JP3133150B2 - クランク軸回転変動による失火検出方法 - Google Patents

クランク軸回転変動による失火検出方法

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JP3133150B2 JP04149430A JP14943092A JP3133150B2 JP 3133150 B2 JP3133150 B2 JP 3133150B2 JP 04149430 A JP04149430 A JP 04149430A JP 14943092 A JP14943092 A JP 14943092A JP 3133150 B2 JP3133150 B2 JP 3133150B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クランク軸回転変動に
よる失火検出方法に関し、特に、失火検出に用いる判別
基準値を統計的処理によって適正に設定して、失火発生
の有無を正確に検出可能にした失火検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の運転中に、燃料噴射装置の故
障等によって気筒内での燃焼が正常に行われない失火状
態が発生すると、内燃機関の排ガス特性等が悪化する。
そこで、従来は、例えば特開平2ー30954号に開示
のように、エンジンの各気筒毎に対応した所定クランク
角毎の周期より回転数相当の情報を演算し、この情報の
変化量又は変化率によりエンジンの失火状態を検出し、
失火が確認された気筒への燃料供給を停止している。こ
の種の失火検出方法は、気筒内で失火が発生したときに
内燃機関のトルク出力の低下に起因してクランク軸の回
転速度(角速度)が低下することに着目したもので、ク
ランク軸の回転速度変化率(角加速度)を繰り返し検出
している間に回転速度変化率が判別基準値を下回って負
になったときに失火発生を判別している。
【0003】又、特開平2ー49955号の記載によれ
ば、内燃機関での燃焼行程に合わせて点火間隔毎に算出
される、内燃機関の回転角速度と基準角速度(判別基準
値)としての1点火前の回転角速度との偏差、すなわち
回転変動に基づいて失火検出を行うと、偶発的な失火が
生じ或は数回転に1回程度の割合で失火が生じる場合
に、失火を正確に検出できないことがある。そこで、特
開平2ー49955号では、基準角速度すなわち判別基
準値を必要に応じて更新するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クラン
ク軸回転変動による失火検出に用いる判別基準値を適正
に設定することは困難で、判別基準値の設定が不適正に
なると誤検出が生じる。特に、クランク軸回転速度が小
さい内燃機関の低速運転中にあっては、失火発生に伴う
回転速度の減少分も小さくなる。即ち、低速運転時に
は、正常燃焼状態と失火状態との間でのクランク軸回転
速度変化率に関するS/N比が低下し、クランク軸回転
速度変化率に基づいて正常燃焼状態と失火状態とを弁別
することが難しくなる。換言すれば、正常燃焼状態での
クランク軸回転速度変化率と失火状態でのそれとを区分
するための判別基準値を適正に設定することがより困難
になる。そして、判別基準値が適正値よりも小さい過小
な値に設定されている場合、例えばエンジン低速運転中
である等の理由から失火発生によるクランク軸回転速度
の減少分が小さいと、実際には失火状態が発生している
ときにも回転速度変化率が判別基準値よりも大きいと判
別されることがある。この場合、失火状態が発生してい
るにもかかわらず、正常燃焼状態であると誤検出され
る。一方、判別基準値が過大であれば、失火状態でない
にもかからわず、失火状態であると誤検出されることが
ある。
【0005】そこで、本発明は、失火検出に用いる判別
基準値を統計的処理によって適正に設定して、失火発生
の有無を正確に検出可能にした失火検出方法を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、クランク軸回転速度の変化率が判別基準値を下回っ
たときに失火状態を検出する失火検出方法において、本
発明は、失火状態及び正常燃焼状態の夫々におけるクラ
ンク軸回転速度変化率の分布を予め求め、前記判別基準
値を、失火状態でのクランク軸回転速度変化率の分布と
正常燃焼状態でのクランク軸回転速度変化率の分布とに
基づいて予め設定し、斯く設定した前記判別基準値に基
づいて失火検出を行うことを特徴とする。
【0007】
【作用】失火検出を伴う内燃機関の実際運転に先だっ
て、失火検出に用いる判別基準値を設定するための実験
が行われる。この実験において、失火状態及び正常燃焼
状態のいずれか一方例えば失火状態で内燃機関を運転し
つつ、クランク軸回転速度変化率を実測する。このた
め、例えば、各気筒に対応するクランク軸回転角度領域
にクランク軸が突入してから離脱するまでの時間間隔を
クランク角センサ等を用いて検出し、相次いで検出した
時間間隔に基づいてクランク軸回転速度変化率をコンピ
ュータ等によって算出し、算出データを記憶装置に記憶
しておく。同様に、内燃運転を正常燃焼状態で運転しつ
つクランク軸回転速度変化率を実測し、変化率算出デー
タを記憶しておく。
【0008】次に、失火状態及び正常燃焼状態の夫々に
ついてのクランク軸回転速度変化率の算出データを統計
処理して各状態での変化率の分布を求め、失火状態での
クランク軸回転速度変化率の分布と正常燃焼状態でのク
ランク軸回転速度変化率の分布とに基づいて、失火検出
のための判別基準値決定する。その後の内燃機関の実
際運転中、クランク軸回転速度の変化率を算出し、この
算出変化率と判別基準値との比較結果に応じて失火状態
を検出する。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例のクランク軸回転変
動による失火検出方法を説明する。本実施例の失火検出
方法を実施するための装置は、例えば、内燃機関として
の6気筒エンジン(図示略)に搭載されるもので、図1
に示すように、コントローラ10,クランク角センサ2
0および気筒判別センサ30を主要要素として備えてい
る。
【0010】図2を参照すると、クランク角センサ20
は、エンジンのクランク軸(図示略)に同期して回転す
るカムシャフト1に一体回転自在に装着された回転部材
21とこの回転部材21に臨んで配された検出部22と
を有し、回転部材21の周縁にはカムシャフト半径方向
に突出する第1,第2及び第3のベーン21a,21b
及び21cが形成され、検出部22によってベーン21
a,21b又は21cの通過を光学的に或は電磁気的に
検出したときにパルス出力を発生するようになってい
る。第1ないし第3のベーン21a,21b及び21c
は、各々が一定角度のクランク軸回転角度に対応する周
方向長さを有し、互いに所定角度間隔をおいて周方向に
離間して配され、従って、相隣るベーンの対応する端同
士間の角度間隔は120度になっている。但し、実際に
は、クランク角センサ20の構成上の誤差、特にベーン
21a,21b及び21cの製造および取付け誤差に起
因して、相隣るベーンの端間の角度間隔は正確には12
0度であるとは限らず、一般には、約1度以下の角度間
隔誤差がある。
【0011】気筒判別センサ30は、カムシャフト1に
これと一体回転自在に装着され、クランク軸が2回転し
てカムシャフト1が1回転する間に、カムシャフト1が
一つの気筒に対応する特定の回転位置をとる毎にパルス
出力を発生するようになっている。コントローラ10
は、失火検出装置の主要要素として機能すると共に通常
の各種エンジン制御を実行するもので、各種制御プログ
ラムを実行するためのプロセッサ11と、制御プログラ
ムを格納したリードオンリメモリ12と、データの一時
記憶等のためのランダムアクセスメモリ13とを有して
いる。プロセッサ11は、入力回路14を介して、クラ
ンク角センサ20,気筒判別センサ30,イグニッショ
ンスイッチ40,吸気量センサ,吸気温センサ,水温セ
ンサ等の各種センサ及びスイッチ(一部図示略)に接続
されると共に、出力回路15を介して、燃料噴射弁50
を含む各種アクチュエータ,警告ランプ60等を駆動す
るための各種駆動回路(要素50,60に対応するもの
のみを参照符号51,61で示す)に接続されている。
【0012】点火動作が気筒番号順に行われる6気筒エ
ンジンに搭載される本実施例の装置は、例えば、第3ベ
ーン21cの端(前端21c’又は後端)が検出部22
を通過したときに、第1気筒グループをなす第1気筒及
び第4気筒のいずれか一方(好ましくは、当該一方の気
筒での主に膨張行程)に対応する第1クランク軸回転角
度領域にクランク軸が突入すると共に、第1ベーン21
aの端が検出部22を通過したときにクランク軸が第1
回転角度領域から離脱するようになっている。同様に、
第1ベーン21aの端の通過時に、第2気筒グループを
構成する第2及び第5気筒のいずれか一方に対応する第
2クランク軸回転角度領域に突入しかつ第2ベーン21
bの端の通過時に同領域から離脱し、更に、第2ベーン
21bの端の通過時に第3気筒グループをなす第3及び
第6気筒の一方に対応する第3クランク軸回転角度領域
への突入が行われると共に第3ベーン21cの端の通過
時に同領域からの離脱が行われるようになっている。な
お、第1気筒と第4気筒との識別,第2気筒と第5気筒
との識別および第3気筒と第6気筒との識別は、気筒判
別センサ30の出力に基づいて行われる。
【0013】失火検出を伴うエンジンの実際運転に先だ
って、失火検出に用いる判別基準値を適正に設定すべ
く、正常燃焼状態及び失火状態の夫々におけるクランク
軸回転速度変化率データを生成するための実験及び統計
処理が順次行われる。この実験において、オペレータ
は、例えば先ず、エンジンが正常燃焼状態で定速運転さ
れていることを確認した後、変化率データ生成処理開始
指令をコントローラ10のキーボード(図示略)を介し
てコントローラ10に入力する。開始指令の入力を判別
すると、プロセッサ11は、図3に示すデータ生成処理
プログラムの実行を開始し、正常燃焼状態でのエンジン
運転であるか或は失火状態でのエンジン運転であるのか
を問う質問メッセージを回答用の選択肢と共にコントロ
ーラ10の表示画面(図示略)上に表示し、オペレータ
操作に待機する。オペレータが正常燃焼状態を示す選択
肢をキーボード操作によって選択すると、プロセッサ1
1は、フラグFを正常燃焼状態を表す値「1」にセット
し(ステップS1)、クランク角センサ20及び気筒判
別センサ30からのパルス出力の入力に待機する。
【0014】フラグFの設定終了後にクランク角センサ
パルス出力が入力されると、プロセッサ11は、このパ
ルス出力が、気筒判別センサ30のパルス出力の入力時
点以降に順次入力したクランク角センサパルス出力のう
ちの何番目のものであるのかを先ず判別する。これによ
り、入力したクランク角センサパルス出力に対応する気
筒が何番目の気筒であるのかが識別される(ステップS
2)。好ましくは、主に膨張行程(出力行程)を現時点
で実行中の気筒が識別気筒として識別される。
【0015】なお、プロセッサ11は、クランク角セン
サ20のパルス出力の入力に応じて、識別気筒グループ
m(mは1,2又は3)に対応するクランク軸回転角度
領域への突入を判別すると、周期計測用タイマ(図示
略)をリスタートさせる。識別気筒グループmは、ステ
ップS2で識別した気筒を含む。クランク角センサ20
から次のパルス出力を入力すると、プロセッサ11は、
識別気筒グループmに対応するクランク軸回転角度領域
からの離脱を判別し、周期計測用タイマの計時動作を停
止させて計時結果を読み取る(ステップS3)。この計
時結果は、識別気筒グループmに対応するクランク軸回
転角度領域への突入時点から当該領域からの離脱時点ま
での時間間隔Tm(n)、すなわち、識別気筒グループに対
応する2つの所定クランク角によって定まる周期Tm(n)
を表している。ここで、周期Tm(n)での添え字nは、当
該周期が識別気筒におけるn回目(今回)の点火動作に
対応することを表す。又、周期Tm(n)は、6気筒エンジ
ンでは識別気筒グループの120度クランク角間周期に
なり、より一般的には、N気筒エンジンでの(720/
N)度クランク角間周期になる。
【0016】そして、プロセッサ11は、ベーン製造,
取付け上のベーン角度間隔のばらつきによる周期測定誤
差を除去すべく、識別気筒グループmに関連する補正係
数KLm(n)を、式KLm(n)=a・KLm(n-1)+(1−a)
・KLmに従って算出する(ステップS4)。ここで、記
号aは、メモリ12に予め格納しておいたフィルタ定数
で、0以上でかつ1以下の値をとる。記号KLm(n-1)
は、先の検出サイクルで算出されメモリ13に格納して
おいた識別気筒グループmに関連する補正係数を表し、
KLmは、式KLm=Tm(n)÷(T(n)/3)に従って算出
される値を表す。ここで、記号Tm(n)は、上述したよう
に、識別気筒グループmの今回検出した120度クラン
ク角間周期を表す。又、記号T(n)は、先の2つの検出
サイクル及び今回の検出サイクルで相次いで計測した第
1ないし第3気筒グループの120度クランク角間周期
の和すなわち360度クランク角間周期(T(n)=T1
(n)+T2(n)+T3(n))を表す。エンジン回転数が一定
であれば、この360度クランク角間周期を値3で除し
た値T(n)/3は、ベーン角度間隔に誤差がない場合で
の正確な120度クランク角間周期に等しい。従って、
算出値KLmは、正確な120度クランク角間周期と識別
気筒グループmの120度クランク角間周期との比を示
す。
【0017】更に、プロセッサ11は、今回の検出サイ
クルのステップS3で計測した120度クランク間周期
Tn(=Tm(n))から当該周期におけるクランク軸の平
均角速度ωn(=120度/Tn)すなわち回転速度を算
出すると共に、先の検出サイクルで計測してメモリ13
に格納しておいた平均角速度ωn-1を読み出す。次に、
プロセッサ11は、計測値Tn,Tn-1及び算出値ωn,
ωn-1とステップ3で算出した補正係数KLm(n)とを用い
て、今回の検出サイクルの120度クランク間周期にお
けるクランク軸の平均角加速度Dωすなわち回転速度変
化率を、式Dω=KLm(n)・(ωn−ωn-1)÷{(1/
2)・(Tn+Tn-1)}に従って算出する(ステップS
5)。ここで、記号Dは微分演算子記号で、d/dtを
表す。この様にして、補正係数KLm(n)を用いて補正し
た計測周期に基づいてクランク軸角加速度が求められる
ことになる。
【0018】次に、プロセッサ11は、フラグFが値
「1」であるか否かを判別する(ステップS6)。ここ
では、F=1であるので、ステップS5で算出した平均
角加速度Dωはメモリ13の第1メモリ領域(図示略)
に格納される(ステップS7)。プロセッサ11は、オ
ペレータによるキーボード操作の有無を判別することに
よりデータ生成中断指令が入力されたか否かを判別し
(ステップS8)、指令入力がなければ、例えばイグニ
ッションスイッチ40がオフされているか否かを判別し
てエンジン運転が停止されたか否かを更に判別する(ス
テップS9)。エンジン運転が停止されていなければ、
上記ステップS2に戻って、次のクランク角センサパル
ス出力の入力に待機する。その後、クランク角センサパ
ルス出力が入力される毎に上記一連のステップS2ない
しS9が実行され、これにより、正常燃焼状態において
順次算出されたクランク軸平均角加速度Dωが回転速度
変化率データとしてメモリ13の第1メモリ領域内に順
次格納される。
【0019】正常燃焼状態でのクランク軸回転速度変化
率データを充分に得たと判断すると、オペレータはデー
タ生成中断指令を手動入力すると共に運転中のエンジン
において失火状態を人為的に作る。指令入力直後でのス
テップS8において指令入力が判別されると、上記ステ
ップS1に戻って質問メッセージ及び選択肢が再度画面
表示される。そこで、オペレータが失火状態を示す選択
肢を選択すると、プロセッサ11はフラグFを失火状態
を表す値「0」にセットし(ステップS1)、正常燃焼
状態の場合と同様に上記ステップS2ないしS6を順次
実行する。この場合、ステップS6での判別結果が否定
になるので、ステップS5で算出された平均角加速度D
ωはメモリ13の第2メモリ領域(図示略)に格納され
る(ステップS10)。次に、データ生成中断指令が入
力されていないと上記ステップS8で判別されると共に
エンジン運転が停止されていないと上記ステップS9で
判別されると、上記ステップS2に戻る。その後、クラ
ンク角センサ20のパルス出力が入力される毎に上記一
連のステップS2ないしS6,S10,S8及びS9が
実行され、これにより、失火状態において順次算出され
たクランク軸平均角加速度Dωがメモリ13の第2メモ
リ領域内に順次格納される。
【0020】失火状態でのクランク軸回転速度変化率デ
ータを充分に得たと判断してオペレータがイグニッショ
ンスイッチ40をオフすると、図3の変化率データ生成
処理が終了する。次いで、オペレータがキーボードを操
作して統計処理開始指令をコントローラ10に入力する
と、プロセッサ11は、失火検出に用いる判別基準値を
適正に設定するための、図4に示す統計処理を開始す
る。
【0021】この統計処理において、プロセッサ11
は、正常燃焼状態において得た回転速度変化率データと
してのクランク軸平均角加速度Dωをメモリ13の第1
メモリ領域から読み出して(ステップS101)、該デ
ータに統計的処理を施して、角加速度Dωの分布を表
す、角加速度Dωの平均xN及び標準偏差σNを求める
(ステップS102)。次に、プロセッサ11は、失火
状態において得た回転速度変化率データとしてのクラン
ク軸平均角加速度Dωをメモリ13の第2メモリ領域か
ら読み出して(ステップS103)、該データに統計的
処理を施して、角加速度Dωの分布を表す、角加速度D
ωの平均xM及び標準偏差σMを求め(ステップS10
4)、更に、上記算出値xN,xM,σN及びσMに基づい
て、値{(xN−3σN)+(xM+3σM)}/2を判別
基準値として求める(ステップS105)。そして、こ
の判別基準値をメモリ13に格納して、図4の統計処理
を終了する。
【0022】この様にして求めた判別基準値によれば、
正常燃焼状態におけるクランク軸平均角加速度Dω(ク
ランク軸回転速度変化率)の分布と失火状態におけるそ
れとを区分可能になる。即ち、失火検出に用いる判別基
準値が、統計的処理によって適正に設定される。実際の
エンジン運転中、プロセッサ11は、クランク角センサ
20からのパルス出力と気筒判別センサ30からのパル
ス出力とを逐次入力しつつ、図5に示す失火検出処理を
周期的に繰り返し実行する。
【0023】プロセッサ11は、クランク角センサ20
のパルス出力を入力する毎に失火検出処理サイクルを開
始する。各検出サイクルにおいて、プロセッサ11は、
図3を参照して説明したクランク軸回転速度変化率デー
タ生成処理におけるステップS2ないしS5に夫々対応
するステップS201ないしS204を順次実行する。
【0024】即ち、簡略に述べれば、プロセッサ11
は、現時点で入力したクランク角センサパルス出力に対
応する気筒が何番目の気筒であるのかを識別し(ステッ
プS201)、識別気筒を含む識別気筒グループmに対
応する120度クランク間周期Tm(n)を計測し(ステッ
プS202)、識別気筒グループmに関連する補正係数
KLm(n)を算出し(ステップS203)、更に、120
度クランク間周期におけるクランク軸の平均角加速度D
ωを算出する(ステップS204)。
【0025】次いで、プロセッサ11は、識別気筒での
失火発生の有無を検出すべく、ステップS4で算出され
クランク軸の回転変動を表す平均角加速度Dωとメモリ
13に予め格納された失火判定のための判別基準値との
大小関係を判別する(ステップS205)。なお、判別
基準値は一般には負の値に設定されている。算出値Dω
が判別基準値よりも小さいと判別すると、プロセッサ1
1は、ランプ駆動回路61に例えばHレベルの駆動信号
を送出して警告ランプ60を点灯させ、これにより、識
別気筒に失火が生じたことを警告し(ステップS20
6)、更に、ステップS201で判別した識別気筒に失
火が生じたことをメモリ13内に記憶させる(ステップ
S207)。一方、クランク軸の平均角加速度Dωが判
別基準値以上であるとステップS205で判別すると、
プロセッサ11は例えばLレベルの駆動信号を送出して
警告ランプ60を消灯させて識別気筒に失火が生じてい
ないことを告知する(ステップS208)。
【0026】ステップ207での失火気筒記憶又はステ
ップS208での警告ランプ消灯を終えると、プロセッ
サ11は、クランク角センサ20からの次のパルス出力
の入力に待機し、パルス出力を入力すると、図5の処理
を再開する。上記実施例では本発明を6気筒エンジンに
適用した場合について説明したが、本発明は4気筒エン
ジンなどの種々のエンジンに適用可能である。
【0027】又、上記実施例では、クランク軸角加速度
データ生成処理(図3)及び失火検出処理(図5)にお
いて、ベーン角度間隔のばらつきによる周期測定誤差を
除去すべく補正係数を演算しかつこれを用いてクランク
軸角加速度Dωを算出したが、補正係数演算及び補正係
数に基づく角加速度算出は必須ではない。又、角加速度
データ生成処理における気筒識別も必須ではない。
【0028】
【発明の効果】上述のように、クランク軸回転速度の変
化率が判別基準値を下回ったときに失火状態を検出する
失火検出方法において、本発明は、失火状態及び正常燃
焼状態の夫々におけるクランク軸回転速度変化率の分布
を予め求め、前記判別基準値を、失火状態でのクランク
軸回転速度変化率の分布と正常燃焼状態でのクランク軸
回転速度変化率の分布とに基づいて予め設定し、斯く設
定した判別基準値に基づいて失火検出を行うので、失火
検出に用いる判別基準値を統計的処理によって適正に設
定でき、従って、内燃機関の、低速運転領域を含む種々
の運転領域において失火発生の有無を正確に検出可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の失火検出方法を実施するための装置を
示す概略ブロック図である。
【図2】図1に示す装置のクランク角センサを示す斜視
図である。
【図3】本発明の一実施例の失火検出方法におけるクラ
ンク軸回転速度変化率データ生成処理をしめすフローチ
ャートである。
【図4】同実施例の失火検出方法における統計処理を示
すフローチャートである。
【図5】同実施例の失火検出方法における失火検出処理
を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 クランク軸 10 コントローラ 11 プロセッサ 20 クランク角センサ 30 気筒判別センサ 40 イグニッションスイッチ 60 警告ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 徹 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 吉田 泰久 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 笠井 聡 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−149189(JP,A) 特開 平5−157000(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランク軸回転速度の変化率が判別基準
    値を下回ったときに失火状態を検出する失火検出方法に
    おいて、失火状態及び正常燃焼状態の夫々におけるクラ
    ンク軸回転速度変化率の分布を予め求め、前記判別基準
    値を、失火状態でのクランク軸回転速度変化率の分布と
    正常燃焼状態でのクランク軸回転速度変化率の分布とに
    基づいて予め設定し、斯く設定した前記判別基準値に基
    づいて失火検出を行うことを特徴とする、クランク軸回
    転変動による失火検出方法。
JP04149430A 1992-06-09 1992-06-09 クランク軸回転変動による失火検出方法 Expired - Fee Related JP3133150B2 (ja)

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