JP2847356B2 - 金属化フィルムコンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

金属化フィルムコンデンサ及びその製造方法

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JP2847356B2 JP34729995A JP34729995A JP2847356B2 JP 2847356 B2 JP2847356 B2 JP 2847356B2 JP 34729995 A JP34729995 A JP 34729995A JP 34729995 A JP34729995 A JP 34729995A JP 2847356 B2 JP2847356 B2 JP 2847356B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は金属化フィルムコ
ンデンサに係り、特に金属化フィルムの蒸着電極層とメ
タリコン製外部電極との間に生ずるコロナ放電によっ
て、誘電体フィルムが熱劣化することを抑制するための
対策を講じた金属化フィルムコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の金属化フィルムコンデンサは、ポ
リプロピレンやポリエチレン等より成る誘電体フィルム
の表面に、それぞれアルミニウムや亜鉛等より成る電極
層を10nm〜80nmの厚さで被着させた金属化フィルムを重
ね合わせた後に、巻取機によって巻回して終端部を止着
し、これに加熱及び加圧処理を施してコンデンサ素子を
形成し、該コンデンサ素子の両端面に金属材料を溶射し
てリード端子接続用の外部電極(メタリコン電極)を形
成して成る。上記誘電体フィルムの表面には、一方の側
辺に沿って所定の幅でマージン部(すなわち電極層に覆
われない部分)が確保されている。また、他方の誘電体
フィルムの表面にも、上記とは反対側の側辺に沿って同
様のマージン部が確保されている。
【0003】図12は、上記のようにして得られた金属
化フィルムコンデンサ70の内部構造を示す断面図であ
り、各電極層72が、それぞれ誘電体フィルム12を間に介
して対向配置されている様子が描かれている。また、各
電極層72の一方の端部72aは、それぞれ交互に左右の外
部電極18に接続されている。さらに、各電極層72の他方
の端部72b(誘電体フィルム12のマージン部24と接する
側の端部)と左右何れかの外部電極18との間には、空隙
32が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、各電極層72
の端部72bと外部電極18との間に形成される上記空隙32
は、本来、上記マージン部24に対応した十分な幅が確保
されるべきであるが、実際には外部電極18の形成に際し
て、溶融したメタリコンが上記空隙32に侵入する結果、
その幅がかなり狭小化することとなる。しかも、侵入し
たメタリコンの表面は不均一な形状となり尖鋭部が生じ
るため、そこに電界が集中し、比較的低い電圧で外部電
極18と電極層72の端部72bとの間に挟まれた誘電体フィ
ルム12の表面に沿面コロナ放電が生成される。この沿面
コロナ放電は、やがて空隙32における空間放電に移行
し、そのコロナ放電による熱エネルギによって、電極層
72が加熱されると共に、誘電体フィルム12が熱劣化し、
甚だしい場合には絶縁破壊が生じて、当該誘電体フィル
ム12の上下に配された電極層72,72間が短絡することと
なる。
【0005】元来、金属化フィルムコンデンサは、誘電
体フィルムに部分的な絶縁破壊が生じて電極層間が短絡
しても、すぐに絶縁性を回復する自己回復性を備えてい
るのであるが、コロナ放電が頻繁に発生する状況下で
は、部分的絶縁破壊の発生回数も増加し、誘電体フィル
ムの静電容量が変動したり、終局的な熱破壊すなわち発
煙・発火に至ることとなる。特に、電源の電磁障害防止
用コンデンサにあっては、定格電圧250[V]の場合
にAC1000[V]以上の耐電圧が要求されるのであ
るが、このような高電圧が継続して印加されると非常に
高い頻度でコロナ放電が発生するため、何らかの熱対策
を講ずることが不可欠となる。また、電源の電磁障害防
止用コンデンサでなくとも、フィルムコンデンサには一
般に製品の安全性を考慮してULやIEC等種々の安全
規格が定められており、例えば、ある安全規格の耐電圧
試験では1500Vrmsの試験電圧を60秒間印加しても
絶縁破壊が生じないことや、絶縁抵抗、静電容量あるい
は誘電正接が規格の許容差内に止まっていることが要求
されるため、コロナ放電による誘電体フィルムの熱劣化
を最小限に抑える必要がある。
【0006】そのため、誘電体フィルムを厚くして耐
熱性を向上させる、マージン幅を大きく設定してコロ
ナ放電の発生を抑制させる、金属化フィルムを硬く巻
回してメタリコンの浸入を防止する、シリコン系のオ
イルをコンデンサ素子の両端面から真空含浸させて放電
空間たる上記空隙を除去する、等の方策が採られてき
た。
【0007】しかしながら、上記及びは素子の大型
化やコスト高を招くこととなり、または実効性に劣る
という欠点があった。これに対しの場合は、性能的に
はほぼ満足すべき効果を上げ得るのであるが、含浸工程
自体に相当な手間がかかる上に、含浸後の拭き取り工程
が不可欠である等、作業効率の点で問題があった。ま
た、使用時に含浸剤が漏れ出す危険性もあった。
【0008】本発明は、従来例の抱える上記の問題を解
決するために案出されたものであり、素子の大型化やコ
ストの上昇、工程の煩雑化を伴うことなく、メタリコン
製外部電極と蒸着電極層との間におけるコロナ放電によ
って誘電体フィルムが熱劣化することを有効に抑制で
き、長寿命で信頼性の高い金属化フィルムコンデンサを
実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る金属化フィルムコンデンサは、一側
辺に沿ってマージン部が残されるように、誘電体フィル
ムの表面に金属材料を蒸着して電極層を形成した一対の
金属化フィルムを、それぞれのマージン部が反対側に配
されるように重ね合わせ、これを巻回してコンデンサ素
子を形成すると共に、該コンデンサ素子の両端面に金属
材料を溶射して外部電極を形成して成る金属化フィルム
コンデンサにおいて、上記電極層を、金属粒子を静電的
相互作用によって吸着させた薄膜未成長構造と成したこ
とを特徴とする。
【0010】このように、電極層を薄膜未成長構造と成
したことにより、外部電極と電極層との間におけるコロ
ナ放電によって、誘電体フィルムが熱劣化することを有
効に抑制できる。すなわち、従来の金属化フィルムは、
真空蒸着法により、マージン部との境界部分まで十分に
薄膜成長(核成長)させた電極層を形成しており、その
端部は金属粒子が略均一に整列された、比較的滑らかな
面と成されていた。このため、外部電極と電極層の端部
との間でコロナ放電が生成する際には、比較的電界集中
し易い箇所(成膜過程で偶発的に生じた傷の部分や金属
粒子が不均一に並んだ箇所等)に集中的に放電が生成さ
れる結果、コロナ放電による熱衝撃も誘電体フィルムの
限られた箇所に集中することとなり、それだけ損傷の程
度も大きくなっていた。また、電極層内では金属粒子同
士が極めて緻密かつ強固に結合されているため、放電に
よって加速された電子やイオンがある金属粒子に衝突し
た場合には、その衝撃が広く分散することがなく、比較
的狭い範囲に集中する傾向が見られた。さらに、コロナ
放電が一旦生成した箇所には、以後何度も繰り返してコ
ロナ放電が生成される傾向があり、余計に当該箇所近傍
の誘電体フィルムが損傷することとなる。しかも、当該
放電箇所には放電の衝撃によって窪みが生じるため、ホ
ローカソード効果が生じて放電の持続時間が長くなり、
誘電体フィルムに与えるダメージが助長されることとな
る。
【0011】これに対し、本発明にあっては、電極層が
薄膜未成長構造を備えており、マージン部との境界部分
をも含め、表面が金属粒子を凸凹に配列させた状態とな
っている。このため、コロナ放電も電極層端部の多数の
箇所と外部電極との間で同時分散的に生成されることと
なり、大きな放電エネルギが局所に加わることがない。
この結果、コロナ放電による熱衝撃も誘電体フィルムの
比較的広い箇所に分散することとなり、特定の箇所が大
きく損傷することを有効に回避できる。
【0012】しかも、電極層の各金属粒子は、膜成長し
た金属粒子同士の結合力に比較して極めて弱い粒子間結
合力であるファン・デル・ワールス力(van der Waals
force)等の静電的相互作用によって結合されているた
め、コロナ放電力によって加速された電子あるいはイオ
ンがある金属粒子に衝突した場合には、当該金属粒子は
弾性散乱あるいは非弾性散乱を起こして飛散し、他の複
数の金属粒子に連鎖的に衝突して行き、衝突の衝撃が短
時間の内に比較的広い範囲に拡散することとなる。この
結果、放電による熱エネルギの総量は変わらないとして
も、誘電体フィルムの狭い箇所に熱が集中的に付加され
ることを回避できる。
【0013】さらに、電極層のある箇所において一旦コ
ロナ放電が生成すると、その放電による熱エネルギによ
って金属粒子同士が融着し、当該箇所が比較的丸味を帯
びた状態となり、凸凹状態にある他の部分に比べて電界
集中し難くなるため、次回のコロナ放電が当該箇所に生
成される確率が低くなる。この結果、限られた狭い箇所
に放電が何度も繰り返し生成し、誘電体フィルムが局所
的に損傷することを防止することができる。
【0014】本発明に係る他の金属化フィルムコンデン
サは、一側辺に沿ってマージン部が残されるように、誘
電体フィルムの表面に金属材料を蒸着して電極層を形成
した一対の金属化フィルムを、それぞれのマージン部が
反対側に配されるように重ね合わせ、これを巻回してコ
ンデンサ素子を形成すると共に、該コンデンサ素子の両
端面に金属材料を溶射して外部電極を形成して成る金属
化フィルムコンデンサにおいて、上記電極層を、上記誘
電体フィルムの表面を覆う、金属粒子を核成長によって
薄膜化させた薄膜成長構造を備えた層と、この層を覆
う、金属粒子を静電的相互作用によって吸着させた薄膜
未成長構造を備えた層とから成る2層構造としたことを
特徴とする。
【0015】上記した電極層の薄膜未成長構造は、例え
ば、誘電体フィルムの表面に溶融金属漕から出発した金
属粒子を導くと共に該金属粒子を冷却して、誘電体フィ
ルムの表面に到達した金属粒子から核成長するに足りる
熱エネルギをを奪うことによって実現される。
【0016】
【発明の実施の形態】図1及び図2に示すように、本発
明に係る金属化フィルムコンデンサ10は、ポリプロピレ
ンやポリエチレン等より成る誘電体フィルム12の表面
に、それぞれアルミニウムや亜鉛等の金属材料を蒸着し
て電極層13を形成した一対の金属化フィルム14を重ね合
わせた後に(図1)、図示しない巻取機によって巻回し
て終端部を止着し、これに加熱及び加圧処理を施して扁
平化されたコンデンサ素子16を形成し、該コンデンサ素
子16の両端面に丹銅や半田等の金属材料を溶射するメタ
リコンを施して、外部電極18を形成して成る(図2)。
各外部電極18には、それぞれ半田20を介してリード端子
22が接続されている。上記電極層13は各誘電体フィルム
12の表面全域に被着されているのではなく、それぞれ反
対側の側辺に沿って、電極層13の被着されていないマー
ジン部24が所定の幅(例えば2mm)で形成されている。
なお、図示は省略したが、該金属化フィルムコンデンサ
10の表面に、樹脂モールド等の適当な絶縁外装を施すこ
とが望ましい。
【0017】図3は、金属化フィルムコンデンサ10の内
部構造を示す断面図であり、各電極層13が、それぞれ誘
電体フィルム12を間に介して対向している様子が描かれ
ている。電極層13の一方の端部13aは、それぞれ交互に
左右の外部電極18と密着接続されている。また、電極層
13の他方の端部13b側には、上記マージン部24に対応し
た空隙32が所定の幅で形成されている。
【0018】上記電極層13は、金属粒子をファン・デル
・ワールス力等の静電的相互作用によって吸着させただ
けの、膜成長されていない薄膜未成長構造と成されてい
る。この薄膜未成長構造の形成方法を説明する前に、ま
ず従来の電極層、すなわち金属粒子を核成長によって薄
膜化した薄膜成長構造を備えた電極層の形成方法につい
て説明する。
【0019】すなわち、図4に示すように、誘電体フィ
ルム12をボビン34に巻き付けたものを真空チャンバ36
(真空度:10-4Torr)の上部に配置させると共に、ボ
ビン34から繰り出された誘電体フィルム12を真空チャン
バ36の中央に配置されたローラ38の下側に巻き付け、こ
れを他のボビン40で巻き取る途中において、ローラ38の
下方に配置された溶融金属漕42から供給される金属蒸気
に誘電体フィルム12の表面を曝す。
【0020】図5に示すように、電極層72を形成する際
には、上記誘電体フィルム12は比較的幅が広いシート状
態にあり、後に図中の複数の破線α(想像上の線)に沿
って長手方向に切り分けられ、個々のコンデンサ用の細
長い誘電体フィルム12が多数形成されるのである。ま
た、誘電体フィルム12の下面(電極層形成面)側には、
所定の幅を備えた複数のマスクテープ46が、一定の間隔
をおいて近接配置されている。各マスクテープ46は、そ
の中心が上記破線αと丁度一致するように位置決めされ
ている。ただし、全ての破線αにマスクテープ46が対応
しているわけではなく、一つおきに配置されている。ま
た、各マスクテープ46はローラ38の下方において、誘電
体フィルム12と同一方向に向けてエンドレスに走行され
ている(図4)。したがって、上記誘電体フィルム12の
表面に金属材料を蒸着する際には、マスクテープ46,46
間にのみ電極層72が形成され、各マスクテープ46で覆わ
れた部分には電極層72が形成されることがない。この電
極層72が形成されない部分が、誘電体フィルム12を上記
破線αに沿って切り分けた際にマージン部24を構成する
こととなる。
【0021】しかして、上記溶融金属漕42を出発した金
属粒子は、誘電体フィルム12の表面に到達すると、熱エ
ネルギを誘電体フィルム12の表面に与えながら動き回
り、表面のより捕獲されやすい場所(捕獲中心、すなわ
ち原子的大きさのへこみ、角、段など)に捕獲され核を
形成する。この核はつぎつぎに到着する金属粒子や、隣
接する核の一部あるいは全部と合体して成長し、ある臨
界値以上になると安定した状態となる(これを「安定
核」という)。そして、誘電体フィルム12の表面に安定
核が多数できて互いに接触、合体して島状構造(island
stage)になり、島がつながって海峡を残す状態(chan
nel stage)、海峡が穴に縮まった状態(hole stage)
を経て、ついに一様な連続体となり、薄膜成長構造を具
備するに至る。
【0022】ところで、誘電体フィルム12の表面に到達
した金属粒子が薄膜を形成するには、一定の熱エネルギ
が必要である。したがって、この金属粒子から熱エネル
ギを奪い取れば、薄膜を形成することなく、ファンデル
・ワールス力等の単なる静電的相互作用によって金属粒
子を誘電体フィルム12の表面に被着させることができ、
本発明に係る薄膜未成長構造の電極層13を得ることがで
きる。具体的には、上記真空チャンバ36のドラム38内部
に液体窒素等の冷却物質を流通させてドラム38を冷却す
ることが挙げられる。この結果、ドラム38と接する誘電
体フィルム12が冷却され、その表面に到達した金属粒子
も直ちに冷却されて熱エネルギを喪失するため、誘電体
フィルム12の表面で薄膜を形成するに至らず、静電的相
互作用によって吸着されることとなる。上記のようにド
ラム38を冷却する代わりに、真空チャンバ36内全体を冷
却して、誘電体フィルム12の表面に到達した金属粒子か
ら熱エネルギを奪うように構成してもよい。あるいは、
溶融金属漕42とドラム38との距離を比較的大きく取り、
金属粒子が誘電体フィルム12の表面に到達するまでの間
に、自然に冷却されて熱エネルギを喪失するようにして
もよい。
【0023】このように、電極層13を薄膜未成長構造と
成したことにより、上記空隙32におけるコロナ放電によ
って誘電体フィルム12が熱劣化することを有効に回避で
きるのであるが、この理由を従来例との対比で説明す
る。すなわち、従来の金属化フィルムにおける電極層
は、図6に示すように、マージン部24との境界部分まで
十分に薄膜成長させ、金属粒子が略均一に整列された電
極層72を形成して成り、その端部72bも誘電体フィルム
12の表面に対して略垂直に揃えられ、かつ比較的滑らか
な面と成されていた。この結果、外部電極18と電極層72
の端部72bとの間でコロナ放電Xが生成する際には、そ
の端部72bの内でも比較的電界集中し易い箇所(例え
ば、電極層72を形成する際に偶発的に生じた傷の部分)
に集中的に放電が生成され、大きな放電エネルギが局所
に加わる傾向がみられた。このため、コロナ放電Xによ
る熱衝撃も誘電体フィルム12の限られた箇所に集中する
こととなり、それだけ損傷の程度も大きくなる。また、
図7に示すように、金属粒子48同士が極めて緻密かつ整
然と配列され、互いに強固に結合されているため、放電
によって加速された電子やイオン50がある金属粒子48に
衝突した場合には、その衝撃が広く分散することがな
く、比較的狭い範囲に大きな熱エネルギが集中する傾向
が見られた。さらに、コロナ放電が一旦生成した箇所に
は、以後何度も繰り返してコロナ放電が生成される傾向
があり、余計に当該箇所近傍の誘電体フィルム12が損傷
することとなる。しかも、図8に示すように、当該放電
箇所には放電の衝撃によって窪みが生じるため、ホロー
カソード効果が生じて放電の持続時間が長くなり、誘電
体フィルム12に与えるダメージが助長されることとな
る。
【0024】これに対し本発明にあっては、マージン部
24と接する部分も含め電極層13の表面全体が、金属粒子
を凸凹に配列させた状態となっているため、図9に示す
ように、コロナ放電Xも電極層13の多数の箇所と外部電
極18との間で同時分散的に生成されることとなり、大き
な放電エネルギが局所に加わることがない。この結果、
コロナ放電による熱衝撃も誘電体フィルム12の比較的広
い箇所に分散することとなり、特定の箇所が大きく損傷
することを有効に回避できる。
【0025】しかも、各金属粒子は薄膜成長した金属粒
子同士の結合力に比較して極めて弱いファン・デル・ワ
ールス力等の静電的相互作用によって結合されているた
め、図10に示すように、コロナ放電力によって加速さ
れた電子あるいはイオン50がある金属粒子48に衝突した
場合には、当該金属粒子48は弾性散乱あるいは非弾性散
乱を起こして飛散し、他の複数の金属粒子48に連鎖的に
衝突して行き、衝突の衝撃が短時間の内に比較的広い範
囲に拡散することとなる。この結果、放電による熱エネ
ルギの総量は変わらないとしても、誘電体フィルム12の
狭い箇所に熱が集中的に付加されることを回避できる。
【0026】さらに、ある箇所において一旦コロナ放電
が生成すると、その放電による熱エネルギによって放電
箇所近傍の金属粒子同士が融着し、比較的丸味を帯びた
状態となるため、凸凹状態にある他の部分に比べて電界
集中し難くなる。この結果、次回のコロナ放電が当該箇
所に生成される確率が低くなり、限られた狭い箇所に放
電が何度も繰り返し発生して、誘電体フィルム12が局所
的に損傷することを防止することができる。
【0027】なお、上記のように電極層13を、全体が薄
膜未成長構造と成された単層構造とすると、誘電正接
(tanδ)が若干大きくなる傾向がある。これを回避す
るには、図11に示すように、電極層13を、誘電体フィ
ルム12の表面を覆う薄膜成長構造を備えた層52と、これ
を覆う薄膜未成長構造を備えた層54から成る2層構造と
し、誘電正接(tanδ)の増大を抑えることが考えられ
る。この結果、電極層13全体を薄膜未成長構造とした場
合に比べれば、コロナ放電によって誘電体フィルム12が
熱劣化する程度が若干高まることは否めない。しかしな
がら、電極層13と外部電極18間に生成した沿面コロナ放
電は、直ちに空間放電に移行してしまうため、誘電体フ
ィルム12と接する第1層目を薄膜成長構造と成したこと
による悪影響は、比較的少なくて済むこととなる。した
がって、当該コンデンサの使用目的との兼ね合いで、電
極層13全体を薄膜未成長構造とするか、薄膜未成長構造
と薄膜成長構造との2層構造とするかを選択すればよ
い。
【0028】この2層構造を備えた電極層13は、まず誘
電体フィルム12の表面に上記した従来の成膜方法を用い
て薄膜成長構造を備えた層52を形成した後に、上記した
溶融金属漕42から供給された金属粒子を冷却して熱エネ
ルギを奪う方法を用いて、薄膜未成長構造の層54を上記
層52に重ねることによって簡単に実現できる。
【0029】
【発明の効果】本発明に係る金属化フィルムコンデンサ
にあっては、誘電体フィルム表面に被着された電極層
が、金属粒子同士を比較的弱い粒子間結合力である静電
的相互作用によって吸着させた薄膜未成長構造を少なく
とも一部に備えているため、該電極層と外部電極との間
に生成したコロナ放電による熱衝撃は、誘電体フィルム
の比較的広い箇所に分散することとなり、特定の箇所が
大きく損傷することを有効に回避できる。このため、長
寿命で信頼性の高い金属化フィルムコンデンサを実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属化フィルムを重ねて巻回する
様子を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る金属化フィルムコンデンサを示す
斜視図である。
【図3】本発明に係る金属化フィルムコンデンサの内部
構造を示す部分断面図である。
【図4】金属化フィルムの一般的な製造工程を示す模式
図である。
【図5】金属化フィルムの一般的な製造工程を示す模式
図である。
【図6】従来の金属化フィルムを示す部分平面図であ
る。
【図7】従来の金属化フィルムにおける金属粒子の配列
を示す模式図である。
【図8】従来の金属化フィルムにおける金属粒子の配列
を示す模式図である。
【図9】本発明に係る金属化フィルムを示す部分平面図
である。
【図10】本発明の金属化フィルムにおける金属粒子の
配列を示す模式図である。
【図11】本発明に係る他の金属化フィルムを示す側面
模式図である。
【図12】従来の金属化フィルムコンデンサの内部構造
を示す部分断面図である。
【符号の説明】
10 金属化フィルムコンデンサ 12 誘電体フィルム 13 電極層 14 金属化フィルム 16 コンデンサ素子 18 外部電極 24 マージン部 42 溶融金属漕 48 金属粒子 52 薄膜成長構造を備えた層 54 薄膜未成長構造を備えた層

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一側辺に沿ってマージン部が残されるよ
    うに、誘電体フィルムの表面に金属材料を蒸着して電極
    層を形成した一対の金属化フィルムを、それぞれのマー
    ジン部が反対側に配されるように重ね合わせ、これを巻
    回してコンデンサ素子を形成すると共に、該コンデンサ
    素子の両端面に金属材料を溶射して外部電極を形成して
    成る金属化フィルムコンデンサにおいて、上記電極層
    を、金属粒子を静電的相互作用によって吸着させた薄膜
    未成長構造と成したことを特徴とする金属化フィルムコ
    ンデンサ。
  2. 【請求項2】 一側辺に沿ってマージン部が残されるよ
    うに、誘電体フィルムの表面に金属材料を蒸着して電極
    層を形成した一対の金属化フィルムを、それぞれのマー
    ジン部が反対側に配されるように重ね合わせ、これを巻
    回してコンデンサ素子を形成すると共に、該コンデンサ
    素子の両端面に金属材料を溶射して外部電極を形成して
    成る金属化フィルムコンデンサにおいて、上記電極層
    を、上記誘電体フィルムの表面を覆う、金属粒子を核成
    長によって薄膜化させた薄膜成長構造を備えた層と、こ
    の層を覆う、金属粒子を静電的相互作用によって吸着さ
    せた薄膜未成長構造を備えた層とから成る2層構造とし
    たことを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。
  3. 【請求項3】 誘電体フィルムの表面に溶融金属漕から
    出発した金属粒子を導くと共に該金属粒子を冷却して、
    誘電体フィルムの表面に到達した金属粒子から核成長す
    るに足りる熱エネルギを奪い、以て上記電極層の薄膜未
    成長構造を形成することを特徴とする請求項1または2
    に記載の金属化フィルムコンデンサの製造方法。
JP34729995A 1995-12-14 1995-12-14 金属化フィルムコンデンサ及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2847356B2 (ja)

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