JP3132164B2 - 塩化ビニル樹脂製防水製品 - Google Patents

塩化ビニル樹脂製防水製品

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JP3132164B2
JP3132164B2 JP04182803A JP18280392A JP3132164B2 JP 3132164 B2 JP3132164 B2 JP 3132164B2 JP 04182803 A JP04182803 A JP 04182803A JP 18280392 A JP18280392 A JP 18280392A JP 3132164 B2 JP3132164 B2 JP 3132164B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐水性、べた付き防止性
に優れた塩化ビニル樹脂製防水製品に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル樹脂は物理的強度のバランス
が良く、防水性に優れ、比較的安価なために傘、雨靴、
長靴、手袋、鞄、カッパ、レインコート、エプロン、そ
でカバー、ヘアーキャップ、車両用カバー、テント、プ
ール、ボート、浮き輪などの防水製品に広く使用されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、軟質塩化ビニ
ル樹脂のシート、フィルム、または成型品には柔軟性を
付与するために可塑剤が添加されている。この時の可塑
剤としては、フタル酸ジ‐2‐エチルヘキシル(以下、
DOPと略す)がバランスのとれた性能と価格の面から
広く使用されている。しかし、DOPを添加した塩化ビ
ニル樹脂成型品等は熱や水により、可塑剤が消散して、
柔軟性や強度が低下する。防水製品としては水により可
塑剤が消散するというのは、製品寿命に係わる重要な問
題である。
【0004】さらに、該塩化ビニル樹脂製のシート、フ
ィルムは、べた付きの問題がある。例えば、かかるシー
トやフイルムを用いて製造された傘、テント、カッパに
あっては傘の開閉、折り畳まれたテント、カッパなどを
開く時など使用に際してこのベタ付きが問題なる。この
べた付きは使用者に相当の不快感を与えるものである。
かかるべた付きを防止するための方法はいろいろと検討
されているが、これまで経済的にべた付きを防止した優
れた軟質フィルムは得られていなかった。これらDOP
を添加した塩化ビニル樹脂製品の欠点を改善するために
色々な可塑剤を用いることが検討されている。しかし、
単に、DOPを従来よりある可塑剤に変更しても、べた
付き、可塑剤の消散の改善の十分な効果がない。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、さらに可
塑剤を添加した塩化ビニル系樹脂製品の持つバランスの
とれた性能と経済性を損なうことなく、今までの欠点を
改善する方法について鋭意検討した結果、特定の混合ア
ルコールのフタル酸ジエステルを可塑剤とし、バリウム
亜鉛系安定剤1〜5重量部を配合使用することで、べた
付き防止性がよく、耐水性の優れたシートが得られるこ
とを見い出し、本発明を完成した。
【0006】本発明の塩化ビニル樹脂製防水製品は、2
‐プロピルヘプタノール95.0〜99.0重量%と、
4‐メチル‐2‐プロピルヘキサノール1.0〜5.0
重量%との混合デシルアルコールのフタル酸ジエステル
からなる可塑剤25〜90重量部、バリウム亜鉛系安定
剤1〜5重量部を塩化ビニル樹脂100重量部に配合し
た組成物を用いることを特徴とする。
【0007】本発明の塩化ビニル樹脂製防水製品に用い
るフタル酸ジエステルは、2‐プロピルヘプタノール9
5.0重量%〜99.0重量%および4‐メチル‐2‐
プロピルヘキサノール1.0〜5.0重量%の混合デシ
ルアルコールとフタル酸もしくは無水フタル酸とのエス
テル化反応によって得られる。
【0008】このフタル酸ジエステルの調製に用いる混
合デシルアルコールは、例えば、オレフィンとしてブテ
ン‐1を用いるオキソ合成によってn‐バレルアルデヒ
ド、および2‐メチルブチルアルデヒドの混合物を製造
し、これらのアルデヒドのアルドール縮合とその後の脱
水反応によって2‐プロピルヘプテナールと4‐メチル
‐2‐プロピルヘキセナールの混合物を製造し、これら
の混合物の水素添加反応によって合成することができ
る。もし、必要ならば蒸留により、混合デシルアルコー
ル組成を調製してもよい。しかし、本発明はこれらの製
造法によって制限されるものではない。例えば、2‐プ
ロピルヘプタノールと4‐メチル‐2‐プロピルヘキサ
ノールとを別個に調製し、それらを混合することも可能
である。
【0009】本発明の防水製品に用いる塩化ビニル樹脂
とは、塩化ビニルホモポリマーおよび塩化ビニルコポリ
マーであり、塩化ビニルコポリマーとは塩化ビニルを主
体とし、これに他のモノマー、例えばエチレン、プロピ
レン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル、メタクリ
ル酸エステル、アクリル酸エステルなどとのコポリマー
が挙げられるが、本発明はこれらの樹脂に制限されるも
のではない。
【0010】本発明の防水製品に用いるバリウム亜鉛系
安定剤は、有機酸のバリウム塩および亜鉛塩の複合安定
剤であり、液状、ペースト状のいずれでもよい。有機酸
としては、オクチル酸、オレイン酸、リシノール酸、ナ
フテン酸、安息香酸などのカルボン酸が挙げられる。
【0011】本発明の防水製品には可塑剤として混合デ
シルアルコールのフタル酸ジエステル以外に、一般に塩
化ビニル樹脂に使用される可塑剤、例えばDOP、フタ
ル酸ジイソノニル、アジピン酸ジ‐2‐エチルヘキシ
ル、エポキシ化大豆油、リン酸エステル系可塑剤などを
含んでもかまわなく、さらにこれらを併用しても差し支
えない。ただし、可塑剤併用の割合は、本発明の効果が
損なわれない範囲とする。
【0012】本発明の防水製品には、塩化ビニル樹脂、
フタル酸ジエステのほか、必要に応じて安定剤、安定化
助剤、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、着色剤、強化
剤、加工助剤、充填剤などを配合することができる。
【0013】安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸塩
などの鉛塩類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸
バリウム、ステアリン酸亜鉛、リシノール酸カルシウ
ム、ラウリル酸バリウムのような金属石鹸系安定剤類、
ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレイン酸エ
ステル、ジオクチルスズメルカプタイドのような有機ス
ズ系安定剤類などを挙げることができる。
【0014】安定化助剤としては、例えば、亜リン酸ト
リフェニル、亜リン酸トリ‐2‐エチルヘキシル、亜リ
ン酸トリノニルフェニルのような亜リン酸エステル類が
あり、酸化防止剤としては、例えば、t‐ブチルヒドロ
キシトルエン、ジラウリルチオジプロピオネートが挙げ
られる。
【0015】滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ス
テアリン酸アミド、ポリエチレンワックスが挙げられ
る。紫外線吸収剤としては、例えば、2‐(5′‐メチ
ル‐2′‐ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2‐(3′‐t‐ブチル‐5′‐メチル‐2′‐ヒドロ
キシフェニル)‐5‐クロロベンゾ‐1,2,4‐トリ
アゾールが挙げられる。
【0016】着色剤としては、例えば、フタロシアニン
ブルー、酸化チタン、カーボンブラックなど無機顔料、
有機顔料が挙げられる。強化剤としては、例えば、ポリ
メタクリル酸エステルとブタジエンとスチレンの共重合
体、アクリロニトリル‐ブタジエンゴム、エチレンと酢
酸ビニルの共重合体が挙げられる。
【0017】加工助剤としては、例えば、ポリメタクリ
ル酸メチルが挙げられる。充填剤としては、例えば、炭
酸カルシウムが挙げられる。ただし、本発明はこれら添
加剤の種類で限定されるものではない。
【0018】本発明の塩化ビニル樹脂防水製品の具体的
なものとしては、上記のように塩化ビニル樹脂に、2‐
プロピルヘプタノール及び4‐メチル‐2‐プロピルヘ
キサノールの混合デシルアルコールのフタル酸ジエステ
ルおよびバリウム亜鉛系安定剤の特定量を配合した組成
物をシート状に成型したものである。その製造プロセス
としては、たとえば一般に使用されているリボンブレン
ダーやヘンシェル型ミキサー等による混合、ついでバン
バリーミキサーや2本ロール等による混練、それからカ
レンダーロールやT型ダイスを装備した押出機やラミネ
ーターによるフィルム成型である。
【0019】
【実施例】本発明の塩化ビニル樹脂製防水製品の一つと
してフィルムの優れた性質について、実施例によってさ
らに具体的に説明する。また、以下の評価試験は下記の
方法による。 〔引張強さ、伸び〕JIS K 7113に準じた。 〔硬度〕JIS K 6301に準じ、スプリング式硬
さ試験機A形を使用した。
【0020】〔引裂強さ〕JIS K 6301に準
じ、測定にはB形試験片を使用した。 〔柔軟温度〕JIS K 6745に準じた。
【0021】〔加熱重量変化率〕JIS K 7113
の2号試験片を120℃のギアー式老化試験機にて12
0時間加熱し、重量変化率を測定する。重量変化率は試
験前後の試験片の重量差を試験前の重量で割ったものを
百分率で示したものである。マイナスが重量減少を示
す。
【0022】〔温水重量変化率〕JIS K 7113
の2号試験片を100℃の温水中に480時間浸漬し、
重量変化率を測定する。重量変化率は試験前後の試験片
の重量差を試験前の重量で割ったものを百分率で示した
ものである。マイナスが重量減少を示す。 〔100%モジュラス〕各温度による柔軟性としてJI
S K 7113の引張試験に準じ、伸びが100%に
達した時の応力を求めた。
【0023】〔べた付き剥離荷重〕50×120mmに裁
断した厚さ0.075mmの試験用フィルムを2枚重ね合
わせ、その片側50×50mmを上下から平滑な50×5
0mmのガラス板(厚さ1mm)で挟む。さらに、上側のガ
ラス板に1kgの荷重を乗せ、これを温度70℃、湿度8
0%の恒湿恒温槽に入れて2時間放置する。2時間後、
これを恒湿恒温槽から取り出し、直ちに荷重とガラス板
を取り除き、気温23℃、湿度50%の部屋に24時間
放置する。
【0024】その後、この2枚重ねのフィルムサンプル
の荷重を乗せなかった側のフィルム端を1枚づつ、それ
ぞれ引っ張り試験機のつかみ金具の上下に取り付け、重
ね合わせた2枚のフィルムを剥離させるのに必要な力の
測定を行った。それぞれ、3組のフィルムサンプルにつ
いて測定を行い、それらの値の算術平均値を測定値とし
た。測定値の数値が小さい程、べた付きが少なく、フィ
ルム同士の剥離が良好なことを示す。
【0025】実施例1 〔混合デシルアルコールの調製〕マグネット式撹拌機、
ジムロート型凝縮器、熱電対温度計及び滴下装置を装着
した2リットル四つ口フラスコに市販のn‐バレルアル
デヒド688.3g、2‐メチルブチルアルデヒド1
4.2gを仕込み撹拌した。1.0重量%NaOH水溶
液を調製し、これをフラスコ中に25℃にて滴下した。
60分後に滴下を終了し、この時の系内温度は58℃で
あった。この後加熱を開始し、85℃に達してから4時
間そのまま撹拌を続けた。次に、室温まで冷却した後撹
拌を止め、油水分離し584.8g(水分0.54重量
%)の油層(アルドール縮合液)を得た。
【0026】磁気式撹拌機、水素調圧器及び熱電対温度
計を装着した1リットルステンレススチールオートクレ
ーブに窒素雰囲気下、アルドール縮合液の油層534.
2g及び触媒としてラネーニッケル26.5gを仕込ん
だ。系内を水素で3回置換した後、水素圧力を50kg/
cm2 に設定し、500rpm で撹拌した。それと同時に、
電気炉を加熱し昇温を開始したところ、系内温度が95
℃付近から水素吸収が始まり、その後3.5時間水素吸
収が継続した(その間の最高到達温度は160℃であっ
た)。水素吸収が停止してから更に2時間、130から
145℃で撹拌を続けた後加熱を停止した。
【0027】一晩放置後、メンプランフィルターを用い
て触媒をろ別したところ、540.2gの油層を得た。
この油層を25段オルダーショウ蒸留装置を用いて減圧
蒸留した。蒸留初期は減圧度30から60mmHgで運転
し、その後減圧度を10から30mmHgに変更して塔頂温
が105℃/16mmHgから106℃/17mmHgの留出分
を得た。これをキャピラリーガスクロマトグラフィーに
て分析した結果、2‐プロピルヘプタノール(2PH
O)96.0重量%及び、4‐メチル‐2‐プロピルヘ
キサノール(MPHO)3.9重量%を含む混合デシル
アルコールであることがわかった。
【0028】〔フタル酸ジエステルの調製〕2リットル
フラスコに、原料として無水フタル酸413.2g及び
混合デシルアルコール1086.5gを窒素雰囲気下仕
込んだ。この溶液を撹拌しながら加熱し反応液温度が6
0℃になったところで触媒であるテトライソプロポキシ
チタンの25重量%デカノール溶液7.0gを加えた
後、さらに220℃まで昇温した。生成水は反応器に取
り付けた油水分離器を用いて系外に除去し、未反応アル
コールは系内に戻した。反応液温度が220℃に到達し
てから1時間ごとにサンプリングを実施し、酸価が0.
3以下になったところ(約5時間後)で加熱を停止し、
通常の中和、水洗、減圧蒸留及び後処理操作を経た後、
目的物であるフタル酸ジデシルエステル(DXP−1)
1160gを得た。この時の酸価は0.021、残アル
コール分は100ppm 以下、水分0.07重量%であっ
た。
【0029】〔塩化ビニル樹脂製防水フィルム製造〕平
均重合度1030のポリ塩化ビニル(チッソ(株)製:
PVC ニポリットSL)100重量部に対し、フタル
酸ジデシル(DXP−1)50重量部、バリウム‐亜鉛
系液状安定剤2重量部を配合し、これを175℃の試験
ロールにて5分間混練りし、厚さ1.3mmのシートサン
プルを作成した。さらに、これを185℃にて2分間予
熱した後、3分間150kg/cm2 の圧力にて加圧し厚さ
1mmのプレスシートを作成し、該シートを用いて引張強
さ、伸び、硬さ、引き裂き強さ、柔軟温度、加熱重量変
化率、温水重量変化率、100%モジュラスの測定用試
験片を作成し、測定を行った。また別に、上述と同じ配
合物を175℃の試験ロールにて5分間混練りし、厚さ
0.075mmのフィルムサンプルを作成し、べた付き剥
離荷重の測定を行った。
【0030】実施例2 〔混合デシルアルコールの調製〕マグネット式撹拌機、
ジムロート型凝縮器、熱電対温度計及び滴下装置を装着
した2リットル四つ口フラスコに市販のnバレルアルデ
ヒド695.3g、2‐メチルバレルアルデヒド7.0
gを仕込み撹拌した。1.0重量%NaOH水溶液を調
製し、これをフラスコ中に25℃にて滴下した。60分
後に滴下を終了し、この時の系内温度は58℃であっ
た。この後加熱を開始し、85℃に達してから4時間そ
のまま撹拌を続けた。次ぎに、室温まで冷却した後撹拌
を止め、油水分離し585.7g(水分0.56重量
%)の油層(アルドール縮合液)を得た。
【0031】磁気式撹拌機、水素調圧器及び熱電対温度
計を装着した1リットルステンレススチールオートクレ
ーブに窒素雰囲気下、アルドール縮合液の油層535.
1g及び触媒としてラネーニッケル26.5gを仕込ん
だ。系内を水素で3回置換した後、水素圧力を50kg/
cm2 に設定し、500rpm で撹拌した。それと同時に、
電気炉を加熱し昇温を開始したところ、系内温度が95
℃付近から水素吸収が始まり、その後3.5時間水素吸
収が継続した(その間の最高到達温度は160℃であっ
た)。水素吸収が停止してから更に2時間、130から
145℃で撹拌を続けた後加熱を停止した。一晩放置
後、メンブランフィルターを用いて触媒をろ別したとこ
ろ、540.2gの油層を得た。この油層を25段オル
ダーショウ蒸留装置を用いて減圧蒸留した。蒸留初期は
減圧度30から60mmHgで運転し、その後減圧度を10
から30mmHgに変更して塔頂温が105℃/16mmHgか
ら106℃/17mmHgの留出分を得た。これをキャピラ
リーガスクロマトグラフィーにて分析した結果、2‐プ
ロピルヘプタノール(2PHO)97.9重量%及び、
4‐メチル‐2‐プロピルヘキサノール(MPHO)
2.0重量%を含む混合デシルアルコールであることが
わかった。
【0032】〔フタル酸ジエステルの調製〕2リットル
フラスコに、原料として無水フタル酸413.4g及び
混合デシルアルコール1086.5gを窒素雰囲気下仕
込んだ。この溶液を撹拌しながら加熱し反応液温度が6
0℃になったところで触媒であるテトライソプロポキシ
チタンの25重量%デカノール溶液7.0gを加えた
後、さらに220℃まで昇温した。生成水は反応器に取
り付けた油水分離器を用いて系外に除去し、未反応アル
コールは系内に戻した。反応液温度が220℃に到達し
てから1時間ごとにサンプリングを実施し、酸価が0.
3以下になったところ(約5時間後)で加熱を停止し、
通常の中和、水洗、減圧蒸留及び後処理操作を経た後、
目的物であるフタル酸ジデシルエステル(DXP−2)
1161gを得た。この時の酸価は0.020、残アル
コール分は100ppm 以下、水分0.06重量%であっ
た。
【0033】〔塩化ビニル樹脂製防水フィルムの製造〕
DXP−1を上記のDXP−2に変える以外は、実施例
1と同様に行った。
【0034】実施例3 〔塩化ビニル樹脂製防水フィルムの製造〕DXP−2の
50重量部を70重量部に変更し、その他は実施例2と
同様に行った。
【0035】実施例4 〔塩化ビニル樹脂製防水フィルムの製造〕DXP−2の
50重量部を85重量部に変更し、その他は実施例2と
同様に行った。
【0036】実施例5 〔塩化ビニル樹脂製防水フィルムの製造〕DXP−2の
50重量部を30重量部に変更し、その他は実施例2と
同様に行った。
【0037】比較例1 〔塩化ビニル樹脂フィルムの製造〕バリウム亜鉛系安定
剤を使用せず、その他は実施例2と同様に行った。
【0038】比較例2 〔混合デシルアルコールの調製〕マグネット式撹拌機、
ジムロート型凝縮器、熱電対温度計及び滴下装置を装着
した2リットル四つ口フラスコに市販のnバレルアルデ
ヒド668.0g、2‐メチルブチルアルデヒド35.
5gを仕込み撹拌した。1.0重量%NaOH水溶液を
調製し、これをフラスコ中に25℃にて滴下した。60
分後に滴下を終了し、この時の系内温度は57℃であっ
た。この後加熱を開始し、85℃に達してから4時間そ
のまま撹拌を続けた。次ぎに、室温まで冷却した後撹拌
を止め、油水分離し584.2g(水分0.54重量
%)の油層(アルドール縮合液)を得た。
【0039】磁気式撹拌機、水素調圧器及び熱電対温度
計を装着した1リットルステンレススチールオートクレ
ーブに窒素雰囲気下、アルドール縮合液の油層533.
9g及び触媒としてラネーニッケル26.7gを仕込ん
だ。系内を水素で3回置換した後、水素圧力を50kg/
cm2 に設定し、500rpm で撹拌した。それと同時に、
電気炉を加熱し昇温を開始したところ、系内温度が95
℃付近から水素吸収が始まり、その後3.5時間水素吸
収が継続した(その間の最高到達温度は160℃であっ
た)。水素吸収が停止してから更に2時間、130から
145℃で撹拌を続けた後加熱を停止した。一晩放置
後、メンブランフィルターを用いて触媒をろ別したとこ
ろ、540.2gの油層を得た。この油層を25段オル
ダーショウ蒸留装置を用いて減圧蒸留した。蒸留初期は
減圧度30から60mmHgで運転し、その後減圧度を10
から30mmHgに変更して塔頂温が103℃/15mmHgか
ら106℃/17mmHgの留出分を得た。これをキャピラ
リーガスクロマトグラフィーにて分析した結果、2‐プ
ロピルヘプタノール(2PHO)89.9重量%及び、
4‐メチル‐2‐プロピルヘキサノール(MPHO)
9.9重量%を含む混合デシルアルコールであることが
わかった。
【0040】〔フタル酸ジエステルの調製〕2リットル
フラスコに、原料として無水フタル酸413.0g及び
上述の混合デシルアルコール1086.3gを窒素雰囲
気下仕込んだ。この溶液を撹拌しながら加熱し反応液温
度が60℃になったところで触媒であるテトライソプロ
ポキシチタンの25重量%デカノール溶液6.9gを加
えた後、さらに220℃まで昇温した。生成水は反応器
に取り付けた油水分離器を用いて系外に除去し、未反応
アルコールは系内に戻した。反応液温度が220℃に到
達してから1時間ごとにサンプリングを実施し、酸価が
0.3以下になったところ(約5時間後)で加熱を停止
し、通常の中和、水洗、減圧蒸留及び後処理操作を経た
後、目的物であるフタル酸ジデシルエステル(DXP−
3)1158gを得た。この時の酸価は0.022、残
アルコール分は100ppm 以下、水分0.05重量%で
あった。
【0041】〔塩化ビニル樹脂フィルムの製造〕DXP
−1をDXP−3にかえて、その他は実施例1と同様に
行った。
【0042】比較例3 〔混合デシルアルコールの調製〕マグネット式撹拌機、
ジムロート型凝縮器、熱電対温度計および滴下装置を装
着した2リットルの四つ口フラスコに市販のnバレルア
ルデヒド700.5gを仕込み撹拌した。1.0重量%
NaOH水溶液を調製し、これをフラスコ中に25℃に
て滴下した。60分後に滴下を終了し、この時の系内温
度は62℃であった。この後加熱を開始し、85℃に達
してから4時間そのまま撹拌を続けた。次ぎに、室温ま
で冷却した後撹拌を止め、油水分離し585.4g(水
分0.58重量%)の油層(アルドール縮合液)を得
た。
【0043】磁気式撹拌機、水素調圧器および熱電対温
度計を装着した1リットルのステンレススチールオート
クレーブに窒素雰囲気下、アルドール縮合液の油層53
4.5g及び触媒としてラネーニッケル26.5gを仕
込んだ。系内を水素で3回置換した後、水素圧力を50
kg/cm2 に設定し、500rpm で撹拌した。それと同時
に、電気炉を加熱し昇温を開始したところ、系内温度が
95℃付近から水素吸収が始まり、その後3.5時間水
素吸収が継続した(その間の最高到達温度は160℃で
あった)。水素吸収が停止してから更に2時間、130
から145℃で撹拌を続けた後加熱を停止した。一晩放
置後、メンブランフィルターを用いて触媒をろ別したと
ころ、540.4gの油層を得た。この油層を25段オ
ルダーショウ蒸留装置を用いて減圧蒸留した。蒸留初期
は減圧度30から60mmHgで運転し、その後減圧度を1
0から30mmHgに変更して塔頂温が112℃/20mmHg
から113℃/20mmHgの留出分を得た。これをキャピ
ラリーガスクロマトグラフィーにて分析した結果、2‐
プロピルヘプタノール(2PHO)99.8重量%およ
び、4‐メチル‐2‐プロピルヘキサノール(MPH
O)0.1重量%を含むデシルアルコールであることが
わかった。
【0044】〔フタル酸ジエステルの調製〕2リットル
のフラスコに、原料として無水フタル酸413.2gお
よび混合デシルアルコール1086.5gを窒素雰囲気
下仕込んだ。この溶液を撹拌しながら加熱し反応液温度
が60℃になったところで触媒であるテトライソプロポ
キシチタンの25重量%デカノール溶液7.0gを加え
た後、さらに220℃まで昇温した。生成水は反応器に
取り付けた油水分離器を用いて系外に除去し、未反応ア
ルコールは系内に戻した。反応液温度が220℃に到達
してから1時間ごとにサンプリングを実施し、酸価が
0.3以下になったところ(約5時間後)で加熱を停止
し、通常の中和、水洗、減圧蒸留及び後処理操作を経た
後、目的物であるフタル酸ジデシルエステル(DXP−
4)1160gを得た。この時の酸価は0.021、残
アルコール分は100ppm 以下、水分0.04重量%で
あった。
【0045】〔塩化ビニル樹脂フィルムの製造〕DXP
−1を上記DXP−4に代え、その他は実施例1と同様
に行った。
【0046】比較例4 〔塩化ビニル樹脂フィルムの製造〕DXP−1を市販の
DOP(チッソ(株)製)に変え、その他は実施例1と
同様に行った。
【0047】比較例5 〔塩化ビニル樹脂フィルムの製造〕DXP−1をフタル
酸ジイソノニル(積水化学工業(株)製:DINP)に
変え、その他は実施例1と同様の試験を行った。
【0048】比較例6 〔塩化ビニル樹脂フィルムの製造〕DXP−1をフタル
酸ジイソデシル(積水化学工業(株)製:DIDP)5
0重量部に変え、その他は実施例1と同様に行った。
【0049】これらの実施例の結果を表1、比較例の結
果を表2に示す。
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル樹脂製防水製品は、
温水重量変化率の測定結果からわかるように、水による
可塑剤の消散が少なく、そのため、可塑剤の消散による
塩化ビニル樹脂製品の柔軟性や強度の低下が少ない。ま
た、べた付き荷重の測定結果からわかるようにべた付き
防止性にすぐれ、傘テント、カッパなどにあっては使用
時の開閉なども快適である。すなわち、不快感のない、
すぐれた防水製品である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/00 C08J 5/18 C08K 3/22 C08K 5/12 C08L 27/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2‐プロピルヘプタノール95.0〜9
    9.0重量%と、4‐メチル‐2‐プロピルヘキサノー
    ル1.0〜5.0重量%との混合デシルアルコールのフ
    タル酸ジエステルからなる可塑剤25〜90重量部、バ
    リウム亜鉛系安定剤1〜5重量部を塩化ビニル樹脂10
    0重量部に配合した組成物を用いることを特徴とする塩
    化ビニル樹脂製防水製品。
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