JP3130927B2 - 路面走行車両用のディスクブレーキのためのライニング保持装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、請求項１の上位概念に記載したライニング
保持装置に関する。

自家用車両ならびに業務用車両において使用しうる公
知構造のディスクブレーキ、殊に分割ライニングディス
クブレーキでは、ライニング凹所中へ導入可能の、摩擦
ライニングを支持するライニング支持体ないしは支持板
が使用され、これらはブレーキディスクの制動の目的の
ために緊張手段によってブレーキディスクに圧着され
る。凹凸地面を通行する場合、車輪および車軸、ひいて
は車軸と強固に結合しているブレーキに非常に高い加速
度が出現し、その大きさは約20gと評価される。ライニ
ング支持体はこのような加速度を受けていて、ライニン
グ凹所およびその案内の内部に高い運動エネルギーがと
くに地面に対して直角に当る傾向を有しているので、こ
れらの力がディスクブレーキに十分に作用しうる。

ライニングのがたつきないしはライニング凹所中の案
内面のたわみをさけるために、ライニング支持体の外縁
に板ばねを作用させて、ブレーキライニングを全体で弾
性に緊張することは公知である。迅速なライニング交換
をできるだけ僅かな費用で実施することができるように
するため、ブレーキサドルケーシングにより支持され、
たとえば該ケーシングにねじ締め可能な保持わん曲材が
設けられていて、該わん曲材が板ばねに作用し、このば
ねを予張力の負荷下にライニング支持体の外縁に圧着す
る。この種の保持わん曲材は、なかんずくねじ結合また
は簡単なピン結合によりブレーキサドルケーシングに固
定される。この場合、ピン結合は、ピンが脱落した場合
に強く予張力を負荷されたライニング保持ばねが爆発様
緊張解除を生じることがあり、これが最悪の場合人を殺
傷することとなる。ねじ結合の場合にはこの問題は、実
際に、ばねの緊張解除状態に達するまでめねじ中でのね
じの係合を規定するねじ込み長さを適当に選択すること
によって原則的にはさけることができるが、ディスクブ
レーキの作動条件（暑気、寒冷、汚れ、水分）に基づ
き、ねじの締付腐食を完全には排除できない。この結
果、ねじの頭が緩めようとする際に切れ、従ってピン結
合において上述したと同じ爆発様緊張解除の問題が生じ
うる。

大表面に寸法決めされたブレーキライニングを有する
業務用車両のディスクブレーキは、圧着力を分配するの
に使用される圧力分配板を有し、該分配板はライニング
支持板と比較可能な方法でブレーキサドルの凹所中へ導
入可能であり、同様に保持ばねを用いて案内壁のがたつ
きおよびたわみに対して保護している。一般に機械的圧
着部材とライニング支持板との間に配置されているこの
ような圧力分配板においても、ライニング支持体ならび
に圧力分配板に作用する保持わん曲材が示す、上記種類
の問題が出現しうる。

請求項１の上位概念に記載した形式のライニング保持
装置は、ヨーロッパ特許公開第0248385号明細書により
公知である。この公知のライニング保持装置は、ブレー
キサドル若しくはブレーキケーシングに設けられた、少
なくとも１つのライニング凹所を有しており、該ライニ
ング凹所内に、摩擦ライニングを支持するライニング支
持体及び場合によっては圧力分配板が導入可能であっ
て、この場合、ライニング支持体及び場合によって圧力
分配板の外縁部に板ばねが作用し、この板ばねは、サド
ル側若しくはケーシング側で、解除可能な保持部材で支
持されている。ライニング支持体若しくは圧力分配板の
両側には、さらに、それぞれ１つの保持ラグが形成され
ており、これらの保持ラグは、半円形の切欠を有してい
て、この切欠内に、相応の対応する、若しくは半円弧と
して構成された、板ばねの端部が係合するようになって
いる。これによって一方では板ばねを容易に導入するこ
とができ、他方では、板ばねを取り外す際に、板ばねは
直ちに外れることはない。

しかしながら、前記保持ラグの構成では、板ばねをわ
ずかに操作するだけで板ばねがその座着部を早期に離れ
ることがあるので、冒頭に述べたような爆発的な緊張解
除を避けることができない、という欠点がある。従って
負傷を確実に避けることができない。公知のライニング
保持装置の別の欠点は、半円形の端部の構成が比較的費
用がかさむという点にある。

そこで本発明の課題は、請求項１の上位概念に記載し
たライニング保持装置を改良して、製造コストが安価
で、しかも取り外す際にいたばねが突然伸張することが
避けられるようにすることである。

この課題を解決するために、請求項１の特徴部による
特徴が使用される。

ライニング支持体ならびに板ばねの構成は、構造的に
は非常に簡単であるにも拘らず、作用法は絶対確実であ
り、その際板ばねは緊張状態ではその切欠が保持ラグ上
へ案内可能であって、保持ラグは後続の完全または部分
的な板ばねの緊張解除の際に切欠を貫通し、板ばねを脱
落しないように保持している。

ブレーキライニングないしは圧力分配板を取付ける場
合、保持わん曲材を固定するのに使用されるねじ結合が
切断した場合でさえも、板ばねの爆発様緊張解除および
はね返りを甘受しなければならないことは出現しえな
い。それというのも板ばねは部分的な緊張解除後、保持
ラグに背後から係合し、フック留めにより保持されてい
るからである。

ライニング支持体ないしは圧力分配板に板ばねを脱落
しないように保持する利点は、板ばねの取付けをたとえ
ば工場で行なうことができる、つまり制限された取付ス
ペース内に板ばねを挿入するのがもはや不要であるとい
うことである。

有利な構成および改良は請求項２以降に記載されてい
る： 次に、本発明を１実施例につき添付図面を引用して説
明する。

図１は、ライニング支持板と、それに形成された保持
ラグに板ばねが、実線でフック留め位置に存在する状態
で示され、点線で緊張解除された状態で示されている部
分側面図であり； 図２は、ライニング支持体に取付けた状態での板ばね
の平面図であり； 図３は、図１に点線で示した板ばねの緊張解除された
状態での平面図であり； 図４は、保持ラグを、それに形成されたアンダカット
部を示す拡大部分図である。

図１には、取付け位置で一般に、ライニング支持体１
の上端部が概略部分側面図で示されており、該ライニン
グ支持体は例えば支持板として構成されており、このの
支持板に固定された摩擦ライニング（図示せず）をディ
スクブレーキのライニング凹所内に導入可能である。こ
の場合、ライニング支持体には、ライニング支持体をラ
イニング凹所から抜取りうるアイ３が設けられていても
よい。ライニング凹所内には、摩擦ライニング（図示せ
ず）が自体公知の方法でブレーキディスク（図示せず）
に相対していて、その際同様に公知方法で緊張部材が働
いて、摩擦ライニングをとくにブレーキディスクの両側
でこれに圧着する。

ライニング支持体ないしは圧力分配板は、ライニング
凹所中へ導入した後そのつど板ばね５により保持され、
該板ばねは表側から板ばねに作用する、板ばねの縦軸に
対して横方向に延びる保持わん曲材によって確保されて
いる。図１に正面図でかつ図２に部分平面図で表わされ
た保持わん曲材７は、一端でブレーキサドルケーシング
の受け台または同様の保持部材（図示せず）にフック留
めすることができ、反対側端部においてとくにねじでブ
レーキサドルケーシングに取付けることができるので、
保持わん曲材７により板ばね５、従ってライニング支持
体１に対し図１の図示により下向きの力が加えられる。
図面に示された実施形では、板ばね５は側方の折曲げ部
９を備え、これに保持わん曲材が当接しており；板ばね
５は保持わん曲材と協力して、つまり中央部が別形式に
構成され、保持わん曲材の緊張力を収容するようになっ
ていてもよい。

板ばね５は、ライニング支持体１自体をばね緊張する
目的のために保持わん曲材７によりばね力に逆って緊張
され、このため板ばね５は取付状態では緊張解除された
状態に比して、図１から認められるように強く平たくさ
れた形状を有する。図１には、点線で板ばねの緊張解除
状態、つまりライニング支持体に板ばねを取付ける前の
状態が表わされており、実線でライニング支持体１の表
面に板ばね５を取付けた状態が、保持わん曲材７による
緊張の場合で図示されている。取付け状態では、板ばね
５の下面とライニング支持体１の外縁11の間に、板ばね
に関するライニング支持体のばね運動を許容するスペー
ス13が存在する。

ライニング支持体１のアイ３を有するラグ17とその中
心軸線の間には、ライニング支持体の外縁11から保持ラ
グ19が延びていて、該ラグに板ばねの両端がフック留め
可能である。このため板ばねは切欠21を有し、切欠を保
持ラグ19が板ばねの緊張状態で貫通可能である。中心軸
線の両端への保持ラグ19の距離ならびに板ばねの中央部
15の両端への切欠21の距離は、板ばね５の側方脚部23を
保持ラグ19上へ案内し、背後からフック留めすることが
できるように選ばれている。ライニング支持体の外縁11
に板ばねを固定するのはライニング支持体をブレーキサ
ドルから分離した際に行なうことができるか、またはラ
イニング凹所中へライニング支持体を入れた直後に行な
われ、いずれの場合でも固定は、後続の保持わん曲材７
の位置決めおよびねじ締めの前に行なわれ、該わん曲材
はその固定後に、ライニング支持体に位置決めされた板
ばね５に対して下向きの力を加える。ディスクブレーキ
が車両の運動している際に強い衝撃、つまり非常に高い
加速度を受けると、板ばね５によりライニング支持体の
外方へ向かう運動が妨げられ；これによりライニング凹
所内でのライニングのがたつきないしは案内面のたわみ
が阻止される。

図４からは、保持ラグ19が外側、つまりアイ３に面し
た位置にアンダカット部25を有することが認められる。
板ばね５が保持わん曲材７により既に若干予張力を負荷
されている板ばねの取付け状態では、双方の保持ラグ19
が、図１に示したように、双方の脚部23における窓ない
しは切欠21中へ突入する、つまり板ばね５は保持ラグ19
に脱落不能に保持され、その際切欠21の両外縁は保持ラ
グと接触しない。ライニング支持体交換の際には、あら
かじめ保持わん曲材７をブレーキサドルにおけるねじ結
合（図示せず）を解除することによりその保持位置から
解放した後に、板ばね５を保持ラグ19から取除くことが
できる。保持わん曲材７のこの解放、つまりわん曲材の
旋回の際、またはねじ結合が不慮に切断した場合に、ラ
イニング支持体１における板ばね５の所定の保持のた
め、ライニング支持体からの板ばねの爆発様緊張解除が
起きることはない。それというのも板ばねは、上述した
ように、ライニング支持体に取付けられていて、分離
は、適当な工具を用いるかまたは他の方法で板ばね５を
下向きに押圧して、切欠21を有する脚部23を板ばねの伸
長の結果保持ラグから持上げて外ずすことができるとき
にのみ可能であるからである。

図４ならびに図１による図面から、保持ラグはとくに
外縁の範囲内に斜め面取部27を有することが認められ；
この面取部が板ばねの取付けを容易にする。それという
のもこの板ばねが斜め面取部を押圧して、ライニング支
持体において図１に実線で示した位置をとることができ
るからである。

図１〜３により、板ばね５はその両端29が上方へ向け
て丸くされ、図１に示したように、両端が丸くされた個
所でラグ17に接するようになっていてもよい。しかし、
本発明は板ばねのこのような実施形に制限されない、つ
まり本発明の根底をなす、ライニング支持体に板ばねを
保持する原理は、板ばねの他種の構成の場合でも、ライ
ニング支持体に設けられた、ライニング凹所から抜取る
のに使用されるアイの他の成形の場合でも実施される。

記載した種類の板ばねは、とくに公知組成のばね鋼か
らなる。このような板ばねの製造は、非常に簡単に実施
することができる。つまり板ばねは簡単な工具で製造す
ることができる。同様に、ライニング支持体１に上記構
造および作用法の保持ラグを設けるのは、製造技術の点
では非常に簡単である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 トリンペ，ローベルト ドイツ連邦共和国 Ｄ―8000 ミュンヘ ン 50 ボックマイルシュトラーセ ５ (56)参考文献 特開 昭62−292931（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−105129（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−53228（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−124470（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−92133（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−50322（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F16D 65/097

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】路面走行車両用のディスクブレーキのため
   のライニング保持装置であって、ブレーキサドル若しく
   はブレーキケーシングに設けられたライニング凹所を有
   しており、該ライニング凹所内に、それぞれ１つの摩擦
   ライニングを支持するライニング支持体及び場合によっ
   ては圧力分配板が導入可能であって、この場合、ライニ
   ング支持体及び場合によっては圧力分配板の外縁に板ば
   ねが作用するようになっており、該板ばねが、サドル側
   若しくはケーシング側で、解除可能な保持部材に支えら
   れていて、取り付けられた状態で、ライニング支持体若
   しくは圧力分配板の両側で突き出る２つの保持ラグ（1
   9）によって、自発的な解除が阻止されるようになって
   いる形式のものにおいて、 （ａ）板ばね（５）の各側方脚部に切欠（21）が形成さ
   れており、 （ｂ）保持ラグ（19）が、ライニング支持体（１）若し
   くは圧力分配板の外縁から突き出ていて、しかも外縁部
   でアンダカット部を有する突起部として構成されてい
   て、該突起部が、取り付けられた状態で、各切欠（21）
   を貫通して、この切欠（21）の外縁部がアンダカット部
   に当接する、 ことを特徴とする、路面走行車両用のディスクブレーキ
   のためのライニング保持装置。
2. 【請求項２】板ばね（５）は、該板ばね（５）の取付け
   時に、板ばね（５）の緊張された状態に基づいて、切欠
   （21）が妨げられることなく突起部（19）上にガイド可
   能であるような湾曲を有している、請求項１記載のライ
   ニング保持装置。
3. 【請求項３】板ばね（５）が、丸味のつけられた端部
   （29）を有しており、該端部（29）は、取り付けられた
   状態で、ライニング支持体（１）若しくは圧力分配板を
   引き抜くのに使用されるラグ（17）に当接している、請
   求項１又は２記載のライニング保持装置。
4. 【請求項４】板ばね（５）の中央部（15）が、板ばねを
   取り付けた状態で、ライニング支持体（１）若しくは圧
   力分配板の外縁（11）に対して、次のような間隔を有し
   ている、つまり、板ばね（５）の中央部（15）に対する
   ライニング支持体（１）若しくは圧力分配板のばね運動
   のために、十分な自由室が存在するような間隔を有して
   いる、請求項１から３までのいずれか１項記載のライニ
   ング保持装置。
5. 【請求項５】板ばね（５）の中央部（15）から突き出る
   突き出し部（９）が設けられていて、該突き出し部
   （９）によって、板ばね（５）を取り付けた状態で、保
   持部材（７）がプレロード（若しくは予荷重）を受けて
   板ばね（５）に作用する、請求項１から４までのいずれ
   か１項記載のライニング保持装置。
6. 【請求項６】保持部材として、ブレーキサドル若しくは
   ブレーキケーシングにねじ込み可能な又はその他の形式
   で固定可能な保持わん曲材（７）が設けられている、請
   求項１から５までのいずれか１項記載のライニング保持
   装置。