JP3135064B2 - 固体放電素子 - Google Patents
固体放電素子Info
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- JP3135064B2 JP3135064B2 JP02238753A JP23875390A JP3135064B2 JP 3135064 B2 JP3135064 B2 JP 3135064B2 JP 02238753 A JP02238753 A JP 02238753A JP 23875390 A JP23875390 A JP 23875390A JP 3135064 B2 JP3135064 B2 JP 3135064B2
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- discharge
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- Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)
- Elimination Of Static Electricity (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電子写真複写機、プリンターの感光体など
を帯電、除電させるコロナ放電装置に用いられる固体放
電素子に関する。
を帯電、除電させるコロナ放電装置に用いられる固体放
電素子に関する。
従来、交流やパルス的な電圧で誘電体の表層上の空間
にイオンや電子を発生させ、それを直流電界で被帯電面
に移動させる機能をもたせた固体放電素子が提案されて
いる(たとえば特開昭59−44782号公報)。
にイオンや電子を発生させ、それを直流電界で被帯電面
に移動させる機能をもたせた固体放電素子が提案されて
いる(たとえば特開昭59−44782号公報)。
この固体放電素子の構造は誘電体の表面や内部に電極
を設け、これに高電圧を印加するものである。この固体
放電素子に使用する誘電体材料としては機械的、電気
的、化学的、熱的に丈夫なセラミック材料、例えば高純
度アルミナ磁器が用いられている。これを生地のまま使
用するか、表面に別の材料、例えば合成樹脂などを付着
させて使用している。
を設け、これに高電圧を印加するものである。この固体
放電素子に使用する誘電体材料としては機械的、電気
的、化学的、熱的に丈夫なセラミック材料、例えば高純
度アルミナ磁器が用いられている。これを生地のまま使
用するか、表面に別の材料、例えば合成樹脂などを付着
させて使用している。
電極材料としては誘電体となじみが良く、熱膨張係数
の近いものを用いている。高純度アルミナ磁器のときは
タングステンが主として用いられている。
の近いものを用いている。高純度アルミナ磁器のときは
タングステンが主として用いられている。
前述の従来技術のように電極材料としてタングステン
等の金属を用いた場合、コロナ放電を継続して行なう
と、電極のエッジ部分が放電の影響でしだいに変形し
て、結果として放電が不均一になることがわかった。こ
れはコロナ放電により電極表面がイオン衝撃や電子衝撃
を受けるためと思われる。
等の金属を用いた場合、コロナ放電を継続して行なう
と、電極のエッジ部分が放電の影響でしだいに変形し
て、結果として放電が不均一になることがわかった。こ
れはコロナ放電により電極表面がイオン衝撃や電子衝撃
を受けるためと思われる。
本発明は、これらの問題点を解決し、継続使用しても
安定に放電するコロナ放電用固体放電素子を提供するこ
とを目的とする。
安定に放電するコロナ放電用固体放電素子を提供するこ
とを目的とする。
本発明者らは、前記固体放電素子の問題点を解決すべ
く鋭意研究を重ねた結果、電極表面に保護層としてプラ
ズマ状態にある炭化水素から得られる、成膜された硬質
炭素膜、あるいは金属原子と炭化水素ガスを励起させ、
プラズマ領域を発生させることにより得られる、堆積さ
れた炭化物層あるいはこれらを積層したものを設けるこ
とが特に効果的であることを見出した。さらに上記硬質
炭素膜、炭化物層の成膜方法に関して、固体放電素子の
構成要素自体を利用する独自の方法をも開発した。
く鋭意研究を重ねた結果、電極表面に保護層としてプラ
ズマ状態にある炭化水素から得られる、成膜された硬質
炭素膜、あるいは金属原子と炭化水素ガスを励起させ、
プラズマ領域を発生させることにより得られる、堆積さ
れた炭化物層あるいはこれらを積層したものを設けるこ
とが特に効果的であることを見出した。さらに上記硬質
炭素膜、炭化物層の成膜方法に関して、固体放電素子の
構成要素自体を利用する独自の方法をも開発した。
以下、添付図面にそって本発明の説明をおこなう。
第1図は本発明の固体放電素子の一構成例を示したも
ので、誘電体基板1内に第1電極(励起電極)2を設
け、誘電体基板1上に第2電極(放電電極)3を設けて
いる。さらに第2電極3の表面あるいはその近傍に保護
膜としての硬質炭素膜4あるいは炭化物層5を被覆して
ある。第1図(a)が第2電極3の表面に保護層を設け
た場合、第1図(b)が第2電極3の表面及びその近傍
に保護層を設けた場合である。
ので、誘電体基板1内に第1電極(励起電極)2を設
け、誘電体基板1上に第2電極(放電電極)3を設けて
いる。さらに第2電極3の表面あるいはその近傍に保護
膜としての硬質炭素膜4あるいは炭化物層5を被覆して
ある。第1図(a)が第2電極3の表面に保護層を設け
た場合、第1図(b)が第2電極3の表面及びその近傍
に保護層を設けた場合である。
誘電体基板1としては、種々のファインセラミック材
料、たとえばアルミナ、ジルコニアなど機械的、電気
的、化学的、熱的に安定な材料を使用するが、特にこれ
らに限られるものではない。
料、たとえばアルミナ、ジルコニアなど機械的、電気
的、化学的、熱的に安定な材料を使用するが、特にこれ
らに限られるものではない。
第1電極2、第2電極3の金属材料としては、誘電体
基板1となじみ良く、熱膨張係数の近いものが好まし
く、具体的にはタングステン、タンタル、ニッケル、金
などであるが、特にこれらに限定されるものではない。
基板1となじみ良く、熱膨張係数の近いものが好まし
く、具体的にはタングステン、タンタル、ニッケル、金
などであるが、特にこれらに限定されるものではない。
次に本発明の硬質炭素膜4について詳しく説明する。
硬質炭素膜4を形成するためには有機化合物ガス、特
に炭化水素ガスが用いられる。これら原料における相状
態は常温常圧において必ずしも気相である必要はなく、
加熱あるいは減圧等により溶融、蒸発、昇華等を経て気
化し得るものであれば、液相でも固相でも使用可能であ
る。
に炭化水素ガスが用いられる。これら原料における相状
態は常温常圧において必ずしも気相である必要はなく、
加熱あるいは減圧等により溶融、蒸発、昇華等を経て気
化し得るものであれば、液相でも固相でも使用可能であ
る。
原料ガスとしての炭化水素ガスについては、例えばCH
4、C2H6、C3H8、C4H10等のパラフィン系炭化水素、C2H4
等のアセチレン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、ア
セチレン系炭化水素、ジオレフィン系炭化水素、さらに
は芳香族炭化水素などすべての炭化水素を少なくとも含
むガスが使用可能である。
4、C2H6、C3H8、C4H10等のパラフィン系炭化水素、C2H4
等のアセチレン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、ア
セチレン系炭化水素、ジオレフィン系炭化水素、さらに
は芳香族炭化水素などすべての炭化水素を少なくとも含
むガスが使用可能である。
さらに、炭化水素以外でも、例えば、アルコール類、
ケトン類、エーテル類、エステル類、CO、CO2等、少な
くとも炭素元素を含む化合物であれば使用可能である。
ケトン類、エーテル類、エステル類、CO、CO2等、少な
くとも炭素元素を含む化合物であれば使用可能である。
原料ガスからの硬質炭素膜の形成方法としては、成膜
活性種が、直流、低周波、高周波、あるいはマイクロ波
等を用いたプラズマ法により生成されるプラズマ状態を
経て形成される方法が好ましいが、より大面積化、均一
性向上、低温製膜の目的で、低圧下で堆積を行なうた
め、磁界効果を利用する方法がさらに好ましい。また高
温における熱分解によっても活性種を形成できる。その
他にも、イオン化蒸着法、あるいはイオンビーム蒸着法
等により生成されるイオン状態を経て形成されてもよい
し、真空蒸着法、あるいはスパッタリング法等により生
成される中性粒子から形成されてもよいし、さらには、
これらの組み合わせにより形成されてもよい。
活性種が、直流、低周波、高周波、あるいはマイクロ波
等を用いたプラズマ法により生成されるプラズマ状態を
経て形成される方法が好ましいが、より大面積化、均一
性向上、低温製膜の目的で、低圧下で堆積を行なうた
め、磁界効果を利用する方法がさらに好ましい。また高
温における熱分解によっても活性種を形成できる。その
他にも、イオン化蒸着法、あるいはイオンビーム蒸着法
等により生成されるイオン状態を経て形成されてもよい
し、真空蒸着法、あるいはスパッタリング法等により生
成される中性粒子から形成されてもよいし、さらには、
これらの組み合わせにより形成されてもよい。
こうして作製される硬質炭素膜の堆積条件の一例はプ
ラズマCVD法の場合、次の通りである。
ラズマCVD法の場合、次の通りである。
RF出力 :0.1〜50W/cm2 圧 力:10-3〜10Torr 堆積温度:室温〜950℃ このプラズマ状態により原料ガスがラジカルとイオン
とに分解され反応することによって、基板上に炭素原子
Cと水素原子Hとからなるアモルファス(非晶質)及び
微結晶質(結晶の大きさは数10Å〜数μm)の少なくと
も一方を含む硬質炭化膜が堆積する。また、硬質炭化膜
の諸特性を第1表に示す。
とに分解され反応することによって、基板上に炭素原子
Cと水素原子Hとからなるアモルファス(非晶質)及び
微結晶質(結晶の大きさは数10Å〜数μm)の少なくと
も一方を含む硬質炭化膜が堆積する。また、硬質炭化膜
の諸特性を第1表に示す。
こうして形成される硬質炭素膜はラマン分光法及びIR
吸収法による分析の結果、夫々、第2図及び第3図に示
すように炭素原子がSP3の混成軌道とSP2の混成軌道とを
形成した原子間結合が混在していることが明らかになっ
ている。SP3結合とSP2結合の比率は、IRスペクトルをピ
ーク分離することで概ね推定できる。IRスペクトルに
は、2800〜3150cm-1に多くのモードのスペクトルが重な
って測定されるが、夫々の波数に対応するピークの帰属
は明らかになっており、第4図の如くガウス分布によっ
てピーク分離を行ない、夫々のピーク面積を算出し、そ
の比率を求めればSP2/SP3比を知ることができる。この
方法による分析結果から、硬質炭素膜はその成膜条件に
より、SP3rith(すなわちSP2poor)な膜からSP2rich
(すなわちSP3poor)な膜まで作製可能であることが判
った。
吸収法による分析の結果、夫々、第2図及び第3図に示
すように炭素原子がSP3の混成軌道とSP2の混成軌道とを
形成した原子間結合が混在していることが明らかになっ
ている。SP3結合とSP2結合の比率は、IRスペクトルをピ
ーク分離することで概ね推定できる。IRスペクトルに
は、2800〜3150cm-1に多くのモードのスペクトルが重な
って測定されるが、夫々の波数に対応するピークの帰属
は明らかになっており、第4図の如くガウス分布によっ
てピーク分離を行ない、夫々のピーク面積を算出し、そ
の比率を求めればSP2/SP3比を知ることができる。この
方法による分析結果から、硬質炭素膜はその成膜条件に
より、SP3rith(すなわちSP2poor)な膜からSP2rich
(すなわちSP3poor)な膜まで作製可能であることが判
った。
また、X線及び電子線回折分析によればアモルファス
状態(a−C:H)、及び/又は約50Å〜数μm程度の微
結晶粒を含むアモルファス状態にあることが判ってい
る。
状態(a−C:H)、及び/又は約50Å〜数μm程度の微
結晶粒を含むアモルファス状態にあることが判ってい
る。
一般に量産に適しているプラズマCVD法の場合には、R
F出力が小さいほど膜の比抵抗値および硬度が増加し、
低圧力なほど活性種の寿命が増加するために基板温度の
低温化、大面積での均一化が図れ、かつ比抵抗、硬度が
増加する傾向にある。更に、低圧力ではプラズマ密度が
減少するため、磁場綴じ込め効果を利用する方法は、比
抵抗の増加には特に効果的である。
F出力が小さいほど膜の比抵抗値および硬度が増加し、
低圧力なほど活性種の寿命が増加するために基板温度の
低温化、大面積での均一化が図れ、かつ比抵抗、硬度が
増加する傾向にある。更に、低圧力ではプラズマ密度が
減少するため、磁場綴じ込め効果を利用する方法は、比
抵抗の増加には特に効果的である。
以上は通常用いられている平行平板型プラズマCVD装
置(法)で第1図の第2電極(3)の表面あるいはその
近傍に、硬質炭素膜4を形成する方法について述べたも
のであるが、本発明者らはさらに固体放電素子の構成要
素自体を利用する独自の成膜法をも開発した。以下にこ
れを述べる。
置(法)で第1図の第2電極(3)の表面あるいはその
近傍に、硬質炭素膜4を形成する方法について述べたも
のであるが、本発明者らはさらに固体放電素子の構成要
素自体を利用する独自の成膜法をも開発した。以下にこ
れを述べる。
成膜法(1) 第5図のごとく固体放電素子の基本構造体6(要素1,
2,3から構成されたもの)全体を硬質炭素膜の原料ガス
雰囲気(前記で説明したガス材料、圧力範囲と同じ)に
保持し、第1電極2と第2電極3間に数10〜数10MHz、
具体的には50Hz〜13.56MHz程度の交流電圧を印加し、原
料ガスからなるグロー放電を発生させる。原料ガスは前
述同様ラジカル及びイオンに分解され、第2電極3表面
及びその近傍に硬質炭素膜4が形成される。このような
成膜法をとることでグロー放電領域は第2電極近傍に集
中され、通常の平行平板型プラズマCVD装置を使用した
場合よりも堆積速度が2倍以上になり(プラズマ密度が
あがる。)、さらに堆積領域も第2電極近傍に限定され
る。
2,3から構成されたもの)全体を硬質炭素膜の原料ガス
雰囲気(前記で説明したガス材料、圧力範囲と同じ)に
保持し、第1電極2と第2電極3間に数10〜数10MHz、
具体的には50Hz〜13.56MHz程度の交流電圧を印加し、原
料ガスからなるグロー放電を発生させる。原料ガスは前
述同様ラジカル及びイオンに分解され、第2電極3表面
及びその近傍に硬質炭素膜4が形成される。このような
成膜法をとることでグロー放電領域は第2電極近傍に集
中され、通常の平行平板型プラズマCVD装置を使用した
場合よりも堆積速度が2倍以上になり(プラズマ密度が
あがる。)、さらに堆積領域も第2電極近傍に限定され
る。
成膜法(2) 第6図のごとく第2電極3に電圧を印加し、第2電極
3自体を抵抗加熱(約900℃程度まで)する。原料ガス
の一部は熱分解されうるが、むしろ成膜法(1)と併用
することで、より効果的に硬質炭素膜4を成膜すること
ができる。この場合第2電極3の通電加熱は基板温度を
あたえるために主に利用され、特別な基板加熱用の装置
構成が必要なくなる。
3自体を抵抗加熱(約900℃程度まで)する。原料ガス
の一部は熱分解されうるが、むしろ成膜法(1)と併用
することで、より効果的に硬質炭素膜4を成膜すること
ができる。この場合第2電極3の通電加熱は基板温度を
あたえるために主に利用され、特別な基板加熱用の装置
構成が必要なくなる。
次に、本発明の炭化物層5について説明する。一般に
周期表IV,V,VI及び鉄族の炭化物は安定で、高融点、高
硬度の特性をもっている。特にTaC、WC、W2C等は優れて
おり(各々の融点は3877℃、2865℃)、また、耐酸化性
も耐熱金属より優れている。本発明の固体放電素子の第
2電極材料を炭化反応させるか、炭化物を表面に堆積さ
せれば上記炭化物層を形成できる。具体的には、真空中
で蒸発金属原子を供給する手段と、該金属原子とガス分
子(特に炭化水素ガス)を励起させるプラズマ領域を発
生させる手段を設け、基板上に炭化物層として堆積させ
る。さらに具体的には活性化反応性蒸着法、高周波イオ
ンプレーティング法などで形成することができる。圧力
は概ね、10-2〜10-4Torrであり、反応ガスはC2H4、CH4
等を使用する。この場合にも、プラズマ領域発生手段と
して、硬質炭化膜の形成時に使用した成膜法(1)を、
また、基板加熱及びガスの加熱手段として成膜法(2)
を用いることは成膜装置を簡略化する上で有効である。
周期表IV,V,VI及び鉄族の炭化物は安定で、高融点、高
硬度の特性をもっている。特にTaC、WC、W2C等は優れて
おり(各々の融点は3877℃、2865℃)、また、耐酸化性
も耐熱金属より優れている。本発明の固体放電素子の第
2電極材料を炭化反応させるか、炭化物を表面に堆積さ
せれば上記炭化物層を形成できる。具体的には、真空中
で蒸発金属原子を供給する手段と、該金属原子とガス分
子(特に炭化水素ガス)を励起させるプラズマ領域を発
生させる手段を設け、基板上に炭化物層として堆積させ
る。さらに具体的には活性化反応性蒸着法、高周波イオ
ンプレーティング法などで形成することができる。圧力
は概ね、10-2〜10-4Torrであり、反応ガスはC2H4、CH4
等を使用する。この場合にも、プラズマ領域発生手段と
して、硬質炭化膜の形成時に使用した成膜法(1)を、
また、基板加熱及びガスの加熱手段として成膜法(2)
を用いることは成膜装置を簡略化する上で有効である。
上記では第2電極3の表面あるいはその近傍に保護膜
として硬質炭素膜4、あるいは炭化物層5を設けたが、
本発明によれば第7図に示すように保護層として硬質炭
素膜4と炭化物層5とを積層したものを用いてもよい。
この場合、連続使用時の放電均一性の向上に加えて、耐
クラック性、耐剥離性、耐酸化性の著しい向上が期待で
きる。
として硬質炭素膜4、あるいは炭化物層5を設けたが、
本発明によれば第7図に示すように保護層として硬質炭
素膜4と炭化物層5とを積層したものを用いてもよい。
この場合、連続使用時の放電均一性の向上に加えて、耐
クラック性、耐剥離性、耐酸化性の著しい向上が期待で
きる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明す
る。
る。
誘電体基板1の材料として高純度アルミナ(90%以
上)を用い、第1電極2の材料としてタングステンとア
ルミナの混合物を用いて同時焼結することで、先ず固体
放電素子の基本構造体6を作製した(第5図)。先に第
2電極3としてタングステンをスクリーン印刷法及びそ
の後の焼成によって形成した。さらに第2電極表面及び
その近傍にRFプラズマCVD法によって硬質炭素膜4に堆
積させた。このときの成膜条件を以下に示す。
上)を用い、第1電極2の材料としてタングステンとア
ルミナの混合物を用いて同時焼結することで、先ず固体
放電素子の基本構造体6を作製した(第5図)。先に第
2電極3としてタングステンをスクリーン印刷法及びそ
の後の焼成によって形成した。さらに第2電極表面及び
その近傍にRFプラズマCVD法によって硬質炭素膜4に堆
積させた。このときの成膜条件を以下に示す。
RF出力 :2W/cm2 圧 力:0.05Torr 基板温度:850℃(成膜法(2)を併用) CH4/H2 :1.5vol% こうして作成した固体放電素子を第8図に示す装置系
で連続放電テストした。第8図中、7は被帯電体、8は
交流電源で、本テストでは3kHz、5〜7kVで駆動した。
9は直流バイアス電流であり、2kV印加した。この条件
でテストを行ったところ、第2電極3のエッジ部にコロ
ナ放電の発光が観察された。比較のために硬質炭素膜4
のない固体放電素子も作成し、両者を継続して放電さ
せ、その発光の様子から放電均一性を評価した。その結
果、硬質炭素膜4のないサンプルでは300時間経過後ぐ
らいから放電の不均一が見られはじめた。一方、硬質炭
素膜4を設けたサンプルでは600時間経過後も均一な放
電が維持されることが確認された。ただし、放電開始電
圧は硬質炭素膜4のないサンプル(従来型)が4.5kVで
あるのに対し、硬質炭素膜4を設けたサンプル(本実施
例)では5.2kVと若干高くなっていた。300時間経過後の
各サンプルの第2電極3のエッジ部分を光学顕微鏡で観
察したところ、硬質炭素膜4のないサンプルではエッジ
部の変形が著しかった。一方、硬質炭素膜4を設けたサ
ンプルではエッジ部変形が比較的小さくなっていた。
で連続放電テストした。第8図中、7は被帯電体、8は
交流電源で、本テストでは3kHz、5〜7kVで駆動した。
9は直流バイアス電流であり、2kV印加した。この条件
でテストを行ったところ、第2電極3のエッジ部にコロ
ナ放電の発光が観察された。比較のために硬質炭素膜4
のない固体放電素子も作成し、両者を継続して放電さ
せ、その発光の様子から放電均一性を評価した。その結
果、硬質炭素膜4のないサンプルでは300時間経過後ぐ
らいから放電の不均一が見られはじめた。一方、硬質炭
素膜4を設けたサンプルでは600時間経過後も均一な放
電が維持されることが確認された。ただし、放電開始電
圧は硬質炭素膜4のないサンプル(従来型)が4.5kVで
あるのに対し、硬質炭素膜4を設けたサンプル(本実施
例)では5.2kVと若干高くなっていた。300時間経過後の
各サンプルの第2電極3のエッジ部分を光学顕微鏡で観
察したところ、硬質炭素膜4のないサンプルではエッジ
部の変形が著しかった。一方、硬質炭素膜4を設けたサ
ンプルではエッジ部変形が比較的小さくなっていた。
また、硬質炭素膜4と第2電極材料との密着力及び熱
膨張率差を緩和させるために第2電極2の表面に先ず炭
化物層5を形成し、次に硬質炭素膜4を形成して積層構
造の保護膜を設けた固体放電素子(第8図)を作成した
ところ、連続使用時の安定性のみならず耐クラック性、
耐剥離性、耐酸化性の面でも著しい効果を示した。
膨張率差を緩和させるために第2電極2の表面に先ず炭
化物層5を形成し、次に硬質炭素膜4を形成して積層構
造の保護膜を設けた固体放電素子(第8図)を作成した
ところ、連続使用時の安定性のみならず耐クラック性、
耐剥離性、耐酸化性の面でも著しい効果を示した。
実施例2 実施例1と同様の構成で第2電極3の保護膜として炭
化物層5を用いたサンプルを作製し、上記と同様、連続
放電テストを行なった。その結果、炭化物層5を設けた
サンプルでは600時間経過後も均一な放電が維持される
ことが確認された。なお、このサンプルでは放電開始電
圧は5.5kVであった。
化物層5を用いたサンプルを作製し、上記と同様、連続
放電テストを行なった。その結果、炭化物層5を設けた
サンプルでは600時間経過後も均一な放電が維持される
ことが確認された。なお、このサンプルでは放電開始電
圧は5.5kVであった。
実施例3 第7図に示した構成と同様に第2電極3の保護膜とし
て炭化物層5と硬質炭素膜4の積層材料を用いたサンプ
ルを作製し、上記と同様に連続放電テストを行なった。
その結果、700時間後も均一な放電が維持されることが
確認された。放電開始電圧は約5.6kVであった。
て炭化物層5と硬質炭素膜4の積層材料を用いたサンプ
ルを作製し、上記と同様に連続放電テストを行なった。
その結果、700時間後も均一な放電が維持されることが
確認された。放電開始電圧は約5.6kVであった。
以上説明したように、本発明の固体放電素子によれ
ば、保護膜として硬質炭素膜あるいは炭化物層あるいは
これらを積層したものを設けたので、放電電極がコロナ
放電によるダメージから保護され、コロナ放電による継
続使用においても安定した均一な放電の維持が可能とな
る。
ば、保護膜として硬質炭素膜あるいは炭化物層あるいは
これらを積層したものを設けたので、放電電極がコロナ
放電によるダメージから保護され、コロナ放電による継
続使用においても安定した均一な放電の維持が可能とな
る。
また、特に保護膜として硬質炭素膜と炭化物層を積層
したものを設けた場合には、上記の効果に加えて、耐ク
ラック性、耐剥離性、耐酸化性が著しく向上する利点が
ある。
したものを設けた場合には、上記の効果に加えて、耐ク
ラック性、耐剥離性、耐酸化性が著しく向上する利点が
ある。
第1図(a)及び(b)は本発明による固体放電素子の
構成例を示す断面図、第2図ないし第4図は硬質炭素膜
の特性を説明するための図、第5図及び第6図は硬質炭
素膜の成膜法を説明するための図、第7図は本発明によ
る固体放電素子の別の構成例を示す断面図、第8図は連
続放電テストのための装置系を示す図である。 1……誘電体基板 2……第1電極(励起電極) 3……第2電極(放電電極) 4……硬質炭素膜 5……炭化物層
構成例を示す断面図、第2図ないし第4図は硬質炭素膜
の特性を説明するための図、第5図及び第6図は硬質炭
素膜の成膜法を説明するための図、第7図は本発明によ
る固体放電素子の別の構成例を示す断面図、第8図は連
続放電テストのための装置系を示す図である。 1……誘電体基板 2……第1電極(励起電極) 3……第2電極(放電電極) 4……硬質炭素膜 5……炭化物層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 裕治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 高橋 正悦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 亀山 健司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 山田 勝幸 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 昭64−33004(JP,A) 特開 昭63−66880(JP,A) 特開 昭63−269169(JP,A) 特開 平1−117240(JP,A) 特開 昭61−98368(JP,A) 特開 昭61−95371(JP,A) 特開 平1−154482(JP,A) 特開 平1−246104(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01T 19/00 - 23/00 G03G 13/02 - 15/02 H05F 1/00 - 3/06
Claims (3)
- 【請求項1】誘電体をはさんで第1電極と第2電極を、
少なくとも一方の電極の一部が空気にさらされるように
設け、電極間でコロナ放電を行わせる固体放電素子にお
いて、空気にさらされる側の電極表面あるいは該電極と
その近傍が、プラズマ状態にある炭化水素から得られ
る、成膜された硬質炭素膜で被覆されていることを特徴
とするコロナ放電用固体放電素子。 - 【請求項2】誘電体をはさんで第1電極と第2電極を、
少なくとも一方の電極の一部が空気にさらされるように
設け、電極間でコロナ放電を行わせる固体放電素子にお
いて、空気にさらされる側の電極表面あるいは該電極と
その近傍が、金属原子と炭化水素ガスを励起させ、プラ
ズマ領域を発生させることにより得られる、堆積された
炭化物層で被覆されていることを特徴とするコロナ放電
用固体放電素子。 - 【請求項3】誘電体をはさんで第1電極と第2電極を、
少なくとも一方の電極の一部が空気にさらされるように
設け、電極間でコロナ放電を行わせる固体放電素子にお
いて、空気にさらされる側の電極表面あるいは該電極と
その近傍が、金属原子と炭化水素ガスを励起させ、プラ
ズマ領域を発生させることにより得られる、堆積された
炭化物層と、プラズマ状態にある炭化水素から得られ
る、成膜された硬質炭素膜との積層で被覆されているこ
とを特徴とするコロナ放電用固体放電素子。
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP02238753A JP3135064B2 (ja) | 1990-09-07 | 1990-09-07 | 固体放電素子 |
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-
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- 1990-09-07 JP JP02238753A patent/JP3135064B2/ja not_active Expired - Fee Related
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