JP3127025B2 - 薄膜elディスプレイ素子 - Google Patents

薄膜elディスプレイ素子

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JP3127025B2
JP3127025B2 JP03334180A JP33418091A JP3127025B2 JP 3127025 B2 JP3127025 B2 JP 3127025B2 JP 03334180 A JP03334180 A JP 03334180A JP 33418091 A JP33418091 A JP 33418091A JP 3127025 B2 JP3127025 B2 JP 3127025B2
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服部  正
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/12Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/12Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces
    • H05B33/22Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces characterised by the chemical or physical composition or the arrangement of auxiliary dielectric or reflective layers

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  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、計器類のバッ
クライト用の面発光源などに使用される薄膜EL(Elect
roluminescence)ディスプレイ素子に関する。
【0002】
【従来技術】従来、薄膜ELディスプレイ素子は、硫化
亜鉛(ZnS)などの蛍光体に電界をかけたときに発光す
る現象を利用したもので自発光型の平面ディスプレイを
構成するものとして注目されている。図7は、従来の薄
膜ELディスプレイ素子10の典型的な断面構造を示し
た模式図である。薄膜ELディスプレイ素子10は、絶
縁性基板であるガラス基板1上に、光学的に透明なIT
O膜から成る第1電極2、五酸化タンタル(Ta25)な
どから成る第1絶縁層3、発光層4、第2絶縁層5及び
ITO膜から成る第2電極6を順次積層して形成されて
いる。ITO(Indium Tin Oxide)膜は、酸化インジウ
ム(In23)に錫(Sn)をドープした透明の導電膜で、
低抵抗率であることから従来より透明電極用として広く
使用されている。発光層4としては、例えば、硫化亜鉛
を母体材料とし、発光中心としてマンガン(Mn)や三フ
ッ化テルビウム(TbF3)を添加したものが使用される。
薄膜ELディスプレイ素子の発光色は硫化亜鉛中の添加
物の種類によって決まり、例えば、発光中心としてマン
ガン(Mn)を添加した場合にはオレンジ色、三フッ化テ
ルビウム(TbF3)を添加した場合にはグリーン色の発光
が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の構造から成る薄
膜ELディスプレイ素子10において、赤色発光を得る
発光層4の構成材料として、三フッ化サマリウム(SmF
3)を添加した硫化亜鉛などが検討されている。この構成
材料から成る発光層4を有する薄膜ELディスプレイ素
子10は、発光輝度が最大でも1000cd/m2(5KHz 駆
動)と低く、発光スペクトルに赤色より短波長側の成分
を含むため色純度が悪く、現状ではELパネルなど表示
器としては実用性に乏しいものである。そこで、近年、
オレンジ色発光を呈するZnS:Mn系の発光層から成る
薄膜ELディスプレイ素子に 570nm以下の光をカットす
るフィルタを用いて赤色光を得る方法が提案されてい
る。この薄膜ELディスプレイ素子の赤色光は元々のオ
レンジ色発光の輝度が高いのでフィルタを介しても十分
な発光輝度を確保することができるとするものである。
しかしながら、色素とバインダを含む塗料を印刷法によ
り形成したフィルタにおいては、耐熱温度が約 200℃と
低いものとなる。このため、蒸着、スパッタなどでガラ
ス基板を加熱しながら各層を堆積させ薄膜ELディスプ
レイ素子を形成する製造工程途中に上記フィルタを挿入
することは不可能である。従って、薄膜ELディスプレ
イ素子の各層を堆積後に上記フィルタは形成するしかな
く、挿入位置が限定される。更に、薄膜ELディスプレ
イ素子が発光中の発熱により塗料の特性が変化し、発光
色が経時変化すると共に素子特性の劣化にもつながると
いう問題があった。又、硫化亜鉛(ZnS)を母体材料と
した発光層上に五酸化タンタル(Ta25)から成る絶縁
層を堆積する際、酸素プラズマにより硫化亜鉛(ZnS)
表面が酸化され硫酸亜鉛(ZnSO4)層が生成される。こ
の硫酸亜鉛(ZnSO4)層の生成は、五酸化タンタル(T
a25)から成る絶縁層を堆積時における酸素濃度、基板
温度、堆積時間などに影響される。硫酸亜鉛(ZnSO4)
は水に対する溶解度が極めて大きく、その後工程である
水洗工程などにおいて発光層と絶縁層との密着性を損な
いそれら層間で膜剥離が生じるという問題があった。
又、上記硫酸亜鉛(ZnSO4)層の生成深さなどのバラツ
キにより薄膜ELディスプレイ素子は発光特性及び信頼
性が極めて不安定なものとなっていた。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するために成
されたものであり、その目的とするところは、高輝度、
高信頼性を有する赤色発光の薄膜ELディスプレイ素子
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の発明の第1の構成は、絶縁性基板上に第1電極、第1
絶縁層、硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)から成る発光
層、第2絶縁層及び第2電極を、少なくとも光取り出し
側の材料を光学的に透明なものにて順次積層し形成した
薄膜ELディスプレイ素子であって、前記発光層からの
光を目視する光取り出し側にシリコン又はシリコン合金
にて形成されたフィルタを備え、該フィルタは発光層か
らの発光色のうち赤色成分を透過する特性を有してお
り、これにより該赤色光透過フィルタを通して目視され
る、発光層からの発光色を赤色とすることを特徴とす
る。また、第2の構成は、赤色光透過フィルタは、発光
層と第1絶縁層又は第2絶縁層との間に配置されている
ことを特徴とする。また、第3の構成は、赤色光透過フ
ィルタの光学ギャップは1.72eVであることを特徴とす
る。
【0006】
【作用及び効果】フィルタは硫化亜鉛:マンガン(Zn
S:Mn)から成る発光層からの光取り出し側に形成さ
れ、その材料がアモルファスシリコン又はシリコン合金
から成る。このように構成された薄膜ELディスプレイ
素子は、硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)から成る発光
層のオレンジ色発光を赤色発光とすることができる。上
記フィルタは耐熱温度が高いことから薄膜ELディスプ
レイ素子を形成する製造工程途中に挿入することも可能
となる。又、薄膜ELディスプレイ素子はその発光中の
発熱によりフィルタの特性が変化することがないので、
発光色の経時変化もない。即ち、本発明の薄膜ELディ
スプレイ素子は発光特性が安定すると共に信頼性が向上
する。更に、フィルタが発光層と第1絶縁層又は第2絶
縁層との間に形成された薄膜ELディスプレイ素子で
は、発光層が直接第1絶縁層又は第2絶縁層と接するこ
とがなくなる。すると、母体材料が硫化亜鉛(ZnS)か
ら成る発光層が製造工程途中で酸素プラズマに晒される
ことがなくなる。従って、発光層表面に水に対する溶解
度が極めて大きい硫酸亜鉛(ZnSO4)層が生成されるこ
とがなくなる。これにより、フィルタを介した発光層と
第1絶縁層又は第2絶縁層との間の密着性が著しく向上
する。即ち、本発明の薄膜ELディスプレイ素子は発光
特性が安定すると共に信頼性が向上する。赤色光透過フ
ィルタの光学ギャップが1.72eVであれば赤色光の透過度
が他の波長光に比べ最大となる。
【0007】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。図1は本発明に係る薄膜ELディスプレイ素子
100の縦断面を示した模式図である。薄膜ELディス
プレイ素子100は、絶縁性基板であるガラス基板11
上に順次、以下の薄膜が積層形成され構成されている。
ガラス基板11上には、光学的に透明な酸化亜鉛(Zn
O)から成る第1透明電極(第1電極)12が形成さ
れ、その上面には、光学的に透明な五酸化タンタル(T
a25)から成る第1絶縁層13、マンガン(Mn)が添加
された硫化亜鉛(ZnS)から成る発光層14、アモルフ
ァスシリコン(a-Si)から成る赤色光透過フィルタ1
7、光学的に透明な五酸化タンタル(Ta25)から成る
第2絶縁層15、光学的に透明な酸化亜鉛(ZnO)から
成る第2透明電極(第2電極)16が形成されている。
【0008】次に、上述の薄膜ELディスプレイ素子1
00の製造方法を以下に述べる。先ず、ガラス基板11
上に第1透明電極12を成膜した。蒸着材料としては、
酸化亜鉛(ZnO)粉末に酸化ガリウム(Ga23)を加え
て混合し、ペレット状に成形したものを用い、成膜装置
としては、イオンプレーティング装置を用いた。具体的
には、ガラス基板11の温度を 150℃に保持したままイ
オンプレーティング装置内を5×10-3Pa まで排気し
た。その後、アルゴン(Ar)ガスを導入して 6.5×10-1
Pa に保ち、成膜速度が1.0〜3.0Å/secの範囲となるよ
うビーム電力及び高周波電力を調整した。
【0009】次に、第1透明電極12上に五酸化タンタ
ル(Ta25)から成る第1絶縁層13をスパッタにより
形成した。具体的には、ガラス基板11の温度を 200℃
に保持し、スパッタ装置内を 1.0Pa に維持し、装置内
にアルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスを導入(200c
c/min)し、1KWの高周波電力で堆積速度2Å/secの条
件で行った。
【0010】上記第1絶縁層13上に硫化亜鉛(ZnS)
を母体材料とし、発光中心としてマンガン(Mn)を添加
した硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)発光層14を蒸着
により形成した。具体的には、ガラス基板11の温度を
120℃に保持し、スパッタ装置内を5×10-4Pa 以下に
維持し、堆積速度1.0〜3.0Å/secの条件で電子ビーム蒸
着を行った。
【0011】次に、上記発光層14上に本発明に係るフ
ィルタであるアモルファスシリコン(a-Si)から成る
赤色光透過フィルタ17を形成した。具体的には、ガラ
ス基板11の温度を 200℃に保持し、高周波プラズマC
VD装置内に水素(H2)で10%まで希釈したシラン(S
iH4)ガスを100s ccm導入し、排気速度を調整すること
によって装置内圧力を 1.0Pa に維持し50Wの高周波電
力で堆積速度15Å/secの条件で行った。このようにして
得られた赤色光透過フィルタ17の光学ギャップ(光学
的エネルギーバンドギャップ)Eg は約1.81eVであっ
た。又、500〜750nmの波長域での光透過特性を分光光度
計で測定すると、この波長域では、 600nmで透過率が最
大(55%)となり、カットしたい 570nm以下の透過率は
5%以下であった。上記透過率は、下地との干渉により
波状になるため、透過させたい波長域で最大にするに
は、上記赤色光透過フィルタ17の膜厚を調整すればよ
い。又、ガラス基板11の温度、高周波電力など堆積条
件の選択によりアモルファスシリコン(a-Si)膜の光
学ギャップは1.70〜2.10eVまで変化できるが、この光学
ギャップは主に透過率が零になる波長に影響を与える。
【0012】次に、上記赤色光透過フィルタ17上に、
五酸化タンタル(Ta25)から成る第2絶縁層15を第
1絶縁層13と同一の方法で形成した。以上の各層をガ
ラス基板11上に形成後、5×10-4Pa の真空中、400
〜600℃で2時間熱処理を行った。この熱処理により、
発光層14の結晶性が向上して発光輝度が高くなった。
熱処理後、酸化亜鉛(ZnO)膜から成る第2透明電極1
6を、上述の第1透明電極12と同一の方法により、第
2絶縁層15上に形成した。各層の膜厚は、第1、第2
透明電極12,16が3000Å、第1、第2絶縁層13,
15が4000Å、発光層14が6000Å、赤色光透過フィル
タ17が3000Åである。このようにして得た薄膜ELデ
ィスプレイ素子100の発光スペクトルを測定したとこ
ろ、スペクトルのピークが 610nmと長波長側にシフト
し、色純度の良好な赤色発光が得られた。
【0013】図2は、上述の薄膜ELディスプレイ素子
100で使用されている赤色光透過フィルタ17の分光
光度計による可視光透過曲線を示した特性図である。赤
色光透過フィルタ17を用いない場合の硫化亜鉛:マン
ガン(ZnS:Mn)発光層14を有する薄膜ELディスプ
レイ素子のオレンジ色発光輝度は約2800cd/m2(1KHz
駆動)であり、赤色光透過フィルタ17の透過率は約21
%であった。透過率が極大値及び極小値を持つのは、光
の干渉によるもので、ガラス基板や堆積してある膜の屈
折率及び膜厚により透過曲線の形状は決まる。この透過
曲線における赤色光透過フィルタ17の膜厚は約3000
Å、透過率が零となる近傍、所謂、吸収端より求まる光
学ギャップは1.72eVである。この透過率が零になる波長
は赤色光透過フィルタ17の光学ギャップにより決ま
り、光学ギャップが広ければ短波長側にシフトする。
【0014】図3は、種々の光学ギャップEg を有する
アモルファスシリコン(a-Si)系フィルタを用いた薄膜
ELディスプレイ素子の発光スペクトルを示した特性図
である。硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)系発光層を有
する薄膜ELディスプレイ素子に用いたフィルタの光学
ギャップを小さくすることで、スペクトルのピークが長
波長側、即ち、赤色側へシフトしていることが判る。こ
こで、光学ギャップが2.10eVでは広すぎて赤色化のため
のフィルタ効果は殆どない。逆に、光学ギャップが1.60
eVと狭すぎる場合には、赤色側へシフトするものの透過
率が10%以下となり、硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)
系発光層の輝度を上昇させないと赤色成分の輝度が小さ
くなる。
【0015】図4は、図3の発光スペクトルをCIE
(国際照明委員会)xy色度図の座標上にプロットした
図である。尚、光学ギャップEg(eV)の値に対応した黒
丸の位置にて各CIE座標を示した。又、フィルタなし
の二重丸で示された位置は、従来のZnS:Mn系発光層
を有する薄膜ELディスプレイ素子のオレンジ色発光の
スペクトルを示している。光学ギャップが狭くなると共
に、オレンジ色から赤色へ色度が移行することが判る。
尚、光学ギャップが1.72eVの色度は、硫化亜鉛:サマリ
ウム(ZnS:Sm)系発光層を有する薄膜ELディスプレ
イ素子の発光スペクトルより赤色側にシフトしており、
現在最も色純度が良いとされている硫化カルシウム:ユ
ウロピウム(CaS:Eu)系発光層を有する薄膜ELディ
スプレイ素子と並ぶものである。
【0016】図5は、本発明に係る薄膜ELディスプレ
イ素子とフィルタなしの薄膜ELディスプレイ素子とに
おける印加電圧と輝度との関係を示した特性図である。
従来の硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)系発光層を有す
るフィルタなしの薄膜ELディスプレイ素子のオレンジ
色発光と比較して、本発明の硫化亜鉛:マンガン(Zn
S:Mn)系発光層を有するフィルタありの薄膜ELディ
スプレイ素子は透過率が約20%と低い。このため、本発
明の薄膜ELディスプレイ素子の赤色発光としての輝度
は450cd/m2(1KHz 駆動)であるが発光開始電圧が 1
92Vから 171Vへ10%以上低減し、輝度の立ち上がりも
鋭くなっている。これは、赤色光透過フィルタ17であ
るアモルファスシリコン(a-Si)層が光起電力を持つた
め、発光開始と共に発光層への電荷注入量が増加するた
めと考えられる。本実施例の薄膜ELディスプレイ素子
のオレンジ色発光の輝度は約2200cd/m2(1KHz 駆動)
であるが、膜質などの改善によって輝度を向上すれば、
赤色発光もそれに伴って高輝度化することが可能であ
る。
【0017】次に、比較のため、前述の図7に示したよ
うな、フィルタなしの従来構造の薄膜ELディスプレイ
素子を作製した。即ち、本発明に係る薄膜ELディスプ
レイ素子100から赤色光透過フィルタ17を省き、発
光層14を発光中心として三フッ化サマリウム(SmF3)
を1wt%添加した硫化亜鉛(ZnS)をターゲットにし、
スパッタ法で作製した赤色発光層33に替えているのみ
で、他の構造は同一であり、製法も同一である。このフ
ィルタなしの従来構造の薄膜ELディスプレイ素子に対
して同様な発光試験を行ったところ、輝度は約200cd/m2
と低く、色純度も図4の光学ギャップEg=1.95eVの赤色
光透過フィルタを有する薄膜ELディスプレイ素子と同
程度であった。
【0018】図6は、本発明に係る薄膜ELディスプレ
イ素子の第2の実施例の縦断面を示した模式図である。
本実施例に係る薄膜ELディスプレイ素子500は、第
1の実施例の赤色発光の薄膜ELディスプレイ素子10
0の構造上に、更に、第2の発光層24を有する第2の
薄膜ELディスプレイ素子200を組み合わせて積層型
の薄膜ELディスプレイ素子を構成している。尚、第1
の実施例の薄膜ELディスプレイ素子100の各層には
同じ符号を付してその説明を省略する。第2の薄膜EL
ディスプレイ素子20のガラス基板21上(図面では下
側)には、酸化亜鉛(ZnO)から成る第3透明電極22
及び五酸化タンタル(Ta25)から成る第3絶縁層23
を先の実施例と同一の方法で形成した。次に、その上に
第2の発光層24がスパッタ法により形成した。第2の
発光層24は、硫化亜鉛(ZnS)を母体材料とし、発光
中心としてテルビウム:酸素:フッ素(TbOF)を添加
したもので、グリーン色を発光する。第2の発光層24
上には五酸化タンタル(Ta25)から成る第4絶縁層2
5及び第4透明電極26を上述の実施例と同一の方法で
形成した。第3、第4絶縁層23,24の膜厚は4500
Å、第2の発光層24は8000Å、第3、第4透明電極2
2,26は3000Åとした。
【0019】上述の構造から成る薄膜ELディスプレイ
素子500では、第1の発光層14又は第2の発光層2
4に電圧を印加することにより、それぞれ赤色、緑色の
発光色が得られる。更に、第1、第2の発光層14,2
4を同時に発光させることにより、これらの混色である
アンバーの発光層が得られるので、これらを組み合わせ
ることにより、マルチカラー化が可能となる。
【0020】上記ガラス基板11,21は、吸湿を防ぐ
ため、シリコンオイルを真空注入して組み付けられてい
る。そして、赤色、緑色及びその中間色は、ガラス基板
21側からの発光色である。又、上記構造において、第
2透明電極16と第4透明電極26は共通化してもかま
わない。即ち、第2透明電極16を形成後、その上に直
接第4絶縁層25、第2の発光層24、第3絶縁層2
3、第3透明電極22の順に積層し、ガラス基板21
は、シリコンオイルを真空注入して組み付けるためのダ
ミーガラスとして使用することも可能である。
【0021】上述の第1、第2の実施例では共に、従来
の薄膜ELディスプレイ素子で見られるような水洗工程
などにおける膜剥離の現象は全く生じなかった。即ち、
水に対する溶解度が極めて大きい硫酸亜鉛(ZnSO4)層
の形成が防止できた。又、赤色光透過フィルタ17を透
過した赤色発光の輝度は約600cd/m2(1KHz 駆動)と
十分実用に耐えるもので、高温プロセスを経ることによ
るフィルタ特性の変化や経時劣化も見られなかった。
【0022】本発明は上記の実施例に限定されるもので
はなく、以下のような種々の変形が可能である。 (1) 赤色光透過フィルタ17は、アモルファスシリコン
(a-Si)の他に、微結晶シリコン、多結晶シリコン、S
iab(X:炭素(C),錫(Sn),ゲルマニウム(Ge)より
択一)で表されるシリコン合金であるSiC,SiSn,Si
Ge 及びその微結晶、多結晶体で構成することができ
る。 (2) 第1、第2、第3、第4絶縁層13,15,23,
25は五酸化タンタル(Ta25)で構成したが、Al2
3,Si34,PbTiO3,Y23で構成しても良い。 (3) 発光層を、1層、2層の他に3層以上、例えば、R
GBをそれぞれ発光する3つの発光層を重ねた薄膜EL
ディスプレイ素子ではフルカラー化が可能となる。 (4) 赤色光透過フィルタは複層としても良い。例えば、
透明電極側に、光学ギヤップが大きい層を形成し、絶縁
層側に向けて段階的に光学ギヤップが小さくなるよう順
次積層するようにしても良い。このような構成とした薄
膜ELディスプレイ素子では発光層への電荷注入効率が
更に改善できる。 (5) 赤色光透過フィルタの挿入位置は、発光層と第2絶
縁層との間に限定されることなく、発光層より光取り出
し側ならば良い。例えば、第2絶縁層と第2透明電極と
の間、又、電荷注入効率の改善を期待しなければ、第2
透明電極上に形成しても構わない。 (6) ガラス基板側から光を取り出す場合には、赤色光透
過フィルタは、第1絶縁層と発光層との間などの他に、
ガラス基板側の第1透明電極と反対側に形成してもフィ
ルタの効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な一実施例に係る薄膜ELディ
スプレイ素子の縦断面を示した模式図である。
【図2】同実施例の薄膜ELディスプレイ素子で使用さ
れているフィルタの分光光度計による可視光透過曲線を
示した特性図である。
【図3】種々の光学ギャップを有するアモルファスシリ
コン系フィルタを用いた薄膜ELディスプレイ素子の発
光スペクトルを示した特性図である。
【図4】図3の発光スペクトルをCIExy色度図の座
標上にプロットした図である。
【図5】本発明に係る薄膜ELディスプレイ素子とフィ
ルタなしの薄膜ELディスプレイ素子とにおける印加電
圧と輝度との関係を示した特性図である。
【図6】本発明に係る薄膜ELディスプレイ素子の他の
実施例の縦断面を示した模式図である。
【図7】従来の薄膜ELディスプレイ素子の縦断面を示
した模式図である。
【符号の説明】
11−ガラス基板(絶縁性基板) 12−第1透明電
極(第1電極) 13−第1絶縁層 14−発光層 15−第2絶縁
層 16−第2透明電極(第2電極) 17−赤色光透過
フィルタ(フィルタ) 100−薄膜ELディスプレイ素子
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 信衛 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 服部 正 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−105897(JP,A) 特開 昭63−10494(JP,A) 特開 平2−273496(JP,A) 特開 平3−201390(JP,A) 実開 平1−168997(JP,U) 実開 平1−168998(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板上に第1電極、第1絶縁層、
    硫化亜鉛:マンガン(ZnS:Mn)から成る発光層、第2
    絶縁層及び第2電極を、少なくとも光取り出し側の材料
    を光学的に透明なものにて順次積層し形成した薄膜EL
    ディスプレイ素子であって、 前記発光層からの光を目視する光取り出し側にシリコン
    又はシリコン合金にて形成されたフィルタを備え、該フ
    ィルタは前記発光層からの発光色のうち赤色成分を透過
    する特性を有しており、これにより該赤色光透過フィル
    タを通して目視される、前記発光層からの発光色を赤色
    とすることを特徴とする薄膜ELディスプレイ素子。
  2. 【請求項2】 前記赤色光透過フィルタは、前記発光層
    と前記第1絶縁層又は前記第2絶縁層との間に配置され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜ELディ
    スプレイ素子。
  3. 【請求項3】 前記赤色光透過フィルタの光学ギャップ
    は1.72eVであることを特徴とする請求項1又は請求項2
    に記載の薄膜ELディスプレイ素子。
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