JP3858626B2 - 両面金属化フィルムコンデンサ - Google Patents

両面金属化フィルムコンデンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面金属化フィルムコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属を蒸着したプラスチックフィルムからなるコンデンサ(以下、金属化フィルムコンデンサ)は、従来から広く用いられている。なかでもポリプロピレンフィルムを用いた金属化フィルムコンデンサは、すぐれた電気特性(誘電損失が小さい、耐電圧が高い、また誘電率の温度変化や周波数変化が少ないなど)をもつことから、携帯機器に代表される小型電子部品用途から、電車の駆動モータ制御や高圧進相等の大型産業用途に至るまで幅広く適用されている。
【0003】
図4は、従来技術からなる、ポリプロピレンフィルムを用いた金属化フィルムコンデンサの断面図である。片面に金属12を蒸着したポリプロピレンフィルム11を2枚重ねて巻回または積層し、両端面から金属を溶射(以下、メタリコン3)してコンデンサを形成する。
【0004】
図4に示したように、容量形成部の蒸着金属12の膜厚を薄くして自己回復性(フィルムが局部的に絶縁破壊した場合にも、周囲の蒸着金属が蒸発飛散して電気的に遮断され、コンデンサとしての機能が回復すること)を高め、かつメタリコン3と接するメタリコン接続部13、14を厚くしてメタリコン3との接触強度を高めたヘビーエッジ構造が広く採用されている。蒸着金属12としてはアルミニウムや亜鉛、またはその混合物が一般に用いられるが、アルミニウムの場合、亜鉛に比べてメタリコンとの接触強度が弱いため、コンデンサに充放電したりパルス電圧を印加したりした時の耐電流性が問題となっている。
【0005】
また交流電圧を長期間印加した場合にアルミニウムが酸化劣化して容量が減少する等の欠点があることから、近年では、亜鉛を用いたり、または亜鉛の耐湿性を改善するために亜鉛とアルミニウムの混合物を用いたりすることが多い。
【0006】
従来の構成においては、片面に金属を蒸着したポリプロピレンフィルムを2枚用いているため、それぞれのフィルムに対して蒸着工程が必要となり、工数がかかる。そこで、1回の蒸着工程でポリプロピレンフィルムの両面に金属を蒸着し(以下、両面蒸着ポリプロピレンフィルムという)、蒸着していないポリプロピレンフィルム(以下、合わせ用ポリプロピレンフィルムという)と重ねる構造がとれれば、蒸着工程は半減できる。この点に鑑みて、ポリプロピレンフィルムの両面に金属を蒸着する試みが従来からなされてきた(例えば、特開昭63−196025号公報、特開平1−151223号公報、特開平1−223144号公報、USP−3895129号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の片面に金属を蒸着された片面金属化ポリプロピレンフィルムを対向するように巻回された片面金属化フィルムコンデンサと、両面に金属を蒸着された両面金属化ポリプロピレンフィルムと蒸着していないポリプロピレンフィルムとを対向するように巻回する両面金属化フィルムコンデンサでは、次に示す、コンデンサの性能上の課題を有していた。
【0008】
まず、従来の片面金属化フィルムコンデンサでは、フィルム相間にエアーギャップがあるが、両面金属化フィルムコンデンサの金属化フィルムはエアーギャップが無いが、合わせポリプロピレンフィルムはエアーギャップが両面に存在するため、従来片面に比べて特に低温時のコロナ放電によるダメージを多く受けるため、低温時の耐圧が劣る。
【0009】
また、メタリコン後の熱エージング工程では、従来の片面金属化フィルムでは熱収縮による幅方向への機械的ストレスは、メタリコンコンタクト部の反対側がフリーのため、メタリコンコンタクトに対し緩和されていたが、両面金属化フィルムではその両側がメタリコンで支持されているため、両面金属化フィルムの熱収縮での幅方向ストレスが、どちらか片側のメタリコンコンタクト部に集中することが発生し、メタリコンコンタクト不良発生のもとになっていた。
【0010】
また、従来のポリプロピレンフィルムを用いた片面金属化フィルムコンデンサでは、次のような課題を有していた。
【0011】
まず、コンデンサ素子の周りに絶縁油を含浸又は充填したコンデンサでは、絶縁油がフィルムへ侵入することによりポリプロピレンフィルム自体が膨潤する為、ポリプロピレンフィルム上の蒸着金属に亀裂が発生したり、剥離して抵抗分が上昇しコンデンサの熱破壊を誘因する要因となっていた。
【0012】
また、ポリプロピレンはポリエステル等に比べ融点が低いため、メタリコンでのZn金属等の溶射時にメタリコン粒子が十分食い込まずにベースのポリプロピレンフィルムが溶けてしまい、ポリプロピレンフィルムとメタリコン金属との機械的接続強度が弱くなるため、蒸着金属とメタリコン金属との機械的接続強度に寄るところが多い。
【0013】
しかしながら蒸着金属は片面にしかないため、十分なメタリコン強度が得られず、コンデンサ使用時の運転時の発熱、休止時の冷却等のヒートサイクルにより、部分的にメタリコンが外れ、接続部抵抗値を上昇させて、コンデンサの熱破壊を誘因する要因となっていた。
【0014】
また、片面金属化フィルムは少なくとも片面がコロナ放電等の活性処理がほどこされているため、フィルム本来の対電圧能力を落とす結果となっている。
【0015】
本発明の目的は、両面に金属が蒸着された両面金属化ポリプロピレンフィルムと金属が蒸着していないポリプロピレンフィルムと対向するように巻回する両面金属化フィルムコンデンサでの製造工程上の課題、及びコンデンサの性能上の課題と従来の片面金属化フィルムコンデンサが有している課題を解決する両面金属化フィルムコンデンサを提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の請求項1記載の両面金属化フィルムコンデンサは、第1のプロピレンフィルムの両面に蒸着金属が形成された両面金属化フィルムと、第2のプロピレンフィルムとが対向するように巻回された両面金属化フィルムコンデンサであって、前記第2のプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率が、長手方向で4%以上で、かつ、メタリコン後に熱エージングしてなることを特徴としている。
【0017】
また請求項2記載の両面金属化フィルムコンデンサは、第1のプロピレンフィルムの両面に蒸着金属が形成された両面金属化フィルムと、第2のプロピレンフィルムとが対向するように巻回された両面金属化フィルムコンデンサであって、前記第1のポリプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率が幅方向が1.0%以下であり、前記第2のプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率が、長手方向で4%以上で、かつ、メタリコン後に熱エージングしてなることを特徴としている。
【0018】
また請求項3記載の両面金属化フィルムコンデンサは、第1のポリプロピレンフィルムの両面に蒸着金属が形成された両面金属化フィルムと、第2のポリプロピレンフィルムとが対向するように巻回された両面金属化フィルムコンデンサであって、前記第1のポリプロピレンフィルムの両面に形成された蒸着電極の少なくとも片面の蒸着電極の絶縁マージン側の端部に蒸着電極を形成したことを特徴としている。
【0019】
また請求項4記載の両面金属化フィルムコンデンサは、第1のポリプロピレンフィルムの両面に蒸着金属が形成された両面金属化フィルムと、第2のポリプロピレンフィルムとが対向するように巻回された両面金属化フィルムコンデンサであって、前記第2のポリプロピレンフィルムを、絶縁マージン側端部の蒸着電極に接触するように配置したことを特徴としている。
【0020】
また請求項5記載の両面金属化フィルムコンデンサは、第2のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面は、コロナ処理をしないことを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の両面金属化フィルムコンデンサによれば、第2のポリプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率を、長手方向で4%以上にすることで、メタリコン後の熱エージングで合わせフィルムの長手方向の収縮が十分に大きい為、第2のポリプロピレンフィルムの両面に存在するエアーギャップを小さく出来て、低温時のコロナ放電によるダメージを少なくすることが出来る。
【0022】
また、請求項2記載の両面金属化フィルムコンデンサによれば、第1のポリプロピレンフィルムの両面に蒸着金属が形成された両面金属化フィルムと、第2のポリプロピレンフィルムとが対向するように巻回された両面金属化フィルムコンデンサであって、前記第1のポリプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率を、幅方向で1.0%以下にして、第2のポリプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率を、長手方向で4%以上にすることで、メタリコン後の熱エージングでの両面金属化フィルムの幅方向ストレスを減らせ、メタリコンコンタクト不良発生を抑えることができるとともに、第2のポリプ ロピレンフィルムの両面に存在するエアーギャップを小さく出来て、低温時のコロナ放電によるダメージを少なくすることが出来る。
【0023】
また、請求項3記載の両面金属化フィルムコンデンサによれば、第1のポリプロピレンフィルムの両面に形成された蒸着電極の少なくとも片面の蒸着電極の絶縁マージン側の端部に蒸着電極を形成した為、メタリコン金属と蒸着金属の機械的接続がフィルム両面で行われるため、メタリコンの機械的強度が増し、コンデンサ使用時の運転時の発熱、休止時の冷却等のヒートサイクルでもメタリコンコンタクトを安定することが出来る。
【0024】
また、請求項4記載の両面金属化フィルムコンデンサによれば、第2のポリプロピレンフィルムを、絶縁マージン側端部の蒸着電極に接触するように配置する為、両面金属化フィルムのベースのポリプロピレンフィルムと絶縁油が直接接触することが無いため、メタリコン近傍のポリプロピレンフィルムへの絶縁油の侵入を蒸着金属が阻止することができる。
【0025】
また、請求項5記載の両面金属化フィルムコンデンサによれば、第2のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面は、コロナ処理をしないため、コロナ処理による合わせフィルムのダメージを少なく出来、耐電圧を向上できる。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明における両面金属化フィルムコンデンサの概略断面図を示したものである。図1において、1は第1のポリプロピレンフィルム、2は第2のポリプロピレンフィルム、3はメタリコン、4A,4Bは蒸着電極、5A,5Bは絶縁マージン、6A,6Bはメタリコン接続部を示している。
【0027】
本実施の形態の両面金属化フィルムコンデンサは、第1のポリプロピレンフィルム1の両面に蒸着電極4A,4Bを形成し、第1のポリプロピレンフィルム1の120℃における熱収縮率が、幅方向で1.0%以下となっている。
【0028】
本実施の形態によれば、メタリコン後の熱エージングでの両面金属化フィルムの幅方向ストレスを減らすことができ、メタリコンのコンタクト不良の発生を抑えることができる。
【0029】
(実施の形態2)
同じく図1を用いて、本実施の形態2の両面金属化フィルムコンデンサを説明する。
【0030】
本実施の形態の両面金属化フィルムコンデンサは、第2のポリプロピレンフィルム2の120℃における熱収縮率が、長手方向で4%以上になっている。
【0031】
本実施の形態によれば、メタリコンを施した後の熱エージングで合わせフィルムである第2のポリプロピレンフィルムの長手方向の収縮が十分に大きい為、第2のポリプロピレンフィルム2の両面に存在するエアーギャップを小さく出来て低温時のコロナ放電によるダメージを少なくすることが出来る。
【0032】
(実施の形態3)
図2は、本実施の形態の両面金属化フィルムコンデンサを示したものである。図2において、1は第1のポリプロピレンフィルム、2は第2のポリプロピレンフィルム、3はメタリコン、4A,4B,4Cは蒸着電極、5A,5Bは絶縁マージン、6A,6Bはメタリコン接続部を示している。
【0033】
本実施の形態の両面金属化フィルムコンデンサは、ポリプロピレンフィルム1の両面に形成された蒸着電極4A,4Bの片面の蒸着電極4Bの絶縁マージン5B側の端部に蒸着電極4Cを形成してある。
【0034】
本実施の形態によれば、メタリコン金属6と蒸着金属4A,4Cの機械的接続がフィルム両面で行われるため、メタリコン6の機械的強度が増し、コンデンサ使用時の運転時の発熱、休止時の冷却等のヒートサイクルでもメタリコンのコンタクトを安定することが出来る。
【0035】
また、さらに絶縁油7を含浸又は充填したコンデンサの場合ではメタリコン3近傍の第1のポリプロピレンフィルム1への絶縁油7の侵入を蒸着金属が阻止する効果があり、更に有効である。
【0036】
(実施の形態4)
図3は、本実施の形態4の両面金属化フィルムコンデンサの概略断面図を示したものである。図3において、1は第1のポリプロピレンフィルム、2は第2のポリプロピレンフィルム、3はメタリコン、4A,4B,4Cは蒸着電極、5A,5Bは絶縁マージン、6A,6Bはメタリコン接続部を示している。
【0037】
本実施の形態の両面金属化フィルムコンデンサは、第2のポリプロピレンフィルム2を、絶縁マージン5B側端部の蒸着電極4Cに接触するように配置してある。
【0038】
本実施の形態によれば、両面金属化フィルムのベースのポリプロピレンフィルム1と絶縁油7が直接接触することが無いため、その侵入を阻止する効果はより完全なものとすることができる。
【0039】
(実施の形態5)
同じく図3を用いて本実施の形態5の両面金属化フィルムコンデンサを説明する。
【0040】
本実施の形態の両面金属化フィルムコンデンサは、第2のポリプロピレンフィルム2の片面は、非コロナ処理とし、もう一方の面はコロナ処理面となっている。
【0041】
本実施の形態によれば、コロナ処理による合わせフィルムである第2のポリプロピレンフィルム2のダメージを少なく出来、耐電圧の低下を少なくできる。
【0042】
更に、詳細に説明する。
【0043】
比較例1の両面金属化フィルムコンデンサとして、厚さ6μmで、120℃における熱収縮率が、幅方向で1.0%以下の第1のポリプロピレンフィルム1の両面にAlを核金属とした後に、高抵抗部を15±3Ω/□、メタリコン接続部6A,6Bを5±2Ω/□に蒸着した、絶縁マージン5A,5Bは1.5mmとし、絶縁マージン側の端部に蒸着電極4C,4Dを1.5mm設けた、フィルム幅は81mmとした。
【0044】
合わせフィルムである第2のポリプロピレンフィルム2として、同じく厚さ6μmの120℃における熱収縮率が、長手方向で4%以上で、コロナ処理をしないポリプロピレンフィルムを用い、フィルム幅は79mmとした。このようにして作成した両面金属化フィルムと、合わせフィルムである第2のポリプロピレンフィルム2を、両面金属化フィルムの中央(第2のポリプロピレンフィルムのずらし1mm)にくるように巻回した後、同様に両端面にZnをメタリコンした。
【0045】
比較例2として、比較例1の両面金属化フィルムコンデンサの両面金属化フィルムを120℃における熱収縮率が、幅方向で1.5%のポリプロピレンフィルムを用い製作し、他は全て比較例1と同じとした。
【0046】
比較例3として、比較例1の両面金属化フィルムコンデンサの合わせフィルムである第2のポリプロピレンフィルム2を、120℃における熱収縮率が、長手方向で3%のポリプロピレンフィルムを用い製作し、他は全て比較例1と同じとした。
【0047】
比較例4−1として、比較例1の両面金属化フィルムコンデンサの、両面とも絶縁マージン5A,5Bは3.0mmとし、絶縁マージン側の端部に蒸着電極6A,6Bを設ない両面金属化フィルムを用い合わせフィルム幅は77mmとし、両面金属化ポリプロピレンフィルムの中央(第2のポリプロピレンフィルム2ずらし2mm)に配置して製作し、他は全て比較例1と同じとした。
【0048】
比較例4−2として、比較例1の両面金属化フィルムコンデンサの、片面側のみ絶縁マージン(5Aまたは5B)は3.0mmとし、絶縁マージン側の端部に蒸着電極を設ない両面金属化フィルムを用い合わせフィルム幅は77mmとし、両面金属化ポリプロピレンフィルムの中央(第2のポリプロピレンフィルム2ずらし2mm)に配置して製作し、他は全て比較例1と同じとした。
【0049】
比較例5−1として、比較例1の両面金属化フィルムコンデンサの、合わせフィルムである第2のポリプロピレンフィルム2幅は77mmとし、両面金属化フィルムの中央(第2のポリプロピレンフィルム2のずらし2mm)に配置して巻回し、他は全て比較例1と同じとした。
【0050】
比較例5−2として、比較例1の両面金属化フィルムコンデンサの、合わせフィルムである第2のポリプロピレンフィルム2幅は78mmとし、両面金属化フィルムの中央から1mmずれた位置に配置して(第2のポリプロピレンフィルム2フィルムずらし2mmと1mm)巻回し、他は全て比較例1と同じとした。
【0051】
比較例6−1として、比較例1の両面金属化フィルムコンデンサの、合わせフィルムである第2のポリプロピレンフィルム2として両面ともコロナ処理を施したポリプロピレンフィルムを用い製作し、他は全て比較例1と同じとした。
【0052】
比較例6−2として、比較例1の両面金属化フィルムコンデンサの、合わせフィルムである第2のポリプロピレンフィルム2として片面コロナ処理を施したポリプロピレンフィルムを用い製作し、他は全て比較例1と同じとした。
【0053】
比較例7は、従来の片面金属化コンデンサとして、厚さ6μmの片面コロナ処理を施したポリプロピレンフィルム11の片面にAlを核金属とした後に、高抵抗部を15±3Ω/□、メタリコン接続部を5±2Ω/□に蒸着した、絶縁マージンは3mmとし、フィルム幅は80mmとした。
【0054】
このようにして作成した片面金属化フィルムを図4に示すように、1mm位置をずらして、巻回した後に、両端面にZnをメタリコンした。他は全て比較例1と同じとした。
【0055】
尚、静電容量はそれぞれ30μFとした。
【0056】
評価は、初期の1kHzにおけるtanδの測定と、0℃で2時間無通電と80℃でAC400V2時間通電サイクルを50サイクル行った後の、1kHzにおけるtanδの上昇率を比較した。
【0057】
また、耐電圧の比較として交流電圧を800Vから、10分で50V昇圧し破壊電圧を確認するステップアップ試験を、25℃と70℃で行った。
【0058】
得られた結果を、(表1)に示す。
【0059】
【表1】
Figure 0003858626
【0060】
ここで比較例1と比較例2及び比較例7を比較すると、実施の形態1の第1のポリプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率が、幅方向で1.0%以下にすることで、メタリコン後の熱エージングでの両面金属化フィルムの幅方向ストレスを減らす結果、メタリコンコンタクト不良発生を抑えられることが判る。
【0061】
また、比較例1と比較例3及び比較例7を比較すると、実施の形態2の第2のポリプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率が、長手方向で4%以上にすることで、メタリコン後の熱エージングで合わせフィルムの長手方向の収縮が十分に大きい為、合わせポリプロピレンフィルムの両面に存在するエアーギャップを小さく出来て低温時のコロナ放電によるダメージを少なく出来る為、低温の耐電圧が向上することが判る。
【0062】
また、比較例1と比較例4−1及び比較例4−2及び比較例7を比較すると、実施の形態3の第1のポリプロピレンフィルム1の両面に形成された蒸着電極4A,4Bの少なくとも片面の蒸着電極の絶縁マージン側の端部に蒸着電極を形成した為、メタリコン金属と蒸着金属の機械的接続がフィルム両面で行われる為メタリコンの機械的強度が増し、かつメタリコン近傍のポリプロピレンフィルムへの絶縁油の侵入を蒸着金属が阻止するため、コンデンサ使用時の運転時の発熱、休止時の冷却等のヒートサイクルでもメタリコンのコンタクト性が安定し、従来の片面金属化フィルムコンデンサより向上することが判る。
【0063】
また、比較例1と比較例5−1及び比較例5−2及び比較例7を比較すると、実施の形態4の第2のポリプロピレンフィルムを、絶縁マージン側端部の蒸着電極に接触するように配置する為、両面金属化フィルムのベースのポリプロピレンフィルムと絶縁油が直接接触することが無いため、その侵入を阻止する為、ヒートサイクルでのメタリコンコンタクトがより安定し、従来の片面金属化フィルムコンデンサに対し飛躍的に向上することが判る。
【0064】
また、比較例1と比較例6−1及び比較例6−2及び比較例7を比較すると、実施の形態5の第2のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面は、コロナ処理をしないため、コロナ処理による合わせフィルムのダメージを少なく出来る為、従来の片面金属化フィルムコンデンサに対し耐電圧を同等に出来ることが判る。
【0065】
尚、実施例として厚さ6μmのポリプロピレンフィルムを用いたが、他の厚みでも同様の効果が得られる。また、蒸着金属としてAlを核としたZnを用いたが、他の核金属を核としたZn蒸着及びAl等その他の単独金属又は、混合金属を用いても同様の効果が得られる。
【0066】
また、本実施例の充填物は、絶縁油を用いたが、請求項1から3、及び請求項5は樹脂、又は気体等を充填したコンデンサでも同様の効果が得られる。
【0067】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の請求項1記載の両面金属化フィルムコンデンサによれば、第2のポリプロピレンフィルムを120℃における熱収縮率が、長手方向で4%以上にすることで、メタリコン後の熱エージングで合わせフィルムの長手方向の収縮が十分に大きい為、合わせポリプロピレンフィルムの両面に存在するエアーギャップを小さく出来て低温時のコロナ放電によるダメージを少なく出来る為、低温の耐電圧が向上する。
【0068】
また、請求項2記載の両面金属化フィルムコンデンサによれば、第1のポリプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率が、幅方向で1.0%以下にし、第2のポリプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率が、長手方向で4%以上にすることで、メタリコン後の熱エージングで合わせフィルムの長手方向の収縮が十分に大きい為、メタリコン後の熱エージングでの両面金属化フィルムの幅方向ストレスを減らせるとともに、合わせポリプロピレンフィルムの両面に存在するエアーギャップを小さく出来て低温時のコロナ放電によるダメージを少なく出来る為、メタリコンコンタクト不良発生を抑えられるとともに低温の耐電圧が向上する。
【0069】
また、請求項3記載の両面金属化フィルムコンデンサによれば、第1のポリプロピレンフィルムの両面に蒸着金属が形成された両面金属化フィルムの少なくとも片面の蒸着電極の絶縁マージン側の端部に蒸着電極を形成した為、メタリコン金属と蒸着金属の機械的接続がフィルム両面で行われる為メタリコンの機械的強度が増し、かつメタリコン近傍のポリプロピレンフィルムへの絶縁油の侵入を蒸着金属が阻止するため、コンデンサ使用時の運転時の発熱、休止時の冷却等のヒートサイクルでもメタリコンコンタクトが安定する。
【0070】
また、請求項4記載の両面金属化フィルムコンデンサによれば、第2のポリプロピレンフィルムを、絶縁マージン側端部の蒸着電極に接触するように配置する為、両面金属化フィルムのベースのポリプロピレンフィルムと絶縁油が直接接触することが無いため、その侵入を阻止する為、ヒートサイクルでのメタリコンコンタクトが安定する。
【0071】
また、請求項5記載の両面金属化フィルムコンデンサによれば、第2のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面は、コロナ処理をしないため、コロナ処理による合わせフィルムのダメージを少なく出来る為、従来の片面金属化フィルムコンデンサに対し耐電圧を同等に出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1〜4における両面金属化フィルムコンデンサの概略断面図
【図2】 同実施の形態3における両面金属化フィルムコンデンサの概略断面図
【図3】 同実施の形態4における両面金属化フィルムコンデンサの概略断面図
【図4】 従来における片面金属化フィルムコンデンサの概略断面図
【符号の説明】
1 第1のポリプロピレンフィルム
2 第2のポリプロピレンフィルム
3 メタリコン
4A,4B,4C,4D 蒸着電極
5A,5B 絶縁マージン
6A,6B メタリコン接続部
7 絶縁油
11 ポリプロピレンフィルム
12 蒸着金属

Claims (5)

  1. 第1のプロピレンフィルムの両面に蒸着金属が形成された両面金属化フィルムと、第2のプロピレンフィルムとが対向するように巻回された両面金属化フィルムコンデンサであって、前記第2のプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率が、長手方向で4%以上で、かつ、メタリコン後に熱エージングしてなる両面金属化フィルムコンデンサ。
  2. 第1のプロピレンフィルムの両面に蒸着金属が形成された両面金属化フィルムと、第2のプロピレンフィルムとが対向するように巻回された両面金属化フィルムコンデンサであって、前記第1のポリプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率が幅方向が1.0%以下であり、前記第2のプロピレンフィルムは、120℃における熱収縮率が、長手方向で4%以上で、かつ、メタリコン後に熱エージングしてなる両面金属化フィルムコンデンサ。
  3. 第1のプロピレンフィルムの両面に形成された蒸着金属の少なくとも片面の蒸着金属の絶縁マージン側の端部に蒸着金属を形成した請求項1または請求項2記載の両面金属化フィルムコンデンサ。
  4. 第2のプロピレンフィルムを、絶縁マージン側端部の蒸着金属に接触するように配置した、請求項3記載の両面金属化フィルムコンデンサ。
  5. 第2のプロピレンフィルムの少なくとも片面は、コロナ処理をしない請求項1記載または請求項2の両面金属化フィルムコンデンサ。
JP2001173677A 2001-06-08 2001-06-08 両面金属化フィルムコンデンサ Expired - Lifetime JP3858626B2 (ja)

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