JP3136972B2 - エンジン冷却構造 - Google Patents

エンジン冷却構造

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JP3136972B2
JP3136972B2 JP07303195A JP30319595A JP3136972B2 JP 3136972 B2 JP3136972 B2 JP 3136972B2 JP 07303195 A JP07303195 A JP 07303195A JP 30319595 A JP30319595 A JP 30319595A JP 3136972 B2 JP3136972 B2 JP 3136972B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン冷却構造
に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、例えば省エネルギの見地
から、エンジンの軽量化,コンパクト化が要求されてい
るため、シリンダブロック内において隣接するシリンダ
ボア間の距離ができるだけ小さく形成されるようになっ
ている。上記のように、隣接するシリンダボアのシリン
ダ壁が結合されて形成されるようになったことから、上
記シリンダボア間の、冷却性が損なわれる虞れがあるの
で、種々の提案がなされている。
【0003】又、上記水冷エンジンのシリンダブロック
は、該シリンダ壁全体を効率良く安定した冷却を行うこ
とによって、該シリンダの過熱や温度分布の不均一の発
生を防止するため、上記のようにシリンダボアが結合さ
れる複数のシリンダの両側方に形成されている一対の冷
却水通路間に連通路が設けられている。そして、該連通
路を形成するにあたり、中空部材を鋳込んで形成した
り、上記シリンダ壁の結合部にドリル孔を形成したもの
やスリット状に形成したもの等が知られており、例えば
実開昭60−173651号公報がある。
【0004】該公報記載の技術は、図5に示したように
シリンダブロック1の前後方向に、縦列配置された複数
個のシリンダボア2〜4,5〜7を有しており、これら
のシリンダ壁8〜10,11〜13は隣接するシリンダ
が結合されている。又、シリンダブロック1の中央の入
口14から流入した冷却水は、図5に示したように、矢
印V1,V2,Wのように一方のウォータジャケット1
5の左右と中央の通路16を流れ、他方のウォータジャ
ケット17へ流れる。
【0005】そして、上記の結合されたシリンダ壁8〜
10,11〜13の結合部分18〜21には、連通路と
なる中空部材22が入口23側を突出する状態で鋳込ま
れている。上記の中空部材22は、図5に示したように
斜形の入口23を有し、その入口23が上流側、即ち上
記の冷却水の入口14側に向くように配設され、上流か
ら流れてくる該冷却水を入口23から連通路22に流入
させるように形成されている。
【0006】上記公報記載の技術は、上記のように構成
されているから、該冷却水が図5に示した矢印のように
ウォータジャケット15に流れると、上記の斜形の入口
23付近を流れる冷却水は強制的に入口23へ案内され
ることにより、連通路(中空部材)22内に、所定量の
冷却水が流れるように構成したものである。又、その他
の従来例として、実公昭63−27078号公報があ
る。
【0007】該公報記載の技術は、図6に示したように
シリンダライナ02〜05の相互間に、一対の冷却水通
路06,07を連通させるように設けられた、連通路0
8〜010を備えており、連通路08〜010の、両端
開口の一方開口の上流側縁部及び下流側縁部のうち下流
側縁部のみに、該冷却水を案内して該連通路へ導入する
ための第1案内縁部011〜013が、一方の冷却水通
路06の側壁に向かって突出するように形成されると共
に、上記両端開口の他方の開口における上流側縁部及び
下流側縁部のうちの上流側縁部のみに、上流連通路08
〜010内の該冷却水の排出を案内する第2案内縁部0
14〜016が他方の冷却水通路07に向かって突出す
るように形成されたものである。
【0008】上記のような簡素な構成で、上記連通路0
8〜010内に冷却水を円滑に流通させることことによ
りこの連通路08〜010を通じて冷却効果を上げよう
としたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記で
従来例として説明した実開昭60−173651号公報
記載の技術は、図5に示したように、先ず上記結合され
たシリンダ壁8〜10,11〜13の各々の結合部分1
8〜21には、連通路とされる中空部材22がウォータ
ジャケット15のある入口14側に突出された状態でい
鋳込まれて形成されているものであるから、上記の鋳込
まれる中空部材22が必要であり、又該鋳込作業が必要
であり、且つシリンダブロック1と別体で形成される中
空部材22を使用するので冷却効果を低減せしめてしま
うものである。
【0010】又、該公報記載の該冷却水は、図5に示し
たように中央入口14側から流入し、矢印のようにウォ
ータジャケット15の左右方向及び更に分流して上記各
シリンダライナ間の方向の流通路と中央流通路16に流
れて他方のウォータジャケット17へ流れるようになっ
ており、ウォータジャケット15の左右に流れた該冷却
水は、上記斜形の入口23から中空部材22内に強制的
に案内せしめて流れるようにすることが、この実開昭6
0−173651号公報記載の考案の技術思想である。
【0011】即ち、図5に矢印で示したように上記冷却
水は入口14から流入し、ウォータジャケット15の左
右に流れる冷却水V1,V2と中央の連通路16を流れ
る冷却水Wとに分流されて流れ、この冷却水Wは他方の
ウォータジャケット17で左右、中央に分流W1,W
2,W3として流れる。一方、上記のように強制的に中
空部材22内に案内された該冷却水は他方のウォータジ
ャケット17内へ流出するとき、三方向に分流Y1,Y
2,Y3として流れる。
【0012】このため、ウォータジャケット15で分流
した各冷却水V1,V2,W,Yはウォータジャケット
17内へ向かって流れるが、ウォータジャケット17内
に流入するとき、図5に示したように、更に各分流V
1,V2,W1,W2,W3,Y1,Y2,Y3に分流
され、互いに対向して流れるため、ウォータジャケット
17内で冷却水の乱流が発生すると共に、ウォータジャ
ケット15、17内によどみができるためシリンダブロ
ック1からの排出が阻害され、結果的にシリンダブロッ
ク1内の冷却水の流れを阻害することになり、上記のよ
うに中空部材22に強制的に導入してその部分の冷却効
果を向上せしめるようにしても、シリンダブロック全体
としての該冷却水の新陳代謝を阻害することになり冷却
効果を低減せしめている。
【0013】又、その他の従来例として説明した実公昭
63ー27078号公報記載の技術は、図6,7に示し
たように上記連通路08〜010の成形品である中空部
材020を鋳込で形成する必要があり、該鋳込作業が必
要で工数を要しコスト高となると共に、シリンダブロッ
クと別体の中空部材020(連通路08〜010)を鋳
込むので熱伝導が悪くなり冷却効果を低減せしめてい
る。
【0014】又、冷却水通路路06を流れている上記冷
却水の一部Pが、図6に示したように第1案内縁部01
1〜013により案内され連通路08〜010内へ導入
され、第2案内縁部014〜016によって案内されて
連通路07内へ流れる。又、第2案内縁部014〜01
6によって、他方の冷却水通路07内を上流から下流に
向かって流れる該冷却水の一部がせき止められており、
第2案内縁部014〜016の先端部の下流側面近傍に
カルマン渦kが発生して乱流が生じているので、この乱
流により連通路08〜010における該冷却水もせき止
められているため、一方の冷却水通路07を流れる冷却
水が連通路08〜010に逆流してくることが少ない。
【0015】しかしながら、上記の冷却水通路07の冷
却水は上記の第2案内縁部014〜016の上流側から
下流側に流れるように形成されているので、第2案内縁
部014〜016は冷却水通路07を流れる該冷却水の
流れ方向に対して図6に示したように、略垂直方向に突
出するように構成されているので、上記のように第2案
内縁部014〜016の先端に該冷却水の下流側の背面
にカルマン渦Kが発生し乱流が生じて、連通路08〜0
10から冷却水通路07内への該冷却水の流れが阻害さ
れることになり冷却効果が低減されてしまうことにな
る。
【0016】又、図6に二点鎖線で示したように、例え
ば 上記の第2案内縁部016を下流側に向けて湾曲す
るように湾曲部072を形成すれば、該冷却水はこの第
2案内縁部016の上流から下流に向かって円滑に流
れ、上記のようにカルマン渦Kの発生が抑制されるが、
今度は上記湾曲部072により該冷却水は連通路010
の出口において一部がせき止められ、上記湾曲した部位
の上記案内縁部016の湾曲部072の下面に連通路0
10からの該冷却水が当たるため、該湾曲072の下面
に該冷却水の滞留が発生して、該冷却水の流れが阻止さ
れ、エンジンブロック全体としての冷却効果が低減せし
められてしまうことになる。
【0017】本発明は、このような上記課題に鑑み創り
案されたもので、縦列配置された複数のシリンダライナ
の両側方に一対の冷却水通路を設け、上記一対の冷却水
通路を連通する連通路を隣接するシリンダライナ間に設
け、該連通路の開口部の上記一方の冷却水通路上流側に
シリンダケース側壁に向けて返り上がった湾曲状の突出
部を設けることによって、上記他方の冷却水通路から上
記連通路を介して上記一方の冷却水通路へ該冷却水を円
滑に合流させるようにした、エンジン冷却構造を提供す
ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明のエンジン冷却構造は、シリンダケース内にお
いて縦列配置された複数のシリンダライナの両側方に冷
却水をそれぞれ同一方向に流すための一対の冷却水通路
が設けられると共に、上記シリンダライナの相互間に上
記一対の冷却水通路を連通する連通が設けられたシリン
ダ冷却構造において、上記一対のいずれか一方の冷却水
通路に連通する上記の連通路の開口部の上流側に、上記
シリンダケース側壁に向けて反り上がった湾曲状の第1
突出部を設けたことを特徴としている。
【0019】請求項2記載の本発明のエンジン冷却構造
は、請求項1記載の構成において、上記第1突出部と対
向する上記一方の冷却水通路の下流側の該開口部に上流
から下流に向かい上記シリンダケース側壁に向けて傾斜
する傾斜部を設けたことを特徴としている。請求項3記
載の本発明のエンジン冷却構造は、請求項1又は2記載
の構成において、上記他方の冷却水通路に連通する上記
連通路の開口部の上流側に上流から下流に向かい該下流
側の上記シリンダライナに向けて傾斜する傾斜部を設
け、該傾斜部に対向する上記の他方の冷却水通路の開口
部の下流側に上記シリンダケース側壁に向けて設けられ
上記他方の冷却水通路の流れを該連通路に導入せしめる
第2突出部を設けたことを特徴としている。
【0020】又、上記請求項1〜3のいずれか1項に記
載の発明において、上記第1突出部の該連通路の下流側
側面は上記開口部付近より上記一方の冷却水通路の上流
から下流へ流れる層状流に向かうように形成された傾斜
面を備えることもできる(態様1)。 又、上記請求項3
記載発明において、上記一方の冷却水通路に連通する
上記の連通路の開口部の上流側に設けられた上記シリン
ダケース側壁に向けて反り上がった湾曲状の第1突出部
および上記他方の冷却水通路の開口部の下流側に上記シ
リンダケース側壁に向けて延設された第2突出部を有す
る連通路と、上記第1突出部が上記の他方の冷却水通路
に連通する開口部の上流側に設けられると共に上記第2
突出部が上記の一方の冷却水通路の開口部の下流側に設
けられた連通路とを具備し、複数のシリンダを有する上
記エンジンの各シリンダ間に上記二つの連通路を交互に
配設することもできる(態様2)
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施形態)本発明は実施形態を図1〜3について説明
する。図1は本発明の実施形態を示す概略横断面図,図
2は図1の2A−2A線に沿う拡大断面を示す縦断面
図、図3は図1のM部の拡大図を示す説明図である。
【0022】本実施形態は、図1に示したように直列4
シリンダエンジンに適用した場合であって、シリンダケ
ース30から排出された冷却水は二点鎖線32で示した
ようにラジエータ34に戻り、シリンダケース30内へ
循環する冷却水循環回路を構成している。図1に示した
ように、シリンダケース30において、シリンダライナ
支持部35に4個のシリンダライナ36,38,40,
42が縦列配置されている。
【0023】このシリンダライナ36,38,40,4
2の両側には、該冷却水をそれぞれ同一方向に流通せし
めるための一対の冷却水通路44,46が設けられてい
る。更に、上記のシリンダライナ36,38,40,4
2の相互間のシリンダライナ支持部35に上記一対の冷
却水通路44,46を連通する連通路48,50,52
が設けられている。
【0024】図1に示したように、各連通路48,5
0,52の冷却水通路44,46に連通路する両端開口
部53,54のうち、例えばの開口部54の上流側縁部
および下流側縁部のうち下流側縁部にシリンダケース3
0の側壁に向けて該冷却水の流れに逆らう面を有すると
共に各連通路48,50,52へ冷却水を導入する第2
突出部56,58,60が突出するように形成されてい
る。
【0025】そして、第2突出部56,58,60と対
向する冷却水通路44の開口部54の上流側縁部に、上
記下流のシリンダライナに且つ該冷却水の上流から下流
に向かって傾斜する傾斜面64が設けられている。又、
上記の連通路48,50,52の冷却水通路46に連通
する開口部53における上流側縁部および下流側縁部の
うち上流側縁部に、各連通路48,50,52内の該冷
却水の排出を案内するための第1突出部66,68,7
0が突出するように形成されている。
【0026】又、第1突出部66,68,70の突出し
た上流側は、シリンダケース30の側壁に向かって反り
上がった湾曲部72が設けられ、各第1突出部66,6
8,70の下流側面は連通路48,50,52よりシリ
ンダケース30の側壁に向けて延設されるように延びて
いる。この第1突出部66,68,70と対向する上記
一方の冷却水通路46の下流側の開口部53に、シリン
ダケース30の側壁に且つ上記の上流から下流に向かっ
て傾斜する傾斜部74を有している。
【0027】本実施形態は上記のように構成されている
ので、上記の一対の冷却水通路44,46を通じて、例
えばラジエータ34で冷却された該冷却水が、シリンダ
ケース30の前方から後方に向けて、同一方向に流す
と、例えば該冷却水は、図1に示すように各冷却水通路
44,46内を上流から下流に向かって各シリンダライ
ナ36,38,40,42の支持部35の側部等を冷却
しながらシリンダケース30の内壁とシリンダライナ3
6,38,40,42の間を上流から下流に向かって流
れる該冷却水流群のような(本実施形態では層状流と称
す)層状流78となって矢印のように流れる。
【0028】又、この冷却水の一部はシリンダライナ支
持部35の側壁に沿って上記のように上流から下流に向
かって矢印82のように流れ、更に第1突出部66,6
8,70に於いて湾曲部72に沿って加速される共に流
れ方向を変え、シリンダケース30の側壁方向に且つ該
冷却水の下流方向に流れ上記の層状流78に合流して流
れる。
【0029】一方、上記の冷却水通路44を流れている
該冷却水の一部は、冷却水通路46のように層状流78
となって矢印のように流れ、又一部の該冷却水は矢印8
4のように第2の突出部56,58,60により案内さ
れ連通路48,50,52内へ導入される。上記のよう
に、冷却水通路46を流れる該冷却水の一部は、矢印8
2に示したように流れ、第1突出部66,68,70の
湾曲部72により加速されシリンダケース30の側壁方
向に上流から下流に向かって流れ、且つ上記の下流に向
かって流れている上記層状流78と合流して円滑に流れ
るので、連通路48,50,52内の該冷却水は上記加
速された冷却水により誘導され吸い出される。
【0030】従って、開口部54から連通路48,5
0,52へ導入された該冷却水は、一方の開口部53か
らの傾斜部74により上記シリンダケース30の側壁方
向に且つ上記下流方向に向かって、上記のように誘導さ
れ吸い出され層状流78に合流して円滑に排出される。
この排出作用により連通路48,50,52内を該冷却
水が円滑に流通し、その結果、この連通路48,50,
52により該冷却効果を大幅に向上せしめることができ
る。
【0031】又、上記実施形態の連通路48,50,5
2の形成は、該連通路48,50,52の形成品を鋳込
まないシリンダケースの鋳造と一体に形成するようにし
たので、該形成品の鋳込作業が不必要となり、又連通路
48,50,52が一体に形成されているため、該冷却
効果を向上させることができる。又、上記の連通路4
8,50,52をシリンダケース30とは別体の形成部
品として鋳込んで形成する場合であっても、上記鋳込作
業の工数が増大してしまうが、連通路48,50,52
に設けられる第1突出部66,68,70による上記実
施形態と同様の作用効果が奏せられる。
【0032】又、上記第1突出部66,68,70の連
通路48,50,52の下流側側面は、図3に二点鎖線
で示したように上記開口部53付近より冷却水通路46
の上流から下流へ流れる層状流78に向かうように形成
された傾斜面73を設ければ、第1突出部66,68,
70の湾曲部72と傾斜面73とにより、該連通路4
8,50,52の冷却水を効果的に誘導し、冷却水通路
46に流れている層状流78に合流せしめて、円滑な流
れを形成し冷却効果を向上せしめることができる。
【0033】又、上記実施形態は図1に実線で示したよ
うに、ラジエータ34からシリンダライナ36の中央に
向けて該冷却水を導入したが、図1に二点鎖線で示した
ように、例えば冷却水通路44側に該冷却水入口をオフ
セットするように設ければ、冷却水通路46より冷却水
通路44の方が該冷却水の流量が増大するので、上記連
通路を介しての冷却水通路44から冷却水通路46への
該冷却水の流れを増大せしめ、上記冷却効果を向上せし
めることができる。
【0034】又、図2に二点鎖線で示したように、連通
路48,50,52をシリンダケース30の下方から上
方に向けて流れるように傾斜させて形成すれば、該冷却
水の温度上昇に伴い連通路48,50,52内の流量抵
抗が減少し、該冷却水を円滑に流すことができるので、
上記冷却効果を向上せしめることができる。更に、図1
の変形例を図4の概略横断面図を用いて説明する。
【0035】上記実施形態と実質的に同一部位には同一
符号を付すと共に、上記実施形態と相違する点について
説明する。図4に示すように、上記一方の冷却水通路4
6に連通路する上記の連通路48,52の開口部53の
上流側に設けられた上記シリンダケース30の側壁に向
けて反り上がった湾曲72の形状の第1突出部66,7
0および上記他方の冷却水通路44の開口部54の下流
側に上記シリンダケース30の側壁に向けて延設された
第2突出部56.60を有する連通路48,52と、第
1突出部68が上記の他方の冷却水通路44に連通する
開口部54の上流側に設けられると共に上記第2突出部
58が上記の一方の冷却水通路46の開口部53の下流
側に設けられた連通路50とを具備したものある。
【0036】上記前者の連通路48,52は該冷却水を
上記の他方の冷却水通路44から一方の冷却水通路46
に誘導せしめ、上記後者の連通路50は該冷却水を上記
の一方の冷却水通路46から他方の冷却水通路44に誘
導せしめるため、該冷却水の一部が上記両連通路を介し
て上記シリンダライナ36,38,40,42ごとに該
冷却水が、上記一方の冷却水通路46と他方の冷却水通
路44を交互にバランスよく流れて循環せしめ、該エン
ジンの冷却効果を向上せしめることができる。
【0037】又、複数のシリンダを有するエンジンの場
合には、各シリンダ間に上記二つの連通路を交互に配設
すれば、上記と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明のエンジン冷却構造によれば、シリンダケース内に
おいて縦列配置された複数のシリンダライナの両側方に
冷却水をそれぞれ同一方向に流すための一対の冷却水通
路が設けられると共に、上記シリンダライナの相互間に
上記一対の冷却水通路を連通する連通路が設けられたシ
リンダ冷却構造において、上記一対のいずれか一方の冷
却水通路に連通する上記の連通路の開口部の上流側に、
上記シリンダケース側壁に向けて反り上がった湾曲状の
第1突出部を設けたので、上記のように該冷却水通路の
冷却水の一部は矢印に示したように流れ、上記の第1突
出部の湾曲部によりシリンダケースの側壁方向に、且つ
上流から下流に向かって流れている冷却水と合流して円
滑に流れているため、上記の第2突出部の開口部から導
入された冷却水は該開口部から上記シリンダケースの側
壁方向に且つ上記下流方向に向かって吸い出され、或い
は誘導されて、円滑に流れる。
【0039】この排出作用により上記の連通路内を冷却
水が円滑に流通し、その結果この連通路により該冷却効
果を大幅に向上せしめることができる。請求項2記載の
本発明のエンジン冷却構造によれば、請求項1記載の構
成において、上記第1突出部と対向する上記一方の冷却
水通路の下流側の該開口部に上流から下流に向かい上記
シリンダケース側壁に向けて傾斜する傾斜部を設けたの
で、該連通路の冷却水は上記の第1突出部の湾曲部と傾
斜部とにより、効果的に誘導され上記一方の冷却水通路
の上流から下流へ流れている層状流と合流して円滑に流
れ冷却効果を向上せしめることができる。
【0040】請求項3記載の本発明のエンジン冷却構造
によれば、請求項1又は2記載の構成において、上記他
方の冷却水通路に連通する上記連通路の開口部の上流側
に上流から下流に向かい該下流側の上記シリンダライナ
に向けて傾斜する傾斜部を設け、該傾斜部に対向する上
記の他方の冷却水通路の開口部の下流側に上記シリンダ
ケース側壁に向けて設けられ上記他方の冷却水通路の流
れを該連通路に導入せしめる第2突出部を設けたので、
上記他方の冷却水通路から該冷却水を上記連通路に導入
せしめて、上記一方の冷却水通路に円滑に流すことがで
きると共に、その結果この該連通路により該冷却効果を
大幅に向上せしめることができる。
【0041】又、上記請求項1〜3のいずれか1項に記
載の発明において、上記第1突出部の該連通路の下流側
側面は上記開口部付近より上記一方の冷却水通路の上流
から下流へ流れる層状流に向かうように形成された傾斜
面を備えている場合には、該連通路の該冷却水は上記の
第1突出部の湾曲部と傾斜面との協働により、効果的に
誘導され上記一方の冷却水通路の上流から下流へ流れて
いる該冷却水と合流して、円滑に流れ冷却効果を向上せ
しめることができる(態様1)
【0042】又、上記請求項3記載発明において、上
記一方の冷却水通路に連通する上記の連通路の開口部の
上流側に設けられた上記シリンダケース側壁に向けて反
り上がった湾曲状の第1突出部および上記他方の冷却水
通路の開口部の下流側に上記シリンダケース側壁に向け
て延設された第2突出部を有する連通路と、上記第1突
出部が上記の他方の冷却水通路に連通する開口部の上流
側に設けられると共に上記第2突出部が上記の一方の冷
却水通路の開口部の下流側に設けられた連通路とを具備
し、複数のシリンダを有する上記エンジンの各シリンダ
間に上記二つの連通路を交互に配設した場合には、上記
前者の連通路は該冷却水を上記の他方の冷却水通路から
一方の冷却水通路に誘導せしめ、上記後者の連通路は該
冷却水を上記の一方の冷却水通路から他方の冷却水通路
に誘導せしめるため、該冷却水の一部が上記両連通路を
介して上記シリンダごとに該冷却水が、上記一方の冷却
水通路と他方の冷却水通路を交互にバランスよく流れて
循環せしめ、該エンジンの冷却効果を向上せしめること
ができる(態様2)
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す概略横断面図である。
【図2】図1の2A−2A線に沿う拡大断面を示す縦断
面図である。
【図3】図1のM部の拡大図を示す説明図である。
【図4】図1の変形例を示す概略横断面図である。
【図5】従来例のエンジン冷却装置を示す説明図であ
る。
【図6】その他の従来例のエンジン冷却装置を示す説明
図である。
【図7】図6の連通路の成形品の中空部材の斜視図であ
る。
【符号の説明】
22 中空部材(連通路) 30 シリンダケース 34 ラジエータ 35 支持部 36,38,40,42 シリンダライナ 44,46 冷却水通路 48,50,52 連通路(中空部材) 56,58,60 第2突出部 64 傾斜部 66,68,70 第1突出部 72 湾曲部 73 傾斜面 74 傾斜部 78 層状流

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダケース内において縦列配置され
    た複数のシリンダライナの両側方に冷却水をそれぞれ同
    一方向に流すための一対の冷却水通路が設けられると共
    に、上記シリンダライナの相互間に上記一対の冷却水通
    路を連通する連通路が設けられたシリンダ冷却構造にお
    いて、上記一対のいずれか一方の冷却水通路に連通する
    上記の連通路の開口部の上流側に、上記シリンダケース
    側壁に向けて反り上がった湾曲状の第1突出部を設けた
    ことを特徴とする、エンジン冷却構造。
  2. 【請求項2】上記第1突出部と対向する上記一方の冷却
    水通路の下流側の該開口部に上流から下流に向かい上記
    シリンダケース側壁に向けて傾斜する傾斜部を設けたこ
    とを特徴とする、請求項1記載のエンジン冷却構造。
  3. 【請求項3】 上記他方の冷却水通路に連通する上記連
    通路の開口部の上流側に上流から下流に向かい該下流側
    の上記シリンダライナに向けて傾斜する傾斜部を設け、
    該傾斜部に対向する上記の他方の冷却水通路の開口部の
    下流側に上記シリンダケース側壁に向けて設けられ上記
    他方の冷却水通路の流れを該連通路に導入せしめる第2
    突出部を設けたことを特徴とする、請求項1又は2記載
    のエンジン冷却構造
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