JP3129747B2 - 洗濯機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】［発明の目的］

【０００２】

【産業上の利用分野】本発明は、洗濯機に関する。

【０００３】

【従来の技術】洗濯に際しては、洗濯物の量や汚れ具合
に応じて洗濯時間、洗剤量、給水量などを設定する必要
があるが、現状は利用者の勘に頼っており、今後の洗濯
の自動化を図る上で改善が切望されている。

【０００４】このようなことから、洗濯の進行に伴う洗
濯液の光透過率の変化に着目して、洗濯液の光透過率に
基づいて洗濯行程を制御することが考えられる。具体的
には、例えば一般に汚れがひどい程、汚れ落ちによる光
透過率の低下が大きいことに着目して、この光透過率の
低下の大きさに基づいて汚れ具合を判断し、洗濯行程を
制御するのである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、洗濯液
の光透過率低下の要因としては、洗濯物からの汚れ落ち
成分による以外に洗剤（液体洗剤を除く）の洗濯液中へ
の溶解による成分もある。このため、単に洗濯液の光透
過率の低下の大きさをもって汚れ具合を判断しても、正
確な判断とはならず、適切な洗濯がなされないおそれが
ある。

【０００６】本発明は上記に鑑みてなされたもので、そ
の目的としては、汚れ具合に応じた適切な洗濯を可能に
し、洗濯の適正な自動化に寄与し得る洗濯機を提供する
ことにある。

【０００７】［発明の構成］

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、洗濯槽内における洗濯液の光透過率を検出
する透過率検出手段と、予め溶解して前記洗濯槽に投入
される洗剤の溶解状態に関連する値として供給水の流量
を検知する検知手段と、該検知手段で検知された値に基
づいて前記透過率検出手段で検出された光透過率の変化
を補正する補正手段と、該補正手段で補正された光透過
率の変化に基づいて洗濯行程を制御する制御手段とを有
することを特徴とする。

【０００９】

【作用】洗濯槽に投入される洗剤が、洗い行程前に洗剤
溶解装置等で予め溶解される。このとき、洗剤溶解装置
等における洗剤の溶解状態は、水温又は供給水量等に左
右される。洗剤溶解装置等で十分な洗剤溶解が得れない
水温の低さ又は供給水量であると、洗剤溶解装置等を通
過して洗濯槽に投入される洗剤の一部は、洗い行程で溶
解し、透過率検出手段で検出される光透過率の変化に洗
剤が溶解していく変化分が含まれることになる。そこ
で、洗剤溶解装置等における洗剤溶解状態に関連する値
として検知手段で水温又は供給水の流量等を検知するこ
とにより、洗剤溶解装置等でどの程度洗剤が溶解するか
を知ることができ、透過率検出手段で検出した光透過率
の変化の中で洗剤による光透過率の変化分を推測するこ
とができる。したがって、検知手段で検出された水温又
は流量等の値に基づいて透過率検出手段で検出された光
透過率の変化を補正することにより、その補正された光
透過率の変化から洗濯物の汚れ具合を正確に検知するこ
とができ、汚れ具合に応じた適切な洗濯が可能となる。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１１】図１（ａ）は洗濯機の全体的な概略構成を
示している。同図において、１は洗濯機本体、２はサス
ペンション４で弾性吊持された洗濯槽（以下、外槽とも
いう）、３は衣類を洗濯脱水する脱水槽を兼ねた洗濯槽
（以下、内槽ともいう）であり、その周壁側面には多数
の水抜き用の孔５が穿設され、上部には流体バランサ６
が設けられている。内槽３の底部には、衣類及び水を撹
拌するパルセータ７が設けられている。パルセータ７を
駆動する機構部は、撹拌モータ８とブレーキ、クラッチ
機構を内蔵したメカケース９とで構成されている。

【００１２】洗濯機本体１の上部には、給水ホース１１
に接続された洗剤溶解装置１０が設置されている。洗剤
溶解装置１０で洗い行程前に予め洗剤が溶解されるよう
になっている。また外槽２の底部には排水弁１２を有す
る排水ホース１３が取付けられている。排水弁１２は洗
濯行程、給水行程、すすぎ行程時は閉じている。外槽２
の底部の一部に透光性の材料が用いられ、この部分に発
光素子１４と受光素子１５とで構成された透過率検出手
段としての透過率検出装置１６が設置されている。多数
の水抜き用の孔５が穿設された内槽３は、発光素子１４
と受光素子１５との間に洗濯物が入り込むのを防止する
遮断部としての機能を有し、発光素子１４と受光素子１
５との間には、洗濯液、すすぎ液のみが入り込んで、そ
の光透過率が検出されるようになっている。また、洗濯
機本体１の上部には、補正手段及び制御手段となるマイ
クロコンピュータ（以下、マイコンという）を内蔵した
電子回路ユニット１７が設置されている。

【００１３】図１（ｂ）は、洗剤溶解装置１０の構成を
示している。１８は注入弁、１９は注入口、２１は出水
口、２２は出水弁、２３は溶解促進用の羽根、２４は羽
根２３を駆動する洗剤溶解モータであり、溶解槽の内部
及び給水ホース１１の部分には、それぞれ洗剤の溶解状
態に関連する値を検知する検知手段としての水温センサ
２５及び流量センサ２６が設置されている。

【００１４】次に、洗剤溶解装置１０における洗剤の溶
解状態に関連する値を検知する検知手段として水温セン
サ２５を用いたときの洗濯機の動作を図２ないし図４を
用いて説明する。

【００１５】図２の（ａ），（ｂ）は洗剤溶解装置１０
で十分な洗剤溶解が得れない水温の低さの場合の行程と
光透過率の変化をそれぞれ示している。図２（ｂ）の光
透過率の変化図で、破線は洗剤溶解装置１０で十分な洗
剤溶解が得られた場合の光透過率変化特性である。この
図の特性から、洗剤溶解装置１０を通過して洗濯槽２，
３に溶解せずに投入される洗剤の一部のため、透過率検
出装置１６で検出される光透過率変化の中に洗剤による
光透過率変化分が含まれている。

【００１６】図３は、マイコンによる制御フローチャー
トを示している。

【００１７】洗濯が開始されると（ステップ３０）、給
水行程において、洗剤溶解装置１０に所要量の洗剤を入
れ、注入弁１８を開いて洗剤溶解装置１０に注水を行う
とともに（ステップ３１）、洗剤溶解モータ２４を駆動
して洗剤溶解を行い、また出水弁２２を開いて溶解され
た洗剤とともに洗濯槽２，３に給水を行う（ステップ３
２）。この給水行程中に、水温センサ２５で洗剤溶解装
置１０内の水温を検出する（ステップ３３）。洗濯槽
２，３内の給水水位が所定水位に達したことを検出して
撹拌モータ８を駆動し、洗い行程に移行する（ステップ
３４，３５）。洗い行程に移行後、透過率検出装置１６
で洗濯液の光透過率の変化を検出する（ステップ３
６）。そして、前述の検出した水温が実験により定まる
所定値以下の場合は（ステップ３７のＹＥＳ）、検出し
た光透過率変化分から実験により定まる洗剤の光透過率
変化分を引く補正を行い（ステップ３８）、補正後の光
透過率変化から洗濯物の汚れを検知する（ステップ３
９）。検出した水温が所定値以上の場合は（ステップ３
７のＮＯ）、検出した光透過率から洗濯物の汚れを検知
する。そして、この検知結果に基づいて洗濯時間等の洗
い制御を実行する（ステップ４０）。

【００１８】図４は、洗剤溶解装置１０における水温と
洗剤溶解との関係を示した図である。

【００１９】次いで、洗剤溶解装置１０における洗剤の
溶解状態に関連する値を検知する検知手段として流量セ
ンサ２６を用いたときの洗濯機の動作を図５ないし図７
を用いて説明する。

【００２０】図５の（ａ），（ｂ）は洗剤溶解装置１０
で十分な洗剤溶解が得れない流量の少ない場合、もしく
は流量が多過ぎる場合の行程と光透過率の変化をそれぞ
れ示している。図５（ｂ）の光透過率の変化図で、破線
は洗剤溶解装置１０で十分な洗濯溶解が得られた場合の
光透過率変化特性である。この図の特性から、洗剤溶解
装置１０を通過して洗濯槽２，３に溶解せずに投入され
る洗剤の一部のため、透過率検出装置１６で検出される
光透過率変化の中に洗剤による光透過率変化分が含まれ
ている。

【００２１】図６は、マイコンによる制御フローチャー
トを示している。

【００２２】この制御では、給水行程中に、流量センサ
２６で洗剤溶解装置１０への注水流量を検出する（ステ
ップ４４）。洗い行程に移行後、前記と同様に、透過率
検出装置１６で洗濯液の光透過率を検出する。そして、
流量センサ２６で検出した流量が実験により定まる所定
範囲内の場合は（ステップ４８のＹＥＳ）、検出した光
透過率変化分から実験により定まる洗剤の光透過率変化
分を引く補正を行い（ステップ４９）、補正後の光透過
率変化から洗濯物の汚れを検知する（ステップ５０）。
検出した流量が所定値以上の場合は（ステップ４８のＮ
Ｏ）、検出した光透過率から洗濯物の汚れを検知する。
そして、この検知結果に基づいて洗濯時間等の洗い制御
を実行する（ステップ５１）。

【００２３】図７は、洗剤溶解装置１０への注水流量と
溶解度との関係を示した図である。図８は、洗剤溶解装
置１０における洗剤の溶解状態に関連する値として水温
と流量の両方を用いたときのマイコンによる制御フロー
チャートを示している。

【００２４】この制御では、給水行程中に、水温センサ
２５と流量センサ２６で、洗剤溶解装置１０の水温と注
水流量を検出する（ステップ５５）。洗い行程に移行
後、前記と同様に、透過率検出装置１６で洗濯液の光透
過率を検出する（ステップ５８）。そして、水温が実験
により定まる所定値以下の場合か、流量が実験により定
まる所定範囲内の場合には（ステップ５９のＹＥＳ）、
第１の補正手段により、検出した光透過率変化分から実
験により定まる洗剤の光透過率変化分を引く補正を行い
（ステップ６０）、補正後の光透過率変化から洗濯物の
汚れを検知する（ステップ６３）。検出した水温が実験
により定まる所定値以下の場合で、かつ流量が共に所定
範囲内の場合は（ステップ６１のＹＥＳ）、第２の補正
手段により、検出した透過率変化分から引く補正を大き
くし（ステップ６２）、洗濯物の汚れを検知する（ステ
ップ６３）。検出した水温、流量が共に所定値以上の場
合は、検出した透過率変化分から洗濯物の汚れを検知す
る。そして、この検知結果に基づいて洗濯時間等の洗い
制御を実行する（ステップ６４）。この制御では、水温
と流量の両方を用いているので、洗剤溶解装置１０にお
ける洗剤の溶解状態を一層正確に検知することができ
る。したがって、一層精度のよい洗い制御を実現するこ
とができる。

【００２５】なお、上述の各実施例において、検出した
水温、流量から補正する値をファジィ理論を用いて算出
してもよく、図９は、この場合のメンバーシップ関数を
示している。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
予め溶解して洗濯槽に投入される洗剤の溶解状態に関連
する値を検知し、この検知された値に基づいて光透過率
検出手段で検出した光透過率の変化を補正し、補正され
た光透過率の変化に基づいて洗濯行程を制御するように
したため、透過率検出手段で検出した光透過率の変化の
中で洗剤の溶解による光透過率の変化分を補正すること
ができて洗濯物の汚れ具合を正確に検知することがで
き、汚れ具合に応じた適切な洗濯が可能になって洗濯の
適正な自動化に寄与することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る洗濯機の実施例を示す構成図であ
る。

【図２】水温が低い場合の洗濯液の光透過率変化特性と
行程を示す図である。

【図３】検知手段として水温センサを用いた場合の制御
フローチャートである。

【図４】洗剤溶解装置における水温と洗剤の溶解度との
関係を示す図である。

【図５】流量が少ない場合の洗濯液の光透過率変化特性
と行程を示す図である。

【図６】検知手段として流量センサを用いた場合の制御
フローチャートである。

【図７】注水流量と洗剤の溶解度との関係を示す図であ
る。

【図８】検知手段として水温センサと流量センサの両方
を用いた場合の制御フローチャートである。

【図９】補正手段にファジィ理論を用いた場合のメンバ
ーシップ関数を示す図である。

【符号の説明】

２，３ 洗濯槽 １０ 洗剤溶解装置 １６ 透過率検出装置（透過率検出手段） １７ 補正手段及び制御手段となるマイコンを内蔵した
電子回路ユニット ２５ 水温センサ（検知手段） ２６ 流量センサ（検知手段）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷 和利 神奈川県横浜市磯子区新杉田町８ 株式 会社東芝 横浜事業所 家電技術研究所 内 (56)参考文献 特開 平３−237997（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−50595（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−159997（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) D06F 33/02 D06F 39/02

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗濯槽内における洗濯液の光透過率を検
   出する透過率検出手段と、予め溶解して前記洗濯槽に投
   入される洗剤の溶解状態に関連する値として供給水の流
   量を検知する検知手段と、該検知手段で検知された値に
   基づいて前記透過率検出手段で検出された光透過率の変
   化を補正する補正手段と、該補正手段で補正された光透
   過率の変化に基づいて洗濯行程を制御する制御手段とを
   有することを特徴とする洗濯機。