JP3129414B2 - 磁気記録用針状鉄合金磁性粒子粉末の製造法 - Google Patents

磁気記録用針状鉄合金磁性粒子粉末の製造法

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JP3129414B2 JP10192363A JP19236398A JP3129414B2 JP 3129414 B2 JP3129414 B2 JP 3129414B2 JP 10192363 A JP10192363 A JP 10192363A JP 19236398 A JP19236398 A JP 19236398A JP 3129414 B2 JP3129414 B2 JP 3129414B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録用針状鉄合金
磁性粒子粉末の製造法に関するものであり、詳しくは、
高い保磁力と大きな飽和磁化とを有し、しかも、粒子間
における結晶子サイズ及び保磁力の各分布幅が小さい針
状鉄合金磁性粒子粉末を工業的、経済的に有利に提供す
ることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオ用、オーディオ用の磁気記
録再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が激化してお
り、特に、昨今におけるVTR(ビデオ・テープ・レコ
ーダー)の普及は目覚ましく、長時間記録化並びに小型
軽量化を目指したVTRの開発が盛んに行われている。
一方においては、磁気記録媒体である磁気テープに対す
る高性能化、即ち、出力特性の向上、ノイズレベルの改
良等の要求が益々高まってきている。
【0003】磁気記録媒体のこれら諸特性は磁気記録媒
体に使用される磁性粒子粉末と密接な関係を有してお
り、近年においては、従来の酸化鉄磁性粒子粉末に比較
して高い保磁力と大きな飽和磁化を有する針状鉄合金磁
性粒子粉末が注目され、ディジタルオーディオテープ
(DAT)、8mmビデオテープ、Hi−8テープ並び
にビデオフロッピー等の磁気記録媒体に使用され実用化
されている。
【0004】しかしながら、これら針状鉄合金磁性粒子
粉末の特性改善の要求はとどまることがなく、磁気記録
媒体のノイズレベルの低減及び出力特性の向上の面か
ら、針状鉄合金磁性粒子粉末の粒子間における結晶子サ
イズ及び保磁力の各分布幅が出来るだけ小さいことが強
く要求されている。
【0005】先ず、磁気記録媒体のノイズは、使用され
る針状鉄合金磁性粒子の結晶子サイズと関係しており、
粒子の結晶子サイズが小さくなる程磁気記録媒体のノイ
ズは改良される傾向にある。この現象は、例えば「総合
電子リサーチ発行、『磁気記録媒体総合資料集』(昭和
60年8月15日)の第123頁」の「図38」等に示
されている。「図38」は、針状鉄合金磁性粒子粉末を
用いて得られる磁気テープにおける粒子の結晶子サイズ
とノイズの相関を示す図であり、粒子の結晶子サイズが
小さくなる程ノイズが小さくなることを示している。
【0006】従って、磁気記録媒体のノイズレベルの低
減の為には、針状鉄合金磁性粒子粉末の粒子間における
結晶子サイズの分布幅が出来るだけ小さいことが要求さ
れる。
【0007】次に、保磁力の分布は、一般にS.F.
D.(Switching Field Distri
bution)の値によって示されており、S.F.
D.の値が小さい程、針状鉄合金磁性粒子粉末の保磁力
の分布幅が小さいことを意味しており、このような保磁
力の分布幅が小さい針状鉄合金磁性粒子粉末を用いて製
造された磁気記録媒体は出力特性が向上したものであ
る。
【0008】この事実は、特開昭63−26821号公
報の「第1図は、上記した磁気ディスクについて測定さ
れたS.F.D.と記録再生出力との関係を示す図であ
る。‥‥S.F.D.と記録再生出力の関係は、第1図
から明らかな様に直線になり、これにより、S.F.
D.の小さい強磁性粉末を使うことで、記録再生出力が
上ることがわかる。即ち、記録再生出力を高出力化する
ためには、S.F.D.は小さい方が望ましく、通常以
上の出力を得るには、0.6以下のS.F.D.が必要
である。」なる記載の通りである。
【0009】針状鉄合金磁性粒子粉末は、針状ゲータイ
ト粒子、該針状ゲータイト粒子を250℃以上300℃
未満で加熱脱水して得られる針状ヘマタイト粒子又は前
記針状ゲータイト粒子を非還元性雰囲気下300〜85
0℃の温度範囲で加熱して高密度化された針状ヘマタイ
ト粒子を出発原料とし、該出発原料を水素ガス等の還元
性ガス流下で加熱還元することにより得られている。
【0010】得られる針状鉄合金磁性粒子粉末の諸特性
を左右する最も重要な工程は、出発原料の加熱還元工程
であるが、該加熱還元に際して用いられる加熱還元装置
としては、出発原料を粉末状で流動させながら加熱還元
する流動層還元装置や出発原料を造粒して顆粒状とし固
定して加熱還元する固定層還元装置等が知られている。
【0011】針状鉄合金磁性粒子粉末の需要増加に伴う
量産化技術の要請が高まる中、水素等の還元性ガスの流
量を多量にしても粒子の飛散がなく量産化が可能である
固定層還元装置は、工業的、経済的に有利である。
【0012】従来、針状鉄合金磁性粒子粉末の製造にあ
たり、固定層還元装置を用いるものとしては、特公昭6
1−36048号、特公平1−52441号、特公平1
−52442号、特公平1−52443号、特公平1−
52444号、特開昭54−62915号公報等に開示
されている方法がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】高い保磁力と大きな飽
和磁化とを有し、しかも、粒子間における結晶子サイズ
及び保磁力の各分布幅が小さい針状鉄合金磁性粒子粉末
を工業的、経済的に有利に製造することは、現在、最も
要求されているところであるが、固定層還元装置を用い
る前出公知方法による場合には、粒子間における結晶子
サイズ及び保磁力の各分布幅が大きく、前記諸特性を十
分満足する針状鉄合金磁性粒子粉末は未だ得られていな
い。
【0014】固定層還元装置を用いる加熱還元による場
合、得られる針状鉄合金磁性粒子粉末の粒子間における
結晶子サイズ及び保磁力の各分布幅が大きくなるのは、
被還元物である出発原料粒子が層高方向に厚みのある固
定層として存在している為、該固定層の上層部と下層部
とで、還元反応の進行が相違するからである。この現象
は、固定層の層高が厚くなる程顕著になる傾向がある。
【0015】そこで、本発明は、固定層還元装置を用い
て粒子間における結晶子サイズ及び保磁力の各分布幅が
出来るだけ小さい針状鉄合金磁性粒子粉末を得ることを
技術的課題とする。
【0016】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0017】即ち、本発明は、針状含水酸化第二鉄粒子
又は針状ヘマタイト粒子を出発原料とし、該出発原料を
固定層還元装置を用いて加熱還元することにより、磁気
記録用針状鉄合金磁性粒子粉末を製造する方法におい
て、前記出発原料を前記還元装置内に投入して固定層と
した後、該還元装置内に2〜100g/Nm3 の水蒸気
を含む水素ガスを流しながら350℃未満の温度で前記
出発原料を加熱還元して前記固定層の上層部における針
状マグネタイト粒子の結晶子サイズと下層部における針
状マグネタイト粒子の結晶子サイズとの差が小さい針状
マグネタイト粒子を得、次いで、2〜100g/Nm3
の水蒸気を含む水素ガス流下において昇温させた後、前
記針状マグネタイト粒子を水素ガス流下、350〜55
0℃の温度範囲で加熱還元して針状鉄合金磁性粒子とす
ることからなる磁気記録用針状鉄合金磁性粒子粉末の製
造法である。
【0018】次に、本発明実施にあたっての諸条件につ
いて述べる。
【0019】本発明における出発原料としては、長軸径
0.1〜0.35μm、好ましくは0.1〜0.25μ
m程度であって、軸比(長軸径/短軸径)5以上の針状
含水酸化第二鉄粒子粉末、該針状含水酸化第二鉄粒子粉
末を250℃以上300℃未満で加熱脱水して得られた
針状ヘマタイト粒子粉末及び前記針状含水酸化第二鉄粒
子粉末を非還元性雰囲気下300〜850℃の温度範囲
で加熱処理して得られた高密度化された針状ヘマタイト
粒子粉末のいずれをも用いることができる。ここで、針
状粒子とは軸比(長軸径/短軸径)が5以上の粒子をい
い、針状はもちろん、紡錘状、米粒状、短冊状等の形状
の粒子をも含む。
【0020】また、出発原料は、針状鉄合金磁性粒子粉
末の諸特性を向上させる為に通常使用されるAl、N
i、Co、B、Zn、P、Si等のFe以外の異種元素
を粒子内部に含有させるか又は粒子表面に被覆しておい
てもよい。
【0021】本発明において固定層還元装置へ投入する
出発原料としては、粉末を常法により造粒して得られる
平均径0.5〜20mmの顆粒状物が用いられる。水素
ガスの流量やマグネタイトの生成速度の制御等を考慮す
れば、2〜10mmが好ましい。
【0022】本発明においては、出発原料を2〜100
g/Nm3 の水蒸気を含む水素ガス流下350℃未満の
温度で加熱還元して、一旦、マグネタイト粒子を生成さ
せる。水素ガス中に含まれる水蒸気量が2g/Nm3
満の場合には、マグネタイトの生成速度の制御が不十分
となって固定層の上層部における針状マグネタイト粒子
の結晶子サイズと下層部における針状マグネタイト粒子
の結晶子サイズとの差が大きくなる。100g/Nm3
を越える場合にも、上層部における針状マグネタイト粒
子の結晶子サイズと下層部における針状マグネタイト粒
子の結晶子サイズとの差が小さい針状マグネタイト粒子
が得られるが、マグネタイトの生成反応に長時間を要
し、工業的、経済的ではなく、また、長時間の還元反応
によって部分的に粒子及び粒子相互間で焼結が生起しは
じめ、保磁力の分布幅が大きくなる。加熱還元温度が3
50℃以上の場合には、マグネタイトの生成速度が早く
なってその制御が困難となり、また、マグネタイト生成
による発熱反応によって部分的に粒子及び粒子相互間で
焼結が生起しはじめ、保磁力の分布幅が大きくなる。
【0023】本発明においては、加熱還元によって、固
定層の上層部における針状マグネタイト粒子の結晶子サ
イズと下層部における針状マグネタイト粒子の結晶子サ
イズとの差が20Å以下、好ましくは、10Å以下の針
状マグネタイト粒子を生成させることが肝要である。
【0024】本発明における針状マグネタイト粒子から
針状鉄合金磁性粒子への加熱還元温度は350〜550
℃である。350℃未満の場合には、還元反応の進行が
遅く長時間を要し、高い保磁力と大きな飽和磁化を有す
る針状鉄合金磁性粒子粉末が得られ難い。550℃を越
える場合には、粒子及び粒子相互間で焼結が生起し、得
られる針状鉄合金磁性粒子は保磁力が低下する。
【0025】本発明においては、針状鉄合金磁性粒子粉
末への加熱還元に際しての昇温を、2〜100g/Nm
3 の水蒸気を含む水素ガス流下において行う。この方法
によって昇温した場合には、昇温過程において、固定層
の下層部に存在する針状マグネタイト粒子が上層部に存
在する針状マグネタイト粒子に先立って還元され始める
のを防ぐことができるので、得られる鉄合金磁性粒子の
粒子間における結晶子サイズ及び保磁力の各分布幅をよ
り小さいものとすることができる。
【0026】
【作用】先ず、本発明において最も重要な点は、針状含
水酸化第二鉄粒子又は針状ヘマタイト粒子を出発原料と
し、該出発原料を固定層還元装置を用いて加熱還元する
ことにより磁気記録用針状鉄合金磁性粒子粉末を製造す
る方法において、前記出発原料を前記還元装置内に投入
して固定層とした後、該装置内に2〜100g/Nm3
の水蒸気を含む水素ガスを流しながら350℃未満の温
度で前記出発原料を加熱還元して、一旦、針状マグネタ
イト粒子を生成し、次いで、該針状マグネタイト粒子を
加熱還元して針状鉄合金磁性粒子とした場合には、前記
固定層の上層部における針状マグネタイト粒子の結晶子
サイズと下層部における針状マグネタイト粒子の結晶子
サイズの差が小さい針状マグネタイト粒子を得ることが
出来ることに起因して、粒子間における結晶子サイズの
分布幅の小さい針状鉄合金磁性粒子粉末が得られるとい
う事実である。このようにして得られた針状鉄合金磁性
粒子粉末は、結晶子サイズの分布幅が小さいのみなら
ず、保磁力の分布幅も小さいものである。
【0027】本発明において、結晶子サイズの分布幅が
小さい針状鉄合金磁性粒子粉末が得られる理由につい
て、本発明者は、針状鉄合金磁性粒子の結晶子サイズの
分布幅が最も生じやすいマグネタイト化の段階におい
て、還元反応の進行を制御して発熱反応による熱的変化
を十分抑制することが出来たことにより固定層の上層部
と下層部において結晶子サイズの均一な成長が可能にな
ったことによるものと考えている。
【0028】本発明において、針状鉄合金磁性粒子粉末
への加熱還元に際しての昇温を2〜100g/Nm3
水蒸気を含む水素ガス流下で行った場合、結晶子サイズ
の分布幅がより小さい針状鉄合金磁性粒子粉末が得られ
る理由について、本発明者は、昇温過程において部分
的、特に、固定層の下層部で生起するマグネタイトから
鉄合金への生成反応を抑制し、固定層の上層部と下層部
において別々に生起するマグネタイトから鉄合金への反
応開始の時期を制御することができたためであろうと考
えている。
【0029】本発明においては、出発原料のマグネタイ
ト化の段階において還元反応の進行を十分制御できるの
で、固定層の層高を前出特開昭54−62915号公報
に記載の層高8cmを越えて150cm程度に厚くして
も、結晶子サイズの分布幅が小さい針状鉄合金磁性粒子
粉末が得られるという効果をも有する。
【0030】尚、従来、針状鉄合金磁性粒子粉末の加熱
還元にあたり水蒸気を含む水素ガスを用いるものとして
は、特公昭61−36048号公報及び特開平2−15
9305号公報に記載の方法がある。これらの方法は、
粒子間における結晶子サイズ及び保磁力の各分布幅の小
さい針状鉄合金磁性粒子粉末を得ることを目的としてあ
らかじめマグネタイト化の段階でマグネタイト粒子の結
晶子サイズを制御しておく本発明とは、その目的、構成
及び効果において相異するものである。
【0031】
【実施例】次に、実施例並びに比較例により、本発明を
説明する。
【0032】尚、以下の実施例並びに比較例における粒
子の長軸、軸比(長軸径/短軸径)は、電子顕微鏡写真
から測定した数値の平均値で示した。針状鉄合金磁性粒
子粉末の磁気特性及び塗膜特性は、「振動試料磁力計V
SM−3S−15」(東英工業(株)製)を使用し、外
部磁場10KOeまでかけて測定した。
【0033】マグネタイトの結晶子サイズ(D311 )及
び鉄合金の結晶子サイズ(D110 )は、それぞれX線回
折法で測定されるマグネタイト粒子の(311)面の回
折線及び鉄合金粒子の(110)面の回折線から、下記
のシェラーの式を用いて計算した値で示したものであ
る。
【0034】D110 =Kλ/βcosθ 但し、β=装置に起因する機械幅を補正した真の回折ピ
ークの半値幅 K=シェラー定数(0.9) λ=X線の波長(1.935Å) θ=回折角
【0035】尚、塗膜の角型及びS.F.D.の測定
は、下記の方法により得られたシート試料片を用いて行
った。また、S.F.D.は、前記磁気測定器の微分回
路を使用して、磁気履歴曲線の減磁カーブの微分曲線を
得、この曲線の半値巾を測定し、この値を保磁力で除す
ることにより求めた。シート状試料片は、100ccの
ポリビンに鉄合金磁性粒子粉末、樹脂及び溶剤を下記の
割合で入れた後、ペイントコンディショナーで6時間混
合分散を行うことにより調整した磁性塗料を厚さ25μ
mのポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケ
ーターを用いて50μmの厚さに塗布し、次いで、3K
Gaussの磁場中で乾燥させることにより得た。
【0036】 3mmφスチルボール 800重量部 鉄合金磁性粒子粉末 100重量部 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 20重量部 シクロヘキサノン 83.3重量部 メチルエチルケトン 83.3重量部 トルエン 83.3重量部
【0037】参考例1 Al化合物、Co化合物及びB化合物によって粒子表面
が被覆されている長軸0.23μm、軸比(長軸径/短
軸径)11の紡錘形を呈したゲータイト粒子(Al/F
e=2.2原子%、Co/Fe=6.0原子%、B/F
e=4.1原子%)からなる平均径2.8mmの顆粒状
ゲータイト粒子280gを空気中400℃で加熱処理し
てAl化合物、Co化合物及びB化合物によって粒子表
面が被覆されている長軸0.16μm、軸比(長軸径/
短軸径)9.5の紡錘形を呈したヘマタイト粒子からな
る平均径2.5mmの顆粒状ヘマタイト粒子を得た。
【0038】上記顆粒状ヘマタイト粒子を内径7.2c
mの固定層還元装置へ投入し層高12cmの固定層とし
た後、10g/Nm3 の水蒸気を含むH2 ガスを毎分2
5lの割合で通気し、還元温度300℃で還元して顆粒
状黒色粒子を得た。還元時間は2時間であった。
【0039】固定層の上層部及び下層部のそれぞれから
顆粒状黒色粒子の一部を抜きとり、トルエン中に浸漬し
た後、空気中に取り出した。抜きとった上層部の顆粒状
黒色粒子はX線回折の結果、マグネタイトのピークのみ
が認められ、結晶子サイズは142Åであった。また、
下層部の顆粒状黒色粒子はX線回折の結果、マグネタイ
トのピークのみが認められ、結晶子サイズは139Åで
あった。上層部におけるマグネタイトの結晶子サイズと
下層部におけるマグネタイトの結晶子サイズの差は3Å
と小さかった。
【0040】前記固定層還元装置に引き続きH2 ガスを
毎分25 lの割合で通気し、還元温度390℃まで1
時間かけて昇温した後還元して顆粒状鉄合金磁性粒子と
した。還元時間は5.0時間であった。固定層の上層部
及び下層部のそれぞれから顆粒状鉄合金磁性粒子粉末の
一部をとり、空気中に取り出した時急激な酸化を起こさ
ないように、トルエン液中に浸漬して取り出し、トルエ
ンを蒸発させながら表面に安定な酸化被膜を形成した。
取り出した上層部の顆粒状鉄合金磁性粒子の結晶子サイ
ズは177Åであって、保磁力は1615 Oeであっ
た。また、下層部の顆粒状鉄合金磁性粒子の結晶子サイ
ズは162Åであって、保磁力は1580 Oeであっ
た。上層部における鉄合金磁性粒子の結晶子サイズ及び
保磁力と下層部における鉄合金磁性粒子の結晶子サイズ
及び保磁力の差はいずれも小さかった。
【0041】更に、前記固定層中の鉄合金磁性粒子を同
様に、トルエン液中に浸漬した後、空気中に取り出し
た。得られた鉄合金磁性粒子は、電子顕微鏡観察の結
果、平均長軸径が0.15μm、軸比(長軸径/短軸
径)が8.0の針状粒子であった。また、磁気特性は、
保磁力Hcが1605 Oe、飽和磁化σsが159e
mu/gであり、塗膜特性は、角型が0.86、S.
F.D.が0.45であった。
【0042】参考例2〜3、比較例1〜3 出発原料粒子の種類、固定層の層高、針状マグネタイト
粒子の製造工程におけるH2 ガス中の水蒸気の有無及び
水蒸気量並びに針状鉄合金磁性粒子の製造工程における
温度を種々変化させた以外は参考例1と同様にして針状
鉄合金磁性粒子を製造した。この時の主要製造条件を表
1に諸特性を表2に示す。
【0043】実施例1 10g/Nm3 の水蒸気を含むH2 ガスを毎分25 l
の割合で通気して針状マグネタイト粒子とした後、25
g/Nm3 の水蒸気を含む水素ガスに切り換えて引き続
き390℃まで2時間かけて昇温した以外は、参考例1
と同様にして鉄合金磁性粒子とした。
【0044】固定層の上層部及び下層部のそれぞれから
顆粒状鉄合金磁性粒子の一部をとり、空気中に取り出し
た時急激な酸化を起こさないように、トルエン液中に浸
漬して取り出し、トルエンを蒸発させながら表面に安定
な酸化被膜を形成した。取り出した上層部の顆粒状鉄合
金磁性粒子の結晶子サイズは176Åであって保磁力は
1620 Oeであった。また、下層部の顆粒状鉄合金
磁性粒子の結晶子サイズは165Åであって保磁力は1
600 Oeであった。上層部における鉄合金磁性粒子
の結晶子サイズ及び保磁力と下層部における鉄合金磁性
粒子の結晶子サイズ及び保磁力の差はいずれも小さかっ
た。
【0045】更に、前記固定層中の鉄合金磁性粒子を同
様に、トルエン液中に浸漬した後、空気中に取り出し
た。得られた鉄合金磁性粒子は、電子顕微鏡観察の結
果、平均長軸径が0.15μm、軸比(長軸径/短軸
径)が8.0の針状粒子であった。また、磁気特性は、
保磁力Hcが1615 Oe、飽和磁化σsが158e
mu/gであり、塗膜特性は、角型が0.87、S.
F.D.が0.41であった。
【0046】実施例2〜3 出発原料粒子の種類、固定層の層高、針状マグネタイト
粒子の製造工程におけるH2 ガス中の水蒸気量、水素ガ
ス流量及び温度、昇温工程におけるH2 ガス中の水蒸気
量並びに針状鉄合金磁性粒子粉末の製造工程における温
度を種々変化させた以外は実施例1と同様にして針状鉄
合金磁性粒子を製造した。この時の主要製造条件を表1
に、諸特性を表2に示す。
【0047】比較例4 実施例2と同一の出発原料を固定層還元装置へ投入し、
層高8cmの固定層とした後、400℃において、20
g/Nm3 の水蒸気を含むH2 ガスを毎分25lの割合
で3時間通気した。固定層の下層部から顆粒状黒色粒子
の一部を抜き取り、トルエン中に浸漬した後、空気中に
取り出した。抜き取った顆粒状黒色粒子はX線回折の結
果、マグネタイトのピークとともに鉄のピークが認めら
れた。前記水蒸気を含むH2 ガス中の水蒸気を止め、前
記固定層還元装置内にH2 ガスを毎分25 lの割合で
2.5時間通気し、顆粒状鉄合金磁性粒子とした。得ら
れた鉄合金磁性粒子の諸特性を表2に示す。
【0048】比較例5 Al化合物、Co化合物及びB化合物によって粒子表面
が被覆されている高密度化された(空気中400℃で加
熱処理)長軸0.13μm、軸比(長軸径/短軸径)9
の紡錘形を呈したヘマタイト粒子(Al/Fe=2.5
原子%、Co/Fe=2.0原子%、B/Fe=3.0
原子%)からなる平均径2.5mmの顆粒状ヘマタイト
粒子を出発原料とし、該出発原料を固定層還元装置に投
入し、層高8cmの固定層とした後、温度250℃にお
いて25g/Nm3 の水蒸気を含むH2 ガスを毎分25
lの割合で通気しながら4時間で370℃まで昇温
し、次いで、370℃において顆粒状黒色粒子とした。
還元時間は5時間であった。得られた顆粒状黒色粒子の
諸特性を表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】本発明に係る針状鉄合金磁性粒子粉末の
製造法によれば、前出実施例に示した通り、高い保磁力
と大きな飽和磁化とを有し、しかも、粒子間における結
晶子サイズ及び保磁力の各分布幅が小さい針状鉄合金磁
性粒子粉末を工業的、経済的に有利に提供することがで
きる。
【0052】尚、本発明においては、固定層における層
高を厚くできるので、針状鉄合金磁性粒子粉末の量産化
が容易であり、工業的、経済的に極めて有利であるとい
う効果をも有する。
フロントページの続き (72)発明者 森 幸治 広島県広島市中区舟入南4丁目1番2号 戸田工業株式会社創造センター内 (72)発明者 池本 邦生 広島県広島市中区舟入南4丁目1番2号 戸田工業株式会社創造センター内 審査官 山本 一正 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 9/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針状含水酸化第二鉄粒子又は針状ヘマタ
    イト粒子を出発原料とし、該出発原料を固定層還元装置
    を用いて加熱還元することにより磁気記録用針状鉄合金
    磁性粒子粉末を製造する方法において、前記出発原料を
    前記還元装置内に投入して固定層とした後、該還元装置
    内に2〜100g/Nm3 の水蒸気を含む水素ガスを流
    しながら350℃未満の温度で前記出発原料を加熱還元
    して前記固定層の上層部における針状マグネタイト粒子
    の結晶子サイズと下層部における針状マグネタイト粒子
    の結晶子サイズとの差が小さい針状マグネタイト粒子を
    得、次いで、2〜100g/Nm3 の水蒸気を含む水素
    ガス流下において昇温させた後、前記針状マグネタイト
    粒子を水素ガス流下、350〜550℃の温度範囲で加
    熱還元して針状鉄合金磁性粒子とすることを特徴とする
    磁気記録用針状鉄合金磁性粒子粉末の製造法。
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KR102098874B1 (ko) * 2017-08-29 2020-04-09 엘지전자 주식회사 화장대

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