JP3136627B2 - 複合材料用プリフォームの製造方法 - Google Patents

複合材料用プリフォームの製造方法

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  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属基複合材料用プリ
フォームの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム,マグネシウムなどの軽合
金材料に、炭化珪素,窒化珪素,チタン酸カリウムなど
のセラミックスウィスカー又は繊維で成形したプリフォ
ームを用い、溶湯鍛造法によって前記軽合金材料を複合
化して、高温強度,耐熱性を向上させることがおこなわ
れている。
【0003】このような複合材料に用いられるプリフォ
ームは、まず、ウィスカー等を、水または有機溶剤に入
れて攪拌分散しスラリー状とする。次に、このスラリー
をフィルターを低部に備えた容器に入れ、これを吸引濾
過または加圧脱水してプリフォームを作る。次に、この
脱水したプリフォームを更に60〜100℃に加熱して
完全に乾燥させて完成している。なお、このプリフォー
ムはマトリックス合金と複合化する際に生ずる変形を小
さくするため、無機バインダーを添加してプリフォーム
を製作する場合がある。また、プリフォームの体積率
(Vf)を調整するために、予めウィスカーを圧縮処理
する場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のような方法で、
プリフォームを製作する場合、スラリー状としたウィス
カーまたは繊維を容器に収容して吸引濾過または加圧脱
水する工程は、ウィスカーまたは繊維を通過させないよ
うなフィルターが必要なため、非常に時間がかかるとい
う欠点があり、特に体積率を大きくする程、時間がかか
るという問題点がある。また、脱水したプリフォームを
加熱しておこなう乾燥工程は、その大きさや体積率によ
って差があるが、数時間から十数時間という長い乾燥時
間が必要であるとともに、プリフォームが収縮、変形
し、好ましい寸法精度がえられないという欠点がある。
さらに吸引濾過または加圧脱水でプリフォームが収縮し
て、濾過面などに付着する場合がある。
【0005】前記のような湿式法による問題点を解決す
べく、水や溶剤を使用せずに乾式による方法が試みられ
ているが、この方法は湿式法に比較して1ヶ当りの成形
時間が短く、量産に適しているが、ウィスカー又は繊維
を加圧成形した時に、スプリングバックによる膨張が発
生するため、成形金型と成形したプリフォームとの間に
寸法差が生じるという問題点がある。
【0006】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、前記問題点を解消してなる金属基に用いる複合材料
用プリフォームの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】前記目的に添い、本発明は、セラミックス
のウィスカーまたは繊維に、粉末状の無機バインダーと
有機材料とを混合して、充分に混合したあと、粉末状の
無機バインダーと有機材料とからなる混合粉を所定形状
に加圧成形してセラミックスのウィスカーまたは繊維の
スプリングバックを前記有機材料で吸収させるととも
に、これを更に加熱炉にて無機バインダーが硬化し、か
つ前記有機材料が消失する温度まで加熱する複合材料用
プリフォームの製造方法とすることによって、前記課題
を解決した。
【0008】以下、本発明について図面を参照しながら
詳細に説明する。まず成形に使用するセラミックスウィ
スカーまたは繊維の材料として、炭化珪素(SiC),
窒化珪素(Si3 4 ),アルミナ(Al2 3 ),酸
化亜鉛(ZnO),チタン酸カリウム(K2 O・nTi
2 ),酸化マグネシウム(MgO),ホウ酸アルミニ
ウム(9Al2 3 ・2B2 3 )等々がある。また、
これらウィスカーまたは繊維を2種類以上混合して使用
してもよい。
【0009】使用する有機材料としては、成形時にセラ
ミックスウィスカーまたは繊維のスプリングバックを吸
収または減少させる機能があり、加熱工程で消失する特
定の有機粒子又は有機繊維がよく、たとえばα−セルロ
ースなどを用いる。
【0010】添加する無機バインダーとしては、加熱に
より硬化する性質をもち、加熱中でも硬化作用が保持さ
れる性質のものであって、複合化された母材と反応しな
い材料が好ましい。たとえば、ケイ酸塩(ケイ酸ナトリ
ウム,ケイ酸カリウム,ケイ酸リチウム),アルミン酸
塩(アルミン酸ナトリウム,アルミン酸カリウム,アル
ミン酸カルシウム),リン酸塩(リン酸ナトリウム,リ
ン酸カリウム,リン酸カルシウム,リン酸マグネシウ
ム,リン酸アルミニウム),ホウ酸塩(ホウ酸ナトリウ
ム)等々があり、これらはセラミックスの材質、複合化
される母材の成分によって適切なものを選択する。
【0011】前記セラミックスのウィスカーまたは繊維
に対し、0.1〜10wt%の前記無機バインダーを添
加する。ここで無機バインダーの添加量が0.1wt%
未満の場合は、プリフォーム強度が不足し、取扱い性が
悪い。さらに母材と複合化した時に変形が発生する。ま
た10wt%を越えると、母材と複合化した時に、材料
強度の低下を招くおそれがある。また、この無機バイン
ダーは100μm以下の微細なものであって、使用する
前記ウィスカー又は繊維径よりも小さい方が好ましい。
【0012】また、成形時の圧縮応力の緩衝作用をする
前記有機材料はセラミックスのウィスカーまたは繊維に
対し、0.1〜50wt%を添加する。0.1%未満で
は効果がなく、また50wt%を越えて添加にも、それ
以上の効果が期待できない。この有機材料は前記セラミ
ックス材と形状、寸法等が同等のものが好ましいが、必
ずしもこれに限定されるものではない。
【0013】前記ウィスカー又は繊維と無機バインダー
と、前記有機材料との前記割合の混合粉をまず均一に攪
拌する。この場合、図1に示すように混合装置の容器1
内に前記混合粉2を収容して容器1を回転し、効果的な
攪拌をおこなう。
【0014】次に、均一な攪拌済の混合粉を、図2に示
すように所定の金型内に分取し、10〜1000kgf
/cm2 の圧力で加圧成形する。この加圧力を調整する
ことによってプリフォームの体積率をコントロールする
ことができることは言うまでもない。また、有機材料の
添加率と加圧成形したプリフォーム寸法との間には相関
関係がある。
【0015】次に、成形した前記プリフォームは、加熱
炉に入れ、無機バインダーが硬化する温度まで上昇させ
ると同時に有機材料を消失させてプリフォームを硬化さ
せる。なお、加熱温度は、言うまでないが加熱炉内でセ
ラミックスが反応又は酸化する温度以下であることが必
要である。硬化後は加熱炉から取り外せば、所定のプリ
フォームが得られる。
【0016】以上の製造工程を図3に示す。
【0017】
【実施例】セラミックスウィスカーとして炭化ケイ素
(SiC)300gと、無機バインダー3g(セラミッ
クスに対し1wt%)と、有機材料としてα−セルロー
ス繊維30gとを添加混合し、前記混合装置で30分
間、均一攪拌をおこない混合粉とした。
【0018】次に、この混合粉を20g採取し、これを
直径60mmの円筒状の金型に入れ、100kgf/c
2 の圧力を10秒間保持して成形した。成形されたプ
リフォームの外径は60.7mmであった。なお、α−
セルロースの添加率とプリフォームの膨張率との関係を
図4に示す。
【0019】次にこのプリフォームを720±10℃の
電気炉に入れ、30分間保持した。この結果、プリフォ
ームに含まれているα−セルロースは消失し、無機バイ
ンダーは硬化し、所定のプリフォームが得られた。
【0020】
【発明の効果】以上のように、本発明の方法によれば、
脱水工程、乾燥工程を省略して成形時間の短縮化を実現
した乾式の成形方法において、この成形方法の条件を変
えることなくプリフォームの寸法精度を向上させること
ができる。したがって精度がよく量産に適した方法が提
供できる。また、有機材料の添加量によって、成形した
プリフォームの体積率を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る方法の工程の一部を説明する図で
ある。
【図2】本発明に係る方法の次の工程の一部を説明する
図である。
【図3】本発明に係る製造工程の順序を示す説明図であ
る。
【図4】本発明において、α−セルロースの添加率とプ
リフォームの膨張率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 混合用の容器 2 混合粉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 47/00 - 49/14 C04B 38/00 303

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスのウィスカーまたは繊維
    に、粉末状の無機バインダーと有機材料とを混合して、
    充分に混合したあと、粉末状の無機バインダーと有機材
    料とからなる混合粉を所定形状に加圧成形してセラミッ
    クスのウィスカーまたは繊維のスプリングバックを前記
    有機材料で吸収させるとともに、これを更に加熱炉にて
    無機バインダーが硬化し、かつ前記有機材料が消失する
    温度まで加熱することを特徴とする複合材料用プリフォ
    ームの製造方法。
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