JP3129461U - 靴下 - Google Patents
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Abstract
【課題】靴下の踵部や爪先部の内面側に、角質化防止膜としてのポリウレタン樹脂フィルムを接着するに際し、靴下の踵部や爪先部が立体化し易いことに鑑み、この点を考慮し、履き心地がよく、履いたときの見映えもよい新たな靴下を提供する。
【解決手段】靴下1の踵部H又は爪先部Tの内面側に、融点の低い側のフィルムを接着層として重ねた2枚のポリウレタン樹脂フィルムの積層体Sを、周縁部5aを強接着、中央部5bを弱接着で接着すると共に、接着した前記積層体部分を加熱軟化させ足型9に合せて冷却し立体化した。
【選択図】図4
【解決手段】靴下1の踵部H又は爪先部Tの内面側に、融点の低い側のフィルムを接着層として重ねた2枚のポリウレタン樹脂フィルムの積層体Sを、周縁部5aを強接着、中央部5bを弱接着で接着すると共に、接着した前記積層体部分を加熱軟化させ足型9に合せて冷却し立体化した。
【選択図】図4
Description
本考案は、靴下の踵部や爪先部のような強度的に弱い部分を補強すると共に、これら部分の保温保湿性を高め、かつ、踵部等が立体的で履き心地がよい靴下に関する。
従来から、靴下の踵部分や爪先部分は傷み易いことから、これら部分を丈夫にするため,該部を厚くしたり、二重編みにしたりするなどしている。また、踵は乾燥により角質化し易く、ひび割れしたり、かさかさに荒れ易いので、これらを防止するため、特許文献1には、踵部分の補強を兼ねて合成樹脂製フィルムを靴下の踵付近の内側に当てがい、周縁部のみを被着して保温保湿性を高めるようにした踵保護靴下が提案されている。また、特許文献2には、特許文献1の靴下の改良として、当布の一面に合成樹脂フィルムを被着し、この当布をその周縁部のみを靴下の踵隠蔽部の内側に接着し、接着周縁部内側を靴下地と遊離した二重構造の踵保護靴下が提案されている。
しかしながら、上記の特許文献1,2に提案されている踵保護靴下は、接着周縁部の内側が靴下地と遊離しているため、踵部分にたるみが生じ易く、特に靴を履いたり脱いだりするときにたるみが顕著となり、履き心地が悪いという問題があった。この問題を解決するため、特許文献3には、一面側に非透水性樹脂シートが形成された複合布帛がホットメルト樹脂によってかかと部の内側面に点状に接合されたかかと保護靴下が提案されている。しかし、この提案に係る特許文献3の靴下は、複合布帛の非透水性樹脂シートに粒状のホットメルト樹脂を適宜間隔で設ける必要があるため、製造コストがかかり過ぎるという問題や、周縁部が剥がれ易いという問題があった。
次に、特許文献4には、ウレタン樹脂からなる第1の層と第2の層を離型紙上に積層した転写材で、これらウレタン樹脂層を靴下の踵部や爪先に貼着する転写材が提案されている。しかしながら、この転写材では、靴下の踵部にその全面が貼着されるため履き心地が悪いという問題があった。また、肌に接する側のウレタン樹脂層に透湿性付与材などが混入されるため、特許文献1〜3で提案されている踵保護靴下とは、作用・効果が異なる靴下が形成されることになる。即ち、特許文献4で提案されている転写材により形成された靴下では、従来のように角質化防止のために踵部を完全に非透湿にすると却ってそこの皮膚が必要以上に乾燥化が阻止され、常に湿った状態が維持されるため、雑菌の繁殖を増長させたり、悪臭を発散させて周囲に不快感を与えるという不都合があるとの認識に立ち、角質化を防止しつつ、ある程度の透湿性を付与し、皮膚に多少の接触摩擦による抵抗と多少の通気性を付与するようにしている。
従来の踵部や爪先部の保護靴下は、ある程度厚みのあるソックスタイプの靴下を主に対象とし、ストッキングのような薄い生地に対してはそのまま適用できないという問題もあったことから、本考案の考案者は、踵部や爪先部を保護した新たなストッキングを提案し、既に特許出願している(特許文献5)。また、この特許文献5では、踵部や爪先部の保護は、ストッキング以外のソックスタイプの靴下にも適用することができると記載してある。
しかしながら、特許文献5に記載されているストッキングの製造に用いる方法を、そのまま靴下に適用しても、ストッキングと靴下の構造上の相違から来る問題、具体的には、靴下は履いたとき踵部や爪先部が足に沿って立体化するが、立体化することを考慮してフィルムを接着しないと履き心地が悪く、また、皺が入って見映えが悪いという問題があった。また、靴下には特許文献6に開示されているような二重靴下もあり、この問題は二重靴下へ適用する場合にも生じる。なお、ストッキングの場合は生地自体の延びがよいため、この点はそれ程問題にならないといえる。
特許第2627570号公報
特許第2617819号公報
特許第2813305号公報
特開2002−370333号公報
特開2006−45705号公報
特開2005−15949号公報
本考案は、上記従来の踵や爪先の保護靴下における問題点に鑑み、その踵部や爪先部の内面側に、角質化防止膜としてのポリウレタン樹脂フィルムを接着するに際し、靴下の踵部や爪先部が立体化し易いことに鑑み、この点を考慮し、履き心地がよく、履いたときの見映えもよい新たな靴下を提供することを、その課題とするものである。
上記課題を解決することを目的としてなされた本考案の構成は、靴下の踵部又は爪先部の内面側に、融点の低い側のフィルムを接着層として重ねた2枚のポリウレタン樹脂フィルムの積層体を、周縁部を強接着、中央部を弱接着で接着すると共に、接着した前記積層体部分を加熱軟化させ足型に合せて冷却し立体化したことを特徴とするものである。
本考案は、上記構成において、靴下が二重靴下の場合、積層体は、内側靴下の踵部又は爪先部における内面側又は外面側に接着したものが好ましい。また、積層体の接着は、押圧面の中央部に浅い凹部が形成された熱板を積層体に押当て、周縁部を強接着、中央部を弱接着で接着したものが好ましい。
本考案の靴下は、その踵部又は爪先部に、融点が異なる2枚のポリウレタン樹脂フィルムの積層体を、融点の低い側のフィルムを接着層として周縁部を強接着、中央部を弱接着で接着してあるので、中央部にたるみや皺が生じることはなく、また、周縁部から剥がれるという問題はない。更に、本考案の靴下は、踵部又は爪先部に接着した積層体を加熱軟化し、足型に合せて冷却して踵部や爪先部を立体化させているので履き心地がよく、履いた状態を他人が見てもフィルムが接着されていない普通の靴下を履いているのと同じように見え、違和感を与えることはない。
次に、本考案の実施の形態例を図に拠り説明する。図1は本考案靴下の一例の製造過程を示す要部拡大側断面図、図2は熱板を一点鎖線で表示した図1の平面図、図3は本考案を二重靴下に適用したときの製造過程の一例を示す平面図、図4は積層体を踵部に接着した靴下を足型において冷却する過程を示す拡大側断面図である。
図1,2は、靴下1の踵部Hの内面側にポリウレタン樹脂フィルムを接着する場合を示している。図1,2において、2は裏返した靴下1の中に挿入した中型である。中型2は、製造過程において熱プレスするとき、靴下1の踵部H又は爪先部Tに型崩れが生じないように扁平に保持すると共に、靴下1同士の接着を防止するためのものである。なお、靴下1の踵部Hの外面側にポリウレタン樹脂フィルムを接着してもよく、その場合は靴下1を裏返すことなく、そのまま中型2を挿入する。
Sは、靴下1の踵部H又は爪先部Tに接着させる積層体で、図1では踵部Hに接着させる積層体Sを示している。なお、図示しないが、本考案では積層体を踵部Hと同様に爪先部Tに接着し以下に詳述する踵部Hの場合と同様に処理することができる。積層体Sは、離型紙3の上に融点の異なる2枚のポリウレタン樹脂フィルムを積層してなるもので、離型紙3上に融点の高いポリウレタン樹脂フィルム4が積層され、このフィルム4の上に融点の低いポリウレタン樹脂フィルム5が積層されている。なお、融点の高いポリウレタン樹脂フィルム4と融点の低いポリウレタン樹脂フィルム5は、接着剤などを用いずに軽く圧着されている。積層方法は公知の方法を使用でき、例えば、離型紙上に融点の異なるウレタン樹脂の塗液を順にコーティングするとか、離型紙をウレタン樹脂のエマルジョン溶液中に通し、順次積層するとかであるが、これらの方法に限定されるものではない。
融点の高いポリウレタン樹脂フィルム4はスキン層となり、一例として厚さ80μm程度で融点が180℃程度のものが使用され、ここでは三洋化成のパーマリンUA-200を使用している。また、融点の低いポリウレタン樹脂フィルム5は接着層となり、一例として厚さ50μm程度で融点が150℃程度のものが使用され、ここでは三洋化成のパーマリンUA-310を使用している。なお、積層体Sは、踵部H又は爪先部Tに見合う大きさに予め形成されている。
図1は、靴下1の踵部Hの内面側に、積層体Sをその融点の低いポリウレタン樹脂フィルム5を接着層として位置付けた状態を示している。6は、熱板で、図1においてその下側の押圧面の中央部に浅い凹部が形成されている。この凹部は、積層体Sの周縁部3〜5mmを除いた内面側部分に対応する大きさで、積層体Sの周縁部に当接する面6aと中央部の浅い凹部の底面6bとの段差が50〜150μm程度になるように形成されている。なお、tは、靴下1の履口部である。
本考案靴下1は、その製造過程において、図1に示した状態から、150℃程度に加熱された熱板6を押下げ、積層体Sの離型紙3に押当てることにより、積層体Sの周縁部を強接着させると共に、この周縁部に囲まれた中央部を靴下1の伸びを妨げない程度に弱接着させる。詳細には、熱板6による押圧加熱により離型紙3,フィルム4を介して伝えられた熱により積層体Sの接着層である融点の低いポリウレタン樹脂フィルム5が軟化し、靴下1に圧入されることにより接着されるが、熱板6の押圧面の段差によりその周縁部5aが中央部5bより靴下1の生地に深く圧入されるため、より強く接着されることとなる。従って、周縁部5aは靴下1から剥がれることはなく、中央部5bは靴下1の踵部Hの表面に軽く接着しているので、靴下1の本来の伸縮性が損なわれることはない。なお、熱板6の加熱押圧により、融点の高いポリウレタン樹脂フィルム4と融点の低いポリウレタン樹脂フィルム5同士を貼着させることができる。
図3は、本考案を二重靴下1′に適用したときの製造過程の一例を示すもので、図1,2に示した符号と同一の符号は同一の部材を示している。図3の二重靴下1′は、連続して編成した外側靴下1′aと内側靴下1′bが、長さ方向中央部の薄編地部7において繋がっている。なお、Taは、外側靴下1′aの爪先部、Tbは、内側靴下1′bの爪先部である。二重靴下1′の場合は、外側靴下1′aと内側靴下1′bを重合せたとき、内側靴下1′bにおける踵部H又は爪先部Tbの内面側又は外面側に積層体Sを当てがい、図1,2に示したような熱板6を用いて積層体Sを接着する。なお、図3は、内側靴下1′bの踵部Hになる内面側に積層体Sを接着する場合を示している。
図4は、図1,2に示した製造過程を経て製造された靴下1の踵部Hの積層体Sを、離型紙3を剥がした状態で温風又は赤外線などにより150℃程度に加熱して軟化させた後、靴下1を足型9に嵌め、その状態で足型9の形状に合せて冷却することにより、踵部Hを立体化させる製造過程を示している。なお、足型9は、木製でも、プラスチック製でもよく、また、アルミニウムや鉄,ステンレスなどの金属製のものでもよい。
本考案靴下1は、足型9において踵部Hを冷却し立体化させた後、靴下1を表返しにすることにより製品として完成する。なお、本考案靴下1は、積層体Sを爪先部Tに接着してもよく、また、接着しなくてもよい。爪先部Tに積層体Sを接着した場合でも、離型紙3を剥がすだけで、爪先部Tを立体化させずにそのまま靴下1を表返しにして製品にしてもよく、また、爪先部Tも踵部Hと同様に立体化させてもよい。
次に、二重靴下1′の場合は、図示しないが、内側靴下1′bのみを図1,2に示した靴下1と同様に、その踵部Hの積層体Sを、離型紙3を剥がした状態で温風又は赤外線などにより150℃程度に加熱して軟化させ、足型9に嵌めて立体化させた後、外側靴下1′aと重合せてもよく、また、内側靴下1′bの積層体Sから離型紙3を剥がして外側靴下1′aと重合せ、踵部Hを温風又は赤外線などにより150℃程度に加熱してフィルム4,5を軟化させた後、二重靴下1′を足型9に嵌めて冷却することにより立体化させてもよい。
本考案靴下1は、立体成形後は、靴下1の生地に積層体Sのポリウレタン樹脂フィルム4,5が馴染むため、スキン層となるポリウレタン樹脂フィルム4の表面は光沢面ではなく、梨地面になる。その結果、見映えがよく、また、ポリウレタン樹脂フィルム4同士がくっ付いたりすることはない。
上記実施例では、離型紙上に、融点の異なる2枚のポリウレタン樹脂フィルムを積層して積層体を形成したが、離型紙上に1枚のポリウレタン樹脂フィルムを積層して積層体を形成することもある。かかる場合、ポリウレタン樹脂フィルムは厚さ100〜130μm程度で、融点が150〜180℃程度のもの、好ましくは160〜170℃程度のものを用い、熱板6を150〜160℃程度に加熱して押圧するのが望ましい。ポリウレタン樹脂フィルムが1枚の場合でも、熱板6の押圧面の中央部に浅い凹部が形成されているので、周縁部を靴下1の踵部H等の内面側に強く接着することができ、中央部を弱接着することができる。
本考案の靴下は、踵部や爪先部の内面側が補強されていると共に、これら踵部や爪先部の保温保湿性も高めることができ、かつ、踵部又は爪先部が立体化されているので、靴下としての寿命を飛躍的に延ばすことができると共に、履き心地が良く、角質化をも効果的に防止することができる。また、履いたとき踵部や爪先部に皺が入ったりすることがなく見映えがよい。更に、二重靴下の場合は糖尿病の人や足が冷え易い人に好適である。
1 靴下
1′ 二重靴下
2 中型
3 離型紙
4 融点の高いポリウレタン樹脂フィルム
5 融点の低いポリウレタン樹脂フィルム
6 熱板
7 薄編地部
9 足型
S 積層体
t 履口部
T,Ta,Tb 爪先部
H 踵部
1′ 二重靴下
2 中型
3 離型紙
4 融点の高いポリウレタン樹脂フィルム
5 融点の低いポリウレタン樹脂フィルム
6 熱板
7 薄編地部
9 足型
S 積層体
t 履口部
T,Ta,Tb 爪先部
H 踵部
Claims (3)
- 靴下の踵部又は爪先部の内面側に、融点の低い側のフィルムを接着層として重ねた2枚のポリウレタン樹脂フィルムの積層体を、周縁部を強接着、中央部を弱接着で接着すると共に、接着した前記積層体部分を加熱軟化させ足型に合せて冷却し立体化したことを特徴とする靴下。
- 積層体は、靴下が二重靴下のとき、内側靴下の踵部又は爪先部における内面側又は外面側に接着した請求項1の靴下。
- 押圧面の中央部に浅い凹部が形成された熱板を積層体に押当て、周縁部を強接着、中央部を弱接着で接着した請求項1又は2の靴下。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006009772U JP3129461U (ja) | 2006-12-01 | 2006-12-01 | 靴下 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006009772U JP3129461U (ja) | 2006-12-01 | 2006-12-01 | 靴下 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3129461U true JP3129461U (ja) | 2007-02-22 |
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ID=43280410
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP (1) | JP3129461U (ja) |
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2006
- 2006-12-01 JP JP2006009772U patent/JP3129461U/ja not_active Expired - Fee Related
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