタ6及び駆動
回路10等を制御する。
【0025】燃料噴射制御とは、エンジン7の運転状態
に応じて各インジェクタ6の開弁時間を制御することに
より、各インジェクタ6から各気筒へ噴射される燃料量
を調節することである。燃料供給制御とは、エンジン7
の運転状態に応じて駆動回路10を制御することによ
り、ポンプ2から吐出される燃料量を制御し、各インジ
ェクタ6へ供給される燃圧PFを調整することである。
【0026】図2及び図3は、「燃料供給制御ルーチ
ン」の内容を示すフローチャートである。ECU30
は、エンジン7の運転が開始された後、本ルーチンを所
定周期をもって実行する。
【0027】ステップ100において、ECU30は各
種センサ21〜25から各種パラメータTA(i),P
F,NE,PM,THWを読み込む。更に、ECU30
は、前回の制御周期におけるスロットル開度TA(i−
1)並びに後述する要求燃料量QF(i−1)及び圧力
差△PF(i−1)をメモリから読み込む。
【0028】ステップ101において、ECU30はQ
F(i)を算出する。そのために、ECU30は先ず以
下の式(1)に基づいてインジェクタ6によって各気筒
に噴射される噴射量TAUを算出する。
【0029】 TAU=F1(NE,PM,THW) ・・・(1) 上式(1)において、F1(NE,PM,THW)は、
エンジン回転速度NE、吸気圧力PM及び冷却水温度T
HWをパラメータとする関数である。ECU30のメモ
リには、各パラメータNE,PM,THWと関数F1
(NE,PM,THW)、即ち噴射量TAUとの関係を
示す関数データが記憶されている。ECU30はこの関
数データを参照することによって噴射量TAUを算出す
る。
【0030】次に、ECU30は、エンジン7に要求さ
れる要求燃料量QF(i)を以下の式(2)に基づいて
算出する。 QF(i)=K1*TAU*NE ・・・(2) 上式(2)において、K1は補正係数である。式(2)
に示すように、要求燃料量QF(i)はエンジン回転速
度NEが大きいほど大きい値として算出される。
【0031】ステップ102において、ECU30は△
PF(i)を算出する。そのために、ECU30は先
ず、以下の式(3)に基づいて、エンジン7の運転状態
に反映したパラメータNE,PM,THWに基づく目標
燃圧TPFを算出する。ここで、目標燃圧TPFとは、
デリバリパイプ5内の燃圧に係る目標値である。
【0032】 TPF=F2(NE,PM,THW) ・・・(3) 上式(3)において、F2(NE,PM,THW)は、
エンジン回転速度NE、吸気圧力PM及び冷却水温度T
HWをパラメータとする関数である。ECU30のメモ
リには、各パラメータNE,PM,THWと、関数F2
(NE,PM,THW)、即ち目標燃圧TPFとの関係
を示す関数データが記憶されている。図4のグラフは冷
却水温度THWを一定値とした場合における関数データ
を示している。同図に示すように、本実施形態では目標
燃圧TPFが、エンジン回転速度NEと吸気圧力PMと
の関係において、高燃圧値TPF1と低燃圧値TPF2
との2つの範囲の値をとり得る。ECU30は、この関
数データを参照することにより目標燃圧TPFを算出す
る。次に、ECU30は、この目標燃圧TPFと燃圧セ
ンサ22により検出された燃圧PFとの圧力差△PF
(i)を算出する。
【0033】ステップ103において、ECU30は以
下の式(4)に基づいて、ECU30から駆動回路10
に対して出力される制御信号としての基本デューティ比
DBASEを算出する。
【0034】 DBASE=F3(QF(i),TPF) ・・・(4) 上式(4)において、F3(QF(i),TPF)は、
要求燃料量QF(i)及び目標燃圧TPFをパラメータ
とする関数である。ECU30のメモリには、各パラメ
ータQF(i),TPFと、関数F3(QF(i),T
PF)、即ち基本デューティ比DBASEとの関係を示
す関数データが記憶されている。ECU30は、この関
数データを参照することにより、基本デューティ比DB
ASEを算出する。
【0035】ステップ104において、ECU30は、
以下の式(5)に基づいて、フィードバック補正項KD
FBを算出する。 KDFB=F4(△PF(i),△PF(i−1)) ・・・(5) 上式(5)において、F4(△PF(i),△PF(i
−1))は圧力差△PF(i),△PF(i−1)をパ
ラメータとする関数である。ここで、圧力差△PF(i
−1)は前回の制御周期における値を示す。この関数F
4(△PF(i),△PF(i−1))は、PID制御
を行うためのものであり、比例項、積分項及び微分項か
らなる。ECU30はメモリに記憶された関数データを
参照することにより、これら各項を算出するとともに、
各項を加算することによりフィードバック補正項KDF
Bを算出する。
【0036】ステップ105において、ECU30は配
管圧損補正項(以下、単に「配管補正項」)KDPLを
算出する。この配管補正項KDPLは、燃料ポンプ2か
らデリバリパイプ5に燃料を圧送する際に燃料ライン
3、燃料フィルタ4において燃料の圧力が低下すること
を見越し、この圧力損失を補うためのものである。EC
U30は、この配管補正項KDPLを以下の式(6)に
基づいて算出する。
【0037】 KDPL=K2*QF(i)^2 ・・・(6) 上式(6)において、K2は補正係数であり、「QF
(i)^2」は要求燃料量QF(i)の2乗を示してい
る。このように、配管補正項KDPLは要求燃料量QF
(i)の2乗に比例する量として算出される。
【0038】ステップ106において、ECU30は現
在のスロットル開度TA(i)から前回の制御周期にお
けるスロットル開度TA(i−1)を減じ、この差を開
度変化率DLTAとして算出する。
【0039】ステップ107において、ECU30は、
現在の要求燃料量QF(i)から前回の制御周期におけ
る要求燃料量QF(i−1)を減じ、この差を要求燃料
量の変化率(以下、「燃料量変化率」とする)DLQF
として算出する。
【0040】ステップ108において、ECU30はエ
ンジン7の運転状態が過渡状態である否かを判定する。
ここで、ECU30は、開度変化率DLTAの絶対値が
所定値以上であるかを判断することにより、エンジン7
の運転状態が負荷の急激な変化を伴う過渡状態であるか
否かを判定する。即ち、開度変化率DLTAの絶対値が
大きくなる加速時、及び減速時において、ECU30は
エンジン7の運転状態が過度状態にあると判定する。
【0041】ステップ108における判定結果が肯定で
ある場合、エンジン7が過渡状態にあることから、EC
U30は処理を図3に示すステップ109に移行する。
ステップ109において、ECU30は以下の式(7)
に基づいて過渡補正項KDFTRNを算出する。
【0042】 KDFTRN=K3*DLQF+K4*DLTA ・・・(7) 上式(7)において、K3及びK4は補正係数である。
これに対して、ステップ108における判定結果が否定
である場合、エンジン7が過渡状態にないことから、E
CU30は処理をステップ115に移行する。ステップ
115において、ECU30は過渡補正項KDFTRN
の絶対値が判定値αよりも小さいか否かを判定する。こ
こで、判定値αは、過渡補正項KDFTRNが略「0」
であるか否かを判定するためのものである。ステップ1
15の判定結果が否定である場合、ECU30は処理を
ステップ116に移行する。
【0043】ステップ116において、ECU30は過
渡補正項KDFTRNが「0」より大きいか否かを判定
する。この判定結果が肯定である場合、過渡補正項KD
FTRNを減少させる必要があることから、ECU30
は処理をステップ117に移行する。ステップ117に
おいて、ECU30は現在の過渡補正項KDFTRNか
ら所定量βを減じ、これを新たな過渡補正項KDFTR
Nとして設定する。
【0044】これに対して、ステップ116の判定結果
が否定である場合、過渡補正項KDFTRNを増加させ
る必要があることから、ECU30は処理をステップ1
18に移行する。ステップ118において、ECU30
は現在の過渡補正項KDFTRNに対して所定量βを加
え、これを新たな過渡補正項KDFTRNとして設定す
る。
【0045】ステップ115の判定結果が肯定である場
合、又はステップ109,117,118の各処理を実
行した後、ECU30は処理をステップ110に移行す
る。ステップ110において、ECU30は基本デュー
ティ比DBASEに対して、フィードバック補正項KD
FB、配管補正項KDPL及び過渡補正項KDFTRN
をそれぞれ加算し、これを最終デューティ比DFPCと
して設定する。
【0046】ステップ111において、ECU30は最
終デューティ比DFPCに応じた通電信号を駆動回路1
0に対して出力する。これにより、駆動回路10からポ
ンプ2のモータに対して出力される電圧値の大きさがエ
ンジン7の運転状態に応じて制御される。その結果、燃
料ポンプ2からの吐出量がエンジン7の運転状態に応じ
て制御される。
【0047】ステップ112において、ECU30は次
回の処理に備えて、現在の、スロットル開度TA
(i)、要求燃料量QF(i)及び圧力差△PF(i)
を前回の値TA(i−1)、QF(i−1)及び△PF
(i−1)としてメモリに記憶する。
【0048】次に、上記「燃料供給制御ルーチン」に基
づいて燃料ポンプ2を制御した場合におけるデリバリパ
イプ5内の燃圧PFの変化について図5を参照して説明
する。
【0049】図5(b)〜(g)は、同図の(a)に示
すようにスロットル開度TAが変化した場合における、
開度変化率DLTA、要求燃料量QF、燃料量変化率D
LQF、過渡補正項KDFTRN、最終デューティ比D
FPC及び燃圧デリバリパイプ5の燃圧PFをそれぞれ
示している。
【0050】時刻t1において、運転者によりアクセル
ペダルが踏み込まれることにより、スロットル開度TA
が所定値TA1から略一定の変化率をもって増加する。
そして、時刻t2において、スロットル開度TAは所定
値TA2に達する。従って、時刻t1〜t2までの間、
開度変化率DLTAは図5(b)に示すように一定値D
LTA2として上記ルーチンのステップ106において
算出される。また、スロットル開度TAの増加に伴っ
て、エンジン回転速度NE(同図では図示略)も増加す
る。その結果、同図(c)に示すように、時刻t1〜t
2までの間、エンジン回転速度NEの増加に伴い要求燃
料量QFが増加する。従って、図5(d)に示すよう
に、要求燃料量QFの増加に伴いステップ107におい
て算出される燃料量変化率DLQFが増加する。時刻t
2において、燃料量変化率DLQFは値DLQF2に達
する。
【0051】時刻t1〜t2の間では、開度変化率DL
TAが所定値より大きい値DLTA2であるため、即
ち、ステップ108における判定結果が肯定であるた
め、ECU30は、ステップ109において上記のよう
に変化する各変化率DLTA,DLQFに基づき過渡補
正項KDFTRNを算出する。図5(e)に示すよう
に、過渡補正項KDFTRNは時刻t1において所定値
KDFTRN3にまで急増した後、徐々に増加し、時刻
t2において所定値KDFTRN4に達する。
【0052】ECU30は、ステップ110において、
上記のように変化する過渡補正項KDFTRNを含む各
補正項KDFB,KDPL,KDFTRNを基本デュー
ティ比DBASEに加えて最終デューティ比DFPCを
算出する。図5(f)に示すように、最終デューティ比
DFPCは時刻t1において所定値DFPC1から所定
値DFPC2にまで一旦増加し、時刻t1以降、徐々に
増加して時刻t2において所定値DFPC3に達する。
ECU30は、ステップ111において最終デューティ
比DFPCに基づいて駆動回路10を制御し、燃料ポン
プ2からの吐出量を調節する。
【0053】以上のように、燃料ポンプ2からの吐出量
が調節されることにより、デリバリパイプ5内の燃圧P
Fは図5(g)の実線に示すように変化する。同図
(g)において、一点鎖線は本実施形態と異なり、過渡
補正項KDFTRNを開度補正項DLTAのみに基づい
て算出した場合における燃圧PFの変化を比較例として
示している。
【0054】時刻t1において、スロットル開度TA及
びエンジン回転速度NEが増加し始め、エンジン7の運
転状態が過渡状態に移行することにより、インジェクタ
6から噴射される燃料の量が急増する。その結果、図5
(g)の実線及び一点鎖線で示すように、燃圧PFが一
旦減少することにより、燃圧PFと目標燃圧TPF(=
TPF2)との偏差が増加する傾向がある。これは、エ
ンジン7において消費される燃料量が急増するためであ
る。ここで、一点鎖線で示す比較例においては、燃料消
費量の急増に対して燃料ポンプ2からの吐出量が追従し
て変化できないため、換言すれば、同ポンプ2からデリ
バリパイプ5に供給される燃料の量が不足してしまうた
め、同図(g)に示すように燃圧PFと目標燃圧TPF
との偏差が増大する。
【0055】これに対して、実線で示す本実施形態によ
れば、過渡補正項KDFTRNを開度補正項DLTAの
みならず燃料量変化率DLQFに基づいて算出するよう
にしている。このため、燃料消費量の急増、換言すれ
ば、要求燃料量QFの急増を見越して最終デューティ比
DFPCが増大され、燃料ポンプ2からの吐出量が調節
される。その結果、本実施形態によれば、比較例と比較
して燃圧PFと目標燃圧TPFとの偏差を減少させるこ
とができ、燃圧PFを略一定値に保持することができ
る。
【0056】時刻t2以降、スロットル開度TAが一定
値TA2に保持されることから、開度変化率DLTAが
「0」になる。この場合、エンジン7の運転状態が過渡
状態にないことから、ECU30は処理をステップ10
8からステップ115に移行する。ここで、過渡補正項
KDFTRNが判定値αよりも大きい値KDFTRN4
であることから、ECU30は時刻t2以降、ステップ
117の処理を実行する毎に同補正項KDFTRNから
所定量βだけ減じる。これにより、図5(e)に示すよ
うに、時刻t2以降、過渡補正項KDFTRNは徐々に
減少し、時刻t3において略「0」になる。
【0057】本実施形態によれば、エンジン7の運転状
態が過渡状態から定常状態に移行した場合に、所定値K
DFTRN4にまで増加した過渡補正項KDFTRNを
徐々に減少させるようにしている。このため、燃料ポン
プ2からの燃料吐出量が急激に変化してしまうことを抑
制することができる。その結果、吐出量の変化に伴う燃
圧PFの変動を抑制して、燃圧PFを略一定値に保持す
ることができる。
【0058】時刻t3〜t4において、要求燃料量QF
の増加に伴い基本デューティ比DBASE、配管圧損補
正項KDPLが増加することから、図5(f)に示すよ
うに最終デューティ比DFPCは増加する。
【0059】時刻t4において、運転者によりアクセル
ペダルの踏み込みが解除され始めることにより、時刻t
2以降、一定値TA2に保持されていたスロットル開度
TAが減少し始める。
【0060】また、スロットル開度TAの減少に伴っ
て、要求燃料量QFは図5(c)に示すように時刻t5
以降、減少し始める。その結果、燃料量変化率DLQF
は時刻t4以降、減少して時刻t5において「0」とな
った後、時刻t6において負の値DLQF1に達する。
そして、燃料量変化率DLQFは時刻t7において再び
増加し始める。
【0061】時刻t3〜t6の間では、開度変化率DL
TAの絶対値が所定値より大きくなることから、ECU
30はステップ109において上記のように変化する各
変化率DLTA,DLQFに基づき過渡補正項KDFT
RNを算出する。
【0062】図5(e)に示すように、過渡補正項KD
FTRNは時刻t4以降、徐々に減少し、時刻t6にお
いて所定値KDFTRN1に達する。そして、時刻t6
以降、過渡補正項KDFTRNは再び増加して時刻t7
において所定値KDFTRN2に達する。
【0063】ECU30は、ステップ110において、
上記のように変化する過渡補正項KDFTRNを含む各
補正項KDFB,KDPL,KDFTRNを基本デュー
ティ比DBASEに加えて最終デューティ比DFPCを
算出する。図5(f)に示すように、最終デューティ比
DFPCは時刻t4以降、徐々に減少し時刻t6におい
て所定値DFPC4に達した後、再び増加して時刻t7
において所定値DFPC5に達する。ECU30は、ス
テップ111において上記のように変化する最終デュー
ティ比DFPCに基づいて駆動回路10を制御し、燃料
ポンプ2からの吐出量を調節する。
【0064】以上のように、燃料ポンプ2からの吐出量
が調節されることにより、燃圧PFは図5(g)の実線
に示すように変化する。時刻t3において、スロットル
開度TAが減少し始め、エンジン7の運転状態が過渡状
態に移行することにより、燃料消費量が急激に減少し始
める。その結果、図5(g)に示すように燃圧PFは一
旦増加して、燃圧目標燃圧TPFとの偏差が増加する傾
向がある。エンジン7において消費される燃料量が急激
に減少するためである。ここで、一点鎖線で示す比較例
においては、燃料消費量の急激な減少に対して燃料ポン
プ2からの吐出量が追従して変化できないため、換言す
れば、同ポンプ2からデリバリパイプ5に対して過剰な
燃料が供給されるため、図5(g)に示すように燃圧P
Fと目標燃圧TPFとの偏差が増大する。
【0065】これに対して、本実施形態によれば、燃料
消費量の減少、即ち、要求燃料量QFの減少を見越して
最終デューティ比DFPCが低減され、燃料ポンプ2か
らの吐出量が調節される。その結果、本実施形態によれ
ば、図5(g)に示すように、前述したスロットル開度
TAを増加させる場合と同様に、燃圧PFを略一定値に
保持することができる。
【0066】時刻t7以降、スロットル開度TAが一定
値TA1に保持されることから、開度変化率DLTAが
「0」になる。この場合、エンジン7の運転状態が過渡
状態にないことから、ECU30は処理をステップ10
8からステップ115に移行する。ここで、過渡補正項
KDFTRNの絶対値が判定値αよりも大きいことから
(|KDFTRN3|>α)、ECU30は時刻t7以
降、ステップ118の処理を実行する毎に同補正項KD
FTRNに対して所定量βを加える。これにより、図5
(e)に示すように、時刻t7以降、過渡補正項KDF
TRNは徐々に増加し、時刻t8において略「0」にな
る。
【0067】このように、本実施形態によれば、エンジ
ン7の運転状態が過渡状態から定常状態に移行した場合
に、所定値KDFTRN2にまで減少した過渡補正項K
DFTRNを徐々に増加させるようにしている。このた
め、燃料吐出量の急激な変化を抑えることにより、燃圧
PFを略一定値に保持することができる。
【0068】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、スロットル開度TAが大きく変化する場合、即ち、
エンジン7の運転状態が負荷の急激な変化を伴う過渡状
態になった場合に、負荷変化率に相当する開度変化率D
LTAに加え、燃料量変化率DLQFに基づいて過渡補
正項KDFTRNを算出するとともに、その過渡補正項
KDFTRNを用いて最終デューティ比DFPCを算出
するようにしている。
【0069】従って、エンジン7に必要とされる要求燃
料量QFの変化を予め見越して燃料ポンプ2が制御さ
れ、同ポンプ2からの吐出量が調節される。その結果、
過渡運転時における燃料消費量の変化を的確に予測し
て、その変化に燃料ポンプ2からの吐出量を追従させる
ことができる。このため、燃料ポンプ2からデリバリパ
イプ5内にエンジン7の運転状態に即した必要十分な燃
料を供給することができる。
【0070】尚、本発明は上記実施形態の構成に限定さ
れることなく、例えば、以下に説明する別の実施形態と
して具体化することもできる。これら別の実施形態にお
いても、上記実施形態と略同様の作用効果を奏すること
ができる。
【0071】(1)上記実施形態では、スロットルセン
サ21により検出されるスロットル開度TAの変化に基
づいてエンジン7の過渡運転状態を判断するようにし
た。これに対し、吸気圧センサ25により検出される吸
気圧力PM、或いは回転速度センサ23により検出され
るエンジン回転速度NEの変化に基づいてエンジン7の
過渡運転状態を判断するようにしてもよい。
【0072】(2)上記実施形態では、デリバリパイプ
5に設けられた燃圧センサ22により燃圧PFの値を検
出するようにした。これに対し、燃料ライン3に設けら
れた燃料センサにより燃圧PFを検出するようにしても
よい。
【0073】(3)上記実施形態では、スロットルバル
ブ9をアクセルペダルに連結し、同ペダルの操作に連動
して同バルブ9を作動させるようにした。これに対し
て、アクセルペダルの踏込量をアクセルセンサにより検
出するとともに、その検出信号等に基づいてスロットル
バルブ9をアクチュエータによって作動させるようにし
てもよい。
【0074】(4)上記実施形態では、要求燃料量QF
を噴射量TAU及びエンジン回転速度NEに基づいて算
出するようにした。これに対して、吸気量Q、目標空燃
比等に基づいて要求燃料量QFを算出するようにしても
よい。
【0075】上記各実施形態から把握できる技術的思想
について以下にその効果とともに記載する。 (イ)請求項1記載の燃料ポンプ制御装置において、前
記補正手段は、前記判定手段により判定される前記内燃
機関の運転状態が過渡運転状態から定常運転状態に移行
した際に、前記第1の補正値及び前記第2の補正値に基
づいて補正された前記基本吐出量を補正前の量に徐々に
戻すことを特徴とする。
【0076】上記の構成によれば、燃料ポンプからの吐
出量が急激に変化することを抑えることができ、内燃機
関に供給される燃料圧力の変動を抑制することができ
る。
【0077】
【発明の効果】請求項1に記載した発明では、内燃機関
が過渡運転状態と判定された際に、基本吐出量を同機関
の負荷変化に応じた第1の補正値と、同機関に要求され
る燃料量の変化に応じた第2の補正値とに基づいて補正
するようにしている。
【0078】従って、補正後の基本吐出量は過渡運転状
態において内燃機関で消費される燃料の変化を予め見越
した量になる。その結果、過渡的な運転状態にある内燃
機関で消費される燃料の変化に対してポンプ吐出量を的
確に追従させて変化させることができる。これにより、
燃料ポンプから内燃機関に対して運転状態に即した必要
十分な燃料を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンシステムを示す概略構成図。
【図2】「燃料供給制御ルーチン」の内容を示すフロー
チャート。
【図3】「燃料供給制御ルーチン」の内容を示すフロー
チャート。
【図4】エンジン回転速度及び吸気圧力と目標燃圧との
関係を示すグラフ。
【図5】スロットル開度等の変化を示すタイミングチャ
ート。
【符号の説明】
1…燃料タンク、2…燃料ポンプ、7…エンジン、21
…スロットルセンサ、22…燃圧センサ、23…回転速
度センサ、24…水温センサ、25…吸気圧センサ、3
0…ECU。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンク内から吸引した燃料を吐出し
    て内燃機関に供給するための燃料ポンプを備え、その燃
    料ポンプを前記内燃機関の運転状態に応じて制御するよ
    うにした制御装置であって、 前記内燃機関の運転状態を検出するための運転状態検出
    手段と、 前記検出された運転状態に基づき基本吐出量を算出する
    ための基本吐出量算出手段と、 前記内燃機関の負荷変化に応じた第1の補正値を前記算
    出された運転状態に基づき算出するための第1の補正値
    算出手段と、 前記内燃機関に要求される燃料量の変化に応じた第2の
    補正値を前記検出された運転状態に基づき算出するため
    の第2の補正値算出手段と、 前記検出された運転状態に基づき同機関が過渡運転状態
    にあるか否かを判定するための判定手段と、 前記判定手段により前記内燃機関が過渡運転状態にある
    と判定された場合に、前記算出された第1の補正値及び
    第2の補正値に基づき前記算出された基本吐出量を補正
    するための補正手段と、 前記補正された基本吐出量に基づき前記燃料ポンプを制
    御するための制御手段とを備えたことを特徴とする燃料
    ポンプ制御装置。
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