JP3127334B2 - 静電荷像現像用現像剤および画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用現像剤および画像形成方法

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JP3127334B2 JP05173585A JP17358593A JP3127334B2 JP 3127334 B2 JP3127334 B2 JP 3127334B2 JP 05173585 A JP05173585 A JP 05173585A JP 17358593 A JP17358593 A JP 17358593A JP 3127334 B2 JP3127334 B2 JP 3127334B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真感光体を潜像
保持体として使用して潜像画像を形成し、該潜像画像を
現像剤を用いて顕像化し、転写材に転写形成する現像剤
および画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法は、米国特許第2,297,
691号明細書等に記載されている如く、多数の方法が
知られており、一般には光導電性物質を利用し、種々の
手段で感光体上に電気的潜像を形成し、次いで該潜像を
トナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写部材に
トナー画像を転写した後、加熱、圧力、或は溶剤蒸気等
により定着し複写物を得る。また、トナーを用いて現像
する方法、或はトナー画像を定着する方法としては、従
来各種の方法が提案され、それぞれの画像形成プロセス
に適した方法が採用されている。
【0003】従来、これらの目的に用いるトナーは一般
に熱可塑性樹脂中に染・顔料からなる着色剤を溶融混合
し、均一に分散した後、微粉砕装置、分級機により所望
の粒径を有するトナーを製造してきた。
【0004】この製造方法はかなり優れたトナーを製造
し得るが、ある種の制限、すなわちトナー用材料の選択
範囲に制限がある。例えば樹脂着色剤分散体が十分に脆
く、経済的に可能な製造装置で微粉砕し得るものでなけ
ればならない。ところがこういった要求を満たすために
樹脂着色剤分散体を脆くすると、実際に高速で微粉砕し
た場合に形成された粒子の粒径範囲が広くなり易く、特
に比較的大きな割合の微粒子がこれに含まれるという問
題が生じる。更に、このように脆性の高い材料は、複写
機等現像用に使用する際、更なる微粉砕ないしは粉化を
受けやすい。また、この方法では、着色剤等の固体微粒
子を樹脂中へ完全に均一に分散することは困難であり、
その分散の度合いによっては、カブリの増大、画像濃度
の低下や混色性・透明性の不良の原因となるので、分散
に注意を払わなければならない。また、破断面に着色剤
が露出することにより、現像特性の変動を引き起こす場
合もある。
【0005】一方、これら粉砕法によるトナーの問題点
を克服するため、特公昭36−10231号、同43−
10799号及び同51−14895号公報等により懸
濁重合法によるトナーの製造方法が提案されている。懸
濁重合法においては、重合性単量体、着色剤、重合開始
剤さらに必要に応じて架橋剤、荷電制御剤、その他添加
剤を均一に溶解または分散せしめて単量体組成物とした
後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続相、
例えば水相中に適当な撹拌機を用いて分散し、同時に重
合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナー粒子を得
る。
【0006】この方法は、粉砕工程が全く含まれないた
め、トナーに脆性が必要ではなく、軟質の材料を使用す
ることができ、また、粒子表面への着色剤の露出等が生
ぜず、均一な摩擦帯電性を有するという利点がある。ま
た、分級工程の省略をも可能にするため、エネルギーの
節約、時間の短縮、工程収率の向上等、コスト削減効果
が大きい。
【0007】このように、重合法トナーは多くの利点を
有しているが、近年の電子写真の更なる高画質化、高耐
久性という観点からは、いまだ十分なものが得られてい
ない。
【0008】重合法トナーは、その製法上の特徴から、
単量体組成物中に添加される各種添加剤の中で、極性を
有するものは、トナー表面及びその近傍に偏在しやすく
なる。この特徴は、各種トナー特性を付与するために添
加される添加剤の使用量を少なくすることが可能な反
面、高画質化、特に高画質の維持という点から考えた場
合、スリーブ、キャリア等との摺擦によるトナー表面の
劣化がトナー特性に大きな影響を与えるという欠点があ
る。
【0009】また、一般に二成分系現像剤を構成するキ
ャリアは、鉄粉に代表される導電性キャリアと、鉄粉,
ニッケル,フェライト等の表面を絶縁性樹脂により被覆
したいわゆる絶縁性キャリアとに大別される。高画質化
を図るために交番電界を印加する場合、現像剤キャリア
の抵抗が低いと潜像電位をキャリアがリークし、良好な
画像を得られなくなるため、キャリアとしてはある程度
以上の抵抗が必要で、キャリアコアが導電性の場合、コ
ートをして用いるのが好ましく、また、抵抗がある程度
高いフェライトがコア材として好ましく用いられてい
る。
【0010】また、鉄粉は、高磁気力のため、現像剤ト
ナーが現像される現像領域において、現像剤ブラシが硬
くなるためにハキ目を生じたり、ガサツキ等を生じるた
めに高画質な画像を得ることができない。そこで、キャ
リアの磁気力を低くして高画質化を図るためにもフェラ
イトが好ましく用いられている。
【0011】高品位画像形成のために、特開昭59−1
04663号公報にキャリアの飽和磁化の値を50em
u/g以下にすることでハキ目のない良好な画像を得る
ことができると提案されているが、飽和磁化の値をだん
だん小さくしたキャリアを用いると細線の再現性は良好
になる反面、磁極から離れるにしたがってキャリアが静
電画像担持体、いわゆる感光ドラム上に付着する現象
(キャリア付着)が顕著になってくる。
【0012】また、特公平4−3868号公報には、保
磁力が300ガウス以上という、いわゆるハードフェラ
イトをキャリアとして用いることが提案されている。し
かし、これは高保磁力であるハードフェライトをキャリ
アとして使いこなすための系であり、装置の大型化が避
けられない。小型高画質カラー複写機を実現するために
は、固定磁芯を用いた現像剤担持体を使用することが好
ましく、この場合高保磁力を有するハードキャリアは、
その自己凝集性のため、かえって搬送性が悪くなるとい
う問題がある。
【0013】さらに、特開平2−88429号公報にス
ピネル相及びランタノイド系元素を含むマグネットプラ
ンバイト相よりなるハードフェライトをキャリアとして
用いることが提案されているが、これは、上記問題点に
加え、導電性を有するために、より高画質画像を得るた
めの交番電界による現像を行うシステムにおいては、電
荷がキャリアを通してリークするために現像を乱すとい
う点で好ましくない。
【0014】したがって、交番電界による現像を行うシ
ステムにおいて、キャリアの抵抗はある程度以上である
ことが必要である。
【0015】以上のように、キャリア付着を防止しつ
つ、高画質、特にハイライトの再現性を満足するような
現像剤キャリアはいまだ十分なものが得られていない。
【0016】一方、電子写真感光体は、当然のことであ
るが、適用される電子写真プロセスに応じた所定の感
度、電気特性、更には光学特性を備えていることが要求
される。しかし、そればかりでなく、感光体の耐久性も
重要な性質である。低湿において優れた電子写真特性を
備えていても、高湿下で感光体表面電位が著しく低下す
る感光体においては、安定した鮮明な画像を得ることが
困難である。また、転写を行う電子写真プロセスでは、
通常感光体は繰り返し使用されるため、コロナ放電によ
り表面形成物質の化学結合が破壊され、その結果、イオ
ン化された酸素、オゾン、水分、酸化窒素等と作用して
表面は低抵抗化し、特に高湿中での静電荷保持力が減少
し、画像のシャープネス性が損われる場合が少なくな
い。また、紙粉などの付着物が感光体の電荷保持能力を
低下せしめ画像流れの原因となる場合が多い。
【0017】感光体の表面は樹脂によって被膜化される
ため特に樹脂の性能が重要であり、耐久性の優れた樹脂
が要望されていた。最近になりこれらを満足する樹脂と
してビスフェノールAを骨格とするポリカーボネート樹
脂(以下、ビスフェノールA型ポリカーボネートとい
う)が表面層のバインダーとして研究される様になって
きた。
【0018】しかしながら、第1にエンジニアリングプ
ラスチックとしてのポリカーボネート樹脂は一般に表面
自由エネルギーが大きく、表面に現像剤(以下トナーと
略す)が付着しやすい。この状況で画像出しを行うと、
全面黒画像上(以下ベタ黒と略す)に白状のポチが多
数、あらわれるという現象が起こりやすい。
【0019】第2に、感光体を作成する時は、これらの
バインダー樹脂と電荷輸送材を溶剤に溶解して塗工、乾
燥することにより膜を形成する。このような条件で成膜
された樹脂は、その内部構造中に残留歪み応力を持って
おり、ポリカーボネート樹脂は特にその傾向が強く、い
わゆるソルベントクラックが発生しやすいという欠点を
有する。こうして作成された感光体を取り扱う、あるい
は電子写真装置に装着する場合、例えば人の手が触れた
り、装置に用いている様々なオイル等に接触すると感光
体にクラックが生じ、欠陥画像となって現われる。
【0020】第3に表面の摩擦係数が大きいため、ウレ
タンゴムなどでクリーニングを行うと削れ量が大きくな
ってしまい、耐久枚数を多くする事が困難である等の欠
点があった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決した現像剤及び画像形成方法を提供するこ
とである。
【0022】すなわち、本発明の目的は、高解像性、高
ハイライト再現性,高細線再現性に優れた現像剤及び画
像形成方法を提供することにある。
【0023】さらに、本発明の目的は、多数枚の複写に
よっても、画質劣化のない高画質画像を維持できる現像
剤及び、画像形成方法を提供することにある。
【0024】さらに、本発明の目的は、優れた定着性を
有する現像剤及び画像形成方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の目的
は、トナーとキャリアとを有する静電荷像現像用現像剤
において、該キャリアは、その粒径が5〜100μmで
あり、嵩密度が3.0g/cm3以下であり、該キャリ
アの磁気特性が図1に示すように、磁気的に飽和後の1
000エルステッドにおける磁化の強さ(σ1000)は3
0乃至150emu/cm3 以下であり、残留磁化:σ
rが25emu/cm3 以上であり、保磁力が300エ
ルステッド未満であり、そのとき下記の式を満たしてお
り、
【0026】
【数3】
【0027】[式中、σ1000およびσ300 は、それぞれ
磁気的に飽和させた後の1000および300エルステ
ッドにおける磁化の強さ(emu/cm3 )を示す。]
かつ、該トナーは、水性懸濁重合法により直接的に得ら
れ、少なくとも着色剤と樹脂を含有し、かつ該トナーを
構成する樹脂成分のGPCによる分子量分布のピークの
少なくとも1つが、5,000〜50,000の範囲に
あり、かつ該トナーを構成する樹脂成分中に少なくとも
一種以上の極性成分を含有することにより達成される。
【0028】また、更なる目的は、下記の本発明によっ
て達成される。
【0029】即ち、少なくとも導電性支持体、電荷発生
層及び電荷輸送層からなる積層構造を有する電子写真感
光体を使用して潜像画像を形成し、該潜像画像を現像剤
を用いて顕像化し転写材に転写形成する画像形成方法に
おいて、該電子写真感光体として、その表面層にフッ素
及び/あるいは珪素原子を有する物質が存在し、かつX
PS測定によるそれらと炭素原子との比が、 F/C 0.01〜1.00 Si/C 0.03〜1.00 である感光体を用い、該現像剤として、上記トナーとキ
ャリアを含む現像剤を用いることにより達成される。
【0030】以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】本発明者らは上記従来技術の問題点を解決
すべく鋭意検討の結果、現像極での磁場においてキャリ
アの磁化の強さを30乃至150emu/cm3 にする
ことで達成できた。これは、現像極における磁場の強さ
は、一般に1000エルステッド程度であり、そのとき
のキャリアの磁化の強さが弱いことで、現像剤の磁気ブ
ラシが短く密になり、さらに、ブラシが柔らかくなるこ
とで潜像に対して忠実な現像が達成できたものと考えら
れる。このような磁気ブラシが短く密で、柔らかくなる
ことにより、特に現像剤を振動させる交番電界を印加す
る現像においては現像効率が上がり、また、より高い忠
実な現像ができると考えられる。また、本発明のもう一
つの効果である画質の劣化を防止し、初期の高画質画像
を維持できるのは、このような低磁気力のキャリアを用
いることで、現像スリーブに現像剤をコートする際、規
制部材付近でのキャリアブラシの磁気的な結合力が弱
く、穂が柔らかいためにトナーに対してシェアを余りか
けないことから、トナー表面の極性物質が削り取られに
くくなり、初期の高画質画像を長期にわたって維持でき
るためと考えられる。
【0032】また、詳細な検討を行ったところ、キャリ
ア付着は磁場の強さが0乃至300エルステッドにおい
て生じやすく、そのときのキャリアの磁化の強さがある
程度高いときには起こらないことが判明した。また、キ
ャリア付着は現像のバイアス条件にも左右され、特に交
番電界による現像を行う場合、直流電界に比べ、キャリ
アが電荷を有すると現像され易くなり、それを現像スリ
ーブにひきとめるには磁気力が必要となる。従って、キ
ャリア付着を抑えるためには上記磁場における磁化の強
さが必要であると考えられる。そこで本発明は、図1の
ヒステリシスカーブに示されるように1000エルステ
ッドでの磁化の強さσ1000が30乃至150emu/c
3 と従来キャリアに比べ小さいながらも、0乃至30
0エルステッドでの磁化の強さを強くすることによっ
て、高画質化を図りつつ、キャリア付着を防ぐことがで
きると考えられる。
【0033】また、一般に残留磁化の大きな磁性材料
は、保磁力も大きい。いわゆる永久磁石のようなハード
フェライトの如き磁性材料であり、先述のように自己凝
集によるトナーとの混合性や現像剤搬送性の不良となっ
てしまい、現像剤担持体が回転磁芯アプリケータの如
き、大型で特殊な現像器が必要となる。しかして本発明
は、そのような一般的なハード磁性材料を用いるのでは
なく、保磁力が300エルステッド未満であるキャリア
を用いることにより、固定磁芯系現像剤担持体を用いた
小型現像器でもトナーとの混合性、現像剤搬送性の良好
な現像剤が達成できると考えられる。
【0034】本発明に用いられるキャリアは、該キャリ
ア粒子の磁気特性が以下のようになることが必要であ
る。
【0035】すなわち、磁気的に飽和させた後の100
0エルステッドにおける磁化の強さ(σ1000)は30乃
至150emu/cm3 であることが必要である。さら
に高画質化を達成するために好ましくは、30乃至12
0emu/cm3 である。150emu/cm3 より大
きい場合には、現像極での現像剤ブラシの密度が従来と
あまり変わらず、本発明のような高画質な画像が得られ
にくくなる。30未満であると、0乃至300エルステ
ッドにおける磁気的な拘束力も減少するためにキャリア
付着を生じてしまう。
【0036】また、残留磁化の強さは、25emu/c
3 以上であることが必要である。25emu/cm3
未満であると、特に高画質化のためにコントラスト電位
を大きくとったり、または、振幅の大きい交番電界を用
いる現像システムにおいて、キャリア付着が生じやすく
なり、現像後の転写プロセスにおいてキャリア付着部分
が転写不良を起こす等により、高画質な画像が得られな
い。
【0037】さらに、保磁力が300エルステッド未満
であることが必要である。300エルステッド以上であ
るとキャリア自体の自己凝集のために、トナーとの混合
性に劣ったり、特に、固定磁石を内包した現像スリーブ
においてキャリアが容易に動くことができず、現像スリ
ーブ上での搬送性が悪くなり、現像剤のコート状態が悪
くなるために高画質な画像が得られない。
【0038】さらに本発明において重要なことは、磁場
0乃至300エルステッド近傍における磁化の強さであ
る。従って、下記の式を満たすことが必要である。
【0039】
【数4】
【0040】[式中、σ1000およびσ300 は、それぞれ
磁気的に飽和させた後の1000および300エルステ
ッドにおける磁化の強さ(emu/cm3 )を示す。]
好ましくは、この値が0.30以下である。ここで、図
2のヒステリシスカーブをもって説明する。0.40を
超えると、本発明の高画質化を図りつつ、キャリア付着
を防ぐという効果を両立できなくなる。すなわち、σ
1000を満足するような値をとると高画質化は図れる反
面、キャリア付着を生じやすくなる。また、σ300 を満
足するような値をとるとキャリア付着は防ぐことができ
る反面、σ1000の値が大きくなることで本発明のような
高画質な画像を得ることができなくなる。
【0041】なお、本発明における磁気特性の測定は、
理研電子(株)製の直流磁化B−H特性自動記録装置B
HH−50を用いて行った。磁性材料は、一般に10キ
ロエルステッドの磁場で飽和するため、本発明において
キャリアの飽和磁化は10キロエルステッドの値をもっ
てその値とした。したがって、磁気特性値は±10キロ
エルステッドの磁場を作り、そのときのヒステリシスカ
ーブより求めた。本発明における磁気特性は、サンプル
を円筒状のプラスチック容器にゆるく入れた後、10キ
ロエルステッドの磁場をかけて着磁した状態で強くパッ
キングを行い固定し、その状態での磁気特性を測定し
た。これを本発明の磁気特性として用いた。その時のサ
ンプルホルダーの体積は0.332cm3 であり、これ
をもって単位体積当たりの磁化の強さを求めた。
【0042】本発明のキャリア粒子の平均粒径は、5〜
100μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは20〜
80μmである。5μmより小さいと感光体へのキャリ
ア付着が生じ易くなり、また、100μmを超えると現
像極における磁気ブラシが粗になり高画質な画像が得ら
れない。なお、本発明のキャリアの粒径は、光学顕微鏡
によりランダムに300個以上抽出し、ニレコ社製の画
像処理解析装置Luzex3により水平方向フェレ径を
もってキャリア粒径として測定した。
【0043】本発明のキャリアの嵩密度は、3.0g/
cm3 以下が好ましい。3.0g/cm3 を超えると現
像スリーブの回転により、キャリアがスリーブ上に磁気
的に保持される力に比べ、キャリア1個にかかる遠心力
が大きくなり、キャリア飛散を生じ易くなる。なお、本
発明のキャリアの嵩密度の測定は、JIS Z 250
4に記載の方法に準じて行った。
【0044】本発明のキャリアの球形度は、2以下が好
ましい。本発明のキャリアは、上記球形度が2を超える
と、現像剤としての流動性が劣るようになり、現像極に
おいて磁気ブラシの形状が悪くなるために高画質な画像
が得られなくなる。なお、本発明のキャリアの球形度の
測定は、東芝(株)社製フィールドエミッション走査電
子顕微鏡S−800によりキャリアをランダムに300
個以上抽出し、ニレコ社製の画像処理解析装置Luze
x3を用いて、次式によって導かれる形状係数を求める
ことで行った。
【0045】
【数5】 MX LNG:キャリアの最大径 AREA :キャリアの投影面積 ここで、SF1は1に近いほど球形に近いことを意味し
ている。
【0046】本発明のキャリアの比抵抗は108 〜10
13Ω・cmの範囲が適当である。108 Ω・cm未満で
は、バイアス電圧を印加する現像方法では現像領域にお
いてスリーブから感光体表面へと電流がリークし、良好
な画像が得られない。また、1013Ω・cmを超える
と、低湿の如き条件下でチャージアップ現象を引き起こ
し、濃度ウス、転写不良、カブリ等の画像劣化の原因と
なる。なお、本発明において、比抵抗の測定には、図3
の如き測定方法を用いた。すなわち、セルAに、キャリ
アを充填し、該充填キャリアに接するように電極1及び
2を配し、該電極間に電圧を印加し、そのとき流れる電
流を測定することにより比抵抗を求める方法を用いた。
上記測定方法においては、キャリアが粉末であるために
充填率に変化が生じ、それに伴い比抵抗が変化する場合
があり、注意を要する。本発明における比抵抗の測定条
件は、充填キャリアと電極との接触面積S=約2.3c
2、厚みd=約1mm、上部電極2の荷重275g、
印加電圧100Vとした。
【0047】本発明のキャリアの最大の特徴である前出
の磁気特性を達成するために、金属酸化物磁性材料ある
いは、鉄系の合金、例えば、炭素鋼、クロム鋼、コバル
ト−クロム鋼、バイカロイ、アルニコ合金等を用いるこ
とが必要である。好ましくは、フェライトよりなり、該
フェライト粒子が周期律表IA、IIA、IIIA、I
VA、VA、VIA、IB、IIB、IVB、VB、V
IB、VIIB、VIII族の中から選ばれる元素を少
なくとも1種類以上含有しており、その他の元素の含有
量が1重量%未満であるキャリアを用いることができ
る。ここで、他の元素が入ると本発明の所望の磁気特性
を示すキャリアが得られにくくなり、さらに、抵抗が下
がりやすくなるために好ましくない。
【0048】また、本発明のキャリアは、スピネル構造
単相、マグネットプランバイト構造単相、少なくともス
ピネル構造またはマグネットプランバイト構造を有する
複合相、スピネル構造およびマグネットプランバイト構
造の複合相であり、そのとき、スピネル相とマグネット
プランバイト相とのモル比が1:1乃至10:1が好ま
しく用いられる形態である。また、スピネル構造、マグ
ネットプランバイト構造を有する磁性粒子は互いに余り
反応しないことが好ましい。
【0049】このような組成形態をとることにより、磁
気的に飽和した後の1000エルステッドにおける磁化
の強さ(σ1000)は30乃至150emu/cm3 であ
り、残留磁化σrが25emu/cm3 以上であり、保
磁力が300エルステッド未満の磁気特性を有するキャ
リアを得ることができる。
【0050】本発明において、キャリアを構成する結晶
の測定は、X線回折法および蛍光X線を用いて行った。
【0051】本発明のキャリアは、焼結法、アトマイズ
法等の製造方法によって製造が可能であり、必要に応じ
て2種以上の結晶微粉末を混合焼結させる等の方法によ
り、本発明の磁気特性を持つキャリアを製造することも
できる。
【0052】また、本発明のキャリアは、磁気的に飽和
させた後に用いることで本発明の特徴的な磁気特性を達
成することが容易となる。なお、磁気的な飽和の方法と
して、直流の電磁石により±10キロエルステッドの磁
場中にキャリア粒子を暴露すること等が挙げられる。
【0053】また、本発明のキャリアは、前出の比抵抗
コントロールを行ったり、耐久性を向上させるために、
必要に応じてキャリア粒子表面を任意の樹脂でコートし
て用いることができる。コート樹脂としては、公知の適
当な樹脂を用いることができるが、例えば、アクリル系
樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂
等でコートして用いることができる。
【0054】一方、本発明の他の目的である定着性に優
れたトナーを得るためには、トナーを構成する樹脂成分
のGPCによる分子量分布のピークの少なくとも一つが
5,000〜50,000の範囲にあり、かつトナーを
構成する樹脂成分中に少なくとも一種以上の極性成分を
含有することが有効であることを見出した。
【0055】すなわち、紙との親和性が良い樹脂を添加
することにより、紙との付着性がより大となるものであ
る。
【0056】また、前記トナーが懸濁重合法によって直
接得られたトナーであることにより本発明の目的を達成
させるための手段として好ましいことを見出した。
【0057】これは、水系で製造する場合、内添した極
性成分がトナー表面により存在しやすく、このため、よ
り効果的に本発明の目的の一つが達成されるものと考え
る。
【0058】本発明のおけるトナーの樹脂成分のGPC
による分子量分布のピークの少なくとも一つが5,00
0〜50,000の範囲に存在することにより、低温定
着性が発揮できる。
【0059】しかしながら、トナーの樹脂成分のGPC
における分子量分布のピークが5,000未満に存在す
る場合は耐ブロッキング性に劣るようになり、本発明の
範囲にピークがなく50,000を超えてピークが存在
する場合は低温定着性に劣るものとなる。
【0060】またより好ましくは、100,000以下
の成分が50%以下である時に良好な定着性を発揮でき
る。
【0061】本発明において、トナー樹脂成分のTHF
(テトラハイドロフラン)を溶媒としたGPCによるク
ロマトグラムの分子量分布は次の条件で測定される。
【0062】すなわち、40℃のヒートチャンバ中でカ
ラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒とし
てTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を
約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあ
たっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポ
リスチレン標準試料により作成された検量線の対数値と
カウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準
ポリスチレン試料としては、たとえば、東ソー社製ある
いは、昭和電工社製の分子量が102 〜107程度のも
のを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試
料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈
折率)検出器を用いる。なおカラムとしては、市販のポ
リスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良
く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF
−801,802,803,804,805,806,
807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSK
gel G1000H(HXL),G2000H
(HXL),G3000H(HXL),G4000H
(HXL),G5000H(HXL),G6000H
(HXL),G7000H(HXL),TSKguard
columnの組み合わせを挙げることができる。
【0063】また試料は以下のようにして作製する。試
料をTHF中に入れ、数時間放置した後十分に振とうし
THFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更
に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時
間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル
処理フィルタ(ポアサイズ 0.45〜0.5μm,た
とえば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社
製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス
ジャパン社製などが利用できる)を通過させたもの
を、GPCの試料とする。また試料濃度は、樹脂成分が
0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0064】また、更に好ましくは、電子写真感光体と
して、該電子写真感光体の表面層に、フッ素及び/ある
いは珪素原子を炭素原子との比が、 F/C 0.01〜1.00, Si/C 0.03〜
1.00 の範囲で存在させることで、より高画質な画像が得られ
ることを見出した。
【0065】ここでF/C,Si/Cを規定する理由と
しては、感光体表面が上記本発明と組み合せた場合、よ
り本発明の目的を達成する構成となっている。すなわ
ち、F,Siは感光体表面エネルギーを下げるものであ
り、転写性、付着性を低下させる。一方、炭素原子の存
在はその表面エネルギーを上げるためのものである。こ
の比を規定することにより、本発明のようなトナー表面
に極性成分が多く、付着力の強いトナー構成においても
転写性がよくクリーニング不良を発生しない構成となり
うることを本発明者らは見い出した。
【0066】ここで、本発明のトナーに対して感光体表
面層のF/C,Si/Cがそれぞれ0.01,0.03
未満であると、感光体表面エネルギーが高く、トナーの
転写性を悪化させる。一方、F/C,Si/Cがそれぞ
れ1.00を超えると、クリーニング部材との摩擦係数
が下がり逆にトナーのすり抜け、クリーニング不良を発
生してしまう。
【0067】更により好ましい構成としては、本発明の
電子写真感光体における表面層がポリカーボネートを含
有することであり、さらにより好ましくは、該ポリカー
ボネートが非対称性ジオールから合成されるものである
ことが望ましい。これにより耐久特性に優れ、生産性良
好な、電子写真感光体となりうる。更に好ましい構成と
しては、電子写真感光体における感光層上に保護層を有
し、かつ該保護層にポリカーボネートを含有することが
望ましい。これにより更なる耐久特性の安定性が生じ
る。
【0068】本発明の目的を達成するためのより好まし
い構成としては、本発明の電子写真感光体表面層のフッ
素及び/あるいは珪素原子と酸素原子との比が、XPS
測定において F/O 0.01以上 Si/O 0.03以上 であることが好ましい。酸素の量をF,Siに対し上記
のように規定することにより、本発明の極性成分を有す
る樹脂を含有するトナーに対する付着性をより好ましく
制御可能となる。
【0069】なお、本発明における電子写真感光体表面
のXPS測定法において、XPS測定装置としては、V
G社製ESCALAB,200−X型,X線光電子分光
装置を用いて行った。また、測定条件としては、 X線源 MgKα(300W) 分析領域 2×3mm とした。
【0070】以下、本発明現像剤のトナーに使用される
構成要素を具体的に例示する。
【0071】本発明に使用されるトナーにおいて極性成
分を含有する樹脂としては、メタクリル酸ジメチルアミ
ノエチル,メタクリル酸ジエチルアミノエチルなど含窒
素単量体の重合体もしくはスチレン・不飽和カルボン酸
エステル等との共重合体、アクリロニトリル等のニトリ
ル系単量体、塩化ビニル等の含ハロゲン系単量体、アク
リル酸・メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、その他不
飽和二塩基酸・不飽和二塩基酸無水物、ニトロ系単量体
等の重合体もしくはスチレン系単量体等との共重合体、
ポリエステル、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0072】上記極性成分をトナー中に含有させる方法
としては以下の方法が使用される。
【0073】重合法トナーにおいては、重合体,共重合
体として、他の単量体成分に溶解し、重合することによ
り添加する、あるいは、単量体として他の単量体成分と
混合し、重合することにより添加できる。
【0074】本発明の重合トナーに使用できるその他の
重合性単量体としては、スチレン・o−メチルスチレン
・m−メチルスチレン・p−メチルスチレン・p−メト
キシスチレン・p−エチルスチレン等のスチレン系単量
体、アクリル酸メチル・アクリル酸エチル・アクリル酸
n−ブチル・アクリル酸イソブチル・アクリル酸n−プ
ロピル・アクリル酸n−オクチル・アクリル酸ドデシル
・アクリル酸2−エチルヘキシル・アクリル酸ステアリ
ル・アクリル酸2−クロルエチル・アクリル酸フェニル
等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル・メタ
クリル酸エチル・メタクリル酸n−プロピル・メタクリ
ル酸n−ブチル・メタクリル酸イソブチル・メタクリル
酸n−オクチル・メタクリル酸ドデシル・メタクリル酸
2−エチルヘキシル・メタクリル酸ステアリル・メタク
リル酸フェニル等のメタクリル酸エステル類の単量体が
挙げられる。これらの単量体は単独、又は混合して使用
し得る。上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン
誘導体を単独で、又は他の単量体と混合して使用するこ
とがトナーの現像特性及び耐久性の点から好ましい。
【0075】本発明で用いられる着色剤としては、公知
のものが使用でき、例えば、カーボンブラック、鉄黒の
他、C.I.ダイレクトレッド1,C.I.ダイレクト
レッド4,C.I.アシッドレッド1,C.I.ベーシ
ックレッド1,C.I.モーダントレッド30,C.
I.ダイレクトブルー1,C.I.ダイレクトブルー
2,C.I.アシッドブルー9,C.I.アシッドブル
ー15,C.I.ベーシックブルー3,C.I.ベーシ
ックブルー5,C.I.モーダントブルー7,C.I.
ダイレクトグリーン6,C.I.ベーシックグリーン
4,C.I.ベーシックグリーン6等の染料,黄鉛,カ
ドミウムイエロー,ミネラルファストイエロー,ネーブ
ルイエロー,ナフトールイエローS,ハンザイエロー
G,パーマネントイエローNCG,タートラジンレー
キ,モリブデンオレンジ,パーマネントオレンジGT
R,ベンジジンオレンジG,カドミウムレッド,パーマ
ネントレッド4R,ウォッチングレッドカルシウム塩,
ブリリアントカーミン3B,ファストバイオレットB,
メチルバイオレットレーキ,紺青,コバルトブルー,ア
ルカリブルーレーキ,ビクトリアブルーレーキ,キナク
リドン,ローダミンレーキ,フタロシアニンブルー,フ
ァーストスカイブルー,ピグメントグリーンB,マラカ
イトグリーンレーキ,ファイナルイエローグリーンG等
の顔料がある。本発明においては重合法を用いてトナー
を得る為、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意
を払う必要があり、好ましくは、表面改質、例えば、重
合阻害のない物質による疎水化処理を施しておいたほう
が良い。特に、染料系やカーボンブラックは、重合阻害
性を有しているものが多いので使用の際に注意を要す
る。染料系を表面処理する好ましい方法としては、あら
かじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめ
る方法が挙げられ、得られた着色重合体を単量体系に添
加する。又、カーボンブラックについては、上記染料と
同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応
する物質、例えば、ポリオルガノシロキサン等で処理を
行っても良い。
【0076】トナーを磁性トナーとして用いる場合、磁
性粉を含有せしめても良い。このような磁性粉として
は、磁場の中に置かれて磁化される物質が用いられ、
鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性金属の粉末若しく
は、マグネタイト、フェライトなどの化合物がある。特
に、本発明においては、重合法を用いてトナーを得る
為、磁性体の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う
必要があり、好ましくは、表面改質、例えば、重合阻害
のない物質による疎水化処理を施しておいたほうが良
い。
【0077】本発明において熱ロール定着時の離型性を
よくする目的で、トナー中に炭化水素系化合物等一般に
離型剤として用いられているワックス類を配合しても良
い。本発明に用いられるワックス類としては、パラフィ
ン・ポリオレフィン系ワックス及び、これらの変性物、
例えば、酸化物やグラフト処理物の他、高級脂肪酸、お
よびその金属塩、アミドワックス、又、エステル系ワッ
クス、例えば、3級または/及び4級炭素を有し2官能
以上のアルコール化合物または、カルボン酸化合物から
得られる多官能ポリエステル化合物、1級または/及び
2級炭素を有し、2官能以上のアルコール化合物または
カルボン酸化合物から得られる多官能ポリエステル化合
物及び3級または/及び4級炭素を有し、モノ官能のエ
ステル化合物などが挙げられる。これらワックスは環球
法(JIS K 2531)による軟化点が40〜13
0℃、好ましくは50〜120℃を有するものが望まし
く、軟化点が40℃未満ではトナーの耐ブロッキング性
及び保形性が不十分であり、130℃を超えると離型性
の効果が不十分となる。
【0078】これら離型剤は単独で、または併用しても
よく、添加量としては、0.1〜50重量%が好まし
い。
【0079】本発明においては、トナーの帯電性を制御
する目的でトナー材料中に荷電制御剤を添加しておくこ
とが望ましい。これら荷電制御剤としては、公知のもの
のうち、重合阻害性・水相移行性の殆ど無いものが用い
られ、例えば正荷電制御剤としてニグロシン系染料・ト
リフェニルメタン系染料・四級アンモニウム塩・グアニ
ジン誘導体・イミダゾール誘導体・アミン系及びポリア
ミン系化合物等が挙げられ、負荷電制御剤としては、含
金属サリチル酸系化合物・含金属モノアゾ系染料化合物
・尿素誘導体・スチレン−アクリル酸共重合体・スチレ
ン−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0080】これら荷電制御剤の添加量としては、0.
1〜10重量%が好ましい。
【0081】重合開始剤としては、いずれか適当な重合
開始剤、例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−
カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ
−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチ
ロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾ
イルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、
ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロ
ペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシ
ド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤
が挙げられる。これら重合開始剤は、重合性単量体の
0.5〜20重量%の添加量が好ましく、単独で、又
は、併用しても良い。
【0082】また、本発明では、分子量をコントロール
するために、公知の架橋剤、連鎖移動剤を添加しても良
く、好ましい添加量としては、0.001〜15重量%
である。
【0083】各種トナー特性付与を目的とした添加剤と
しては、トナー中に、あるいはトナーに添加した時の耐
久性の点から、トナー粒子の体積平均径の1/10以下
の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、
電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めた
その平均粒径を意味する。これら特性付与を目的とした
添加剤としては、たとえば、以下のようなものが用いら
れる。
【0084】1)流動性付与剤:金属酸化物(酸化ケイ
素,酸化アルミニウム,酸化チタンなど)・カーボンブ
ラック・フッ化カーボンなど。それぞれ、疎水化処理を
行ったものが、より好ましい。
【0085】2)研磨剤:金属酸化物(チタン酸ストロ
ンチウム,酸化セリウム,酸化アルミニウム,酸化マグ
ネシウム,酸化クロムなど)・窒化物(窒化ケイ素な
ど)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシ
ウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど)。
【0086】3)滑剤:フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニ
リデン,ポリテトラフルオロエチレンなど)・脂肪酸金
属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムな
ど)など。
【0087】4)荷電制御性粒子:金属酸化物(酸化
錫,酸化チタン,酸化亜鉛,酸化ケイ素,酸化アルミニ
ウムなど)・カーボンブラックなど。
【0088】これらの添加剤は、トナー粒子100重量
部に対し、0.1〜10重量部が用いられ、好ましく
は、0.1〜5重量部が用いられる。これら添加剤は、
単独で用いても、又、複数併用しても良い。
【0089】本発明において重合法に用いられる分散媒
には、いずれか適当な安定化剤を使用する。例えば、無
機化合物として、リン酸三カルシウム・リン酸マグネシ
ウム・リン酸アルミニウム・リン酸亜鉛・炭酸カルシウ
ム・炭酸マグネシウム・水酸化カルシウム・水酸化マグ
ネシウム・水酸化アルミニウム・メタケイ酸カルシウム
・硫酸カルシウム・硫酸バリウム、ベントナイト・シリ
カ・アルミナ等が挙げられる。有機化合物として、ポリ
ビニルアルコール・ゼラチン・メチルセルロース・メチ
ルヒドロキシプロピルセルロース・エチルセルロース・
カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩・ポリアク
リル酸及びその塩・デンプン等を水相に分散させて使用
できる。これら安定化剤は、重合性単量体100重量部
に対して、0.2〜20重量部を使用することが好まし
い。
【0090】これら安定化剤の中で、無機化合物を用い
る場合、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい
粒子を得るために、分散媒中にて該無機化合物を生成さ
せても良い。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高撹
拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウ
ム水溶液を混合すると良い。
【0091】また、これら安定化剤の微細な分散の為
に、0.001〜0.1重量部の界面活性剤を使用して
もよい。これは上記分散安定化剤の所期の作用を促進す
る為のものであり、その具体例としては、ドデシルベン
ゼン硫酸ナトリウム・テトラデシル硫酸ナトリウム・ペ
ンタデシル硫酸ナトリウム・オクチル硫酸ナトリウム・
オレイン酸ナトリウム・ラウリル酸ナトリウム・ステア
リン酸カリウム・オレイン酸カルシウム等が挙げられ
る。
【0092】本発明で用いられる重合トナーは以下の如
き方法にて得られる。即ち、重合性単量体中に離型剤・
着色剤・荷電制御剤・重合開始剤その他の添加剤を加
え、ホモジナイザー・超音波分散機等によって均一に溶
解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する
水相中に通常の撹拌機またはホモミキサー・ホモジナイ
ザー等により分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所
望のトナー粒子のサイズ、一般に30μm以下の粒径を
有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その
後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且
つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重
合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に
設定して重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても
良く、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応
の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後
半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良
い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・濾過によ
り回収し、乾燥する。懸濁重合法においては、通常単量
体系100重量部にたいして水300〜3000重量部
を分散媒として使用するのが好ましい。
【0093】本発明に用いられる電子写真感光体構成に
ついて示す。
【0094】本発明の感光体は、導電性基体上に電荷発
生層と電荷輸送層を有する積層構造を有するものであ
る。更に本発明においては、電荷輸送層上に保護層をも
うけた構成でもかまわない。
【0095】本発明においては、感光体表面層となる電
荷輸送層及び/あるいは保護層にフッ素系化合物及び/
あるいはシリコン系化合物を含有してなることを特徴と
する。さらには、本発明の目的をより効果的に達成させ
る手段として、電荷輸送層及び/あるいは、保護層にポ
リカーボネートを含有させることが好ましい。さらに本
発明において該ポリカーボネートが非対称性ジオールを
用いて合成されるポリカーボネートを含有させることが
好ましい。
【0096】以下に本発明の感光体に用いられる材料を
例示する。
【0097】フッ素系化合物の具体例としては、公知の
フッ素樹脂が挙げられ、四フッ化エチレン、三フッ化塩
化エチレン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、二フッ化二塩化エチ
レンおよびそれらの共重合体の中から1種あるいは、そ
れ以上が適宜選択される。またフッ化カーボン等も使用
可能である。
【0098】本発明においては、フッ素系重合性単量体
あるいは非フッ素系重合性単量体との重合・共重合から
合成されたフッ素含有セグメントを含有するブロック又
はグラフトポリマー、界面活性剤、マクロモノマー等を
単独あるいは上記フッ素系樹脂との併用のかたちで用い
ることができる。
【0099】特にフッ素系セグメントが連続して存在す
るフッ素系グラフトポリマーとの併用が、フッ素系樹脂
の分散及び本発明の特徴である表面F/C比をコントロ
ールを容易にする上でも好ましい。
【0100】上記フッ素系重合性単量体の好ましい具体
例を以下に示すが、使用できる化合物の範囲はここに挙
げた範囲に何ら限定されるものではない。
【0101】
【化1】
【0102】(上記化合物中、R1 は水素原子、ハロゲ
ン原子またはメチル基を示し、R2 は水素原子、ハロゲ
ン原子、アルキル基、アルコキシ基またはニトリル基を
示し、その数種類の組合せでもよく、kは1〜4の整
数、mは1〜5の整数であり、k+m=5であり、Rf
は少なくとも1個以上フッ素原子で置換されたアルキル
基を示す。)非フッ素系重合性単量体としては、低分子
量直鎖状不飽和炭化水素、ハロゲン化ビニル、有機酸の
ビニルエステル、ビニル芳香族化合物、アクリル酸およ
びメタクリル酸エステル類、N−ビニル化合物、ビニル
ケイ素化合物、無水マレイン酸、マレイン酸およびフマ
ル酸のエステル類などの1種または2種以上のものを用
いることができるが、形成されたフッ素系グラフトポリ
マーが添加される電荷輸送層及び/あるいは保護層の樹
脂層と相溶するもの、あるいは完全に相溶しないまでも
類似構造を有し、両者間に少しでも親和性があるものを
選択することが好ましい。
【0103】シリコン系化合物の具体例としては、モノ
メチルシロキサン三次元架橋物、ジメチルシロキサン−
モノメチルシロキサン三次元架橋物、超高分子量ポリジ
メチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンセグメント
を含有するブロックポリマー、グラフトポリマー、界面
活性剤、マクロモノマー、末端修飾ポリジメチルシロキ
サン等が用いられる。三次元架橋物の場合、微粒子等の
形状で用いられる粒径は0.01〜5μmの範囲で使用
可能である。ポリジメチルシロキサン化合物の場合、そ
の分子量は3,000〜5,000,000の範囲で使
用可能である。微粒子状のものは、バインダー樹脂と共
に感光層組成物として分散される。分散の方法として
は、サンドミル、ボールミル、ロールミル、ホモジナイ
ザー、ナノマイザー、ペイントシェイカー、超音波等が
使用される。分散時には、分散助剤として上記グラフ
ト、ブロックポリマー、界面活性剤を使用することが好
ましく、本発明の特徴であるSi/C比をコントロール
する上でも併用することが好ましい。
【0104】本発明の電荷輸送層及び/あるいは保護層
に用いられる芳香族炭化水素系溶剤又はハロゲン化芳香
族炭化水素系に可溶なポリカーボネートは、結晶性を低
下させることにより得られる。具体的には、例えば 1)ビスフェノールAと一種あるいは2種以上の非対称
性ジオール化合物 2)一種あるいは2種以上の非対称性ジオール化合物 を用いたホスゲン法等の一般的なポリカーボネート合成
法により得ることができる。また、側鎖に炭素数3以上
の置換基を有するジオール化合物を用いても得ることが
できる。
【0105】本発明に用いられる非対称性ジオール化合
物の代表的具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限
定されることはない。
【0106】
【化2】
【0107】
【化3】
【0108】
【化4】
【0109】
【化5】
【0110】
【化6】
【0111】前述のビスフェノールAとの共重合ポリカ
ーボネートにおける非対称性ジオール化合物の比率はジ
オール化合物中20重量%以上、特に50重量%以上が
好ましい。非対称性ジオール化合物の比率が20重量%
未満であると、芳香族炭化水素系溶剤又はハロゲン化芳
香族炭化水素系溶剤に対する溶解性が十分でなくなり、
塗工液の経時安定性も悪くなる。前述の芳香族炭化水素
系溶剤又はハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤に可溶なポ
リカーボネートの溶解度(25℃の温度下での溶液10
0g中のポリカーボネートのg数)は1g以上、特に5
g以上が好ましい。溶解度が1g未満であると、例えば
電荷輸送層用塗工液を調製した際、その塗工溶液の粘度
が低すぎ電荷輸送層として必要な適切な膜厚を得ること
ができなくなる。
【0112】本発明で用いるポリカーボネートは、特に
電荷発生層あるいは電荷輸送層の結着剤樹脂として用い
る場合に、その効果を大きくすることができる。
【0113】芳香族炭化水素系溶剤の例としては、ベン
ゼン,トルエン,キシレン等、ハロゲン化芳香族炭化水
素系溶剤の例としては、モノクロルベンゼン,ジクロル
ベンゼン等が挙げられる。
【0114】本発明の電子写真感光体を製造する場合、
導電性基体としては、アルミニウム,ステンレスなどの
金属,紙,プラスチックなどの円筒状シリンダーまたは
フィルムが用いられる。これらの基体の上には、バリア
ー機能と下引機能をもつ下引層(接着層)を設けること
ができる。
【0115】下引層は感光層の接着性改良、塗工性改
良、基体の保護、基体上の欠陥の被覆、基体からの電荷
注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのた
めに形成される。下引層の材料としては、ポリビニルア
ルコール,ポリ−N−ビニルイミダゾール,ポリエチレ
ンオキシド,エチルセルロース,メチルセルロース,エ
チレン−アクリル酸コポリマー,カゼイン,ポリアミ
ド,共重合ナイロン,ニカワ,ゼラチン等が知られてい
る。これらはそれぞれに適した溶剤に溶解されて基体上
に塗布される。その膜厚は0.2〜2μm程度である。
【0116】機能分離型感光体においては、電荷発生物
質としてセレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム
系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン顔
料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、ト
リスアゾ顔料、ジアゾ顔料、アゾ顔料、インジゴ顔料、
キナクリドン系顔料、非対称キノシアニン、キノシアニ
ンあるいは特開昭54−143645号公報に記載のア
モルファスシリコンなどを用いることができ、電荷輸送
物質としては、ピレン、N−エチルカルバゾール、N−
イソプロピルカルバゾール、N−メチル−N−フェニル
ヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾー
ル、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−
9−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジ
ノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジン、
N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10
−エチルフェノキサジン、P−ジエチルアミノベンズア
ルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、P−ジエチ
ルアミノベンズアルデヒド−N−α−ナフチル−N−フ
ェニルヒドラゾン、P−ピロリジノベンズアルデヒド−
N,N−ジフェニルヒドラゾン、1,3,3−トラメチ
ルインドレニン−ω−アルデヒド−N,N−ジフェニル
ヒドラゾン、P−ジエチルベンズアルデヒド−3−メチ
ルベンズチアゾリノン−2−ヒドラゾン等のヒドラゾン
類、2,5−ビス(P−ジエチルアミノフェニル)−
1,3,4−オキサジアゾール、1−フェニル−3−
(P−ジエチルアミノスチリル)−5−(P−ジエチル
アミノフェニル)ピラゾリン、1−[キノリル(2)]
−3−(P−ジエチルアミノスチリル)−5−(P−ジ
エチルアミノフェニル)ピラゾリン、1[ピリジル
(2)]−3−(P−ジエルチアミノスチリル)−5−
(P−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[6
−メトキシ−ピリジル(2)]−3−(P−ジエチルア
ミノスチリル)−5−(P−ジエチルアミノフェニル)
ピラゾリン、1−[ピリジル(3)]−3−(P−ジエ
チルアミノスチリル)−5−(P−ジエチルアミノフェ
ニル)ピラゾリン、1−[レピジル(2)]−3−(P
−ジエチルアミノスチリル)−5−(P−ジエチルアミ
ノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3
−3(P−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5
−(P−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−
[ピリジル(2)]−3−(α−メチル−P−ジエチル
アミノスチリル)−5−(P−ジエチルアミノフェニ
ル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(P−ジエチルア
ミノスチリル)−4−メチル−5−(P−ジエチルアミ
ノフェニル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(α−ベ
ンジル−P−ジエチルアミノスチリル)−5−(P−ジ
エチルアミノフェニル)ピラゾリン、スピロピラゾリン
などのピラゾリン類、2−(P−ジエチルアミノスチリ
ル)−6−ジエチルアミノベンズオキサゾール、2−
(P−ジエチルアミノフェニル)−4−(P−ジメチル
アミノフェニル)−5−(2−クロロフェニル)オキサ
ゾール等のオキサゾール系化合物、2−(P−ジエチル
アミノスチリル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾー
ル等のチアゾール系化合物、ビス(4−ジエチルアミノ
−2−メチルフェニル)−フェニルメタン等のトリアリ
ールメタン系化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエ
チルアミノ−2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,
2,2−テトラキス−(4−N,N−ジメチルアミノ−
2−メチルフェニル)エタン等のポリアリールアルカン
類などを用いることができる。
【0117】電荷発生層は、前記の電荷発生顔料を0.
3〜4倍量の結着剤樹脂、および溶剤と共に、ホモジナ
イザー、超音波、ボールミル、振動ボールミル、サンド
ミル、アトライター、ロールミルなどの方法でよく分散
し、塗布−乾燥されて形成される。その厚みは0.1〜
1μm程度である。
【0118】電荷発生層に前述のポリカーボネート樹脂
を用いる場合には、電荷発生物質をポリカーボネートと
ともに芳香族炭化水素系溶剤又はハロゲン化芳香族炭化
水素系溶剤の単独あるいはそれらの混合溶剤に溶解する
か、前述のポリカーボネート樹脂を前述の溶剤で溶解し
た溶液に電荷発生物質を分散させて得た塗工液を塗布す
ることによって形成される。電荷発生物質の電荷発生層
での占める割合は30重量%以上、好ましくは80重量
%以上とすることができる。溶剤としては、トルエン、
キシレンあるいはモノクロルベンゼンが特に有用であ
る。この塗工溶液を塗布する方法としては、例えば浸漬
コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナー
コーティング法、カーテンコーティング法などを用いる
ことができる。
【0119】電荷輸送層に前述のポリカーボネート樹脂
を用いる場合には、電荷輸送物質と前述のポリカーボネ
ートを前述の芳香族炭化水素系溶剤又はハロゲン化芳香
族炭化水素系溶剤の単独あるいはそれらの混合溶剤に溶
解して調製した塗工液を塗布することによって得られ
る。電荷輸送物質と結着剤として用いた前述のポリカー
ボネート樹脂との混合割合は、重量比で2:1〜1:2
程度である。溶剤としてはトルエン、キシレンあるいは
モノクロルベンゼンが特に有用である。
【0120】この溶液を塗布する方法は、例えば浸漬コ
ーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコ
ーティング法、カーテンコーティング法などが知られて
いる。電子写真感光体を効率的に精度良く、大量生産す
るには浸漬コーティング法が最良であり、特に浸漬コー
ティング法におけるポットライフが前述のポリカーボネ
ートを用いることにより、大幅に改善することができる
ので、浸漬コーティング法を用いた製造の生産性を大幅
に向上させることができる。電荷輸送層を塗布形成した
後、10℃〜200℃(好ましくは20℃〜150℃)
の温度で5分〜5時間(好ましくは10分〜2時間)の
範囲で送風乾燥または静止乾燥を行ない、5〜20μm
の電荷輸送層が得られる。
【0121】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を説明するが、
これらは本発明を何ら限定するものではない。本発明の
実施例及び比較例に使用されるトナー,キャリア,ドラ
ムの製造例,物性表および評価方法を以下に挙げる。
【0122】[重合トナーの製造例A]イオン交換水7
10gに、0.1M−Na3 PO4 水溶液450gを投
入し、60℃に加温した後、TK式ホモミキサー(特殊
機化工業製)を用いて、12000rpmにて撹拌し
た。これに1.0M−CaCl2 水溶液68gを徐々に
添加し、Ca3 (PO42 を含む水系媒体を得た。
【0123】一方、 スチレン 165g n−ブチルアクリレート 35g フタロシアニン顔料 10g ジ−t−ブチルサリチル酸金属化合物 1g スチレン−メタクリル酸共重合体(モル比95:5,Mw5万) 10g パラフィンワックス(m.p.70℃) 40g
【0124】上記処方を60℃に加温し、TK式ホモミ
キサー(特殊機化工業製)を用いて、12000rpm
にて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤2,
2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1
0gを溶解し、重合性単量体組成物を調製した。前記水
系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、
2 雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて100
00rpmで20分間撹拌し、重合性単量体組成物を造
粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、80℃に
昇温し、10時間反応させた。
【0125】重合反応終了後、減圧下で、一部水系媒体
を留去し、冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解
させた後、ろ過、水洗、乾燥をして、重量平均径約8μ
mのシャープな着色懸濁粒子を得た。
【0126】得られた粒子100重量部に対して、BE
T法による比表面積が、200m2/gである疎水性シ
リカ0.8重量部を外添し、懸濁重合トナーを得た。
【0127】{重合トナー製造例B]製造例Aの着色剤
であるフタロシアニン顔料をカーボンブラックに、離型
剤であるパラフィンワックスを下記構造式のエステル系
ワックスに変更した以外は、製造例Aに従い、重合トナ
ーBを得た。
【0128】
【化7】
【0129】[重合トナー製造例C,D]製造例Aに従
い、重合開始剤量,重合温度を調整することで、分子量
分布のピークの異なる重合トナーC,Dを得た。
【0130】重合トナーA〜Dの物性表を表1に示す。
【0131】
【表1】
【0132】尚、トナーCについては、製造工程中、乾
燥時に若干ブロッキングし、評価にあたいしなかった。
【0133】[キャリア製造例A]モル比で、Fe2
3 =60モル%、CuO=20モル%、ZnO=20モ
ル%になるように秤量し、一方、Fe23 =82モル
%、SrCO3 =10モル%、ZnO=8モル%になる
ように秤量し、それぞれボールミルを用いて混合を行っ
た。これらを各々仮焼した後、ボールミルにより粉砕を
行い、前記処方をそれぞれ2:1の割合で混合し、ポリ
ビニルアルコール、消泡剤および分散剤を加えスラリー
を作り、スプレードライヤーを用いて造粒乾燥して、焼
結を行った。さらに分級することで平均粒径が55μm
のキャリア粒子を得た。そのとき得られたキャリアの形
状はほぼ球形をしていた。また、X線回折および蛍光X
線の分析の結果、スピネル相(Cu−Zn−フェライ
ト)とマグネットプランバイト相(Srフェライト)と
の比は、ほぼ仕込量と同量の2:1になっていた。ま
た、嵩密度は、2.32g/cm3 であった。また、キ
ャリア粒子の抵抗を測定したところ、6.2×109 Ω
・cmであった。このキャリアを10キロエルステッド
の磁場で飽和させた後、磁気測定を行った結果、そのと
きの磁気特性は、σ1000=142emu/cm3 、σr
=104emu/cm3 、σ300 =122emu/cm
3 、Hc=260エルステッドであった。そのとき、|
σ1000−σ300|/σ1000=0.14であった。
【0134】さらに、このキャリアの表面に、スチレン
−メタクリル酸2−エチルヘキシル(45/55)共重
合体を流動層式コート方法によりコーティングした。そ
の時のキャリアの比抵抗は、9.5×1012Ω・cmで
あった。
【0135】[キャリア製造例B]モル比で、Fe2
3 =50モル%、CuO=20モル%、ZnO=30モ
ル%になるように秤量し、一方、Fe23 =85モル
%、BaO=12モル%、ZnO=3モル%になるよう
に秤量し、それぞれボールミルを用いて混合を行った。
これらを各々仮焼した後、ボールミルにより粉砕を行
い、前記処方をそれぞれ1.5:1の割合で混合し、ポ
リビニルアルコール、消泡剤および分散剤を加えスラリ
ーを作り、スピラコーターを用いて造粒乾燥して、焼結
を行った。さらに分級することで平均粒径が45μmの
キャリア粒子を得た。そのとき得られたキャリアの形状
はほぼ球形をしていた。X線回折測定および蛍光X線測
定の結果、スピネル相とマグネットプランバイト相(B
aフェライト)との比は、ほぼ仕込量と同じ比率(1.
6:1)であった。また、嵩密度は、2.30g/cm
3であった。また、キャリア粒子の抵抗を測定したとこ
ろ、9.2×109 Ω・cmであった。このキャリアを
10キロエルステッドの磁場で飽和させた後、磁気測定
を行った結果、そのときの磁気特性は、σ1000=67e
mu/cm3 、σr=36emu/cm3 、σ300 =5
2emu/cm3 、Hc=170エルステッドであっ
た。そのとき、|σ1000−σ300 |/σ1000=0.22
であった。
【0136】得られたキャリアをキャリア製造例Aと同
様にして表面コートした。このときのキャリアの比抵抗
は、1.3×1012Ω・cmであった。
【0137】[キャリア製造例C]モル比で、Fe=6
1モル%、Al=9モル%、Ni=15モル%、Co=
15モル%になるように調合し、その溶湯から水アトマ
イズ法を用いてキャリア粒子を得た。得られたキャリア
を熱処理を行い、さらに、風力分級機により分級し、平
均粒径が42μmのキャリア粒子を得た。そのとき得ら
れたキャリアの形状はほぼ球形をしていた。また、嵩密
度は、2.96g/cm3 であった。また、キャリア粒
子の抵抗を測定したところ、2×109 Ω・cmであっ
た。このキャリアの磁気測定を行った結果、そのときの
磁気特性は、σ1000=89emu/cm3 、σr=37
emu/cm3 、σ300 =60emu/cm3 、Hc=
165エルステッドであった。そのとき、|σ1000−σ
300 |/σ1000=0.33であった。
【0138】得られたキャリアにキャリア製造例Aで用
いた樹脂をキャリア製造例Aと同様にしてコートした。
このとき得られたキャリアの比抵抗は、2×109 Ω・
cmであった。
【0139】[キャリア製造例D]モル比で、Fe2
3 =85モル%、SrCO3 =15モル%になるように
秤量し、ボールミルを用いて混合を行った。混合粉を仮
焼し、その後、粉砕した。粉砕した試料をスラリー状に
し、そのスラリーをスプレードライヤーにて造粒し、造
粒粉の焼結を行った。得られた焼結粉末を風力分級機に
より分級し、平均粒径が59μmのキャリア粒子を得
た。そのとき得られたキャリアの形状はほぼ球形をして
いた。また、嵩密度は、2.01g/cm3 であった。
また、キャリア粒子の比抵抗を測定したところ、9.5
×108 Ω・cmであった。このキャリアを10キロエ
ルステッドの磁場における磁気測定を行った結果、その
ときの磁気特性は、σ1000=101emu/cm3 、σ
r=76emu/cm3 、σ300=89emu/cm
3 、Hc=2040エルステッドであった。そのとき、
|σ1000−σ300 |/σ1000=0.12であった。
【0140】得られたキャリアをキャリア製造例Aと同
様にして表面コートした。このときのキャリアの比抵抗
は、3.5×1012Ω・cmであった。
【0141】[キャリア製造例E]キャリア製造例Aで
用いたスピネル相(Cu−Zn−フェライト)とマグネ
ットプランバイト相(Srフェライト)との混合比を
1:2に変える以外キャリア製造例Aと同様にキャリア
を作製し、平均粒径が52μmのキャリア粒子を得た。
そのとき得られたキャリアの形状はほぼ球形をしてい
た。また、X線回折および蛍光X線の分析の結果、スピ
ネル相(Cu−Zn−フェライト)とマグネットプラン
バイト相(Srフェライト)との比は、ほぼ仕込量と同
量の1:2になっていた。また、嵩密度は、2.07g
/cm3 であった。また、キャリア粒子の抵抗を測定し
たところ、5.1×109 Ω・cmであった。このキャ
リアを10キロエルステッドの磁場で飽和させた後、磁
気測定を行った結果、そのときの磁気特性は、σ1000
117emu/cm3 、σr=94emu/cm3 、σ
300=106emu/cm3 、Hc=1090エルステ
ッドであった。そのとき、|σ1000−σ300 |/σ1000
=0.09であった。
【0142】得られたキャリアをキャリア製造例Aと同
様にして表面コートした。このときのキャリアの比抵抗
は、7.5×1012Ω・cmであった。
【0143】[キャリア製造例F]モル比で、Fe2
3 =62モル%、ZnO=16モル%、CuO=22モ
ル%になるように秤量し、ボールミルを用いて混合を行
った。これをキャリア製造例Dと同様にして、平均粒径
が50μmのキャリア粒子を得た。そのとき得られたキ
ャリアの形状はほぼ球形をしていた。また、嵩密度は、
2.77g/cm3であった。また、キャリア粒子の抵
抗を測定したところ、4.0×109 Ω・cmであっ
た。このキャリアを10キロエルステッドの磁場におけ
る磁気測定を行った結果、そのときの磁気特性は、σ
1000=214emu/cm3 、σr=2emu/cm
3 、σ300 =113emu/cm3 、Hc=10エルス
テッドであった。そのとき、|σ1000−σ300 |/σ
1000=0.47であった。
【0144】得られたキャリアをキャリア製造例Aと同
様にして表面コートした。このときのキャリアの比抵抗
は、3.2×1012Ω・cmであった。
【0145】[キャリア製造例G]モル比で、Fe2
3 =60モル%、SrCO3 =3モル%、ZnO=21
モル%、CuO=16モル%になるように秤量し、ボー
ルミルを用いて混合を行った。これをキャリア製造例D
と同様にして、平均粒径が52μmのキャリア粒子を得
た。そのとき得られたキャリアの形状はほぼ球形をして
いた。X線回折測定および蛍光X線測定の結果、スピネ
ル相(Cu−Znフェライト)とマグネットプランバイ
ト相(Srフェライト)とのモル比は、ほぼ15:1で
あった。また、嵩密度は、2.32g/cm3 であっ
た。また、キャリア粒子の抵抗を測定したところ、1×
109 Ω・cmであった。このキャリアの磁気測定を行
った結果、そのときの磁気特性は、σ1000=58emu
/cm3 、σr=6emu/cm3 、σ300 =20em
u/cm3 、Hc=60エルステッドであった。そのと
き、|σ1000−σ300 |/σ1000=0.66であった。
【0146】得られたキャリアをキャリア製造例Aと同
様にして表面コートした。このときのキャリアの比抵抗
は、1.5×1012Ω・cmであった。
【0147】キャリアA〜Gの物性表を表2に示す。
【0148】
【表2】
【0149】[製造例A]導電性酸化チタン(酸化スズ
コート、平均一次粒径0.4μm)10重量部、フェノ
ール樹脂前駆体(レゾール型)10重量部、メタノール
10重量部、及びブタノール10重量部をサンドミル分
散した後に、外径80mm、長さ360mmのアルミニ
ウムシリンダーに浸漬塗布し、140℃で硬化した後体
積抵抗5×109 Ωcm、厚さ20μmの導電層を設け
た。
【0150】次に、下記メトキシメチル化ナイロン(メ
トキシメチル化度約30%)10重量部
【0151】
【化8】
【0152】及びイソプロパノール150重量部を混合
溶解した後に、前記導電層上に浸漬塗布し、1μmの下
引層を設けた。
【0153】次に、下記アゾ顔料10重量部、
【0154】
【化9】
【0155】下記ポリカーボネイト樹脂(ビスフェノー
ルA 分子量30000)5重量部、
【0156】
【化10】
【0157】及びシクロヘキサノン700重量部をサン
ドミルにて分散し、この分散液を前記下引層上に浸漬塗
布した後、0.05μmの電荷発生層を得た。
【0158】次に、下記トリフェニルアミン10重量
部、
【0159】
【化11】
【0160】下記構造のポリカーボネート樹脂(ビスフ
ェノールZ型、分子量20000)10重量部
【0161】
【化12】
【0162】モノクロロベンゼン50重量部、及びジク
ロロメタン15重量部を撹拌混合した後、前記電荷発生
層上に浸漬塗布した。前記塗布済シリンダーを熱風乾燥
後、20μmの電荷輸送層とした。
【0163】次に、フッ化カーボン微粉末(平均粒径
0.23μm,セントラルガラス社製)1重量部、下記
ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZ 分子量80
000)6重量部、
【0164】
【化13】
【0165】下記パーフルオロアルキルアクリレート−
メチルメタクリレートブロック共重合体(分子量300
00)0.1重量部
【0166】
【化14】
【0167】モノクロロベンゼン120重量部、及びジ
クロロメタン80重量部をサンドミルにて分散混合し
た。これに、下記トリフェニルアミン3重量部
【0168】
【化15】 を加え混合溶解し、スプレー塗布により前記電荷輸送層
上に塗布し、5μmの保護層を設け感光体ドラムとし
た。
【0169】<F/C比 XPS測定>前記感光体表面
を剥離した後、VG社製ESCALAB200−X型
X線光電子分光装置にて表面元素の定着を行った。X線
源としてMgCa(300W)を用い、2×3mmの領
域について数Åの深さで測定した。製造例Aの感光体表
面は、F原子5.2%、C原子81.3%でありF/C
比は0.064であった。
【0170】[製造例B]製造例Aの感光体において、
保護層を下記の処方に代えて感光体ドラムを作製した。
【0171】即ち、真球状三次元架橋ポリシロキサン微
粒子(平均粒径0.29μm,東芝シリコーン社製)1
重量部、下記ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールZ
分子量80000)6重量部、
【0172】
【化16】
【0173】下記ポリジメチルシロキサンメタクリレー
ト−メチルメタクリレートブロック共重合体(分子量5
0000、Si量12wt%)0.1重量部
【0174】
【化17】
【0175】モノクロロベンゼン120重量部、及びジ
クロロメタン80重量部をサンドミルにて分散混合し
た。これに、下記トリフェニルアミン3重量部
【0176】
【化18】 を加え混合溶解し、スプレー塗布により前記電荷輸送層
上に塗布し、3μmの保護層を設け感光体ドラムとし
た。
【0177】<Si/C比 XPS測定>前記感光体表
面を剥離した後、VG社製ESCALAB200−X型
X線光電子分光装置にて表面元素の定着を行った。X
線源としてMgCa(300W)を用い、2×3mmの
領域について数Åの深さで測定した。製造例Bの感光体
表面は、Si原子10.2%、C原子69.3%であり
Si/C比は0.147であった。
【0178】[製造例C]製造例Aの感光体において、
保護層を設けない電荷輸送層まで塗布した感光体を製造
例Cの感光体ドラムとした。
【0179】感光体A〜Cの表面層F/C、F/O又は
Si/C、Si/Oの値を表3、表4にまとめて示す。
【0180】
【表3】
【0181】
【表4】
【0182】実施例1〜4及び比較例1〜6 キャリアを10キロエルステッドの磁場で飽和磁化した
後、キャリアとトナーとをトナー濃度5重量%となる様
に混合し、表5に示す組合わせの現像剤を得た。
【0183】キヤノン製フルカラーレーザー複写機CL
C−500を改造し、上記感光体ドラムを備えた複写機
にて各々の現像剤を用いて画像出しを行った。現像スリ
ーブと現像剤規制部材との距離は400μmであり、現
像スリーブと感光ドラムとの周速比が1.3:1であ
り、また、現像条件は、現像極の磁場の強さ1000エ
ルステッド、交番電界2000VP-P 、周波数3000
Hzであり、スリーブと感光ドラムの距離は500μm
とした。このとき、現像スリーブ上の現像極付近の現像
ブラシの穂立ちを顕微鏡観察し、画出し評価を行った。
更に現像器を200rpmのスピードで空回転を30分
間行い、画出し評価を行った。
【0184】現像ブラシの穂立ちについては、緻密さ
(密度),穂長に着目し、総合的に4段階(◎,○,
△,×)評価した。
【0185】画質評価については、ハーフトーン部での
ガサツキ,細線の再現性,ベタ部の濃度均一性,キャリ
ア付着に着目し、総合的に4段階(◎,○,△,×)評
価した。
【0186】本発明の実施例における定着性の評価方法
について示す。
【0187】記録材としては市販の複写機用紙キヤノン
ニュードライペーパー(キヤノン販売社54g/m2
紙)を用い、未定着画像を得、市販の複写機Canon
FC−1(キヤノン社製)の定着機を改造し、定着温
度を5℃おきに変調(120〜200℃)して定着開始
温度及びオフセット温度を観察した。
【0188】ここで定着開始温度の決定は、得られた定
着画像をシルボン紙で、往復10回、約100g荷重で
こすり、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)で10
%以下となった温度とした。
【0189】本発明の実施例1〜4および比較例1〜6
の構成およびその評価結果を表5に示す。
【0190】
【表5】
【0191】
【発明の効果】以上のことから本発明により、高解像
性,高ハイライト再現性,高細線再現性に優れ、多数枚
の複写によっても画質劣化のない高画質画像を維持で
き、優れた定着性を有する現像剤、及び画像形成方法が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁気特性カーブ(ヒステリシスカーブ)を模式
的に示した概略図である。横軸は、外部磁場(エルステ
ッド)であり、縦軸は、キャリアの単位体積当たりの磁
化の強さを示す。
【図2】磁気特性カーブ(ヒステリシスカーブ)を模式
的に示した概略図である。枠内に示される数値は、(σ
1000−σ300 )/σ1000の値である。
【図3】電気抵抗の測定装置を模式的に示した概略図で
ある。
【符号の説明】
1 下部電極 2 上部電極 3 絶縁物 4 電流計 5 電圧計 6 定電圧装置 7 キャリア 8 ガイドリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲葉 功二 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 千葉 建彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−332237(JP,A) 特開 平6−35232(JP,A) 特開 平4−68364(JP,A) 特開 平3−203749(JP,A) 特開 平1−223471(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/087 G03G 9/107

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナーとキャリアとを有する静電荷像現
    像用現像剤において、 a)該キャリアは、その粒径が5〜100μmであり、
    嵩密度が3.0g/cm3 以下であり、該キャリアの磁
    気特性が磁気的に飽和した後の1000エルステッドに
    おける磁化の強さ(σ1000)は30乃至150emu/
    cm3 であり、磁場0エルステッドにおける磁化の強さ
    (残留磁化:σr)が25emu/cm3以上であり、
    保磁力が300エルステッド未満であり、そのとき下記
    の式を満たしており、 【数1】 [式中、σ1000およびσ300 は、それぞれ磁気的に飽和
    させた後の1000および300エルステッドにおける
    磁化の強さ(emu/cm3 )を示す。] b)該トナーは、水性懸濁重合法により直接的に得ら
    れ、少なくとも着色剤と樹脂を含有し、かつ該トナーを
    構成する樹脂成分のGPCによる分子量分布のピークの
    少なくとも1つが、5,000〜50,000の範囲に
    あり、かつ該トナーを構成する樹脂成分中に少なくとも
    一種以上の極性成分を含有している、ことを特徴とする
    静電荷像現像用現像剤。
  2. 【請求項2】 該キャリアが、実質的に球形であり、球
    形度≦2であることを特徴とする請求項1に記載の静電
    荷像現像用現像剤。
  3. 【請求項3】 該キャリアが、フェライトよりなり、該
    フェライト粒子が周期律表IA、IIA、IIIA、I
    VA、VA、VIA、IB、IIB、IVB、VB、V
    IB、VIIB、VIII族の中から選ばれる元素を少
    なくとも1種類以上含有しており、その他の元素の含有
    量が1重量%未満であることを特徴とする請求項1又は
    2に記載の静電荷像現像用現像剤。
  4. 【請求項4】 該キャリアが、スピネル構造単相、マグ
    ネットプランバイト構造単相、少なくともスピネル構造
    またはマグネットプランバイト構造を有する複合相、ス
    ピネル構造およびマグネットプランバイト構造の複合相
    であり、そのとき、スピネル相とマグネットプランバイ
    ト相とのモル比が1:1乃至10:1であることを特徴
    とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像
    用現像剤。
  5. 【請求項5】 該キャリアの比抵抗が108 〜1013Ω
    ・cmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    かに記載の静電荷像現像用現像剤。
  6. 【請求項6】 少なくとも導電性支持体、電荷発生層及
    び電荷輸送層からなる積層構造を有する電子写真感光体
    を使用して潜像画像を形成し、該潜像画像を現像剤を用
    いて顕像化し転写材に転写形成する画像形成方法におい
    て、 a)該電子写真感光体として、その表面層にフッ素及び
    /あいは珪素原子を有する物質が存在し、かつXPS測
    定によるそれらと炭素原子との比が F/C 0.01〜1.00 Si/C 0.03〜1.00 である感光体を用い、 b)該現像剤のトナーとして、水性懸濁重合法により直
    接的に得られ、少なくとも着色剤と樹脂を含有し、かつ
    該トナーを構成する樹脂成分のGPCによる分子量分布
    のピークの少なくとも1つが、5,000〜50,00
    0の範囲にあり、かつ該トナーを構成する樹脂成分中に
    少なくとも一種以上の極性成分を含有しており、 c)該現像剤のキャリアとして、その粒径が5〜100
    μmであり、嵩密度が3.0g/cm3 以下であり、該
    キャリアの磁気特性が磁気的に飽和した後の1000エ
    ルステッドにおける磁化の強さ(σ1000)は30乃至1
    50emu/cm3 であり、磁場0エルステッドにおけ
    る磁化の強さ(残留磁化:σr)が25emu/cm3
    以上であり、保磁力が300エルステッド未満であり、
    そのとき下記の式 【数2】 [式中、σ1000およびσ300 は、それぞれ磁気的に飽和
    させた後の1000および300エルステッドにおける
    磁化の強さ(emu/cm3 )を示す。]を満たすキャ
    リアを用いることを特徴とする画像形成方法。
  7. 【請求項7】 前記電子写真感光体における表面層が、
    ポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項6
    に記載の画像形成方法。
  8. 【請求項8】 前記電子写真感光体における表面層が、
    非対称性ジオールを用いて合成されるポリカーボネート
    を含有することを特徴とする請求項6又は7に記載の画
    像形成方法。
  9. 【請求項9】 前記電子写真感光体における電荷輸送層
    上に保護層を有し、かつ該保護層にポリカーボネートを
    含有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成方
    法。
  10. 【請求項10】 該キャリアが、実質的に球形であり、
    球形度≦2であることを特徴とする請求項6乃至9のい
    ずれかに記載の画像形成方法。
  11. 【請求項11】 該キャリアが、フェライトよりなり、
    該フェライト粒子が周期律表IA、IIA、IIIA、
    IVA、VA、VIA、IB、IIB、IVB、VB、
    VIB、VIIB、VIII族の中から選ばれる元素を
    少なくとも1種類以上含有しており、その他の元素の含
    有量が1重量%未満であることを特徴とする請求項6乃
    至10のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 【請求項12】 該キャリアが、スピネル構造単相、マ
    グネットプランバイト構造単相、少なくともスピネル構
    造またはマグネットプランバイト構造を有する複合相、
    スピネル構造およびマグネットプランバイト構造の複合
    相であり、そのとき、スピネル相とマグネットプランバ
    イト相とのモル比が1:1乃至10:1であることを特
    徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の画像形成
    方法。
  13. 【請求項13】 該キャリアの比抵抗が108 〜1013
    Ω・cmであることを特徴とする請求項6乃至12のい
    ずれかに記載の画像形成方法。
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