JP3131006B2 - 輪転孔版印刷用エマルジョンインキ - Google Patents

輪転孔版印刷用エマルジョンインキ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は輪転孔版印刷用エマルジ
ョンインキに関し、さらに詳しくは輪転孔版印刷におい
て、印刷物のインキのレベリング状態を向上させつつ、
インキの裏抜けおよび裏移りを防止することができる輪
転孔版印刷用エマルジョンインキに関する。
【0002】
【従来の技術】輪転孔版印刷において、インキの裏抜け
や裏移りを防止するためには、インキ転移量を抑制する
ことが必要である。インキ転移量の抑制は、機械設定で
の解決を除けば、単にインキ粘度を上げることにより可
能である。しかし、単にインキを高粘度化するだけで
は、紙へ移転した後のレベリング状態が悪く、いわゆる
インキの「なき」が小さくなり、特にベタ部分でのイン
キの均一性に劣り、満足した印刷物を得ることができな
い。
【0003】このように、従来技術においては、インキ
転移量を抑制してベタ画質のインキの均一性を向上させ
つつ、インキの裏抜けや裏移りを防止して良好な画像を
得ることができなかった。従って、良好な印刷物を得る
ために、上記インキ性能を考慮し、双方の妥協点で印刷
を行っているというのが現状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題を解決し、輪転孔版印刷において、印刷
物のインキのレベリング状態、特にベタ画質の均一性を
向上させつつ、インキ裏抜けおよび裏移りを防止するこ
とができる輪転孔版印刷用エマルジョンインキを提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶剤に溶解し
た樹脂を含有する油相10〜50重量%および水相90
〜50重量%からなる油中水滴型エマルジョンインキで
あって、樹脂固形分の総量に対して20〜70重量%の
環化ゴムを前記油相中に含むことを特徴とする輪転孔版
印刷用エマルジョンインキに関する。
【0006】本発明に用いられるインキは、油中水滴
(W/O)型エマルジョンインキであり、10〜50重
量%、好ましくは30〜50重量%の油相と、90〜5
0重量%、好ましくは70〜50重量%の水相からな
り、例えば、油相成分に水相成分を徐々に添加して乳化
させることにより製造することができる。油相中には、
溶剤、樹脂、着色剤、乳化剤等が含まれ、また水相中に
は水の他、必要の応じて水溶性樹脂、電解質、防黴剤、
酸化防止剤、水蒸発防止剤などの水溶性添加剤を含有さ
せることができる。
【0007】溶剤としては、沸点200℃以上の沸点を
有し、樹脂を溶解するものであれば特に制限はなく、例
えば石油系溶剤、不乾性または不揮発性鉱油等が用いら
れる。具体的には、スピンドル油、日本石油社製商品名
11号インキオイル、モーターオイル、流動パラフィン
等が挙げられる。本発明において、環化ゴムは、樹脂総
量に対して20〜70重量%、好ましくは30〜50重
量%の範囲で用いられる。樹脂としては、環化ゴムの他
にフェノル樹脂、アルキド樹脂、マレイン酸樹脂等を用
いることができる。環化ゴムの使用量が20重量%未満
では裏移りと裏抜けの防止効果に劣り、70重量%を超
えるとインキのレベリングを阻害する。環化ゴムとして
は、例えば、コロンビアンカーボン日本社製商品名のA
LSYNOL RS47、ALSYNOL RS44、
SYNTEX 800等が挙げられる。また油相中の樹
脂の使用量は、5〜20重量%が好ましい。
【0008】乳化剤としては非イオン界面活性剤が好ま
しく用いられ、その使用量は通常0.5〜15重量%で
ある。また着色剤としてはカーボンブラック等の公知の
ものが用いられ、その使用量は通常2〜10重量%であ
る。
【0009】
【作用】一般に、顔料を含む分散系インキは、非ニュー
トン流動を示すため、輪転孔版印刷においては、印刷時
にインキにかかるずり速度が103 〜106 (1/S)
と非常に高くなり、従って、インキの粘弾性の変化が起
こり、構造破壊がともなって粘性の低下が顕著となり、
インキ流動が増大する。
【0010】本発明においては、油相中の樹脂成分に一
定量の環化ゴムを使用しているため、インキの粘弾性が
変化し、降伏値が小さく、高シェアー(剪断)領域での
インキ流動が小さくなる。これは、従来のものに比べて
樹脂成分の内部構造が強靱であるためと考えられる。す
なわち、本発明のエマルジョンインキは、高シェアーに
対して構造破壊がされにくいため粘性の低下がおこりに
くく、従って、インキ転移量を抑制することができる。
【0011】また本発明のエマルジョンインキは、低シ
ェアー領域に対してインキ流動し易く、さらに構造復帰
し難いという特長を有し、このためインキ転移後のレベ
リングが良好となり、特にベタ画質の均一性に優れる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、例中の部は重量部を意味する。 実施例1 まず、環化ゴム(コロンビアンカーボン日本社製商品
名、ALSYNOL RS47)4部と溶剤(日本石油
社製商品名、11号インキオイル)6部を120〜16
0℃の温度下において、スリーワンモーターで攪拌しな
がら溶解させてワニス(1) を得た。
【0013】次に、カーボンブラック(三菱化成工業社
製)4部、アルキド樹脂6部、11号インキオイル17
部およびソルビタンセスキオレエート(乳化剤)2部
を、3本ロールミルで十分混練した後、上記のワニス
(1) 10部を加えてさらに混合した。これに水61部を
徐々に添加してエマルジョンインキ(1) を得た。
【0014】実施例2 実施例1において、環化ゴムをコロンビアンカーボン日
本社製商品名SYNTEX800に変えた以外は実施例
1と同様にしてエマルジョンインキ(2) を得た。 実施例3 まず、環化ゴム(コロンビアンカーボン日本社製商品
名、ALSYNOL RS44)4.8部と11号イン
キオイル7.2部を120〜160℃の温度下におい
て、スリーワンモーターで攪拌しながら溶解させてワニ
ス(2) を得た。
【0015】次に、カーボンブラック4部、ロジン変性
フェノール樹脂4部、スピンドル油15部およびソルビ
タンセスキオレエート2部を、3本ロールミルで十分混
練した後、上記のワニス(2) 12部を加えて混合し、こ
れに水63部を徐々に添加してエマルジョンインキ(3)
を得た。
【0016】比較例1 カーボンブラック4部、アルキド樹脂6部、11号イン
キオイル11部およびソルビタンセスキオレエート2部
を、3本ロールミルで十分混練した後、アルキド樹脂4
部および11号インキオイル6部を加えて混合し、これ
に水67部を徐々に添加してエマルジョンインキ(4) を
得た。 比較例2 カーボンブラック4部、ロジン変性フェノール樹脂4
部、スピンドル油15部およびソルビタンセスキオレエ
ート2部を、3本ロールミルで十分混練した後、ロジン
変性フェノール樹脂4.8部と11号インキオイル7.
2部をさらに混合し、これに水63部を徐々に添加して
エマルジョンインキ(5) とした。
【0017】<試験例>実施例1〜3および比較例1、
2で得られたエマルジョンインキ(1) 〜(5) をそれぞれ
輪転印刷機リソグラフRC115D(理想科学工業社
製)に供給し、B4用紙、印字率22%原稿を用いて印
刷を行い、インキ転移量(g/枚)を測定し、さらに印
刷物のインキのレベリング状態、裏移りおよび裏抜けを
目視で観察した。またインキ粘度をスプレッドメータに
より20℃における60秒値として測定した(単位はm
m)。これらの結果を表1に示す。
【0018】
【表1】 表1から、実施例1〜3ではインキ粘度が小さいにもか
かわらず、インキ転移量が比較的少なく、かつインキの
レベリング状態、裏移りおよび裏抜けも良好であること
が示される。
【0019】
【発明の効果】本発明の輪転孔版印刷用エマルジョンイ
ンキによれば、輪転印刷時のインキ転移量を抑制しても
インキを均一に紙へ転移させることができ、特にベタ部
分において良好は画像を形成することができる。またイ
ンキ転移量の抑制によってインキの裏抜けおよびインキ
の裏移りの少ない印刷物を得ることがきる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶剤に溶解した樹脂を含有する油相10
    〜50重量%および水相90〜50重量%からなる油中
    水滴型エマルジョンインキであって、樹脂固形分の総量
    に対して20〜70重量%の環化ゴムを前記油相中に含
    むことを特徴とする輪転孔版印刷用エマルジョンイン
    キ。
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