JP3127659B2 - オーディオ信号処理装置 - Google Patents

オーディオ信号処理装置

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JP3127659B2 JP05087593A JP8759393A JP3127659B2 JP 3127659 B2 JP3127659 B2 JP 3127659B2 JP 05087593 A JP05087593 A JP 05087593A JP 8759393 A JP8759393 A JP 8759393A JP 3127659 B2 JP3127659 B2 JP 3127659B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディジタルオーディオ
記録再生装置からのオーディオ信号処理装置に関し、特
に可変速再生を行う際に生じるオーディオ信号の欠落を
防止することを考慮したオーディオ信号処理装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、VTRのような回転磁気ヘッド
を用いた記録再生装置を利用してディジタルオーディオ
信号の記録再生をする場合において、可変速再生を行っ
て、その再生速度が通常の速度を超えると、その速度に
よっては回転磁気ヘッドがトラックを正確にトレースで
きないために、得られるオーディオ信号が部分的に欠落
し、オーディオ信号が不連続になる事態がしばしば生じ
る。そのためにこのままの状態で再生すると、オーディ
オ信号の不連続部分で異音が生じ、ユーザが音を聞きな
がら検索する上で非常に都合が悪い。
【0003】上述したような、オーディオ信号の不連続
部分で生じる異音を低減するための幾つかの手法が従来
から提案されている。以下、これらの中で代表的な手法
について説明する。
【0004】第1に、Vミュート処理を行うことで対処
する手法がある。このVミュート処理は、オーディオ信
号の不連続部分の前後の一定区間の信号振幅を抑圧する
(減少させる)ことによって、オーディオ信号の不連続
部分から生じる異音を目立たなくする手法である。
【0005】第2に、クロスフェード処理を行うことで
対処する手法がある。このクロスフェード処理は、オー
ディオ信号の不連続部分の前後の一定区間の信号振幅を
徐々に減少させて、不連続点においてその近傍の前後の
信号を重ね合わせることによって前後の信号が滑らかに
つながり、オーディオ信号の不連続部分から生じる異音
を際だたなくする手法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、VTR
のような回転磁気ヘッドを用いた記録再生装置におい
て、可変速再生を行う際に生じるオーディオ信号の欠落
を防止することを考慮した従来のオーディオ信号処理装
置では、オーディオ信号の不連続部分に対する主な対処
法としてVミュート処理によって対処する手法やクロス
フェード処理によって対処する手法があるが、そのいず
れも以下に述べるような問題点が存在する。
【0007】Vミュート処理の手法が適用できるのは、
可変速再生中に一定時間に現れるオーディオ信号の不連
続部分が比較的少数の場合であるが、回転磁気ヘッドに
よる可変速再生においては1秒間に数十回もの不連続部
分が現れる。そのためにこれらの不連続部分に対してV
ミュート処理では十分に対処することは困難であり、従
って不連続部分から生じる異音(ビート音)を気になら
ない程に低減させることは不可能である。
【0008】また、クロスフェード処理の手法が適用で
きるのは、フォーマットがオーディオ信号の不連続部分
の前後でダブルレコーディングが保証されているもの
(いわゆるD2フォーマット等)であるか、あるいは通
常必要とされる以上の数の回転磁気ヘッドを搭載した装
置ででなければならない。すなわちクロスフェード処理
の手法を用いるには、ディジタルオーディオテープレコ
ーダの記録フォーマットに依存したり、特殊なハードウ
ェアを必要とするために、汎用性に欠けるという問題が
生じる。
【0009】そこで本発明は、かかる従来の実情に鑑み
て提案されたものであって、入力オーディオ信号にVミ
ュート処理を施した信号と、この信号のVミュート処理
を受けた箇所を補う処理を施されたオーディオ信号を重
ね合わせる(クロスフェードする)ことにより、オーデ
ィオ信号の不連続部分を補正することができるオーディ
オ信号処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るオーディオ
信号処理装置は、上述したような課題を解決するため
に、不連続部分を有するオーディオ信号が入力されるオ
ーディオ信号処理装置において、上記入力オーディオ信
号の上記不連続部分を検出する不連続部分検出手段と、
上記入力オーディオ信号の低周波数成分を取り出すロー
パスフィルタ手段と、上記不連続部分検出手段からの検
出信号に応じて上記入力オーディオ信号と上記ローパス
フィルタ手段からの信号とを混合して出力する混合手段
とを有して成ることを特徴とする。
【0011】また、上記混合手段として、上記入力オー
ディオ信号にVミュート処理を施すと共に、このVミュ
ート部分で上記ローパスフィルタ手段からの信号を混合
(クロスフェード)して出力するものを用い、上記入力
オーディオ信号を上記Vミュートのために遅延させる第
1の遅延手段と、上記ローパスフィルタ手段における信
号処理時間分の遅延を得るための第2の遅延手段とを設
けることが考えられる。このとき、上記第1の遅延手段
における遅延時間を、上記Vミュートに要する時間幅の
半分とすることが好ましい。
【0012】また、いわゆるダイナミックトラッキング
ヘッドと称される回転磁気ヘッド装置の可動ヘッドのサ
ーボ信号(いわゆるダイナミックトラッキングサーボ信
号)におけるトラッキングジャンプ部分を検出すること
によって、上記入力オーディオ信号の不連続部分を検出
することが考えられる。
【0013】
【作用】入力オーディオ信号にVミュートを施した信号
とこの信号のVミュート部分を補うための低周波成分の
信号とを混合(例えばクロスフェード)させることによ
って、上記入力オーディオ信号の不連続部分を円滑に連
続させることが可能となる。
【0014】
【実施例】以下、本発明に係るオーディオ信号処理装置
の実施例を図1のブロック図を参照しながら説明する。
テープ走行方向に対して斜方向に記録再生を行うVTR
等の機器において、テープの可変速再生を行う際に、そ
の再生速度によっては回転磁気ヘッドがトラックをトレ
ースしきれない場合がある。このような場合、入力オー
ディオ信号には不連続部分、すなわちデータの欠落が生
じ(以下データジャンプと呼ぶ)、その結果、上記入力
オーディオ信号は図2に示すような通常の連続した入力
信号ではなく、図3に示すような、矢印M1 及びM2
示す不連続部分が生じた信号となる。この不連続部分に
全く処理を施さずにそのまま再生すると、「プツ」「プ
チ」等の異音が生じる。可変速再生においてはこの不連
続部分が繰り返し現れるために上記異音が連続して生
じ、その結果としてビート音として聞こえ、ユーザがサ
ーチ音を聞く上で非常に聞きづらいものとなってしま
う。
【0015】そこで本実施例では、上記入力オーディオ
信号の不連続部分に対して以下に示すディジタル信号処
理を行うことによって上記異音の低減を図る。以下に現
れる信号は全てエラー訂正処理を施した(デコーダ出
力)オーディオ信号である。
【0016】図1を構成する装置において、例えば回転
磁気ヘッド装置の、トラックの走査方向に対して垂直な
方向に移動可能な磁気ヘッドであるいわゆるダイナミッ
クトラッキングヘッドからサーボ信号SS が生成される
が、不連続部分(データジャンプ)を有する入力オーデ
ィオ信号SAIの当該不連続部分を検出するために、この
サーボ信号SS におけるトラックジャンプ部分の検出を
行っている。上記サーボ信号SS 及び記録トラック毎の
基準パルスである同期信号がそれぞれ入力端子11及び
12から入力して、データジャンプ検出部13に入る。
ここで上記同期信号に基づいて上記不連続部分(データ
ジャンプ)を検出し、上記データジャンプの情報を伝達
するトリガ信号ST として出力され、後述する信号混合
処理部18に入力される。
【0017】一方、上記入力オーディオ信号SAIが入力
端子14から入力して、遅延回路15に入る。この遅延
回路15において、後述する信号混合処理部18で実行
するVミュート処理を施し上記入力オーディオ信号SAI
の抑圧に要する時間の半分、すなわちVミュート幅の半
分の時間(後述する時間幅τ1 )だけ上記入力オーディ
オ信号SAIを上記トリガ信号ST に対して遅延させる。
つまりVミュート処理を行うためには、上記入力オーデ
ィオ信号SAIの当該不連続点からVミュートに要する時
間幅の半分の時間だけ以前の信号値から抑圧を開始する
ので、それに伴って上記入力オーディオ信号SAIをVミ
ュート幅の半分の時間だけ遅延させる必要がある。
【0018】その後、上記遅延回路15から出力された
信号は2系統に分岐される。一方の信号はローパスフィ
ルタ17に入力され、ここで高周波数帯域が制限され
る。この制限された信号をLPF出力信号SL とする。
図4にこのLPF出力信号SLの波形を示す。この図4
に示すように、上記LPF出力信号SL は上記入力オー
ディオ信号SAIから低周波成分のみを取り出した信号、
すなわち高周波成分を除去した信号であるために、滑ら
かに変化する信号である。上記入力オーディオ信号SAI
の不連続部分(データジャンプ)には高周波成分が存在
するので、この部分は上記ローパスフィルタ17におい
て除去される。その結果、上記LPF出力信号SL は滑
らかに連続な出力信号である。
【0019】また、もう一方の信号は遅延回路16にお
いて、上記ローパス信号SL と位相を合わせるために遅
延調整されて出力される。この出力信号は、周波数帯域
制限は施していないものであるので、上記遅延回路15
から出力された信号に対してわずかに遅延しているだけ
の同波形の出力信号である。この出力信号をスルー信号
THとする。なお、上記遅延回路16における上記入力
オーディオ信号SAIの遅延時間τ2 のオーダーは、上記
遅延回路15における上記オーディオ信号SAIの遅延時
間、すなわち後述するVミュートに要する時間幅の半分
の時間幅τ1 のオーダーに比べ無視できる程小さな値で
ある(つまりτ1 》τ2 )。
【0020】上記スルー信号STH及び上記ローパス信号
L は共に信号混合処理部18に入力される。この信号
混合処理部18において、上記データジャンプ検出部1
3から出力される上記トリガ信号ST に応じて上記スル
ー信号STH及び上記LPF出力信号SL のそれぞれに利
得(ゲイン)制御が施される。以下、この利得制御につ
いて説明する。
【0021】上記スルー信号STHには、上記トリガ信号
T に応じてVミュート処理が施される。すなわち、上
記信号混合処理部18では上記入力オーディオ信号SAI
にデータジャンプが生じていない場合は常に上記スルー
信号STHのみを出力するが、上記入力オーディオ信号S
AIにデータジャンプが生じると、そのデータジャンプの
情報は上記トリガ信号ST によって上記信号混合処理部
18に伝達され、それに応じて、上記入力オーディオ信
号SAIの不連続点の前後における信号振幅の急激な変化
を防止するために上記スルー信号STHに対して図5のA
に示すような利得制御を行う。つまり図5のAに示すよ
うに、上記スルー信号STHが有する、注目する任意の不
連続点a(利得の値が0の位置)を中心とした時間幅2
τ1 の区間bcの信号振幅が、負の利得をかけることに
より抑制される。すなわち、時間幅τ1 の区間baでは
利得を1から0(上記不連続転aの位置)まで減少さ
せ、時間幅τ1 の区間acでは電圧利得を0から1まで
増大させることによって上記スルー信号STHを滑らかに
変化させることで信号振幅の急激な変化を防止する。
【0022】それに対して、上記ローパス信号SL
は、上記スルー信号STHに施すVミュート処理による信
号レベル低下を補償するための処理が施される。すなわ
ち、上述のように上記信号混合処理部18では上記入力
オーディオ信号SAIにデータジャンプが生じていない場
合は常に上記スルー信号STHのみを出力するので、この
場合には上記LPF出力信号SL の値は0であるが、上
記入力オーディオ信号S AIにデータジャンプが生じる
と、そのデータジャンプの情報は上記トリガ信号S T
よって上記信号混合処理部18に伝達され、上記スルー
信号STHに施すVミュート処理による信号レベル低下を
補償するために上記ローパス信号SL に対して図5のB
に示すような利得制御を行う。つまり図5のBにおい
て、上記トリガ信号ST によって指示される上記スルー
信号STHが有する上記不連続点aに対応して、上記ロー
パス信号SL 上の点a’が同様に上記トリガ信号ST
よって指示される。上記スルー信号STHと上記ローパス
信号SL とは上記遅延回路16によって位相を合わせら
れているので、上記点a’は上記不連続点aと完全に一
致している。上記点a’を中心として、上記区間bcと
同様の時間幅τ1 である区間b’c’をとり、区間b’
a’では点b’から徐々に正の利得をかけ、利得を徐々
に0から1まで増大させる。また時間幅τ1 の区間a’
c’では利得を徐々に1から0まで減少させることによ
って、上記スルー信号STH上の上記区間bcにおける利
得の変化と対称的な利得の変化を、上記LPF出力信号
L 上の上記区間b’c’に対して与える。
【0023】そして更に、上記信号混合処理部18にお
いて上述の利得を加えた上記スルー信号STH及び上記L
PF出力信号SL をクロスフェードさせて出力オーディ
オ信号SAOとして出力端子19から出力される。
【0024】上記出力オーディオ信号SAOの波形を図6
に示す。上記スルー信号STH及び上記LPF出力信号S
L をクロスフェードさせることによって、見かけ上利得
の変化はなくなる。従って図6において、上記出力オー
ディオ信号SAOは、上記図2における上記入力オーディ
オ信号SAIの不連続部分を示す上記矢印M1 及びM
2が、補正部分を示す矢印N1 及びN2 のように上記L
PF出力信号SL によって連続に補償された波形を示
す。この波形は上記図2における波形と比べると、上記
図1における通常のオーディオ信号の波形にかなり近い
形態を示している。
【0025】なお、本発明が適用されるのは、本実施例
で示すVTRの可変速再生時に限定されるものではな
く、シャトル再生時におけるオーディオ装置のように不
連続な信号が続けて生じる場合でも利用可能である。
【0026】また本発明は、記録フォーマットによらず
全ての回転磁気ヘッドを用いたディジタルオーディオプ
レーヤで利用可能である。
【0027】
【発明の効果】入力オーディオ信号と、ローパスフィル
タによって取り出された入力オーディオ信号の低周波成
分の信号とを混合することによって、出力オーディオ信
号に欠落が生じることを防止することが可能となる。
【0028】すなわち、不連続部分(データジャンプ)
を有する入力オーディオ信号の当該不連続部分を検出
し、その検出信号に応じて、入力オーディオ信号にVミ
ュート処理を施した信号と上記入力オーディオ信号に前
記Vミュート処理を施した信号を補正する処理を施した
信号を混合(例えばクロスフェード)させた出力信号を
生成することによって、特にデータジャンプが頻繁に生
じる場合、従来の手法ではフィールド境界でかなり電圧
利得が抑圧されるためにフィールド周波数に応じたビー
ト音が生じていたが、本発明を用いればこのビート音の
防止が可能である。例えばシャトル再生時のオーディオ
装置においても従来と比較して格段に聞き易いサーチ音
が得られる。また、Vミュート処理におけるデータジャ
ンプ毎の強制的な利得の抑圧を補償する処理を施すため
に、出力信号には利得の抑圧による信号レベルの低下が
なく滑らかで連続的な信号が得られる。従って従来のV
ミュート処理による手法と比較して、より自然なサーチ
音を生成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオーディオ信号処理装置の一実施
例の概略構成を示すブロック図である。
【図2】通常の再生オーディオ信号の波形の一例を示す
波形図である。
【図3】データジャンプが生じたオーディオ信号の波形
の一例を示す波形図である。
【図4】ローパス信号の波形の一例を示す波形図であ
る。
【図5】スルー信号及びローパス信号の電圧利得を示す
波形図である。
【図6】本発明に係るオーディオ信号処理装置を用いて
生成される出力オーディオ信号の波形の一例を示す波形
図である。
【符号の説明】
11,12,14・・・入力端子 13・・・データジャンプ検出部 15,16・・・遅延回路 17・・・ローパスフィルタ 18・・・信号混合処理部 19・・・出力端子

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不連続部分を有するオーディオ信号が入
    力されるオーディオ信号処理装置において、 上記入力オーディオ信号の上記不連続部分を検出する不
    連続部分検出手段と、 上記入力オーディオ信号の低周波数成分を取り出すロー
    パスフィルタ手段と、 上記不連続部分検出手段からの検出信号に応じて上記入
    力オーディオ信号と上記ローパスフィルタ手段からの信
    号とを混合して出力する混合手段とを有して成ることを
    特徴とするオーディオ信号処理装置。
  2. 【請求項2】 上記混合手段として、上記入力オーディ
    オ信号にVミュート処理を施すと共に、このVミュート
    部分で上記ローパスフィルタ手段からの信号を混合して
    出力するものを用い、 上記入力オーディオ信号を上記Vミュートのために遅延
    させる第1の遅延手段と、 上記ローパスフィルタ手段における信号処理時間分の遅
    延を得るための第2の遅延手段とを有して成ることを特
    徴とする請求項1記載のオーディオ信号処理装置。
  3. 【請求項3】 上記第1の遅延手段における遅延時間
    を、上記Vミュートに要する時間幅の半分とすることを
    特徴とする請求項2記載のオーディオ信号処理装置。
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