JP3128132B2 - 電池用セパレータの製造法 - Google Patents

電池用セパレータの製造法

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JP3128132B2
JP3128132B2 JP02334309A JP33430990A JP3128132B2 JP 3128132 B2 JP3128132 B2 JP 3128132B2 JP 02334309 A JP02334309 A JP 02334309A JP 33430990 A JP33430990 A JP 33430990A JP 3128132 B2 JP3128132 B2 JP 3128132B2
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喜一郎 松下
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電池用セパレータの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々のタイプの電池が実用に供されており、これら電
池には正負両極の短絡防止のために、その両極間にセパ
レータが介在せしめられている。
【0003】 最近、電子機器のコードレス化等に対応するための電
池として、高エネルギー密度、高起電力、自己放電の少
なさからリチウム電池が注目を浴びている。リチウム電
池としては、例えば、負極を金属リチウム、リチウムと
アルミニウム等の金属との合金、カーボンやグラファイ
ト等、リチウムイオンを吸着する能力またはインターカ
レーションにより吸蔵する能力を有する有機材料、ある
いはリチウムイオンをドーピングした導電性高分子で形
成したもの等が知られている。
【0004】 そして、このリチウム電池は、電極構成材料としての
リチウムが強い反応性を有し、また、エチレンカーボネ
ート、プロピレンカーボネート、アセトニトリル、γ−
ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒド
ロフラン等の有機溶媒にLiPF6、LiCF3SO3、LiCIO4、LiB
F4等を電解質として溶解した溶液を電解液としているの
で、外部短絡や誤接続等により異常電流が流れた場合、
これに伴って内部温度が著しく上昇し、遂には火災や破
裂という重大事故を引き起こす危険性がある。
【0005】 かような危険を回避するために、ポリエチレン(以
下、PEと称す)多孔質フィルムあるいはポリプロピレン
(以下、PPと称す)多孔質フィルムをセパレータとして
用いることが提案されている(特開昭60−23954号公
報、特開平2−75151号公報等)。
【0006】 この多孔質セパレータを使用する意図は、正常通電時
には正極と負極の間に位置して、これら両極の短絡を防
止すると共に、その多孔質構造により両極間の電気抵抗
を小さくして通電効率に貢献し、一方、異常電流により
電池の内部温度が上昇した場合には、所定温度で溶融し
て多孔質構造から無孔質構造に変質させることにより、
その電気抵抗を増大させて電流を遮断し、過度の温度上
昇を防止して安全を確保しようとするにある。
【0007】 このように温度の異常上昇があった場合、電気抵抗の
増大により電流を遮断し、火災、破裂を回避することに
より、電池の安全を確保する機能を一般にシャットダウ
ン(shutdown)特性(以下、SD特性と称す)と呼び、リ
チウム電池用セパレータ等には必須の特性である。
【0008】 リチウム電池用セパレータは、このSD特性を有するこ
とが重要であるが、更に、電気抵抗の増大が適当な温度
で開始されること(以下、電気抵抗の増大が始まる温度
をSD開始温度と称す)および増大された電気抵抗が適当
な温度まで維持されることも要求される。
【0009】 SD開始温度が低過ぎる場合は、僅かな温度上昇で電気
抵抗の増大が開始されることになり、実用性に乏しく、
高過ぎる場合は、安全の確保が不充分となる。現在のと
ころ、このSD開始温度は約115℃〜130℃が好ましいと認
識されている。
【0010】 また、増大した電気抵抗は約140℃付近(勿論、これ
以上の高温まで維持できればより好ましい)まで維持で
きれば、火災や破裂をほぼ防止できると認識されてい
る。増大した電気抵抗が維持される上限温度を本発明に
おいては、以下、「耐熱温度」と称することとする。こ
の耐熱温度はセパレータのフィルム形状維持機能と見る
こともでき、温度の過昇によってセパレータが溶融し
て、そのフィルム形状を維持できなくなると、電気抵抗
は減少しSD特性は喪失する。そして、SD特性が喪失する
と、リチウム電池内において正極と負極が接触して温度
が急激に上昇し、発火等に至る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、本発明者の実験によれば、PE製多孔質フィ
ルムは耐熱温度が約140〜155℃程度と低く、比較的早期
にSD特性を喪失し、一方、PP製多孔質フィルムはSD開始
温度が約155℃と高く、いずれも安全性の確保の点で未
だ改良すべきものであることが判った。
【0012】 従って、本発明はSD開始温度が約115〜130℃であり、
耐熱温度も約150℃以上である実用性に富む新規なセパ
レータの製造法を提供することを目的とするものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は従来技術の有する上記問題を解決するため
種々研究の結果、PEとPPを特定の割合で混合したポリマ
ーアロイから成る多孔質フィルムがSD開始温度および耐
熱温度共に実用性を満足するものであることを見い出
し、本発明を完成するに至ったものである。
【0014】 即ち、本発明による電池用セパレータの製造法は、ポ
リエチレン(この融点をTmb℃とする。)10〜90重量%
とポリプロピレン90〜10重量%から成るフィルム状物を
−20℃〜(Tmb−30)℃の低温度領域で一軸延伸し、次
に、この延伸フィルムを(Tmb−30)℃〜(Tmb−2)℃
の高温度領域において前記低温延伸と同一方向に延伸す
ることにより多孔質化せしめることを特徴とするもので
ある。
【0015】
【発明の実施の形態】
このようにして得られる本発明による電池用セパレー
タは、多孔質構造を有する点では上記従来のPE多孔質フ
ィルムあるいはPP多孔質フィルムと共通するが、SD特性
の発揮機構がこれらとは異なるものである。
【0016】 上記従来のPE多孔質フィルムあるいはPP多孔質フィル
ムから成るセパレータでは、PEあるいはPPの融点に達す
ると、セパレターが溶融して無孔構造へと変化し、抵抗
値の増大が生じて電流が遮断されるのである。従って、
そのSD特性はセパレータを構成するPEあるいはPPの融点
に依存することになる。それ故に、PE多孔質フィルム製
のセパレータは耐熱温度が低くて実用性に乏しいのであ
り、一方、PP多孔質フィルム製のセパレータはSD開始温
度が高過ぎて安全性の確保に不安があるのである。
【0017】 ところが、本発明によるPEとPPの混合物から成る多孔
質フィルムでは、温度が上昇してPEの融点に達すると多
孔質フィルムを構成するPEのみが溶融して気孔を閉塞
し、その結果、抵抗値の増大により電流が遮断され、温
度の過昇が防止される。そして、PPの融点に至るまでは
セパレータ構成材料一つであるPPによりフィルム形状が
維持されることになり、充分な耐熱温度を示すのであ
る。
【0018】 即ち、本発明によるセパレータでは、それを構成する
PEがSD開始温度および抵抗値の増大に寄与し、PPが耐熱
温度に寄与することにより、優れた実用性を有するので
ある。このように、本発明によるセパレータは、二つの
構成材料が異なる機能を分担することにより、優れた実
用性を発揮する。
【0019】 本発明によるセパレータにおいては、PEとPPを両者の
合計重量中に、PEが90〜10重量%、PPが10〜90重量%の
割合で含まれるように配合されている。PEの配合量が少
な過ぎると異常電流により温度が上昇しても気孔が充分
に閉塞されず、抵抗値の増大程度が小さく、SD特性に劣
り、PEの配合量が多過ぎると、SD開始温度および耐熱温
度が低くなるので、いずれも好ましくない。なお、所望
により充填剤、着色剤、老化防止剤、難燃化剤等の添加
剤を適量配合することもできる。
【0020】 かような本発明によるセパレータは上記したように多
孔質構造を有するものであり、その気孔径、空孔率はそ
れを組み込む電池に応じて設定するが、通常、平均孔径
は0.01〜5μm、空孔率は20〜80%である。そして、気
孔径、空孔率をこのように設定したセパレータは、通
常、20Ω・cm2/枚以下(8000Ω・cm以下)の抵抗値(電
解液抵抗も含めた値)を示す。
【0021】 なお、セパレータの抵抗値R0(Ω)は、体積固有抵抗
ρ(Ω・cm)、セパレータ厚さL(cm)およびセパレー
タ面積S(cm2)を用い、下記式(I)で求められる。
【0022】
【数1】
【0023】 抵抗値R0は、セパレータの厚さに比例し、面積に反比
例する。そして、セパレータの厚さを考慮しない1枚当
たりの抵抗値R1(Ω・cm2/枚)は下記式(II)で表さ
れ、セパレータの厚さを考慮した体積固有抵抗値R2(Ω
・cm)は下記式(III)で表される。
【0024】
【数2】
【0025】 上記抵抗値R0は電解液の抵抗値Reとセパレータの抵抗
値RSの和である。
【0026】 ここで本発明のセパレータの安全性について説明す
る。室温付近で有機電解液(電導度約101mS/cm)中にて
測定したリチウム電池用セパレータの電気抵抗は一般
に、厚さ25μmで、約20Ω・cm2以下である。
【0027】 そして、異常電流による過度の温度上昇を抑制するた
め、電流を遮断するには電気抵抗値が室温付近での値よ
りも少なくとも2〜3桁増大する必要があると認識され
ている。
【0028】 本発明者が本発明によるセパレータについて試験した
ところ、このセパレータの室温付近での電気抵抗は厚さ
25μmで約20Ω・cm2以下であるが、SD特性発現温度(S
D開始温度〜耐熱温度)では約105〜106Ω・cm2となり、
4〜5桁の抵抗増加を示すことが判明した(下記実施例
参照)。この大きな抵抗増加は本発明によるセパレータ
の電流遮断機能、即ち、SD特性が優れていること、およ
びこのセパレータを組み込んだ電池の安全性が優れてい
ることを示すものである。
【0029】 かような本発明によるセパレータは、これを従来のそ
れと同様に、正極と負極の間に介在せしめて電池を組み
立てることができる。この際、正極、負極、電池ケー
ス、電解液等の材質やこれら構成要素の配置構造は何ら
格別である必要はなく、従来の電池と同様であってよい
ものである。
【0030】 以下に本発明によるセパレータの製造法について詳細
に説明する。
【0031】 即ち、本発明による電池用セパレータの製造法は、PE
(この融点をTmb℃とする)10〜90重量%とPP90〜10重
量%から成るフィルム状物を−20℃〜(Tmb−30)℃の
低温度領域で一軸延伸し、次に、この延伸フィルムを
(Tmb−30)℃〜(Tmb−2)℃の高温度領域において前
記低温延伸と同一方向に延伸することにより多孔質化せ
しめることを特徴とするものである。
【0032】 本発明の方法に用いるフィルム状物はPEとPPを必須成
分とし、両者の合計重量中に占めるPEの割合が10〜90重
量%、PPの割合が90〜10重量%になるように配合した混
合物から成るものである。このフィルム状物を形成する
PEは特にに限定されることなく、低密度、中密度あるい
は高密度PEや直鎖状低密度PE等を用いることができる。
また、PPも限定されるわけではないが、空孔率の高いセ
パレータを得るためにはアイソタクチックPPが好まし
く、沸騰n−ヘプタンで抽出されない部分の重量分率で
表されるアイソタクチックインデックスが90%以上、よ
り好ましくは95%以上のアイソタクチックPPが好適であ
る。
【0033】 かようなフィルム状物は例えばTダイ押出法、インフ
レーション法等の既に公知の方法により得ることができ
る。
【0034】 Tダイ押出法による場合のダイス温度は、PPの融点
(以下、この温度をTma℃と称す)よりも10℃高い温度
〜(Tma+150)℃とするのが好ましい。
【0035】 本発明の方法においては、フィルム状物を低温延伸す
るが、この延伸に先立ち、フィルムを(Tmb−30)℃〜
(Tmb−2)℃の温度領域で所定時間(通常、数秒〜数
時間)加熱するアニーリングを施すことができる。この
アニーリングにより、後に行われる二つの延伸により得
られる多孔質フィルムの気孔率を高めることができる。
【0036】 上記フィルム状物あるいはアニーリングを施したフィ
ルム状物は、先ず、−20℃〜(Tmb−30)℃の低温度領
域においてロール延伸、テンター式延伸等の方法で一軸
延伸される。温度が低過ぎると延伸が困難となり、高過
ぎると次の工程での高温延伸を行っても目的とする多孔
質フィルムが得られないので、いずれも好ましくない。
【0037】 この低温延伸時の延伸率は、通常約25〜200%、好ま
しくは約10〜100%であり、延伸速度は、通常約50〜500
0%/minである。延伸率はフィルム状物の延伸前の長さL
0と、延伸後の長さL1を用い、下記式(IV)によって算
出した値である。
【0038】
【数3】
【0039】 本発明の方法では、この低温延伸の後に(Tmb−30)
℃〜(Tmb−2)℃の高温度領域において、上記低温延
伸時の延伸方向と同一の方向に一軸延伸を行う。この高
温延伸により、低温延伸時にフィルム状物に生じた極微
細孔が拡大されて多孔質化される。高温延伸時の温度が
上記範囲を外れると多孔質化の度合いが不十分となるの
で、好ましくない。
【0040】 この高温延伸も低温延伸と同じくロール延伸、テンタ
ー延伸等により行うことができる。また、高温延伸時の
延伸率は、通常約10〜400%、好ましくは約50〜200%で
あり、延伸速度は通常約50〜5000%/minである。なお、
この延伸率は低温延伸前の長さL0と、低温延伸済みフィ
ルム状物の長さ(即ち、高温延伸前の長さ)L1と、高温
延伸後の長さL2を用い、下記(V)式により算出した値
である。
【0041】
【数4】
【0042】 上記低温延伸および高温延伸を順次施して得られる多
孔質セパレータは延伸歪みを内蔵することがあり、その
除去のため、高温延伸後にセパレータを緊張状態あるい
は緩和状態に保ち、所定温度、通常は高温延伸時とほぼ
同温度に加熱する(この加熱をヒートセットと称す)こ
とができる。この歪み除去のための加熱時間は、温度、
セパレータに残存する歪み量等に応じて設定するが、通
常、約5秒〜2分である。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明の方法によれば、低温延伸およ
び高温延伸により特性の優れたセパレータを得ることが
でき、そして、その工程において有機溶媒を用いること
がないので、製造現場や地球環境に悪影響を及ぼすこと
もない。
【0044】 また、このような本発明の方法によって得られたセパ
レータは、PEとPPの混合物による多孔質セパレータであ
るので、温度が異常に上昇した場合、PEが溶融してその
孔を閉塞し抵抗を増大させて電流を遮断し、一方、PPは
セパレターのフィルム形状維持機能を発揮するので、実
用的、且つ安全性が高い利点がある。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。な
お、実施例および比較例中において、使用材料の配合部
数を示す「部」は全て「重量部」である。
【0046】 実施例1 メルトインデックス(以下、MIと称す)0.7、融点134
℃のPE50部およびMI2.5、融点158℃のPP50部を溶融混練
し、これをダイス温度240℃のTダイ押出機から押出
し、厚さ27μmの長尺のフィルム状物を得る。
【0047】 このフィルム状物を温度120℃で60分間加熱してアニ
ーリングした後、温度25℃で長尺方向に延伸率が35%に
なるように一軸延伸し、次いで、温度120℃で前記方向
と同方向に延伸率が65%になるように一軸延伸して多孔
質化し、更に温度120℃で1分間加熱してヒートセット
を行い、セパレータ(試料1)を得た。なお、ヒートセ
ットに際しては延伸方向の長さが変化しないようにし
た。このセパレータの厚さは25μmであり、平均孔径は
0.14μm、空孔率は40%、抵抗は15Ω・cm2/枚であっ
た。
【0048】 また、そのSD特性は図1中に曲線Aとして示すとおり
であった。曲線Aから判るように、このセパレータは温
度130℃付近(SD開始温度)で抵抗値が4〜5桁急激に
増大し、この大きな抵抗値が維持され、そして、165℃
付近(耐熱温度)から抵抗値が減少する。
【0049】 130℃付近での抵抗値の急激な増大は、セパレータの
形成材料の一つであるPEが溶融して孔を閉塞したために
生ずる現象であり、この抵抗増大現象および増大した抵
抗値が165℃付近まで維持されることから、このセパレ
ータが優れたSD特性を有することが理解できる。また、
165℃付近から抵抗値が減少するのは、セパレータのも
う一つの形成材料であるPPも溶融し、フィルム形状を維
持しなくなったために生ずる現象である。
【0050】 なお、使用した樹脂のMI、融点およびセパレータ特性
は下記要領により測定した。 (MI) JIS K 7210に規定される方法により測定する。 (融点) PEあるいはPPを温度230℃で5分間加熱して溶融させ
た後、5℃/minの速度で25℃まで冷却する。次いで、5
℃/minの速度で昇温させ、その際の吸熱ピーク時の温度
を融点とする。なお、吸熱ピークの測定にはセイコー電
子工業社製、DSC200を用いた。 (平均孔径) カルロエルバ社製水銀圧入式ポロシメータ2000型を用
いて測定した。 (空孔率) 未延伸のフィルム状物の厚さ、面積および重量から、
フィルム状物の密度(ρ)を求める。次に、このフィ
ルム状物から得られた多孔質セパレータの厚さ、面積お
よび重量からセパレータの見掛け密度(ρ)を求め
る。そして、下記式(VI)を用いて気孔率を算出する。
【0051】
【数5】
【0052】 (SD特性) 図4に示すように直径20mmの白金電極1、1を対向さ
せると共にその間にセパレータ2を配置し、シリコーン
ゴム3、3をパッキンとし、更にポリテトラフルオロエ
チレン板4、4で全体を両側から締めつける。
【0053】 電解液としてはプロピレンカーボネートとジメキシメ
タンを同重量ずつ混合し、これにLiBF4を1mol/1の濃度
になるように溶解せしめたものを使用し、これを電極
1、1とポリテトラフルオロエチレン板4、4の間に充
填されたPP製不織布5に含浸した。なお、図示を省略し
た白金板電極には、抵抗計および熱電対を接続した。
【0054】 かような構造の測定セルを乾燥器中にセットし、5〜
7℃/minの速度で昇温させ、各温度におけるセパレータ
1枚についての電気抵抗値(Ω・cm2)を測定する。電
気抵抗は国産電機工業社製の抵抗計、LCRメーターKC−5
32型を用い、1KHzの交流抵抗で測定し、前記の式(II)
により換算した。
【0055】 実施例2 低温延伸及び高温延伸の条件を表1に示すように設定
すること、およびヒートセット温度を高温延伸時の温度
と同温度とすること以外は実施例1と同様に作業して、
5種類の多孔質セパレータ(試料2〜6)を得た。な
お、表1中の温度および延伸率の単位は、「℃」および
「%」である。
【0056】 これらのセパレータの特性は表6に示すとおりであっ
た。なお、表6中の「抵抗」は温度25℃におけるセパレ
ータの抵抗値である。
【0057】
【0058】 実施例3 PE30重量部とPP70重量部の混合物を用いること以外は
実施例1と同様にして、フィルム状物を得、これを温度
120℃で30分間加熱してアニーリングする。
【0059】 このアニーリング済みフィルム状物を用い、表2に示
す条件で低温延伸および高温延伸を順次施し、更に、高
温延伸時の温度と同温度で1分間加熱してヒートセット
を行い、4種類の多孔質セパレータ(試料7〜10)を得
た。これらの特性を表6に併記する。
【0060】
【0061】 実施例4 (フィルム状物の製造) 実施例1で用いたPE(以下、これを本実施例におい
て、B2と称す)およびPP(以下、これを本実施例におい
て、A2と称す)の他に、下記表3に示す物性値を有する
PEおよびPPを用意する。表3に示されるPPは全てアイソ
タクチックポリプロピレンであり、PEのうちB1、B3は高
密度ポリエチレン、B4は直鎖状低密度ポリエチレンであ
る。
【0062】
【0063】 これらのPEおよびPPを表4に示すように配合した混合
物を用いて、Tダイ押出機により7種類のフィルム状物
(記号C〜I)を成形する。なお、これらのフィルム状
物の厚さはいずれも25〜30μmとした。
【0064】
【0065】 (多孔質セパレータの製造) フィルム状物C〜Iを用い、下記表5に示す条件で低
温延伸および高温延伸を順次行い、更に、高温延伸時の
温度と同温度で1分間加熱してヒートセットを行い、8
種類の多孔質セパレータ(試料11〜18)を得た。これら
セパレータの特性は表6に示すとおりであった。
【0066】 なお、試料11および15の場合は温度115℃で30分間、
試料12、13、14、16の場合は温度120℃で30分間、試料1
7の場合は温度105℃で60分間の加熱によりアニーリング
を施して延伸に供した。また、試料18の場合はアニーリ
ングを施さずに延伸した。
【0067】 上記実施例1〜4で得られたセパレータの特性を第6
表に示す。なお、この表中における空孔率、孔径(平均
孔径)、抵抗の単位は、「%」、「μm」、「Ω・cm2/
枚」であり、SD開始温度および耐熱温度の単位はいずれ
も「℃」である。
【0068】
【0069】
【0070】 この表6から本発明による多孔質セパレータは、いず
れも約115〜130℃)の温度でSD特性が発現し始め(即
ち、抵抗がこの温度で増大し始める)、そして約140℃
以上の温度までSD特性が持続するものであることが判
る。
【0071】 なお、これらの試料2〜18の各セパレータにおける抵
抗値の温度依存性を示す曲線の図示は省略するが、試料
1の場合と同様にSD開始温度から4〜5桁の急激な抵抗
値の増加を生じ、そして、この増大した抵抗値が耐熱温
度まで維持されることが確認されている。
【0072】 従って、本発明によるセパレータは実用的なSD特性を
有し、安全性の優れたものである。
【0073】 比較例1 PE8部とPP92部との混合物を用いること以外は実施例
1と同様に作業して、多孔質セパレータを得た(試料1
9)。また、PE91部とPP9部の混合物を用いること以外は
実施例1と同様に作業して、多孔質セパレータを得た
(試料20)。これらセパレータのSD特性を図2中に曲線
B(試料19)およびC(試料20)として示す。また、そ
の他の特性を表8に示す。
【0074】 比較例2 低温延伸および高温延伸を表7に示す条件で順次行う
こと以外は実施例1と同様に作業して、3種類のセパレ
ータ(試料21〜23)を作成した。低温延伸温度が低い試
料21では、低温延伸時にフィルムが破断した。これらの
セパレータの特性を表8に併記する。
【0075】
【0076】
【0077】 比較例3 市販のPE多孔質フィルム(試料24)とPP多孔質フィル
ム(試料25)を比較例とする。これらのSD特性を図3中
に曲線D(試料24)および(試料25)として示す。ま
た、その他の特性を表8に併記する。この表8から比較
例のセパレータは、SD開始温度が高低過ぎたり、耐熱温
度が低過ぎて安全性に劣るものであるといった欠点を有
するものであることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明によるセパレータのSD特性を示すグラ
フである。
【図2】および
【図3】は比較例のセパレータのSD特性を示すグラフで
ある。
【図4】はセパレータのSD特性を測定するための装置の
概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1……白金板電極 2……セパレータ 3……シリコーンゴム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江副 実 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日 東電工株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−126352(JP,A) 特開 昭50−111174(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 2/16 C08J 9/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレン(この融点をTmb℃とす
    る。)10〜90重量%とポリプロピレン90〜10重量%から
    成るフィルム状物を−20℃〜(Tmb−30)℃の低温度領
    域で一軸延伸し、次に、この延伸フィルムを(Tmb−3
    0)℃〜(Tmb−2)℃の高温度領域において前記低温延
    伸と同一方向に延伸することにより多孔質化せしめるこ
    とを特徴とする電池用セパレータの製造法。
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