JP3129954B2 - 金属化フィルムコンデンサ - Google Patents

金属化フィルムコンデンサ

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JP3129954B2 JP07345836A JP34583695A JP3129954B2 JP 3129954 B2 JP3129954 B2 JP 3129954B2 JP 07345836 A JP07345836 A JP 07345836A JP 34583695 A JP34583695 A JP 34583695A JP 3129954 B2 JP3129954 B2 JP 3129954B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は金属化フィルムコ
ンデンサに係り、特に金属化フィルムの蒸着金属とメタ
リコン製外部電極との間に生ずるコロナ放電によって、
誘電体フィルムが熱劣化することを抑制するための対策
を講じた金属化フィルムコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の金属化フィルムコンデンサは、ポ
リプロピレンやポリエチレン等より成る誘電体フィルム
の表面に、それぞれアルミニウムや亜鉛等より成る電極
膜を10nm〜80nmの厚さで被着させた金属化フィルムを積
層した後に、巻取機によって巻回して終端部を止着し、
これに加熱及び加圧処理を施してコンデンサ素子を形成
し、該コンデンサ素子の両端面に金属材料を溶射してリ
ード端子接続用の外部電極(メタリコン電極)を形成し
て成る。上記誘電体フィルムの表面には、一方の側辺に
沿って所定の幅でマージン部(すなわち電極膜に覆われ
ない部分)が確保されている。また、他方の誘電体フィ
ルムの表面にも、上記とは反対側の側辺に沿って同様の
マージン部が確保されている。
【0003】図15は、上記のようにして得られた金属
化フィルムコンデンサ70の内部構造を示す断面図であ
り、各電極膜72が、それぞれ誘電体フィルム12を間に介
して対向配置されている様子が描かれている。また、積
層された各電極膜72の一方の端部72aは、それぞれ交互
に左右の外部電極18に接続されている。さらに、各電極
膜72の他方の端部72b(誘電体フィルム12のマージン部
24と接する側の端部)と左右何れかの外部電極18との間
には、空隙32が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、各電極膜72
の端部72bと外部電極18との間に形成される上記空隙32
は、本来、上記マージン部24に対応した十分な幅が確保
されるべきであるが、実際には外部電極18の形成に際し
て、溶融したメタリコンが上記空隙32に侵入する結果、
その幅がかなり狭小化することとなる。しかも、侵入し
たメタリコンの表面は不均一な形状となり、尖鋭部が生
じるため、そこに電界が集中し、比較的低い電圧で外部
電極18と電極膜72の端部72bとの間に沿面コロナ放電が
生成される。この沿面コロナ放電は、やがて空隙32にお
ける空間放電に移行し、そのコロナ放電による熱エネル
ギによって、電極膜72が加熱されると共に、誘電体フィ
ルム12が熱劣化し、甚だしい場合には絶縁破壊が生じ
て、当該誘電体フィルム12の上下に配された電極膜72,
72間が短絡することとなる。
【0005】元来、金属化フィルムコンデンサは、誘電
体フィルムに部分的な絶縁破壊が生じて電極膜間が短絡
しても、すぐに絶縁性を回復する自己回復性を備えてい
るのであるが、コロナ放電が頻繁に発生する状況下で
は、部分的絶縁破壊の発生回数も増加し、誘電体フィル
ムの静電容量が変動したり、終局的な熱破壊に至ること
となる。特に、電源の電磁障害防止用コンデンサにあっ
ては、定格電圧250[V]の場合にAC1000
[V]以上の耐電圧が要求されるのであるが、このよう
な高電圧が継続して印加されると非常に高い頻度でコロ
ナ放電が発生するため、何らかの熱対策を講ずることが
不可欠となる。また、電源の電磁障害防止用コンデンサ
でなくとも、フィルムコンデンサには一般に製品の安全
性を考慮して種々の安全規格が定められており、例え
ば、ある安全規格の耐電圧試験では1500Vrmsの試
験電圧を60秒間印加しても絶縁破壊が生じないことや、
絶縁抵抗、静電容量あるいは誘電正接が規格の許容差内
に止まっていることが要求されるため、コロナ放電によ
る誘電体フィルムの熱劣化を最小限に抑える必要があ
る。
【0006】そのため、誘電体フィルムを厚くして耐
熱性を向上させる、マージン幅を大きく設定してコロ
ナ放電の発生を抑制させる、金属化フィルムを硬く巻
回してメタリコンの浸入を防止する、シリコン系のオ
イルをコンデンサ素子の両端面から真空含浸させて放電
空間たる上記空隙を除去する、等の方策が採られてき
た。
【0007】しかしながら、上記及びは素子の大型
化やコスト高を招くこととなり、または実効性に劣る
という欠点があった。これに対しの場合は、性能的に
はほぼ満足すべき効果を上げ得るのであるが、含浸工程
自体に相当な手間がかかる上に、含浸後の拭き取り工程
が不可欠である等、作業効率の点で問題があった。ま
た、使用時に含浸剤が漏れ出す危険性もあった。
【0008】本発明は、従来例の抱える上記の問題を解
決するために案出されたものであり、素子の大型化やコ
ストの上昇、工程の煩雑化を伴うことなく、メタリコン
製外部電極と蒸着金属との間におけるコロナ放電によっ
て誘電体フィルムが熱劣化することを有効に抑制でき、
長寿命で信頼性の高い金属化フィルムコンデンサを実現
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る金属化フィルムコンデンサは、一対
の誘電体フィルムの表面に、それぞれ一側辺に沿ってマ
ージン部が形成されるように金属材料を蒸着して金属化
フィルムと成し、両金属化フィルムをそれぞれのマージ
ン部が反対側に配されるように積層し、これを巻回して
コンデンサ素子を形成すると共に、該コンデンサ素子の
両端面に金属材料を溶射して外部電極を形成して成る金
属化フィルムコンデンサにおいて、上記金属化フィルム
は、誘電体フィルムの表面に金属粒子を付着させ、該金
属粒子を核成長によって薄膜化させて形成した薄膜成長
部と、誘電体フィルムの表面に付着させた金属粒子の付
着量を薄膜形成に至らない量と成して形成した薄膜未成
長部とを備え、該薄膜未成長部の一端側が上記マージン
部と接すると共に、他端側が上記薄膜成長部と接するよ
う構成したことを特徴とする。上記薄膜未成長部の表面
には、絶縁性の酸化膜が形成されていることが望まし
い。
【0010】このように、本来の電極膜に該当する薄膜
成長部とマージン部との間に薄膜未成長部を介在させた
ことにより、外部電極と蒸着金属との間におけるコロナ
放電によって誘電体フィルムが熱劣化することを有効に
回避できる。すなわち、従来の金属化フィルムは、真空
蒸着法により、マージン部との境界部分まで十分に薄膜
成長(核成長)させた電極膜を形成しており、その端面
は金属粒子が略均一に整列された、比較的滑らかな面と
成されていた。このため、外部電極と電極膜の端部との
間でコロナ放電が生成する際には、その端面の内でも比
較的電界集中し易い箇所(成膜過程で偶発的に生じた傷
の部分や金属粒子が不均一に並んだ箇所等)に集中的に
放電が生成される結果、コロナ放電による熱衝撃も誘電
体フィルムの限られた箇所に集中することとなり、それ
だけ損傷の程度も大きくなっていた。また、金属膜中で
は金属粒子同士が極めて緻密かつ強固に結合されている
ため、放電によって加速された電子やイオンがある金属
粒子に衝突した場合には、その衝撃が広く分散すること
がなく、比較的狭い範囲に集中する傾向が見られた。さ
らに、コロナ放電が一旦生成した箇所には、以後何度も
繰り返してコロナ放電が生成される傾向があり、余計に
当該箇所近傍の誘電体フィルムが損傷することとなる。
しかも、当該放電箇所には放電の衝撃によって窪みが生
じるため、ホローカソード効果が生じて放電の持続時間
が長くなり、誘電体フィルムに与えるダメージがさらに
助長されることとなる。
【0011】これに対し、本発明にあっては、上記薄膜
成長部は従来の電極膜と同様、金属粒子が比較的均一か
つ規則的に配列されており、コンデンサ電極本来の機能
を十分発揮し得るのであるが、上記薄膜未成長部の先端
部分及び表面は金属粒子が凸凹に配列された状態となっ
ている。このため、コロナ放電も薄膜未成長部の多数の
箇所と外部電極との間で同時分散的に生成されることと
なり、大きな放電エネルギが局所に加わることがない。
この結果、コロナ放電による熱衝撃も誘電体フィルムの
比較的広い箇所に分散することとなり、特定の箇所が大
きく損傷することを有効に回避できる。
【0012】しかも、薄膜未成長部の各金属粒子は、膜
成長した金属粒子同士の結合力に比較して極めて弱い粒
子間結合力であるファン・デル・ワールス力(van der
Waals force)等の静電的相互作用によって結合されて
いるため、コロナ放電力によって加速された電子あるい
はイオンがある金属粒子に衝突した場合には、当該金属
粒子は弾性散乱あるいは非弾性散乱を起こして飛散し、
他の複数の金属粒子に連鎖的に衝突して行き、衝突の衝
撃が短時間の内に比較的広い範囲に拡散することとな
る。この結果、放電による熱エネルギの総量は変わらな
いとしても、誘電体フィルムの狭い箇所に熱が集中的に
付加されることを回避できる。
【0013】さらに、薄膜未成長部のある箇所において
一旦コロナ放電が生成すると、その放電による熱エネル
ギによって金属粒子同士が融着し、当該箇所が比較的丸
味を帯びた状態となり、凸凹状態にある他の部分に比べ
て電界集中し難くなるため、次回のコロナ放電が当該箇
所に生成される確率が低くなる。この結果、限られた狭
い箇所に放電が何度も繰り返し生成し、誘電体フィルム
が局所的に損傷することを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1及び図2に示すように、本発
明に係る金属化フィルムコンデンサ10は、ポリプロピレ
ンやポリエチレン等より成る誘電体フィルム12の表面
に、それぞれアルミニウムや亜鉛等の金属材料を蒸着し
て成る一対の金属化フィルム14を積層した後に(図
1)、図示しない巻取機によって巻回して終端部を止着
し、これに加熱及び加圧処理を施して扁平化されたコン
デンサ素子16を形成し、該コンデンサ素子16の両端面に
丹銅や半田等の金属材料を溶射するメタリコンを施し
て、外部電極18を形成して成る(図2)。各外部電極18
には、それぞれ半田20を介してリード端子22が接続され
ている。なお、図示は省略したが、該金属化フィルムコ
ンデンサ10の表面に、樹脂モールド等の適当な絶縁外装
を施すことが望ましい。
【0015】上記金属化フィルム14の表面には、図1に
示すように、それぞれ反対側の側辺に沿って金属材料が
蒸着されていないマージン部24が所定の幅(例えば2m
m)で形成されている。また、図3に示すように、金属
材料が蒸着された部分は、金属粒子を核成長によって薄
膜化した薄膜成長部26と、金属粒子をファン・デル・ワ
ールス力等の静電的相互作用によって吸着させただけ
の、膜成長されていない薄膜未成長部28とから構成され
る。この薄膜未成長部28の一端28aはマージン部24に接
すると共に、他端28bは薄膜成長部26の端部に接してい
る。上記薄膜未成長部28は、上記マージン部24に沿って
所定の幅(例えば0.3mm〜0.1mm)で形成されている。ま
た、薄膜未成長部28は、その全域に亘って均一の厚さ備
えているものではなく、図4に示すように、マージン部
24との境界部分から薄膜成長部26との境界部分に向かっ
て厚さが漸増するように形成されている。
【0016】上記薄膜成長部26は、例えば以下のように
形成される。まず、図示しない真空チャンバ(真空度:
約10-4Torr)内に誘電体フィルム12を配置し、その下
方に溶融した金属材料を収容した溶融金属槽を配置す
る。該溶融金属槽を出発した金属粒子は、誘電体フィル
ム12の表面に到達すると、表面のより捕獲されやすい場
所(捕獲中心、すなわち原子的大きさのへこみ、角、段
など)に捕獲され核を形成する。この核はつぎつぎに到
着する金属粒子や、隣接する核の一部あるいは全部と合
体して成長し、ある臨界値以上になると安定した状態と
なる(これを「安定核」という)。そして、誘電体フィ
ルム12の表面に安定核が多数できて互いに接触、合体し
て島状構造(island stage)になり、島がつながって海
峡を残す状態(channel stage)、海峡が穴に縮まった
状態(hole stage)を経て、ついに一様な連続体とな
り、上記薄膜成長部26を構成することとなる。
【0017】これに対し、上記薄膜が形成される前の段
階で金属粒子の付着を停止すれば、上記薄膜未成長部28
を形成することができる。例えば、図5〜図8に示すよ
うに、誘電体フィルム12の表面(下面)の右端をマスク
テープ30で覆った上で、誘電体フィルム12の表面に図中
下方より金属蒸気αを導き、時間の経過に伴ってマスク
テープ30を右方向にずらして行けば、当初からマスクテ
ープ30に覆われていなかった部分は金属蒸気に十分長く
曝されることとなり、薄膜成長部26が形成される(図
8)。また、最後までマスクテープ30で覆われていた部
分には、一切の金属粒子が到達し得ず、ここがマージン
部24を形成することとなる(図8)。また、マスクテー
プ30の移動によって新たに露出した部分には、その露出
時間に応じた量の金属粒子が付着することとなるが、当
初からマスクテープ30に覆われていなかった部分に比べ
て金属粒子の付着量が少ないため薄膜が形成されるには
至らず、ここが薄膜未成長部28を構成することとなる
(図8)。なお、同じ薄膜未成長部28であっても、その
露出時間に応じて核成長の段階が異なり、最も長く露出
していた部分(すなわち薄膜成長部26と接する部分)に
は比較的厚く金属粒子が付着しており、薄膜形成の一歩
手前の状態なっている。これに対し、最も短く露出して
いた部分(すなわちマージン部24と接する部分)は核成
長の極初期の段階にあり、非常に弱い吸着力によって金
属粒子同士が結合している。このようにして得られた金
属化フィルム14を真空チャンバから取り出して空気に曝
すと、薄膜未成長部28の表面に酸化膜が形成され、特に
マージン部24と接する部分の表面は略完全な絶縁物と化
す。
【0018】図9は、金属化フィルムコンデンサ10の内
部構造を示す断面図であり、各薄膜成長部26が、それぞ
れ誘電体フィルム12を間に介して対向している様子が描
かれている。薄膜成長部26の一方の端部26aは、それぞ
れ交互に左右の外部電極18と密着接続されている。ま
た、薄膜成長部26の他方の端部26b側には、上記マージ
ン部24に対応した空隙32が所定の幅で形成されている。
さらに、薄膜成長部26の他方の端部26bとマージン部24
との境界部分には、薄膜未成長部28が配置されている。
【0019】このように、本来の電極膜(コンデンサ電
極)に該当する薄膜成長部26とマージン部24との間に薄
膜未成長部28を介在させたことにより、上記空隙32にお
けるコロナ放電によって誘電体フィルム12が熱劣化する
ことを有効に回避できるのであるが、この理由を従来例
との対比で説明する。すなわち、従来の金属化フィルム
は、図10に示すように、マージン部24との境界部分ま
で十分に薄膜成長させ、金属粒子が略均一に整列された
電極膜72を形成して成り、図11に示すように、その端
面72aも誘電体フィルム12の表面に対して略垂直に揃え
られ、かつ比較的滑らかな面と成されていた。この結
果、外部電極18と電極膜72の端面72aとの間でコロナ放
電Xが生成する際には、その端面72aの内でも比較的電
界集中し易い箇所(例えば、電極膜72を形成する際に偶
発的に生じた傷の部分)に集中的に放電が生成され、大
きな放電エネルギが局所に加わる傾向がみられた。この
ため、コロナ放電Xによる熱衝撃も誘電体フィルム12の
限られた箇所に集中することとなり、それだけ損傷の程
度も大きくなる。また、図12に示すように、金属粒子
34同士が極めて緻密かつ整然と配列され、互いに強固に
結合されているため、放電によって加速された電子やイ
オン36がある金属粒子34に衝突した場合には、その衝撃
が広く分散することがなく、比較的狭い範囲に大きな熱
エネルギが集中する傾向が見られた。さらに、コロナ放
電が一旦生成した箇所には、以後何度も繰り返してコロ
ナ放電が生成される傾向があり、余計に当該箇所近傍の
誘電体フィルム12が損傷することとなる。しかも、図1
3に示すように、当該放電箇所には放電の衝撃によって
窪みが生じるため、ホローカソード効果が生じて放電の
持続時間が長くなり、誘電体フィルム12に与えるダメー
ジがさらに助長されることとなる。
【0020】これに対し本発明にあっては、上記薄膜未
成長部28の先端部分(マージン部24と接する辺)及び表
面が、金属粒子が凸凹に配列された状態となっているた
め、コロナ放電Xも薄膜未成長部28の多数の箇所と外部
電極18との間で同時分散的に生成されることとなり(図
3)、大きな放電エネルギが局所に加わることがない。
この結果、コロナ放電による熱衝撃も誘電体フィルム12
の比較的広い箇所に分散することとなり、特定の箇所が
大きく損傷することを有効に回避できる。
【0021】しかも、各金属粒子は薄膜成長した金属粒
子同士の結合力に比較して極めて弱いファン・デル・ワ
ールス力等の静電的相互作用によって結合されているた
め、図14に示すように、コロナ放電力によって加速さ
れた電子あるいはイオン36がある金属粒子34に衝突した
場合には、当該金属粒子34は弾性散乱あるいは非弾性散
乱を起こして飛散し、他の複数の金属粒子34に連鎖的に
衝突して行き、衝突の衝撃が短時間の内に比較的広い範
囲に拡散することとなる。この結果、放電による熱エネ
ルギの総量は変わらないとしても、誘電体フィルム12の
狭い箇所に熱が集中的に付加されることを回避できる。
【0022】さらに、ある箇所において一旦コロナ放電
が生成すると、その放電による熱エネルギによって放電
箇所近傍の金属粒子同士が融着し、比較的丸味を帯びた
状態となるため、凸凹状態にある他の部分に比べて電界
集中し難くなる。この結果、次回のコロナ放電が当該箇
所に生成される確率が低くなり、限られた狭い箇所に放
電が何度も繰り返し発生して、誘電体フィルム12が局所
的に損傷することを防止することができる。
【0023】なお、上記のように、薄膜未成長部28の厚
さが上記マージン部24と接する一端28a側から上記薄膜
成長部26と接する他端28b側に向けて漸増するよう構成
すると、薄膜未成長部28全体を必要最小限の厚さでマー
ジン部24から薄膜成長部26まで形成した場合に比べ、外
部電極18との間に形成される空隙32の容積が低減し(図
9)、空隙32中に含まれる電子やイオンの量が減少する
ため、コロナ放電が持続し難くなるという利点がある。
また、上記のように薄膜未成長部28の表面に絶縁性の酸
化膜が形成されることにより、コロナ放電が生成し難く
なるという効果も期待できる。
【0024】
【発明の効果】本発明に係る金属化フィルムコンデンサ
にあっては、本来の電極膜として機能する薄膜成長部と
マージン部との間に、金属粒子同士が比較的弱い力で吸
着された薄膜未成長部を介在させたため、コロナ放電に
よる熱衝撃が誘電体フィルムの比較的広い箇所に分散す
ることとなり、特定の箇所が大きく損傷することを有効
に回避できる。このため、長寿命で信頼性の高い金属化
フィルムコンデンサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属化フィルムを重ねて巻回する
様子を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る金属化フィルムコンデンサを示す
斜視図である。
【図3】本発明に係る金属化フィルムを示す部分平面図
である。
【図4】本発明に係る金属化フィルムを示す側面模式図
である。
【図5】本発明に係る金属化フィルムの製造工程を示す
側面模式図である。
【図6】本発明に係る金属化フィルムの製造工程を示す
側面模式図である。
【図7】本発明に係る金属化フィルムの製造工程を示す
側面模式図である。
【図8】本発明に係る金属化フィルムの製造工程を示す
側面模式図である。
【図9】本発明に係る金属化フィルムコンデンサの内部
構造を示す部分断面図である。
【図10】従来の金属化フィルムを示す部分平面図であ
る。
【図11】従来の金属化フィルムを示す側面模式図であ
る。
【図12】従来の金属化フィルムにおける金属粒子の配
列を示す模式図である。
【図13】従来の金属化フィルムにおける金属粒子の配
列を示す模式図である。
【図14】本発明の金属化フィルムにおける金属粒子の
配列を示す模式図である。
【図15】従来の金属化フィルムコンデンサの内部構造
を示す部分断面図である。
【符号の説明】
10 金属化フィルムコンデンサ 12 誘電体フィルム 14 金属化フィルム 16 コンデンサ素子 18 外部電極 24 マージン部 26 薄膜成長部 28 薄膜未成長部 28a 薄膜未成長部の一端 28 薄膜未成長部の他端 34 金属粒子

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の誘電体フィルムの表面に、それぞ
    れ一側辺に沿ってマージン部が形成されるように金属材
    料を蒸着して金属化フィルムと成し、両金属化フィルム
    をそれぞれのマージン部が反対側に配されるように積層
    し、これを巻回してコンデンサ素子を形成すると共に、
    該コンデンサ素子の両端面に金属材料を溶射して外部電
    極を形成して成る金属化フィルムコンデンサにおいて、
    上記金属化フィルムは、誘電体フィルムの表面に金属粒
    子を付着させ、該金属粒子を核成長によって薄膜化させ
    て形成した薄膜成長部と、誘電体フィルムの表面に付着
    させた金属粒子の付着量を薄膜形成に至らない量と成し
    て形成した薄膜未成長部とを備え、該薄膜未成長部の一
    端側が上記マージン部と接すると共に、他端側が上記薄
    膜成長部と接するよう構成したことを特徴とする金属化
    フィルムコンデンサ。
  2. 【請求項2】 上記薄膜未成長部の表面に、絶縁性の酸
    化膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載
    の金属化フィルムコンデンサ。
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